母姉相姦 第1話
「悠一 〜禁忌への扉」

「ねえ、ほんとにいいの?わたし、あなたと二十歳近くも歳が離れてるのよ」

「いいんです。だって、僕からお願いしたんじゃないですか」

 ここはある放課後の中学校。時間は五時を過ぎ、校内に残っている生徒はほとんどいない。そんな校舎内の保健室に保健医 三崎涼子と三年C組の生徒 結城悠一がいた。

「それならいいけど。わたしにとっては嬉しいことだからね……」

 そう言うと、涼子は白衣を脱ぎ始めた。涼子は校内でも美しいことで知られ、男子生徒の憧れの的だった。三十をいくつか過ぎても、その全身から感じられる色気はどんな男達をも魅了する。

 だからこそなのか、そんな涼子に以前からある噂がつきまとっていた。それは『三崎涼子は、男性教諭全員と関係している』というものだ。

 その噂は男子生徒にまことしやかに広められたが、誰一人それを確かめるすべを持たなかった。しかし、悠一はただ一人それを実行した。なんのことはない、昨日サッカーの授業で捻挫をした際、手当を受けていた時に本人に聞いてみたのだ。『先生、男の先生全員とセックスしてるって本当ですか』と。

 それを聞いた涼子は、少し間を置いて言った。

「そうよ……でも、なぜ?」

 涼子は微笑みを浮かべて言った。余裕を持った大人の笑みだ。

「僕も、涼子先生とセックスしたいからです」

 悠一は勇気を出して言った。しかし少しも悪びれていない。

 涼子は少し考えて、また微笑みながら言った。

「……いいわよ。私も、悠一クンのようにカッコイイ生徒とセックスできるんなら嬉しいもの。……それなら、いいわ。明日の放課後、この保健室に来て」

 そう言って、悠一にキスをした。そして今、夕闇が迫るその保健室に、二人が居るのだ。

 いつの間にか涼子はあらかた服を脱いでしまって、下着だけになっている。

「どうしたの、悠一クンも脱がなきゃ」

 悠一はゆっくりと学生服を脱いだ。トランクス一枚になった悠一を見て涼子が感嘆する。

「うわ、大きい……!悠一クン、かわいい顔に似合わずオチンチン大きいのね」

 悠一の分身は、淫靡な匂いを発散する涼子のヌードを見て、すでにいきり立っていた。なるほど、どちらかと言うと線の細い印象である悠一には似合わないほど、トランクスを押し上げるそれは大きかった。その大きく若々しいものに誘われるように、涼子はトランクスに顔を近づけた。布地の上からそのペニスを指先で愛しげに撫でさする。そして、少年の不意を突くかのように、涼子はそのトランクスを勢いよく降ろした。

「ああ……っ!」

 悠一は羞恥から来る情けない声を上げてしまった。

「……やっぱり、大きい。修平クン、他のどんな男よりも大きいわ……」

 涼子は悠一のペニスを表面を美しい指で撫でていたが、いきなりその極限までいきり立った若い肉茎を、濃いピンクのルージュで縁どられた唇でくわえた。

「せ、先生……っ!」

 悠一は感嘆の声を上げた。悠一は同級生と何度かプラトニックな恋愛をしたことはあっても、フェラチオどころかキスさえしたことがなかった。その敏感な悠一の男根を、涼子は念入りになめる。

「ん、ん、ん……っ」

「先生、もうっ!」

 経験の全く無い悠一のペニスはすぐに限界を迎えた。ドクドクッと涼子の喉奥に熱い精液を発射する。

「ん、うぐっ。うぐっ」

 涼子は悠一のエキスを一滴漏らさず飲み込んだ。やがて萎えきった悠一のものから口を離すと、潤んだ瞳で荒い息の悠一を見上げた。

「悠一クンの、濃くておいしい……。熱くて、しょっぱくて」

 満足そうな顔だ。涼子の表情はまだ淫猥な色を漂わせている。

「すいません……早かった、ですか?」

「いいのよ、わかいコはそれで……さあ、次は私を満足させて」

 そう言うとすぐに、涼子は診察用のベッドに仰向けに寝た。

「悠一クン、来て。いろんなコト、していいのよ……」

 悠一はその声に魅かれるように、涼子の裸身に近づいていった。

 まず悠一は涼子の豊かな胸に触れた。白いレースのブラジャーに包まれたバストを触っていく。涼子の声が、少しずつ高くなっていく。

「ブラジャーの上からじゃなくて、直接触って……」

 涼子が乱れた息遣いで言った。悠一がブラジャーのフロントホックをはずすと、涼子のバストが弾かれるようにまろびでた。

(すごいおっぱいだ……)悠一は感動した。間近でみるバストは、神々しささえ感じた。悠一は言われた通り涼子のバストを手のひらで覆い、揉んだ。

「は、ああっ」

 涼子が喘いだ。悠一は嬉しくなってさらに激しく手を動かした。

「はああっ。悠一クン、下も……下も触って」

 悠一は恐る恐る手をパンティーの中に入れた。指先に、ひどく潤んだ感触があった。経験の無い悠一が想像した以上に、女のそこは濡れている。

「ねえ、びっくりした?私感じやすいの……」

 涼子が潤んだ瞳で言った。

「指を入れるのよ、そこに……さあ」

 悠一はそのぬるぬるとした液体が溢れ出てくる肉裂に人差指と中指を差し込んだ。涼子の躰が、ビクンっと跳ねる。

「はあーっ、イイわ悠一クン」

 そんな涼子の喘ぎを聞いて、さっき放出したばかりのペニスに、再び力が漲ってきた。

「あ……」

 少年の素晴らしい反復力に、女校医は感嘆の声を洩らす。

「悠一クン、もう大丈夫なの?スゴイわ……」

 そう言うと涼子はゆったりと腰を起こして、悠一の未熟な愛撫によって濡れたパンティを脱ぎ、ついに全裸になった。午後の淡い日差しに浮かんだ涼子の裸身は、少年の目にはこの世のものと思えないほど美しく見えた。

