力では男の僕のほうが上だ。無理にでも力を入れれば、粘着液は伸びてくれる。たとえ完全に剥がせなくても、ようはスプレーさえ取れればいいんだ。それにさっき掃除娘だって右足を力ずくで引き抜いていたではないか。何とかなる。

 「ぬおおお…」「ふぬぬぬ…」僕も掃除娘も必死で粘着液を引き剥がそうと力を入れている。僕の右手に貼りついたホイホイ液はスジ状に伸び、ゴムのように腕を下に引っ張り続ける。これは全力で腕を持ち上げなければ上がらないくらい強い粘着力で、しかもその全力を持続させないとワンピースまで伸ばすことはできそうもない。思った以上に大変だ。

 だんだん腕に疲れが出てくる。すると一時的に筋力が衰え、その勢いで粘着物質が威力を発揮し、強制的に僕の腕を床に引き戻してしまうのだった。くっそ、仕切り直しか。疲れているので少し休んでから再チャレンジするしかない。ここは異世界なので筋肉の断裂はすぐに回復する。

 「に゛ゃっ!!」掃除娘も苦戦しているようだ。腕を持ち上げてはまた床に戻されている様子。僕たちはしばらく腕を上げ下げしながら、腕に貼りつくホイホイ成分が疲労を起こして剥れるのをひたすら待った。

 上げ下げしているうちに、だんだん引っ張る力が小さくなってきた。粘着部分が伸びきり、腕の自由が利き始めたのである。よし、もう少しだ。

 かなり腕の自由が利き、もうワンピースのほうに手を伸ばしても引き戻されないほどに粘着液が伸びきったところで、僕は掃除娘のワンピースをまさぐった。ポケットかどこかに小さなスプレーが入っているはずだ。掃除娘よりも前に見つけなくちゃ。

 僕の位置からは彼女の服の場所はわからない。もちろん掃除娘の位置も見えない。上半身起き上がってしまえば位置もわかるはずだが、べったりホイホイに貼りついてしまっているし、そこまで力ずくで剥がそうとしても時間がかかってしまい掃除娘に出し抜かれてしまう。やはり手探りだけで見つけるしかない。

 右手はほとんど自由だ。しかし見ずに彼女の服からスプレー缶を見つけるのは思った以上に容易ではなかった。手探りで彼女の生地の感触は分かるのだが、スプレー缶の感覚はまったく分からず、どう触っても布しか触れない。もどかしい。

 僕は必死で探した。あちこちに手を動かし、硬いふくらみを探し当てるために。そうこうしているうちにも、掃除娘の粘着成分も疲労している。彼女もそろそろ自由に手を動かせる頃合だ。力の面では僕に劣り、そのために腕の自由が利くまで僕以上に時間はかかる。が、こっちがモタモタしていれば掃除娘のほうも脱出できてしまうのだ。急がなければ。

 コツンと、指先に固い感触の反応があった。あった! すこし無理をして手を奥に伸ばしたところに、スプレー缶の感触が見つかった。僕はもっと手を伸ばす。何とかしてこれを奪わないと。

 が、全力で手を伸ばしても、中指の指先が缶の一部のところに触れるのがやっとだった。もっとずっと奥まで手を伸ばし、ポケットから缶を取り出さないとだめだ。そのためには右腕だけでなく、上半身をほんの少しずらせるように体を引き剥がさないといけない。

 僕は右手を左方向に思いっきり振り、勢いで右肩をわずかに粘着液から浮かせた。数回これをくり返すと左肩の所が少し浮き、さっき以上に奥まで手を伸ばせるようになった。が、それでも缶の先っぽに指半分が触れる程度。中指と人差し指で挟むことはできそうだ。それならポケット部分を引き寄せて取るしかないかな。

 さわ…。必死こいて指を缶に伸ばしている僕の手の甲に、柔らかい女の手が軽く握るように覆い被さってきた。その手は強く僕の手を跳ね除ける。少しまさぐる音がしたのち、掃除娘のふっふっふという笑い声が聞こえてきた。

