アマゾネス3-5
全裸女性型の神体。祭壇に置かれた、石造りの女体像だ。毎日丁寧に磨かれているのだろう、ぴかぴかに輝いている。神官たち始め、アマゾネスたち全員が、この像をあがめ奉り、とても大事そうに扱っているのだ。神官たちやアマゾネスどもではなく、僕はなぜか、この石像が気になった。
…きっとこれが何かのカギであるに違いない。
石像はしっかり台座に固定されており、神々しい輝きを放ちながらものも言わずに僕たちを見下ろしている。獣のように獰猛かつ妖艶なポーズで四つん這いになっていて、腰のくねった様子やその肉感がとてもセクシーだ。
思えば、このアマゾネスの島は、女だけで構成されていて、いっさいを女性だけで切り盛りしている。仕事も作業も戦闘も女性のみだ。そして、子孫を何らかの方法で存続させる必要があり、その手段として男を道具化し、種馬のように扱って精を絞り尽くしてきたのだった。
そんな彼女たちが、女だけでも島を運営し、なおかつ繁栄するためには、相当の工夫や、戒律などの厳格なルールの類が欠かせなかったはずである。人間の世界は、男女が入り混じってこそおのずから成るごとくに成っていくものであり、そこからの逸脱は、じわじわと滅びを意味していくことになる。もし世界にお見合いというものがなく、自由恋愛以外での結婚があってはならないとなれば、人口が激減するのと同じ理である。その地域に女しか生活してはならないのなら、やがては滅び行くことになってしまうのだ。
そもそもなぜ、女性だけの国がなければならなかったのか。それは、太古、力での支配が主流だった時代、実権を握るのはおしなべて男ばかりだったことと少なからず関係があるはずだ。彼女たちが武装し、武力と性力で男を島から排除したことがその証拠となる。その強靱さは、男性が侵入すれば確実に権力を乗っ取られ、女たちは労働力としての奴隷または性的な奴隷に貶められていたことを物語る。これを防ぐために彼女たちは強くなったのだ。
アマゾネスたちが生き残るためには、鉄の規律と、たゆまぬ鍛錬、変化を完全拒否する保守思想、そして何より、心のよりどころとなるものが必要だったことだろう。それがまさに、この神殿祭壇のご神体というわけだ。
このご神体には何か不思議な力があるのかも知れない。彼女たちを守り、教え導き、存続させる秘密が凝縮している気がする。太古より受け継がれてきたアマゾネスたちの信念のようなものが、神秘的なパワーとなって、このご神体に宿り、蓄積され、不可思議な魔力を秘めているのだろう。
そんな守り神が直接守護している祭壇で、神官やアマゾネスたちに手を出せば、神体から何が飛び出してくるか分からない。そう思わせるほど凛とした威圧感が、この石像には宿っているのだった。
それなら、この神体を攻撃し、倒してしまえば、彼女たちは守り神を失い、総崩れするのではないか。…ただの石像ではなく、歴代のアマゾネスたちの念がこもって魔物化しているなら、の話だが。
僕は少し高いところにあるご神体のところにいきなりよじ登った。身体のバランスを取りながら神体の後ろにまわり、四つん這いの美女石像にのしかかると、オンナに入れようとする。
が、ソコはただの穴で、別段何が起こるわけでもない。石像は女体の細部まで精巧に作られ、股間部分はあえてぱっくり開いて挿入可能なようになっていたのだが、そこにペニスを入れても冷たいだけでガバガバ、別に締まったり怨念が流れ込んだりということもなかった。
うーむ。。。
やっぱりどう考えても、ただの石像のようだ。特に何かパワーが込められているわけでもないし、動くわけでもない。このご神体には多くの念がこもってはいるだろうけれども、所詮はただの石のかたまり。何かができるわけではない。彼女たちの心のよりどころという以外には、何も効果がない偶像にすぎなかったか。
「うわあああ!」「き、貴様ッ! ご神体さまを汚したな!」アマゾネスたちが怒り心頭だ。一斉に駆け寄り、僕を引きずり下ろそうと躍起になる。それもそうだ、彼女たちにとって命よりも大事な神体に、裸の穢らわしい男が、よりにもよって汚らしいチンチンをぶちこんでしまったのである。怒るに決まっている。
「うわっ!」驚いてバランスを崩し、石像ごと床に落下。神体は高台とくっついているのではなく、そこに乗せてあった物のようだ。石像の背中にしがみついたまま腰を振っているところに集団でつかみかかってくるのだから、当然僕の体と神体は一緒に落下するというわけだ。つぶされないようにあわてて腰を引いて、僕は石像から離れ、無事に着地した。だが・・・
ごわ!
