くのいちハガネ忍法帖特別編 女忍者無残

第二話「仕打ち」

 柱のろうそくに灯された火が、真っ暗な部屋の娘だけを照らしている。そして、男たちは娘の近くに寄ってさらに感激した。予想以上の美しさだったのだ。  
 涙の跡が残る貌、白い首筋、十四とは思えぬほど豊かに張った乳房、その頂上で息づく淡桃色の乳首、くびれた腰、乳に負けぬほどの張りを持つ尻……。今いるどのくのいちよりも、この娘は魅力的だった。

「こ、こりゃ仕込み甲斐があるぜ……」
「おう、明日にでもどこかの下忍小屋に連れて行かれて、大勢から無茶苦茶に輪姦されるんだ。俺達に当たる可能性も無いことは無いが……」  

 一人の男がそう言うと、他の三人は顔を見合わせ、そしてすぐにうなずき合った。

「……そういうことだ。明日になりゃ同じだ。どうせ乙女を散らされちまうんなら、今夜やっちまったほうが俺達にはいい」「まったくだ。どうせ三日も経てば、よだれ垂らしてよがり狂うわけだからな。今夜俺たちが貫通させてやれば、のちに痛みも少なかろうて」  

 男たち四人はろうそくの薄明かりのなか、柱に縛られた少女の周りをぐるぐると回り、その美しい裸体を眺める。闇に囲まれているからこそ、女の裸がろうそくに浮かび上がり、淫らな陰影を醸し出していた。  
 やがて、男たちの動きが止まる。一人は胸、一人は尻、一人は背、そして最後の一人は女陰へと貼りついたのだ。そのまま不安定に吊られている少女の躰に、男たちは容赦無く汚れた手を触れさせていく。

「へへっ、こりゃ正真正銘乙女の肌だ……」
「おおそうじゃ、見ろこの尻を。ぷりんぷりんとしてまるでつきたての餅のようじゃ」
「それよりもこの乳じゃ。わしの手の平に勝手に吸いついてきよる。触り甲斐があるわ」
「なになに。このホトにかなうものか。ここを見ろ、綺麗な桃色の○○をほんの触り程度に毛がもやっとる。ああ、早ようここにわしのマラをぶち込んでみたいのう」  

 四人が四人とも、この少女の裸の美しさを淫猥に囃し立てる。誰もが股間の一物を、熱くしこらせていた。

「うう、ん……っ」  

 その時、少女が小さくうめいた。それはそうだ。男たちの手の攻撃は、自分たちの知らぬうちに激しく変わっていたからだ。

「お、おい。この娘、目を覚ましそうだぞ……」  

 一人の男が気弱そうに言う。

「……なに、かまうものか。気がついたら気がついたで、男のよさをみっちり教えてやればええ」
「……そうじゃ」
「……そうじゃ」  

 男たちのざらついた手が再び激しく動き始める。もう誰も遠慮していない。背中の男は艶々した女の肌に頬ずりし、胸の男は手の平で思う存分双丘の弾力を楽しむ。尻の男はたぷたぷと白い肉を揉みしだき、股間の男はわずかに生えた草叢を指に絡ませそれ以上の侵攻を今か今かと待っている。

「ん、くうんっ……」  

 薄ぼんやりとした意識が、少女に戻ろうとしていた。一日中全裸で吊り下げられていた屈辱と疲労で、力を入れることもままならない。しかし、しかしやはりその疲れた躰に起こっているぞわぞわとした嫌悪感は、蘇ってくる淡い意識の中で確かに感じ取っていた。

「うう、ん……っ?」  

 自分の肉体が、得体の知れない者達に触れられている。いや、触れられているどころではない。

「くくくっ……」  

 少女の瞳が薄く開いたのに気づき、胸を弄り回していた男が被虐的な悦びを声にした。その笑いは股間に貼りついているリーダー格の男にも届く。その男は、背中を愛撫していたに目で合図を送った。背中の男は少し残念そうにしていたが、リーダーの意図するところを汲んで立ち上がった。そのまま少女を吊り上げている縄を括っている柱に駆け寄る。  
 少女は、突然の重力に戸惑った。今まで強い力で吊り上げられていた躰が急に解き放たれたのである。ガクンと力なく崩れ落ち、感じた床の冷たさと鈍い痛みで、はっきりと意識が戻って来た。

