今度産む3


 扉は開かない、出口も逃げ道もなく、どうがんばってもピッタリ張り付いたコンドームは外れない。そうこうしている内にもひっきりなしにペニスがむさぼられ、ずっとダメージを受け続けている。このままでは間もなくコンドームの中に出してしまうだろう。余り時間はない。
 
 これは呪いのコンドーム、淫呪の一種だ。だから力づくでは離れない。これを外すには解呪屋(この塔にいるかどうかは分からないが)にお願いして解呪して貰うか自分で解呪するしかない。外に出られない以上解呪屋を探す事も不可能だ。それなら自分で解呪をやってみるしかないんだけど…
 
 でも呪術師じゃああるまいし呪い関係の魔法スキルなんて全然修行してないぞ。ましてこんな強力なコンドームを取り外せる程の解呪方法なんて分からない。僕の僅かな魔力を駆使して解呪を試み続けるしかない。間に合うかどうかは分からないが賭けてみよう。
 
 僕は一心に念じた。解呪の為のキー呪文はまったく分からないので、その分を魔力で補って念を送るんだ。呪文を正確に言えればより少ない魔力で効果が発動するが呪文を知らない場合には大量の魔力を消費して効果を出すしかない。強い精神力も求められる。意志の強さが成功のカギになる。
 
 コンドームは内部で熱を持ち、本物さながらのぬくもりを実現している。何段階にも締め付けが可能で、先っぽから根元まで締め付け方も強さも振動具合も違う。生き物のように変幻自在に蠢き、ペニスの感じる所を的確に責めて来る。
 
 バイブも丁度ダメージが最大になるように絶妙に加減されており、強く振動したかと思うとジンジンと奥まで震わせて来る。振幅を調節するとぶるるっと大きく震える事もできれば細かく性感帯を刺激する事もできる。だが何よりキツイのはペニス表面は大してダメージにならないのに性器の奥底にある部分だけがジワジワ疼くような奥深い振動だった。
 
 コンドーム内部全体が激しく蠕動しながらぐにゅぐにゅした物体が流動的にペニスを締め付けながら前後に激しく移動し続けている。これが激しいしごき効果になった。棒全体にみっちり絡み付く軟体物質が隙間なくペニスを覆い、裏スジの敏感な部分の奥にも尿道口にも入り込んでいる。多分この物質はさっき外に出ていた触手状のもので、それが何百も束になって融合しながら内部でペニスをむさぼってるに違いない。
 
 だからかなり自由度が高い動きでコンドーム内部が柔らかく蠕動し、棒全体を満遍なく責め続けられるんだ。名器のようなヒダも毎秒変化しながら増えたり減ったりして、それがしごくような動きと共にペニスを擦り続けている。
 
 僕は時折強烈な並となって襲い来る快感に顔を歪め、腰をくねらせてしまう。その度に念が一時停止し精神が分散してしまう。負けるものか。心を掻き乱されても再び精神統一し、コンドームに向けて気を送り続ける。
 
 「えーい!外れろっ!」僕は気合を入れてコンドームに触れた。コンドームは僕の念を受けてぶるるっと震えた。振動がペニスに直撃する。が、この世界では魔力が発動するので何らかの魔法効果がコンドームに送り込まれたようだ。しかしそれ以上コンドームは反応せず、外れなかった。解呪は失敗だ。
 
 ごぽぷっ!
 
 コンドームの付け根から大量の粘液が溢れ出て来た!「あふ…」粘液がローションのように大量に分泌され、コンドームの中が一層液体で満たされる。すると蠕動もバイブもしごきも攻撃力を増す。ヌメリがよくなりペニスに絡み付くローションがいやらしい音を立てている。キャパシティーを超えて溢れ出た粘液を触手が捕らえて僕の体中に塗り付け、触手の攻撃力も上がった。
 
 気持ちよさがさっきまでと違う。まるでコンドームが強化してしまったみたいだ。僕は腰をくねらせながら何とかこの快感に抗おうと必死で耐えた。そしてまた精神統一し、コンドームの呪い効果を取り去る状況をイメージした。さっきは念力で取ろうとしたから失敗したんだ、今度は直接呪いの念を薄めるように働きかけてみよう。
 
 「…でえーい!呪いよ鎮まれえ!」僕はコンドームに触れた。コンドームはまた震える。しかしそれでも離れてくれない。またもや失敗だ!
 
