エルフィン1−5
 

 とにかくこの花の香りは厄介だ。精神を操られ、体の中から性感を高める効果がある。この花畑に入ってから、僕の防御力はかなり押し下げられてしまっている。強力な淫気に毒されたことで、僕の性感神経は異様に敏感となり、性欲も強制的に高められ、女性の魅力に過剰な反応を示すようになっている。このままいけば、僕の防御力は程なくしてゼロになってしまうだろう。未知の強敵にその状況はまずい。

 それに淫気香はこちらの感度を敏感にするばかりでなく、長く嗅ぎ続ければそれだけ相手の女性が限りなく魅力的に思え、同時に瞬時に精巣に溜め込まれるパンパンの精子が早く外へ出たいと肉体に要求するために、性欲の奴隷になって目の前の快感装置にすべてを吐き出してしまうことになる。この催淫毒を身に受ければ受けるほど、つまり長期戦になればなるほど、形勢はますます不利になるのだ。

 花の妖精だけに彼女の最大の武器は、おそらくこの花の香りなのだろう。この淫気で男を誘い、弱体化させ、じっくり搾り取るのが彼女の作戦なのだ。

 それなら逆に、この淫気香さえ防いでしまえば、後は肉体のぶつかり合いだけになる。百戦錬磨の攻防を経て、あのエルフでさえ倒した僕なら、このエルフィン相手でもまだ勝ち目はあるだろう。だから何はさておきこの花の香りを嗅がないようにしなければ。

 この淫気香を避けるには…これしかない!「ガスマスク!」僕は大声で叫んだ。もちろん詳細にガスマスクをイメージしながら。この世界では強くイメージしたものを具現できる。思い浮かべたものが本当に出てくるのだ。妖精の国といえども精神世界であることに変わりはない。精神力しだいで、大掛かりなものや強力なものを取り出すことができる。戦略しだいではかなり役に立つ便利なものなのだ(その代わりに普通のRPGのような道具屋がない)。

 思ったとおり僕の目の前にガスマスクが浮かんできた。現代の科学の粋を集めた超高性能なもので、毒ガスが蔓延している中でも新鮮な空気しか取り込まないスグレモノだ。これで匂いを嗅がなければ後はエルフィンだけの問題だ。余計な特殊効果に悩まされる必要もない。実力勝負という奴だ。

 「ふははは、これでお前の得意技の花の香りは封じたぞ。この淫気さえなければおまえの実力はエルフ程度。勝てない相手ではないわ。さあ、どっからでもかかってきやがれ!」

 エルフィンは黙って聞いていたが、やがて無表情のまま口を開いた。「…そんなコソクな考えの人、きらいです。」姑息って、ああた…淫気香で男を惑わすのはコソクじゃあないんかい。

 エルフィンが消えた。「!」とたんに亀頭に快感が走る。一瞬混乱し、何が起こったか分からなかった。目の前の妖精が突然消えたと思ったら、次の瞬間僕はダメージを受けていた。

 股間を見るとおやゆびひめが先っぽに張り付いていた。体の大きさはさっきと同じ大きさに戻っている。つまり名前のとおり親指くらいの大きさだ。その大きさだとピクシーのようにペニスを包み込むことはできない。しかし亀頭に張り付くことくらいはできた。そそり立ったペニスの先端にしがみついたエルフィンは、ぎゅっと全身を使って亀頭を締め付けていた。油断した一瞬それがダメージになったのだろう。

 エルフィンは先っぽに張り付いたまま体を蠢かせ、ちいさなちいさなオンナを裏筋に密着させながらぐいぐい全身でペニスを攻撃する。「はっはっは。カワイイ攻撃じゃあないか。」けなげに蠢く小さな女体が一生懸命になっているのを僕はむしろ楽しんだ。もちろんこの程度の軽い攻撃なら、ちょっと踏ん張ればガマンできそうだ。あとはどう反撃するかだな。僕はおやゆびひめの小さな頭を指先でウリウリかわいがりながら様子を見ていた。

 「…ン?」何か様子が変だ。強烈なダメージというほどではないが、少しずつ着実に精力を消費している。心地よい感覚が亀頭周辺からじわりと広がっている。そうだ、相手はエルフ級の妖精、油断大敵だった。僕は気を取り直して股間に力を入れ、精力を消費しないように踏ん張った。しかし体の奥から広がる軽微な快感は留まることなく、むしろますます広がっている。まるで水が隙間にしみこむように、性感が体の奥から広がっているんだ。防御が功を奏さないなんて…!

