志穂、哭く。
   第11章


 志穂、愛してるよ……。

 ああっ、私もよ。祐二さん……。

 君を、隅々まで愛して、いいかい?

 ええ、いいわ。私を、全部、愛して……。

 ここは、どうだい?

 あっ。ええ……素敵よ。

 じゃあ、ここは?

 うんっ……とっても、気持ちいいわ祐二さん。

 そうかい?それじゃあ……ここは?

 あっ!いや、ダメっ。そこは……汚いっ!

 汚い?

 ダメ!そこは……あんっ!そんなに、いじっちゃ……っ!

 どうして、ここはダメなんだい?

 そこは……祐二さんが、触ってはいけないの……っ。

 なぜだい?君はこんなに感じているじゃないか。

 でも、でもっ!あうっ……ダメ、志穂、狂っちゃう!

 ……そうか、狂うのか。

 そう、志穂……おかしく、なるっ!

 狂うがいい。尻を弄られて、狂うがいいさ……クククっ。

 ああっ!い、いいっ……また、イっちゃう……!

 よし、イケ……っ、尻の穴を穿られて、また哭け……っ!

 あ、くうっ!お義父さまっ、志穂、い、くうっ!

 

 

 夢の中の絶頂は、目覚め切れていない思考の中でも続いていた。触れられてはいけない場所に、誰かの指が這っている。たまに前のほうにあるヴァギナを指裏でさわ撫でながら、しかしやはりその指先はヒップの谷の奥にあるわずかな穴に向けられている。うつ伏せで甘い吐息を力なく吐き続けている志穂には、その攻撃を防ぎようが無い。

 これは現実なのだと、志穂はゆっくり晴れて行く薄霞みの中で悟る。何処で自我を失ったのか、その時誰と居たのか。何を、していたのか……。

 全ての像が結んだ時、志穂の全身に悪寒が駆け巡った。尻穴を穿っている指先は皺が深く刻まれながらも荒々しい存在感を持ち、その動きは明らかに女の心を辱めようと躍動している。

「や、め……て」

 志穂はゆっくりと唇を開け、その指先の主に呼びかける。僅かに開いた瞳は見慣れぬ布団を捉えている。いつも眠るベッドのシーツとは違う質感。表面に皺が寄りゴワついているのは、男女が激しくくねり合い大量の汗を吸ったため……。

「……おお、目が覚めたか志穂さん。尻を指で弄られて、何度も気をやった志穂さんや、クククッ……」

 老いた男が吐く囁きは、志穂の全身を紅潮させると同時に、迫り来る現実に恐怖させた。ここは、愛する夫の眠る寝室のベッドではなく、その夫の実の父によってどうしようもなくよがらされた客用の布団の上。鳥のさえずりが、もうすでに陽の昇った時間である事を告げていた。

「……っ!」

 志穂は慌てて躰を起こした。

 乱れた髪、べとつく裸の肌。色に溺れた女以外の何者でも無い自分の姿。布団の周りに散らばったパジャマや下着が、その気持ちをさらに沈ませる。

 顔を硬直させて着衣を掻き集める女の姿を見ながら、老人は静かに笑っている。奇怪な話だが、この老人は、指に未だ残る腸粘膜の感触に酔っていた。前部に穿たれた花芯とは似ているようでまるで違う内部のぬめり。きっと、女もその内部を自由にする事など出来ないのだろう。出来る事は排泄の時と同じように、強く締めたり緩めたりするだけ。

そして何より、そこを弄くった時の、女の感じよう。志穂という女を隅から隅まで征服しようとしていたが、最後に一番素晴らしい場所が残っていた。

「……っ」

 まだ布団の上で全裸を座らせている義父を一瞥し、志穂はドアを閉じた。その義父の顔に今までに見た事も無い表情が浮かんだのを、志穂は気づいただろうか?

 とりあえずは体裁を整えた志穂だったが、思考はまだ混乱の極みにあった。客間には、時計が無い。今現在志穂は自分がどの時間の中にいるのかも理解できていない。ほんの、ほんの少し前まで愛撫されていた全身が、体温をいまだ高みに浮かせ続けている。すでに夫が目覚めていて、居間で自分の姿を待っている光景だけは見たくない。自然に早足になるが、リビングに続く廊下は暗く、長い。

 はやる鼓動。もつれる足。全てを失ってしまうかも知れないという、悪寒。

「……!」

 幸いな事に、夫 祐二の姿はない。志穂が慌てて辿り着いたリビング、だがそこには朝の明るい陽の中でも、暗く沈んだ表情でぼんやりとテレビを見つめる、等の姿があった。志穂の悪寒は、晴れずにさらに澱む。

「あ、あの……」

 言葉が出てこない。息子にかけるべき最適の言葉を紡ぐ前に、脳裏に残る深夜のノックの音が、志穂の思考を乱す。目の前の息子は、愛する母親が義父と激しく交わっていた事を悟っている。その行為と、息子本人と交わる行為の価値の違いを説明できるほど、志穂は聖人でも狂人でもなかった。

「ひ、とし……」

 呼びかけても、愛息はテレビから視線を離さない。無垢であるがゆえの怒りが、優しくあるべきリビングの空気を砕けたガラス片のように尖らせているのを、志穂は嫌というほど感じている。最大の咎人は、それを裏切った自分自身だからだ。

