ヤンデレのお兄さんに死ぬほど愛されて眠れないイギリスの話/03


それでもなんとかフランスの腕の中から逃れようと上にのし掛かる彼の胸に手をついて押し返そうとしたが、逆にきつく抱き締められてしまい余計に身動きが取れなくなる。

「おい、フランス…! 放せって、…」

「…どうして? イギリス、俺のこと好きなんでしょ…?」

改めて確認するように問われると恥ずかしくて反応に困るが、今はそんな言葉に照れている場合ではない。

「それは、…そうだが……っじゃなくて、お前こそ俺を好きだって言うなら我慢しろっ、明日は朝一で仕事だって何度言ったらわかるんだよ!」

唇が触れ合いそうなほどの至近距離までフランスの顔が近づいてきて、イギリスは必死で顔を背けてそう言った。
すると彼は眉間に深い皺を刻んで面白くなさそうに表情を歪めると、酷く不満げな口調で詰るように問う。

「お前は……俺と仕事とどっちが大事なんだよ。俺は愛する恋人のためなら仕事の一つや二つ蹴ったって構わないのに」

「……………」

そりゃあお前はそうだろうよ、天下のストライキ大国だからな!!
…といつもなら手加減なしのげんこつ付きで突っ込むところだが、今日のフランスにはそういうまともな意見などまったく通じる気がしない。
イギリスを見つめる深い青色の瞳はまるで底なしの湖みたいに暗く澱んで、彼の感情をすべて覆い隠しているかのようだ。
そんなフランスの双眸を見返すうちに心臓はどくどくとうるさく鳴り、ますます胸の鼓動を速めてしまう。
射貫くような鋭い視線は息苦しさを覚えるが、ここまで情熱的な言葉と態度でせまられるとそれだけ強く求められていることに嬉しく思う気持ちもあって、やっぱり普段のように乱暴に突き放すことは出来ないのだった。
そうなるとイギリス自身がこの状況の元凶なのだから多少の妥協は必要だろう。
こんなことになるとは想定外だったとはいえ、週末になるのを待ちきれずに奇跡の力を使ってしまったのは失敗だったな、と密かに嘆息しつつイギリスはそろそろとフランスの背に腕を回し、少しだけ力を込めて彼の身体を抱き返した。

「…しょうがねえな。じゃあちょっとだけ付き合ってやるけど、…今日は最後まではしないからな…。い、一回出したら大人しく寝ろよ」

こみ上げる羞恥心を堪えて掠れる声を絞り出しぼそぼそとフランスの耳元で呟くと、彼は顔を上げ瞳を見開いてじっとイギリスを見下ろしている。
その視線を受け止め正面から見つめ返していると、フランスは嬉しそうに表情を綻ばせて頷いた。
そしてすぐに彼の顔が眼前まで近づいて、そのまま齧り付くように唇を塞がれる。

「…ん、…んっ、…」

少しだけ開いた口内に強引に舌をねじ込まれ、あっさりと絡め取られて吸い上げられた。
唇も食むように啄み、深い口付けにあっというまに理性はとろけてしまい、イギリスも自ら舌を差し出しキスに応える。
フランスは手をイギリスの顎に添えて軽く掴むと、子どものように柔らかい頬に指が沈み自然と唇が開いて、より深く唇が重なり合う。

「ぁ、っ…ん」

何度も唇を吸われ、呼吸をするのもままならない。
舌と舌を擦り合わせながら、唇がねっとりと絡み合ういやらしいキスに身体の芯が熱を帯びるのを感じた。
こうなったらもうイギリスの方も止まれない。
無意識に小さく身じろぐとフランスは互いの唇を重ねたままイギリスの腰の辺りに手を滑らせ、脇腹を優しく撫でながら下肢へと手のひらを滑らせていく。
彼の大きな手のひらが薄いパジャマの上から太腿を撫で回し、徐々に股下まで辿っていくとやんわりと性器を握られて、思わずびくり、と大きく肩が揺れた。
布越しでも触れられたところが一瞬でざわざわとあわ立ち、あっけなく体内に燻る熱が燃え上がる。
首筋に歯を立てられた途端に濡れた吐息が零れ、手のひらで包み込むように性器を揉み潰されるとそのやけに性急な愛撫に一気に羞恥心が膨らんだ。