「んん……んっ!?」  

 痛みを振り払いながら上げた視線の先に、薄ぼんやりとした男の顔が見えた。しかし、しかしその男の口元だけがはっきりと見て取れた。娘が、この世で一番憎んでいた父親と同じ下卑た笑いを浮かべていたからだ。  
 目をそらすように周囲を見れば、同じように自分をいやらしく見下ろす男達がいる。

「どうやら、目を覚ましたようだな……」  

 目の前の男が、冷たい声で囁く。

「おい、もう俺ぁ辛抱ならねえ。もうやっちまおうぜ……」
「そうじゃ、見まわりが来るかもわからん。それに……今は早くこのおなごを味わいてぇ」  

 他の男たちの情けない叫びを聞いて、リーダー格の男はまたニヤリと笑い、すぐに力なく横たわる少女の前に座り込んだ。そのまま自分の手のひらを少女の弱々しい横顔にあてがい、強く力をこめた。

「あ、あぐぐう……っ!」  

 強烈な痛みに、娘は顔を歪めた。

「さあ、立て……お前の躰で、俺たちを悦ばせるんだよ」  

 男はそう言ってそのまま立ち上がった。娘は強制的にその躰を起こされてしまう。  
 四人の男たちの中央に、少女の美しい裸体が再び浮き上がった。

「しかし……やらしい躰してやがるな。まるで色くのいちになるために生まれてきたような奴や」  

 周りの男たちは無言で頷き合う。闇の中にあるからこそ、その白い肌は一層輝いて見える。

「さて。今立ってもらったばかりで申し訳ないが……」  

 頬を捕らえていた手を前に出し、男は女を軽く突き飛ばした。疲れ切った躰はそのままぺたんとしりもちをついてしまう。尻に再び感じた床の冷たさが、現状の危機感を少女に痛いほど教えていた。  
 伏せた瞳を再び開いた時、目の前の光景はさらに絶望的となっていた。目の前に、あのモノがあったからだ。あの夜と同じ、そしてあの憎むべき男と同じ、あの猛った物体が。

「……どうだ?俺のち○ぽのでかさに驚いたか。それとも初めて見たのか、男のち○ぽを」  

 これで二度目に見る男の凶器。しかし初めてではないからといって、少女はそれから感じる大きな恐怖を抑えることなど出来るはずがなかった。  
 顔を思わずそむけたその先にも、男のいきり立ったモノがあった。右にも、左にも、そして背後にも。それぞれが悪意を持って自分に向けられている。

「へっへ……いいねぇ、恥らう乙女っていうのは。こんな奴を俺らの珍棒でよがらせることができるわけだ」
「なに、いずれこの娘はくのいちになるんだ。いつかは自分から敵武将の腰の上で踊ることになるわけだ……」
「いまから恥ずかしがってるようじゃ、立派なくのいちにはなれない……ってことよ」  

 囃し立てる声を聞きながら、リーダーの男はまた半歩、娘に近づいた。娘は思わず見てしまう。目の前のモノは、男の鼓動に合わせて不気味に脈動している。浮き出た血管も、ぶら下がっている皺袋も、それを覆っている茂毛も、あの男そっくりに見えた。

「おい……何にもいわねえでも分かるだろ、ホラ」
「……」
「ふん、しらばっくれやがって。いいか、口の技はくのいちの基本だ。これから何本も臭い珍棒をしゃぶらなきゃいけねえんだ」  

