母と美佐江 2
実際は静かになってからドアをゆっくりと開けるまでどれくらい時間が空いたのか自分でもわかりません。自分では短かったと感じているのですが、
意外と長かったのかもしれません。
前に階段の上から覗いた時よりもずっとずっと慎重に進み、例の濡らすと半透明になる欄間の上のすりガラスへたどり着きました。
まだ濡らす前でしたが、居間で野崎と母の姿が中央で重なっているのだけはぼんやり見えました。
先ほど見た母の薄い黄色のトレーナーと、野崎の水色のポロシャツの色が、なんだか忙しげに上下左右斜めにずっと動き続けています。
居間の真ん中で、野崎と母が抱き合っているという事実が私をまた驚かせました。
先が見たくなった私は、指先につばをつけすりガラスを透明にしました。そして、やはり思い描いていたとおりの光景にまた心臓が痛くなりました。
上から。野崎と母は、しっかりとキスをしていました。そして、顔をくねくねと動かし明らかに舌を絡ませあっているキスでした。
野崎の片手は母の肩あたりに乗せられて、母の体をしっかりと密着させていました。薄黄色のトレーナーの中の母の胸は野崎の胸でつぶされていました。
そのつぶされた胸も2人が体を動かすたびにぐにぐにと動きます。
野崎のもうひとつの手(多分右手だったと思います)は、母の腰のあたりをずっと激しく撫でていました。
そして、その連続の動きに少しずつ興奮してきた私の目に、また新たな光景が飛び込んできました。
撫でていた手は荒々しい動きのまま母のベージュ色のスカートをまくり上げたのです。
どきりとしました。私の知ってる母の下着は肌色に近い物か白い色の、幅の広い物くらいでした。
しかし目の前で、野崎に抱きしめられている母がつけていたのは濃い茶色の、それも細身の(若い女性がつけるような)物でした。
野崎の手はその茶色のパンツを遠慮なく撫で回し、細いパンツから半分ほどはみ出した母の肉も揉んでいました。
同時に数メートルしか離れていない私に、低いきゅっきゅとした布ずれの音と共に、ちっちと濡れた音が聞こえてきました。
舌を絡ませあう音が私に聞こえるくらいのいやらしいキスがずっと続いています。
いやらしいキスと、黒い下着と、揉まれる肉。目の前で見せられる野崎と母の激しい抱擁と愛撫。
階段の上から覗く私の股間は、また興奮で固くなっていました。
その頃の私は、母が野崎に犯される驚きや悔しさよりも、いやらしい女となった母を野崎がどう攻めるのかを、客観的に見ていたように思えます。
ただ自己弁護するならば、母親の淫らな姿を客観的に見れたというのは、もしかしたらまだ幼かった自分の精一杯の防衛本能だったのかもしれません。
今度は確実に、長い時間野崎と母は抱き合い続けていました。その間母はもう嫌がりもせず、野崎の激しい手の動きに身を任せていました。
2階に私がいることを知っていながら、(さすがに母から抱きついてはいませんでしたが)野崎の太ももあたりに手をあてがってんふんふと声を鳴らしていました。
しばらくして野崎が、ゆっくり口を離しました。まだ尻を揉んだままです。顔は離れましたが、野崎と母はぼんやり見つめ合っているように見えました。
「どげえか」
「……え」
久々にしゃべった野崎に、母が小さく返事します。声がひどくいやらしく聞こえました。
「子が近くにおるに、さかっちょん気分はどげえか、っち聞いちょんのや。え?」
その言葉に、母が突然頭を動かしました。さすがに私は「気づかれる!」と驚きましたが、母は階段のほうというより2階の部屋のほうを見上げたようでした。
そしてしばらく見上げて、そして顔を下ろしました。
「……お願い、です」
「あ?」
「色々、しますから……早く、お願いします」
「ほお」
「早く、ですから……息子に気づかれないうちに……おめこ、してください……」
母の口からはっきりと聞いた「おめこ」という言葉。まるで自分から誘うように、野崎のほうをじっと見て「おめこ」と言ったのです。
「いひひ、いやらしくなったもんや。子の前でん、旦那のおる時でんおめこしたがるけんのぉ」
「……ああっ」
野崎と母は、過去に父が近くにいた時にもセックスしていたのです。
地区の寄り合いが何回かあった記憶もあります。私の寝た後に旅行のお土産を持ってきたりした事もあったようです。
しかしどちらも、父どころか他の近所の人や野崎の奥さんもいたはずです。
そんな時にも(場所はどこかわかりませんが)野崎と母は目の前のように激しく「おめこ」をしたのです。
そして今も、息子である私の目の前でしようとしていたのです。
「んじゃ、おめこしちゃる。まずちんぽ舐めるか、え?」
「……早く、おめこを……」
「舐めろや美佐江。お前ん大好きなちんぽやろうが、嫌やったら知らんぞ」
「……舐めます。ちんぽ、舐めます」
母はすっと野崎の股間の前にしゃがみました。そしてもう命令されずに、野崎のズボンのチャックをおろし始めました。
その様子をニヤニヤ眺めていた野崎は、すぐに母の手助けをするようにズボンのボタンを外しそのまま下ろしました。
白いブリーフがいやに大きく尖って、母の目の前に突き出されているのが見えました。
「ああ……っ」
「何べん舐めちょるか知らんけど、まだ飽きんやろ美佐江。いつもみたいに、さっさ取り出して「大好き」言いながら舐めろや」
事実はどうか知りませんが、少なくとも母は否定せずに、野崎が言ったとおりのようにじっとその突き出されたブリーフの先端を見つめていました。
そして今度はゆっくりではなく意外にすばやくブリーフの両端を持って、それを引き下げました。
弾き出た野崎のちんぽを、母はまたじっと見つめ、数秒後に舌を長く長く出して、舐めました。
その長く伸ばした母の舌は、今でも夢にたまに出てくるほどいやらしい光景でした。