 ごぼぼっ…大量の粘液がまた溢れ出す。今度は催淫効果付きのローションで僕はダメージを受けながら防御力をゼロ近くにまで下げられてしまった。体の奥の射精感が高まりくすぐったい感覚が込み上げて来そうだった。
 
 コンドームのしごきのスピードが速くなった。棒部分の蠕動としごきがどんどんスピードを増し、亀頭部分には沢山の小さなヒダが絡み付いてクリックリッと揉み続けている。オンナで手コキをされているような勢いでペニスがむさぼられ、周波数の高いバイブが前立腺を直接震わせて来た。
 
 分かった、このコンドームはよほどスキルの高い呪術師辺りが作り出しているんだ。魔力をぶつけられて解呪されないように、単純な解呪を受けると粘液が滴ったり攻撃力を上げたりして”仕返し”をするよう設計されてるんだ。つまり解呪に失敗すればこっちがイクまでの時間が短くなってしまう。よほど慎重にやらないと…でももう時間がない…僕は焦った。焦りの疼きがコンドームによって性的快感に変換されてしまう。
 
 次が最後のチャンスか。僕は精神統一して魔力を集中させた。「消えてなくなれえ!」コンドームを握り締める。ぶるるっと震えるだけで、コンドームは攻撃の手を緩めなかった。もはやここまでか…
 
 びりりっ!「あぎゃっ!」全身に電流が走る。快感神経を直接刺激する電撃が全身を駆け巡り、貴重な精力がほとんど削り取られた。だめだ…もうイキそうっ…!
 
 「うあああああ!離れてくれえ!」僕はのけぞりながら最後の一滴まで搾り取ろうとする魔を跳ね除けようと懇願にも似た叫びを繰り返した。「鎮まれ!離れろ!消えろ!ああああ〜!」
 
 裏スジが下のような突起でグリグリこすれ、最後のトドメを仕掛け始めた。もうダメだ、やった事のない解呪を素人がやってみた所で熟練した呪術師の呪いなんて解ける筈がなかったんだ。
 
 ぬるぽーん!がっ!
 
 突然コンドームは勢いよくペニスから飛び出し、奥の柱にぶつかった。金属部分が硬い音を立てる。「んあっ!」誰にも触れられていない状態で僕の体が限界を超え、白濁液が先っぽから激しく噴き出した。次の瞬間頭の中は真っ白になった。
 
 「はあ…はあ…」ぼくは…まけたのか…
 
 いや、体が疼かない。負けた時の肉体改造がない。たしかにコンドームは僕が射精する直前に外れ、柱めがけてもの凄いスピードで飛んで行った。その後に射精したんだ。コンドームが外れた時点で勝負が決まっていて、僕が勝ったみたいだ。
 
 僕は落ち着いて立ち上がり、コンドームの残骸を拾った。もはや金属のような硬さがなくなり、弾力も消え、ボロ布のような状態で下に落ちていた。触手部分が干からびて糸のようになってしまっている。粘液と我慢汁でグショグショになっていたが、もうコンドームの見る影もなかった。
 
 ぼろり…残骸は細かい灰のようになって手から滑り落ち、跡形もなく消えてしまった。やっぱり…コンドームに打ち勝ったんだ。閉ざされていた扉も開いている。
 
 何が起こったのか整理してみた。何度か解呪を試み、すべて失敗して最後は何も考えられずにめちゃくちゃに念じ続けていた。このまま負けると思い絶望的になっていた時に突然コンドームが外れたんだ。という事は最後の最後、射精の直前で解呪が成功したんだ。呪文を唱えた訳ではない。確か…
 
 最後の最後で僕は「鎮まれ」「離れろ」「消えろ」の三種類の念を同時に出していた気がする。必死だったのでよくは覚えていないがそんな感じだった。三つの事を同時に強く考えシンクロした瞬間解呪が成功し、コンドームは勢いよく吹き飛んで行ったんだ。
 
 念は精神力の勝負。普段は三つの念を同時に発動するなんてムリだけど、最後火事場のクソ力のようにまぐれで成功し、解呪できたに違いない。呪文があればそんな難しい事考えないでも成功しただろうけど、まぁとにかく解呪は成功し、僕は寸での差で命を繋ぎ止めたのだった。
 
 奇跡的というか偶然とも言える解呪だったが、成功したのでよしとしよう。どこかで解呪の為の呪文を学んで、もっとスムーズに対処できるように修行して置かないといけないな。今度同じ状態になったら解呪できる自信がない。新しい目標ができた。
 
 それにしてもひどい目に遭ったな。これからは気を付けないと。どんなトラップが待ち構えているかも分からないんだし。
 
 僕は気を引き締めて小部屋を後にした。

今度産む クリア

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