 もしかして、夫に事が露見してしまうよりつらい状況なのかも知れない。居た堪れなくなって志穂は、逃がす場所のない躰を、このリビングからのみ逃がそうとした。

「おはよう、志穂」

「ひ……っ!」

 それは、夫の出現に他愛なく驚く妻の声ではなかった。

「どうしたの?そんなにびっくりしちゃって」

 どうしようもなく晴れやかな表情で、夫は志穂に微笑みかける。昨日着ていたパジャマ、昨日触れ合った肌、昨日交わし合った唇……そのどれもが、志穂の罪を証拠付ける烙印。そのどれかひとつにさえ、志穂は喜びを抱けないのだ。

「ごはんは……まだみたいだね。いいよ、久しぶりに家族が揃ってるんだから、のんびりしようよ」

「え、ええ……」

 やっと夫に言葉を返した。しかし、早鐘を鳴らす鼓動が治まるはずもない。犯した罪は、この家のそこかしこに飛び散っている。些細なきっかけで、溢れ出さないとも限らない。

「お、等は早起きだな。おはよう、等。ひさしぶりだなぁ」

「……おかえり、パパ!」

 父親には、振り返ってあいさつをして見せた。しかし、その様子をまんじりともせず見つめる母親へは、やはり視線は向けずにいる。

「せっかくだから、今日は学校を休むか。お昼までしかいられないけど、今日はパパが等の好きな所に連れて行ってあげるぞ、な?」

「うん。でも、どこにも行かなくてもいいよ。パパがいれば安心だもん!」

「おおー。こいつ言うようになったなぁ!」

 夫は気にも止めなかったが、志穂には等の言った「安心」という言葉がトゲのように感じられる。父親がいれば、何が安心なのか。何に対して、安心なのか……。

「よーし。じゃあお昼までここでゆっくりくつろぐか。いいかい、ママ?」

「……ええ、そうしましょう」

「よーし等、ママの許しも貰ったぞ」

「うん」

 等の小さな顔に浮かぶ笑顔。しかし今の志穂には、愛する二人の家族を裏切り溺れている女には、その笑顔が無垢だとは到底思えない。

「じゃあママ、朝ご飯の支度よろしく……あ、冷蔵庫に牛乳あったよね?」

未だに力無く立ち尽くす妻の返事を待たずに、祐二は冷蔵庫へと向かった。

「あ、痛っ!」

 短い悲鳴。ハッとして、志穂は声を上げた夫の方を振り向いた。

「なんか踏んじゃった……何だこれ、ボタン?」

 しかめ面の祐二が、指先に持っていた物。小さくて丸い、プラスチックの物。昨日の深夜、このキッチンで、あの男が毟っていった物……。

志穂は慌てて胸元を見る。義祐から逃げるため慌てて身に着けた時は気づかなかったが、ボタンの無いピンクのパジャマは、豊かな双胸を隠す事を放棄している。ノーブラの胸元が、夫に向けられていた。

「あ、そうか、そうね……あはは」

 夫が、照れ臭そうに笑う。きっと祐二はこのボタンを、妻との『激しい』営みの結果だと思い込んでいるに違いない。その結果がなぜ、このキッチンに飛散しているのか、考えもしないで。

 違うの、あなた……それはお義父さまが……ああ、許して……っ。

 目の前にあるはずの夫の姿が次第に霞み、その夫の実の父親との許されざる交淫が脳裏に描かれる。

 淫らな言葉を吐いた。

 進んで尻を振りたくった。

 尻穴を弄くられて、感じ入った。

 等がそばにいたのに、快感に狂った。

 つながる前、志穂は夫に許しを請いながら、汚される自分を望んだ。

 しかし今、それが自分の淡い幻想であった事を知る。淫らな自分は、夫に満たされなかった躰を、逞しい男に差し出しただけなのだ。幸せな日常の光景が目の前にあればあるほど、未だ汚らわしい狭穴に残る義父の指の感触が生々しく感じられる。

 志穂は悟る。自分は、ただの淫乱な女になってしまった。等に軽蔑されるのも、仕方がないほどの。

 

 

「あー、やっぱり家で食べるメシは美味しいなあ」

 昨夜の夕食と同じく、大した材料もないままに慌てて用意した食事。しかし夫は、満面の笑顔で頬張る。等はその隣で、相変わらず志穂と視線を合わさないまま、もそもそと朝食を取っている。笑顔、無表情。どちらをとっても、志穂の心を刺す。

「そういえば、親父の奴まだ起きてこないのか。大体年寄りってのは早起きになるはずなのにな。なあ、志穂?」

「え、ええ、そうね」

 義祐の事に触れられ、鼓動が波打つ。

「せっかくメシがあるんだから、俺が起こしてこようかな」

「そんな……悪いわ。もっと、寝ておいてもらいましょう」

 咄嗟に出た、言葉。夫にあの部屋の様子を知られたくない。シーツは男女の体液で濡れ、充満する空気は淫らな体臭で満たされているだろう。

 義祐のためにつく嘘。もう志穂は、愛息の顔を見る事ができなくなっていた。

「……まったく、もう起きとるぞ」

「あ、親父」

 のそのそと現れた、ランニング姿の義祐。志穂は一度視線を送り、すぐに離す。もはや義父の姿は、どこをどう見ても逞しい男を想像してしまう物になっていた。

「おはよう、祐二。おはよう、等。おはよう……志穂さんや」

「……おはよう、ございます」

 目を向けないまま、志穂は答える。等は、返事しなかった。

「親父、朝飯出来てるよ。もちろん、食べていくんだろう?」

 四人掛けのテーブル、自分の椅子を横に少しずらしながら祐二が自分の父親に優しく声をかける。夫、そして等。二人と一緒にいる空間に、義祐がいる。それだけで志穂は、堪らなく心乱される。

