Tweet


くのいち1-2


 隠れてみようか。

 こちらがまさか忍術を使ってくるとは夢にも思うまい。

 だから、意表を突く攻撃により、アホの忍者を出し抜く作戦が、存外効果を発揮するのかも知れない。

 そうやって隙を突いて、一方的に主導権を握ることができれば、強豪ともいえるくのいちに余裕勝ちすることすら、できるかもしれない。そうすれば先々の戦闘にも、きっと有利に働くだろう。

 ここは精神世界だ。この五重塔だけ、姉が支配するルールによって動いているけれども、それでも、基本的な部分はほとんど違わない。性的なものに関連がない場合には、思念したものをそっくり手元に現実化することができる。

 したがって、隠れて相手の隙を突くことも、そうした小道具によって可能となるわけだ。

「では……僕の番だね。」

「え……? なにが?」

「忍術ですよ。悪いけど、僕もいくつか知っているので……ね。」

「へぇえ……やってみてくださいよ。私を出し抜くことができるかどうか……」

「ならば、フランス語で1から10まで数えて待つのだ。」

「ふっふふ……お安い御用! ……あーん、どーう、とろあー、ふぃーあひゅんふぜくすじーべんあはとのいん……」

 今のうちだ!

 僕はすぐ近くの壁に身を寄せ、思念して取り出した巨大な布を自分に掛け、身を隠した。この布の模様は、壁の色や模様とほとんど同じように作られているので、完全に背景に溶け込むことができてしまうのだ。

「……。」

 しのめちゃんが10まで数え終わった。

 僕は完全に背景に溶け込み、息を潜めることによって、見事に隠れ仰せることができている。

 このまま彼女に見つからず、彼女が後ろを向いた隙を突いて、反撃されない体勢で捕まえ、挿入&愛撫で一気呵成に打ち倒す!

 ぴこっ

「え……あれ……!?」

 音が鳴るハンマーで軽く頭を叩かれた。

「な……なんでわかった……」

「ハデだもん」

「え……あああっ!!!」

 僕はあっさり、むらさきしのめに見つけられてしまった。

 完全に壁と同じ柄だと思っていたら、裏表が逆だった。つまり僕は、間違えて完全に派手な模様の布を自分にかぶせて、すぐさま見つけられてしまったというわけである。

 とんだ失態だ。

 いや……それは“失態”というには、あまりに致命的に過ぎたのだった。

 相手に見つけられずに、つまらないミスによって、むらさきしのめに見つけられ、忍法を見破られてしまったのだ。

 相手は完全に忍術のプロ。こちらの付け焼き刃的なニセ忍術など、始めから通用するはずがなかったんだ。

 完全に選択ミス、あるいは……小さなミスが次々とよそに波及していくような、取り返しのつかない失敗であった。

 これでは、敵を出し抜くことも、意表を突くことも、絶対的に不可能となる。

 あとは……ただひたすら、実力勝負だけとなる。しかし、数多くの男忍者の精を根こそぎ奪うほどの実力者、回復もできない状況で、いったいどれだけ対抗できるものか。

 こんなミスでしのめに見つかってしまった以上、もう一度仕切り直すか、作戦自体を考え直さなければならないだろう。

  かくれんぼ作戦は完全に失敗だ。

 後ろは壁。目の前にはむらさきしのめ。この状況から敵に捕まらずに、事態の打開を図らねば。だが、左右に逃げるという選択肢は、もはや僕には残されていなかった。当然、彼女の方も、僕が左右どちらかに逃げることくらい簡単に想定できる。どちらに逃げたとしても、すぐさま彼女に捕まってしまうのは確実だ。

「……本物の”忍術”を教えてあげる。」

「くそっ……」

「とりゃっ!!」

「!!?」

 むらさきしのめが、僕の首の横あたりの壁に手を添える。そこに隠しスイッチがあったようだ。

 ごとん、と小さな音がして、壁の向こうにある何らかのからくりが動き出す音が聞こえた。

 そのとたん、僕の背後にある壁部分だけが後ろに下がった。壁に寄りかかっていたので、僕は後ろに倒れ込むようにして、50cmほど後方に下がってしまう。すかさず、むらさきしのめは僕の目の前にさらに迫ってきて、こちらの逃げ道を完全に塞いでしまう。

