翔のあぶない冒険!


9 番外編3 新世界1

 息苦しさに目が覚める。気がつくと、僕は自分の部屋のベッドで眠っていた。外は明るい。

 「…いよいよ始まったか。」周囲を見渡してもポッティがいない。つまり、この世界は現実ではなく、僕が見ている夢ということになる。

 カリギューラが最後の戦いを仕掛けてきている。夢の中で僕をセックスのとりこにし、目覚めてから一気に性欲として吹き出させるつもりなんだ。だから、夢といっても僕の思い通りにできるわけではなく、ただひたすら、女の誘惑に耐え、射精せずに気をしっかり持って快楽にあらがい続ける必要がある。ここで射精の回数を多く重ねれば、それだけ起きてからがつらくなるんだ。

 きっと今ごろ、ポッティは僕のそばにいながら、カリギューラに対抗する施設とかいうのにエネルギーを送り続けている。遠隔で送っても大丈夫ということは、その場所はきっと、カリギューラが手出しできないようなところなのかも知れないね。よくは分からないけど。

 よし、僕もがんばって、誘惑をはねのけて見せよう。セックスなんか、女なんか、キライだ!

 バリバリバリ! 「うわあ!」突然目の前が暗くなった。僕の部屋の壁が、空が、空間が、ガラスのように砕け、無限の闇へと落ちていく。僕の体も、床を失い、一気に奈落の底に落ちていった。周囲はもはや真っ暗になる。あっという間の出来事で、僕は下の見えない暗闇の中を真っ逆さまに落ちていった。

 あまりの恐怖でこれ以上声が出なかった。もし地面というものがなく、永遠に落ち続けるとしたら、どうなるんだろう。ビルから飛び降りてコンクリートにたたきつけられれば体は粉々になってしまう。しかし、たたきつけられる「下」が無限になかったとしたら…? 答えは出ている。周囲に空気がある限り、どんどんこの体が加速するにつれて摩擦が生じ、いずれこの体は燃え尽きてしまうだろう。

 落ちる恐怖というのは、床にたたきつけられる恐怖でもある。無限に下がないということが保証されているわけでもない。一瞬でも下が見えれば、僕は強い恐怖でショック死してしまうに違いない。

 だが、そうなる前に、幸いにも僕は気を失うことができたのだった。

 …。

 再び気がついた時には、僕はまったく違う世界に寝かされていた。ふかふかのベッドはあまりにも大きく、普通のベッドを10個並べたよりも広かった。

 赤い絨毯が敷かれた、50畳近くある広い部屋。周囲は壁に囲まれ、天井も高い。たいへん高級な造りの洋館の一室のようだった。僕はそこに一人寝かされていた。

 「…ようこそ、新世界へ。」「!」どこからともなく甘い声が流れてくる。「ここは、あなたがすべての種を出しつくした場合に生じる、カリギューラさまが統治するすばらしい世界です。翔様、あなたはそこの王として、一生、永遠に、世界中の女たちと快楽をともにできるのです。」「…ふざけやがって。」「今宵は、その新世界のすばらしさを翔様に知っていただきたく、理想世界をあなた様の夢の中に作らせていただきました。さあ、たっぷりご堪能くださいませ。」「誰が!」

 「この世界に男は一人。あとは選び抜かれた100億を超える若い娘たちだけの世界でございます。人種も、思想も、偏見も、戦争も、飢餓も、欲求不満も不足もございません。この世界にはすべてが思うままにそろっております。ほしい物や食料があれば思念するだけですべて手に入れられます。太りすぎも痩せすぎも生じず、病気にもなりませんし、年も取りません。死ぬことがないのです。」

 「性欲も皆簡単に満たされます。翔様がほしくなれば、彼女たちは夢の中でいくらでも翔様と交わることができるようになっており、欲求不満には決してなりません。そして永遠の若さと美貌を持ち、刺激もあり、飽きることなく永遠の命を満喫し続けることができるのです。人間が具えていた名誉欲や攻撃欲動も取り除かれ、皆穏やかで朗らかな毎日を過ごしております。彼女たちにはいかなる不満もないのです。」

 「人間たちはここで、やりたいことを好きなだけすることができます。あらゆる心配もなく、いかなる苦痛も感じません。幸福と快楽だけを、何千億年などとけちなことをいわず、いくらでも享受させているのです。これこそ、我々が理想としていた、すばらしい幸福だけの世界。この世界での法律はふたつ。カリギューラさまを新世界の神としてあがめること。そして翔様を王として服従することです。皆、喜んでこれにしたがっています。」

 「さあ、外をごらんになってください。おいしい水、豊かな自然、肉も魚も食べ放題愛で放題、うるわしい空気に包まれた無限の世界です。土地は無限にあり、所有を争う必要がそもそもないのです。」

 大きな窓から外を見る。「わぁ…」確かにそれは、想像を絶する美しい世界だった。綺麗に整備されていながらも、空気は山や森のように澄み、清らかな水があちこちに流れ、草木が生い茂り、さまざまな生き物たちがゆったりと過ごしている。動植物も生存のために争ったり食物連鎖の犠牲になったりすることもなさそうだ。実際に狩りをしなくとも、食べたくなったら目の前に極上のエサが現れ、眠りたくなったら誰に襲われる心配がなくても好きなだけ眠っていられる。