神体の方から何やらイヤな音が…
静まりかえる。
女たちも僕も、ゆっくりおそるおそる神体の方を見る。
神体は四つん這いの状態で逆さになって落ちている。
「あ・・・なんかすいませんw」僕はあわてて神体を抱き起こすと、その場でひっくり返し(思った以上に軽かった)、元の四つん這いに戻した。
ごろ。
「あっ」
神体の首が取れちった。
立て直すまでは繋がっていたのだが、落ちた衝撃で脆くなっていたところに乱暴に立て直したから、その振動でついに頭部が折れ、首から上が床に落ちて転がってしまったんである。
「あ…」アマゾネスたちは唖然としている。
「ぅゎ! ごめんなさい!」さすがにやり過ぎた。正直すまんかった。
僕は神体の首を持ち上げ、元の場所にあてがおうとする。が、もともと細く作られていた首部分がくっつくわけがないので、背中の上とか肩の辺りとかに乗せるようにしてみた。
イロイロ試行錯誤した結果、四つん這いの神体の頭部は、にこやかに真上を向き、思念して取り出したガムテープでグルグル巻きになった挙げ句、右肩の上あたりに不自然に繋がるという見るも無惨な状態になった。180度ねじ曲がった上に肩から首が生えるという滑稽なポーズからは、もはや神々しい輝きはいっさい感じられなかった。
「えっと・・・とりあえず直してみたんだけど、、、ダメかな?」僕は小首をかしげて、アマゾネス神官たちにかわいらしく笑って見せた。彼女たちは口をあんぐり開けたまま目を見開いているポーズを崩さない。
「たっ大変だー!」アマゾネスたちが大騒ぎをはじめる。
僕のことなんかそっちのけで、みんなご神体の方に円陣を組んであわあわとふためいている。「神罰が!」「早く鎮めなければ!」「ひええ!」「はっ早く皆に知らせねば!」「すっ、すぐにお詫びの祈祷の準備を!」「いやあああ!」「お鎮まりの英霊様を鎮めるのだ!」「首を直すのが先だよお!」「ひゃあああ!」一気に全体にパニックが拡がる。
「早く! はやく儀式の準備を!」「ええい、今準備をしとるわい!」「その前に衣装を持ってこなくちゃ!」「のろしの用意を! 全島民に知らせるのだ!」「きゃああああ!」パニックに陥った神官が思わず入り口のカギを開く。僕を閉じ込めていた祭壇の入り口が自動で開いていく。「馬鹿! そっちじゃない! 地下道からの方が…」「きゃああ!」「表にも知らせるんだ!」「うわあ!」「ご神体様がああ!!!」「次は絶対☆霊域アニメ化くるぞー!」「大変だー!」「ひゃあああ!!」「地下道にも知らせなくては!」「お助けええ!!」
地下道で待ちかまえていたアマゾネスたちもパニック。神体の前でひれ伏したり、あちこち走り回ったり、地下道に行こうとしたがそこに人が大勢詰まっているので行かれず、どうしたらいいか分からず右往左往したり、混乱がさらなる恐怖と混乱を呼んでパニックが拡がっていく。よっぽど大事な神体だったらしい。
その機に乗じて僕は入り口へダッシュ。
外へ出ると、階段のようにピラミッドを登る。
アマゾネスたちは、まさか神体が壊れるとは思ってもいなかったので、慌てふためくばかりで、僕のことなんてすっかり忘れている。犯人捜しよりも、神体の怒りを鎮め、自分たちの守り神を何とかすることが優先であり、むしろそれで頭がいっぱいなのだった。僕がこっそり外に出ても誰にも気づかれることはなかったし、ピラミッド外側の石段をひょいひょい登っても、誰にも見とがめられることもなければ、もちろん追いかけられもしないのであった。
…いや、悪かったと思ってますよ?