 やはり、左右に逃れる道は、初めから奪われていたようだった。壁際に追い詰められたが最後、謎の仕掛けだらけのこの忍者屋敷で、逃げおおせることは不可能になっていたのであった。

 しのめちゃんはどこにどんな仕掛けがあるのかを完全に把握しており、僕の立ち位置に応じて、それぞれのからくりを発動させることができるのだった。

 ちょうど僕の立っているところは、人1人分の領域が瞬時に後方にずれるような仕掛けが施されてあった。あとは秘密のボタンを押すだけで、僕の体は50センチ四方の壁に包まれてしまうことになる。後方も、左右も、壁に阻まれて脱出することができない。そして、目の前はむらさきしのめに完全に塞がれてしまっている。

「ふふっ……これだけじゃないよ……?」

 あどけない笑みが僕を見上げる。

 少女は、2ヶ所ある忍者服の紐を引っ張った。しゅるりとしのめちゃんの服が剥がれ落ち、彼女は一瞬で全裸になった。すぐにでも戦闘態勢は取れるし、忍者服のままでも戦えるようになっている。

 だが、それでも一部は肌の露出が抑えられてしまい、その分どうしても攻撃力は落ちてしまう。しのめにとって僕は、半裸のまま戦える相手ではないらしい。すべてを脱ぎ捨てて全身全霊で戦わなければ、僕の精を奪うことはできないと判断したのだろう。

 さらにしのめは、どこからかは分からないが携帯電話を取り出し、どこかに電話をかけ始めた。

「あー、もしもし? 壁修理お願いしたんですけど。……はい、はい……おねがいしまぁす♥」

「……!?」

 すると、どこから現れたのかわからないような作業服姿の女忍者たちが、僕たちのいる場所に駆け寄ってきた。そして無言で土を盛る作業を始め、セメントで固めていく。それはみるみるうちに壁となって、むらさきしのめの背後を固めていく。

 さらに彼女は、携帯をいじくり、何かを操作しているようだった。すると、壁全体がぼんやりと光り始め、四方が壁に塞がれているのに目の前の様子がよく見えるという状態になった。

「……閉じ込めるつもりか? ってかそれが忍術? ただ業者を呼んだだけじゃん……」

「ぷぎゅ……そ、そんなこと……ないもん。これも忍術だもん。」

 あくまでシラを切るしのめちゃん。どうやら、いわゆる忍術というものは、こういった人為的な仕掛けによって発動するものであって、何か神秘的な力を利用したり、普通では考えられないような技を披露したりするものではないらしい。

 マジックがそうであるように、種や仕掛けが必ずあり、相手は錯覚に陥って、魔法のような忍術を相手が使っていると思い込んでしまうのだ。

 しかし、岩に隠れる忍術もそうだし、壁に隠れたり、まきびしをまいたり、水中を歩くなど、すべてどこかで仕掛けがあって、心理作戦で相手を翻弄するのが本来の忍者のやり口なのかもしれない。げんに、壁が後ろに下がったり、しのめの背後を固めるために仲間を呼んだりすることも、すべて人為的な仕掛けによるものだ。

 だとするなら、逆にこちらが心理戦で勝つことができれば、相手の目をくらませることができれば、忍術合戦はこちらの勝ちということになるはずだ。そうすれば、このように四方囲まれたピンチの状態であっても、何らかの突破口があるかもしれない。

 どうやら仲間たちはバトルに参加してこないらしい。あくまで作業員であり、しのめの背後に壁を作り終わったら、またどこかへと姿をくらましてしまった。

 床部分には段差がついており、ちょうど2段分の階段のようになっている。そのため、後ろに下がり壁を背にした僕は、階段2段分ほど、しのめより低い位置に来ることになる。

 このことが何を意味しているのか、僕にはすぐ分かった。

 これは……まずいことになったぞ。

 戦慄が走る。

 左右と後方を壁に塞がれ、目の前にはしのめちゃん。彼女の後方は、どこからか沸いてきたくのいちたちの作業によって、やはり壁に閉ざされてしまっている。つまり、どこにも脱出経路はない状態で、僕は彼女とほぼ密着状態で、閉じ込められてしまったということだ。

