先年、裏の地主さん宅に新しい猫がやってきた。
すごく小さいうちはあんまり外に出なかったらしく、榊が初めてそいつを見かけたのは、恐らく生後半年弱くらいであろう、去年の晩秋のことだった。
(おじいちゃんと奥さんの畑仕事についてきて、ぽけっと横で佇んでいた)
そうして今年の春あたり、寒さも薄らいで猫がうろちょろし始める頃。
推定一歳になったそいつは、近所の猫飼い宅の庭に縄張りを無視して侵入しはじめ、仁義なき戦いが始まったのだった。
長く近所に君臨していたお隣の猫は、一族全匹がもう亡くなっているので、残るはうちの猫二号と、三件向こうの寿司屋のシマ猫、反対向こうのブチ猫の三匹。
寿司屋の猫とどうなっているかは今のところ不明だが、うちの猫二号&向こうのブチ猫とは一触即発らしく、よく窓ガラス越しに唸り合っている。
というか、猫二号が一方的に怒っていて、地主猫はきょとんとしている。
猫達の声から想像するに、
猫二号「人の縄張りに無断で侵入するとは何事ぞ! 分をわきまえよ小娘が!」
地主猫「えーと‥‥アタシ小さいしママいないから、共通猫語がまだよく解んないんだよねー。おばあちゃん何怒ってんだろう‥‥」
みたいな感じ。
(猫二号は17歳なので、多分人レベルでは100歳老人並みの高齢猫と思われる)
(そして高齢すぎてもう喧嘩させるのは怖いので、その都度飼い主が邪魔しては、直接対決を阻んでいる)
まあそんな感じで、飼い主達は近所付き合いがてら、猫の動向を見守っていたのだが、ずっと地主猫の名前を聞くのを忘れていた。
それで先日、野菜をお裾分けに来た奥さんに、「そういえばお宅の猫さんの名前って?」と聞いたところ、奥さんいわく。
「最初は違う名前で呼んでたんだけど、おじいちゃんが『猫はタマだろう』っていうから(※)タマになっちゃったのよねー」
えーと‥‥猫二号の本名もタマでして‥‥‥‥同名かいΣ(◎O◎;)
ダブルタマ! 戦いはタマVSタマだったのか!
と、榊と母と奥さんびっくり。
何だかなー。
もしかして榊タマと地主タマは、名前が一緒でさらに揉めてたのかも、とか妄想したりして。
地主タマ「ども、最近地主さんちの子になりました、タマです」
榊タマ「何?! タマは我! 我のみがタマなり! 汝すみやかに改名するべし!」
地主タマ「えー、飼い主がそう呼んでるから改名とか無理だしー」
榊タマ「赦さん!」
みたいな。
いや、そんな訳はないけどね。多分(笑)
※ちなみに猫二号は、見るからに「タマ」って感じのガラだったので、会った瞬間「タマ! 君の名はタマだ!」と口走っちゃったんだよね。しかし当人から「ニャー!(解った!)」な感じの返事があって、以降「タマ」と呼ぶと反応したので、多分本人が「我が名はタマ!」と了承したと思われる。
(以下、ちょっと鬱展開話につきご注意をば)
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↑という日記をテキストに下書きしておいたのは昨日なのですが。
今日、地主さんに「いつも野菜のお裾分けありがとうございます」とお礼の品を携えて伺い、猫の話などを聞いてみたところ。
「タマねえ‥‥農薬か何かにやられたみたいで、今朝方死んじゃったんですよ‥‥」
という話が‥‥
‥‥ああああああああああああ!!!!!
何だかすごく諸行無常。