彼女たちにとって命より大事なものを壊しちゃったんだから、悪いことしちゃったなーって思いますよそりゃ。
でもね、土下座しても許してはもらえないと思うんだよね。あの石は二度とくっつかないし。そこに残っていたら、八つ裂きじゃあすまないじゃあないですか。ねえ。
というわけで、こっそり立ち去るのが賢明だと判断したわけなのだよ明智クン。やっちゃったものはしょうがないじゃないか。
頂上に着く。下の方では、女たちの叫び声がきゃーひー聞こえてくる。やっぱり誰も僕の存在を気にも留めない。ごめんなさいマジで。。。
と、一番上の石だけ、案外もろいことに気づいた。ちょっとした衝撃だけで破壊できそうだ。石というよりは、砂を寄せ集めて固めて乾かしただけの代物のようだ。
壊してみると、光があふれた。なにかの装置が作動したみたいだ。砂の固まりから飛び出した光は、僕の体を包み込み、徐々に僕が発光しているみたいになった。
すると、僕の体が浮き上がりはじめる。光は筒状になり、僕の全身を包み込むと、どんどんスピードを上げて真上に上昇していく。超高速の小型エレベーターに乗っているみたいだ。
そうか、このてっぺんの石こそが、出口のスイッチだったんだ。ここで光に包まれ、上昇することによって、僕は上の世界、すなわち塔の上階に進むことになる。セックスバトルというより、いかに捕まらないかという知略戦だったな。そういうタイプのステージも必要だったし、それが僕を別の意味でレベルアップさせた気がする。
ぎゅううううん! 「うぐぐ!」光のエレベーターがものすごい勢いで一気に加速していった。下の世界からは見えないくらい上に、出口があるのだろう。ものすごいスピードで上空1キロメートル以上は上がったと思う。気圧とGの影響で、僕は気を失った。
………
……
…
「・・・うぅ・・・・・・」
気がついてみると、僕は石室の中にいた。
四方を石で作られた壁に囲まれており、6畳間くらいの広さだ。
床に大きな窓がハメ込まれている。展望台とかにありそうな強化ガラスの窓で、開いたりはしない完全固定型だ。下を覗いてみると、はるか下に小さな島、あとは何万キロと海ばかり。これがアマゾネス島ステージの姿だった。
海に逃げ出しても、どこまで行っても出口にはたどり着けないことが分かった。そして、あれだけ広かった島が点のように小さいことから、この石室は相当上空に浮かんでいることが分かる。DBでいえばカリンのさらに上の神殿くらいかな。もっと上空かも知れない。
多分あの光の筒が、島とこの石室を直通するエレベーターだったんだな。
とにかく、僕は島から脱出することができたんだ。アマゾネスステージをクリアしたんだ。
それなら先に進まなくては。アマゾネスではあまり肉弾戦はしてこなかったから、ソッチの実力の方も鍛えないとね。次のステージの敵でレベル上げをし、アマゾネスステージで培った逃げ技や知略を生かし、脱出できるくらいに強い男になるんだ。
僕は石室に目を戻し、辺りを見回す。と、上の階に行くドアが奥の方にあることに気づいた。ドアは半開きになっており、向こうに上り階段も見える。カードキーも必要なかった。やっと出口だ。
「やあ!」
「!」
扉を開けようとすると、いきなりドアが声をかけてきた。
「そうだった。。。」○| ̄|_
しばらく更新できずにいて、話が遅々として進まず、「●●3 クリア」がしばらくぶりだったせいで、僕自身すっっっかり忘れていたのだった。
次のステージに行くときにはドアが話しかけ、ヘンなやりとりをしてからでないと、上に上がれないのだ。作者が毎回苦労する「ドアネタ」があって、初めて終了となるのだった。そんなにネタをひねり出すのが苦痛なら、やらなきゃいいじゃん。てか毎度毎度このドアと何かやりとりをすると、いっつもロクなことがないんだよなあ。爆発したりハンマーで殴られたり。できれば避けたいところだったが、つきあわないと通してくれないしなあ。あーヤダヤダ。ヤーダ! ヤーダ! 珍獣になっちまうよ。
「久しぶりのドアネタだょ」
「ちっさい”ょ”やめろ。いいから通せ。」もうね、オッサンのくせしてイタイ若者のふりするととんでもなく不格好だってのが分からないらしいな。微妙に流行的に古いし。
「まぁそう言わんと、ちょっとつきあってくれや」「…」ヤツの話を聞かないと通してはもらえないらしい。仕方ない。
「気がついてみると『ないと・めあ』も9年目になる。あと数ヶ月、12月で10周年記念やで。ちなみにその時は人類滅亡とされている日でもあったりするんだなこれが。」「だからなんだよ」「いろいろあったな…思うて。環境もずいぶん変わったし。」