「フランス、…ちょ、待て…っ…」

長い口付けから解放された唇は、イギリスの意志を伝えきる前に再度フランスの唇で塞がれ、続く言葉も奪われた。
下肢が熱を帯びてくると彼の手がパジャマの中に差し入れられ、今度は下着の上からゆるゆると指先で撫で上げ、もてあそぶように捏ね始める。
それだけの刺激でもイギリスの身体は与えられる快感を余さず拾い、フランスの手中に収まっている熱も勢いを増した。
フランスの厚い胸板に押さえつけられ、唇は呼吸をするのがやっとというほど何度も吸い上げられて、全身を巡る甘い熱に頭の中は白く塗りつぶされていく。
混ざり合った互いの唾液が唇の端から零れて、繰り返されるキスに夢中になっているといつしか限界まで膨れ上がっていたはずの羞恥心もすっかりしぼんでしまっていた。
下着の上から握られた性器を緩急をつけて擦られて、そこがさらに熱くなり硬くなっていくのを感じる。
イギリスのいいところを知り尽くしたフランスの巧みな指使いは快感に弱い身体をいとも簡単に陥落させ、物欲しそうに腰が揺れるのを抑えられない。
イギリスのものは彼の手中で可愛がるように丁寧に揉み解され、下着の中で張り詰め形を変えて布地を押し上げている性器の尖端からは、もうぬめった蜜が滲み始めていた。
溢れた先走りでまだ穿いたままの下着を濡らしてしまって、恥ずかしくて死にそうになる。
こんな状態にもかかわらず、不思議なことに混乱する思考の片隅にはわずかに冷静な部分も残っていて、滲んだ白濁で濡れた下着が肌に張り付く感覚に不快感を覚えてもいた。
とにかく早く直接触って欲しくて、イギリスはフランスの背に両腕を回してしがみついた。

「…あっ、…ぁ、ん、…はやくっ」

「うん、……もう少し」

みっともないくらいに甘ったるい声音でねだる言葉を口にすると、彼は薄く微笑ってうっすらと汗の滲んだ額にキスを落とす。
火照った頬や鼻先に口付けられる感覚はくすぐったいばかりだったが、それだけの刺激でも過敏な皮膚は快感に結びつけてしまう。
けれどもイギリスが望むのはもっと即物的でいやらしい行為だ。
思うとおりにしてくれないフランスの指の動きに焦れて下肢に自分の手を伸ばすと、自らの手が触れるよりも早く彼の手で濡れた下着を引き下ろされて脚の付け根を指先でくすぐられる。
トロトロと先走りを零しながら硬く反り返ったイギリス自身は剥き出しにされ、隠すもののなくなったそこを脚を撫でていたフランスの手のひらにそっと包み込まれた。
彼はそのままイギリスの熱をきつく握り込み、上下に扱き始めると体内に甘い疼きが芽生え全身がじわりと痺れていく。

「あ、…んっ、…ふぁっ」

両足を大きく広げてフランスの愛撫を受け入れ屹立した性器を擦り上げられるうちに、いつも彼の熱を咥え込んでいる後孔が条件反射のように小さく収縮し始めた。
今日はセックスはしないと言ったのは自分の方なのに、そんな意志を裏切るかのように身体はフランスの熱を求めてしまう。
乱れた呼吸と暴走しそうになる体内の熱を抑えるようにイギリスは歯を食いしばるが、彼の手で煽られた身体の中心に灯った炎はそう簡単には消えてくれない。
持て余す熱に身を震わせながら、内部を灼き焦がす苦しいほどの疼きを止めることは出来なかった。