 「どうやら私の勝ちね。スプレーは手に入れた。」「くっ…」

 どうやら位置関係からいって、掃除娘のほうは手が余裕で届く範囲にポケットがあり、粘着成分が疲労しさえすれば簡単にスプレーをとることができたようだ。僕からは見えないが、掃除娘からは見える場所に缶があったことも、彼女に幸いした。力ずくで缶を奪うには、僕が倒れている位置があまりにも悪すぎたのだ。

 ぷしゅうううう…スプレーの音が響きわたる。くっそ、こうなったら全身全霊で上半身も下半身もホイホイから脱出するしかない。僕はムリヤリ膝を立て、ホイホイから脱出すべく全身にありったけの力を入れた。

 パキィィン! ガラスが砕けるような音がすると、全裸の掃除娘がゆらりと立ち上がった。丸っこい顔が彼女のいとけなさを強調し、それでいて得意げな笑みがいたずらっ娘の魅力を醸し出している。スプレーをかけると固まって乾き、簡単に砕ける構造らしい。彼女の体からはもはや完全にホイホイ成分が剥げ落ちてしまっていて、綺麗な肢体が強調されていた。

 リムーバー・スプレーがありさえすれば、ホイホイは自在に移動でき、好きなように戦える。その自信に満ちた女体は、急激に体重を増やしたことを示す特徴を備えている。コロコロ丸い体というわけでもなく、見てくれはごく普通の娘だが、ハラだけがぽっこり膨らんで軽くやばい状態になっている。このまま大食を持続させれば全体が膨らむ、まさにその一歩手前だった。たしかにビキニは着れねーなw

 脱出しようと暴れる僕を見下ろした掃除娘は、ホイホイから脱出し、他のポケットから別のスプレーを取り出してきた。「これはね。ホイホイの粘着力を逆に高めるスプレーよ。これでおとなしくしてもらうわ。」

 掃除娘は僕の周囲にスプレーをかけた。すると見る見るうちに粘着液が固まり、石膏のようになってしまった。「安心しなさい。リムーバーつければ取れるようになるから。」「うぬ…来るな…」

 もはや抵抗一つできなくなった。これではどんなくだらない道具攻撃でも時間をかければ射精してしまう。まずいぞ、絶体絶命だ。何とか抜け出す方法はないものか…。僕は掃除娘を睨みつけながら、何か手はないものか思考をめぐらせた。

 「…私だって、道具に頼らずにテクニックだけで悦ばせることはできるんだから。いまからそれを証明してみせるっ!」

 そう言うと掃除娘は69の体勢で僕に覆い被さってきた。背の低い彼女がペニスにむしゃぶりつくと、こちらから丸見えになったオンナは僕の胸あたりで蠢く形になる。体が動かないため、こちらからはまるで反撃できない。

 「う…むっ!? うぅ!」しばらく会わないうちに、掃除娘のテクニックは相当に鍛えられていた。知識を身に付け、よほど入念に練習していたのだろう。道具攻撃ということでホイホイを用意したはいいが、どうしても69で自分の体でトドメをさしたかったらしい。彼女はペニス根元を片手で掴むと、おなか側に反らせて敏感な方を責めはじめた。

 掃除娘は僕のペニスを先っぽから根元にかけて丹念になめ上げる。男の敏感な部分に、細かく入念な舌先が蠢いて、ピンポイントで精力を削りながら唾液とともにすべてを吸い上げてくれる。それでいてぷるんとした女性特有の魅惑的な唇が、肉棒を優しくすばやくしごきあげ続けるのだった。

 亀頭は掃除娘の内頬にこすられたり、ときおり舌先が尿道口をこじあげたりしながら、ひっきりなしに快感にさらされている。すばやい舌先は尿道からあっという間にカリに移り、ヒダをかきわけながら性感神経を満遍なく刺激している。唇が根元をとらえた時、先っぽは彼女ののど奥に締め付けられ、決して快感を途切れさせないのだった。そしてそのときの舌先はコチョコチョと根元と玉袋の付け根をくすぐってくれる。

 僕の体背中側半分は、セメントのように塗り固められたホイホイ成分に埋まってしまっており、掃除娘のフェラチオ攻撃に抵抗することも脱出することも、それどころか身動きひとつできずに身悶えることさえできなかった。また、69だけに反撃を企てたところで、首も持ち上がらず、彼女のオンナを目前にしながら手も舌も出せなかった。こうなると美しい女性器のうごめきが男の興奮をかきたてるだけで、かえってこの体勢が掃除娘にばかり有利になる。彼女もそれを計算しての行動だったのだろう。

