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中の人日記・今月の当たりラノベ編

「デスニードラウンド/ラウンド1」著者:アサウラ(オーバーラップ文庫)
公式の紹介ページ。←カラー絵数ページと冒頭本文が立ち読み出来ます。

 以下、↑の多大なるネタバレを含んでいます。ご注意をば。



 まあよく見たら発売は先月末だったので「今月の」でもないのだが、連休で入荷遅れ&先週気付いたのでそれはそれで。


多額の借金を持つ女子高生のユリは返済のために、銃を持ち、己の命をリスクに晒す……そんな危険な傭兵稼業に手を出した。彼女は合法・非合法を問わず危険な仕事を請け負う「死に損ない」ばかりの松倉チームで仕事を始めるが、なぜか連れて行かれたのは都内のバーガーショップ。
「こ、これ、ヤバくないですか!? 超ヤバイですよね!?」
ユリの初仕事は、なんとバーガーショップのマスコットキャラクターを襲撃することだった…!
不可思議な仕事依頼をきっかけに、銃弾と血と笑い声が飛び交う常軌を逸した夜が始まる──ユリは未来を切り開くために戦い抜けるのか!?
 

 という裏表紙のあらすじを見ると、なんかお気楽女子高生アクションっぽいが、中身はごっついガンアクションものでありました。
 ストーリーは実質「超能力クレイジーピエロ(改造人間)vs 伝説の傭兵チーム(見習い女子高生含む)」で、主人公ユリが借金しょった女子高生、って設定は、ぶっちゃけ若い萌えオタ向けの釣り餌だなー、って感じ。
 作者は昨今「ベン・トー」で結構売れてるヒトなのだが、自分にとってこの人はその前作「バニラ」(※)の人なので、あーなるほど、と深く頷いた。‥‥この人萌え萌えした女の子ものより、銃器類の方が絶対好きだよね。
 万が一萌えを期待して買っちゃった人は、これを機に違う方面に目覚めるがよいわ! ふはははは!<昨今のラノベは恋愛沙汰ばかりでダルい! もっと血と肉と燃えを!というのが俺ポリシーです。

(※‥‥やはり女子高生が主役の、ハードなガンアクションもの。→前に書いた感想

 バニラ同様、というか、ものが傭兵ネタなせいもあり、前より銃器類の蘊蓄が濃いめ。おかげでそこら辺だけ何が何だか訳解らんのだが、話は普通に面白く、文章も好み。セリフ少なくて地の文多め。そしてアクションが上手い!
 冒頭で説明される世界観設定によると、北海道が独立戦争起こして敗北してたり、栃木と群馬が紛争してたりする。それで武器弾薬がアメリカ並みに出回ってる、という現代日本が舞台で、あらすじに出てくるバーガーショップは「ワックマインド」通称ワック、暗殺依頼のターゲットは「ロナウダ・ワックマインド」‥‥マクドナルドとロナルドか‥‥<他にもワスバーガーとかドゥドゥバーガーとか出てくる。
 しばらく「はたらく魔王さま!」読んでたから、作中のマグロナルド/マクドナルドには相当明るいイメージが刷り込まれてたんだけど、これ読むと一気にそのイメージが反転します。
 暗殺ターゲットのマッドピエロ・ロナウダがマジ恐ぇ。冒頭カラーページにそのイラストがあるんだけど、中身の雰囲気がすっげえ出てる。絵描きのヒトは女の子も可愛いが、こういう化け物とかシリアス絵がさらにいいな。
(正直、作者名に加え、表紙の女の子絵が今風の萌え萌えした感じじゃないさっぱり系だったので買った)

 冒頭の立ち読み部分は、戦闘描写もまだ軽い。しかしこの後は小刻みな息抜きシーンを挟みつつも、どんどん血生臭い展開に進んでいく。全体的なイメージとしては冒頭絵のロナウダの雰囲気。
 撃っても撃っても死なないモンスター。見ている間に傷口がグチャグチャと癒着していく。超能力で弾よけもするし、幻覚で敵を惑わしたりともう何でもあり。しかしそのモンスターが生まれた理由と、暗殺依頼の結末は、切なくもたいへん後味悪い。
 比較的一般人(こっちの世界の)に近い感覚の、新米ユリの不慣れさだけが救いと言えば救い。しかし彼女は借金のカタに死ぬまで身体売って内臓取られて死ぬか、傭兵稼業で稼ぐ/あるいは早々に死んで、かけられている莫大な保険金で借金払うか、の二択を迫られている人。なのでいつかはこの稼業に慣れざるを得ないんだろうなあ、というのも重い。
 そしてどう見てもロナウダは死んでない。多分これ、何作かシリーズが続いた最終巻で「最初の敵が、最後に再び立ちふさがる!というフラグっぽい終わり方。
 それはそれですごく楽しみなのだが、その頃にはユリどうなってるんだろうなあ‥‥
 とか考えるくらい、主人公ユリは可愛いし、ロナウダは恐いし、先輩チームの松倉は物静かに強くて、それぞれみんな魅力的でした。

 という訳で、人死にがバンバン出るアクション系が苦手じゃない人には特にお勧めします。面白かったよ!


御礼‥‥パチパチありがとうございます(^_^)/
 ゆるキャラブームとよく聞きますが、しかし、ああいう大人サイズの着ぐるみキャラって、小さい子供は逆に苦手だったりしないんだろうか‥‥と時々思います。少なくとも自分は恐かったよ幼少期‥‥絵面のイメージよりでけえ!っていうのと、書き割りの無表情のまま、オーバーアクションで迫ってくるのが恐いんだよね‥‥そういや上のマクドネタですが、ロナルドは恐いっていう子供は結構多くない? あのヒト特に背が高いし。そういや昔友達が「ドナルドは恐いから鬼畜攻ですよ! 私は断然ドナルド×ハンバーグラー派ですよ!」と言っていたなあ‥‥いや俺はその発想が出る腐女子が恐えよ。ていうかハンバーグラーって誰だっけ(←マックの進出が遅かった地域在住なんで詳しくない)と思ったが「そうなんですかー‥‥」としか言えなかった。何だかなー。

―――

・後から気付いて日付が変わる頃追記。
 マックのキャラの「ドナルド」は日本だけでの呼称で、本名はロナルドですよ。<何故か米名で覚えてたので、文中でそう書いちゃってたが「あ、これミスタイプと思われる?!」と気付いて加筆。