※2を読了とかタイトル書いといて、本文を書き終わってみたら一巻の話で時間切れに終わってしまいました。すまぬ。
※禁止法1~2巻と、リメイク前の原典「アンチ・マジカル」の多大なるネタバレを含有しています。
これから読むぜ! バレとか知りたくないぜ! という方はお気を付け下さいませ。
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・ (ネタバレ避け空間)
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いやー‥‥一作目以上にエグかったです。
まずは公式のあらすじをば。
「魔法少女禁止法」
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ウィッチ・イズ・デッド?
『魔法少女禁止法』制定から10年。
異世界からの侵略者を倒し、強大な魔法少女の力など不要とされた世界でただ一人、フリルのコスチュームに身を包み「悪党」を退治し続ける少女がいた。
彼女の名は、おしゃれ天使スウィ~ト☆ベリー。
別名『フリル服の悪魔』『返り血ピンク』『狂犬』『毒ベリー』『死のおしゃれ天使』。
法に逆らい活動を続ける、世界最後の魔法少女。
彼女に惹かれた少年・佐倉真壱は、幼馴染から借りた魔法ステッキで変身し“魔法少女の弟子”となる。
そして、ふたりは元魔法少女を狙って起きた事件を追いかけるが――。
「魔法少女禁止法2」
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魔法少女同士の全面戦争へ!?
法を無視する魔法少女チーム『深夜派』。 市民が恐怖するそのチームを率いるのは、スウィ~ト☆ベリーと化したサクラ。
一方、日本政府は公認の魔法少女チーム――『昼間派』を設立し、 続々とそのメンバーを増やしていく。 同じ頃、幼馴染の奈々の前には“V”と名乗る仮面の魔法少女が現れていた。
ヴィーに強要され、やむなく奈々は『黒い魔法少女ブラっくウサミー』として、 深夜派やサクラと対立する存在に。
かくして、街にあふれた魔法少女たちは全面戦争へと突き進んでいく。?そして、その背後には潜むのは――?
大雑把には、昨今のアメコミ映画と同様の「全ての既存作品の魔法少女を、同じひとつの世界観の中にぶち込んだら?」というIFパロディで、実際に映画「ウォッチメン」のインスパイアものであるらしい。
私はウォッチメンを見てないので、そこら辺の細かいネタは解らんのだが、しかし、解らなくても全然大丈夫。
二巻はやっぱり「シビル・ウォー」であるらしいのだが、私はそっちも見ていない。しかしやっぱり大丈夫。
あと、まどかマギカに似ているという話もあるが、明確にこっちの発表が先で、そのため実質あんまり関係ない。
魔法少女ものの予備知識としても、大して詳しくなくても大丈夫。
セラムンとかキューティーハニーとかプリキュア辺りの、大雑把な名前と世間一般での浅いイメージくらい解ってれば十分。
しかしそこら辺の、魔法少女イコール「小さい女の子が・純粋な気持ちで・ひたむきに頑張って敵と戦い・ハッピーエンド」というイメージは瞬時にして覆されます。
何つっても一巻冒頭は、禁止法制定後も11年に渡って非合法魔法少女を続けているスウィ~ト☆ベリー(見た目12歳、実年齢は23歳のベテラン魔法少女・明石苺子)が、子供に覚醒剤を売ったヤクザの指をへし折るシーンから始まるからな‥‥
そしてベリーの押しかけ弟子・魔法少女サクラは、中身が17歳の男子高校生・佐倉慎壱だったりするし。<佐倉は幼馴染みである奈々の姉・マジかるウサミー(故人)の遺品アイテムを借りて変身している。
でもって、この二人が「人気モデル・金城ハニーの不審な転落死」を追い始めると、「かつて魔法少女だった人々の今」が不穏な匂いを漂わせ始める。
セーラームーンが元ネタっぽい「キラキラスターズ!」はまだいい。ちゃんと三十路手前の大人になって、会社を経営していたりOLとして働いてたり。
リーダーの人なんかは、全チーム共同戦線で最大の敵との決戦にあたった際、前世である「太陽系の女神・エターナル・ブリリアント・プリンセス」の能力に目覚め、そのまま人間以上の存在になってしまった。
(それが果たしていいことであったのかどうかは、話の端々で疑問符付きで語られるのだが)
ベリーが所属していた「おしゃれ天使」の仲間も、普通に主婦だったり、大会社の開発部長だったりする。
しかし、一世代前の先輩・スウィート・ショコラ(初代)は、不治の病で闘病中。
「空飛ぶダックさん・DE・ニコルソン(元ネタはとんでぶーりん)」は、かつての戦いの途中で既に心を病みつつあり、今では精神病院に閉じ込められて薬漬け。
途中、笑えるところも少しはある。
元ネタがレイアースである「スターレットガールズ」は、元ネタ同様、なんか馬鹿にした扱いで書かれてたり。
(こっちの世界に一人残ったメンバーが、似たような内容の自叙伝や回顧録を次々発表して荒稼ぎしつつ、評論家として薄っぺらい言動を繰り返してるところとか、原作のクランプに対する嫌味っぽい)。
キラキラスターズ!はセラムン同様、初期メンバー+続編で登場した追加戦士で構成されているのだが、追加三人の一人であるキラキラレディー・コバルト!に、