「さあ、こっちも準備OKよ。悠一クン、きて……」

 涼子はエロティックに手招きした。

「涼子、先生……」

 最後は声にならなかった。悠一は導かれるように涼子にのしかかっていった。安作りの保健用ベッドがきしむ。

 しかし、経験のない悠一には、女のそれがどこについているのか分からなかった。自身の先端が女校医の淫裂の上で悲しくさすらう。

「あ、あれ……?」

 そんな悠一の様子を察知して、涼子が悠一のペニスを優しく握った。そのまま自分の花芯に導いていく。

「ここよ、そのまま入ってきて……」

 悠一はそこにヌルッとした感触を感じた。次の瞬間、自分のモノが涼子の熱い粘膜にスルッと入り込んだ。

「うわっ……」

 今まで感じたことのない素晴らしい感触だった。柔らかいだけでなく、心地よい圧力を感じる。また、その温かさはなんと言っていいのかわからない温度であった。

「悠一クン、いいわよ。そのままゆっくり入ってきて、ね?」

 声も上げられず、悠一は言われたとおりに腰に力を込めていく。

「ああ、悠一くんっ……太くて、熱い……ああ、いいっ!」

 涼子は悠一の背中に手を回し必死にしがみつき、またさらに深いつながりを得ようと下から腰を激しく突き上げる。

「先生、涼子先生!」

「はああっ、悠一クン。もっと、もっと突きあげてーっ!」

 悠一はただただ本能的に腰を打ちすえる。その未熟な動きが涼子の快感を新鮮なものとしていた。

「ああ、くっ……う、せんせ、い!」

 情けない声を出して悠一が喘ぐ。女の淫汁に浸されたペニスから、全身に快感の電流が流れる。少年は美女の躰にすがって、ただひたすらに体を振るった。

「あうっ……せんせい、も、もう僕っ!」

「あふ、んっ、イイわ……、悠一クンのを、先生の中に……あんっ、先生もうイクわ……悠一クンもイッて!」

  耐えられなくなって、涼子は激しく叫んだ。

「先生!あああっ……イクっ!」

 悠一は初めてのセックスによる絶頂を迎えた。そのペニスからはおびただしい量の樹液が放出され、涼子の体内を満たした。

 

 

「ねえ……なにか嫌なことがあったんでしょう?」

 熱く衝撃的な行為が終わり、涼子は服を着ながら言った。

「なにかって……?」

「ごまかしたって、ダメ。保険医をなめちゃいけないわよ。」

 服を着てしまった涼子は、とたんに女校医の口調になって悠一に迫る。

「保健室にはいろんな生徒が来て、いろんな悩みを打ち明けていくんだから。恋の悩みだったり、性の悩みだったり……なにか、あったんでしょ、先生に話してみなさい」

 悠一はびっくりした。涼子の言う通り、自分は一つの悩みを抱えていたのだ。少し自暴自棄になっていたからこそ、涼子にも大胆に質問できたのだ。

「お姉さんに言ってみなさい。あ、もうお姉さんじゃないわね!」

 涼子は微笑みながら聞いた。その顔はすでにカウンセラーのそれになっていた。

 悠一もその顔を見て安心し、やがて静かに語り始めた。

「実は……」

 少年は悩みを言葉を選びながら静かに語り始めた。その内容は、涼子が予想していたものを大きく超えていた。

 

 

「……ただいま」

 悠一の家は父、母、姉との四人家族で住んでいる。

 ある日、いつものように悠一は学校を終え、帰宅した。この時間にはいつもは誰も帰っていない。父の秀康は建築事務所を経営していて、今は技術提携している建設会社の嘱託としてドイツに単身赴任している。母の礼子は夫の会社で、社長代理として留守をしっかり預かっている。事務所の片づけまで済ますと、帰宅時間はだいたい七時を過ぎる。姉の夏美は短大の一年生で、明るい性格からかいつも何人もの友人とコンパなどに参加して、早いときでもやはり帰宅は七時を過ぎる。だから、悠一の帰宅の挨拶は相手のいないことが分かっているものだったのだ。

「ふう……」

 いつものようにのテーブルの上にメニューが書かれたメモが置いてある。レンジで調理するだけの料理だ。それをつまらなそうに眺めて、やがてゆっくりと自分の部屋に戻って着替えをしていた。

 その時、何かが聞こえたような気がした。隣の姉の部屋からだ。

「あれ?誰もいないはずなのに……ねえさん、帰っているのかな」

 悠一は不思議に思って、姉の部屋に向かった。そしてドアをノックしようとした時、それは彼の耳にしっかりと聞こえてきた。

「あっ、ああん……っ」

 小さくか細かったが、それは確かに姉の喘ぎ声だった。

 悠一はゴクリと唾を飲んだ。姉が何をしているか、中学三年の悠一にも分かる。

 姉の夏美は小さい頃から美人と有名で、近所のおばさんたちにも『夏美ちゃんは美人になったわねえ』と噂されるほど、現在も美しく成長していた。悠一も、家に遊びにきた友人たちに何度も「紹介して」と言われ、いつしか美しい姉を意識しはじめていた。その姉が、このドアの向こうでおそらく『オナニー』にふけっているのだ。

 悠一は姉の美貌が、自らの指の感触に歪むのを想像した。自分のモノに激しく血が流れ込む。

『いけない。ねえさんでこんな気持ちになっちゃ……』

 しかし性の発達著しい年頃の悠一には、それを抑えることはできなかった。いや、その気持ちを抑えるどころか、やがて本能的な性への探求心が、今の悠一を突き動かしていったのだ。

「……」

 悠一はドアを少し開け、姉の部屋を覗いた。部屋の明かりの中に、肉体が蠢いていた。

「っ!」

 予想通り、そこにはベッドの上で激しく喘ぐ姉の姿があった。夏美はベッドに顔を埋め、こちらに尻を向けるような体勢をとっている。そのためドアの方にいる実弟に、その形のいいヒップを突き出すようになっていた。