「……イギリス」

ふいに低く囁く柔らかな声音で名を呼ばれ、快感にとろけた瞳でフランスを見上げる。
沸騰しそうな体温に堪えきれず、熱の籠もった吐息を零すと直に彼の手に握られていたイギリス自身の尖端に、人差し指がぐり、と当てられた。
薄い割れ目を指先が滑り円を描くようにくすぐるのと同時に、張り詰めて芯が通った根元を手のひらで擦り上げる速度も早くなる。
やがてひくひくと細かく震える腰が跳ね、フランスの手中にあるイギリス自身もますます硬く張り詰めていった。
そうした身体の変化は自分が一番よくわかるのだ、するのはいやだと言っていたくせにこんなにも簡単に彼の手で追い上げられてしまうのが情けないやら恥ずかしいやらで、イギリスは羞恥の滲んだ掠れた声を上げる。

「い、やだ…、って…!」

「いや…? こんなに溢れさせてるのに?」

おかしそうに言って薄く微笑ったフランスに、イギリスは顔から全身まで一気にかぁっと熱くなった。
彼に触れられることが好きな身体の反応はどうしたってごまかせないし、それがフランスにも気付かれていると思うとたまらない気持ちになる。
潤んだ瞳を固く閉じて、酷く火照って熱くなった頬を隠すようにフランスの胸に縋り付いた。
自らの性器から零れた精の匂いが鼻先をくすぐり、彼はイギリスの快感に染まった表情を満足げに見下ろして唇に緩やかな弧を描くが、イギリスがそれを見ることはかなわない。
すっかり屹立して腹につくほど反り返ったイギリスの性器はフランスの手のひらで捏ね回され、尖端を愛撫する指先は次々に溢れるぬるりとした白濁で濡れていった。
こうして彼に触れられると理性はあっけなくとろけてしまい、与えられる快感に意識をさらわれないように息を詰めて堪えるのがやっとだった。
しかしすでに限界まで張り詰めていた熱は、ひっきりなしに蜜を零しフランスの手のひらを濡らしていく。

「フランス、…も、……もう、出るっ…」

快感に震える下腹は小さく痙攣し、懇願する声にはねだるような甘い色が含まれていた。

「出そう? ほら、…我慢しなくていいぜ」

フランスは耳元に唇を寄せ、いつもどおりの優しい口調で意地悪く囁く。
その低く響く声音と熱い吐息が皮膚をかすめただけでぞくぞくと背筋が震え、ただでさえフランスの手淫に目を閉じ歯を食いしばるのが精一杯だったのに、そんなふうに言われたら堪えることも出来なくなる。
ぎゅう、と彼の背に回した手に力を込めると、握られた熱をひときわ強く擦り上げられた。
蜜を零し続けていた尖端の小さな穴を爪で軽く引っ掻かれた途端、閉じた瞼の裏にばちん、と小さな火花がいくつも弾け、イギリスは大きく身を震わせてフランスの手の中で達してしまった。

「ああッ……、は、……!」

いくのと同時にわずかに背を反らして全身が硬直し、吐精した白濁が中途半端に脱いだパジャマや下着にまで飛び散る。
フランスは乱れた吐息を漏らす唇にキスをして身を起こし、腕に抱いていたイギリスの身体を解放した。
直後、少しだけ背を浮かせていたイギリスの身体は脱力し、ぎし、とスプリングを軋ませてベッドに沈んだ。
はぁはぁと荒い呼吸を吐きながら、熱に溶けて白んでいた意識が少しずつはっきりしてくると、フランスがこちらを見つめているのに気が付いて羞恥心でさらに全身が熱くなる。

