いつもと変わらぬ学校の帰り。
双魔は行く先の路上に寝そべる、飼い猫らしきブチ猫を見つけた。
「あ、猫。おいでおいで~」
手入れの良さそうな毛艶と首輪に、人慣れを期待してそっと近寄り、話しかけながら手を伸ばす。
自宅に猫的なものがいるにはいる。
が、いかんせん、コウモリネコは飽くまで悪魔で、人間界のリアル猫とは違う。
意思疎通が可能という特典は大きいのだが、たまには普通の猫と遊んでみたいのだ。
‥‥しかし、ソードやネコといった魔族の匂いがするのか、単に警戒心が強いのか、猫はビクリと身じろぎし、伸ばした手から後ずさって逃れた。
じり、と距離を詰めると同じだけ後ずさり、どう見ても逃げるタイミングを伺っている風情だ。
「うーん、駄目かなー」
まあ仕方ないか、と諦め気味に双魔が溜息をついた時、
「―――どうしたのニャ、双魔」
飛んでいたのか塀の上を散歩していたのか、コウモリネコがシュタリ!と降り立った。
「あー、うん、久し振りに本物の猫を見掛けたんだけど‥‥」
かくかくしかじかと事情を話すと、
「ニャるほどニャ~」
コウモリネコはふむふむと頷き、くるりとブチ猫に向き直った。
え、と見ている双魔の前で、四肢を踏みしめて「シャー!」と一喝!
するとブチ猫はビクゥ!と震え、ぼわりと毛並みを膨らませながらも、コロリと腹を出して寝転んだではないか!
「え? ど、どういうこと?!」
「この辺のイエネコはみんなあちしがセイアツしたのニャ」
セイアツ。‥‥あ、「制圧」ね、とワンテンポ遅れて脳内変換しつつ、茫然と猫とネコを見やる双魔に、ネコは得意気に胸を張って言った。
「町内にあちしに逆らえるイエネコはいないのニャー。だから好きなだけモフモフするといいニャ!」
「あ、うん‥‥す、すごいねナナちゃん‥‥」
強張りつつもプルプルと震え、ボス猫(?)の命令に従うブチ猫を、どうにもぎこちなく撫でながら、
(いや、ナナちゃんは一応悪魔だから、普通の猫より強いのは当たり前―――とは言わない方がいいんだろうなあ‥‥でもこれってある意味パワハラだよね‥‥いいのかなー‥‥何だかあんまり嬉しくない‥‥)
と、何とも微妙な気持ちになってしまう双魔であった‥‥
御礼‥‥パチパチとコメントありがとうございます(^_^)/
二名様にパチって頂いた! 感謝! ああー何かこれは「解るよ! ありがちだよ! そのくらい買っちゃうよ好きな物は!」な日記ネタへの賛同&「久々の里更新確認! もっと里ネタを!」な予感‥‥! ノーマディックの鞄とマーチンの靴は、多分今後もじわじわ増えると思われます‥‥特にマーチンは、予算が赦せば欲しいもの十万円くらい買っちゃうことは容易に可能なのです‥‥(8ホールブーツのチェリレ・ネイビー・イエロー・グリーン、とか買うだけで軽く九万越える) もっと自制を‥‥!
里ネタは、ネタ自体は結構あるのですが、いかんせんまとめるのに時間がかかりがちで(分類とか見所の抜粋とかに気を遣う)、なかなか更新頻度が上がりません‥‥申し訳ない。もうちょっと血をあっためて行動を早めるようにじわり頑張ります。