Restaurant Malicemizer/03


身に付けていた衣装を肩からするりと脱がせられ、布が腰の辺りに纏められているのが邪魔で仕方がない。
脱がせるんならさっさと全部脱がせりゃいいのに、とか考えている間に、太腿を撫でていたフランシスの手が脇腹から胸の方に移って、まだ柔らかい乳首に指先が触れた。
つん、と軽く触れただけなのに、これもあの媚薬入りクリームのせいなのか、そこはほんの少しの刺激でも快感を伝えてくる。
人差し指で押し潰すようにして転がされ、色付いた乳首はすぐにぷくりと膨らんだ。

「は、…ぅあ…っ…、や…」

彼の指が胸の突起を摘んで引っ張るように擦り上げ、女でもないのにそんなところを弄られて感じてしまうなんて、恥ずかしくてたまらなかった。
指で触れられていない方も舌先でねっとりと舐られ、舌と指で優しく愛撫されると気持ち良くて全身が細かく震えた。
片方は爪で弾くように引っかかれもう片方は軽く歯を立て囓られると、両の乳首は芯が通ったように硬く尖っていって、唇からは堪えるような喘ぎが零れてしまう。

「やっぱり熱いな、…お前の身体…」

薄く微笑ってそう言ったフランシスは胸に緩やかな刺激を与えながら、空いていた手をアーサーの下肢に伸ばした。
少し汗ばんだ皮膚を手のひらで探るように撫でられると、外気に晒された肌は熱く脈打ち、その感覚にじわじわと微弱な快感が芽生えもどかしさに身を捩る。
フランシスの指は下肢の茂みを掻き分けるように辿っていくが、中央にあるアーサー自身には触れようとしない。
乳首を弄られ、指先で脚の付け根辺りをくすぐるように触れられているだけで、自分自身がすでに形を変えていることがわかるのに、フランシスの指はそこに触れそうで触れないのだ。
他人の手でこうして焦らされるのは初めてで、アーサーは熱の籠もった吐息を零し、早くどうにかして欲しいと言わんばかりに腰を揺らす。

「もう我慢出来ない?」

その様を見て意地悪く囁くフランシスの声は、アーサーの鼓膜を甘く震わせた。
それだけのことに身体の熱はますます煽られ、酔っている思考はどこまでも本能に従順だった。
素面なら絶対に言わないような、先の行為をねだる言葉をあっさりと口にする。

「フラン、シス…、……早く、触れよっ…」

「どこに?」

「……っここだよ、ばかぁ!」

どうして欲しいのかわかっているくせに、いちいち聞き返すフランシスの手を取り、熱くなった自分の性器に触れさせた。
するとそこに触れた途端、彼は長い指を絡ませてアーサー自身を握り、根元から先まできつく擦り上げ始める。
急激にもたらされた強い刺激に堪える間もなく、アーサーの性器は痛々しいほどに硬く張り詰め、尖端からはとろとろと先走りを溢れさせて湿った音が室内に響く。

「ねえ、アーサー…ここ? ここをこんなふうに弄って欲しかったんだろ? …きもちいい?」

長くて形も綺麗なフランシスの指は、いやらしく動いて全身に快感の種を植え付けていく。

「うん、……お前の手、…好き…」

アーサーは待ち望んだ刺激が与えられたことに満足したのか、ストレートな問いにも素直に頷いた。
フランシスはその可愛い反応に頬を緩ませ、先走りで濡れそぼったアーサーの性器を扱きながらさらに問う。

「好きなのは手だけ?」

「んぁ、…んんッ……!」

全体を擦り上げられながら、蜜を零す先端の小さな穴にぐり、と爪を立てられた瞬間、アーサーの身体がびくん、と大きく跳ねる。
フランシスに触れられることで得られる快感にぶるぶると内股が震え、我慢出来ずにあっけなく達してしまったのだ。
早すぎる自覚はあったが、酔っているのと例のクリームのせいで酷く敏感になっている肌は、もはや自分の意志ではコントロール出来ない。
こんなにも簡単に、あっけなくいかされてしまって、アーサーは恥ずかしさのあまり目を伏せて顔を背けた。

