(デビ連載時はまだスマホなどなく、PHS・ケータイもまだ持ってなくても当たり前・持っている友達に「やっぱあると便利なもの?」と聞いたりする程度の普及率でした、という前提の小ネタ)
携帯電話ってもんは持たないのか、とある日ソードが訊いてきた。
「うーん‥‥要らないかなあ。僕、薬味先輩しか友達いないし」
「そんな理由かよ!」
「あと、高校の入学祝いにパソコン買ってもらっちゃったから、それ以上はちょっと‥‥」
「俺も中学時代は色々負担掛けたからな‥‥」
「あー、バイクでの物損とか人身とか、喧嘩沙汰の時の賠償とか―――ぁが」
双魔の口をにょみーんと引っ張って伸ばしながら、神無がジロリとイオスとソードを見る。
「その上度重なる入院だの遠出だの、家の屋根壊すだのと、無駄な出費をかけやがるからな‥‥お前らが」
「そ、それについては非常に申し訳ないと常々思って―――」
「そもそもお前ら、お互いの心読めるしな。ケータイとか要らねーか」
「それはお前とイオスもだろう。‥‥そういえばお前ら、天界と魔界で決闘してた頃、どうやって101回も待ち合わせしてたんだ?」
「そういえば向こうにはケータイどころか家電もないしね」
「いえ、別に毎回示し合わせて待ち合わせしていた訳では‥‥」
「え、そうなの?」
「はい。私が戦闘に出ていると、大体ソードが現れるので」
「ストーカーか」
「何だと!」
「しかも味方であるはずの魔界軍を蹴散らして突っ込んでくるので、他に戦う相手がいなくなって、そのままなし崩しにソードとの決闘になだれ込む、というのがいつものパターンでしたね」
「しょうがねえだろ、てめえに近付く方法なんか他にねえんだし」
「だから対魔界軍の私の戦績って、一部虚偽表示と言えなくもないんですよね‥‥一部分は毎回ソードが倒している訳ですから」
「ええー‥‥(何だろうこのがっかり感‥‥)」
「‥‥‥‥‥‥(あまり知りたくなかったなそれは‥‥と、微妙に遠い目になってしまった)」
(まあ当時の実力としては「イオス≧ソード>その他雑魚悪魔」ということで、結果的に「戦績に偽りなし」だとは思いますが)