(多分、デビページ収納時には、もうちょっとましなタイトルをつけます)
(※一旦上げてから一時間くらいかけて直しまくったので、最終稿では細部がちょこちょこ変わっています)
「わたしたち、屋根裏に住む子鼠の兄妹みたいだね」
ミラは時々、こんなふうに、変に詩的なことを言う。
「ずっと、こうしていられると、いいね」
「うん」
「明日も、明後日も、明明後日も」
「うん」
「ぱっと死んじゃうのも、いいかもね」
「うん」(電撃文庫刊・古橋秀之「ブラッドジャケット」より)
こんなシーンを思い出したのは、多分、ちょっと浮き世離れしたイオスさんのせいだ。
「サーティーワンのラムレーズンって、何だか月の写真に似てるよね」
丸くスクープされたアイスを前に、何とはなしに呟いた僕に、ああ、とイオスさんは頷いた。
「言われてみれば、似てますね。‥‥それで思い出しました」
「え?」
「さっきメニューを見ている時、何かに似ていると思ったんですが、その何かがどうしても思い出せなかったんですよ」
店外のベンチから立ち上がって、イオスさんはそのすぐ隣、入り口の脇にあるお品書きスタンドに歩み寄った。
「ほら、これ」
と僕を見て指差したのは、季節限定のフレーバー「クリームソーダ」の写真だった。
涼しげな水色のシャーベット(?)と、クリームの白がゆるやかに混ざり合う、丸いフォルムを見て、僕も解った。
「地球儀だね」
「ええ。‥‥おかげで疑問が解けてすっきりしました」
頷いてイオスさんはほんのりと笑った。
「次はこれとラムレーズンでダブルにしてみましょうか」
「ロシュの限界越えに挑戦だね。ちょっと比率的に月が大きすぎるけど」
下らないことを言って、僕も笑った。
下らないけど、楽しい。これが神無なら、アイスが月に似ているなんて言った時点で、呆れたように溜息をつかれるに決まっているのだから。
イオスさんとソードさんの観点は、人間の感覚とはちょっと違う。
だけど時々はこんな風に、妙に意見が合うこともあって、それが僕にはとても楽しい。
オカルト的な観点だけでなく、まるで兄弟が増えたように思えて。
そして、昔からずっとこうだったような気がして。
でも―――
「‥‥ずっとこのままなら、いいのにね」
「え?」
「何でもない」
振り返ったイオスさんに、かぶりを振って僕も立ち上がった。
―――ぱっと死んじゃうのも、いいかもね。
という、ミラのセリフがリフレインして、慌ててそれを振り払う。
僕の考えていることなんか、神無どころかイオスさんにさえ筒抜けなのは、とうに思い知っていたのだけれど(なにせ、イオスさんには魂の色が見えるのだ)。
それでも、気のない笑いをへらへらと浮かべて何も考えていない風を装い、それを自身にも刷り込む他に、今の僕に出来ることはなかった。
――――――
↑の中身とは全く関係ないけど、私が妙に双魔とネコという組み合わせが好きなのは、多分冒頭に引用したブラジャケのキャラ・アーヴィーとミラの影響だと思う。
ブラジャケが97年の初夏で、デビが秋に始まってて、時期が近いんだよね。
そんで初登場時の鬱双魔と、アーヴィーのぼんやり鬱のイメージが重なっちゃったんだよなー‥‥
だからまさかちょっと後に、双魔があんなチャカチャカしたキャラになっちまおうとは夢にも思わ(略)
御礼‥‥パチパチありがとうございます(^_^)/
二次でもあまりに長くやってると、キャラの生活用品とかを細々と考察してしまいます‥‥元々、オリジナルやってた時も、キャラの身長体重血液型生年月日住所家の間取り家族構成とかをしつこく細かく設定していたので、その時の名残がこんなところにまで‥‥水子の魂百まで踊り忘れず。