たしかにドアの言うとおりだった。
大いなる絶望と期待の混在の中で、ひとつの転換点を、あのときたしかに迎えていた。すでにテキスト系のアダルトサイトはいくつかあって、これを模倣する形で、『ないと・めあ』が見よう見まねで誕生したのだった。今でも覚えている。ただの宣伝と言われそうだと批判されることも辞さずに先輩サイトの掲示板に自己紹介したときのこと。あのときはブログもSNSもなく、掲示板だけが頼りで、その掲示板で多くの人と交流したこと。若く創作意欲にあふれ、ある程度計画的に順調に書き進められていた時期があり、現実の犠牲は小さくはなかったもののたしかに充実した日々がそこにはあった。アイデアと性欲にあふれ、一晩中書き続けるなどしても一向に平気だった。黒い歴史もあった。あえて更新履歴に残してある。それでも我が道を突き進むことができていた。本当に楽しい日々であった。
転職もあり、年齢を重ねて行くにつれ、いつのまにか、調子がよく勢いとノリでガンガン進むということができなくなっていった。体の無理も利かなくなり、射精せずとも平気な体になり、気がつくとリアルで若い連中を引っ張っていく年齢になっていた。無理が利かない上かなりの時間を取られるようになり、それはそれで大変結構なことなのだが、これまでのようには行かなくなったのは確かだ。
周囲も大きく変わる。ネット環境も変化し、コミュニティも広がりを見せるようになっていった。細々と小説を書き進めながら、さまざまな楽しみをともに愉しむことができるようになっていった。多くの人が作品を自由気ままに発表できるようになり、大きな勇気や決断などなしに自分の好みのエロを大勢の人に紹介し、それについて堂々としていられる時代が来た。結果、初期において「セックスで戦う」という物の見方がまったくの少数派であったものが、いまや多くの人が知る一大ジャンルへと成長していったのである。そもそも『とらわれペンギン』や『トワイライトゾーン』という、88~98時代のPCゲームが先行であるが、世に忘れ去られ消えようとしていたところであり、風前の灯火のごとく歴史に埋もれていたのであって、自分の好みが理解されることはないと思っていたのだった。それが、多くの人の手を経て、多くの人の苦労と尽力によって、この21世紀初期において再びおおきなうねりになったのは、本当に喜ばしい限りである。
気がつけば先輩サイトのほとんどは更新を停止。どうにかこうにか、形を変えながら、『ないと・めあ』は細々生き残っている。自分のやるべきことは、現実と折り合いをつけながらも、人生の一大事業として、私が生きた証の中心的なひとつとして、書きかけのものを終わらせ、ひととおりの完結を見ること。これが大きな夢でもある。いい締めくくりの方向性を、10年の記念に模索したいと思う。
「まーね…。ここ最近は更新ができなくてね。」「それはなんとかしないとだけど、少しずつでも進められるはずや。」がんばりますよ。
「めずらしくマジメな話だな。ドアのくせに。」「ま、ワイもたまには語りたくなるんよ。」「ん。いいことだ。じゃ、僕は先に行くんで」マジメに語ってそれで終わりというなら何もなくて無事に通過できる。長く引っ張れば絶対ロクなことにならない。
「またんかい! 話はまだ続くんじゃ!」「何だよ。これ以上やるとロクなことにならないのは火を見るより明らかじゃねーか!」「まーまー。耳寄りな話だから。なんとか9年続いた記念ちゅーことで。」「…。」あああものっっっそいイヤな予感しかしないいい…
「この塔のルール覚えてるか?」「覚えてるも何も、まさに戦いのまっただ中さ。」「射精したら負け、即ゲームオーバー。」「ああ。」
「じゃあ、もし仮に、イッても負けにならないなら、自分、欲望のままに行動するん?」…考えてもみなかったな。
僕みたいな奴は案外快楽に浸って思いっきり欲求全開で愉しんでしまうかも知れない。自戒せねば。
「って、そうやって僕の心の悪を引っ張り出して楽しんでんじゃないよ!」「まぁそう言わんと。実際、この世界にはそんな場所があるんや。耳寄りやろ?」「う…。」
「ルールはあくまで『この塔で射精したらゲームオーバー』や。ってことは、塔の外なら、このルールは当てはまらない。せやろ?」「まー、そういうことになるんだろうな。でも外に出られるなら苦労はない。」
