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中の人日記・微妙編

 先日、検索を辿りに辿ってとあるブログに行き着いた。
 その人は、とある小説家の大ファンで、ブログの内容もその作家の書評がたくさんあった。
 で、何やらその作家主催のイベントがあったということで、そこに参加してのレポを書いていたのだが。
 その中に、とっくに完結した(と思っていた)、しかも賛否両論どころかけっこう非難囂々なオチだったらしい作品の続編がまたあるらしいという衝撃の情報が‥‥

 名前は出さんが、その作家は聞けば多分誰でも知ってる有名作家。
 ここ十年ほどで、急速に文章・内容共に書くものが壊れていったのでも密かに有名。
 多作で過去には名作も多く、それゆえファンも膨大なのだが、おかしくなった現在を嘆く元ファンも膨大。
(この辺で作家が誰か解る人多数と思われる)

 イグも変則的とはいえ、以前は割とその人作品のファンであった。
 どう変則的かというと、誰もが上げる有名作・大ヒットシリーズはあまり好きではなく、ちょっと別系統の作品の方が好きだったから。
(代表作であろう大ヒット長編シリーズなんかはあんまり好みじゃなく、第一巻きりで挫折した。おかげで筋金入ったファンの人とはあんまり話が通じない)

 で、この人はよっぽど愛着のあるらしい同じキャラ・モチーフの話を何回か焼き直して別の話にする、というのをやっていて、同じ名前のキャラが出てくる違う話が三部作的に存在する。
 主人公Aだけがメインのやつと、Aに対するBという人の話が対になったのと、Aだけがメインの、劇中劇を切り出したような、前述二作とは全然違うまた別の話。
 イグが好きなのはAさん編とBさん編が対になったやつで、後にBさんメインの続編が出たのもこの話。
 そして、続編があるという衝撃の作者発言があったのも、この話なのであった‥‥

 その話は、一度ハードカバー上下巻で完結したと思われた後、数年を経てBさんメインの続編が刊行された。
 どっちかというと大長編シリーズの方のマニアであり、こっちのシリーズには興味なさそうだった友人は、その時点で既に「続編はないって言ってたのに」と何か不愉快そうであったのだが、とりあえず前作品のファンであったイグは普通に嬉しく続きを読んだ。三巻まで。
 なんで三巻までかというと、何故かそこで刊行ペースが一旦がたっと落ちたんである。
 その続きがあるのかないのか、ネットもアマゾンも普及してなかった当時は解らぬまま、そのシリーズのことは一旦忘れていた。世間で言われる作家の崩壊が、その頃刊行中だった他のシリーズで顕著になってきていて、何か興味が薄れてきたのもあったと思う。

 それから数年経った後、イグは本屋で衝撃を受けた。
 続きがどうなってるのか解らなかったそのシリーズが、いかにもBLな表紙絵がついて、文庫全五巻で新装再版されていたからだ。
 ハードカバー版で読んでいなかった続きは気になったのだが、ものすごーくイメージの合わない絵が激しく嫌だったので、どうにも手が出なかった。
 後日ネットで検索してみたところ、案の定、刊行が遅れた4巻と5巻は、既に始まっていた作者の崩壊に巻き込まれ、えらいことになっていたようだった。

 そして結局手が出せないまま今に至っているのだが、例のブログ情報によると、その続きがさらに2000枚あるって‥‥どういうこったい○○先生。
 もし本当に出たら出たで、やっぱり追っかけて読んでしまうとは思うのだが。絵が超気に入らない文庫版4巻と5巻も買った上で。
 しかし。しかしだ。
 美しい思い出が、作者自らの暴挙でメタメタに崩壊してしまうという可能性もなきにしもあらずというか、この場合かなり高確率でそうなるんじゃないだろうかという不吉な予感が、もはや予感ではないレベルでずっしりと背にのしかかっているというか何というか。つられてこっちの日本語まで崩壊しそうだよ全く。

 何だかなあ。
 というのが割とイグの口癖なのだが、今日の溜息はいつもの28倍くらい重い。