電話口で夫と愛を語らせながら、下から遠慮なく突き上げる。

帰宅の喜びを見せる夫を見せながら野外で貫き絶頂を誘う。

夕食を取る夫のすぐ背後で、後半身を弄くる。

孫のすぐそばで、四つん這いの尻穴に指を挿し込みながら深く穿つ。

その淫らな企みは全て、昨日一日に起こった事なのだ。

 また今日も、夫や等を目の前にした義父の淫らな企みに煽られるのだろうか。志穂の喉が、何度も唾を呑む。

 しかし、義祐は意外にも。

「いや、今日は帰るぞ。あんまり世話になっちゃ申し訳無いし、実は用事があるんじゃ」

「えー、なんだよ。せっかく志穂が作ってくれたんだよ」

「ああ、本当に申し訳無い。今度またご馳走してもらうよ、だから今日は勘弁な」

「……まったく、こんな爺さんに何の用事があるんだか」

 祐二が笑いながら父親を眺めている。志穂は恐る恐る義父の顔を見た。義祐もまた、ここ数日の志穂が知っている表情では無い、はにかんだ笑顔を浮かべていた。

「じゃあまたな。祐二、今日仕事に行くんなら、気をつけろよ。あんまり無理すんな」

 廊下へと歩み出しながら、息子にねぎらいの声をかける。志穂は、自分の目がおかしくなったように思えた。玄関へと向かう後ろ姿、それは自分の肉体を隅々まで凌辱する逞しい男には、到底見えなかった。

「ふうん……やっぱ親父、だいぶくたびれて来たなぁ。志穂、これからも親父の事たまに見てやってくれよな」

 そうなのだ。傍目から見れば、義祐は60を過ぎた老人なのだ。一番近い立場であるはずの夫ですら、その老人の内に激しい獣欲が湛えられているなどとは思いも及ばない。

 しかしその事を知っているのは、毎日のようにその男に奥深く突かれ、激しく善がらされた女。そして、父親の無邪気な心配を冷たい表情で眺める幼い息子。

「……はい」

 そう答えるしか、志穂には出来なかった。

 

 

 リビングから、夫と息子がはしゃぐ声が聞こえる。等が望んだように、親子二人家の中で仲良く遊んでいる。志穂は、夫の荷物を整えながら物思いに耽る。

 夫に真実を告げるチャンスは、これが最後かも知れない。義父はどんな理由にせよ、この家にはいない。

積み重ねられた罪は、自分が告白する事で全て露わになるだろう。元に戻る事など、もはや望めない。しかし、これ以上自分以外の人たちにその罪を負わせる事は出来ない。自分の肉体に淫らさから生まれた、卑しい罪を。

「……っ」

 志穂は、立ち上がった。どんな恐慌が待っていようともその瞬間の志穂は、覚悟していた。

「ねえ、ママ!」

 リビングから駆けて来た等が、ふいに部屋を覗く。

「パパ、そろそろお仕事に行くんだって」

「そうなの……分かったわ」

 ならば、すぐに伝えなければならない。志穂は等の横をすり抜け、リビングに向かおうとした。だが。

「ママ」

 その母親の手を、等の幼い手が掴む。

「パパが帰ったら、しようよ。ね?」

 そうなのだ。義父と繋がる以上の重い罪を、志穂は犯していた。血を分けた、実の息子 等と。

 

 

 タクシーに乗り込む夫が、またあの優しい笑顔を浮かべながら手を振る。

「じゃあ、俺行くから。気をつけてな」

「……はい」

「パパも、がんばってね〜!」

 妻の笑顔を、祐二はまるで疑っていない。しかしその妻は、どうしようもない混乱の中にいた。

 小さな手のひらが、志穂の柔らかい尻を撫でる。父親に気づかれないように、巧みに。

 その仕草は、まるであの老練な義祐のようだった。無邪気な分、志穂の心に鋭く刺さる。

 タクシーのドアが閉まる。その向こうの、夫の笑顔。背後の、幼い手のひらの感触。それが志穂の、禁忌を犯している女の、現実。

「パパに……ちゃんとバイバイしな、さい……っ」

「してるよ、左手で」

 いつから、こんな恐ろしい事を言えるようになったのだろう。

 走り去るタクシー。すぐに訪れる静寂。その静寂に響く、等の声。

「ね、早く中に入ってしようよ。僕、もうおちんちんがカチカチだよ」

「ああ……っ!」

 志穂が絶望の吐息を吐いても、息子の無垢な笑顔は揺るがない。その幼く小さい手に引かれ、生臭い行為が待っている自宅に入って行かなければならない志穂が唯一出来たのは、もう一人の老練な陵辱者に知られないために鍵を掛ける事だけだった。