 牛や羊たちに混じって、だらしない顔をした虎やライオンやワニたちがひっくり返って昼寝をしている。何ともかわいらしい光景だ。「あらゆる欲望が即座に満たされ、なおかつあらゆる恐怖や危険の心配がまったくなくなれば、人間も動植物も、何かと争ったり攻撃したりという必要がありません。だから、刑法も民法も必要ない。殺人したいと万一思ったりしても、永遠の命を持つものを殺すことはできませんし、そもそも憎しみの感情を持つ必要自体がないのですから、そんなことは起こりえません。」

 「人をうらやましがったり、奪おうとするのは、そこに与えられた資源が乏しく、格差が生じるためです。だから人は他人がうらやましくなり、正義を盾に奪おうとするのです。あの人が持っているダイヤがほしいとなれば、売ってくれないなら殺して奪い取るか、裁判に持ち込んで正当に奪取するしかない。しかし新世界では、そんな物が欲しくなればいくらでも思う存分思念して出すことができるのです。土地もまたしかり。所有権の主張自体が必要ないのです。同じ物を複数の人間がほしがるから、競争が生じ、法律が作られる。が、同じ物を誰もが自由に取り出せる、同じダイヤをいくらでも出せるとなれば、奪い合う必要がない。いかがです? これを天国といわずして、何が幸福と言えるでしょうか!」

 「見えざる声よ。我は問う。人はどうなのだ。物であれば思念して取り出せるだろう。だが、同じ女を好きになった男たちは争う。男がいない世界でも、同性愛はあり得るから、女たち同士で、人を巡る取り合いが生じるのではないか?」「ご心配なく。確かに女同士で戯れることはありますが、彼女たちに独占欲はありません。誰とでもいくらでも、なんなら3人で愛し合えばいい。どうしても独り占めしたければ、翔様相手と同様、夢の中に登場させればよいのです。実際の争いは起こりえません。」

 「この新世界で人間たちが見る夢は、以前と仕組みが異なっています。現実同様のリアリティがあり、十二分な満足感が得られる。はかなく消える物ではなく、例えていうなら「もう一つの現実」といったところです。その場限りの夢もありますが、昨日見た夢の続きとして自由に見ることもできるのですから。」

 「それなら声なき声よ。さらに問う。人間の中には、世界を手中に収めたいと願う者がいるだろう。夢も現実も両方ともにおいて、世界の王になりたいと願う者がいるだろう。人間の愚かさの根源、支配欲を、変えることまでできようか?」「それもご安心ください。だからこそ、カリギューラさまと翔様への忠誠が法律として存在するのです。」

 「もしその法を破ればどうなる?」「…。」「…答えられないなら姿をあらわしていただこう、カリギューラの側近、フローリアよ。」

 「ふっ…ふふふ…さすがはポッティね。翔様の精神の一部に自分自身を忍び込ませておくとは。でも、いつまで持つかしら?」

 僕の前に、黒いてるてる坊主が現れた。「翔様。新世界では、不肖このフローリアが、ポッティと同じように、しばらくあなた様をエスコートいたします。姿形をポッティと同じにすれば、“なじみ”もあるでしょう。クスクス…」「てめえ…」「真の姿は現せぬ、か。」「…。いずれお目にかけますわ。」

 「先ほどの質問の答えですが、そのような事態が生じた場合、その女には“教育”が施されるでしょう。一度淫魔界に送り、数百年、性的快感を与え続け、支配欲を抜くのです。そして元の天国にお返しします。」「ならば…この世界の人間たちが一斉に反乱を起こせば、この世界は終わりというわけだな。」

 「お黙りなさい。そんなことは起こりえません。満足しきっている人間がなぜ反乱など起こす必要があるというのですか。さあ、すべての質問に答えました。これで姿をあらわす義理はありません。」「おろかな…こんな世界、100年も持つまい。」「黙れ! カリギューラさまの世界は完全無欠だ! 唯一絶対の、ありとあらゆる苦痛から人間を解放する、最高の理想世界なのだ!」「それなら、翔君一人だけを王にする意味などない。男たちを消す意味もなかったはずだ。それをせざるを得なかったのは、お前たちのいう楽園の構想に不備があるからではないのかね?」

 「…そろそろ、その減らず口もたたけなくなってくる頃合いですわね。」「…確かにな。これは翔君の夢。いつまでもその精神にお邪魔することはできない。いずれ外に追い出されることになる。…翔君。」「…ポッティ…ありがとう。あとは僕一人でがんばるよ。この世界の嘘にごまかされないよう、必死で抵抗してみせる。」「…健闘を祈る。人間は、もっと複雑なのだ。いや、あそこで寝ている動物たちでさえ、この新世界にいずれ我慢できなくなる。単純ではないのだ。探求し、向上すること、学習し、苦難を乗り越えること。自分たちの努力で何かを実現すること。工夫し、悲しみ、嘆き、時には憎み、これを愛と発展との原動力とするということ。老いたり病んだり死んだりしても、次の世代につなげる喜びによってこれを克服するということ。時間はかかっても、人間は成長する。これを奪う新世界は、絶対に実現させてはならないのだ。」「…うん!」

 ポッティの声が聞こえなくなった。僕の精神から抜け出し、現実世界に帰っていったのだろう。ほんのわずかな時間しか入ってこられなかったけれども、僕にとってはものすごい励みになった。

 「さあ、翔様…邪魔者はいなくなりました。旧世界の、くだらない古い考えの存在もなくなりました。どうぞ存分に新世界をお楽しみください。」「…。」「この世界では、何もかもがあなたの思うがままでございます。どんな女でも呼び寄せ、あらゆる快楽を存分に楽しむことができます。さあ、王宮から出てみましょう。」

