くのいちハガネ忍法帖特別編 女忍者無残
第三話「覗く瞳」
暗闇に、自分を取り囲む男たちの気配。全裸の自分を照らすのは、たった一本のろうそくの灯。やがて、その薄暗い明かりの中に、男たちの顔が浮かんで見えた。自分を取り囲んでいる男全員が、あの呪わしき実父の顔をしている。近づいて来るその男たちの股間には、あのいきり立った兇器。
「あああーっ!」
娘は、まるで何かに弾かれるように飛び起きた。汗びっしょりの全身を落ちつかせて見回すと、そこは、あたたかな陽光差し込む広い部屋。生まれてから一度も使ったことのない仕立ての良い寝具に、自分は寝かされていた。
「ここは……」
娘はこの状況に、戸惑いを隠せないでいた。自分が覚えているのは、あの暗闇の部屋での悪夢だけ。記憶をたどり、あの男の陰茎が自分の恥ずかしい場所に触れた瞬間を思い出すと、また全身を悪寒が走る。
恐ろしい記憶を振り払おうと、娘は立ち上がった。見れば、寝巻きさえも綺麗な着物だ。そのまま、日差しの差す窓へと歩み出す。もう昼の頃だろうか、太陽は空の真上に昇り、周辺の木々の緑を美しく照らしている。小鳥は楽しげにさえずり、遠くの山々も悠然と構えてこちらを見下ろしているようだ。
こんな普通の風景を、素直に美しいと思えたのは、なんだかとても久しぶりのような気がする。少女は、心の底から安らいでいった。
「……っ!」
つかの間、部屋の外の廊下から足音が聞こえ、娘はまた全身を恐怖で緊張させる。足音は次第にこの部屋に近づいて来る。その言いようの無い恐怖に、娘は壁を背にして身構えるしかなかった。
「……入る」
声がした。やがて静かに戸が開き、一人の男が姿をあらわす。浅黒い顔、がっちりとした体躯のその男は、部屋の隅で身体を震えさせている娘を見つけ、それ以上怯えさせぬよう離れた場所に座った。
「昨晩は、よく眠れたか?」
なんだかぎこちない口調で、男は尋ねる。しかし、まだその男の真意を図れない娘は、その問いに答えるすべを持ってはいなかった。
「ふむ……」
男のほうも決してこのような状況に慣れている訳ではない。事実、今この怯え切った少女の前で、大の男が何をするにも戸惑っているのだ。
「お、おう忘れておった。ちょっと待っててくれ」
男はそそくさと立ち上がり戸の後ろに回る。やがてすぐに盆に乗った食膳を運んで来た。
「さあ、食べよ。お前は三日ほど飯を食べていないはずだ。腹も減っておろう。安心せよ、変な物は入っていない」
なるほど、言われてみれば急におなかが空いてきた。父親殺しの日から、果たして幾日経ったのか自分でも把握してはいない。その間一度たりとも食事をとった覚えが無いのだ。とりあえずは目の前の男を信じ、娘はゆっくりと膳の前に座った。
何の変哲も無い、ごく普通の食事。しかし娘はこの食事を味わいながらあることに気づいて、少し可笑しくなった。
「……あ、あの」
「ん、何じゃ?」
「もしかして、このごはんあなたが作ったんですか?」
「う、うむ。今朝は食事を作る係の者がおらんかったのでな。なにか、不味かったか……?」
男は急に恐縮して不安そうな表情になる。
なんということはない、味が濃すぎただけなのだ。けっして不味い訳ではない。使っている材料は自分が普段料理していたものより格段にいい物だが、いかんせん味の調和がなっていない。
「いいえ、おいしいですよ。とっても」
「おお、そうか。よかった」
男は照れくさそうに笑う。つられて、娘も微笑んでしまう。
「おお、笑ってくれたか。ここ幾日かお前には辛い目にばかり合わせてしまったからな。もう笑えぬようになったかと思っておったところだ」