 

 

 ほんの数時間前、この家の主が妻の作った朝食に舌鼓を打った食卓。午後1時を少し回ったその食卓の椅子には、新たな主人が出現していた。全裸の華奢な肉体を座らせ、この世の全ての快楽を手に入れたかのような微笑を浮かべている男。その男の股間には、やはり全裸で額に汗を浮かばせ、黒髪が乱れるのも構わずに必死に頭を上下させる女が張り付いていた。その姿は、主人の僅かな精を口に受けたいと欲する、哀れな奴隷のようだった。

 母 志穂。実の息子 等。

 まだ夫の、父親の陰がかすかに残るこの部屋で、母と息子は淫猥この上ない口唇愛撫に浸っていた。母が舐め、息子が善がる。息子が舐めさせ、母が、酔う。

「気持ちいいよママ……もっと、もっとおちんちんの先っちょ強く舐めて」

 幼い声で命ぜられる事が、何よりも志穂の心をかき乱す。心かき乱されるからこそ、その熱い往復行為はさらに熱を帯びていく。

「んっ……んふ、んん……っ、ん……んっ」

「ああ……ママの口、すごいよ……もっともっと、舐めてね」

 椅子に座ったまま等は、母親の唇に向かってくいくいと小腰を繰り出して来る。それを必死に受け止めつつ、舌を絡め続ける志穂。自らの胎内から生まれ出たこの熱い肉柱が、おそらく近いうちに自分の潤い始めた肉洞に再び侵入して来るはずだ。近親相姦という、恐るべき禁忌を纏いながら。

「んふう……ん、ちゅ……んふ、んむっ……ん、んんっ」

 しかしだからこそ、自らが犯し続けているもう一つの大罪を、刹那でも忘れ去る事が出来るのだ。愛する夫や息子を裏切り汚され続ける義父とのつながり。それよりも夫との愛の結晶である息子と心のままにつながり合う事を志穂は幸せと感じていた。どちらが本当の禁忌であるのか、もはや振り返るつもりもなかった。

 そう、これは贖罪なのだ。女の本能に任せて肉悦に狂った自分が、夫や息子に出来る唯一の罪滅ぼしなのだ、と志穂は思っていた。すでに最後の告白のチャンスは消え、その自ら贖罪と思い込もうとしている行為に、ひたすら没頭する志穂。

 タブーに染められた幸せが、未来永劫続く事などないはずなのに。

「気持ちいいよ……でも、これじゃあママのあそこを触れないね。どうしよう……」

 屈託の無い囁き。愛する息子が自分のいやらしくてたまらない場所を気にかけているという事実。それだけで志穂は、その求められている場所を熱く濡らす。

「あ、そうだ!」

「ん、ふ……?」

 くぐもった声を洩らしながら、等の無垢なアイデアを待つ。しかし、それは無垢であるがゆえに。

「ママ、左手のほうが空いてるから、自分で触れるよね?」

 淫らな希望。淫らな要求。幼い声で発せられた言葉に、母親であるはずの志穂は、女の躰を震わせた。息子に、自分で弄れと、命じられたのだ。

「……ん、うん……っ」

 なのに、志穂は従った。昨夜のバスルーム、義父のモノに奉仕している時は手を出されてやっと行った、無様な四股の体勢。しかし今は、何の疑問も無く美しい下半身を動かし、両脚に力を込めて進んでその格好になる。左手の白い指先は当たり前のように、潤い始めた場所へ辿り着く。

息子 等が望む事。自らが昂ぶる為にしたい事。それが、この躰を歪ませた上での自慰行為。志穂は自分の熱泉を玩びながら、スイッチが入ったように禁じられた口淫に浸り始めた。

「あー。やっぱりママ、自分で触り始めたんだね。うん、どんどん気持ちよくなってね」

 素直な喜びを含んだ声。母親は、女はそれに応えるように唇をすぼめ舌を巧みに絡める。指を蠢かす。口の中でますます逞しくなる怒張が、志穂の満足をゆったりと満たしていく。

「いいよ、ママ……すごく、おちんちんが気持ちいい……もっと強く舐めてよ、ほら」

 軽く腰を突き出して来る。構内粘膜の中で、増す圧力。それだけで女の心は猥褻にざわめく。息子が、淫らになっていく。自分の愛撫で、どんどん淫らになっていく。

「んふっ、んん……っ。ん、う、ちゅっ……ん、んむうっ」

 禁忌に酔う思考の中で、志穂はセックスの悦びにふと思いを巡らす。

義父 義祐に無理矢理躰を割り裂かれ、巧みな技巧で支配される。

愛息 等の無垢極まりない幼い身体に、自らの持つ全ての性を教え与える。

全てが相反した、矛盾の塊である二つの事象が、志穂の罪作りな肉体の中で起こっている。そしてその二つの事象は、禁じられた行為であるがゆえに志穂の肉体を悦ばせ、蕩かすのだ。常識を持って抗おうとする自分と、本能に押し流され色に溺れる自分。どちらが志穂という女の正体なのか、志穂自身が、僅かに悟り始めていた。

