ドッペルゲンガー3−7
 

 とにかくいま一方的に攻撃されているのはたしかなんだ。精力がグングン減ってしまっている。この快感を何とかしなければならない。まずはミラーの手を逃れ、相手にいいようにされっぱなしにならないよう防御して、打開策を探ろう。

 手始めにペニスを手で隠すぞ。鏡の中ではあいかわらずしごかれているが、それは「鏡に映った」ペニスがしごかれているだけなんだ。現実に敵の手がペニスを掴んでいるわけではなく、僕の目の前のペニスは蠕動しながら空中に露出されている。ペニスはミラーの手の動きに翻弄されてブルブル蠢いて快感にさらされてはいるが、目の前に彼女の手があるわけではない。それなら対処のしようもあるかもしれない。

 僕は自分のペニスを掴んだ。そのとたん快感が止まった。激しいしごきの余韻で充血し、ジンジンと体の奥まで痺れるような鈍い感覚が残る。が、これ以上のダメージにはならなかった。やっぱりだ。

 鏡に映っているのは、ペニスを自分の手で握り締めている僕の姿だった。鏡には自分の手が映るのみで、ペニスはいっさい映っていない。これでは鏡のなかに潜むミラーも手が出せないというわけだ。ペニスを鏡から隠してしまいさえすれば、ようは性感帯が鏡に映らなければ、ミラーの方も手が出せないんだ。これでお互いに膠着状態になれば、相手は業を煮やして実体をあらわすに違いない。そこを捕まえてはじめて、対等な舞台での戦いが可能となる。話はそれからということだな。

 しかしミラーは思わぬ行動に出た。彼女は鏡のなかで僕の手首を掴むと、ものすごい力で引っ張ってきた。よく見ると両手とも右手だ。女性とは思えない力で、僕の手はあっさりとペニスから引き剥がされてしまった。「無駄だ無駄だッ! 男が手でガードするなんざありきたりの防御法なぞ、とっくに破り手は心得ておるわ!」

 女といっても魔物、パワーは人間の男ではかなわない。ミラーは鏡のなかで僕の手を引き剥がし、ふたたびペニスを映してしまったのだ。ミラーのいうとおりこの程度の防御ではあっさり打ち破られてしまうようだ。ミラーは僕の両手を拘束したまま、片足を前に伸ばし、ペニスを膝の裏で挟み込むとたくみに激しくしごき上げた。膝裏がペニスを包み込んで、足全体が激しく前後すると柔らかい特殊な部位がペニスを悦ばせる。なんて体術だ、こんな柔軟かつ激しい攻撃ができる女はそうはいないぞ。しかも膝の裏というめったに触れられない箇所がこんなに心地よかったなんて! このまま抜かれてしまうのか…。

 いや、まだ策はある。僕は全力でミラーの拘束を解くと、その場にうつぶせになった。ペニスは鏡の床とのあいだに挟まれ、おなかでつぶれた。痛みをこらえ、この体勢でじっと考える。これならどこにもペニスは映らず、ミラーはしばらく手が出せない。…といっても相手は魔物、さっきのように怪力で僕の体を持ち上げてしまう可能性だってある。いつまでもこの体勢でペニスを守りきれるものではない。だからそれまでに別の対抗策を考えるのだ。時間稼ぎといったところか。

 「ばかめ。このわたしから一時でも逃げられると思ったか。」突然ペニスに強烈な快感が走った。「ああああっくう…」僕は思わず体をくねらせて大幅に精力を消費した。ペニスは完全にガードされているはずだ。それなのに…棒全体を万力のように圧迫しながらも柔らかで心地よい、ぬめったこの感触は…ッ!

 僕は下を見る。床も鏡だ。そして…鏡の奥で僕に貼りつく女体が見えた。「うわああ…っ…!!」上下が逆だが、彼女の体勢はたしかに騎乗位だった。うつぶせになっても床にはペニスが映る。そこに、床の鏡にだけあらわれたミラーが反対方向から騎乗位で挿入してきたのだった。

 ミラーは激しく”下上”に腰をふり、ペニスを極上のオンナでしごきあげた。「あひいっ!」僕は正常位の体勢で騎乗位と同じ快感ダメージを受け、頭を床鏡に擦りつけて身もだえした。それでも鬼は容赦なく腰をこねくり回してペニスを快感にさらす。彼女の手が僕の腰を押さえると、僕は強い力を受けて立ち上がることもできなくなった。

 ペニスはオンナに締めつけられしごかれて、太さが三分の二ほどに縮んでしまっている。そして彼女は腰だけを大きくすばやく下上させて”仕上げ”に入るのだ。もう耐え切れなかった。中のヒダがミミズのように変幻自在に蠢き、魔性の愛撫が壮絶にくり広げられている。敏感なところはすべて容赦なくくすぐられ続けた。やわらかい圧迫にピンポイントでの刺激が加わり、僕は何もかもをこの天国に捨て去るしかなかった。

 「くうっ!!」僕はペニスから精液を吐き出した。子種は鏡の向こうには届かず、僕は鏡への床オナニー状態でイッたことになる。恍惚の数秒間を味わうと、僕は脱力して鏡張りの部屋で仰向けに斃れた。「…予告どおりだな。お前はわたしに指一本触れることができずに斃れたのだ。ふはははは…」ミラーがすうっと消えていった。

 鏡の部屋は消え、元の迷宮に戻される。僕は自由になった。ただし、肉体はセックスだけを求め、迷宮内をどこでも移動し、射精し続ける自由を手に入れただけだった。この自由をこれから永遠に満喫することになる。ペニスが疼いて反り返った。


###ゲームオーバー###


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