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厚っ!

 何気なくアマゾンでチェックしてみて驚いたもの。
 昔すごく好きだったムアコックの「永遠のチャンピオン」シリーズの中のひとつ、「紅衣の公子コルム」シリーズが、新装版で出直していたんですが、↓
http://www.amazon.co.jp/dp/4150116415/

 まず「価格: ¥ 1.344」でびっくり。
 何だこの値段は!と思ったら、「文庫: 800ページ」に二度びっくりΣ(◎O◎;)
 それで仕様を見てみたら、

>『剣の騎士』『剣の女王』『剣の王』の3長篇を収録。

 どうやら以前は文庫本で1~3巻として出ていた分を、何故か一冊に合体させたらしい。
 ‥‥何でだ。無茶苦茶読みづらそうなんですが‥‥
 そして新装版だけあって、表紙(と、多分中の挿絵も)が、初期版とは別の人になっているではないか。
 以前のは、まだ絵がぐにゃぐにゃしていない、ノリノリな頃の天野喜孝(というかアニメーターをやめて以降、そろそろ人気イラストレーターとしてドル箱になりつつあった頃)だったので、正直新しい絵には違和感が‥‥悪かないんだけど、何というかこう、きれいではあるけどいまいち弱いというか‥‥
(ちなみに初期版のイラストは、天野喜孝ファースト画集「魔天」に収録されているですよ。←今でもあるのかなこれ)

 この違和感には覚えがある。
 遙か昔、同時代デビューの火浦功や大原まり子に比べたら、いかんせん作風が暗くハードすぎ、神林長平はお子様お断りな雰囲気だった。
 で、「敵は海賊」という話は、神林のかなり初期の文庫本に、短編として収録されていたのだが。
 イグアナがスポーンとSFから離れてるうちに、一体何があったのか。
「敵は海賊」がなーんかシリーズとして展開し、大人気を博したらしいと聞いて、ものすごく驚いたのさえはや数年前。その上それが、近年えらいラノベっぽいイラストの表紙で新装されてたのを見かけた時には、脱皮しそうなほど驚いた。
 新装版ムアコック(コルムのみならず、エルリックその他全シリーズ)の違和感は、何となくその驚きというか、拍子抜け感にそこはかとなく似ている‥‥
 いや、絵がどうなろうと、訳文とかは前の人のままだから、それはそれで安心なんですが。
(多少訳文の古さはあるけど、下手にフランクな現代語にされるよりは‥‥)

 旧版のコルムは全6巻で、この新装が1~3巻分、ということは、次に続きとして4~6巻分まとめたのが出るのだろうなあ。
 ‥‥1~3巻分だけ買い直そうかな。正直4~6巻分は別の話と言っていい感じだから。
(それ言ったら先に新装されてるエレコーゼのシリーズも、旧1~2巻が合本で一冊になってるんだけど1巻分だけあればいい)

 まあそんな訳で、イグ中の人(と、ゲームの真メガテンスタッフ)がどっぷり影響を受けまくった、ロウとかカオスとか神々の勢力争いとか、人類と異種族の攻防なんかに興味のある人は、新装版コルム一冊目(旧1~3巻分)と、エレコーゼ新装版一冊目(旧1~2巻分)をお勧めいたしますですよ。分厚いけど(^_^;)

 ‥‥この調子でC・L・ムーア作品も再版してくれないかな、ハヤカワ‥‥
 ムーア好きの漫画家(吾妻ひでおとか柴田昌弘とか)が色々とネタ引っ張ってる元作品だから、需要あると思うんだけどなあ。
(でもムーアの場合は、イラストが松本零士の原版まんまでなかったら赦されないと思う)