「あー、ママっ……ちょっとストップ!」

 ぐいっ、と頭を押され、愛しくて堪らない肉柱から離された志穂。唇と先端の間に、きらきらといやらしく光る唾液が糸引く。

「あ、はあ……っ」

 乱暴な扱いであったにも関わらず、志穂は幼い息子に不釣合いなその逞しいペニスを乱れた瞳で見つめ続ける。私の口の中で、こんなに大きくなってくれたのね、と。

「気持ちよすぎて、僕……出そうになっちゃった。やっぱり、ママの中で出したいよ」

 母親の唾液にぬめ光る怒張を嘶かせて、等はニコニコしながらそう囁く。子供そのものの高い声が、直接志穂の鼓膜を甘く揺さぶる。そしてそれは、昂ぶった神経を伝わり、脚と脚の間をしとどに濡らす。息子が「出したい」と囁いたまさにその場所を。

「ああ……等、入れたいの?ママの中に、入れたいの……?」

 指先を自分の内部に深く差し込んだまま、志穂は椅子に座って自分を見下ろす息子に上目遣いで尋ねる。どんな男でも狂ってしまいそうな淫らな視線は、僅か6歳の等にも届いたのだろうか?

「うん、入れたい。すごーく、ママのあったかい中に入れたいよ。もっともっと、気持ちよくなりたいもん」

 笑顔が、いじらしい。吐いている言葉が猥褻であればあるほど、志穂の母性に強く訴えかけて来る。

「そう……ママも、したい。すごく、等の、入れたいわ……」

 ゆっくりと立ち上がりながら、濡れた指先で幼い肌を優しく撫でる。つつっ、と自らの体液が息子の肌に筋つける。その歪んだ美しさに、志穂の体温はまた数度上がる。

「ひと、し……っ」

 少し中腰の体勢。等の笑顔を視界に捉え同じように、いや格段に妖しい笑顔で微笑み返し、その小さな唇に優しく口付ける。熱く吸い、差し入れ、うねらせ、巻きつかせる。息子と初めて交わす、ディープキス。息子 等も、何の疑問も抱かぬまま、優しい母親の舌使いに合わせて自分の舌も絡ませる。

「ん、ん、ふう……っ」

「んー、んっ。ん、ちゅ」

 いやらしく舌を舐めあう、母と息子。音は、まだ昼を過ぎて僅かしか経っていないリビングに小さく響く。それは静かに、まるでこれから始まる行為の開鐘のように、長く続いた。

「ん……ママぁ」

「ちゅ、ん、ちゅっ……ひ、としぃ」

 熱い瞳で見つめ合う、母子。笑顔は消え、男と女は、繋がり合う事を真剣に求める表情となっていた。

 そして、そこからは無言。志穂が、すっとその美しい躰を立たせる。右手は等の肩に、そしてまだ僅かに濡れている左手は、優しく柔らかな幼い髪に宛がわれた。志穂が椅子に座る息子を跨ぐようにして、さらに下半身をほんの少し突き出した。そうすれば、互いの求める場所は、すぐに触れ合う距離になる。

「ああ……ひとしっ」

 呻き。吐息。数センチずつ、女は腰を下ろしていく。汁が滴りそうなほど濡れた淫裂が、エラを強調させて鼓動に震える息子の先端を呑み込む、瞬間。

 

 

「はいよ。これでいいのかい?」

「ああ、これがちょうどいいようだ。あんたの見立てはさすがだよ」

「いやいや、さすがなのはあんたさ。見た所俺より歳取ってるみたいだが、まだまだそんなもんが欲しいわけだろ?それだけ元気なら、奥さんも喜ぶだろうぜ」

「『奥さん』か……そりゃあいい」

 老人の顔に浮かんだ笑み。それは、言葉で表現できないような凄みを秘めていた。

「じゃあ一応、商品と代金の確認をしておくぜ。『ぽこぽこあなーる』、2480円だ。ローションはこん中についてるから」

「ああ、ありがとう」

「毎度あり。じゃあ爺さん、せいぜい楽しんでな」

 背中に受ける店主の声が心地良い。小脇に抱えた人工性器か安っぽく鳴るのさえ心が躍る。薄暗い店内から通りに出、午後の未だ眩しい日差しを浴びて、次の目的地へ颯爽と向かうはずだった、が。

「う……っ」

「おい爺さん、どうしたんだ?」

 急に屈み込んだ客に驚き、店主は古びたカウンターから飛び出し駆け寄る。

「どうしたんだ、大丈夫か?」

「……あ、ああ大丈夫だ。ちょっと、昨日の酒が残ってたみたいで、胸に少し、な」

「しっかりしてくれよ爺さん。これから、お楽しみが待ってるんだろ?」

「ああ、その通りだ……」

 一瞬力を失った足に再び力を込め、男は体を起こす。

「しかし、本当に大丈夫か?まだ顔色悪いようだが……なんなら、医者呼んでやってもいいぜ」

「いや……大丈夫。まだ寄らなきゃいけない所もあるんでな」

「そんな道具買って、まだ買って帰るもんがあるってのかい?」

「ああ。合鍵だよ」

 額に僅かに脂汗を光らせた男は、またあの冷たくてたまらない微笑を浮かべた。

 

 