 よく見るとエルフィンの全身が光っている。これは…全身から粘液を滴らせているんだ。ぬめりを帯びた小さな体からどんどん液体があふれ出ている。どこから湧き出したのか、彼女の体積をはるかに超える量の粘液が全身からどんどん滲み、それがペニス全体を体液で濡らしている。この体液はローションのような性質を持っていた。

 すると強い花の香りが漂ってくるのを感じた。そんなばかな…花の香りは淫気まで含めて完全にシャットアウトしている。そういう仕様だからな。だから甘いにおいが入り込むことはありえないんだ。では…この香りはどこから来ているというのか。

 「はうっ…くうう…」じわじわと軽い刺激だったエルフィンの亀頭いじりのダメージが徐々に高まってきた。彼女の動きは変わらないものの、こちらの受けるダメージがどんどん大きくなっている。滴る粘液が玉袋まで覆いつくし、エルフィンだけでなくペニス全体をも光を反射していた。ピンポイントでのくすぐったさが甘く下半身を駆け抜ける。

 粘液は太ももにまで垂れてきているのだろうか…これだけ大量に滴らせ続けているのだ、滝のようになっているに違いない。そう思って見てみると、粘液は玉袋にまで滴っているが、そこから下には一滴も落ちていかなかった。エルフィンはひっきりなしに噴水のように体液をあふれ出させその体中に透明の流れができている。

 これは…やはり彼女の粘液が僕の体内に染み込んでいると考えた方がよさそうだ。ペニスが激しく疼いている。ペニス全体を覆いつくし、それ以上の分はすべて体内に取り込まれている。たしかにそんな実感がある。まずい、これがエルフィンの作戦だったのか。

 そして急に脳が花の淫気香を認識し始めたことからも、この粘液の秘密がわかりそうだ。エルフィンが亀頭にしがみついてから、花の催淫毒の効果が格段に高まっている。ガスマスクをつけているにもかかわらずだ。この甘美な花の誘惑は、エルフィン自身の体液・体臭によるものだった。淫気香の正体は、魔性の妖精から出たものだったのだ。そしてそれは、香りとして空気に混ぜるだけでなく、その素である体液そのものを男の体に塗りつけることによって、直接男の体に淫気を刻み付けることができたんだ。

 だめだ、ガスマスクでは花の香りは避けられない。しかし気がついたときにはもう遅かった。油断している間に、僕は一気に、体の髄まで花の毒に染めあげられてしまったのだ。小さな妖精のかわいらしい動きだけで、亀頭に伝わる強烈なくすぐったさが全身に広がっている。僕は思わず腰を引いた。

 尿道口にほおずりされてダメージを受ける。両腕で鈴口を押し分けてぷにぷにまるっこいほっぺを執拗にこすり付けてきたのだ。全身全霊で防御していなかったらこのマシュマロ攻撃にゾクゾクして果ててしまっただろう。ガマンしていたとはいえ強烈な快感がさざなみのように広がっていく。僕は思わずエルフィンを叩き落した。ほとんど無意識のうちの防御行動だった。

 やってしまってからひどく後悔した。このパターンはとてもやばい。妖精に乱暴鬼畜なことをするとろくなことがない。とにかく相手が次の攻撃に移る前に、ペニスを覆い尽くす猛毒をハンカチでぬぐい、体勢を立て直して次の作戦を練らなければいけない。とにかく淫気を避けるという選択が失敗だった以上一秒でも早く別のアクションを取らなければ、敵の猛反撃を受けてあえなく発射の憂き目を見る。僕は大急ぎでハンカチを思念するとペニスをぬぐった。

 「くっ…」ハンカチは乾いたままだった。あっという間に、ペニスにまとわりついていた粘液が体内に入り込み、僕の感度を高めるべく染み込んで行ったのだ。いや、悩んでいる暇はない。すぐにエルフィンが襲ってくるぞ。僕は最大限の注意を払いながら叩き落されたエルフィンの行方を捜した。特にお尻に力を入れた。いつ前立腺の穴にものすごい勢いで飛び込んでくるか分からないからな。右手で亀頭を包むようにペニスを掴み、あたりを見舞わす。しかしガスマスクはかなり視界が悪い。淫気香を防げない以上いつまでもかぶっていても仕方がない、左手でマスクをはずした。さあどこから来るか。下か、後ろか、はたまた上か、それとも大きくなって飛びついてくるか…!?どこから来ても対処できるように気を引き締める。

