ドッペルゲンガー3−5
 

 発想を変えてみよう。実物の自分の目の前には誰もおらず、鏡にはミラーがいる。そのミラーにダメージを与えるためには、実物の自分じゃなくて、「鏡に映っている自分」が、目の前の「鏡に映っているミラー」を攻撃すればいいんだ。鏡の中の自分が彼女の体を触るような、ちょうどよい位置で手を動かせば、触っている実感はなくても、鏡のなかの手で女を触っている姿が映る。それがミラーにダメージになるのではないか。さっそくやってみよう。

 僕は横を見て鏡に映った自分の位置に注意しながらミラーの後ろに回り、その乳房を揉んだ。僕の手は実際には空を切っているのだが、鏡ではちょうど僕の手がミラーの乳房をさする位置にある。どうだ、これで感じるか!?

 「くっくっく…わたしに触ろうとしてみんなそんなことをやってみるのだな。だが無駄だ。お前はただ何もないところで手を動かしているに過ぎない。鏡などただの媒体、わたしの秘密はそんなところではない。わかるまいフハハハ…!」だ、だめか…!

 ミラーは後ずさり、僕に近づいてきた。くっ…! 僕も思わず後ろに下がってミラーが近づかないようにした。が、そこで後ろが壁になった。これ以上は下がれない。迫り来る鏡のなかの敵のお尻。逃げられず反撃できず攻撃を回避することもできない。絶体絶命だった。

 ミラーは立ったままバックでペニスをオンナに飲み込んだ。とたんに強烈な快感が走る。下を見てもペニスは空中でそそり立ったまま、快感に波打っている。周囲には何もまとわりついていない。しかし、ミラーの強烈な締めつけにより、太さが三分の二くらいになってしまっていた。彼女は腰を前後させたりグラインドしてペニスを悦ばせる。反動でこちらも腰を前後させるも、腰が空を切るばかりでいっさい相手にダメージにはならない。それでいて敵の膣の感触だけは受けてしまうのだ。

 鏡に映るということは光がそうさせているのだろうが、魔性の光にこれ以上対抗する手段はない。さっきやったような物理的な光攻撃は、弱いドッペルになら通用したかもしれないが、上位魔族のミラーには効かないだろう。同じ手は二度と食わないのが戦闘の鉄則、だからこっちも同じ攻撃はできない。万策尽きた感じだ…。

 それにしてもなぜ、こちらは攻撃を受け、肉の感触を味わっているのに、こちらからの攻撃は通用しないんだ。まてよ…。相手の立場になるんだ。敵からすれば、相手から攻撃をいっさい受ける心配なく、自分は相手のペニスを「触る」ことができる。ということは、相手は僕に触っている実感を伴っているはずだ。もちろんそれは、入れているときでも変わらないはず。

 ということは…僕の次の一手は、「ひたすら防御」だ。僕は全身に力を入れ、いっさい攻撃せず、甲羅に閉じこもった亀のようにペニスの硬さと長さを維持して微動だにしなかった。ターンのあいだ身を守っていれば何もできない代わりに防御力が膨れ上がる。プレイヤーが1人の場合「防御」の選択は無意味に見えるが、戦い方しだいでは役に立つのだ。それを証明してみせる!

 オンナはあいかわらずペニスをこねくり回しながらぬるぬるとしごきたて揉みたてている。ペニスがヒダにかわいがられて、肌がゆがみながら波打っている様子が、目の前でじかに見て取れた。「く…くくく…もうガマンできないのだろう? さっさとイクのだ。反撃の方法もなく防御したところで、いずれは射精するしかないのだ。遅かれ早かれな。あん…これでどうだ!」ミラーはペニスを奥深くまで飲み込んで激しく左右に腰を振った。お尻の肌の感触がスベスベと腰をこすりあげる。ペニスも空中で膣の動きに合わせて左右に勝手に動いていた。それでも防御に徹しているおかげでダメージは半減。

 「は…はやく…出してしまえッ! どうした!? ほらそらっ!! はあっはあっ…」ミラーの顔に苦悶の表情が浮かび始める。やはり攻撃しているかぎり僕の体の感触は相手に伝わっているんだ。膣で責めればペニスの感覚を味わうことになる。挿入中はカウンターダメージでミラーの精力も削られてしまう。

 「…。」僕は魔力をペニスに集中させた。一定時間ペニスのあちこちに真珠のような硬いイボができる魔法だ。これで攻撃力を高めることができる。しかも今回使った魔法はそれだけではない。猫又を相手にしたときに味わった恐怖の快楽が、今ここでこんな形で役立つとはな。ペニスのイボはネコのそれと同様にさかさまの弁になり、オンナの壁に引っかかって抜けない構造になっている。トゲのように痛みを与えることはないが、ペニスから僕向きの方向に飛び出した突起が相手のヒダに引っかかり、ミラーは引き抜こうと思っても引き抜けなくなった。

 それでも彼女からすれば、腰を左右にくねらせられればいいので不都合はなかったが、弁のようなこの突起は、相手が感極まったときにオンナを引き抜いて手や舌の攻撃に切り替えられるのを防ぐための作戦だった。こちらから触ることができない以上、ペニスを硬くして防御に徹し、相手の自滅を待つしかない。オンナや胸以外の、性感帯のないところで責められたら勝ち目がないからな。ここで逃げられたら困るというわけだ。

 「ああっ…離せ…くううっ!!」作戦は成功した。ミラーは自滅しそうになってペニスを引き抜こうとしたが、ペニスの弁のおかげで抜くことができなくなっている。イボがオンナのツボを刺激し続け、動かなくてもジワジワとミラーの精力を削り続ける。あと少しの辛抱だ。

 「おのれ…こうなったら!」ふたたびミラーは激しく腰を動かしてきた。上下や左右にお尻をくねらしてペニスを揉みしだく。大きく回転させるようにして僕を快感にさらした。ミラーの捨て身の作戦に、僕の体の奥が快感に込み上げてしまう。まずい、こちらの精力もほとんどないぞ。

 「ああっ!」二人は同時に鳴いた。膣がぎゅっと閉まると、白濁液が勢いよく飛び出した。実物のペニスから空中向けて体液がほとばしる。絞り上げるような心地よさのなかで、男の満足感が全身を駆け巡る。同時に魔法効果が切れてペニスは引き抜かれた。

 判定は…ミラーが消えた。僕の勝ちだった。手出しできない敵…それでいてテクニックは魔性を得ていた。いまさらながらぞっとする相手だった。機転を利かせなければ確実に負けていたな。

 閉じ込められていた鏡の部屋が消え、目の前にはカードキーが落ちていた。その奥には見慣れた扉。やっとこの奇妙なステージも乗り越えたというわけだな。僕はカードキーを差し込む。

 「ピピピ。認証完了。これを飲んで元気になれ。レベルが1アップするスグレモノだ。」テーブルがあらわれ、そこには小さなコップに赤い液体が注がれてあった。「…なにこれ?」「必殺! 養●酒。」「いや、ちょっと待て。そこを繋げちゃダメだろ。いくら同じ俳優さんだからって…死んだら何にもならんだろ。」いくらレベルが上がるドリンクだからって、そんな胡散臭いの飲めねーよ。普通のなら飲むけどさ。「いらないの?」「レベルは自分の実力と努力で上げるものさ。遠慮しとくよ。」「おっ、純情派だね!」「…。」

 僕は必殺を飲むことなく先へ進むのだった。


ドッペルゲンガー3 クリア

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