アマゾネス2−4
ここは上から逃げよう。これほどまでに周囲を囲まれてしまっては、正面切って突破することはまず不可能だからだ。ここは森の中、木を伝って枝から枝へと飛び移り、ひとまずはこの集団から距離を取らなくては。
もちろん、敵は体力に長けたアマゾネス軍団、上の木を伝って逃げようといっても、相手だって木登りは得意なはず。うかうかしていればあっという間に追いつかれてしまうだろう。逃げるなら全力で逃げなければならない。不利なままであるという状況には変わりがないんだ。
「とりゃっ!」僕は近くの木に飛び乗り、大急ぎで登り始めた。ある程度の高さまで登ると、近くに太い枝があったので、そこを伝って、折れそうな先端近くまで立って歩いた。
時間がない。アマゾネス立ちもいっせいに木に登ってくる。思った通り、彼女たちの方が僕なんかよりも速く木に登る。このままではあっという間に追いつかれてしまうだろう。
上に行けば逃げ場を失うのも当然だった。このまま上に行っても追いつめられるのがオチだ。そして木の上で何人も挿入させられ、身動きがとれないまま射精させられてしまうにちがいない。
だが、隣の木の枝までは3〜5メートルはある。彼女たちなら飛び移れるかも知れないが、僕ではちょっと届きそうもない。何とかして隣に移ることができれば、活路も開けるかも知れないのに。
このままここにいて負けるくらいなら、賭けてみるしかない。僕は意を決して飛び移ることにした。ただ、僕の立っている枝が、ジャンプの衝撃に耐えられるかどうか心配だ。先端に行けば、それだけ枝は大きくしなっていく。もしここに数人のアマゾネスが乗ってきたら、僕たちはもろとも下に落ちてしまうだろう。下では大勢のアマゾネスたちが待ちかまえている。もちろん落ちればアウトだ。
「!」いや、枝がしなっているのは逆にチャンスだ。このゆがみがトランポリンのような役割を果たし、僕のジャンプが高まるかも知れない。
やってみるしかない。僕は先端で数回、小さく跳ねた。枝がきしみながら大きくたわむ。「えーいっ!」ほどよいところで、思い切って飛んだ。後方でバキッという大きな音がした。
僕は隣の木の枝先端をつかんだ。細い枝が折れる。が、下の方の太い枝をつかむことができた。僕はだいぶ下方に落ちたものの、かろうじて隣の木に飛び移ることができた。
見ると、僕がジャンプした枝は衝撃ですっかり折れてしまっていた。「急げ!」「下がつっかえてるのよ!」「早く下から先に降りるんだ! 下の方の者は飛び降りろ!」「だめですぅ! 下にはいっぱい人が…」「ええい、下にいる者は早く追え!」アマゾネスたちが混乱している。僕の後を追って隣に移ろうとしていたが、肝心の枝が折れてしまい、さすがのアマゾネスたちも、ジャンプしてこちらに来ることができないみたいだ。
つまり、アマゾネスたちは、僕と同じルートでこちらに飛んでくることができず、いったん降りて隣の木に登ってくるしかない。だが、彼女たちは木にびっしりとはりついており、下が閊えてしまい、降りるに降りられない状態だ。まだ登っていない女たちが状況を理解し、やっとこちらの木に走ってくる。
これで相当時間が稼げそうだ。さらに幸いなことに、こちらの木にはかなり丈夫そうな蔦が何本もぶら下がっていた。少しの間ならぶら下がっても切れなそうだ。これだ!
