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はたらく魔王さま!アニメ版

 ネット配信組なのでやっと一話見た。
 えっらいよく出来てた! 感動した!
 原作ファンとして多少の文句と違和感がないでもないが、昨今のダメ改変に比べたらまあ見逃せるレベル。

 ちなみに違和感部分↓
・原作ではスーパー女子高生なちーちゃんが、何故かアニメではドジッ子に!
 (後々辻褄合わなくなるぞ‥‥そこまでアニメにしないからいいってか?!)
・大家ミキティーのキャラが、ずいぶんとマイルドになってる。物足りねえー!
 (原作イメージだともっとものすさまじい)
・芦屋、ちょっとコメディ特化されてキャラ崩れてる。
 (間違っても図書館で大声上げるような人ではない)

 他はしかし、全般的にかなーり良く出来てた。
 アニメ冒頭部分の、人間界に来る前のエンテ・イスラでの戦いなんか、原作だとほんと「延々と回想での説明」だったからな‥‥
 原作は、真奥が芦屋に「スーパーサイズミーですか!」とか説教されて、逃げるようにバイトに行くってあの辺から始まるのだ。そっからエンテ・イスラであんなこんながあって、人間界に来て戸籍~履歴書~マグロナルドに至る、までが全部回想として「説明」されるんだよ‥‥マジ説明。
 どのくらいの説明っぷりかと言うと、
「どシリアスな前史エンテ・イスラ編が既に文庫6冊くらい展開してて、次に始まった地球編の冒頭でその内容がダイジェスト解説されてます」
 って言われたら信じるレベル。「銀英伝の一巻」っつったら解る人いるか?
 原作読んだ時も、これ実はエンテ・イスラでの魔王軍VS人間の話を大真面目に書いた話が先にあって、しかし「ダメだ今どき凡百の異世界ファンタジー戦記じゃ!」ってなって、そっから捻ったんじゃないだろうな‥‥って疑ったもん。
 しかしアニメでは、ここを冒頭にすることで、後とのギャップがさらに活かせていい感じになってた。
 その上あの謎言語が、原作者が本気で作成したエンテ・イスラ語と知ってなおびっくり! 一体何のヒトなんだ原作者。

 原作魔王さまの「文章」自体は、前から書いてるように好きではない。現在進行形+体言止めを多用しすぎて、状況を説明する「台本のト書き(小説寄りな濃いめ)」にしか見えないんだ。カメラワーク的な「描写」ではなく。
 ラノベの文章としては上手い方なんだけど、ほら、俺が好きなラノベ作家って古橋秀之とか三上延とかの方向性だからさ‥‥
(ちなみにさっき引き合いに出した銀英伝/田中芳樹も、説明的な文章が嫌いなタイプです)
 逆に言えば、セリフ運びなんかは非常にアニメ向きの文章ではある。心理描写がかなり少なく、ほとんどがセリフと状況・過去設定の説明で進むので。
 ただ、その説明に詰まってる情報量が、普通のラノベよりはかなり多い。なんつか大げさに言うと、指輪物語とかああいうのを、文章だけラノベにしてスピンオフコメディ書いたような感じ。
 アニメは場面構成を変える+絵面で見せることで、そこら辺の設定を上手いこと詰めこんでまとめてたと思う。

 全くもって、原作付きのアニメを褒めたのはどのくらいぶりだ俺。
 と思うくらいには、原作ファンにも満足な一話でした。ちーちゃんの改変以外は。
 カツドゥーンなんかはアニメのオリジナルネタだったが、あれはむしろ大変良かった(笑)
 このまま崩れずに上手いこと続くといいなあ。

 あ、原作8巻もついこの前発売されて、ちょっと急展開してました。
 俺感覚だと10~12巻くらいで完結するか、続くとしても「第一部完」的な一区切りつくか?って感じでした。むしろ無駄な引き延ばしが入らないことを祈る(※)。
(※‥‥主役チェンジなしで10巻以内で終わらないラノベが面白かった試しはない&絶対途中でダレて読者も惰性買いしてる、という個人的基準)

 原作も全力でお勧めします。
 上で散々文句言ってる文章も、多分気にしてるのは俺だけだから。<あくまで「好みじゃない」って話であって、文章自体は癖がなく大変スムーズに読みやすい方なのは間違いない。

―――

 あと余談。
 出来の善し悪しとは関係なく、個人的に気になったところ。
 アニメの画は、当然だが原作の挿絵よりアニメ向きにデフォルメされている。
 そのデフォルメで、なーんか真奥が、ソードと青エクの燐を足して二で割ったような顔に見えてしょうがなく‥‥!
 見ている間中「違う! この真奥何か違う!!」という、世間の人とは違う違和感で一杯でした‥‥いや、真奥はもうちょっとだけ大人っぽいイメージだったんで‥‥
 まああの人のものすっげえ有能さが、アニメでは尺の都合かちょっと控えめに省かれてたからしょうがないか。
 という訳で次回にも期待!