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イグアナ日記・絵柄と作風編

 ミステリーボニータという雑誌で連載されている、「クジラの子らは砂上に歌う」(作者・梅田阿比)というマンガの話。

 世界観設定は、超未来の文明退化世界ものSFなのか、異世界ファンタジーなのか、そういうものをひっくるめた民俗学的な異文明ものなのか、微妙に分類に迷う雰囲気。
 舞台は長年漂流を続けているっぽい、船のような浮島のような閉鎖社会「泥クジラ」。
「サイミア」という超能力っぽいものを使える「印(シルシ)」と呼ばれる短命な人と、力が使えないけど普通に長生きな「無印」と呼ばれる人がいて、生活はちょい原始的ながらも平和に暮らしている。
 ‥‥という前提から物語は始まるんだけど、話が進むにつれ、若い主人公は知らなかった泥クジラと印に関する悲惨な裏話がどんどん明らかになっていく。<無印の年寄りは皆それを知っているため割と悲観的。

 そんな内容とは裏腹に、絵柄的には割と書き込みの多い系の少女漫画。ただし、可愛いけども世界観を反映して、少し重い感じの画面にしてある印象。
 しかしイグは時々思うのだ。
 これを原作に、諸星大二郎が作画だけ担当したらどうなるんだろうなー‥‥と。
 絵柄が駄目という訳では全く無いんだ。
 ただ、宮崎駿の「ナウシカを諸星大二郎に描いてほしい」発言の話があるじゃないですか。
 イグはあれすごく解るんだよね。
 あれと同じ感じで、「この世界観は諸星大二郎の絵で描いたら効果倍増なんじゃ?‥‥」とちょろっと思っちゃうんだよなあ。

 勿論、諸星大二郎に描いてほしいのは、腐界とか有象無象の蟲とか王蟲であって、あのおどろおどろしい絵のナウシカが見たい訳ではない。
「クジラの子ら~」もそれと同じで、キャラだけ梅田阿比で、背景とかサイミア発動の画面効果が諸星大二郎だったらすごいんじゃ‥‥と思ってしまう訳なのであるよ。
 いや、元々のサイミア発動の効果とか表現が、なんか少女漫画っぽくない独特さで好きなのですよ。で、それがなーんか諸星大二郎がよく描く時非の花とか、渦巻く混沌に似てるなあ‥‥と思ったのがこの発想のきっかけでありまして。

 内容にはあんま触れませんが、出だしの原始的ファンタジーっぽさとは裏腹に、ガンガン人が死に、話はハードに展開していきます。
 まあこれが諸星大二郎の絵だったらもっと悲惨さが増してるだろうなー‥‥と思う。少女漫画の絵柄が、話の重さを緩和しているというか。
 そんな訳で、色んな意味で気になるマンガです。割とお勧め。


御礼‥‥パチパチありがとうございます(^_^)/
 三名様にパチって頂いた! 感謝! これは「更新確認!」もしくは「セミ天定食旨そう‥‥?」のような予感が‥‥! いやーこれも絵柄の話になりますが、ますむらひろしのあの絵柄だとマジ旨そうですよ、セミ天定食‥‥食べたくはないですが。<虫嫌い。
 ただあのヒトの絵柄も、最近のより昔の方が好きかなあ‥‥昔の方が良かったと言えば高橋葉介とか外園昌也もそうだけど。特に外園昌也は、ホラー描いてる今よりラグナ通信とかのファンタジーが好きだったんで‥‥(ホラー恐い。だから「犬神」以降の作品が苦手。その少し前に一作きり読んだバカっぽいノリのエロは好き)