「う、はあっん……!」

 シーツに顔をつけているためくぐもっているが、夏美は確かに喘ぎ声をあげていた。その指は自分の秘裂にあてがわれ、激しく動いている。それに合わせるように腰も淫らに上下している。

 あまりに、あまりに淫らな姉の姿に、悠一はズボンのチャックを開けて、無意識のうちに勃起しきった分身を握り、擦りはじめた。

「あ、あんっ……ふあっ!」

 ベッドの上の姉の、跳ねるような動きは少しずつ大きくなっていた。絶頂が近いのだ。 悠一は姉の恥態を眺めて達しようと、擦る手の上下を早くした。

「う……っ、うんっ!ふあ、あっ!」

 夏美は背を大きく反らし、ケイレンして果てた。

「ああ、ねえさん……っ!」

 悠一も同時に絶頂に達する。目を閉じて、自分の内部から熱い液体が放出されるのを感じていた。自分の後ろにまさか母親である礼子が立っていることに全く気づかぬままに。

 

 

 礼子は、無言のまま夏美の部屋のドアをゆっくりと閉じた。その時はじめて悠一は母親の存在に気がつく。

「……!」

悠一は驚愕した。姉の部屋を覗き自慰にふけっていたうえに、その恥ずべきオナニーを母親に見られたのだ。悠一は飛び散った精液を急いで自分のシャツで拭い、そしてズボンのチャックを閉じた。

「あ、あの……」

 礼子は小声で慌てる悠一に『早く行きなさい』とだけささやいた。

 その日の夕食は悠一にとって最悪の時間だった。激しく乱れていた姉も、そして自分の自慰行為を見られた母も直視できずにいる。母と姉はいつものように楽しげに会話していたが、悠一の耳には何も入ってはこない。今悠一は、ただただ自分の行為を恥じていた。 

 だが、少年の若い性は自分の意識と裏腹に、その日の寝床では自然に自分のペニスを握り、姉を思い浮かべた激しいオナニーにふけった。

 

 

「……その想像に、母が出てきたんです」

 悠一は服を着けてしまい、悩める一人の生徒に戻っていた。

「おかあさまって、あのPTA会長の?」

 悠一の母親礼子は夫の建築事務所の所長代理をする傍ら、悠一の中学のPTA会長をつとめている。聡明で美人の礼子は、学校内の保護者や教師の間で人望があったのだ

「あのおかあさまなら、先生達の間では美人で有名よ。『大人の色気がある』ってね……そう、あのおかあさまがね」

「おそらく、あんな恥ずかしい事をして、母への申し訳ないと思う気持ちがそんな想像を見た原因じゃないかと思うんですけど……」

 悠一は自分なりの考えを涼子に言ってみた。

「……それは違うわね。悠一クンの奥底に、お姉さんに対する気持ちとおかあさまに対する抑圧された性の欲求があって、その欲望がキミにそんな想像を見せてしまったのよ。オナニーを見られた事はあくまできっかけね……」

 涼子の口から、滑るように言葉が出てきた。

「なんて、心理学ぶったこと言ってみたけど、大学でちょっとかじっただけなの」

 涼子がまた笑っていった。しかし、涼子の話に思い当たらないことがないこともなかった。小さい頃礼子と一緒に風呂に入っていて、その見事な肉体に子供ながらに興奮していた覚えがある。

「じゃあ、僕はどうすればいいんですか。今日もまた母と姉に顔を合わせなきゃいけないんですよ……」

 悠一が悲しそうに涼子に聞いた。

「どうしても、それを克服したいの?」

 涼子が真剣な顔で言った。

「はい」

「それなら、いい方法があるわ」

 涼子が意地悪な笑みを浮かべた。

「おかあさまと秘密をつくるのよ……」

 

 

 悠一はいたたまれない気持ちで帰宅の途についた。あの涼子の『おかあさまと秘密をつくる』という言葉が心から離れない。あの後、真剣に考え込む悠一に涼子は言った。

『冗談よ、悠一クン。ガマンできなくなったら私が相手してあげるから……』と。

 しかし、そんなフォローも悠一には聞こえていなかった。

(実の母親と秘密をつくる)……。その悪魔のささやきが、悠一の意識を凌駕しつつあった。

 誰も帰宅していないことに悠一は安心した。心に湧き上がった、激しすぎる欲望を抑えつける自信が、今の自分にはなかったのだ。夕食を一人で済まし、その日は早く床についた。

 ベッドの中で、悠一は玄関が閉まる音を二度聞いた。一度目は九時過ぎの音で、階段を上がる足音から姉と分かった。二度目は九時半頃で礼子の帰宅だった。

 悠一は一度は眠りに就いたが、やはり悶々とする感覚を抑えられずに目を覚ました。目を閉じれば、やはりその夜も夏美と礼子が現れた。悠一はもはやなんの良心もなく、夢の中で二人を凌辱し大量のエキスを放出した。夢精で汚れた下着を見ていたたまれぬ感情をいだいたまま、その火照った体を沈めようと階下に降りてシャワーを浴びた。

(やっぱり、こんなことはいけないんだ……。また明日、涼子先生に相談してみよう……)悠一は少し冷ためのシャワーを浴びながら思った。

 やがて風呂からあがった悠一は、午後二時を過ぎた静かなキッチンで、冷たく冷えたコーラを飲んでいた。

 やはりそれも突然だった。あの時と同じように、押し殺した女のか細い声が悠一の耳を捉えた。今度はその声が、なんと母の部屋からしているのだ。

「ま、まさか……」

 悠一は息を殺し、足音を忍ばせて母の寝室に近づいていった。

「ううっ、あなた……、あああっ!」

 確かにそう聞こえた。間違いなく母はオナニーをしている。悠一は興奮した。あの時と全く同じように、ドアを少し開け室内を覗き見る。母親はそんなことに気づく様子もなく自慰に没頭している。礼子は仰向けで足を大きく拡げ、陰部にはなんと黒いバイブレーターがあてがわれていた。礼子はその人工物を、不在の夫のペニスに見立てているのだ。