僕は蔦を持ち、さらに隣の木に移ろうと助走をつけた。あーああ〜…さすがにこの年でこの時代で、ターザンごっこはないだろう。とても恥ずかしくてできたものではないが。しかし、やっていることは同じだな。
蔦のからまっている木めがけて、僕は次々とぶら下がりながら飛び移っていった。次の木にたどり着くと、できるだけ上の方に登り直し、同じ種類の、蔦のある木を見つけては、どんどん蔦にぶら下がって木から木へと移っていく。アマゾネスたちが地上を走るよりもはるかに早く、森の中を移動することができた。
アマゾネスたちも追ってくるものの、向こうは多人数であることが仇となっていた。彼女たちは僕と同じ方法を使うことができない。蔦が限られているからだ。この方法で僕を追うことができるのは、せいぜいひとりかふたりだ。そんな少人数で僕に追いついても、あっという間に返り討ちに遭うことが分かっているので、ターザン飛びができないのだ。
仕方なく彼女たちは、自身の筋力をたよりに、枝から枝へとジャンプするしかない。ターザン逃げですばやく数本分の木を移動する僕に比べて、あきらかに彼女たちは遠回りを余儀なくされていた。しかも人数が多いために、全員が枝を飛び移ることさえもできず、他大勢は森を駆け抜けて追いかけるほかはなかった。
僕は枝から枝に飛び移ったり、蔦でターザン逃げをしたりして、どんどんアマゾネスたちから遠ざかることができた。よし、この調子で逃げ続ければ、アマゾネスたちをまくことができるだろう。
風が全身を駆け抜ける。女たちの脅威からひとまず抜け出せたとたん、猛スピードで移動する蔦が何とも心地よく思えてきた。本当にターザンみたいにアーアアーと叫びたくなるくらい、気分爽快であった。もちろん、叫べば自分の位置情報をアマゾネスたちに知らせることになるのでやらないけどね。
調子に乗って長い蔦で大きく飛ぶと、僕は急に何もないところに出た。日光を半分近くさえぎっていた森が、突然終わってしまったのだった。青い空が目の前いっぱいに広がる。
「うわああ!」ラッキーな状況のあとは、決まってアンラッキーが重なるものだ。長い蔦は案外もろく、体重と遠心力であっさりと切れてしまったのだ。僕は下を見てゾッとした。そしてその直後、僕は大きな川めがけてまっすぐ落ちてしまった。森の終わった先は、流れの速い川だったのだ。
「ぷはっ!」どうにか頭を出すことはできたが、思った以上に流れが急で、僕はどんどん下流へと流されていく。
ざばっ! 突然、体が宙に浮かんだ。真上に、ではなく、真横にである。
数秒川に流されたかと思うと、だしぬけに僕の体は空中に投げ出されたのだ。先はとてつもなく深い滝だった。
「ぎゃあああああ!」谷の底がうす暗く見えている。百メートル以上はあるだろう。僕の体は滝の水といっしょに一気に谷へとつき落とされていった。断末魔の叫びの直後、僕は気を失ってしまった。
……。
…。
…はっ!
ビクンと体を震わせ、僕は意識を取り戻した。木の天井が見える。どうやらベッドに寝かされているみたいだ。
「あ…気がつかれました?」
僕のそばには、一人の美少女アマゾネスがいた。大きなタオルを絞っているところだ。体が心なしかすっきりしているところを見ると、どうやら彼女がそれで僕を拭いてくれていたみたいだ。
平屋の小さな家には、僕と彼女しかいない。仲間のアマゾネスもいない。どうやらここは彼女の家みたいだ。
僕は上半身を起こし、彼女を見た。彼女は優しく微笑んでいる。自分の肉体も元に戻っている。ここは精神世界だから、物理的なダメージは無効なのだ。ケガをしてもすぐに治ってしまうし、死ぬほどのダメージでも肉体はすぐに元に戻る。あとは気がつきさえすれば、それで完治となるわけだ。あんな高い滝から谷の岩場に叩きつけられれば骨折では済まない。体はバラバラ、粉々になって即死だったはずだ。それでも、こうやって元に戻ることができる。何とも不思議なことだ。
死ななくて済んだ。それなら、次の問題は…。僕はもう一度、この美少女アマゾネスを見た。
金色の長い髪、やさしい表情、アマゾネスの鎧を身につけてはいるが、どこか幼さが残る体つき。年は16,7といったところか。細身ではあるが、一定の訓練は受けてきたのだろう、しっかりした体?だ。