 息子の熱い男の部分が、ゆっくりと女芯に埋没していく。粘膜は先端に擦られ、快感神経をジンジンと刺激する。続く太い幹は、その粘膜を休ませる事無く圧迫し高まらせる。

「あ、あ……っ、ひと、しぃ……い、い、いっ……」

 連続する艶やかな喘ぎ。義父に汚され、自ら悦び狂い、夫を裏切り続ける罪。その深き罪が、息子のこわばりを挿入する事でほんの僅かに償われていくように、志穂は感じる。それはきっと、創造物を再び胎内に迎え入れる幸せ。そして、幻想を限りなく纏った、幸せ。

「ママ……ママの中、やっぱりあったかくて気持ちいい。ママが上に乗ると、この前と違う所が締まって……うん、やっぱり気持ちいいよ」

 素直な感想が、鼓膜を響かせる。腰を落とす動作にも、力がこもる。

「あ、はあ……っ」

 しっかりと収まった、逞しい勃立。そのシャフトから感じられる確かな鼓動が、母親である志穂の愉悦を倍化させる。このままずっとそれを味わっていたい。しかし、それ以上にこの逞しいモノを味わい尽したい。常識に縋っていた頃は背反していた、母の本能と女の本能。今はその二つがほぼ同質の物であったと実感出来る。

禁じられた母と子の、つながり。だからこそ母である志穂は。女である志穂は。

「等……動く、からねっ……あ、くうっ!」

 逆進する硬い肉柱。切なげに眉をひそめて感じ入る幼い息子。擦り上げられた膣粘膜は淫らにうねり、快感中枢を直撃する。

 小さな体に豊満な肉体をぴったりと沿わせ、今度は腰をゆっくりと重力に従い下ろしていく。再び躰と心の空虚を、等自身がみっちりと満たしていく。ほんの10秒間の、上下運動。色を求める女となった志穂は、その上下運動の先にある素晴らしい快感に想いを巡らし、花芯に蜜を滴らせる。

「く、う……はあああっ!」

 動き、叫ぶ。志穂は愛息に向かって小腰を繰り出し、淫らな音を鳴らし始めた。成長過程の子供特有の柔らかい等の下腹部に、自分の恥骨を押し当てるようにすると、内部をえぐる角度がさまざまに変化する。義父の逞しい筋肉にも酔い、息子のしなやかな肉にも躰を揺らめかす。禁忌と本能に狂い始めた、女の肉体の深遠。

「ママ……僕気持ちいい。中で、すごく柔らかく締め付けられて……ああ、いいよぉ」

 確かに気持ち良さそうに、等は顔を高潮させて喘いでいる。しかし、前回のつながりで幾度も『等も動いて』と懇願したのに、今日はまるで動こうとはしない。

突き上げて欲しい、熱いペニスを激しく上下させて欲しい。それはきっと、義祐の巧みこの上ない突き上げに躰が慣れさせられてしまったからだ。なす術がないほど突かれ狂わされるからこそ、自然に躰が揺らめく。ならば、息子とのつながりは……?

「あ、はうう……っ。ふう、うんっ、く、うっ……!」

 志穂は、肉の張った腰をさらに激しく躍動させ始めた。

鋭く腰を落としたかと思えば、ゆっくり引き上げる。

直線的に上下させたかと思えば、外周の蛇行した円を描くようにくねらせる。

シャフトを粘膜全体でゆるくしかし熱く包み込んだかと思えば、入り口をこの上なく締め鎌首を強く刺激したりする。

そう。義祐が女なら、男である自分を激しく犯す時にこうするであろうと思われる動き。リビングに響き渡るほど大きく悶えながら、志穂は愛する息子に対して、進んで淫らに肉を動かす。

「んくっ、うんっ!等、ひと、し……あう、はあっ、あはあっ!」

 例え等が突き上げてくれなくても、その淫らな躍動は志穂の快感をさらに昂ぶらせた。男の攻撃を誘うために、母親は狂う。女は、狂う。

「ああ……っ、ママすごいよぉ!そんなしちゃ、ダメだよ……あ、あああっ!」

 母と声質の似た、高く甘い喘ぎ。やはり腰は動かしてくれなかったが、そのたまらなく愛しい叫びを聞き、志穂はまた歪んだ幸せを感じた。

いいわ等……ママが、もっと気持ちよくしてあげる。あなたが気持ちいいと思う事、なんでもしてあげる……。

「でもママ……そんなにすると、僕痛いよっ……重くて、あう、ああっ!」

 あまりに激しい母親の動きに、等の下半身が素直に悲鳴を上げた。『重い』などという遠慮のない言葉が逆に、母親である志穂の心を温かくさせた。

「ごめんね、等……ママ、等が痛くないような格好、してあげるから……あ、はああ……っ」

 優しく微笑み、洩れた淫汁のしぶきが弾けるほど動かしていた腰を静止させる。そのまま脚に力を込め、硬い感触を味わいつつ肉壷から息子の分身を抜いていった。

「さ、立って……」

 荒い息の等を、導く志穂。息子の股間が、いやらしく濡れ光っている。自分のふとももにも、それを光らせている液体が幾筋も伝っている。淫乱だと実感する、刹那。しかしそれは、志穂自身が望んだこと。最も濃く血が繋がった相手との禁じられた行為だからこそ、感じられる愉悦。