フランシスは荒い呼吸を繰り返しているアーサーの髪をサラサラと弄びながら、頬を撫でて顔中にキスを落とし過敏な皮膚をくすぐった。
触れるだけの口付けが繰り返された後、ふぅっ、と耳元に熱い吐息を吹き込まれ、アーサーはぞくりと身を竦ませる。
耳元をくすぐるフランシスの吐息が首筋、鎖骨、胸へと下り、順に辿っていっただけでついさっき達したばかりの下肢が、再び反応し始めてしまうのを抑えられない。
下腹部のさらに下までおりたフランシスの唇が、すでに緩く勃ち上がりかけていたアーサー自身に触れ、根元から先まで全体を丁寧にゆっくりと舌が這う。
最後に一度達して白濁を滴らせていた尖端に吸い付かれると、そのまま彼の温かい口内に含まれて、じゅぷ…、と濡れた音が耳に届いた。

「ふぁっ、…ぁ、んっ…」

熱い粘膜が敏感な箇所に絡みつく感触に背が反って、無意識のうちに彼が動きやすいように両脚が次第に大きく開く。
今日会ったばかりの相手に口でされているということを意識すると、自分が酷く節操のない浅ましい質のように思えて恥ずかしいのに、フランシスの触れ方がいちいち好みなせいなのか…それを嫌だとは思っていないのだ。
まだ大した刺激を受けていないにもかかわらず、アーサーの熱は彼の口内ですぐに硬く張り詰めていった。
フランシスは尖端だけを咥え括れた部分に歯を立て、舌先で射精口をつつく。
しつこくそれだけを繰り返すと小さな穴からはじわりと白濁の蜜が溢れ出し、零れる先走りとも残滓ともつかないそれを啜るように吸い上げると、淫猥な水音だけが響いてますますアーサーの羞恥を煽る。

「……っ…、も、…そこ、やだっ…」

繰り返し同じところばかり攻められて、アーサーは下肢が溶けるように熱を孕んでいくのを感じていた。
わざと焦らすような彼の愛撫に、もっと触って欲しい…、否、触るだけじゃなくて、ちゃんと擦って扱いて気持ち良くして欲しいと強く思った。
素直にそう口に出せば、フランシスは望む通りにしてくれるだろうか。
アーサーはぶるぶると身体を震わせて、どんなふうにねだれば彼はこれ以上に気持ち良くしてくれるのか、そればかりを頭の中に巡らせていた。
けれど波のように寄せて返すもどかしい快感と、フランシスに触れられることを望んでいる身体は、願望を口にする前にその緩やかな刺激でも十分なほど昂められていってしまう。

「んっ……、はっ、ァ、あ…!」

先端の括れた部分に僅かに痛みを感じるほどの強さで噛み付かれて、その瞬間アーサーは堪えきれずにフランシスの口内で達してしまった。
勢いよく噴き出した白濁をすべてフランシスの口内に吐き出すと、そのまま彼の喉が上下して自分の放ったものが余すことなく飲み下されたのが視界に入る。
そして下肢から顔を上げたフランシスにじっとこちらを見つめられ、今し方二度も達したばかりだというのに、その目線だけでまた身体は熱を帯び、乱れた呼吸に色が混じる。

「なぁアーサー、ここまでじゃまだ前菜だぜ? …二回もイッちゃうとは思わなかったなぁ」

そう言って色っぽく微笑んだフランシスに唇を重ね合わせられると、口付けられた彼の唇と舌はアーサー自身の精液の味がして、どくんと身体の芯が疼いた。
焦らされているのにあっさりいかされてしまったのは、全身に塗った媚薬入りのクリームの効果もあるだろうが、何より彼の触れ方は何をするにも酷く巧みなのだ。
慣れている、なんてものじゃない。
それなのにこれで前菜程度だなんて、フルコース分支払うには一体何度いかされてしまうのだろう。
今さら恥ずかしくなって、羞恥心を振り払うように声を上げた。

「うるさいばかぁっ、お前のやり方がエロいのが悪いんだろっ!」

触れられれば簡単に陥落してしまうくせに強気な口調で言ったアーサーに、フランシスは小さく笑ってシャツのポケットから小さなガラスケースを取り出した。
彼の手にある見覚えのある装飾のガラスケースは、例のクリームが入っていた壷と同じもので、きっと中身も同じに違いない。
肌に塗り付けただけでこんなに全身が疼いて仕方がないのに、身体の中に直に塗り込められたらどうなってしまうのか、想像しただけでぞくぞくと震えが走る。
フランシスは片手でアーサーの尻の肉を左右に広げて奥まった秘所を晒すと、そこにたっぷりとクリームを掬った指先が宛がわれる。