「あなた……礼子こんなになって、あなたの帰りを、はうんっ、待ってるのよ……ああっ!」

 小さな声だが、確かにそう強く喘ぎながら、鈍い振動音を立てるバイブを入れたり出したりしている。悠一は、姉の痴態を覗き見た時と同じように、猛る勃起に力を感じた。

「は、ふあっ、あああ……っ!」

 礼子はとにかく激しく異物を動かした。そのたびに電動音に混じって愛液の音がピチャピチャと淫らに響く。

「はああ……ねえ、来て!あなた、来てっ!」

 母親のその声に、悠一は突然あの言葉を思い出した。

(おかあさまと、秘密をつくるのよ……)涼子の、そのささやきに突き動かされるように

 悠一はドアを開け、乱れる母親に静かに近寄っていった。

 礼子は目を閉じていて悠一の存在に気づかずにいた。

「ああああっ……はやく来て、あなたっ!」

「……ここにいるよ」

 突然の言葉に、礼子は驚いた。そしてその声の主が息子であることが分かると、ただただ口をぱくぱくさせるだけだった。

「ねえ、ママ……。」

 悠一が母に一段と近づく。礼子はシーツで自分の全裸をくるみ、慌てて言った。

「……悠一、やめて。冗談でしょう?こんなこと……」

「冗談なんかじゃないよ。ねえ、ママ。ねえ……」

 もはや息子の目的は明確だった。自分を犯そうとしているのだ。見るつもりはなくても、実の息子の股間にそそり立ったものはしっかりと目に飛び込んでくる。

「悠一、こんなことしちゃいけないの。ねえ、はやく考えをあらためて……」

「だって、ママは寂しいからこんなことしてたんでしょ?だったら……」

「そんな……。ねえ悠一、いいかげんに考えなおして」

「じゃあ、ママのあそこに刺さってるのは何?」

 礼子はハッとした。まだバイブレーターが花芯に埋まったままになっていることを、突然の息子の出現にすっかり忘れていたのだ。

「とうさんがいなくて寂しいから、そんなモノで自分を慰めているんでしょ……」

 悠一はついに礼子の目の前に近づいた。

「ママのいやらしい姿を見て、僕こんなになっちゃったんだよ」

 自分の短パンを片手で下ろし、突然悠一はいきり立ったペニスを母の眼前にさらけ出した。

 思えばこの時、礼子は息子を突き放さなければならなかった。しかし現実には、生で悠一の勃起したモノを見て、場違いな感動を覚えてしまったのだ。

「……!」

 必死になって淫らな妄想を早く振り払うように、礼子は固く目を閉じた。そんな母親のスキを悠一は見逃さなかった。シーツの隙間からすばやく右手を礼子の股間に差しいれ、低い電動音を立てるバイブレーターを握ったのだ。

「あうっ!」

 礼子は仰天した。息子が黒い張り形を握り、突然動かし始めたからだ。

「ねえ、こうすると気持ちがいいんでしょ……?」

 悠一は母に語りかけながら手を動かす。礼子は頭では息子の行為を非難しているのだが、三十八歳の熟れきった躰は、夫の不在で欲求を募らせさらに自慰行為を中断されたことによって、セックスに最適の状態になっていたのだ。

「やめて、悠一、やめて……」

 母の抵抗の声が小さくなってくる。悠一はかまわず手を動かし続け、さらに母の息づかいと共に妖しく揺れる豊満なバストに興味を抱いた。余っていた左手を胸部にゆっくりと近づけ、揺れる胸へと到達する。

「あ……っ」

 礼子がバストへのふいの攻撃に小さく喘いだ。

(涼子先生のおっぱいより、大きくて柔らかい……)悠一は母の肉体の素晴らしさに感動した。やがてバイブを握っていた右手も、左手に呼ばれるようにもう一方の豊胸へと達した。その時、母の陰部から離れた手に、ぬら光る液体が付着しているのを見逃さなかった。

「ママ、感じてるんだね?」

 悠一のささやきに礼子の顔は紅潮した。礼子自身も悠一のバイブレーターによる愛撫によって、花芯が激しく濡れているいることに気づいていたのだ。しかしかすかに残った良心が、礼子の首を左右に振らせた。

 礼子の胸をまさぐる悠一の手が、少しずつ激しくなっていく。礼子も知らぬ間に、断続的に切ない喘ぎ声をあげている。

 突然、悠一の手が礼子を離れた。礼子の手が本能的にそれを追いかけてしまう。しかし口ではかろうじて良心を保つ。

「……考え直してくれたのね。よかった……」

 躰が燃えるように熱い。が、礼子はそれを抑え、母としての言葉を吐いた。しかしその期待はすぐさま打ち砕かれた。

「ママ、入れてもいいでしょ……?」

 悠一がささやく。

「やめて悠一……っ!だって、あなたとママは……!」

 もう悠一には母の声は届いていなかった。悠一はいやらしく動き続けるバイブを握り、それを抜き取った。

「あくうっ!」

 バイブが急激に抜かれて、思わず礼子は小さな叫びを洩らした。悠一はそんな様子にひるむでもなく母の裸身に相対する。

「キレイだ……すごい」

 礼子の黒い繊毛の奥に息づいている淫裂は、完全に熟れていた。淫具の愛撫で、愛液はおびただしく溢れている。女のヴァギナをはじめて凝視した悠一にとって、その眺めはすなおに美しいと思えるものだった。

「ああ、はずかしい……!」

 思えば、これが最後の抵抗の機会であった。悠一はけして母親を拘束してはいない。ただひざ頭を掴み、女の秘所に見入っているだけなのだ。しかし、礼子は抗わなかった。抗うどころか、心のどこかで満たされぬ思いが息子の手によって満たされるのを待っていたのかもしれない。

