うちの給湯ボイラーは、洗面所の壁にメインスイッチがある。
最低温度37℃から始まって、45℃までは1℃ずつ、それ以降は5℃刻みで温度を上げられる。
温度を上げ下げしようと設定ボタンを押すと、「ピッ!」という効果音と共に「給湯温度が変更されました」と喋る。<1℃刻みで。
50℃を越える設定をすると「熱いお湯が出ます」とまた喋る。
うるさいような親切なような、至れり尽くせりの製品だ。
で、ボタンを素早く押すと音声は連打キャンセルされ、「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」のあとに「給湯温度が~」一回で済む。
しかし父は年寄りなので、ボタンを小刻みに連打することが苦手らしく、母の目撃談によると、
(ピッ)「給湯温度が変更されました」
(ピッ)「給湯温度が変更されました」
(ピッ)「給湯温度が変更されました」
(ピッ)「給湯温度が変更されました」
‥‥な感じだそうで。
「(毎回フルで喋られて)ちょっとうるさいんだよねえ‥‥」
と母は言った。
しかしその話を聞いた時、榊の脳裏に浮かんだのは、
「給湯温度が」
「給湯温度が」
「給湯温度が」(ピッ)(ピッ)(ピッ)(ピッ)
「給湯温度が変更されました」(ピッ)
「熱いお湯が出ます」
という、ボイラーの音声をスクラッチした、謎の父ラップなのであった‥‥
‥‥とか話したら母バカうけ。
それ以来、母はボイラーがうるさいと言わなくなり、むしろ「父ラップ」を思い出しては笑いをこらえるようになったのだった。
何だかなー(笑)