記事一覧

メビウス

 全然話題にしてないけど、普通に面白いです、メビウス。
 メビウスは複雑な放送開始時の事情によって、里では放送が三ヶ月ばかり遅れています。それどころか、もっと遅い地域もあるらしく。
 なので、感想書いても都会の方からは今さら感漂ってしまう上、どこらへんまでネタバレに引っかかるのか全く読めないというのが気になっていて、あんまりネタにしないままだったのでした。

 しかし、さすがウルトラマンは手堅いです。
 メビウスは、マックス以上に昭和シリーズの流れを汲んで作られていますが、色々と新機軸も投入してありまして。
 昭和のみならず、今までのウルトラマンは大概「ウルトラマンが既存の地球人の体を借りている」という形式でした。一旦体を借りると、そのパーソナリティはほぼ100%地球人のものがベースになり、ウルトラマン本人の自我とかがどんなのだったかは全く解りません。

(その割に、任務を終えてM78星雲に帰るとなると、地球人としての生活をあっさり捨てて、ウルトラマンの意志として帰還してしまうのが謎だった。そして後発シリーズで兄弟を助けに地球に再来すると、人間姿で活動していても中身は全くウルトラマンの方のパーソナリティになってしまっている)

 その点、メビウスはいきなりウルトラマン本人が地球人のふりをしてGuys(今作における地球防衛隊)に入隊しちゃってます。誰の体も借りてないのは珍しいパターンのような。
 で、地球人としてのベースがないもんだから、登場時におけるメビウスの、ウルトラマンとしての初心者ぶりも面白かった。怪獣の攻撃を避けるために、うっかりビルを楯にしてしまい、熱血バカ系のリュウ隊員に「何やってんだよ! なんも守れてねえじゃねえかよ!!」と嘆かれるシーンは斬新だったなあ。

(確か「帰ってきたウルトラマン」で、ウルトラマンVS怪獣の戦闘で倒壊したビルの下敷きになって家族を失ったがゆえに、ウルトラマンを憎んでいる子供、というのが出てきたことはあったが、あれは戦闘下手というより不可抗力として描かれていた気がする)

 でもって、メビウスであるヒビノ隊員は、そういう失敗も踏まえて徐々に人間の思考を身につけると共に、先の戦闘で大敗したGuysの新隊員を集めるのですが、この面子がこれまた今時の新機軸でして。
 運動能力に秀でたイケメンJリーガーと女性バイクレーサー、眼鏡ドジっ子系の保育園の保母さん、大病院の跡取り息子らしい怪獣オタク、というラインナップ。
 前述の熱血バカ系は、そんな素人同然の新人達がいまいち気に入らなくて色々揉めたりするんだけど、その辺を上手く取りまとめる隊長は、なんか営業マンみたいな口の上手い人だったりするのがまた面白い(笑)

 そういう、新隊員どうしのうち解けるまでのゴタゴタを一通りやった後は、今度は謎の青いウルトラマン・ツルギが、死んだはずのセリザワ前隊長の体を借りて出てきたりします。
 メビウスがツルギに「君は宇宙警備隊のメンバーじゃないはずだ。何故この星にいるんだ」というようなことを言ったりして、ウルトラマン側の事情が少しずつ明らかになったりするのもこれまた手堅い。
 最もその手堅さゆえに、視聴者がぶっ飛ぶような派手さがいまいち足りないという気がしなくもないですが、その分後味の悪いネタは一切ないので、安心して見ていられるのはやっぱり強みではないかと。

 あと個人的には、メビウス=ヒビノ隊員役の人の顔(表情)がなんか好きでして。
 他の隊員みたいな細かい機微のあんまりない、「笑顔」「何か考えてる顔」「戦意」みたいな、大雑把なルーチンしかないような感じなんですが、それがまた今までの「ウルトラマンの力を手に入れた人間」ではなく「人間の姿をしているだけのウルトラマン本人」っぽく見えるのですね。
 悪意や邪気どころか、落ち込んだり悩んだりというマイナス思考そのものが存在してないようなウルトラマンが、そのまんま人間になった顔。その辺も、割と今までにないタイプかなあと思ったりしています。

 そんな訳なので、あんまり書かないけど毎週楽しみに見ています、メビウス。