 僕たちはそんな状態で、たとえばロッカーの中くらいの、狭い場所に閉じ込められている。閉所恐怖症だったらアウトな立ち位置だ。

 ぐぐぐ……

「くっそ……」

 さらに後ろの壁が、僕たちの方に10センチくらい迫ってきた。これによって、僕と彼女の密着度はさらに増してしまう。

 作り上げられたばかりの壁が、どうして即座に乾き、硬さを獲得できたのか、それさえも謎に包まれていた。

 しのめちゃんの若々しい肉体がむぎゅうっと潰れ、心地よい弾力で僕に吸い付いてくる。忍者でなければ女子高生というハリのある肢体ながら、連日肌を磨いて性的攻撃に特化できるよう、改造を施されているので、その密着はいやがおうにも、僕の期待値と心地よさばかりを高める結果となる。

 彼女がスッと腰を持ち上げ、この狭っ苦しい圧迫の中にもかかわらず、実にスムーズに身動きを取っている。それに対して僕の方は、密着状態で立たされたまま、体を動かすことができない。僕が手足をばたつかせたり体をひねろうとしたりすれば、むらさきしのめは先回りして、僕の動きを次々に封じてしまうんだ。

 その一方で、セックス攻撃に同時進行で突入しようとしている。やばい……こいつ……狭い空間内での挿入戦で、数え切れない男を昇天させ慣れているッ!!

 ぐにゅう……

 ペニスがやわらかな器官に押し込まれていく!

 階段の段差のおかげで、僕としのめちゃんの腰の位置がぴったり合い、あとは彼女がぐっと下半身を突き出すだけで、上手に挿入が完了してしまうのだった。

 僕はいつものとおり、オンナの快楽に抗う体勢に切り替え、その膣圧の具合の良さを軽減させるよう、神経を尖らせた。

 忘れてはいけない。快楽を愉しむ行為ではない。まったく反対に、快楽に忠実に堕とそうという悪魔の誘惑に、必死で抵抗する男の営みなのだ。

 これまで数え切れない人数を相手に、その手や乳、口や膣にどれほどしごかれ、揉まれ、性感神経を刺激され続けても、精力の消費を最小限に抑え、かえって女敵の精力をゼロに至らしめ、その肢体をアクメの悦びに晒して倒す。

 頼れるのは経験だけ。スーパーマンのように瞬時にして大勢の女の子を倒す力があるわけでもない。あっという間にごっそりと少女たちをなぎ倒すほどの力があれば、そりゃ気分爽快だろうけれども、残念ながら、今の僕にはそこまでの力はない。

 もっとはるかにレベルを上げるなどすれば、おそらくはそうしたことも、ゆくゆくは可能となっていくのだろう。だが、その頃には、僕を射精させようとする敵のレベルも高くなり、おそらくはモンスターと化した若娘たちの群が迫ってくることになる。

 結果、どこまで行ってもきりがない、快感と我慢とのせめぎ合いの中に、僕はいつまでも追い詰められ続けることになる。

 それでも……前を向くほかはない。

 どこまでもとことん頑張り抜けば、それでもいつかは必ず「終わり」が来るはずなんだ。それまでに射精しなければ、僕は最終的に勝利者となる。

 だが、一度でも失敗して、相手の女の体のどこであれ、快楽に負けて精液を出してしまえば、そこで一巻の終わり。何億年経とうとも永久に、この女まみれの世界から決して抜けられなくなってしまう。

 そしてさらに、この五重塔の中では、相手によって用意された回復薬以外の回復方法が存在しない。そうやって連戦を強いられてしまうのだ。だからこそ、慎重に戦いを進めなければならない。これまでの経験によって培ってきた防御力をフルに発揮し、1ポイントでも精力を温存させるように努めなければならない。