男の言葉に、娘は笑みを止めた。そして何かを決したように、背筋を伸ばして男を直視する。
「……尋ねたい事があります」
「……うむ」
男もまた、娘の真剣な眼差しに気づき態度を直した。
「ここは、どこなのですか?そして、わたしはなぜここに連れて来られたのですか?」
躰を奪おうとした実父を殺めたのは、今でも忌まわしい記憶としてはっきりと思い出せる。だが、そこからあの暗闇の部屋での全裸晒しとそれに続く四人の男達からの凌辱は、娘には何ゆえの出来事なのか全く分からずにいた。
「あの夜、あの部屋にいた何者かは『ふらふらと歩んでいる所を我らの仲間に見つけられた』と言っておりました。確かにわたしは、あの時父を殺めて呆然としていたと思います。ですがなぜ、わたしはこのような場所に連れて来られねばならなかったのでしょうか?」
娘のはっきりとした口調を、男はしっかりと受け止めた。一度少しだけ目を伏せると、顔を上げて話し始める。
「……分かった、何もかも話そう。ここは、忍びの者の里だ。都付近で長く続くいくさ場を、我らは戦う場所としている」
「しの、び……?」
「そうだ。我らはいくさの陰に生きる者、任務を果たすたびに仲間達は無残に死んで行く……」
娘は、淡々と語る男の横顔を見つめた。すでに男は、娘に語りかけてはいない。まるで運命を自嘲するかのように、何処でもない虚空を眺め語り続けている。
「忍びは、消耗品だ。男でも女でも、いくさに必要ならば確保しなければならん。いくさで親を失った者、売られた者……生まれた事を誰にも省みられず、また死んでいった事も知られず、そういう人間達を集め、訓練しなければならない……そして、お前もまたそのようにしてここに連れて来られた。あの夜、実父の返り血を浴びて朦朧とさ迷っているお前を、我らの仲間が見つけた……」
「わたしも、忍びに……?」
娘の問いに、男は無言で立ち上がった。そのままゆっくりと部屋の戸へと歩く。そして、娘を振り返り言う。
「……来い、娘。お前を、里に帰してやる」
「え……?」
突然の言葉に、娘は困惑した。しかし困惑しながらも、今だ何も分かっていない娘には、それに従う他に無かった。
屋敷を出、男に従いしばらく歩くとそこは道無き道。そしてまたしばらく歩けば、道らしき場所に出た。
「この道をしばらく行けば、きっと誰かに出会えるだろう。その者に道を聞けば、またどこかの道に出る。そして誰かに出会い道を尋ね……いつかはお前の生まれた村に辿り着く事が出来るだろう。そこからは、自分の生き方を探せ……」
男は、そう言うと娘の方を向きじっと見据える。
「お前には深く暗い心の傷がある。実の父親に汚されかけ、殺してしまったと言う傷がな……!」
耳も塞ぎたくなるような事実。しかし男は娘の両手を掴み、それを許さなかった。
「いいか、こんな世の中では誰も一人で生きて行かなければならない。たとえその傷を持ったままでもだ。あとは、その傷を強さに代えていけるかどうかだけ……俺が見るのに、お前はその強さを持っている」
男は掴んでいた娘の両手を離し、ぽんと背中を押した。
「さあ行け。お前の行きたい道を行くがいい」
男はそう言って、今歩いてきた草むらの方に消える。その男の後ろ姿が、娘にはなぜかとても寂しそうに感じられた。
娘は、一度深く息を吸った。そして周りを見渡す。眼前には、細いながらもかすかに続いている道。振り返れば、今男が消えた獣道。
娘の足が、どちらかに向かって歩み始めた。
どうやら道に迷ってしまったらしい。自分の周囲には、胸の高さほどもある草の原。さきほど男と共に歩いた道とは、明らかに違う。娘は知らないが、忍びの里は他の土地の者を寄せ付けぬため、意図的に途中で道を絶っている。娘はそれに気づかず、先ほど男と通った道と違う道に入り込んでしまったのだ。