「なんだよ……見んなよ、…」

まだ整わない呼吸を無理矢理抑えてそれだけ言うと、彼は青色の双眸を劣情に揺らめかせた。

「…ふふ……いくときのお前の顔、やらしくてすごくかわいい」

「っ、…バカ!」

汗でしっとりと湿ったぼさぼさの髪に顔を埋めるようにして、ぐりぐりと頬を擦りつけながらそんな恥ずかしいことをうっとりとした口調で言われても反応に困ってしまう。
そればかりかぴったりとくっついて密着した互いの肌は眩暈がするほど熱くて、イギリスは身体の芯に灯った炎が燃え上がりそうになるのを抑えるのにも苦労した。

「そういう顔すんの、俺の前だけにしといてよ」

「てめえの前でもお断りだ!」

「ほんと素直じゃねえなー」

こういう発言は普段のフランスと変わりがなくて、耳に馴染んだ科白に安堵の息を吐いたのもつかの間、次は自分が彼にしてやる番だ。

「もういいからどけよっ、今度は俺がしてやるからとっとと脱げ!」

言いながらフランスの肩を力任せに押し返しどうにか身を起こしたが、脱げと言っているのに彼は自ら動こうとしない。
それくらいやれよ、と思いつつ仕方なくフランスの正面に向き直り、遠慮がちにズボンの中に手を差し入れた。
そのまま下着の中にまで指先を滑らせ、そろそろと手を動かして彼の性器に直に触れると、そこは思っていたような反応を示してはいなかった。

(あれ……勃ってねえ)

結婚だなんだと強引にせまってきたくせに、フランスのそこは少しも熱を帯びていない。
いつもならこういうとき、触れるのを一瞬躊躇するくらい硬くなっているのになんで、とイギリスは思わず顔をしかめる。
すると彼は性器を握ったまま動きを止めたイギリスを見下ろし、訝しげに首を傾げて言った。

「……なに?」

なに、じゃねえよ、全然その気になってねえじゃねーかバカ、と眉間に深い皺を刻んだまま内心でぶつぶつ言って、目線だけ上げてじろりとフランスを睨み付けるが、ふとひょっとしてこれも自分の奇跡の力の影響ではないかだろうかと不安になる。
もしそのせいで勃たなくなっていたらどうしよう、と焦ってフランスのものに触れていた手指を性急に動かし始めると、そこを支えるようにして握っていた手を咎めるように掴まれた。

「なんだよっ」

「口でして」

「あ?」

「早く」

拒否することを許さないと言わんばかりの鋭い声音が返り、イギリスは小さく嘆息してこくりと喉を鳴らすと言われたとおりに顔を下肢に近づけていく。
口ですることは初めてじゃないし、して欲しいと言われれば断ったことはない。
けれどそれは日頃偉そうに兄貴風を吹かせている彼が、そういうお願いをするときだけはめずらしく甘えた調子でねだるから しょうがねえなっ、ちょっとだけなら特別にしてやってもいいけどな! と簡単に乗せられてしまうからである。
ねだられればしてやることは構わないが、こんなふうにまるで命令されているような言葉で言われるのはいやだった。
素面のときにそんなことを言おうものなら思い切り噛みついて歯形でもつけてやるところだが、今日ばかりはそうもいかない。今のフランスにはまともに話が通じないし、そうなったのは自分の奇跡の力が原因だ。
さっきの婚姻届のやり取りを思い出すと、下手に反論するよりも大人しく言うことを聞いてやってさっさと済ませてしまった方がいいだろう。
このもやもやする苛立ちはフランスが元に戻ったときにでもぶつけてやる、とまた勝手なことを考えながら、イギリスは握った性器に唇を当てて吸い付いた。
根元から尖端までねっとりと舌を這わせ、まだ柔らかいそれを甘く食むように刺激を与えていく。
先の膨らんだ部分を口に含んで何度も吸い上げ、唾液で濡れた皮膚を唇と舌で擦っているうちにイギリスの方が行為に夢中になってしまい、愛撫の合間に零れる呼気はまたも熱く湿っていた。





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