 幸いにして、女性器に包まれたときの踏ん張り方は、十分に心得ているつもりだ。

「さすがですね。未熟な男性はもとより、ある程度熟達した忍者たちも、私のココに包まれて我慢できない人が沢山いるんですよ。最初のひと締めで出しちゃった人を、いっぱい見てきてますからね。」

「あいにくだったな」

「じゃあ……」

 次の展開は読めていた。少女は巧みな腰使いでグニグニと動き、ペニスを揉みしだきながらしっかりと締め上げ、なおかつ根元から先端までじっくりと、しかし素早くしごき上げるつもりなんだ。

 鍛え抜かれた忍者だけあって、その膣圧は並の女性を遥かにしのいでいる。男性器が感じるポイントを的確に熟知し、そこをピンポイントで刺激するようなヒダの動きと蠕動が伴っている。たしかに、気を抜けばすぐに律動を始めてしまうかもしれない。

 攻撃力はたしかに相当高い。のみならず、防御力も精力も、今までのどんな女敵よりもすぐれているだろう。

 だが、そういう相手であればあるほど、こちらも警戒を怠らないし、最大限の注意を払って戦闘に臨むのである。だからこそ、思ったほどのダメージにならず、”瞬殺”されずに済むことになる。

 あとは、相手の動きに合わせてこちらの腰を引きつつ、うまく左右にひねりながらカウンターダメージを与え、オンナのしごきによる性感ダメージを最小限に抑え続けていればいい。

 むらさきしのめが、いかに強豪だったとしても、これまでも同じやり方で、ピンチをくぐり抜けてきたんだ。そのうち、突破口も見えてくるはずだ。

 前後左右に行かれないのであれば、上に行くという手段がある。この挿入快感攻撃をかわし、防御に努めつつ、隙を見てペニスを引き抜き、壁をよじ登るように脱出すればいい。狭い壁に閉じ込められているからこそ、手足をふんばらせれば簡単に上に行くことができる。

 脱出さえ果たせば、すぐにでも体勢を整え直し、反撃のチャンスもつかめるはずである。少なくとも、今の時点で追い詰められる可能性はなさそうだ。精力消費も比較的少なく、あまりの長時間は耐えきれないだろうけれども、その前に反撃のチャンスをつかむことはできそうだ。

「……忍法、糸操り妖術!」

「なっ……!?」

 なにいいぃ!!?

 そんな……ばかな……!

 急激な性感ダメージがペニスに襲いかかる!

 むらさきしのめは、全く動いていなかった。僕の背中に手をまわし、おっぱいをギュッと押し付ける体勢のまま、手元までペニスを受け入れ、腰を動かすことなくじっとしている。ただ、僕の背中に回った手の指先が、ほんのわずか、小刻みに動いただけである。

「忍術のほとんどは、たしかにトリックがある。そこは否定しません。でもね……こっちの世界の”本物”の忍術は……ひと味違うのです!」

 そんな……そんなはずは……

 どういうからくりかトリックか、全く理解できず、自分の身に起こっていることが何であるのか、その真実をつかむことが全くできないでいた。

 僕の防御のタガが外され、お尻の奥から股間にかけて、ほとんど力が入らなくなっている。そのため、股間内部を力ませてオンナの圧迫や快楽に屈することのないように踏んばらせていたペニスが、しのめちゃんの攻撃にまったく無防備になってしまっている!

 さらに、どのような原理によってか、まったく見当もつかないが、僕の腰が勝手に動き始めているのだった。

 まるで……僕の腰部分に無数の見えない糸がくくりつけられており、しのめの妖術によって、勝手に操られているみたいだ。

 その動きがあまりにスムーズかつ素早いので、ペニスは16歳少女の壺の中で激しく出し入れされてしまっている。自分の意志に反して強制的に前後運動してしまっている。

 強い快楽が股間からお尻の穴、全身へと拡大していく。

「どうですかー? 若い娘のココ、すごくイイでしょう?」

「むぐ……」

 具合が強烈によいというだけではなかった。

 完全にペニスとの相性が整えられている。大きめの瞳と、他方でツンとつり上がった目で、ほぼ同じ背の高さに調節されて、真っ正面からじっと見つめられている。

 まだまだあどけない顔立ちなのに、首から下はすっかり女性的に膨らむよう、開発が済んでしまっている。これも、くのいちならではの鍛え方のたまものなのだろう。

 この娘のような強豪たちは、その性術で、一体何人の男を根こそぎ絞ってきたのだろう!?