「……ママ、ここにお馬さんみたいになるから。後ろから、挿れて……」

 まだ愛息の尻の温もりが残る椅子。ゆっくりとした動作でその椅子に両手をついた。陵辱者 義祐に命ぜられ何度も取った事のある体位。その格好に酔い痴れた事も事実だ。しかし、羞恥や被征服感の大きなこの後背位という体位を、ここまで進んで取った事は無い。

 血を分けた息子 等に、たまらなく魅力的な背後を無防備に捧げる母親 志穂。

 血を分けた息子 等に、鋭い角度で激しく突いてもらいたいと願う母親 志穂。

 狂いたい、哭きたい女 志穂。

「うーん……後ろからじゃ、よく分かんない。ここ、かなぁ……?」

「あ、は……っ」

 息子は指などでは無く、猛ったままのペニスで母親の後ろを探った。そして、その熱過ぎる先端は、埋めて欲しいと願う穴とは違う、狭すぎる穴に幾度も触れて来る。

「そ、そこじゃない……!お願い、そんなにしないで……そこは、ダメ、なの……っ!」

 昨夜、そして早朝に感じた恐るべき違和感が志穂の脳裏に甦る。これからもずっと、そこは排泄器官であって欲しいと願うのに、女の本能はそこをもっと弄れと求める。義父とは違い意図的では無いからこそ余計に、志穂のアヌスはその先端の接触に戸惑う。

「どうして?ママの気持ちいい穴、ここじゃないの?」

「違うわ等……ああっ。そんな事……しないでっ……そこは、お尻の、穴なのぉ」

 ぐりぐりと迫る息子の熱。敏感この上ない入り口の皮膚。途切れ途切れの言葉が、志穂の乱れた心を如実に表していた。

「そこじゃ、なくて……もっと、下なの。あくっ、やめ、て……っ!」

 母親の懇願も、なぜか等には届かない。そこに興味を持ったのか、何も言わずペニスで少し茶がかった肉のすぼまりを撫で続ける。

 等が歪んだ作業に没頭すればするほど、志穂は哀切感に躰を捩らせる。菊門への攻撃ももちろんだが、先ほどまで収まっていた存在感のあるものがすぐそばにあるのに手に入れられないのだ。それは僅かな時間であるはずなのに、紅く染まり始めた白い裸体を寄せる切なさに揺らして耐える。だから、椅子を離れた志穂の右手の指先は。

「ひと、し……ここ、なのっ。ママが指で開いてる、この場所……ここに、入れて……」

 挿入をねだった事はある。義祐に狂わされた時は、いつもそうだ。勿論、等が相手でもそれは幾度か。

「早く、ね……等の、お、おちんちん……その熱いおちんちんっ、ママのここに、オマ○コに……入れてぇ!」

 しかし、四つんばいになり、しとどに溢れる愛液を自覚しながら指先で淫裂を広げ、誰にも強制されずに猥褻この上ない淫語を吐きながらねだるのは勿論初めてだった。それほどに志穂は、息子の物が欲しかった。熱くて硬くてたまらない、息子の怒張が欲しかった。

「ああ、ここなんだ!……じゃあママ、入れるね。一緒に気持ちよくなろう、ね」

 心がきゅんっ、と熱くなったと同時に、背後から求め続けていた物が胎内に再び侵入して来る。

「あ、あ、あっ……あ、はあっ!」

 空虚がどんどん満たされていく、悦び。唇は甘い吐息に震え、膣粘膜は男の突入に嬉々としてうねる。小さな火花が脳裏で爆ぜ、微かに残る常識の欠片を消去していく。

「ああ……後ろから入れるのも、すごく気持ちいいよママ……今までと違う感じで、ああ、すごいよ」

 感じ入った響きを含む言葉。志穂の心と躰が、また色の幸せに打ち震える、瞬間。

「そうよ等……また、いっぱいママを強く突いて……一緒に、気持ちよく、なろ……?」

 だから志穂も、甘過ぎる響きで囁き返す。

「うん!いっぱい突くよ。だからママも、おじいちゃんとする時よりもっともっと気持ちよくなってね……いくよ?」

 今度の等の言葉は、心に刺さった小さな棘にちくちくと触れた。しかし、その痛みを反芻するより先に、膣内の鋳された肉柱が激しい躍動を開始する。

「ひあっ……!いいわ等、もっと激しく、つよ、くっ……あは、はあっ!」

 喘ぐ。我慢せずに吐き出す喘ぎがここまで艶やかだとは、志穂本人も思わなかった。実の親子で繋がり合うリビングはおろか、家の外まで響いてしまいそうな大きな嬌声。無論それを抑えるつもりなど無い。欲望のままに哭く事もまた悦楽への近道なのだと、肉感溢れるヒップを振りたくる女は実感していたのだ。