 「…ひどい事しましたね。」「わるいひとですー。」「おしおきですよ?」「くすくす…うふふふ…」あちこちから可憐な声が聞こえてきた。

 「むっ!!?」見ると前の黄色いタンポポの上にエルフィンが立っていた。彼女は清楚な丸顔で妖しい笑みを浮かべて僕を見上げている。周囲から強烈な花の香り。一瞬お尻の力が緩んだ。

 「…はっ!!」違う!右側のチューリップからも、斜め前のハイビスカスからも、同じ顔同じ大きさのおやゆびひめが僕を見上げている!そうこうしているうちに、周りの花という花からどんどん”ちびエルフィン”が出てきた。「これは…」辺り一面花の上に2〜3センチ位のエルフィン達が…数百人はいる!

 こんなばかな…この花畑のエルフィンは一体ではなかったのか。すべての花に一体ずつ、あるいは二体以上、花の妖精がついていたということか。背筋が凍る。彼女たちの小さな裸体から滴る粘液と淫気が、これから起こる戦慄の快感地獄を容易に想像させた。周囲すべて妖精に囲まれてしまっている。逃げ場はもはやなかった。仲間を叩き落された仕返しに、彼女達は僕を性感の虜にする。そういう世界なんだ。

 エルフィンたちは僕に生唾を飲み込む余裕さえ与えなかった。

 「それえっ!」「うわあ、やめ…」彼女たちは僕に一斉に飛びかかり、スベスベの体をこすりつけた。一瞬にして僕の全身にくまなく体液と柔肌が群がり、僕の体は数百はある小さな妖精の裸体に埋め尽くされてしまった。体の隅々まできめの細かいしなやかな肌が押し付けられ、執拗にこすられ続けている。それも強烈な花の毒を持ったローションつきだ。

 あっという間に全身がローションまみれになった。ペニスだけに体液を浴びてもかなり疼いていたのに、いまや全身花の淫粘液が塗りつけられ、細胞のすみずみにまで塗りこまれている。ムラムラと淫気が立ち込め、周囲を包み込む。あまりに濃い淫気のせいで周囲が陽炎のようにゆがんでしまっている。ひっきりなしにそれを吸い込まされ、経口で直接流し込まれたりもしている。

 僕はまとわりつくチビ妖精たちを必死で振り払い、叩き落し続けた。もう無我夢中で、そうでもしないと身は守れないと思ったからだ。だが、そんなことをしても、ダメージはひっきりなしに精力を削り、催淫効果のせいでその度合いがますます高まっている。すべてを振り払うことは不可能だった。それでも僕は半狂乱になって快感に身もだえしながらエルフィンたちを力づくでふり飛ばし続けた。しかし、そうやって乱暴狼藉を働けば、それだけエルフィンの数が増えるだけだった。僕が暴力を振るった分だけ、次から次へといやらしい花からいやらしい妖精が生まれ、僕の体に飛びついてくるのだ。

 数十もの小さな妖精が両側から僕の臀部の肉を左右に押し広げる。大勢の妖精が力を合わせ、力を込めている僕のお尻をついにこじ開けてしまった。そこへ容赦なく数匹のおやゆびひめが体をねじ込んでくる。くすぐったいお尻の穴や会陰が満遍なく愛撫され、ローションがたっぷり塗りこまれた。性感神経が密集する場所に近かったため大ダメージとなる。

 すでにペニスには交代でたくさんの妖精たちが群がり、全体を包み込み、玉袋を揉み・または軽いタッチでくすぐりながら男の性器すべてを悦ばせている。手をつないだ数匹が亀頭の周りを環のように包み込んで、その環の足を持った別の妖精たちの力で回転させる大技まで飛び出した。にゅるにゅる滑りの良いやわらかい体が亀頭と裏スジを猛スピードでこすり続ける。尿道は一匹のおやゆびひめと”貝合わせ”中だ。