「よかったですね、元気になって。あなたがウワサのターゲットさんですね。」「…ああ。」僕は上半身をこわばらせた。「勝手なことをして済みません。その…お体を拭かせていただきました。それで…その…私たちと違う所とか…見ちゃって…」「あ、うん…。」
このまま戦闘になるとか、仲間を呼ぶかとも思って身構えていたが、いっこうにそういうそぶりを見せてこない。
「ここはアマゾネスもめったに来ない、島の谷の家です。どうぞごゆっくり休んで行かれてください。」「あ、ああ…ありがとう…でも、君は僕に襲いかかってこないのか? 僕をつかまえることは、部族の至上命令のはずだろう?」
「その…私は戦えないんです。」「…どうして?」「私…、実は生まれつき、男のひとが好きになれないんです。なんだかこわくて…。訓練の時も、その、アレの形をしたハリガタがあるんですけど、それさえもこわくて、さわれないんです…。」「…。」「それで、今回の騒動にも参加しませんでした。私、女の人しか愛せない、アマゾネスとしては落ちこぼれなんですよ。」そういうと彼女は少し力なく笑って見せた。
なるほど、つまり彼女はレズビアンのアマゾネスというわけか。男を襲うことが至上命令である部族にとって、レズで男性恐怖なアマゾネスは落ちこぼれ扱いになる。女だけの部族だけに同性愛はひんぱんにあるに違いないが、それでも男は襲えなければならない。許されてもバイまでなんだ。おそらく落ちこぼれ扱いにされた彼女は、仲間にも見捨てられ、こんな人里離れた谷底の地にひとり住んでいるのだろう。
ともあれ、そういうことなら、このまま平和的にお別れができそうだな。「…ここから上に戻るにはどうしたらいい?」「この家の裏手300メートルくらい進むと石の階段があります。そこから行くといいですよ。」「なるほど。」「あと、階段を登り切ると島の中心部にかなり近づけます。その先に神殿がありますから、そこに行かれるのがよいでしょう。私たちさえも知らない、秘密の浮遊装置が神殿にあるってウワサですから。」「なるほど。よく分かったよ。どうもありがとう。」「クスクス、どういたしまして。」
どうやらゴールは近いみたいだ。この裏の階段を登れば、近くに神殿がある。その奥に、どうやらこのアマゾネスステージの出口があるみたいだ。しばらくさまよい歩き、逃げ続けてきたが、この奇妙なステージとも、あと少しでオサラバできるというわけだな。
体も治っていることだし、敵意のないこの娘にいつまでもお世話になりっぱなしというわけにもいかないだろう。それに、彼女は男性恐怖症。表面は優しくとりつくろっているが、内心はおびえているはずだ。なおさら、いつまでもここにいるわけにはいかない。
体を拭く時も、彼女はきっと相当に怖かったはずだ。アマゾネスの中にも、それでも気を失っている人を助けたくて介抱してくれるような、心優しい娘がいるんだな。
「…ねえ君、何か欲しいものはある?」「えっ…!?」「実は僕、この世界の中でなら、思念したものを具現させることができるんだ。お礼に、何かプレゼントするよ。」僕はきれいな宝石のセットを思念して空間から取り出した。小さな金の箱の中に、色とりどりの貴重な宝石が並べられている。「そんな…私は…」「遠慮は要らない。」
僕は彼女に小箱を渡した。アマゾネスは手元のきれいな宝石をじっと見ていたが、やがてきっぱりと僕の目を見てこういった。「…やっぱり私、何も受け取れません。私には…あの方さえいてくれればそれで満足なんです。」彼女は箱を僕に返した。「…そう。」「ごめんなさい。」
しょうがない。せめてものお礼がしたかったが、彼女が受け取らないんじゃあ、無理に渡すわけにもいかないだろう。「分かった。大切なひとがいるんだね。」「…。」女の子はうつむいて頬を赤らめた。「じゃあ、そろそろ僕は行くよ。」「あ、はい。では、どうぞお気をつけて。」「ああ。本当にありがとう。」
がちゃり。
僕がドアに手をかける直前に、ひとりでにドアが開いた。「レイラ!」ドアを開けた主は、金髪の美少女の名を呼ぶ。
背の高い、赤い短髪の、胸の大きな美女であった。金髪の娘よりずっと年上で、気の強そうなアマゾネスだった。