 次の瞬間、僕はまた別の世界にワープしていた。「王宮は、新世界の内の別次元に存在します。そこから新世界のどこへでも一瞬でワープできます。世界中の女たちと好きなだけ交わることができます。」「くっ…だれが…」「ご覧ください、みんなあなたを待ち望み、心から歓迎しておりますよ?」

 連れてこられた世界は、北欧風の古い建物が建ち並ぶ町並みだった。僕が来ることをあらかじめ察知していた若い娘たちが、あちこちから集まってきている。みんな真っ白い肌の、幼い風貌をたたえた、妖精のような金髪美人ばかりだった。誰もがあられもない格好で、胸をはだけていたり、パンティ一枚だけだったりしている。

 「こっ、この程度では…欲情なんかするもんか!」北欧系の美少女たちは確かに魅力的だが、ここで誘惑に負ければ、本当にこの新世界が実現してしまう。それだけは食い止めなくては。

 「…お忘れですか、翔様。今のあなた様には、カリギューラさまによる弱体化を受けているのですよ。」「うぐ…そんなこと、分かってるよ!」体は確かにじんじん疼いている。股間がくすぐったい。でも…。もう僕は誘惑には屈しない!

 「…そろそろ幻覚も始まる頃合いですわね。」「!?」突然、全身にくすぐったい感触が粘り着き始めた気がした。なにかが…僕の全身にまとわりついている!?

 背中につぶれる女体の感触。「うわっ、離せ!」僕は慌てて背中に手をやって後ろを向きながら振り払おうとしたが、後ろには誰もおらず、僕の手は空を切った。それでも、背中にまとわりつく裸の女性の感触が残り続けた。

 感触は後ろだけではない。両脇からも女体が抱きつき、生足を僕の脇腹やふとももにしきりにこすりつけ続けている。太ももやおっぱいや唇の感触が、僕の足先から太もも、おなか、胸、首筋や耳や頬にまで滑り回っている。同時に数え切れないほどの手のひらの感触が、僕の足の裏やお尻までさわさわと愛撫し続けていた。

 女体の感触が少しずつ具現化する。ピンク色に透き通った、スレンダーな女たちだった。これは…本当に幻覚なのか? 「ソレは、あなたにしか感じることのできない、淫気のカタマリです。だから、本当にあるといえばあるし、幻覚といえば幻覚なのです。」「うああ…」

 ピンク色の女たちは、淫気が固まってできた存在たちだった。妖精のように空を舞い、僕の全身にまとわりついて女体のスベスベした柔らかい感触をこれでもかと刻みつけてきた。僕の足にはすでに何人もの女の生足が絡みつき、シコシコとこすりあげてくれている。

 彼女たちには実体はなく、体重もない。手で振り払っても空を切るだけで、決してふりほどくことができなかった。感じやすくなっており、性欲も増幅しているところへ、この攻撃は強烈だった。服や靴などで体を覆っている部分でさえ、すり抜けて女体の感触を押しつけてきた。

 淫気幻影のいやらしいところは、ペニスには指一本触れないという点だ。いや、厳密には、容赦なくペニスごと僕の全身をまさぐり、全身でこすりあげているのだが、ペニスや玉袋には彼女たちの感触を感じられないのだ。その結果、下腹部以外が徹底的に愛撫され続けていることになる。

 そうなると、性欲処理は、目の前の北欧系の女たちに向けるしかないというわけか。「さあ、我慢しないで、どんどん交わってくださいませ。」「ぐああ…」妖精のふにふにしたお尻とおっぱいが同時に重なりながら僕の小さな臀部をくすぐっている。妖精たちは立派なレディもいれば幼い娘も混じっている。彼女たちはどんどん数を増やしていき、重なりながら一斉に僕の全身を揉み、くすぐり、抱きしめ、かわいがり続ける。いつ射精してしまってもおかしくないくらいの激しい攻撃だった。

 そこへ一人の北欧系美少女が歩み寄る。彼女は僕の近くまで来ると、微笑みながら恭しく短いスカートの端をつまみ、ヨーロッパ風の挨拶をすると、地べたに尻餅をついて、自分のスカートをまくり上げた。彼女はパンツをさえはいておらず、金色の毛が丸見えになっていた。

 「ああ…」僕は吸い寄せられるようにふらふらと彼女にのしかかる。そしてペニスをあてがうと、一気にオンナの中に突き立てた。

 とたんに強烈な快感が全身を襲う。全身くまなく妖精たちに愛撫されながら、唯一感じることのできなかった股間が、今度は生身の金髪美少女の中でかわいがられることになったのだ。

 しかもこの娘の内部は、もはや人間のソレではなかった。あの、触手つきの、悪魔の膣そのものだった。蠕動しながらペニスを揉みしだき、腰を振ってもいないのに、膣全体が勝手に素早く前後運動して、ペニスをこれでもかとしごきあげる! それに加えて、バイブ振動が変幻自在にうなりを上げ、ペニスをむさぼり続けた。

 果てるのはあっという間だった。僕は正常位で彼女にのしかかったまま、最初の精液を美少女に注ぎ込んだ。「あふう!」射精のスピードが違う。脈打ちの速度がいつもの3倍のスピードになっており、イク時の快感も格段にふくれあがっている。それでいて射精時間も、2,3分は続くのだった。