「ママ、入れるよ……」

 悠一は優しくささやき、ヌラヌラと濡れ光る淫裂に自らの分身を埋めていった。

「……!」

 礼子はもう抵抗しなかった。しかし礼子の意志とは裏腹に、間違いなく躰は息子の侵入を待ちわびていたのだ。

「ああっ、ママ。気持ちいいっ……!」

 悠一は喘いだ。涼子との経験しかない悠一には、確かにそれは甘美だった。

「ああ、入った……ママ、入ったよ」

 やがて、悠一は母親の体内に完全に自身を埋没させた。しばらく温かく心地よい膣内の感触を味わっていたが、やがて耐えきれなくなって、母をいたわるがごとき優しい抽送を開始する。

「んっ……」

 礼子の熟れた肉体は息子のゆっくりとした動きに、少しずつ反応していった。

「ねえ、ママ。気持ちいい?」

「んっ、ん……っ」

 礼子は答えない。しかし、秘裂より溢れ出る愛液が礼子の答えを代弁していた。潤った性器は、実の息子の運動を容易にしている。やがて悠一の動きが少しずつ激しくなっていった。

「はあっ。ママ……気持ちいいよっ」

「ふっ、ああっ、悠一……イイわ、ママもイイの……」

 礼子はついに本能の言葉を発した。

「だから、悠一もよくなってね……ママの躰で、はあ……っ!」

 いつの間にか、礼子の両手は息子の首筋へと回されていた。淫らな肉体は、ただただ快感を得るためだけのものへと変化していった。

「いいよ、ママ……僕も、最高だ!」

「そう。悠一、もっとよくなって……はっ、はあっ、ふあんっ!」

  悠一の抽送が一段と激しくなる。礼子も母親であることを忘れて、快感をひたすらむさぼる獣のように自ら腰を突き上げていった。

「ま、ママ……っ、スゴイ、すごく気持ちイイよ!」

「んあっ!ママも、ママもイイ……っ、すごくイイのっ!」

 ぴったりと合わせられた性器からは、ピチャピチャと淫らな音が響く。

「うあっ、はあ……」

「あっ、あっ、あっ、はああっ……!」

 二人の叫びが暗い寝室に交錯する。互いに動物のように腰を激しくぶつけ合い、いやらしい音を立てて唇を吸い合う。

 悠一は今夜すでに、オナニーによって二度放出していたため、実母との交歓に没頭することができた。また礼子にとってその息子の頑張りは、欲求不満で熟れた躰を癒すには最高に嬉しいものであった。

「ママ。僕、もう……」

 悠一が細い声を洩らす。フィニッシュが近いのだ。

「いいわ、悠一。ママもイキそうなの……ねえ、イッて……」

 礼子も自分の絶頂の高まりを感じていた。

 悠一の動きがさらに速くなる。礼子も恥ずかしいほど声をあげて腰を振る。

「イキそうだ、ママ……イクよ!」

「イッて!悠一。あああっ、ママも……イクっ!」

 悠一は母の体内一番深く肉茎を打ち込み、果てた。

 実の息子のほとばしりを受け、礼子も美しい躰を限界まで反らせて絶頂した。

 悠一の熱い液体が大量に礼子の体内に注ぎ込まれ、二人はつながったまま、互いの舌を激しくなめ合った。

 

 

「夏美。ねえ、夏美ったら!」

 親友の知美の声に、夏美は振り返った。ここは夏美の通っているR女子短大の構内、その日の講義が終わった午後二時過ぎである。

「どうしたの?」

「ねえ、今日もK大学とのコンパがあるんだけど、もちろん夏美も来るわよね」

 知美が急いで言った。

「うーん、どうしようかなあ……」

「この前のコンパの時、あなたにモーションかけてたカッコイイ人がいたじゃない。彼がね、夏美にもう一度どうしても会いたいって言うのよ」

 知美は興奮気味に言うが、そのカッコイイ男というのに覚えがない。夏美は大勢集まって、酒を飲んだり騒いだりするのは確かに好きだが、他の友達のように、『イイ男を見つける』つもりでいるのではない。どちらかというと男に興味が沸かないのである。無論レズ、というわけではない。事実、現在もある一人の異性に心魅かれているのである。

「今日は遠慮しとくわ。またなにかあったら誘ってね」

「いいの?私があの人とっちゃうわよ」

「ご自由に、どうぞ!」

 夏美は笑って言った。

 夏美はまっすぐ駅に向い、そのまま自宅へ向かう電車に乗り込んだ。

 夏美は三時を少し過ぎた頃帰宅した。家には誰もいない。

「こんなに早く帰ったのは、久しぶり……」

 夏美は独り言を言って自分の洗面所に向かった。家族の服の洗濯は夏美の分担だ。カゴから洗濯物を洗濯機に入れていて、ふと夏美の手が止まった。

「あ……」

 手にとったのは、悠一のトランクスだった。そのトランクスからは、強烈な男の匂いが立ち昇っている。夏美は少しずつその匂いに顔を近づけていった。ムッとむせかえるような強い匂いだ。

「んっ……」

 大きくそれを吸い込むと、自分の花芯がジットリと濡れてくるのが分かった。

「ああ、悠一……」

 夏美はいても立ってもいられなかった。洗濯を早く済ませて、自分の部屋へと向かった。もちろん、悠一のトランクスを握りしめて。

 自室にたどり着いた夏美は、すぐに服を脱いで全裸となった。とにかく火照った躰を鎮めようとしたのだ。夏美は自分の全裸を鏡台に写してみた。人は夏美のプロポーションを羨ましがる。自分ではあまり意識しないのだが、確かに人を魅きつけるスタイルだ。しかしこの躰は、まだ一度も異性の目にさらしていない。夏美はいつかこの躰を、実の弟の悠一だけに見せようと磨いているのだ。

