またもクローゼットにこもっているらしい影サタン様。
そうそう服装に凝るたちでもないのに、と訝ったシバ(新)がふと歩み寄ってみると、真剣な顔で姿見をのぞき込んでいる影様の姿が。
「‥‥どうかしたのか?」
と声をかけようとして、鏡の中を見たシバ絶句。
そこに映っているのは、実際の影様(14歳くらい)よりかなり成長した、二十歳くらいの姿だったのだ!
「ああ‥‥もう少し成長が進んだらどんな感じかと思ってね」
「‥‥そうか」
こんな感じになるのか、と思いつつも、ここまで成長するのにあと何百年かかるのだろう‥‥その頃まで自分の寿命が保つのだろうか、とちょっと目眩がしてきたシバ。
しかしその様子に気付いた影様が、
「心配しなくとも、君の寿命も僕と同じになったんだからね?」
「? 同じとは‥‥」
「この世界を作った時、君に僕の寿命を分けただろう? あれ以来、君は僕と同じペースで歳を取るようになっているんだよ」
「ということは―――」
「ほら、こんな感じだよ」
と、指された先の鏡の中には、影様同様5~6歳ばかり年を重ねた風の、ちょっとだけ渋くなったシバの姿が。
「でも、結局君との見た目の歳の差が縮まらないのはどうしたものやら」
「縮める必要があるのか?」
そもそも見た目がどうであれ、実際は影様の方が数百年単位で年上なのである。何を今さら‥‥と思ったシバに、影様がちょっと拗ね気味に言う。
「だって君は本来、こんな子供の身体より、ちゃんと育った方が好みなんだろう?」
‥‥何を突然言い出すかと思えば。
絶句したままのシバに、影様ちょっと溜息をついて、
「せめてもう少し成長ペースが早ければよかったのに」
心底残念そう。
少しの間の後、シバはふっと苦笑して、影様の肩を抱き寄せたり(身長差・勝手な推定35センチ)。
「いや‥‥これはこれで」
「いいのかい?」
「お前なら、それで」
「‥‥うん」
そんなこんなで、何だか平和な影様とシバ(新)なのでした。
◇ ◇ ◇
‥‥うう、幸せな小ネタに逃避してないで、不幸ネタの原稿を進めなくては‥‥
御礼‥‥パチパチとコメント、ありがとうございます(^_^)/ 漢方の材料に怯えつつ原稿書きます。