 出しつくして律動が終わるまで、僕は何も考えられなかった。そのまま眠ってしまいそうなとろける感覚が全身を襲う。だが、次の瞬間には、カリギューラの精神攻撃のせいか、あるいはそういう構造なのか、精巣に一気に精子がぱんぱんに溜め込まれ、妖精たちの淫気と愛撫も加わって、ペニスは萎えることなく再び快感にあえぐことになった。

 だが、北欧娘はさっと身を引き離すと、僕に一礼して消えてしまった。すかさず別の美女二人がペニスを口に含み、出したばかりの亀頭の感触を味わいながらコロコロ舌を転がすと、すぐさま襲いかかる射精感を受け止めるべく唇で棒全体をしごき始めた。交代で舐めあっている内に、ペニスから精液がほとばしる。それでも彼女たちは交代しながら、律動する白濁液をどんどん飲み込んでいった。

 出し終わると、彼女たちも一礼して消えてしまった。ペニスはまだ萎えない。…いや、この新世界では、僕のペニスは決して萎えないのではないか、そんな気さえしてきた。

 それにしても、僕が出してしまった女たちは、二発目をすることなく、むしろこれを拒否して、すぐさま消えてしまうのはなぜだろうか。

 その理由を考えるいとまは与えられなかった。

 たぎる性欲を押さえきれず、さらに半裸〜全裸の清純金髪娘たちが待ち構えていて、僕は次々と吸い寄せられ、口や胸や膣に精液を提供し続けた。何も考えられなかったし、精液はいくらでも出続けた。むしろ射精している時間の方が、行為の時間よりも長い。その間中、僕は絶頂の快楽で頭が真っ白になり続けるのだ。

 一体何人に出してきたのだろう。出せば出すほど快楽の虜になり、それでいて半透明の妖精たちは大人の肉体で僕に群がり、なまの肢体を押しつけこすりつけて、無理矢理にでも僕を興奮させ、さらなる性交へと駆り立てるのだ。

 当初の目的を忘れたわけじゃあない。誘惑をはねのけて、射精しないでいるようにしなければならないのだ。

 だが、あまりにも甘美な誘惑と快楽は、そのつど僕の理性を削り取り、絶え間ないセックスのるつぼへと引きずり込んでいくのだ。しかも相手はまっ白くて美しくてみずみずしい、北欧系の美少女揃いなのだ。

 だ、だめだ…! このままおぼれていてはいけない! 僕はとっさに身を引きはがした。下にいた言葉の通じない娘は、残念そうに僕を見つめる。離れる時、彼女の汗と吸いつくようなきめの細かい肌によって、ベリベリと名残惜しむ密着の音を立てた。

 じわりと性感が疼く。もっと交わっていたい衝動が全身を突き抜けた。体内は性欲の疼きが強烈にかけずり回り、体外では僕より背の高い妖精たちが執拗に体をこすりつけて欲情を誘う。

 「う〜〜〜っ!」僕はぎゅっと目を閉じ、欲情に抗った。ぐらっと目の前が歪んだ気がした。一瞬強いめまいに襲われ、僕はその場に倒れ込んだ。

 気を失っていたのは一瞬だった。次の瞬間には、僕はもとの広い部屋の、大きなベッドに寝ていた。「ここはもとの…はうああ!」

 強烈な性欲は健在だった。無数の妖精たちも僕に群がっている。射精したい。快感におぼれていたい。悪しき誘惑はひっきりなしに僕を苛み続けた。

 「翔さま。」フローリアの声が甘く響く。彼女の声でさえ僕は射精しそうになった。「どうぞ我慢なさらないでください。世界中の女は、みんなあなたさまのものなのです。いくらでも射精してください。どうか、耐えないでください。ここは快楽の園なのですから…女の園、女だけの国…天国でございます。」「ふああっ…!」

 僕はふらふらと起き上がり、自分が自分でないみたいに、再び外へ向けて歩き出した。目の前に黒いてるてる坊主がある。彼女の後についていって、僕は再び異空間に入り込んでいった。

 扉を抜けた先は、よく見慣れた風景だった。僕がいた元の町。さっき闇の中に崩れ落ちた日本の小さな町だ。元の場所に帰れた…?

 いや、これは夢の世界、まだきっと何かあるに違いない。僕は警戒しながら、歩き慣れた道を歩いた。

 不思議と、例の半透明の妖精たちの姿がない。彼女たちに全身を包まれ、スベスベの肉体をこすりつけられて、強制的に欲情させられていたのだが、この町には誰もおらず、妖精の姿もない。落ち着いて歩くこともできた。

 それにしても、あまりにも静かだ。コンビニもスーパーもみんな閉まっているし、自動車の姿も人の影もない、もちろん、町の風景にありがちな騒々しい喧噪もなく、僕以外の人影がない。静まりかえってしまっている。こうなるとゴーストタウンみたいで、寂しさも倍増する。

 通い慣れた小学校に着いた。校庭が土ではなく、整備されたテニスコートのようになっている以外は、ごく見慣れた学校の姿だ。もちろんそこにも人の影はない。

 カリギューラやポッティが現れる前の、よく足を運んだベンチに腰を下ろした。懐かしい感触だ。異変が起こる前は、教室の隅か、あるいは天気のいい日には、昼休みによく、この校庭の片隅にあるベンチに一人で座っていたものだ。それがつい一ヶ月程度前のことだったなんて信じられない。遠い昔の出来事だった気さえしてくる。