 ペニスを脱出させようと力んでみたが、やはり腰に力が入らず、勝手に前後するばかりで、思うように動かない。

 そのために、なまでダイレクトなオンナの締まりと圧力が、ペニスにじかに襲いかかってくる。しかも、しのめにほとんどダメージを与えることなく、僕ばかりが刺激されてしまうような、乱暴な動かし方だった。

 完全に、僕の下半身は、むらさきしのめに操られてしまっていた。

 しかも、防御態勢をまったく取ることができず、ペニス全体に奥深くまで行き渡るくすぐったい快感が、股間全部を支配してしまう。

 それに抗おうとしても、腰は勝手に前後し続ける。

「だめ……だ……そ、そんな、腰の動かし方では……」

「……感じちゃうでしょう?」

 全部、計算ずくだった。

 ペニスが一番気持ちよくなるような動きを勝手に取ってしまう。トリックもからくりも分からないが、げんに自分の意志とは無関係に、ペニスはオンナの中で激しく出し入れされている。それも、こちら側が一方的に心地よく感じるように調整された上でだ。

 しのめはあくまで真剣だ。ときおりセックスを楽しむような、トロンとした細い目つきになって、そのあどけない顔をさらに子供っぽく魅力的に仕立て上げる。また、時にはいたずらっぽいカワイイ笑みを浮かべる。

 だが、大半の時間は、僕を真顔で見続ける、いとけない表情だった。

 間違いなくくのいちは、本気で僕を射精させにかかっていることが、そのまじめな無表情と、まっすぐな瞳から読み取れる。

 脱出できない。狭い空間で、前後左右を壁に阻まれたまま、美少女に挿入に持ち込まれ、操る術を駆使して、勝手に僕が腰を振るような状態に持ち込んでくる。

 腰を引いて対抗しようとしても、力んで射精感を堪えようとしても、もはや自分ではどうすることもできなかった。

 僕の付け焼き刃程度の忍術は、まったく彼女に通用しない。それどころか、本物の、トリックのない妖術を、いままさに僕に見せつけてくる。完敗だった。

 根本的には、一体どうやってこの妖術を実現させているのか、その謎を解かない限り、僕の脱出はあり得なかった。だが、精力がぐんぐん目減りしている現状では、いかにして射精を回避するかに、全神経を集中させるしかなかった。

 ふさふさと揺れるポニーテールは、僕の腰の動きに合ったリズミカルなものだった。そうして、スベスベのほっぺで執拗に、僕の顔全体を頬ずりし、僕の唇を奪っては舌をねじ込んで興奮させてくる。

 それ以外は、むらさきしのめは動かなかった。首より上はわざと体を固定させ、僕の腰の動きをしっかり受け止める体勢が整っていた。

 僕の動きに合わせ、ぎゅうぎゅうと狭くペニスを締め上げてくる。ちょうど僕がこの狭い空間に閉じ込められて、10代の若い肉体と強く強く密着しているように、ペニス全体に絡んでくる膣圧は、多くの男忍者たちを倒してきた実力と自信とにあふれかえっていた。

 まずい……クネクネと僕の腰にもひねりが加えられ、いやらしく妖しい動きに変化していく。それによって、股間の快楽はうなぎ登りに蓄積されていって、がっつりと精力を吸い上げられてしまう。

 脱出しなければ。こちらのピストンでは、ほとんどくのいちにダメージを与えられていない。こなれているためか、しのめちゃんは息ひとつ乱さずに、僕のペニスの出し入れに、ただ下腹部だけを以て応えている。

 だが、力を入れて快楽を回避しようとすることもできない中では、射精を押さえつけるいかなる手立ても、奪われたままとなる。

 本当に熟達した男忍者であれば、この糸繰り妖術の正体を暴き、対抗手段を執れるのかも知れない。だが、今の僕には、その現象の原因はおろか、自分の身体に何が起こっているのかさえ、皆目見当もつかないのだ。