「昔の仲間(三人チームの方)はどうしている」
とベリーが訊くと、
「さあ‥‥(略)もう何年も連絡を取ってないもの」
「ウラニウムともか? レズだと噂されるほどの仲だっただろう」
「噂じゃなくて実際にそうだったのよ。でもあいつが新しい女を見つけて出て行ったから」
「そ、そうか‥‥」
なんてやりとりがあったりする。<この辺もセラムンのネタ。
しかし、色々あってベリーの変身が解け、中の人の姿があらわになると、クスッと笑えるネタはもう全く出てこない。
その「中の人・明石苺子」の設定は、オリジナルのアンチマジカルと、新版の禁止法とではちょっと設定に違いがあるのだが、その違いの理由を考えると、どっちもそれぞれ納得がいって面白い。
アンチマジカルでは、変身した魔法少女姿が23歳で、変身が解けると12歳のままだった。
新版の禁止法では、魔法少女姿は12歳のままだが、変身が解けると23歳の明石苺子が現れる。
この差は「変身」という行為が「中身である人間を強化すること」であるのか、「人間がその上に魔法少女というガワを纏うこと」であるのか?みたいな設計思想の違いじゃないかと思う。
で、ガワが、中身が、年を取っていなかった理由は、どちらも「11年間、一度も変身を解いて人間に戻らなかったから」なのだが、しかし、明らかに新版の方が悲惨である。
12歳の美少女の変身が解けたら、11年分伸び放題で汚れたボサボサの髪に、11年風呂入ってない薄汚れた身体で、当時のままの子供パジャマ(汚れて色褪せてボロボロ)を着た、23歳成人女性が――ってのは相当に痛々しい。
旧版の「23歳に成長した魔法少女の変身が解けたら、当時と変わらぬ12歳の少女が―――(まあ同じく11年分汚れてはいるが)」ってのは、驚きはあるけどそれほどの悲惨さは感じなかったしな‥‥
でも、新版を出すにあたって書きたかったのは、この「魔法少女であること・あり続けることの悲惨さ」なんじゃないかとは思う。
そもそもなんでベリーが活動を続けたかというと、サクラが借りているアイテムの本来の持ち主、マジかるウサミーの悲惨な死のせいなんだよね。
ウサミーはストーカー化した熱狂的ファン複数人に誘拐され、監禁陵辱の末に殺されたのだが、駆けつけたベリーが絶望したのは、ウサミーを助けられなかったことだけではなく、
「奴ら(犯人)の胸には《キレイなココロ(ブリリアントハート)》が宿ってた!」
という‥‥
魔法少女達は、人の心に宿る魔法の宝石《キレイなココロ》、ブリリアントハートを敵の手から守るために戦ってたというのに、当のウサミーを殺した動悸すら、ウサミーへの盲愛=キレイなココロ/純粋な夢とかそういうものであった、というのは何ともおぞましい。
「魔法少女が戦うべき相手は異世界からの侵略者なんかじゃなかった」
「皆も気付いていなかった訳じゃなく‥‥目を背けてていただけで‥‥」
そして「明石苺子」は真に「ベリー」として目覚め、以降11年間、二度と人間には戻らなかったのだと。
しかしこの痛ましさとは裏腹に、弟子のサクラは正にそのベリーへの盲愛から道を誤っていく。
そこら辺が一巻の最後~二巻への始まりなのだが‥‥しまった、一巻語ってるだけでこんなに長くなっちゃったよ!!
二巻の感想はまた後日書くか‥‥
(これもまた原稿用の文章リハビリでもあるのさ)
でもまあ、ラストの方で出てくるエターナル・ブリリアント・プリンセスの台詞は、色々と深いので書いておこう。
プリンセスは大戦の終結後、新たな魔法少女の誕生を許さずにいたのだが、資格を得ながらも変身を禁じられた少女に告げる。
「若き少年少女というものは、そもそも、ただそれだけで全能に近い存在なのだ。ゆっくりとだが、あらゆる姿に変身出来る。何を魔法などに頼る必要があろう」
これは何つか、セラムンとかプリキュアみたいな「魔法少女=戦う女の子」になる以前の、ミンキーモモとかマミとかエミ辺りの時代の根幹思想なのだが、時代は既に「悪と戦う魔法少女」が主流であり、イコール「魔法少女は魔法少女であるために敵を必要とする」という存在になり果てている、という矛盾をついた台詞なんだよね。
そしてこの矛盾こそが、二巻における抗争につながっていくという。
そんな訳で、二巻まで追いつかなかったので、そっちはまた後日書くと思われます、はい。
御礼‥‥パチパチとコメントありがとうございます(^_^)/
まずは連打の方の「コミケ当選オメ!」的なパチに感謝! オンリーワンだと落ちないって伝説はありますが、いまいち信じ切れていないので、毎度この時期はハラハラしています。いやそれとも「アニキ面白そうね!」かも知れぬ。諸手を挙げて面白いと言い切れるか、というと微妙ですが(かなり人を選ぶ感)、とりあえず、本を壁に投げつけて「買うんじゃなかった!」ということはまずないだろう、という程度には面白いです。興味が湧いたら、せめて本屋でパラ見してみて下さいませ。
そしてコメントの方ありがとうござます! うう、いつもネガティブで済まぬ‥‥しかしこの後ろ向きさが、私の原稿には不可欠なのですよ‥‥いつでも後退、後ろ向き・安全第一ザリガニマンです(違う<このネタ二度目)。
それはさておいて。ということは当日は一般ですか? そして前乗りではなくご自宅からか‥‥大変そうですが、当日無事にお会い出来るのを楽しみにしております。頑張って電波受信して新刊出すぜ!