 ズ…ズズズ…「!!」地面が…揺れている!? 地震だ。

 ごごごごご…「うゎ…」激しい揺れではないものの、地響きとともに小刻みに地面が揺れているのだった。新世界にも地震が起こるのか。

 「あっ!」それは単なる地震ではなかった。地響きの正体は、校庭の異変そのものだったのだ。テニスコートのように整備された校庭はみるみる変質し、徐々にその正体をあらわにしていく。人口の土部分が盛り上がり、中から石積みの壁が出現していった。石の壁はどんどん高くせり上がっていって、やがて校舎よりも高くなってしまった。

 校庭はあっという間に、石の城…いや、石の迷宮と化した。何かが始まるのは明確だった。ベンチの前に入り口がある。周囲は積み上げられた石ががっちり固まっていて、崩れる心配はなさそうだった。突然の出来事に、僕はベンチに座ったまま、ことの成り行きを見守る他はなかった。

 「さあ…翔さま…この先こそ、この町を快楽装置に変えるスイッチでございます。ご自分の手で、精で、スイッチを入れてくださいませ。」フローリアの声が聞こえる。スイッチってどういうことだろう? いずれにしても、この先に行けばろくでもないことになるのは火を見るより明らかだ。おかしな半透明の妖精たちに欲情させられていない、今の落ち着いた状況であれば、僕は理性を保っていられる。ここから動かないのが賢明だ。

 「…ここから動かないのが賢明だ。そうお考えですね。」「!!」こいつ…僕の考えを読んだのか? 「それなら、ここから動かないでいただきましょう。」「…う?」

 体が動かない。いや、厳密には、ベンチに密着している部分が動かない。深く腰掛けているため、ベンチに接している肌の部分は案外多く、そこが固定されてしまっている。背中、お尻、裏太ももに至るまで、まるでベンチと融合してしまっているみたいに、ぴったりくっついて離れなくなってしまった。

 「そんなに快楽の園がお嫌いですか。」「…ああ、キライだね。こんな新世界、絶対に実現させるものか。」「そうですか。なら、本当のご意志を、体に聞いてみるしかありませんわね。」「くっそ、やっぱりそう来たか。」

 ベンチの裏で足音が聞こえた。振り向くと、僕と同じ全裸の女の子たちが数人、ベンチの周りを取り囲んでいる。年もだいたい僕と同じくらいか、少し年上って感じだ。中には見たこともある娘もいる。6年生のマドンナ的存在、ひとつ年上の美少女だ。

 「この町はまごうとことなきあなた様の町でございます。住民も皆、もともとここに住んでいた美女たちです。が、あなたがこの新世界に対して心を閉ざしているため、登場させることができないでいます。」「けっ、妖精か何かを使って、さっきみたいに僕を狂わせる気か。」「いいえ。その方法も確かにありますが、翔さまが心の底からお気に召さなければ意味がございません。あなたが望まない限り、ここに彼女たち住民を登場させてもあまり意味がないのです。」「…」

 「ですから、今度は強制的にセックスに向かわせるのではなく、あなた様の自発的なご意志で、翔さまの望むようにいたします。」「僕の意思は確実だ。とっとと夢から解放し、新世界を断念しろ。」「くすくす…それなら、体でその意思を表現してくださいませ。」「…何をする気だ?」

 「先ほども申し上げたとおり、強制はいたしませんわ。これからこの者たちがあなたをお誘いします。欲情すれば、我々の勝ちです。誘惑をはねのけてペニスを反応させなければ、おっしゃるとおり夢から覚めさせ、新世界は断念いたしましょう。」「そんなこと言って、結局無理矢理勃起させようとしているんじゃあないか。卑怯だ!」「いいえ。そんなことはいたしません。全裸で取り囲み、隣に座るだけです。」

 「この地域周辺に配置されている娘たちは、すべて11歳から13歳までの、翔さまに身近な者たちです。具体的には、ひとつ年上の娘たちと、中学部に進学した者たちです。彼女たちへの欲情がなければ、それで終了となります。ですが、もし万一、そのペニスを反応させてしまった場合、年齢幅を広げ、30歳までの女たちを町中に解放します。それまでの間、彼女たちを閉じ込めている石牢が、目の前の迷宮の広大な地下というわけです。」

 「それからもう一つ。彼女たちに欲情した場合、翔さまにはこの石の迷宮の中に入っていただきます。そこで、町中のローティーンたちと交わってくださいませ。これが完了しさえすれば、娘たちの解放と、快楽装置のスイッチが入ります。」「そのスイッチって一体何なんだよ。」「ふふ…入ってみれば分かりますわ。」「ふざけている…」

 それにしても、ちょっとありえない感覚だ。校庭の広さしかない石の迷路で、町中の11歳から13歳までの女の子ったって、小さな町でも700人近くはいるぞ。その全員がこんな小さなところに閉じ込められているというのはちょっと考えられないんだけど…いや、何があっても不思議じゃあないか。深く考えるのはやめよう。僕がしっかりしてさえいれば、どっちにしてもこのゆがんだ世界の実現を食い止めることができるんだ。幸い、催淫効果も妖精どももいない。女なんてすでに飽きるほど相手にしてきている僕にとって、この試練は何とか乗り越えられそうなところだった。

 女の子は6人いた。いずれも僕より一つか二つくらい年上の、思春期直前か入ったばかりの女の子たちだった。知っているのはそのマドンナ的存在くらいか。それぞれの学校の綺麗どころを集めてきた感じだ。そんなことではごまかされないぞ。

