クリスマス・24・アワーズ/02


「うわあぁあああぁぁあああぁああっ!!!!!」

慌てて濡れたエプロンを引き下ろし、羽織っていたシャツを引っ張って下半身を隠そうとしたが、もう完全に手遅れである。
フランスのシャツを身につけて、はしたなく濡らした下肢を晒しているイギリスを見て、この変態はきっとまたエロ大使だとかなんとか、不本意な呼び名で自分をからかうに違いない。
料理の間は来ないだろうなんて油断せずに、鍵くらいきちんと掛けておけば良かった。
羞恥のあまり目線を下ろしたまま顔を上げられずにいると、ベッドの脇に立ってイギリスを見下ろしていたフランスは、いつもよりことさらゆっくりとした動作でベッドの端に腰掛けた。

「お前は人のベッドの上で何やってんだぁ?」

少しだけ呆れたような響きの声に、イギリスは一瞬で全身の血液が沸騰したように、顔も身体も熱くなる。
この状況で上手い言い訳などあるわけもないが黙ってもいられず、なんでもいいから弁解しなくては、と考えもまとまらないままイギリスは口を開いた。

「ちちち違うんだからな、これは! その、…ベッドからお前の匂いがして、べ、別にそれで我慢出来なくなったとか、したかったとかそういうことじゃないんだからな!!」

言い訳どころかほとんど事実をそのまましゃべってしまっていた。
そういうことじゃないんだからな、と一応否定はしているが、誰がそんな言葉を信じるだろうか。
むしろ そういうことです、 と自ら暴露しているようなものだ。
なに言ってんだ俺、と思わず頭を抱えるが、口から出た言葉を今さらなかったことになんか出来ようはずもない。
また散々バカにされて、下手をしたら他国の連中にバラされてしまうかもしれない。
俯いたままフランスの反応を待っていると、ふいに彼の手のひらがぽん、と頭に乗せられた。

「暖房きいてるとはいえ、真冬だぞ。いつまでもそんな格好してたら風邪引くぜ」

「………え…」

予想していたものとはまったく正反対の、からかうどころか自分を気遣うようなフランスの科白に驚いて、イギリスは顔を上げた。
優しい言葉とともに、髪を撫でていた彼の手のひらが、壊れ物にでも触れるかのようにそっとイギリスの頬に滑る。
フランスは穏やかな笑みを浮かべ、イギリスの柔らかくて丸い頬を手で包み込んだ。
彼の手の感触や体温は、さっきイギリスが想像したものとすっかり同じで、その馴染んだ熱に安堵感を覚える。
長い指が頬や唇に触れるのも決して不快ではなく、今すぐこの手で、さっき自分が一人でしたときのようにして欲しくてたまらなくなった。
フランスの手にあんなふうに触れられたら、頭も身体も熱くとろけてどうにかなってしまう。
彼の指が皮膚に触れるたびにもっと触って欲しい、と淫らな願望ばかりが浮かんでしまって、イギリスは今フランスに触れられることを強く望んでいた。

「とりあえず着替えなきゃな。ちょっと大人しくしてろよ」

フランスはベッドサイドに置いていたウェットティッシュに手を伸ばすと、イギリスの汚れた肌を拭い始めた。
そのことにイギリスは慌ててシャツの前を閉じて彼の手を止める。

「ばかっ、そんなのいい! 自分でやるっ」

ただでさえ見られたくないところを見られて、その上後始末までしてもらうなんて格好悪いどころの話ではない。
けれどフランスは気にした様子もなく、咎めるように手首を掴んだイギリスの手をやんわりと解いて、丁寧に身体を拭いていった。
彼の指が皮膚を掠めるように触れるたび、まだ身体の芯に燻っていた熱を煽る。

「フランス…いいって、……そんなこと…!」

弱々しく制止するが、言葉とは逆に肌は酷く過敏になり、全身にもじわじわと熱が広がっていく。
ついさっきフランスにされることを考えながらしてしまった記憶と、今肌に触れている彼の手の感触が重なり合い、イギリスの呼吸は徐々に乱れていった。
ほんの僅かな接触でも身体が熱くなっていくのを抑えられない。
イギリスの性器は再び緩く勃ち上がりかけていて、短いエプロンの布地を押し上げ露出したそこは、隠しようもなくフランスの眼前に晒される。
こんなにも素直な反応をしてしまうなんて、快感に対しては馬鹿正直な自分の身体が情けなくて疎ましい。
そう思うのに、あの綺麗な色の青い瞳に見られていると思うとますます昂ぶってしまいそうになり、身を捩ってフランスの視線から逃れようとしたが、いきなり彼の手のひらがイギリス自身に添えられ握り込まれた。