「悠一……見て。どう、姉さんの躰きれい?」

 鏡に向かって、夏美はささやいた。やがて、夏美は自分の躰を自然にベッドに移動させた。

「悠一……」

 夏美はベッドに四つんばいになり、シーツの上に置いた悠一のトランクスに顔を埋めた。いつも弟を思いながらするオナニーの時は、このような恥ずかしい体位を取る。

「ああ、悠一……っ」

 夏美の鼻腔に、ふたたび悠一の男の匂いが広がる。その匂いが、夏美の興奮をさらに高まらせる。自分の指が、導かれるように潤う花芯に触れた。

「んっ……」

 少しずつ指を自分の中に埋めていく。その指を動かすと、自分でも不思議なくらい愛液が溢れ出てくる。

「うんっ、はあっ!」

 夏美は弟のことを思いながら指を走らせる。小さい頃一緒に入ったお風呂のこと、お医者さんごっこをした時のこと、そしておそらく、悠一は覚えていないであろうあの日のこと……。

 

 

 今から七年前、夏美は十一歳。弟の悠一は七歳であった。夏休みのある日、自分の部屋で宿題をしていた夏美のところに下半身まるだしの悠一が駆け込んで来た。

「おねえちゃん、見て見て。おちんちんがこんなに大きくなったんだよ!」

 悠一が指さす先には、かわいい弟には不釣り合いの勃起したペニスがあった。

 学校でも友達同士で男の子の体の話はしていたが、実物を見るのははじめてだった。夏美は興奮を押さえて言った。

「……どうして大きくなっちゃったの?」

「あのね、おしっこしてた時、『ヘンなかたちだなあ』と思って自分で触ってたんだ。そしたらこんなに大きくなったんだよ!」

 悠一はおもしろそうに笑った。

「ふーん……ちょっと、おねえちゃんによく見せて」

「うん!」

 悠一は自慢げに近づいてきた。

 夏美は、弟のペニスをしげしげと観察した。皮をかぶっているが、ドクドクと激しく脈打っている。手を伸ばして触れてみると、熱い。

「おねえちゃん、どう思う。病気かな?」

「うーん……もしかしたら、毒が入ったのかもしれないな」

「えっ、毒!」

「うん。悠一、あんたカエルにおしっこかけたことあるでしょ」

 夏美は嘘をついた。このモノをもう少し見ていたかったからだ。

「どうしよう……ボク、昨日友達とおしっこの飛ばし合いで……」

 心配そうな顔をして、悠一がなげく。

「やだよ、ボクこわいよっ!」

「……大丈夫、おねえちゃんが吸いだしてあげる」

 そう言うと突然夏美は、悠一のモノにしゃぶりついた。

「あっ……」

 なぜそんなことをしたのか分からない。勃起した肉柱を見て、ただ唇で吸いつきたくなったのだ。

「ああ、おねえちゃん……っ」

 夏美は頭を動かし、愛情をこめて弟のモノをしゃぶりつづけた。

「おねえちゃん、な、なんか変だよ……」

 悠一が情けない声をあげる。夏美は構わず舐め続ける。

「ねえ、おねえちゃん、なんか変だって……っ!なんか、おしっこがでちゃいそうなんだ!」

 夏美にも、口の中のモノの変化が感じられていた。舐め始めた時より、かなり大きさが変わってきていたのだ。

「ああ、おねえちゃん……出るっ!」

 悠一の体が激しくケイレンした。その瞬間、夏美の口の中にしょっぱくて熱い液体が流れ込んだ。夏美はその苦い液体を口の中に溜めた。

 悠一の体ががっくりと崩れ落ちた。息使いが荒い。

「ボク、どうなったの……?」

 夏美は口の中のエキスを手のひらに出してみた。

「……ほら見て。これがおちんちんに溜っていた毒よ。このせいでおちんちんが大

 きくなっていたのよ」

 悠一はその白い液体と腫れが引いていくペニスを見て、安心した顔を見せて笑った。

「そうかあ……おねえちゃん、ありがとう!」

 その日の夜、夏美は生まれて初めてのオナニーに酔った。昼間見た、弟の幼いペニスを思い浮かべながら……。

 

 

 その時から、夏美の自慰の想像には悠一しか出てこなかった。想像の中で、悠一は現実の通りに成長し、具体的なセックスの知識を知ると共に想像の中の悠一も、姉の躰を思う存分むさぼった。夏美自身の欲望のあらわれである。

「悠一、ねえ来て……ねえさんを思いきりメチャメチャにして!」

 ベッドの上の夏美は大きく叫んだ。その時、隣の部屋のドアが閉まる音がした。悠一が学校から帰ってきたのだ。

(悠一に聞かれた……!?)夏美は思った。しかし、なぜか股間をまさぐる指は止まらなかった。

(でもいい、悠一に聞かれてもいい。悠一、ねえさんのこの乱れた姿を見て!)夏美は一段と早く指を動かした。むしろ、この淫らな姿を実の弟に見て欲しいという欲望が沸いてきたのだ。

「はああっ、あああーっ!」

 夏美はベッドに顔を埋めていたため声はくぐもっていたが、それでもその声は大きく部屋に響いた。それはまさに悠一に届けとばかりの喘ぎ声だった。

「ふ、あん……っ!」

   指はさらに激しく動く。人差指一本から人差指と中指二本にして秘裂をさすったり少し深く差し込んだりした。

 その時、ドアの開いた音がした。慎重に開けたようすだったが、夏美は気づいたのだ。開けたのは、悠一だった。

(悠一が、わたしを覗いてる……!)夏美は興奮した。願った通り、悠一が自分の乱れた姿を覗いているのだ。陰裂はさらに愛液で潤い、指を動かす手に力が入る。

「う、はあっん!」

 夏美はまた声をあげた。ドアの外の実弟に聞こえるように、である。また夏美は、弟に向けた形のいいヒップをこれみよがしに振って、誘惑する。心の中で(悠一……見て、見て!)と叫びながら。

