お花シリーズ - すすき12

 遠くなる、先生の背中。もうすぐ、角を曲がっちゃう。

 僕は、先生の姿が完全に見えなくなるまで見送った。

 先生は、この駅で乗り換え。僕は、この駅が終点。もっとずっと一緒に居たいけど、先生も家に帰らなきゃ。

 僕は、先生が別れ際に撫でてくれた頭に、そっと手を載せる。

 そこから先生の体温が移ってくるみたいで……ちょっと恥かしい。

 そして、嬉しい。

「先生……笠寺、先生……」

 好きって言ってくれた。

 先生も、僕のことが好きだよって。愛してるとまで言ってくれて……。

 思い出すと、ドキドキしてしまう。

 こんなんで、明日本当に先生と並んで歩けるんだろうか。倒れたり……しないかな?

 ドキドキ不安になるのと同時に、無性に嬉しくなって……僕はニヤニヤ笑ってしまった。

「えへへ」

 今日、あまり顔を合わせられなかった分、明日は一杯話せるといいな。

 そんな事を考えながら、僕は家に向かって歩きだした。



end...


  →
 戻る