「あぅ、…」

「続き、してあげようか? まだ足りないんだろ?」

ひくり、と腰が揺れ、イギリスが小さく声を上げると、フランスはそっと身体を寄せて、いつもとは違う艶を含んだ低い声音で囁いた。
一気に縮まった彼との距離と未だ聞き慣れないその声に、動揺する気持ちを抑えて顔を背ける。

「つ、続きって、……何だよっ…そんなの、…」

願ってもない誘いだというのに、相変わらず山より高いプライドが邪魔をして、自分からは続きをして欲しいなんて言えなかった。
掠れた声でかろうじてそれだけ言うと、フランスの指がするりと伸びて顎のラインを辿る。
捉えられた顎を軽く持ち上げられ、フランスを見上げる状態で固定されたかと思うと、抵抗する間もなく彼の唇がイギリスのそれに触れた。
唇が触れ合ったのは一瞬で、柔らかな感触はすぐに離れ、吐息が感じられるくらいの距離を保ったまま

「目……閉じて」

と、劣情を滲ませた声音で呟き、イギリスはその言葉に抗うこともせず言われた通りに目を閉じる。
すると腰を抱き寄せられて、またも唇を塞がれると反射的に閉じていた口が開いた。
閉じていた唇が弛んだその隙を見逃さず、フランスの舌が口内に差し込まれる。

「…ん…、…んっ」

触れるだけだったキスが急に荒々しいものになり、まるで噛み付くみたいに思い切り吸い付かれる。
あまりの息苦しさに鼻から抜けるような高い声が出たが、今はそれをみっともないと思う余裕なんかない。
唇を重ね合わせたまま身体をベッドに倒され、ぎし、とスプリングの軋む音がやけに大きく聞こえた。

「…ぅ、…ふぁっ…」

舌を絡め取られ、互いの唾液が混ざり合う。
口内の粘膜を舐めて濡れた唇を吸い上げられ、舌先に軽く歯を立てられるとぞくりとした妙な感覚が背筋に走った。
フランスはベッドに倒したイギリスの上にのし掛かり、彼は何度も角度を変えてイギリスの唇の感触を楽しむかのように口付ける。
激しいキスに何も考えられなくなって、フランスの背に腕を回して縋り付き、目を閉じて受け入れるのが精一杯だった。
その間にもフランスの手は素肌の上を滑り、指先が小さく存在を主張していた乳首に触れた途端、ぴくりとイギリスの身体が震えた。
イギリスは閉じていた瞳を薄く開くと、フランスの背に回した腕を上げて、彼の耳の少し上についていたふわふわのねこ耳を撫でる。
当然本物の耳ではないが、柔らかい毛は触り心地が良かった。
愛おしそうにそれを優しく撫で回しながら、 「お前ってほんと動物みたいにさかるよな」 と吐息混じりの声音で呟くと、フランスはそのイギリスの科白を少し意外に思ったのか、 「それはお互い様でしょ」 と言って笑った。
イギリスの胸に触れていた彼の指が、外気に晒されて硬くなりかけていた乳首を捏ねるように押し潰した。
それだけでそこはすぐにぷくりと硬くなり、フランスの指にも芯が通ったその感触が伝わったらしく、さらに強弱をつけて円を描くように転がされる。

「お前ここ好きだよね……きもちいい?」

「あ、……ぁっ」

弄られている胸から感じるむず痒いようなもどかしいような、おかしな感覚に思わず身を硬くするが、肌をまさぐる指はその行為をやめようとしない。
やめるどころかすっかり勃って赤く色づいた突起を引っ張るように摘み上げられ、呼吸も忙しなく乱れた。
フランスに触れられていることを意識しただけで、全身から力が抜けて僅かに強張っていた筋肉は、あっというまに柔らかく解れていく。
彼の下でぶるりと身体が震え、体内にはマグマのように蓄積された熱が解放を待ち望んでいた。
摘んだイギリスの乳首を擦り上げながら、彼は汗でしっとりと湿った胸元に舌を這わせる。

「…っ…、…」

荒くなる呼吸が零れるのは抑えられなかったが、かろうじて声を出すのは堪えた。
けれどぬるりとしたフランスの舌先が勃ち上がった乳首を掠め、くすぐるように舐められるとそのたびに細かく全身が震えてしまい、そうされることに感じているのだと認めざるをえない。
フランスは唾液で濡れたそこを吸い付くように口に含み、更なる愛撫を与えてくる。
いつものことだが女でもないのに、そうやって胸を弄られて感じてしまっていることが恥ずかしくてたまらない。
そこに与えられる刺激だけで下半身までむずむずと変な感じがして、イギリスは思わずねだるように腰を揺らしてしまった。
するとフランスは少しだけ上体を起こして、身に付けていた自分のエプロンを外すとベッドの下に放り投げる。
裸の上にエプロンのみだったので、エプロンを外せばもう全裸だ。
やっぱりこいつは変態だな、とイギリスがぼんやりと頭の隅で考えていると、突然ぐい、と下肢に擦り付けるようにして腰を押し付けられた。