 掃除娘は、さすがに熟練の技とまではいかないにしても、勉強と練習に余念がなく、男の精力を削る方法を完全に身につけていた。ただ単調に唇でしごけば済むものではないことも学んでおり、それでいて射精寸前だけは単調でリズミカルな攻撃が物を言う。今は精力を削る途中のため、バリエーション豊かな攻撃が威力を発揮するのだ。

 そのことを知っている掃除娘は、次から次へと攻撃を変え、僕を悶絶させるのだった。ペニスを反らせたまま唇を離すと、カリのヒダにキスをして吸い付き、チュウチュウと音を立てながら舌先をすばやく動かす。根元に添えて反らさせている手がグリグリとしごいて棒を悦ばせ、カリと根元以外はあえて刺激しないことで、攻撃している部位のダメージを最大化している。

 次にペニスを反らせるのをやめた掃除娘は、リズミカルなフェラチオ攻撃に戻る。カリの反対側を左右に大きくなめ上げながら、先っぽをぺたぺたと喉奥に押し付けながら唇でしごく。その両手指先は玉袋をコチョコチョとくすぐって、さらに奥の会陰やお尻まで伸ばしてくる。

 今度は左右からハーモニカ攻撃だ。ときおりペニスを反らせて裏側まで満遍なく吸い付いて唇を滑らかに移動させ、指先や手のひらがしっかりと他の部分をサポートしていた。

 ぱっくりとペニス全体をくわえ込んだ掃除娘は、あえて首を動かさずに口腔内を蠢かせて揉みしだくように刺激してくる。ペニスの反応を見ながら、特に感じやすい攻撃を見つけようとしているかのような、バリエーション豊かな連続攻撃だった。

 僕のわき腹に膝をついて生足をぴったり僕の体につけ、体重がかからないようにしながらも全身に掃除娘の女体が覆いかぶさるようにして密着。フェラチオの微妙な動きが女体の蠢きとなって、僕の胸部分までをしっかりと快感にさらしていた。その上でいやらしいオンナが愛液を滴らせながら僕の視線を釘付けにする。

 精力が20%を切った。危険信号がともる。このままだと間違いなく抜かれてしまうぞ。なんとかしてこの体勢から脱出しなければ。でも、完全に体がホイホイに捕えられてしまっており、掃除娘の69から脱出することができない。せめて目をぎゅっと閉じて、彼女の魅惑的な体を見ないようにするしかない。しかし、暗闇の中で股間に走る強烈な快感は、それはそれで絶妙な味わいがあるものだ。つまり彼女は、僕が目を開けていようと閉じていようと精力を大幅に削り取れる体勢に持ち込んでいることになる。

 掃除娘が強くペニスを吸い上げた時、痛恨のダメージを負った。ぢゅううううっと大きな音を立てた瞬間、僕は「うわああ」と情けない叫びを上げてしまった。掃除娘の豊かなお尻が歓喜に震えた。勝利を確信したのだった。

 彼女はペニスから口を離すと、左手を玉袋に伸ばしてスベスベとさすり、右手の四本指でペニス裏側を、親指でおなか側を軽く掴んだ。そして力を入れることなく、ものすごいスピードでしごきあげてきた。彼女の人差し指から薬指までがペニスの根元からカリにかけて満遍なくこすれ、一秒間に四回程度の上下運動が残り少ない精力を完全に奪い去ろうとしていた。

 「あうああっ!」体の奥から込み上げる射精感に、僕はまたもや悶絶の叫びをあげていた。玉袋はゆっくりと揉まれさすられ、ペニスはまったく違うスピードでトドメの手コキ攻撃にさらされている。

 亀頭部分がぱっくりとやわらかい唇にくるみこまれた。唇はぷるんと蠢き続け、舌先は尿道口を掻き分ける。もうだめだった。彼女の手の動きが体の奥の快感の粘液を扱き出そうとしており、子種を吸い上げようと掃除娘のかわいい唇が亀頭の先で待ち構えているのだった。