 僕の両隣に二人が座ってきた。体を密着させた二人は、すらりと足が細長く、ツルツルしている。肌触りもきめが細かくて心地いい。つい神経がとがってしまう。別の一人が僕の後頭部にしがみつき、うなじ辺りにふくらみかけの小さな乳房を押しつけてきた。枕のように作用するやわらかい弾力が心地いい。

 密着する係は、いずれも13歳のお姉ちゃんたちだった。それよりも下の子たちは、僕の前で思い思いのポーズを取り始める。真ん中の娘はあぐらをかくようにして座り、毛の生えていない性器を堂々と見せつけてくる。左側の娘は立ったまま両足を広げ、指先で花びらを押し広げて僕に見せつけてくる。右側の娘は四つん這いになり、ぷっくりふくらんだお尻と後方からの縦スジを丸見えにさせた。

 こうして、この体勢のまま誰も動かなくなった。もとより僕はベンチに貼り付けられたまま動くことができない。その両側のお姉ちゃんたちも生足や脇腹を僕の体に密着させたきり動いてこない。もちろんペニスには触ってこなかった。後ろから抱きついている美少女も同様だった。

 密着するなまの肌触りと、目の前の3人の女の子たちによる視覚攻撃だった。誰も一言も発しない。動こうともしない。これだけの試練だった。

 これなら、なんとかなりそうだ。これまでの苦しい戦いに比べれば、我慢もできそうだ。僕はベンチに座ったまま、じっと女の子たちの誘惑に耐えることにした。

 発達し始めたばかりの女性器が、僕の目の前に3人、並んでいる。だが、さっきの北欧系の美女たちとあれほどエッチなことをしてきた僕にとって、これだけで勃起してしまうということはなさそうだった。おっと、さっきのことを思い出すとまた感じてしまうからな。しっかり気を持たせなければ。

 両側にはりつく生足はどれもスベスベで、むにっと僕の両足に密着している。この感触はなかなか心地よく、気を抜くとゆるんでしまいそうだ。後ろで僕の頭を抱きかかえている娘のふくらみかけのおっぱいもやわらかい。

 女の子たちが完全にはりついている。融合さえしてしまっているんじゃないかという錯覚を覚える。股間の奥がわずかにくすぐったく疼く。いや、ここで感じでいてはダメだ。我慢しなければ。

 しかし、生足から送り込まれる女性特有のシコシコした感触は、僕の太ももにある性感神経にダイレクトに働きかけてくる。つい神経をとがらせて、彼女たちの生足の感触を味わいたい衝動に駆られてしまう。

 その上、目の前にはあられもない美少女たちの裸が3人分もあるんだ。気は抜けない。正面の彼女はあぐらをかいて小さな胸をツンとさせながら内股とワレメをしっかり見せつけている。

 …何かがおかしい。それに気づき始めたところで、体を動かすことはできなかった。

 そう、だ…ここはもはや異世界。新世界の女たちは、もはや元の世界とは違って、ほとんど淫魔と化している。少女といえども、普通の女性に比べて格段に魅力が増しているんだ。肌触りも、みだらな雰囲気も、すべてがレベルアップしているのだ。

 まるで初めて女性に触れたみたいな、新鮮であまりに心地よい足の感触だった。もくろみが甘かったみたいだ。

 勃起しちゃダメだと自分に言い聞かせながら、気を張って自分を抑え続けた。だが、そこに容赦なく女性器が見せつけられ、ぷにっとした思春期の肉体が視覚に飛び込んでくるのだ。

 ぐぐっと亀頭が頭をもたげる。「だ、だめ…くっそ…」力んでみたところで、生理反応を抑えることができない。ペニスは誘惑に負け、大きく固く天を仰いでしまった。

 「ふふ…あなたが彼女たちに欲情し、セックスをしたいと体が願いました。したがって、我々の勝ちとなります。よいですね?」「うう…」

 少女たちが動き始めた。動かなかったふとももがスベスベと僕の足を撫で始める。僕の前にいた女の子たちが僕の前にひざまづき、ペニスに一斉に顔を近づけた。

 3人の小さな舌が、亀頭ばかりをぺちゃぺちゃと舐めてくれる。先っぽに集中するくすぐったい快楽が一気に僕に襲いかかってきた。亀頭が舌に翻弄され、あちこちにぴょこぴょこと揺れ動く。それを追いかけるように、執拗に舌先が亀頭をねぶっていった。

 やがて役割分担が決まり、一人が亀頭を、二人目が根本を、三人目が玉袋を、それぞれ唇と舌で犯してきた。僕は思わず両側の娘の絶妙なふとももを撫でさすりながら、ペニスに群がる3人の口に酔いしれていた。

 「あうう…でちゃう…」僕はぶるっと身を震わせた。体の奥から強いくすぐったさがこみ上げる。射精直前の反応だった。

 だが、次の瞬間、女の子たちは瞬時に消えてしまった。僕を取り囲んでいた美少女たちも、ペニスを舐めていた娘たちも、いなくなってしまった。

 「さあ、続きがしたければ、その石の城に入るのです。」「うう…」僕は何も考えられずに、股間の疼きを鎮めるというただひとつの目的のために、ふらふらと扉へと吸い寄せられてしまった。

 扉から中に入る。そこは思った以上に広かった。いや…とても校庭の中とは思えない。町ひとつ分の広さがある。つまり、この扉の奥は異空間で、別の町につながっている…そんなイメージだった。

 何もかもが石でできている。石畳の道、壁、家屋。石を積み上げてできた古代の町のようだった。上を見ると、天井が空いており、灰色の空が見える。今にも雨が降り出しそうな天気だ。外はあんなに晴れていたのに、中に入ったとたんにこの天気だ。どこかにワープしてしまったと考えるのが自然だろう。