「…フランシス…それ、…」

「お前が身体に塗ったのと同じやつだよ。濡らさなきゃ入んないし、……力を抜いて楽にしてて」

これ使うときもちよすぎておかしくなっちゃうかもしれないけど、と付け足されたフランシスの科白に、 ああ、やっぱりそうなのか、 とドキドキと期待に胸が震えてしまう。
言われるまでもなく二度達した身体はすっかり弛緩していて、彼の指が当てられたへこんだ入口は忙しなくひくついていた。
クリーム塗れのフランシスの指は、ほんの少し力を入れただけでそのままそこにつぷ…、と差し込まれ、アーサーの中を広げるように奥へと浸蝕していく。
徐々に彼の指を体内に受け入れていき、内部の体温で溶けたクリームの滑りを借りて、簡単に人差し指の付け根まで飲み込んだ。
皮膚よりずっと過敏な粘膜に直接クリームを塗り付けられ、蠢く肉襞はじくじくと疼いてもう耐え難いほど熱くなり始めていた。

「っ……、ぅ……」

媚薬の入ったクリームで強制的に蕩かされた内壁は、アーサーの意志とは無関係にフランシスの指をきつく締め付けてしまう。
フランシスは中を傷つけないよう優しく丁寧に、奥まで埋めた指をゆっくりと動かし抜き差しを始める。
緩やかに体内を出入りする節榑立った指の固い部分が強く擦れるたびに、下肢から迫り上がってくる快感を堪えきれず、フランシスの背に腕を回し縋り付くようにしがみついた。
彼の指の動きは次第に緩急をつけ、いやらしく濡れた音を立てて波打つように締め上げる肉壁を開き抉っていくが、それだけでは足りないとアーサーは甘えた声音でねだるように言った。

「…、フランシス……俺んなか、すげえ熱いっ……早く、はやく…なんとかしろよ、っ…ばかぁ!」

「わかってるよ、そんなに急かさなくてもちゃんといいことしてやるから」

快楽に染まった表情をして先の行為を促す言葉を漏らすアーサーに、フランシスはだらしなく顔を緩ませる。
宥めるように口付けて、アーサーの抗議の言葉も零れる吐息も奪ってやると、 んん、 と鼻から抜けるような甘ったるい可愛い声が聞こえた。
触れ合った唇を互いに擦り合わせると、明らかに劣情を宿した翡翠の瞳が揺らめいて、そのことにフランシスも抑えがきかないかもしれないと思うほど煽られた。
中を擦っていた人差し指が抜き取られたと思った直後、一気に三本の指が挿し込まれ一度にまとめて咥え込まされたフランシスの指は、熱い肉壁を押し広げるように掻き回しながら奥まで突き立てられていく。
今は直に触れられてもいないのに、後ろからの刺激だけで完全に屹立してしまったアーサーの性器からは、少し薄くなった精液がとろとろと零れ出す。
それに気付いたフランシスは後孔を広げていた片手を外して、アーサー自身の先端を摘み濡れた窪みを指の腹で擦ってやった。

「あぁっ、それやだっ…、……っんぁ、…」

ひくり、と僅かに背を反らし短い喘ぎに似た声を上げて、アーサーはフランシスの背中に回していた腕に力を込める。
その反応にフランシスは小さく微笑うが、そこを擦る手は止めてやらない。

「アーサー…、いやなのにこんなに零してんの?」

「ち、違うっ、これは……お前がっ」

「俺が? なーに?」

「…おまえが、……」

アーサーはそれ以上言えず、耳まで赤くしてフランシスの肩口に顔を埋めた。
その様があまりに可愛かったので、わざと湿った音を響かせて張り詰めて震えているそこを愛撫し、俺にされるの好きなんだろ、とからかうように言ってやるとアーサーの身体がびくん、と揺れた。
もうどこに触れても快感しか感じないアーサーの身体はフランシスのされるままに反応し、中に挿入されたままの指で何度も奥まで穿たれると、声を抑えることも出来ずみっともなく掠れた嬌声が上がった。
勃ち上がった性器と疼痛を伴う肉壁を同時に擦られ、今にも達してしまいそうなほど追い詰められている。
それでもフランシスは突き入れた指先が、もっとも敏感な箇所に当たらないように抜き差しを繰り返していた。
決定的な刺激を与えてくれず、その動きはもどかしさと物足りなさばかりを増して、やがて僅かばかり残っていたアーサーの羞恥も焼き切れる。