「ね……いいんですよー? このままいっぱい出しちゃってくださいよぅ。がまんしないで……これは……どうですかー?」

 1秒間に2回ずつオンナが蠕動する。とりわけ先端を集中的に揉みしだく動きが加えられた。

 締まる圧力に加えて、ぎゅみぎゅみと先っぽの敏感な部分を断続的に刺激されたので、僕は股間の奥のキュンと疼くくすぐったさに、多幸感を禁じ得ないのだった。

 間近で見る真剣な顔の少女くのいち。その大きな魅惑的な目をじっと見ながら、僕は勝手に動く腰の動きを、どうすることもできないでいた。

 だめ……

 射精したら、負けなんだ。

 それでも僕は、この体勢から脱出できないでいる。しのめが何か操作したのか、こちらの腰の動きは全体にまで波及していて、ほとんど全身をズリュズュリュと激しく上下させる動きに変わっていた。

 まるで……しばらく射精を禁じられて十分すぎるほど性欲が高まり興奮しているときに、いきなり裸の少女が現れあてがわれ……それに飛びついて自身の性欲の解消、すなわち体液の放出と絶頂感のために、少女にがっつくように抱きついて、そのまま中に精を出してしまう……そんな獣のような存在になってしまっていた。

 おかげで、むらさきしのめの前身が僕の体をズリズリこすれていって、こちらの全身が文字どおり女体でしごかれてしまっているのだった。

「うぐぅ……」

「イッてください……大丈夫ですよ。この先は快感天国ですから。」

「だめ……」

「好き……。私の中に出してっ!! がまんしなくて……いいんだよ?」

 こみ上げる射精直前の感覚。これまでも、そんなピンチをギリギリのところですり抜けて、なんとか勝利してきた。元の世界に戻れなくなる恐怖心と、経験と、精神論的な底力を総動員させて、どうにかこうにか勝ち残ってきたのだった。

 だが……今はそれができない。力が入らず、自分の意志とは関係なく、全身が勝手に動いてしまっているからだ。

「ね、力が入らないですよね。気持ちいーい? 体中も、あなたのココも、いっぱいズリズリしてくださいね。ほらぁ……力まないと我慢できないでしょ。」

 うああ! 限界っ……

 びゅくう! びくびく! じゅるり!

 快楽の音を漏らしながら、ペニスは情けなくも散り果てていく。

 溜め込んだ精液は、一滴残らずしのめの柔らかな身体によって、心地よく吸い上げられていった。

 絶頂している最中でも、くのいちの操り術は解けず、脈打ちの間中、激しく前後させられている。いや……出し終わってもしばらくのうちは、僕の運動は解放されないままだった。

「はあっ……はあっ……うぁ……出しちゃ……た」

「訓練してるし、罪になるので外の世界では味わえない、そんなくのいちのカラダだもん。仕方ないですよー。私ちょっと頭わるいだけど、エッチのテクニックと忍術は最高にヨかったでしょう?」

「うぅ……」

 肉体改造が始まるとともに、目の前の風景が突然、別のものに置き換わってしまう。

 もはやそこには、むらさきしのめの姿はなかった。

 僕は瞬時にして、仮想的な“くのいちの里”に飛ばされてしまったらしい。

 そこはとても小さな部屋のような場所だった。

 だが、それが普通の部屋ではないことは、鉄格子の空気穴、明かり取りのための天井の排気口だけの、殺風景な様子から、すぐに理解できた。

 それと……

「今日の練習台は、このひとかあ。。。」
「なんか、しのめ先輩に負けて連れてこられたみたいだよ?」
「あー。しのめ先輩ならしょうがないよねー。」

 3畳くらいしかない、とても狭い、牢獄のような部屋。

 僕の膝から下は、床の中にめり込んでいる。男性がそこに両脚を入れることができる小さな穴が二つ、床に掘り下げられていて、そこに僕の両脚がすっぽり埋まっている形だ。

 両脚が動けないので、この場からの逃げ道は、何一つない。実に注意深く、脱出経路が塞がれているのも分かった。

 そして、そんな僕のまわりを取り囲む少女たちは、みんなまだまだ若すぎるツボミだった。

 ほんのり膨らみかけたお胸と、女性として成熟しつつあるスベスベの生足。スルンとした全身ながら、そのきめの細やかさは、すでに男性の精液を搾り取るに十分な弾力を具えていた。