少しの後悔が娘の頭をよぎる。だが、あのまま里に下りたところでこの草叢以上に険しい道が待っているような気がする。
どこかで、か細い声が聞こえた。それは、娘の耳に断続的に入ってくる。その声に導かれるように、娘は草叢をゆっくりと進んでいった。
現れたのは、今朝自分が目覚めた屋敷とは全く違う粗末な小屋だった。声は間違えなくその中から聞こえて来る。かすれ、途切れる若い女の声。
「うん……、あうっ」
「ふむう、ううん……っ」
女の声は一人ではない。娘は声のする小屋に近づき、中の様子を隙間から覗く。
何か得体の知れない生き物が暗い部屋をのたくっている。その白い肌をした生き物は蛇のように身体を捩じらせて床を這っていた。
「う、ううふっ、あうんっ!」
「ひっあっ……くうっん」
女の声がするたび、その生き物は身をよじらせる。娘はそして気づいた。その白い生き物が、自分と同じ歳ほどの若い、いや幼い裸の女たちであることを。瞬間、全身を悪寒が駆け巡ったが、なぜか視線をそこから離す事はできなかった。
幾人もの女の声に混じって、かすかに男の声も聞こえる。静かだが強い口調で、その女たちに何かを命令しているようだ。
「……おい、自分ばっかりよがってねえで俺のもしゃぶれ」
「……はい」
娘は声のした方を見た。それまで床に伏していた少女の一人がよろよろと上体を起こし、少し前でだらしなく足を投げ出している男に近づいた。もちろん、男も裸だ。
「ほら、しゃぶれ」
男はそう言って自分の股間を指差している。裸の娘は何の躊躇も無く、その男に顔を埋めて行った。あの夜父のモノを、意図を持って含んだ自分のように。
「おおそうだ、ちゃんと舌も使うんだぞ。巧くやらなけりゃ、あごをひん曲げてやるからな……」
しかし男にそう脅されなくても、股間に貼りついた娘は自ら進んで男の怒張を頬張っているように、娘には見えた。それが全く理解できない。男の汚らわしいモノを嫌がらずに口に含む事など、自分には絶対出来ない事だと思ったからだ。
「んむ、んん……っ、ふむう」
決して細くも無い肉の柱を、裸の娘は必死で舐めしゃぶる。男は、その行為に酔い、天を仰いで感じ入る。憎むべき父の陰茎、そしていつぞやの四人の男たちの陰茎を、屈辱のなかで口に含むしかなかった娘は、事の成り行きを目で追うしかなかった。
「お、おお……で、出るぞ呑み込めっ!」
「うぐう……っ!」
裸の娘の口内に、あの夜自分の顔や胸や腹を汚した臭い液体が流れ込んでいるらしい。男は全身を震わせ、最後の一滴をも流し込もうと腰を繰り出していた。娘の喉がその液体をゆっくりと呑み下しているのが、小屋の外の娘にも分かった。
「……美味しゅう、ございました」
少女はそう言いながら、股間から顔を上げた。娘はその表情に絶句する。瞳は潤み、頬をうっすらと紅潮させた表情。娘が生きてきて未だ見た事の無い、恍惚の表情だった。その表情の意味を考えようと目を更に凝らした時、自分の躰がなぜか少しだけ熱くなっている事に気づく。
「よーし、言いつけ通り全部呑み込んだな。じゃあ次は、どうするかもう分かっておるな……」
「はい……」
濡れた目もそのままに、娘は全裸の躰を男にしなだれかける。
「……あなたさまの逞しい珍棒を、わたしのココに入れて下さいませ……」
娘の左手は男の肩に。そして右手は、自らの淡く翳った股間に当てがっている。
あの裸の娘にも、自分と同じ物があるに違いない。そして、あの四人組の男も、自分の股間のあの割れ目を求めていた。そうした事実が少し分かっても、娘には、今だ想像がつかない。あの太い『珍棒』を、あの場所に『入れ』ようというのだから。