 足の付け根のくすぐったいところや首筋、わきの下といった、絶妙なくすぐったいところも、彼女達は決して見落とすことなく同時に責めまくった。僕の両乳首はしつっこい二匹のエルフィンの両乳房に舐られている。全員が一致して僕を射精に追いやるべく全力を振り絞っていた。

 そうこうしている内に僕はバランスを崩し倒れてしまった。あまりの快感に立っていられなくなり、蠢く数百の女体に翻弄されて僕はもんどりうってしまったのだ。エルフィンたちは力を合わせて僕を仰向けにする。もはや抵抗もできなかった。

 一度にこんなにたくさん相手に勝てるはずがなかった。いくら乱暴を働いたからって、この仕打ちはあんまりだ。そんな思いさえ薄らいでしまうほど、エルフィンたちの淫気と連携プレイは甘美で心地よいものだった。

 もうどうすることもできなかった。お尻の力がだらしなく緩み、男の陰部に容赦なく妖精たちの小さな体が襲い掛かるに任せていた。エルフィンのこの特殊攻撃になすすべもなかった。目の前に繰り広げられる淫靡な饗宴、僕の胸の上にひしめく大勢の小さな女体を見ているだけで、僕の興奮は最高潮に達した。淫毒のせいで女に対する感度は最大に膨れ上がり、多分女という漢字を見ただけでオナニーが止まらなくなる位にまで弱体化している。この漢字の形が女性の下半身、くねらせる腰つきと内股の華奢な足を示しているかのように見え、いやらしい雰囲気に包まれてしまう。同時にその象形が性器の穴でもあるとイメージされれば、それだけで立派な題材である。こんな状態なのに、男好きのする生身の肉体が数百も目の前にひしめき、ひっきりなしに快感を与え続けているのだ。耐え切れるはずはなかった。

 特に亀頭の先っぽがくすぐったくなってきた。じわりと性感が高まる。体の奥から快感の証が込み上げる。それに合わせて妖精たちは一斉に仕上げに入った。よいしょ、よいしょとかわいらしい掛け声をかけながら、一気に責める手を早め、強めたのだ。亀頭のくすぐったさが格段に増す。「いっちゃえー!!」亀頭を包み込んでいたエルフィンがぎゅううっと締め付けたとたん、僕は限界に達した。大勢の妖精たちが、肌かっ色の塔から粘ついた噴水が飛び上がるのを見て歓声をあげた。塔は脈打ちながら、特に裏スジに張り付いて亀頭を締め付けていたトドメのエルフィンに体液を浴びせかけた。

 「あふ…」目の前がぼやける。射精しきった脱力感で意識が朦朧としてくる。すると全身に張り付いていたちびエルフィン達が消えた。さっきまで僕に群がっていた妖精たちが忽然と姿を消してしまった。そして…亀頭のエルフィンだけが残っている。僕は仰向けではなく立ったままだった。「この姿だと体液量が多いから幻覚も見せられるんですよー。」「なっ!?」全部幻覚だったのか…?僕を責めていたのははじめからこの一体のおやゆびひめだけで…それ以外の戦慄の悦楽はすべてこの体液によるものだった。催淫効果だけでなく、大量の粘液が体に染み込んだ結果、僕の精神はエルフィンにあやつられ、都合のよい幻覚を見せることができたのだ。

 「クスクス…気持ちよかったですか?」「うう…」僕はまんまとエルフィンの術中にはまってしまった。負けは負けだ。見破れなかった僕の至らなさ…というよりも、妖精を怒らせる失態を犯したことが敗因だ。

 「でもこれから先は現実に同じ天国が味わえますよ。幻覚じゃなくて。…えいえんに、ね?」さわさわと風が吹く。花に撒いた種の”蜜”の香りが周囲に漂う。この香りに引き寄せられて、エルフィンのいうとおり、大勢の妖精たちがここにやってくる。そしてこの花の淫気の中で、永遠に、高次な存在の体を楽しみむさぼりながら過ごすことができるんだ。

 そうこうしているうちに、花畑の周囲から全裸の、耳の長い女性たちが歩いてくるのが見え始めた。清楚な感じの娘はおそらくエルフィンで、凛とした大人っぽいお姉さんはエルフだろう。その向こうからは虫の大群のような黒い点の塊がこちらに向かって飛んで来ている。多分ピクシーだ。

 僕は期待を膨らませた。

###ゲームオーバー###

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