「指は…、もう、いいっ……さっさとお前の、いれろっ…」

フランシスの手を止めてやっとそれだけ言うと、中を掻き回していた指が体内からすべて抜き取られた。
両脚を左右に大きく開かされ、たっぷりと内部に塗り付けられとろとろに溶けたクリームが、物欲しげにヒクついている後孔からトロリと零れ落ちた。
乱れた呼吸を吐いてフランシスの次の行動を待つと、指で散々慣らされ小さく口を開いていた後孔に、硬く反り返っている彼の性器が宛われる。
アーサーは男を受け入れるのはこれが初めてだというのに、そこにフランシスの熱を直に感じると、ようやく待ち望んだ快感を得られるのだと浅ましい期待に身を震わせてしまう。

「……ほんとに、いい?」

最後に確認するように問われるが、こんな状態でお互いに今さら引けるわけがない。
先ほどからずっとアーサーの頭の中は、彼が自分の中に入ってきてどんなふうに気持ち良くしてくれるのか、そのことでいっぱいで、早く繋がりたくて仕方がないくらいなのだ。
目線を上げフランシスと目が合って、小さく首を縦に振って頷くと、その答えに彼は嬉しそうに表情を緩ませ、前髪を分けて額にキスを落とした。
十分なほど解されて潤っているアーサーの後孔に太い先端が当てられて、彼がゆっくりと腰を進めていくと蕩けきったそこは迎え入れるように蠢動しその熱を柔らかく包み込んだ。
挿入を進めればほとんど抵抗なく咥え込んでいくのに、動きを止めた途端熱く熟れた肉襞が中を貫くフランシス自身をぎりぎりと容赦なく締め上げる。
アーサーの汗ばんだ内股を撫で少しでも弛緩させようと試みながら、彼は掠れた声で言った。

「あんまり締め付けないで、…動けないから」

「むりだ、……そんなのっ…」

苦しくて引き攣れる喉から声を絞り出して答え、僅かでも楽になるように何とか身じろいでみても、フランシスと繋がったところはすでに限界まで開かされていて、どうすることも出来ない。
するとフランシスはアーサーの両足をすくい上げ、膝がシーツに付くくらい折り曲げ腰を浮かせた格好で支えられる。
上から体重を掛けるように一気に奥まで貫かれ、きつく絞られる肉壁に熱塊がねじ込まれる衝撃に、アーサーはこれまで経験したことのない強烈な快感に一瞬意識が飛びかけた。
腹の中を灼くフランシス自身は酷く熱くて、力強く中を擦り上げるそれはまるで凶器だ。
身体の奥の一番敏感な部分に当たるたびに、アーサーの内部が忙しなく収縮しフランシスにも堪えきれない快感をもたらす。

「あッ、ぁ…、ンんっ、……フランシスっやだ、もう、…」

「お前さっきからやだばっかりじゃねえか、……ホントはきもちいいくせに」

「っ、……うるせえよばかっ!」

下肢からくる激しい抽送に、アーサーの身体はがくがくと揺さぶられ、それに合わせてシーツが乱れ多くの皺を作る。
与えられる刺激だけではまだ足りず、アーサーもフランシスの動きに合わせて腰を揺らし快感を貪った。
それがさらに彼を煽ってしまったのか、より激しく腰を打ち付けられ、これ以上ないほど奥まで突き入れられる。

「…あー……なんか俺の方がおかしくなりそう、…」

熱っぽく呟いたフランシスの言葉に、それはこっちの台詞だバカ野郎、と途切れそうになる思考の隅でぼんやりと思う。

「ん、ぁあ…! もう、い、…」

それきりアーサーの声は途絶えた。
今アーサーの鼓膜を震わせるのは、耳元に響くフランシスの声と、行為を進めるたびについて回る粘液の水音だけ。
深く唇を重ねて抱き合って、最奥までフランシス自身を受け入れたとき、アーサーは喉を反らせて何度目かの絶頂の瞬間を迎えた。





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