 「ふふふふ…」「くすくす…」「えへへ…」道の曲がり角、石の階段の脇、石造りの家、壁の向こう側などから、女の子たちが出てきた。全員裸で、フリーリアの言うとおり11から13歳までのローティーンたちだった。この町は…彼女たちだけで構成されている町だとでも言うのだろうか。淫魔少女の町…ありえない話ではない、この新世界では。

 女の子たちは僕に寄り添い、ぴったり取り囲んで密着してきた。そして生足をこすりつけたりツルペタの上半身をこすりつけたりしてくる。ペニスは彼女たちの足やおなかや腕やお尻が絶えず密着し、滑り、こすりあげられている。さっきイキそうになっていた僕にとって、きめの細かすぎる少女たちの肌触りは致命傷である。

 「んっ!」女の子たちの足やお尻に包まれたまま、僕は彼女たちの体に白濁液を放出した。見ると、後から後から、色々な美少女が現れては、いたずらっぽいあどけない笑顔で僕の方に歩いてきた。

 ぽつ。ぽつ。さあああ…

 降りそうだった雨がついに降ってきた。生暖かい、しっとり心地よい雨だ。

 「!」この雨は…ただの水ではない。粘りけを帯びている。ローションのような、にゅるにゅるした甘い味のする雨だった。雨は一定のリズムで、しとしとと石の町を濡らしていった。

 僕の体も、女の子たちの体も、ローションの雨でぬるぬるのてかてかになった。しかも雨に含まれる催淫効果が、甘い香りとともに僕をセックスへと駆り立てるのだ。

 このローション雨の町では、全裸のローティーン娘たちとにゅるにゅるが楽しめる趣向になっていた。僕を取り囲む娘たちの肌が数倍ももち肌になり、それが十数人以上、にゅるにゅると僕の全身にこすりつけられているのだ。

 女の子たちは交代で、自分の体をしきりに僕に押しつけこすりつけ続けた。もちっとしたふとももがぬるぬるになって、僕の生足を何本もこすっていく。ぷにっとしたおしりが僕の股間やお尻をにゅるっと滑り、きめの細かいおなかは僕の下腹部や胸に押しつけられる。

 ぺったんこの胸や、わずかにふくらんだ胸の数々が、僕の上半身をまんべんなくぬるぬるこすれていった。やわらかい腕も背中も、ローションの雨によって精力を削り取る武器になっている。

 いきり立ったペニスにはやわらかい手のひらが包み込んできて、しきりにしごきたてたり、しこしこした内股に挟まれ包まれたりしている。挿入などしていなくても、すでに彼女たちの全身が女性器そのものだった。

 僕は思わず、少し背の低いツインテールの美少女に抱きつき、押し倒して上にのしかかった。そしてずりずりと体を前後させ、全身で彼女の体をこすっていった。なめらかに滑っていくローション効果で、ペニスは彼女の足からつるつるワレメからおなかに至るまでこすれていく。その密着した心地よさに耐えられなくなり、感極まって射精した。

 僕は再び立たされると、また娘たちに囲まれ、交代で同じように全身にゅるにゅるされてしまう。すると出したばかりのペニスといえども、欲情するのに数秒とかからない。

 こうして、ローションの雨が降りしきる中、僕は少女たちのにゅるにゅるした全身を味わわされ、生足を堪能し、ふくらみかけの胸に顔を埋め、抱き合いながらぬるぬる滑り、お尻のワレメにペニスをこすりつけたり、やわらかいおなかに肉棒を埋めたりして、感極まると近くにいたカワイイ娘を抱きしめては、押し倒してずりずりして、射精にいたる…くり返しくり返し同じように気持ちよくなり続けた。

 女の子たちは次々と出てくる。交代しているので、ぎっしりになることはなかったが、誰もが同じようなもっちりした肌にローションを浴びせて、極上の肌触りを具えていた。

 何度果てたか分からない。だが、女の子の数は尽きることなく、20人くらいで僕を取り囲んでいる。感じるたびに精子を含んだカウパーがにじみ出て、娘たちの足やお尻や手にしみ出していく。すると、その女の子は姿を消し、すかさず次の娘が抱きついてくる。その分、奥から別の女の子がやってくるのだ。

 もちろん、その体に射精して大量の白濁液をぶちまけた女の子は、恍惚の表情を浮かべたまま消えていくのだった。

 「…この町はお気に召しましたか? よろしければ、ずっとここで交わり続けてもよいし、もっと上の年齢の女を出してもよいのです。さあ、もっと射精し続けてくださいませ、翔さま…」「!!」

 自分の名前さえ思い出せなくなっていた。翔という自分の名前が呼ばれたとたん、僕は我に返った。そうだ、このままではいけない。つるつるでにゅるにゅるした女の子たちに欲情したあげく、そのあまりにも心地よいなめらかな表面に酔いしれ、その肢体のあちこちに精を提供し続けるのではなく、気をしっかり持って、みずからの強欲と戦わなければならないんだ。

 そうはいっても、ひっきりなしに女の子たちが僕の体を、ペニスを、極上の肌で包み込み、揉みしだき、こすりあげ、全身くまなく快感の刺激にさらし続けている。スベスベの生足がこすれるたびに僕は隠微なうめき声を上げ、ついつい無意識のうちに自分の足を前後させて、もっと彼女たちの肌を味わいたい、密着したいと、みずから進んで体を彼女たちに押しつけこすりつけてしまうのだ。