「あっ、お前は!?」「ナターシャ、今はだめっ!」レイラと呼ばれた美少女が制止に入ろうとする。どうやらこの長身のナターシャが、僕を介抱してくれたレイラの大切な人、恋人らしい。一見して彼女が責め、レイラの方が受けなのは明らかだった。こちらのナターシャもレイラをすっかり愛しているレズビアンであった。
だが、レイラとははっきりと違う点が、ナターシャにはあった。
「くっそ、森から姿を消したという情報以来行方不明になっていたが、まさかこんな所にいやがったとはな…。」ナターシャはビキニアーマーを脱ぎ捨てた。彼女は女の子を愛することができると同時に、男を悦ばせることもできるバイセクシュアルであった。
僕は身構えた。できればレイラの家で、彼女の見ている前で、その恋人と闘いたくはないのだが。ナターシャの方はヤル気まんまんだ。
「やめて、お願いナターシャ、今だけはやめてっ!」「下がってなレイラ。ここであたしがこの男を射精させれば、一気に私たちの株は上がる。そうしたらお前も、もうこんな谷底で暮らさなくても済むようになるんだ。こんなチャンス、逃す手はねぇだろ?」「でもっ…」
「…やれやれ。僕も見くびられたものだ。おおかた逃げてばっかりの貧弱なチキン野郎とでも思っているんだろう。」「…違うのか?」「チキンはどっちだよ。いっつも集団で、数にまかせて襲ってきやがって。一度に数十人なんて無茶なことをしてこなきゃあ、こっちも逃げたりはしないんだよ。」「へっ。じゃあ、今は逃げるなよ?」「…。」
ナターシャがレイラの大切な恋人なら、ここで闘うのはまずい。ほぼ間違いなく僕が勝つはずだが、勝ってしまえばナターシャは消えてしまう。お世話になったレイラにつらい思いをさせることになる。さすがにそれはしのびない。かといってわざと負ける選択肢はありえない。逃げようとしても、入り口はナターシャが完全に立ち裸っているし、その上彼女は、よほど自信があるのか、扉を閉めて鍵をかけてしまった。これを開けてまで逃げる時間はなさそうだ。それに、無理に逃げればますますチキン野郎の評判が定着することになるだろう。
…やはり、闘って活路を開くしかなさそうだ。レイラ、ごめん!
僕たちは向かい合った。ナターシャも僕も全裸。彼女は背も高く、僕と頭の高さも変わらない。「ふん。私はアマゾネス軍団の中でも特に手技で群を抜く。どうだ? 私と手の勝負というのは。」「…いいだろう。」「前言は撤回しよう。あえて私の得意な分野での勝負に乗ってくるのだからな。少なくともチキン野郎ではなさそうだ。」「そりゃどうも。」「でも、私の熟練した手の動きに耐えられるほどの芯を持っているかな?」「…。」
手の勝負、つまりナターシャがペニスを、僕がオンナを、それぞれ手だけで刺激し合い、先に果てた方が負けとなる闘いだ。たまには相手の得意な勝負を受けるのも悪くはない。修行にもなる。
相手は弱いアマゾネスの一人。といっても、島の中心に近いこともあって、ナターシャは他のアマゾネスよりも実力がありそうではある。いずれにしても、どんな女性であったとしても、女である以上は男に快楽をもたらしうる存在である。油断はできない。
ナターシャは僕に向かい合ったまま、ペニスを両手でつかむと、なめらかにしごき始めた。なるほど、手のひらのやわらかさ、スベスベに磨かれた肌触り、みずみずしい質感は心地よい。その動きもなめらかで素早く、徹底的に練習を積み重ねていることが分かる。スムーズな指の動きと手首の返しがそのことを物語っていた。
だが悲しいかな、アマゾネスたちには実戦経験が乏しい。だから逐一相手の反応を見て臨機応変に動いたり作戦を練り直したりすることができない。あくまで、伝承された型どおりの動きしかとれないのだ。だから、こちらがその型の攻撃に対して防御してしまえば、ダメージが与えられなくなるのに、彼女はそれでも、同じ動き・型で手コキを続けるしかないのである。
それでは、こちらも反撃がてら、お手本を見せてやるか。僕も両手を伸ばし、ナターシャのオンナを10本の指先でかき回し始めた。
「うっく、なかなかやるなっ」ナターシャは腰をくねらせ始める。お互いに向かい合って立ち、お互いの性器が手で刺激されている。クチュクチュと音がひびき始めた。…主にナターシャの方から聞こえてくる。