「ふうむ……もう少しやらしく言えんかのう、そうでないとコレは入れてあげられんぞ」
男は娘の方を向いて顔を近づけて言う。股間でいななくおぞましき凶器を支えかざしながら。
少女は潤んだ瞳で、男の顔と怒張を交互に見つめながら顔を近づけ、男に口づけた。右手はゆっくりと下がっていき、男のモノをやんわりと掴む。
「コレを……あなたさまの、逞しいちんぼうを、わたしの熱いま○こに早く入れて、入れてくださいませ……」
「ようし」
男はにやりと笑いながら、体を倒していく。股間の陰茎は、すでに少女の滾った入り口に侵入しようとしていた。
「ああ、ん……っ」
窓の外で見つめる娘は、自分と同じ年頃である少女のあまりに淫らな振る舞いに嫌悪感を感じながらも、自らの躰の奥から湧いて来るような奇妙な感覚にもまた囚われはじめていた。
部屋の中で少女が声を上げるたび、鼓動がどうしようもなく早くなっていく。まるで、自分自身が荒ぶる男に陵辱されようとしているかのように、躰が緊張している。
「くあっんっ……んあっ!」
男の怒張がじわじわと侵入するのを感じながら、男の手の中にいる少女は、まだ幼さの残る美貌を歓喜に反らせた。男もまた、そんな少女の様子を眺めながら、しっかりと娘の腰に太い腕を回し自らの分身を突き進めて行く。
「んああ……すごい、すごいですぅ!」
「おお、そんなに俺のち○ぽがすごいか」
「はいいっ、あなたさまのち○ぽ、わたしの中ですごく逞しくなっておりますぅ……っ!」
熱い肉棒が収まりきる頃には、少女の瞳は愉悦に潤み切っていた。男が回した腕によって、少女の華奢な腰は床から宙に浮き、その突き入れられた肉の柱がいかに深く侵入しているか、窓の外で覗き見る娘にも容易に想像できる。
「……ほら、俺のモノが入ってしまったぞ。これからどうするよう教えられたかの?」
淫猥な男のせりふに、裸の娘は言葉を返さず躰の動きで応えた。
深く打ち込まれた男の怒張を軸に、自らの腰を揺らめかせ始めたのだ。男が動いていないのに、少女が淫らに動き出した事で、窓の外の娘はさらに困惑を深める。男と裸で交わる目前の行為は、娘にとっては最も忌むべきものであった。だが、確かに少女は嬉々として淫らに躰を動かしている。腰が揺らめくたび、少女の顔はさらに淫悦に歪む。その表情を見ていると自分の躰、特に太股の合わせ目の熱さを感じられ、さらに戸惑いを大きくさせていった。
「ふあんっ、ああ、あふうんっ!」
「おうおう、お前も淫乱になったものだのう。ここに預けられた頃は、何も知らぬ乙女だったものを」
「はいいっ!みなさまのおかげで、このように淫乱になることができました……っ、ですから、ですからどうか珍棒を激しく突き入れてくださいませぇ!」
娘の叫びに、男はニヤリと笑った。
「は、はあうんっ!」
今までとは明らかに違う大きな声で、娘が喘いだ。男が、自分の腰を思い切り突き出したのだ。少女の躰はビクンっと跳ね、それでもなお男の体にすがりつくように、自分の細い腕をしっかりと男の腰に回した。
男は今までじらしていたのがうそのように、激しく腰を繰り出す。少女もまた、男の動きをさらなる快感に結びつけようと、必死に腰を躍動させ激しく喘ぐ。
「ひ、あん、ああんっ……はあっ!」
「そうら、そうら……っ、もっと淫らな声を上げんか」
自分が覗き見ている光景が、まるで幻のように感じられている。浅黒い体をした男と、真っ白な躰の少女が、激しく全身をくねらせて叫び合っている。汗が飛び散り、はっきりと肉体のぶつかり合う音が聴こえる。