 気がついたときには、僕を中心にして、年端も行かぬ少女たちが、押しくら饅頭状態で、ぎゅうぎゅうに満たされている。

 勃起したままのむき出しのペニスは、少女たちの肌触りに圧迫され、すぐさまドクドクと脈打ってしまう。

 膝から下が穴にはまっているので、少女たちのちいさな身体でも、ちょうど僕と同じくらいになる。身動きを取れないようにするだけでなく、まだまだ小さな背丈の訓練生たちでも、ペニスと腰の位置が同じになるよう、調節されているということである。

 女の子たちは、つぎつぎとやわらかな小さい手でペニスを掴み、しごき、先端を指先でスリスリと小刻みに撫でてくる。そのつどそのつど、ペニスは律動し続け、女の子たちの手に翻弄され続けることになる。

 僕は……くのいちのタマゴたちのための、ていのよい練習台にさせられてしまっていたのだった。

 少女たちは次々と、交代でペニスをイかせにかかる。先端を執拗に揉んだり、激しくしごいたり、数人がかりで小さな手を重ね合わせてペニスをぎゅうっと圧迫したり……。

 彼女たちも、あと2~3年もすれば、立派な厨房に成長し、くのいちの世界では“一人前”と扱われて、実際に男忍者たちの前に立ち裸る。熟練の性技と、鍛え上げられた若々しいシコシコした肌触りで、彼らの精を奪い尽くすのである。

 そのために、物心ついたときから、くのいちのタマゴたちは、毎日欠かさずに性的な訓練に励み、技術を磨き、自分が感じてしまわないよう、刺激への耐性をつけている。

 処女膜喪失の痛みなどものともせずに、その日から過酷な“訓練”が始まる。ペニスと同じ形をした様々な大きさの“木のおもちゃ”で鍛え上げられ、絶頂しないよう我慢強くする。電動に切り替えても、まともに立ち向かえるよう、精力と防御力を鍛える。

 そうして、ペニスを悦ばせる訓練をして、一人前に成熟していくのである……世間では、まだまだ未熟と看做されているにもかかわらず、くのいちの里は全くの異質な世界なのだった。

 内股が吸い付くようなみずみずしい肌触りで、少女たちの素足は容赦なく、僕の両脚を悩ましく滑っていく。その一部がペニスに当たるだけでも、僕はそれだけで感極まって、体液を吐き出してしまう。

 そんな生足が、ペニスを両側から包み込む。少女たちの、長短様々な、太さも個人差がある太ももの感触で、律動するペニスを挟み込み続ける。

 少女たちは腰全体を前後させたり、両脚を交互にスリスリさせたりしながら、ペニスを刺激し続ける。僕の肉体改造によって、四六時中絶頂しっぱなしにはなっているけれども、仮にそんな改造がなかったとしても、おとなの男根を優しく包み込み、吸い付く肌触りと積み重ねられた訓練の動きで、あっけなく射精に持ち込まれてしまうくらい、彼女たちの未成熟な肉体は心地よすぎた。

 いうまでもない。

 これは仮想世界だ。

 げんじつではない……

 本当の本当は、まったく違う感触なのだろう。そこまで訓練(虐待)される少女の里など存在しないし、あったとすればすぐさま崩壊するだろうし、そもそも隠されて存在していたとしても、この10~12程度の少女たちの手や足やオンナに、熟練した男性を悦ばせる力があるかどうかは不明だ。

 むしろ、男性側の禁忌感、“期待値”が高まった結果、タブーに触れる興奮が加わって、気を緩めてしまうというのが本当のところだろう。従って、抑制すればするほど、それを破ろうとすることへの誘惑が強くなる。なんでも禁じれば解決するというのは、あまりに根拠に乏しい妄念に過ぎない。