 男の先端が、少女の桃色の唇に触れた。また、ふつふつとどうしようもない怒りがこみ上げてくる。

「お、おいちょっと待て!」
「なんだ、これからって時にっ!」  

 口の愛撫を制されたリーダーが歯軋りしながら、言葉を発した男に顔を向けた。

「今思い出したんだよ。気をつけろよ、聞いたとこによるとそいつは男の珍棒を噛み切ったことがあるらしい……」
「うひゃあ!」  

 男たちが小さな悲鳴を上げた。

「そうか、そんな女だったのか……それならなおさら」  

 リーダー格の男は股間の逸物をいきり立たせたままで、後ろ手で何かを探る。取り出したのは、鈍く光を放つ短刀だ。その刃先を少女の顔面にあてがい、ぴたぴたと軽くはたく。

「いいか……もし俺たちのもんに傷ひとつでもつけてみろ、この刃はお前の顔をスッパリと切り裂くぜ。なんならそうして出来た穴に珍棒突っ込んでやってもいいんだ……」  

 声は、頬に当たっている刃よりも冷たかった。全身を震えが襲う。

「じゃあ、もう分かるな……しゃぶれ」  

 再び唇に熱い物体が触れた。同時に、短刀の刃が少し肌を滑る。

「……しゃぶれ」  

 娘の唇が一度小さく開き、また閉じた。

「……しゃぶれ!」  

 ちくっ、と顔に痛みが走った。刃が少し立っている。そして、怯え切っているからこそ頬に熱さを感じる。血が一筋、細く伝っているようだ。恐怖は、その感覚で頂点に達した。

「おう……っ!」  

 娘の小さく開いた口に、ついに男の先端が侵入した。そのまま男は、猛烈な勢いで分身を娘の口奥に突き入れる。

「うぐうっ……」
「へへっ、そうらそうらっ!」  

 モノは容赦なく熱い口内を蹂躙する。そのいきり立った分身に無理矢理開かれた唇からは、涎が垂れてしまう。

「ほれほれっ、きちんとしゃぶれ!ちゃんと舌を絡めるんだよっ!」
「おいおい、この女もう涎垂らしてやがるぜ。かなり淫乱みてえだぞ!」  

 違う、違うっ!否定の叫びを上げようとしても、口の中は異物で満たされている。吐き出したくても、側頭部をしっかり掴まれていては、このおぞましい肉の棒を吐き出すことなど叶わない。

「このヘタクソ、もっと舌を巧く使いやがれ!……おおそうだ、やれば出来るじゃねえか」  

 別に娘が自発的に何かをしたわけではない。男がただ偶然の舌の動きを勘違いしただけだ。しかし、その情けない男の声が自分のつたない舌の動きによって発せられたことこそが、少女にとって屈辱的だった。

「おお、いい……いいっ、こいつうめえぞっ……お、おおあ、いくっ!」
「う、うむう……っ!」  

 瞬間、娘の口に熱い奔流が放出された。その勢いのままに喉奥へと容赦なく流れ込む。娘は、その苦い液体を涙を流しながら咽飲するしかなかった。  
 男も、自分の暴発に驚く。今まで幾人も女を抱いて来た。しかし、今この目の前の口淫さえ初めてである娘に、こんなにも早く射精させられてしまった。

「おいおい、どうした。えらく早くおん出しちまったみてえだな」
「う、うるせえ!」  

 周りの者たちが囃し立てる中で、面目をつぶした男は荒い息で娘から離れるしかなかった。

「よし、次は俺だ……!」
「待て、俺に次行かせてくれよ」
「次は俺だろう、さっきは背中で我慢したんだからな……」  

 三人が三人とも少女の濡れた唇に押し掛ける。苦い液体を呑まされた直後に見上げた瞳の先に、また男たちの凶器が三本もいなないているのだ。

「そうじゃ……おい娘、そこに寝ろ!」  

 拒否の視線を男に向ける前に、娘の細い躰は強い力で冷たい床に仰向けに倒されてしまった。

「これなら三人同時にやれるってもんだ……おい、おめえは胸で楽しみな!」
「お、おう」  

 背中に張りついていた男が娘の腹にのしかかって来る。そのまま少女の健康的な双胸を掴み、自分の怒張を挟み込んだ。

「お、おおっ……こりゃええぞ」
「そうだろうが……よし、俺たちゃこの娘の口に二本刺しと行くか!」  

 また、娘の口に熱い肉棒が侵入して来た。今度はいきなり二本、異物感も二倍に感じられる。

「う、うぐう……っ!」  

 苦しそうな嗚咽にも構わず、男たちは自らのペニスを少女の肉体に接触させる。無理矢理こじ入れた熱い陰茎を、欲望のままに激しく動かす二人の男。少女の胸にしっかりと貼りついて、胸の谷間で自分の肉茎を出し入れする男。その三人の男たちの下で、哀れな娘は苦しげに呻くしかなかった。

「へっへえ……いいねえ、綺麗なおなごが顔を歪ませて悶えるのは」
「こいつ混乱しちまって、ベロ慌てさせてやがるぜ!」
「あん……あむうっ!」  

 手足が使えない状態では、口の中の嫌悪感を追い出すためには舌を使うしかない。だがその小さな抵抗も、性欲に支配された男たちには、狂喜したくなるような舌使いに感じられるのだ。