感じるまい、イクまいとすれば、本能的に身体は防御の姿勢となり、同じ指先の動きに耐性ができはじめる。僕は経験上そのことを知っており、彼女が反射的に腰をくねらせるのに合わせて、微妙に指の動きを変えてやるのだ。触れる位置、クリトリスへの刺激のタイミング、指をねじ込む本数や深さなどを、相手の動きに合わせて臨機応変に変化させ続けるのだ。そうすることで、相手に一瞬たりとも耐性をつけさせることなく、大ダメージを与え続けることができる。
「あっ…はあっ…くそ…気持ちいい…っく!」「アマゾネスは数にまかせて力を発揮するが、致命的な弱点がある。正面きっての勝負では決して僕に勝つことはできないんだよ。」「なにくそっ…!」
ナターシャは全身に力を込めた。やれやれ。「じゃあ、そろそろ決着をつけるぞ。」僕は相手が力んだ時に最も感じるよう指先を調節して動きを早めた。このまま一気にイかせてしまおう。
「うひゃあっ! だめえっ!」「ナターシャ!」レイラの制止が入る前に、ナターシャは絶頂を迎えた。
ガクガクと身を震わせて恍惚の表情を浮かべたナターシャは、半透明になった。「ああっ…これは…」絶頂時の満足感と消えゆく不安――何が起こっているのか、ナターシャにもよく分かっていないみたいだ――が入り交じった表情を、彼女は浮かべた。「…悪いな。僕にイかされた女は消えちまうんだ。」「そんな…いや…レイ…ラ…」
「ナターシャ! ナターシャああっ!」レイラが泣き叫び始めるも空しく、ナターシャは消滅してしまった。
「…すまない、レイラ。この世界に閉じ込められた女は皆、この運命をたどることになるんだ。そもそもそういう残酷な仕組みを作り出したないと・めあがだな…」「…許さない…」「え…」「よくも私の大切なナターシャを!」「…すまない…」「絶対に許さないわ虫ケラ男め! じわじわと嫐り殺しにしてやるわっ!」「くっ…」
レイラは完全に気が動転してしまっている。ナターシャを消した僕への怒りと復讐心で頭がいっぱいになってしまっていた。「男は怖い…でも、ナターシャの恨み、この私が晴らします!」
レイラが突進してくる。まずはなだめなければ。「レイラ、落ち着くんだ。消えるといってもそれは一時的…」「ナターシャを返して!」彼女は僕に飛びかかってくる。こっちの話などまったく聞こうとはしない。僕は僅差で彼女の体をよけ、ドアの反対側、さっきまで僕が寝ていたベッドの方に走った。
「やめろ!」僕の制止も聞かず、彼女は執拗に僕に抱きついてくる。これまでナターシャにかわいがられたスベスベの肌が僕にこすりつけられる。レイラはビキニアーマーのブラ部分だけ外し、控えめな胸を僕に押しつける。興奮しながらも、男性に対する恐怖心で、体が小刻みに震えている。その愛らしい振動が僕の体にも伝わってきた。
「だめだレイラっ!」僕は彼女の体を引きはがそうとしたが、力では彼女の方が上だった。僕はがっしり捕まれ、足払いを受けると、ベッドに仰向けに倒されてしまった。僕を助けてくれたレイラまで消してしまうわけにはいかない。何とかして彼女を落ち着かせて、平和的に解決しなければ。
僕は上半身を起こし、ベッドから脱出しようとした。だが、レイラは執拗に僕の肩をがっしり掴み、仰向けに組み伏せてくる。そうして上に乗っかってきては、若い肉体を執拗にこすりつけてくるのだ。
脱出しようともがいても、それ以上の力で抱きついてくるレイラから、どうしても逃れることができなかった。だんだん筋肉が疲れてくる。それに対して、レイラは疲れ知らずだ。
ついに起き上がれなくなった。すると彼女は、僕の腰の上にまたがって体重をかけずに座り、ぐっと上半身を落として僕に抱きつくと、胸を押しつけてきた。彼女はすぐに離れ、今度は両手で僕の上半身のあちこちを撫でさすり始めた。
乳首を指先で弄び、敏感な脇の下や両腕、おなかや脇腹をスベスベの手のひらで撫で続ける。肩や首筋まで、素早くなめらかに手のひらや甲が滑っていく。ときおり彼女は上体を前に倒し、舌先で乳首をねぶったり首筋に吸いついたりしてきた。その間中、レイラは完全に無表情のままであった。