「中で……ぬるぬるがどんどん締めて来るよ、この前よりずっと……ああ、ママぁ!」

 幼い声。母親の尻をしっかりと掴み腰を突き入れる獣のような前後運動。矛盾する二つの要素は、志穂の肉体の喜びを倍加させている。

義父より深くまで届かない。義父より強く圧迫しない。でも、気持ちいい。快感に直結した、母子相姦という名の、恐るべき禁忌。

「いいわ、いいの……っ、もっと、ああ……もっと強く、きつく突いてぇ!」

「あんっ、ママぁ!すごいよっ……僕、きもちいいっ!ママ、ママぁっ!」

 26歳の母、6歳の息子。二人の歓喜の声が同調して部屋中に響き渡る。

 汗が混じり合い、弾け飛ぶ。肉がぶつかり合い、軋む。粘膜が強く擦れ合い、蠢く。

リビングは志穂と等、二人だけの世界と化していた。このまま躰を振るい続けていれば、素晴らしい何かが手に入れられる様な気がした。

無粋な侵入者の事など、想像する事さえ出来なかった。

 

 

ホームセンターからの帰り道。義祐は行きつけの酒屋で、いつもより多くカップ焼酎を買った。歩きながらそれを呷れば、あの店からずっと続く胸の痛みが少し和らぐ気がした。

今朝、祐二の前であれほど弄んでやったのだ。少しは警戒するに違いない。だが、心に湧いた歪んだ目的を果たすためには、僅かな出費など痛くも痒くも無い。胸の痛みさえ思考の奥に押しやってしまいたい。

尻の穴に、挿れてやるのだ。そして、志穂がどれほど乱れるのか見てやるのだ。

ここ数日、何度も通った息子の家に続く道。ホームセンターの名前が入った小さな小さな包み紙から、誰もが見慣れた金属片を取り出した。

孫がいようとどうしようと。息子の家までは、もうすぐだった。

 

 

「あう、あくうっ!ひ、としぃ……っ、ママ気持ちいいの、すごく気持ちいいのっ……いい、いひいっ!」

 窓ガラスを震わすほど、志穂の声は高く、強く。逞しいものが埋め込まれた腰はぐいぐいと相手のほうへ突き出され、その度に結合部から淫猥な衝突音を響かせている。

「あ、やあっ……そんなにするとママ、あ、ああ……ママぁ!」

 たまにこねるようにしてヒップを揺らめかせば、等は女の子のような声を上げて悶える。しかし、力強い突き入れは止まることが無い。

「もっとよ、もっと……突いて、つい、てぇ……っ!ママ、すごいの、ああ、変になっちゃう!」

 だらしなく開いた口からは、舌が覗く。涎が垂れる。それがぽたぽたと腕や椅子を汚しても、志穂は気にならない。それこそが、自分が息子との愛に狂っている証拠なのだから。

 このまま、息子の放出によって、素晴らしい悦びが手に入るはずだった。突き入れられている志穂も、突き入れている等も、それを感じていた。

 しかし、悪魔の囁きが、等に。

「あ、ひい……っ、そこは、だ、め、なの……っ!」

「ああああっ!ここに入れたら、ママぁ……ママの中、もっとキュウキュウに締まったよ……ああっ!」

 予告も無く、等の指が尻穴に侵入した。義祐がじらすように入れて来た以上にその指は深く、遠慮なく。

「だめ、えっ……等、そんなとこ、指を入れちゃ……あひっ、あひいっ!」

「でも、もう、抜けない……怖いよ、抜けないよぉ……ママぁ、気持ち、いいい……っ!」

 止まらない腰の躍動に同調して、差し入れられた指先はぐいぐいと狭い肛粘膜の中を進む。もはやその指は、ヴァギナを満たす逞しいペニスと同じくらいの存在感を持っていた。

「変、ヘンに、なるぅ……ひ、とし、ママ、狂っちゃいそう、なのっ……あひ、あひっ、いいいっ!」

「ママ、そんなに締め、ないで……ああ、ママっ、ママぁ!」

 想像していたよりもずっと大きな波が、志穂を浚おうとしていた。尻の穴とヴァギナに入れられ絶頂するなど、畜生以下の振る舞いだ。

でも、でも志穂は、息子 等と一緒に狂っていたいと願った。狂いたいと、願った。

「ひと、しぃ……っ、もうママ、だめ……ああっ!い、イク、イクっ、あああ、いく……っ!」

「ママ、ママぁ……あっ、僕、もっ!で、出るよぉ……あ、は、あ……ああああっ!」

 お互いの躰が、最大限に突き合わされた、刹那。

 男も、爆ぜる。女も、また。

 等は、母親の中に熱く濃い溶岩を幾度も幾度も大量に流し込み続ける。

 志穂は、その迸りを最後の一滴まで搾り取ろうと、全ての筋肉を、締めた。

「あ、あ……あ、はあ……っ」

 長く続く、オーガズム。頭の中で、激しい光の点滅が起こっている。夫とも、義父とも辿り着けなかった場所まで、もう少しだった。

「マ、マぁ……はあっ」

 ペニスも指も母親の中に残したまま、等の体から力が抜けていく。志穂は、その体に思いを馳せる。熱いキスだけでもいい。それさえ経れば、何かに辿り着けるような気がした。

「は、あ、あ……ひ、としぃ……」

 志穂の汗まみれの躰も、椅子から崩れ始める。互いの荒い息が、僅かながら近づき始めた。

 唇が、近づく。潤んだ瞳が、見つめ合う。

そんな二人に、ほんの少し離れた場所で発せられた小さな音など、届きようが無かった。




アナルバイブの商品名に「最果ての被虐の渚にまどろむ乙女」の玲さんの案を採用させて頂きました。多謝です。

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