「ああ、いかん……う、うあっ!」  

 その時、胸の男がなにごとか嘆く。

「う、うああっ……い、いくう!」  

 小さな声と共に、白い谷間を前後していたペニスの先端から、勢いよく熱い樹液が放出された。その迸りは娘の胸、首筋、喉、そして美しく歪んだ顔にまで飛び散る。

「んあ……あうっ」  

 生まれて初めて熱い液体を肌で感じる。しかしそれは、やはり異様なまでの嫌悪しか感じさせなかった。

「おおっ、なんでだ……こいつの口ん中、あぐうっ!」
「おわあ……わしも、わしも……あ、ああ、うおおっ!」  

 まるで何かに弾かれるように、唇に侵入していた男たちが怒張を口から抜き出す。その瞬間、大量の溶岩が空中に飛び散り、またしても娘の顔面を淫らに汚していく。

「ひあ、ああう……っ」  

 びゅるっ、びゅるっと、自分の顔に粘液がかかるのを、少女はどうしようもない屈辱の中で感じていた。この液体が、自分の躰を完全に汚していくように思える。

「クソっ……、どうしちまったんだ俺たちは!?こんな小娘に珍棒をいいようにされちまった……っ!」  

 最初に不覚の放出をしてしまったリーダーの男が、そう呟きながらゆっくりと立ち上がった。目には、言いようのない怒りを漂わせている。

「こうなったら……こうなったら、この女の穴という穴にぶち込んで、よがり殺してやる……っ!」  

 股間には、再びこわばりきったペニス。その姿がおぼろげに見えた時、少女の精神はもう絶望しきっていた。自分の肉体には、もうほんの少しの抵抗力さえ残っていなかった。

「おい、おめえらもくやしいだろ。だったら、さっさと口にでも尻にでもその珍棒を突っ込んでみせやがれ!」  

 男はそうわめきながら、娘の力ない両脚を抱える。怒張は、処女の秘所の目の前にある。仲間たちがなぜ参加して来ようとしないのか、それを訝しげに感じながら。

「へっへ……俺の珍棒で肉を裂かせた後は、一晩中犯しまくって殺してやる。村はずれの森に埋めて隠しゃ、誰にも気づかれりゃしねえ……」  

 先端は、ついに少女の淡い草叢にまで迫る。男は、もう一度仲間たちに呼びかける。

「おめえら、穴はあと口と尻しか残ってねえんだぞ、ヘソじゃいい気分でイケやしねえ……」  

 振りかえって仲間を見る。仲間たちは、あらぬ方向を見て立ちすくんでいた。  
 気配を感じて顔を上げる。そこには、暗闇でも確かな光を放つ白刃……。

「ひ……っ!」  

 急いで娘から飛び離れた。そこに立っていた男が、誰だかすぐに分かったからだ。

「……おい」
「へ、へいっ……」
「誰に断ってこの娘を弄んでいる……?」  

 静かな口調だが、確かな迫力がこもっている。実際四人の下忍たちは、この長刀が幾人もの血を吸ってきたということを、はっきりと知っていたのだ。

「……この娘は俺が頭領に預かったはず。知らせを聞かなかったのか……?」
「し、知らせでございますか?知らせなどわしらは……」
「知らぬか……ならばおぬしらは定時の繋ぎを怠っていたということになる。掟を破れば、どうなるか知っておるな……」
「……お、お助けをっ!」  

 白刃がほんの少しだけ煌く。刹那、あのリーダーの男は、生物では無くなった。ゴトリ、と鈍い音を立て、体から首が転げ落ちたのだ。

「ひい……っ!」  

 残された男たちが、悲痛な叫びを上げる。白刃の男は、男たちを見回して静かに言う。

「……忌ね。今度このような事あらば、おぬしらもこのようになる。分かったなら、すぐにこの男を片づけよ……」
「へ、へいっ!」  

 言われるがままに、慌てて男たちは、二つに分かれた男の死体を持って部屋を出て行った。残されたのは、少々の血溜りと男と少女。

「大丈夫か……?」
「あ、ああ……」  

 粘液で汚れた瞳を、娘はゆっくりと開けた。目の前には、男の顔。

「ひいっ!」  

 恐怖から、娘は男を振り払おうとする。  
 男は、暴れる娘を何も言わず強く抱きしめた。

「ううっ、ううう……っ!」
「何も言うな、何も言うな……」  

 腕の中にいる娘の力が、次第に弱くなっていく。男は、手のひらを娘の顔にあてがい、三人の男たちの精液を優しくふき取ってやる。  
 娘は、一筋の涙を流して瞳を閉じる。そのまま、疲労と安心に誘われ深い眠りに落ちていった。

「……」  

 男は娘を抱きかかえ、どこかへと運ぶ。蝋燭の灯りは消され、部屋は真の暗闇に満たされていった。

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