レイラの責めは執拗だった。指先や手のひらや手の甲を巧みに使い、僕の上半身のあちこちをこれでもかと愛撫してくる。僕の上半身に全ての肌(下向きの背中は除く)にまんべんなく、レイラの優しい手が這い回り、1カ所たりとも漏れる所がなかった。
ベッドのそばに置いてあった金具を取ると、レイラは僕の両手首にこれをはめた。金具はベッドの下でつながっており、鎖のジャラっとした音が聞こえた。つまり、僕の両手はベッドに固定されてしまったのだ。僕の体力が回復してまた暴れられては困るのだろう。
そうして指先で体のあちこちをくすぐりながら、脇腹も首筋も肩にさえもやわらかい唇で吸い付いてくるのだ。乳首にも吸い付き、チュウチュウと吸いながら巧みに舌を動かし、いつまでもいつまでもねぶりながら、両手で僕の頬や腕をスベスベとさすり続ける。
これら一連の動きは、きっとナターシャがレイラにしてあげていたことだった。ペニスへの攻撃は一切せず、しつこく執拗に上半身ばかりを責め嫐り続ける。上半身にある性感神経はことごとく刺激され続けた。ぞっとするほど、レイラの顔は復讐心で燃えており、「愛されている」感覚は全くない。それでも、僕の上半身は執拗なレズビアン愛撫によって、じわじわと暖められていた。
充血は甚だしい。性感マッサージによって血の巡りがよくなり、上半身が敏感になっている。そこへ執拗な愛撫が絶えず襲いかかっているのだ。僕は大の字に寝かされたまま手首を固定され、脇の下をくすぐられながら、血の巡りがよくなってじんじんと体がくすぐったく疼くのを感じた。
その疼きはもちろん、下半身にも伝わっていく。レイラのお尻のぷにぷにした感触を腰に受け、ペニスははち切れんばかりに膨張してしまっていた。ナターシャ相手でもこれほどまでに敏感に脈打ってはいない。
レイラは後ろを見て、グロテスクに反り返るペニスを見て体をこわばらせた。恐怖心がよみがえったのだろう。もちろん、彼女は僕とのキスを絶対に拒否していたし、ペニスに触れることもできなかった。
そのかわり、レイラはレズビアンらしく、貝合わせの姿勢を取り始めた。彼女は僕の上に座るのをやめ、ペニスを飛び越えて、僕の足下に尻餅をついた。彼女の左足が僕の右足の上に乗せられ、彼女の右足は僕の左足の下にねじ込まれる。そのまま腰だけを突き出すと、僕の腰が彼女の右足によって持ち上げられ、さらに右側にわずかにひねられてしまう。
松葉崩しに近い体勢だった。レイラは鎧の下をぬぎ、全裸になる。ナターシャに剃られたツルツルのオンナが、じかに僕の会陰に押しつけられる。彼女の腰の上に玉袋とペニスが乗っかっている格好だ。ぐっと彼女が力を入れると、オンナはますます僕の股にきつく食い込んできた。
女同士なら、性器が対面する体勢だ。が、男女対抗である以上は、どうしても性器の位置はずれてしまう。しかし僕を激しく勃起させ続けるには十分な攻撃だった。
レイラはぐいぐいと腰を上下にくねらせ始めた。玉袋の周囲、会陰、お尻にいたるまで、レイラのやわらかい股が食い込み、ムニムニと揉みしだいてくる。両手を縛られ腰を強制的に浮かせられた格好の僕は、この体勢から逃れられず、女の肉に下腹部を揉まれ続けるしかなかった。じわじわとした快感が押し寄せてきて、ペニスからカウパーが流れ続けた。
腰の動きは思った以上に激しい。スベスベのオンナ表面は、やがて玉袋を優しく揉みながらペニスの奥に振動を与えて、周辺にこすれていく。じっとりと汗が僕の股間を温め続けた。
レイラは腰を使いながら上体を起こし、腹筋で体を支えつつ、両手でペニスに手を伸ばし始めた。ためらいながらも、ゆっくり指先をペニスに触れると、震えながら、やがて亀頭を揉み始めた。両手でペニスを掴んだレイラは、左手で根本を包んでさすりながら、右手で先っぽを包み込み、やわやわと揉み続ける。その間も腰だけは激しく動かし続ける。
「ああっ…だめだ…レイラ…やめ…」僕は上半身を起こしてレイラの動きを止めようとしたが、両手は大の字で固定されたままだ。首を起こして彼女の動きを見るしかなかった。精力が削られ始める。執拗なレズビアン愛撫で充血し、防御力が下げられている。しごきあげる動きではないが、亀頭を揉む優しい手つきは男を感じさせるに十分だった。