 少し顔を傾けて様子を見ると、ドアの外の弟の顔が、小刻みに揺れている。おそらく、姉の自慰を見て自分の分身を握っているのだ。夏美の興奮は頂点に達した。ただただ指を激しく動かし、弟のために淫らに乱れる快感に酔いしれ

ていた。やがて、夏美に快感の大波が襲った。

「うーっ……う、は、はあーんっ!」

 絶頂に到達した夏美は、ドアの外の弟も同時に果てたことを知った。

(嬉しい。ねえさんを見てイッたのね……)

 夏美はこのまま立ち上がって、弟をこの部屋に引き込もうかというほど気持ちが高ぶっていた。それほど弟を愛していたのだ。しかしその欲望はすぐに打ち砕かれた。ドアが突然閉じられたのである。母親の、礼子によって。

 

 

 夏美は夕食の際、二人の様子をうかがった。悠一はやはり恥ずかしいのかこちらを一度も見ようとしない。母親の礼子は、何もなかったかのように夏美に向かって世間話をする。

「今日は早かったみたいだけど、どうしたの?」

「うん、別に……いつものコンパがなかっただけ」

「あまり、遊び過ぎないでね。最近は色々危ないから……」

「はーい」

 夏美は空返事をした。今の礼子の言葉が心にひっかかったからだ。

 夕食が終わり、夏美はシャワーを浴びていた。体を洗っているうちに、自然と指が股間にたどり着く。

「んっ……」

 夏美は、今日二度目のオナニーを開始した。もちろん、今日の弟の覗きを思い出しながら、である。

「悠一、ねえさんを見ながらイッたよね……ねえさんの躰、キレイだったでしょ……?」

 つぶやきながら指を動かす。シャワーの音で、喘ぎといやらしい音がかき消される。

「悠一はねえさんのあそこを見たんでしょ?だったら今度は悠一のあそこを、ねえさんに見せて……」

 熱に浮かされたように夏美はつぶやき、淫裂をまさぐる手の動きも早くなる。その時、夏美の意識にある思考が割り込んで来た。

(あの時ドアを閉めたのは確かにママだった。ということは、ママは悠一のオナニーを見ていたんだわ……!)そう思うと、突然母が憎たらしく思えてきた。

(ママはきっと悠一が自分のモノをしごき、射精するのを見ていたんだわ。なのに何も見なかったような顔をして……私も、悠一のイクところを見たかったのに!)あいかわらず指は動いていたが、夏美は心の中はは母親への嫉妬の気持ちへと変わっていった。

(確かにママは、歳より若く見えるしスタイルもいい美人だわ。でも、悠一だけは絶対ママには渡さない。私のほうがママより魅力的なんだから……ねえ悠一、そうでしょ?)指の動きが激しくなる。夏美の体はバスルームの壁にもたれかかり、今にも崩れ落ちそうだ。腰もいやらしくグラインドする。

「悠一、ねえさんはまたイクわ。ああっ、悠一……っ!」

 指を極限まで深く差し込んだところで、夏美はイッた。

「イクッ……」

 あまりの快感に、夏美はその場に倒れ込んだ。シャワーが顔に当たる。夏美は虚ろな気持ちの中で決心した。

(悠一を、わたしだけのものにする……)と。

 

 

 次の日、夏美は大学で講義を受けている最中もあの決心を思い出していた。

(決行は早い方がいいわね。そう、今日にでも……フフッ。私が全裸で前にあらわれたら、悠一はどんな顔するかしら……)夏美は色々想像して計画を練った。とにかく早く、悠一を自分のモノにしたかったのだ。しかし、その計画は、親友知美の一声で変更を余儀なくされる。

「夏美、今日はいいわよね?昨日駄目だったんだから。あの男、相当夏美に惚れてるわよ。だって、私みたいな美人が言い寄っても駄目なのよ。失礼しちゃうわ。ねえ、彼K大のラクビー部なんだって。どうりでガタイがいいとおもったんだ!」

 知美は一気にまくしたてた。夏美にいやおう言わせぬように。

「それはともかく、夏美が来ないと場が盛り上がらないの。他の男たちもなんだか夏美目当てらしくって……でもそれがきっかけで私たちは男にありつけるんだから。ねえ、夏美。友達を助けると思って、ね?」

 ここまで言われたら断われない。夏美は今夜の計画をあきらめた。

「いいわ、行く」

「よし、それでこそ夏美だ!じゃ、今夜五時にいつもの居酒屋でね」

 知美は他の友だちのところに駆けていった。

「しょうがないか……。まあいいわ、時間はたっぷりあるんだから。明日にでも悠一を私のモノにしてみせる……」

 夏美はつぶやいた。

 その日の宴会はいつもと違っていた。「夏美が来たからよ」と知美が言う。しかしそれだけではないらしかった。眺めれば、皆で話すというより、隣の異性と熱心に話している。昨日のうちに、あらかたカップルが出来上がっていたようなのだ。

「どういうこと?これなら、別に私が来なくたって……」

 夏美が知美に言った。

「えへへ、いいの私たちは。男さえできればね。うふふ」

 知美はすでに酔っぱらって、隣の男にしだれかかっている。

「ちょっと、知美……」

 そう言う夏美の横に、体格のいい男が座って来た。

「いやあ、夏美さん。来てくれたんだ!」

 なれなれしく話しかけてきた。どうやらこの男が、知美の言っていた男のようだ。確かに顔はハンサムだが、どこか嫌な雰囲気が感じられた。

「夏美さん、僕のこと覚えてます?」

 男は夏美の肩に手を回す。かかる息が酒臭い。

「ええ、まあ……」

 夏美はあいまいな返事をした。

「ああー!その返事は覚えていなかったんだあ。ひどいなあ」

 男は大声で叫ぶ。

「大垣 望ですよ、望!覚えましたか?」

「ええ。大垣さん、ですね?」

 夏美は嫌悪感を抑えて言った。

「いやだなあ、望サンとか言ってくれないと」

 そう言うと大垣という男はさらに大声で笑った。

「ねえ、大垣さん。今日のコンパなにか雰囲気が違うんだけど、どうして?」

 夏美は聞いた。

「へへ、それはヒ・ミ・ツです。まあ、しいて挙げるなら、僕と知美さんとみんなで夏美さんを幸せにしようとしてる、ってとこかな」

 大垣はいやらしい笑いを浮かべた。

「私を……?」

「まあまあ。そんなことは気にしないで、飲みましょうよ!」

 大垣は肩に手を回したまま、夏美にビールを注いだ。

 その後の宴会は夏美にとって最悪だった。カップル同士が勝手なことをしあい、やがていつの間にか席から消える。宴会の間じゅう、夏美は大垣につきまとわれ、そして飲みすぎるほど飲まされた。最終的に居酒屋には、夏美と大垣、