「それがな、外に一瞬出る方法があるんや。もちろん、元のアンタの世界に帰れるわけやないけど。ステージによっては、窓のあるところあるやろ? そこから外に飛び出したことがある?」「ない。どうなるかわかったもんじゃないからな。」「やってみるとええで。一瞬、塔の外の異世界にワープできるから。」「…そうなの?」「そこでは塔のルールが無効。欲望に任せていくら射精しても負けにならんのや。どや。ええやろー?」「うぐ…」
うむむ。。。
それはそれでちょっと魅力的ではある。つまり、塔の外の別世界にワープして、そこでならいくら射精をしてもノーカウント。いくらでも女体を愉しむことができる。ガマンもしなくてすむ。無敵状態でやり放題ではないか。
いやいや、ちょっと待て。
そんなおいしい話があるものか。なんかウラがあるんじゃないか。
それで欲望全開になって、女体にだらしなくなったところで元の塔に戻っても、思いっきり弱体化していてすぐイッてしまうとか。…甘い誘惑に負けないように踏ん張るからこそ、ここまで来られたことを忘れてはならない。
「相手の女がイクか、自分が『戻りたい』と強く願うかすれば、そこで元の塔に帰れるから安心や。望めば人数も増やせまっせ。」
つまりこういうことか。
塔の中(ステージ)において、女体を使って射精してしまうことは、即座に死を意味し、永遠にこの塔から抜け出せなくなる。だから、女たちの甘い快楽のワナをくぐり抜け、イかないようにしながら、なおかつ彼女たちをイかせて倒し、先に進まなければならない。この塔の主である『ないと・めあ』に会って説得し、元の現実世界に戻ることが目的だ。
だが、ステージ内に、まれに「外に出られる窓」がある。その窓から出ると、ステージとは別の異空間に行くことができる。
その先にも女がいて、セックスができるのだが、そこではいくら射精してもゲームオーバーにならない。好きなだけ出してスッキリしたところで、好きなようにステージに戻ることができる。まさにやり放題、ボーナスステージ状態だというのである。ガマンせずに、これまで抑えてきた欲望を好きなだけ吐き出すことができるというわけだ。…でもねえ・・・
「…。」なーんか、話がうさんくさいんだよねえ。罠かも知れないし。
「…ただし、ひとつだけ気ぃつけなあかんことがある。」ほらきた。うまい話なんてないよなあ。
「普通、射精したら脳内で抑制物質が働き、性欲が激減するんや。」「プロラクチンってやつか」「せや。だが、アンタがこの塔で負けた場合と、塔の外の異世界に行った場合に、この機能が働かなくなる。つまり、いくらでもイクことができるんやけど…」
…何かイヤな予感。
「…そこで快楽に浸り続け、精を提供し続けると、アンタの精神エネルギーがすべて吸い取られて、塔にさえ戻ってこられなくなる。そのあとどうなってしまうかは、ワシも知らん。ま、あんまり良いことにはならないのはたしかや。」
「…全然ダメじゃん。どうせ行ったら『射精しすぎないように』戦わなければいけないわけだろ。同じだよ。」
やっぱりタダでというわけにはいかないみたいである。
どうやら、いくらでも出すことができるし、いくらイッてもゲームオーバーにはならないけれども、その相手に心奪われ、いつまでもいつまでもそこにいたいと思ってしまうようになると、大量に射精してしまうようになり、それはすなわち、自分の精神エネルギーを奪い去られてしまうことを意味する。そうなっては、元のステージにも戻れなくなり、おそらくはもっとひどい目に遭わされることになるのだろう。それを罠といわずしてなんと形容できるというのか。
「まぁ、塔に戻りたいっちゅう強い意志をくずさなければ、たいていは戻れるやろ。その相手と永遠に交わっていたいとまで思わなければ大丈夫。それに、そこでの戦いは、たとえ勝たなくても、勝ったらなおさら、塔に戻ったときにデカい経験値になって返ってくるから、戦う気でもメリットはあるんよ。」ドアが開いた。
「…。」レベル上げの近道にはなるんだな。一応、参考までに覚えておこう。
射精は自由だが、イキすぎれば抜け出せなくなる。相手の魅力に完全に負け、永遠にそこにいたいと思わなければ、いつでも戻れる。射精してもしなくても、ステージに戻ったときには大きな経験値になって返ってくるし、バトルして勝ったら相当な経験値になるので、レベルを上げたいときには計画的に利用すればよいというわけだ。
まぁそう甘い話でもないだろうな。気軽に行こうものなら取り返しがつかなくなりそうではある。頻繁にってのはやめておいた方が良さそうだ。
「ま、考えておくよ。んじゃ。」「あっ! ちょっと待…」僕はすたすたと階段を上っていった。
###アマゾネス3 クリア###