 現実は、ただただ生々しいだけである。だが、この世界での閉ざされたセックスの世界では、そんな現実的感触をも超越した、悪魔によって組み立てられた世界なのである。かんちがいをしてはいけない……妄想と実行は別問題だ。

 ああ……そう思って自制しようと踏ん張れば踏ん張るほど、僕の全身は脱力していく。

 それでも倒れ込まないのは、交代して出入りしている少女たちの、ぎゅうぎゅう詰めの部屋の中心に、彼女たちに囲まれて立っているためである。

 手や脚、お尻などで、彼女たちはどんどん精を奪っていく。体液を身に受けた少女は交代して退出。ぎゅうぎゅう詰めの中でもそんな動きができるのも、訓練のたまものである。唯一、屈むスペースまではないので、彼女たちの口や舌による攻撃を受けずに済んでいる。

 いや……それは早合点だったようだ。

 少女の一人が逆立ちをして僕の前に来る。そうして、上下逆の体勢ながら、ペニスを小さな口の中に飲み込み、訓練されたとおりの心地よいフェラチオで、幾度となく精を奪われ続けた。まさか……こんなぎゅうぎゅう詰めの密着状態の中で、逆立ちしてまで舐めてくるとは……これがくのいちたちのテクニックの秘訣なのかも知れない。

 精液まみれの女の子が退出しても、代わりに別の女の子が入ってくるので、この狭い部屋には、いつも大勢の娘たちでいっぱいになっている。

 そうしてついに、練習どおりの、オンナによる攻撃に移っていく。

 ハリガタで鍛え上げられているオンナは、しのめにも匹敵するほどの心地よさをマスターしている。どんなに、これは現実ではない、これは現実ではないと、自分に言い聞かせても、この世界の中でだけは、彼女たちの身体的魅力、攻撃力は、本物に違いないのだった。

 前後左右に強く密着している状態で、少女たちはぎゅうぎゅうと自分の柔肌を押しつけて、僕の全身をこすりあげていく。その華奢な肩幅、ぺったんこの胸、スベスベの太ももやプニプニのお尻で、みずみずしい“女体”をこすりつけてくる。

 そのうちの一人が、ペニスを揉んだり、しごいたり、お尻を押しつけたり、太ももで挟んだり、逆立ちフェラに持ち込んだり、訓練途上ながら十分すぎる力を持った膣圧に晒したりして、僕を快楽の渦へと堕とし込んでいく。

 くのいちのタマゴたちの練習台として、狭いところで、大勢の娘たちに、様々な忍術や体術を、僕の身体全体を使用して、あれこれ試されている。まさに実験台と同じだ。身につけたテクニックを実際に男根に浴びせかけて、どのくらいスピードよくペニスを脈打たせられるか、律動速度を上げられるかを、彼女たちは競い合っていた。

 練習台となった僕は、徐々に早くなっていく射精の脈打ちと、強くなってゆく快感に、しだいに心を奪われるようになっていった。

 この仮想世界に永久に閉じ込められた僕は、自己の理性を封じられてもなお、快楽一辺倒に押し込まれ、永久に衰えずむしろ高まっていく性欲と、それを瞬時にして解放する大勢の女体の群との宴が、たえずせめぎ合い、何億年経とうがお構いなしに、“エサ”として延々と精を奪われるばかりなのだ。

 理性が沈んでいくにしたがって、徹底的にこの世界を肯定し、受け入れようとする、本能的な感覚に変わっていく。避けられないなら、受け入れる。人間は、運命というなにやら巨大な闇に対して、最後の最後は、ひたすら考えずに受け入れてしまうものなのかも知れない。第三者が存在しなければ、それは暴走となって現れる。

 しかし……この悪魔の世界は、僕が迷い込まされた瞬間にはすでに、現実において“終了”した後の出来事に過ぎなかった。暴走するかしないかさえ、まったく無関係であった。

 全身がオスになっていく。心はそこで、完全にストップした。



###ゲームオーバー###



メニューに戻る(ノーフレーム用)