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中の人日記・読書編

(ネタバレに当たる記述は多分ないと思います)

・はたらく魔王さま!6(作者・和ヶ原聡司)
 安定の面白さ。
 魔王サタン/真奥貞夫(人間界における偽名)は、確かに異世界では人望厚い王様だったのだなあと毎度思う。普段はそれを忘れるほど間抜けた描写が多いが、端々に機転とか洞察の深さが見えるシーンも確実に入ってるので説得力がある。
 真奥が抜けてる部分は知将アルシエル(人間界偽名・芦屋四郎)が補うし、ノートPCでネットしてるばかりのニート堕天使ルシフェル(偽名・漆原半蔵)も、天使戦ではたまに役に立つ。<腐っても元・大天使筆頭なので顔が利く。ただし悪魔大元帥時代は、下っ端悪魔に影で「堕元帥」とか呼ばれていたらしい(笑)

 女性キャラも全員いい。一巻の時にも書いたが、極端なキャラ付けの「現実にいたらウゼー‥‥」系の女が一人もおらず、みんな地味にリアル+αくらいのいい子ばかりで好感度大。
 勇者エミリアはいいツンデレだ。女子高生バイトのちーちゃんは健気だ。うどんさんはマジうどんさんだ。<訂教審議会(旧・異端審問会)のクレスティア・ベル(偽名・鎌月鈴乃)。大変物知りで冷静な浴衣美人キャラ。‥‥なのだが、引っ越し時の差し入れが山積みのうどんだったのと、その後も異様にうどんにこだわる場面があったため、読者にうどんさんと通称され、五巻ではついにうどん食ってる絵で表紙を飾った。

 既刊を思い返せば、地味に海ネタ(水着回)とか、お料理対決ネタ(差し入れうどん・手作り弁当・あり合わせ材料の酢の物とかだが)とか、ラノベの萌えテンプレが毎回きっちり織り込まれてはいた。
 しかし、職業ネタ絡みだったり世界観設定の伏線入ってたりと結構捻ってあって、いかにもなウザさがなくてすらっと読めてた。そこら辺はやっぱ作者の腕だろうなあ。

(ちなみに現在「ビブリア古書堂の事件手帖」が大ヒット中の三上延は、前作「偽りのドラグーン」で誰も求めてないヒロインお料理対決ネタをやってみた挙げ句、売れてるビブリアに集中しろとのお達しなのか打ち切り食らって「あんな無駄なネタで巻数食ってなければもうちょっと話進んだのに‥‥」と読者を嘆かせた。<元々萌え萌えした作風じゃないのに、テコ入れでやらされたと思われる。しかしドラグーンに限らず、ヒロインのスペック対決とか誰が楽しいんだよ‥‥といつも思う)

 この人の文章自体はそれほど好みではないのだが(※)、一般的に平易で読みやすい。
 続巻にも多大に期待!

(※‥‥上手い下手と好き嫌いは別。さらに、上手い下手と感性の独特さも別。自分が書きたい文章もまた別)
(何つか、この人の文章は読みやすいけど、基本的に「ト書き」なんだよね。個々の感情描写はほぼ省いて状況しか書かないという、うちの長め小ネタSSでやってるくらいの感じ。まあ作者の主観だだ漏れのダラ長い無駄長文とか、入間人間みたいな特殊すぎてくそ読みづらい文章よりはずっといいんだけども、いつかシリアスでもうちょっと濃い文章も読んでみたいなー‥‥と思うのさ‥‥)


・新世界より/上・中・下巻(作者・貴志祐介)
 一般小説はなるべく読まない主義なのだが、アニメ化と聞いて何かデンパが来たので読んでみた。
 面白かった。
 しかしこれ一般小説なのか? フツーに近未来SFラノベじゃないのか??‥‥
 それはさておき。

 この時代/世界観として当たり前になってるという設定で、さらっと同性愛描写があるんだが(男×男、女×女両方)あの純朴な絵柄のアニメでそこんところはどうするんだろうなあ。やっぱ省くのか? でも省いたら後の重要展開で「何でそこ気付いたんだよ」になるとこあるしなあ。気になる。
 そして個人的にはそこら辺が「社会システム上の必要性のため、現代では異常とされてることもここではフツーになってます」的な理由で出されてくるのがちょっと不愉快。そこは現代だって多様性の範疇だろ。

 ただ、他にも物語の端々で、未来の異常な社会の中で育った主人公が、何も疑問を感じず発想・行動することに、読んでる方は「エエ?!」ってなる場面は多々あって。
 その意図的な「普通」のずれ、主人公(とその世界)に対する気持ちの悪さや違和感、というものの描き方はものすごく上手くて、上手いだけに気分が悪かった。
 それはバタバタ人が死ぬとかそういう方面ではなく、やはり主人公・早季のメンタリティに対する違和感なんだ。
 ラストの方で早季が色んな重たい真実を知って、色々悩んだり悩まなかったりするんだが、「何故これに関して何も回想しない?!」ってことがひとつあって、多分その読者の突っ込みも、作者の意図したところなんだよなあ‥‥

(既読者の方向け/早季はラストの悪鬼戦で奇狼丸に提案した作戦について、もっと罪悪感感じるとか感謝するとかしていいと思うんだ‥‥あの作戦を提案してああいう結果になって、そのまま当たり前のように奇狼丸スルーで悪鬼に涙してるってのが‥‥あのおかしさはやっぱ、「社会のいびつさに気付いた人も、やはりその歪みを基準に世界を見ることからは脱却しきれてはいない」ってことだよね‥‥)

 という訳で、これもやっぱ「先に原作を読んだ方が」って感じなのかなあ。うーん‥‥


御礼‥‥パチパチありがとうございます(^_^)/
 二名様にパチって頂いた! うかうかしてると、日記ネタがデビでも獣でもなくなっていきますが、そんな状況にも反応ありがとうございます‥‥いや、デビデビとメガテンとイエモンとBAROQUEとムアコックは、私の中では似た波長のものでありまして、何かつい語ってしまうのだ‥‥
 そして前述のDVD「TRUE MIND NAKED」の後には、また「RED TAPE NAKED」が出るらしい‥‥何というゾンビ商法。前事務所とコロムビア、絶対金ないだろ。と突っ込みたい。レッドテープも多分買うけど!‥‥何だかなー。