男と女が交わって、子供が生まれることは知っている。また、実父のように欲望のままに女を踏みつけにする男も知っている。だからこそ、自分は子を残さぬ代わりに、一生男と交わらぬと決意していた。しかし、目前の男女は子を残すためでもなく、ましてや男が一方的に陵辱しているわけでもない。娘にはその行為の意味すら理解できず、ただ股間の違和感を何とか抑えようと、知らず知らずのうちに両手をその場所にあてがっていた。
「あうんっ……ひ、あ、ああん!もっと、もっと突いてくださいませ……っ!」
「いいだろう、そうらっ!もっと喘げもっと喘げ、敵の奴らがおかしくなるような淫らな声を上げろっ!」
「はいい……っ!ひあんっ、はあんっ、あはあ、んんっ!」
少女の喘ぎが、まるで衝撃波のように耳に響いてくる。そしてその音の中に、何かの液体がぶつかり合う音さえ聞こえる。その音もまた、娘の心をかき乱すものだった。躰の熱さはさらに増し、合わせ目は両脚を擦り合わせていないと耐えられないほど高ぶっていた。あてがっている手にさらに力を込めたが、力を入れれば入れるほど躰全体に鈍い電流のようなものが走る。
「ああんっ、もうダメです……このまま、気をやってしまいますぅ!」
娘の腰はガクガクと動き、唇からは激しい喘ぎと共に、歓喜の涎さえしたたらせている。
「へへ、そんなに俺のち○ぽがよかったか……ようし、思う存分気をやれ、そうらそうらっ!」
これ以上ないくらい腰を繰り出して、男が娘に自分自身を打ち据える。液体が擦れ合う音は、先ほどよりさらに大きくなっていた。
「ひあっ、はあんっ……!ダメ、もう気をやりますぅ……ああんっ、いく、いくうっ!」
気をやる、いく、などの言葉は娘には全く分からない。だが、その叫び声一つ一つを聴くたび、合わせ目の違和感は増している。
いや、もはや違和感ではない。躰を駆け巡る電流は、熱さと共にどうしようもないほどの『痺れ』をはっきりと感じていた。その『痺れ』こそが、少女が叫ぶ言葉に結合していることなど、未だ娘は気がついていない。しかし、自分自身にも何かが近づきつつあることだけ、娘の本能は悟っていた。
「いく、いくう……ああっ、もういくう……っ!」
「よし、いけ!俺のち○ぽでいけぇ!」
「ああんっ、ひい……、いく、うっ!」
男が最後の一突きを繰り出した時、少女の真っ白な躰が痙攣した。男が体内に放った精の迸りを受け、絶頂に至ったのだ。
「んん……っ!」
窓の外の娘に、絶対的な変化が訪れた。少女の絶頂の声を聞き、まるでその少女と同じように躰を静かに痙攣させたのだ。痺れは全身に広がり、今まであれだけ熱っぽく眺めていた室内の光景さえ霞んでいく。薄れる意識の中で、絡み合った男女が歓喜を互いに交歓するように激しく唇を吸い合っている様子が見えた。部屋の中の男女全てが、同じように体をくねらせている光景を眺め、そのまままるで眠りに落ちるように娘の全身は崩れ落ちる。
男は、すでに少し前から小屋の中を覗く娘を眺めていた。娘が安全に里まで降りるまで、陰から監視しようと思っていた。だが娘は引き返し、たまたま見つけたくのいち訓練用の下忍小屋で、激しい交淫を見てしまったようだ。
娘を抱きかかえ、小屋から遠ざかる。また、あの屋敷に送り届けることになる。あそこは、自分が頭領より与えられた屋敷だ。
「さて、どうしたものか……」
まだ自慰も知らぬ少女が、図らずも性の絶頂にたどり着いてしまった。その一部始終を見ていた男は、少し途方に暮れていた。
少女が里に下りずに、引き返してここにたどり着いたのは事実だ。何か思うところがあったのか。男は腕の中の娘を見つめながら、今度はしっかりと屋敷へと歩みを向けた。