 僕は縦に割れた掃除娘の生殖器を凝視しながら、自分の敗北を実感していた。最後はリズミカルな単調運動がものをいう。掃除娘は休むことなくペニス全体を刺激し続け、これでもかと唇を尖らせて亀頭を揉みしだく。きゅううっとお尻の奥が強く疼く。一秒後には射精がはじまることを経験上知っていた。

 「イクッ…!」僕が小さくつぶやくと同時に掃除娘の口がバキュームを始める。精液が尿道口を脈打たせながら飛び出していく。それでも彼女は手を休めることなく、それどころか右手に力を込めて丹念にしごきあげた。左手は玉袋と会陰の付け根を指先で強く押しながらグリグリと刺激し、その小さな口が僕の体液を一滴残らず飲み込むべく吸引し続けている。僕は身動きが取れないまま快感にあえいで精を放出し続けた。

 できるだけ脈打ちを長引かせ、体の奥に留まるすべての子種を吐き出させるよう、掃除娘は最後まで責める手を緩めなかった。そのきめの細かいサポートによって、僕は実際に通常の倍以上の時間、射精し続けることができた。頭の中が真っ白になり、ただ肉体の快感と、その快感を最大限引き出してくれている掃除娘のことしか考えられなくなった。

 やっと脈打ちが終わると、女体が離れた。ベリベリと吸い付く肌が名残惜しそうに離れていく。肉付きのよくなった掃除娘のもち肌が離れ、僕のおなかは冷たい風にさらされた。僕は完全に掃除娘に心奪われ、彼女から目を離すことができなくなった。彼女の魅力に負けてイッてしまうと同時に、その魅力の虜となってしまったのだった。

 「ふう。やっと勝てたわ。どうだった? 私のテクは。道具しか能がないわけじゃあないでしょ?」「…。」掃除娘は得意げに僕を見下ろした。敗北した僕はただただ、そんな彼女を黙って見上げるほかはなかった。

 「さぁて。今まで私が負けたとき、さんざん弄んでくれたわね。」「う…」「今はあなたが動けない状態だから、たっぷり仕返ししてあげる。」「なっ…一体何を…!?」「…何もしないわ。しばらくそのままで放置よ。」「ゲッ!」

 出し尽くしたはずの体が疼く。だんだん性欲が込み上げ、そのうち自分が自分でなくなるほど、快楽におぼれることになるんだ。「安心していいよ。すぐにこの世界のあちこちから、大勢の女たちが、オスの匂いめがけてこのホイホイまで殺到してくるから。あなたはひっきりなしにあおむけのまま射精し続けることになる。それが私の復讐よ。」「く…」

 「…でも…そのまえに、交代するまでは、…その…、私がかわいがるんだからね!」掃除娘は豹変した。こっちはショックを受けて通常なら萎えてもおかしくない(肉体改造のせいで性欲だけは決して衰えないが)状況にさらされたというのに、悩んだり状況を整理したりする暇もなく、次の瞬間には彼女のオンナが僕を悶絶させた。

 仰向けのまま身動きの取れない僕にふたたび覆いかぶさった掃除娘は、みずから腰を振ってペニスを出し入れした。僕の全身の性感神経がむき出しになり、子供のように感じやすくなっている体に豊かなもち肌が密着し、腰だけがなまめかしく上下している。あっという間に込み上げ、僕は掃除娘の膣に射精する。

 それでも彼女の動きは収まらなかった。その顔はさっきの得意げな顔から、どことなくせつないような無表情に変わっていた。息を切らせても休むことなく、彼女は腰を上下させて僕を連続射精させ続けている。掃除娘はまったく真剣に僕を悦ばせ続けているのだ。

 そのうち意識が混濁してくる。僕の精神も「ないと・めあ」に支配され、ただ快感だけを感じる射精装置に改造されてしまうのだ。言葉もすべて忘れ、つまり思考できなくなって、自分のアイデンティティも完全に失われてしまう。そのあとは永遠の快楽だけだ。

 厳密には死のような意識の消滅ではないが、まぁ似たようなものだ。そのことを僕も掃除娘も分かりきっていた。そして勝敗はすでに決したのだった。

 交わり続けていながら、僕たちは別れを惜しんでいる。別れたあとも交わり続けるというのに、僕は掃除娘を、掃除娘は僕を、最後だと思ってひたすらむさぼるのであった。

###ゲームオーバー###

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