それに知美と相手の男だけしか残らなかった。

 店を出ると、その知美と男はどこかへ行こうとする。

「じゃあね、夏美……私たちはイイところに行くから、あんたもがんばってね……」

 ロレツの回らない口で知美が言う。

(なに、なんなの?イイところって……?)夏美もアルコールによって思考が鈍った頭で色々考えていた。

「さあ、いこうか……」

 大垣が夏美を引っ張る。

「どこに,いくんれすか……?」

「いやだなあ、キミの家に送ってってあげるんだよ。僕、車があるから」

 大垣が言った。

「あ、そうれすか。どうもありがとうございます……」

 夏美は礼をしようと思ってふらつく。完全に酔っぱらっていたのだ。

「しょうがないなあ……」

 そう言って肩を貸す大垣の目に、またさっきのいやらしい光が宿ったのを、夏美は見逃した。

 大垣の車は赤いスポーツカーだった。大垣は夏美を助手席に座らせると、夏美の家の大体の住所を聞いてエンジンをかけた。

 静かに車を走らせていた大垣が、夏美に言った。

「キミ、そんなに可愛いのにどうして彼氏がいないの?」

「え?ええ、まあ……」

 夏美は答えなかった。たとえ泥酔しているとはいえ、もちろん実の弟を愛しているなどと言えるはずがない。

「彼氏がいないって知美ちゃんから聞いて不思議だったんだ。それで、僕が彼氏になってあげようと思ったんだ……」

「え……?」

 夏美にはよく聞き取れなかった。

「僕が知美ちゃんたちに男をあてがうかわりに、夏美ちゃんを僕のモノにする……今日はそういう集まりだったんだ……」

 夏美はその時はじめて、自分がはめられたことを知った。

「あの、大垣さん……わたし、ここで……っ!」

 夏美は周りの景色から、家には近づいていることは分かった。だから、はやく車内から降りたかったのである。

 車は止まった。(助かった……)と思った。

 突然、大垣の体がおおいかぶさってきた。強い力で夏美を押さえつける。

「ちょ、ちょっと。やめてください……」

 夏美は嫌悪感一杯でで抵抗する。

「おとなしくしろよ、な?俺があんたに、男の味を教えてあげようっていうのさ。だから……!」

 そう言うと大垣は、片手を夏美のスカートの中に入れた。

「やめて、いやーっ!」

 大垣はかまわず手を差し込む。その手はやがて夏美の股間をおおう小さな布切れへと到達した。

「やめてっ、あ……っ!」

 大垣の指がパンティーの中に侵入する。夏美の顔が恐怖に歪む。

「へへっ、いい気持ちだろ?俺は女のココを触るのがうまいんだ。さあて、夏美ちゃんのかわいいクリちゃんはと……」

 大垣は的確にクリトリスを探し当てた。慣れた指で素早くその包皮を剥く。

「ああっ、やめてっ!いやあ……っ」

「嘘つけよ、触られて気持ちいいんだろ?その証拠に、こうやったら……」

 指を夏美の中に入れ、素早く振動させる。やがてそこから、聞きたくなかった液体の音が発生する。

「ほら、こんなに濡れてるんだぜ。いい子ぶらずに素直に感じりゃいいんだよ。さあ…」

 大垣が夏美の顔をのぞき込む。夏美はあまりの恥ずかしさに目を閉じた。

 気をよくした大垣は、余っていた手でブラウスの上から豊かな胸を揉む。

「ほうら、乳首もすぐに立って来た。おまえが淫乱な証拠だよ……!」

 わざといやらしく言う。夏美はもう何も言わなかった。

「さて、あまりじらすのも悪いな……夏美チャン、やってやるよ」

 大垣はパンティーから濡れた指を抜き、ジーンズを脱ごうとした。

 その時、大垣は夏美の体から完全に離れた。そのスキを見逃さず、夏美は大垣の体を突き飛ばした。狭いツーシーターの車内で、大垣の体が押しのけられた。

 夏美はすぐ車から飛び出した。大垣は「待て!」と車内から叫んだが、ジーンズを途中まで下ろした格好では、夏美を追いかけることができなかった。

 夏美は必死で走った。途中で大垣の車にバッグを忘れたことに気づいたが、それをとりに行く気は毛頭なかった。

 自宅にたどり着いた時はじめて夏美は安心した。力なく玄関を開けた夏美は、何よりもまずシャワーを浴びたかった。台所の時計は九時十分を指していた。

 脱衣室で夏美は、男の汚れた指によって濡れた下着を洗濯機に投げ込んだ。冷たいシャワーによって、少しずつアルコールが抜けていった。しかしあのおぞましい記憶は、夏美の心から離れなかった。

(やっぱり男なんて汚らわしいケダモノだわ!私にとって許せる男はただ一人だけ……悠一、あなたはあんな男たちとは違うわよね……)夏美は悠一を想うことで、悪夢を振り払った。

 自室に戻った夏美は、いつものように弟の肉体を思い描いて指の愛撫を行なった。そして体に少し残ったアルコールのため、いつの間にか眠りに就いていた。夜中、愛する弟が母親の寝室で、母との初めての交歓をしているなど思いもよらぬままで。




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