自宅の風呂 2

 最初に捜したポストの中にはありませんでした。次に探したのは表札の下に釘でかけられていた牛乳箱。しかし上から覗き込んでも木の感じしか見えないので
すぐ他を探し始めました。玄関脇にはいくつか植木鉢があり、その一つ一つを持ち上げて見ましたが見つかりません。しゃがみこんだまま上や横を見渡しましたが、
あとは丸い玄関灯くらいで、あれにはさすがの父も届かないだろうと思いました。

「まさか、この植木鉢の土の中に?」とまで考えましたが、それはありえません。探す場所がなくなった私は、少しまた頭痛を感じ始めました。

 しばらく考えて、カギをあきらめてまた風呂の窓の外で様子をうかがうのが早いかと思い思い切って立ち上がった時、
ちょうど先ほどの牛乳箱に頭をかなりの勢いでぶつけてしまいました。

 角をぶつけて泣きたいほど痛いのと、物音で中の2人に気づかれなかったかという不安でしばらくうずくまって動けませんでした。しかしその瞬間私は気づきました。
空だったはずの牛乳箱に頭をぶつけた時、かちゃん、というような音がなったことに。

 私は頭をさすりながらもう一度牛乳箱を覗きました。やはり木の箱。でもよく見ると、底の木の色が他とは違っていて、それにその底は3枚に分かれていたのです。
それは、かまぼこ板でした。

 私は手を突っ込み、そのかまぼこ板を取りました。そこにカギがあったのです。この家に越して来てから、朝たまに私自身が牛乳を取りにいっていましたが、
その時初めて気づきました。

 私はカギを取り出し、かまぼこ板を戻し、息を整えながらゆっくりと玄関のカギを開けました。

 見慣れない汚れた靴が、あたりまえのように玄関に置いてありました。私はその野崎のであろうその靴を睨みながら靴を脱ぎ、足音を忍ばせて廊下に上がりました。
そして念のため、よつんばいで進むことにしました。

 狭い家なので、玄関脇の台所の横を過ぎたらすぐに脱衣所の戸です。しかし、開けるまでもなく脱衣所の戸は開いていました。
そこまで来るとシャワーの音も再び聞こえました。私が慎重に顔を出しそこから覗くと、ほんの数10センチ先に風呂の扉が見えました。

 風呂の扉はアルミのサッシで、ガラスというかプラスチックのような透明の板がはめこんであり、その表面がざらついている奴です。分かりにくいでしょうか?
はっきりとは見えませんが一応透明なので、中の様子がモザイクがかかったようにですがおおかた見えます。

 タイルと風呂桶は薄い青色で統一されていて、ほとんどがその色でした。でもその中央に、肌色の物体がいそがしげに動いているのが見えました。

 てっぺんに髪の毛があって、顔があって、首や肩の下におっぱいらしきものが見えて、おなかもあり、へそもあり、
そしてその下に髪の毛と同じような黒い部分も見えました。

 女の人というのはすぐ分かりました。もちろんそれが母だということも。

 母が狭い風呂のなかで、裸で、上下に大きく動いているのです。前回とは違う「おめこ」の状況に私は戸惑い、しかしやはり興奮し、
そのまま体を寝かせてガラス(ではないですが)の向こうの母の様子を観察することにしました。

 窓の外で聞いたシャワーの音とぺちんぺちんという音とキュッキュッという音は、そこでも聞こえていました。母の躰が上下に動いているような状態で、
音は聞こえ続けています。そしてその時、ひとつの音の正体がわかったのです。

 すりガラス(すりプラスチック?)の向こうの母は、おっぱいやへそが見えることからこちらを向いているようです。
そして、その左手が奥にある浴槽のほうへ伸びています。母は、あの掴むとキュッキュッと鳴る湯船のふちに手を当てているようです。
そうやってバランスを取っているのだろうと理解しました。

 私がそれまで見た「おめこ」は、あの居間での母が後ろから入れられている格好だけでした。あの時もいまいち位置関係がわからなかったのですが、
今回はさらに私を混乱させました。そもそも、母の姿は見えるのに野崎が見えません。一瞬母が
1人で何かをやってるのかとも思いましたが、
よく聞けばやはりあの咳払いのような男の声は聞こえています。やはり野崎も風呂場にいるのだと思い直しました。母といっしょに。

 しばらくそんな感じで覗いていました。扉の向こうの光景はあまり変わりません。母は風呂のふちを掴んで、おっぱいを揺らしながら体を上下させています。
外でたったひとこと聞こえた「ああ、うそ……っ」という言葉以降、声も聞こえません。

 私は覗きながら、怖いながらも興奮して、うつぶせのままなので股間が床にこすれて痛くなってるほどでした。
 床に這いながらの低い視点。
 うっすら見える母の裸。
 まだ姿を現さない野崎。
 母のいやらしさや野崎に怒るというより、その時の私は純粋におめこのいやらしさにみせられていました。

 光景が変わったのは、ちょうどその時でした。

「ああっ!いやあ……っ!」

 あまり変化しない時間が続いていたので、母の高い声に慌ててすりガラスを凝視しました。さっきまで母のおっぱいが揺れていたあたりに、
黒い色と母の肌とは違う肌色が現れました。野崎の頭と体でした。その時ようやく、野崎が母の下にいることがわかったのです。
逆にいえば野崎の体の上で、母は別に掴まれるでも抱えられるでもなく、自分から体を動かしていたのです。

「……ああ、やっぱこんおっぱいはいいな。下から見ちょんだけじゃ物足りん」

 野崎の声です。そのくもった感じの声は、母のおっぱいのすぐ近くで聞こえています。そしてすぐに、「んーん、んっ……ちゅっちゅ」という野崎の声と
「ああっ……いや、そんな、だめぇ……」という母の弱々しい声が聞こえます。私は野崎が母のおっぱいを舐めているのだと分かりました。
これは赤ちゃんがおっぱいの飲むということがあるので、すぐに理解できました。

「あっ、あっ、あっ……い、んっ……野崎、さんっ」

「んっんっんっ、ちゅっ……んんんー」

 同時に聞こえる母の声と野崎の舐める音。その間も、母の上下運動は止まりません。おめこには後ろから入れる格好と女の人が上に乗る格好があるのだと、
変な話ですが感心してしまいました。また、前回とはまるで体勢が違うのにちんこをどういうふうに入れているのかという疑問も沸きましたが、
すぐにいやらしい光景や音のほうに目を奪われました。

「ん、ちゅー……んは。美佐江さん、あんたやっぱりやらしかったんやのう。おめこが俺のをぐいぐい締めつけちきよんぞ」

「そんなこと……あんっ、ない……あ、いっ!」

「……まあどげえでんいいけどな。ほら、もっと腰振っちくれ。そうせんとまた中に出しちしまうぞ」

「ああ……は、はい……っ」

 母は当たり前のように返事しました。前回怖がっていた「中に出される」ことが今も怖いのか、それとも野崎のいうことを素直にきいたのか、
私のはどっちなのかよくわかりませんでした。

「ああ、ああっ……ん、んーっ、ん、はあ、あっ」

 声が一段高くなりました。そしてすりガラスの向こうの母の動きも少し変わります。それまで上下に動いているという印象でしたが、今度は前後という感じです。
当時独眼竜政宗という大河ドラマが流行っており、その乗馬シーンを真似るのを学校でよくみんなでやっていましたが、母の動きはまさしくそのとおりでした。
股間の黒い影が横に連続して動くのを眺めて、なぜか上下の動きよりエロく感じました。

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