このままではまずい。時間をかければ、僕でも彼女に射精させられてしまうだろう。それにレイラの方は、長時間かけて相手を悦ばせるプレイこそが得意なのだ。言葉どおり、じわじわと嫐られてしまうことだろう。
…しかたない。レイラも倒すしかなさそうだ。彼女も男性恐怖症ながら意を決して僕に決死の覚悟で挑んでくるんだ。こちらも真摯に向き合わなくてはならない。何とかして逃げようと思っていたが、むしろ彼女を倒すのが正しい選択と言える。
ただ、仰向けに寝かされて両手を縛られている以上は、愛撫攻撃で倒すことはできない。それなら…。
僕は腰をひねり、お尻を自分の方にぐっと引き寄せた。そして彼女の腰をひねって、今度は僕の腰が彼女の下に来るようなイメージで、ぐっと彼女の方に腰を突き出した。
「ひゃう!?」レイラが驚いたように鳴いた。ペニスはちょうど、彼女のオンナ表面、割れ目の所に押しつけられている。こちらから見るとホットドックみたいになっている。僕はそのまま腰を使い、ペニスで割れ目を執拗にこすりつけ始めた。
「あっ! す、すご…い…」レイラは両手を後ろについて、快感に震えている。「どうだ。女同士の貝合わせもいいが、こういうホットドックの刺激もなかなかだろう?」「んっ…いや…そんな…」「もっとスピードを上げるぞ。」僕は腰の動きを早めた。
「だめえっ、あうう!」レイラは負けないように、腰の動きをなめらかにして反撃してきた。オンナ表面が執拗にペニスをしごく。こちらにも性感ダメージが来る。
もちろん、僕の方が圧倒的に有利だった。レイラの精力がどんどん削られていく。彼女はだんだんイキそうになってきた。初めてのペニスの感覚に、レイラは悶絶してしまっているのだ。
彼女は後ろ手でベッドの端のスイッチを押す。すると手かせが外れ、ベッドの下に収納されてしまった。
僕は上半身を起こした。彼女も僕に抱きついてくる。座位の格好で、僕たちは抱き合った。普段のレズプレイでも同じようにしているのだろう。
ずぬっ!
「ひゃあああっ!」今までにない感覚がレイラを襲った。僕は巧みに腰をねじ込んで、レイラのオンナにペニスをつき入れてしまったのだ。本物の座位で、僕たちは結合した。このまま一気に倒してしまおう。
僕はぐんぐん腰を突き上げる。レイラの体もベッドの弾力で飛び上がるようにして、ペニスからの快感を一身に受けている。こうなってはイクのも時間の問題だった。
「ああっ! いっちゃう!」レイラは全身を震わせると、あっという間に高められ、絶頂を迎えてしまった。
「はあっ、はあっ、すごい…こんな短時間で…」「これが男の感触だ。長い時間を愛し合うレズプレイもいいだろうが、一気に高められる挿入勘もまたイイだろう?」「うぅ…」
レイラの体が半透明になっていく。不安そうな顔を僕に向けながら。「大丈夫、消えるといっても一時的なんだ。いつか必ず復活する。だから、待っていさえすれば、ナターシャにも必ず会えるだろう。」
それを聞いたレイラの顔に安堵の表情が浮かんだ。その直後、彼女の体は完全に消えてしまった。
僕は誰もいなくなった家をあとにした。確かに消えても復活する。でも…いつになるかは分からない。直後に別の場所で復活することもあるし、1日後、1年後、あるいは100年後になるかも知れない。レイラがナターシャに会えるのは、一体いつになるのだろう。考えると恐ろしい。
やっぱり、倒されたら消えるという、ないと・めあのシステムは許せない。こういう残酷さは、やはり魔の者の特徴ということなのだろうか。女だけの島が丸ごとこの異世界に飛ばされ、アマゾネスたちはセックスバトルの犠牲者になっている。
もちろん、こんな世界を変えることはできないだろう。彼女たちを救うことも困難だ。だが、僕が彼女たちに射精し、より深い淫欲の島にしてしまうことを、食い止めるくらいならできる。自分にできることをやるしかない。もしかしたら、僕がないと・めあを倒せば、この世界を破壊できるかも知れないしね。
谷の階段を一人登りながら、そんなことを考えていた。そして、ここを登れば中心部、一刻も早く脱出をしなければと、決意を新たにするのだった。
(アマゾネス2 クリア)