「あ!」

二人の間には互いの欲望がしっかりと主張し合っていて、下肢に当たっているフランス自身の大きさと硬さ、そして熱さが伝わってくる。
その熱を直に感じて、彼も自分と同じ劣情を抱えているのだと知り、イギリスの胸は悦びにドキドキと震えた。
フランスは互いの性器を押し付けるようにゆっくりと腰を回しながら、指と舌で両の乳首を嬲り、つんと勃ち上がったそこを執拗に愛撫する。
そうやってあちこちに散々刺激を与えられ、強く吸い上げられると痺れるような快感とともに、下半身もとろけるように熱くなっていく。
ざらついた彼の舌が硬くなった乳首から少しずつ下へとおりて、胸から綺麗に薄く割れた腹筋をなぞり、へその脇に軽く音をたててキスをされると、くすぐったいのと恥ずかしいのとで頬がかぁっと熱くなった。
フランスは目の前の熱を孕んで震えている、いやらしく形を変えたイギリス自身に手を添える。
尖端からはもう先走りが滲んでいて、フランスの長い指に根元を支えられたまま、その濡れた部分にかり…、と歯を立てられた。

「…あぅ…、…んっ」

その瞬間、甘ったるい喘ぎが零れるのと同時に、ひくりと腰が揺れてもどかしげに身を捩る。
ついさっき一人でしたばかりなのに、フランスにされているというだけでイギリスの身体は僅かな快感さえ拾い上げ、白濁の蜜が溢れ出るのを止められない。
フランスはその様子を満足そうに眺めて、痛々しいまでに張り詰めているイギリス自身の先端を舌先でなぞっていった。
何度も柔らかく噛み付かれ口内の温かい粘膜に包まれると、手でするのとはまったく違う刺激に一瞬で意識が飛びそうになる。
フランスの手と口で丁寧な愛撫を受けて、どうしようもなく心も身体も喜んでいるのに、意地悪く繰り返される緩やかな刺激にイギリスはたまらず裏返った声を上げた。

「……かーわいい声。ってか、最終決戦だっつってんのに、なんでこの格好なんだよ?」

フランスはニヨニヨ笑ってからかうようにそう言って、捲り上げられてくしゃくしゃになっていた短いエプロンを摘み上げる。
確かに今思うと真冬に…否、真冬じゃなくてもこの格好はないが、フランスだって似たようなものではないか。

「お、お前だって裸じゃねえかっ!!」

「んー? 俺はいいんだよ、勝負のときに裸になるのは当たり前だろ」

明らかに勝負の意味が違うだろ、とイギリスは呆れた。
それはフランスに対してというより、そんなことをこの世の真理のように言い切った、目の前の馬鹿を好きな自分自身に呆れたのである。
このままだと軽く自己嫌悪に陥ってしまいそうなので、くだらない話を終わらせるべくイギリスは自分から続きをねだるように下肢に指を伸ばした。
フランスの手に自らの手を重ねると、止まっていた彼の指が再び卑猥な水音を立てて、イギリスの濡れそぼった性器を扱き始める。

「や、ぁ、…んっ」

快感に痺れて腕も足も力が入らず、無意識のうちに楽な姿勢を取ろうと、少しずつ両脚を左右に開いてしまっていた。
それによってイギリスの両脚の間に身体を挟ませたフランスの動きが、ますます遠慮のない大胆なものになっていく。
彼が動くたびに頭に付けているねこ耳がふるふると揺れるのを見て、随分大きな猫に懐かれてしまったものだと思いながら、イギリスはそろそろと柔らかな髪と耳を撫でた。
形をなぞるように舌先で舐り、先端の括れた部分は特に丹念に弄られ吸い付かれると、もう声も抑えられなくなり熱に掠れた自分の声に羞恥を覚える。
身体中の血液が沸騰しそうなほど熱くなった体温に堪えきれず、熱の籠もった吐息が零れてしまう。

「フランスっ…、も……やめろ、っ…」

咄嗟にフランスに触れられることを拒否するような科白を吐くが、本心からやめて欲しいとは思っていない。
むしろこんなふうにされることを想像していたのだ。
それを示すように拒否する言葉とは逆に、抵抗するどころか彼の手や唇が肌を滑るたび、イギリスはその感覚にうっとりと瞳を潤ませて身を任せるばかりだった。





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