 このままではいけないと思いながら、僕はまたしても、両サイドに三つ編みに編んだかわいらしい美少女の生足にペニスを挟み込んだまま、無我夢中で腰を振ってしまう。中学にあがったばかりだろうか、少しお姉さんぽい女の子の股の間で、僕は彼女の体にぎゅっとしがみついたまま白濁液を放出してしまった。ローションのせいで強く抱きしめてもにゅるっと滑ってしまう。

 それでも次々と、美少女たちが僕にしがみついてくる。だんだん、年下の娘たちの比率が下がり、徐々に僕より背の高いお姉ちゃんが増えてきた。年下や同い年の女の子たちが中心だったのが、だんだん一つ二つ年上の少女たちがまとわりつくようになっていった。

 ふくらみかけの乳房。乳と言うより、やわらかく出っ張っているだけのおっぱいにしがみつかれる。股間はローションでぬるぬるした突起に覆われ、ぎゅっと締め上げられる。そしてそのまま彼女は左右に大きく上半身を滑らせていった。すると、ペニスは左右にもちもちした肌触りにこすりあげられ、激しく感じてしまった。

 「ま…まける…ものか…」僕は強く目を閉じて、激しい快感にとろけそうになりながらも、必死で心で抵抗を続けた。それでも肉体に容赦なくたたきつけられるくすぐったさに耐えきれず、誰かのつるつるした脇の下に包まれて発射してしまう。

 そうしているうちに、僕は暗闇に包まれた。目を閉じていて暗いのではなく、それ以上に深淵の闇を全身で感じるのだ。

 次の瞬間、激しいめまいが起こったかと思うと、僕はその場に崩れ落ちてしまった。

 めまいは一瞬だった。気がつくと、僕はまたもや自分のベッドに横になっていた。体はいつの間にか丹念に拭き取られ、ローションはなくなっていた。

 さっきみたいな、体の激しい疼きはない。性欲の虜には…なっていないみたいだ。それなら、しばらく落ち着いて、冷静にこの世界のことを探求できそうだ。

 ひとつ、大きな謎が残されている。もちろん、何もかも不可思議で、ありえないことばかりが続いているわけだけれど、その中でも特に、「消えた女たち」のことが気になる。

 北欧ステージにしても、ローションの町にしても、僕の精をわずかでも受けた娘たちは、必ずその場で消えてしまうんだ。一体、彼女たちはどこに行ってしまうのだろう?

 …考えても、答えは出そうにない。この新世界は、驚くことばかりだ。元の世界の常識や論理など、ほとんど通用しない。…もちろん法律も。

 ひとつ明らかなのは、僕の精子によって、彼女たちが消滅してしまうという事実だ。僕が彼女たちの肉体で射精してしまうと、彼女たちは、この「理想郷」からさえも追放されてしまうということではないか。永遠の生を約束されているはずなのに、消滅…死を迎えるというのだろうか。だとするなら、あまりに理不尽な話だ。消滅してしまうと分かっていながら、積極的に僕の精液を抜き取ろうとするのだから。本当に、元の世界の常識はいっさい通用しないんだな。

 とにかく、これ以上考えても答えは出ない。謎を解くのも大切だが、今一番の目的は、この淫靡すぎる罠夢(ないと・めあ)から脱出して、元の世界へと目覚めることだ。そして、絶対に、こんな快楽地獄を実現させてはならないから、カリギューラの淫謀を阻止するんだ。

 それにしても、僕はこれから、どうすればいいんだろう。迂闊に外に出れば、また快楽の甘い罠が待ち構えている。かといって、このままここにとどまり続けていても、何も始まりはしない。悪魔が見せる夢だ、時間自体が歪んでおり、ここで待っているからといって、それだけで自然と目が覚めるとは思えない。どうしようか…

 ベッドから起きて、窓の外を見る。広大な領土。遠くまで広がる森や山。よく見ると、植物たちもいっさい競合がなく、いくらでも奥へ奥へと仲間を増やすことができるみたいだ。同じ場所に生えようとするから、栄養を取り合ったりして枯れてしまう植物もある。が、この世界の植物にはそんな心配はいっさいなく、子孫を増やしたければいくらでも広大すぎる土地へと広がることができ、なおかつどの場所も日光と栄養と気温は十分に具わっているというわけだ。

 その森に行ってみようか…異空間ではなく、城の外そのものに出てみるんだ。見たところ、植物や動物は近くにあっても、現在は城の外に人間の女性の姿は見られない。それなら、何かヒントもつかめるかも知れないし、ひとまずは安全だし、行ってみる価値はありそうだ。

 僕は自分の部屋から一歩、外に出ることにした。

 「!!?」ドアから廊下に出たはずが、一歩足を踏み出すと、そこはすでに別の場所であった。「しまった…」後ろを振り向いても、もはや自分の部屋はない。目の前に広がるのは、何もない空間と、そして浮かぶようにそそり立っている、横長のコンクリートの建造物のみであった。その建物は…学校の風貌そのままだった。

 …こうなってしまっては仕方がない。元に戻るのを願う他はないだろう。このままここにいても何も変わらないのだから、僕は思い切って建物の中に入ってみることにした。昇降口の看板には、「ハーレム女学園中・高等部」とある。なんて不吉なネーミングなんだろう。

 中に入ってみると、すぐに階段がある。一階はほとんど扉が閉ざされている上、人気がまったくなかった。確か外観は4階建て、上がある。すぐに2階に上がるしかないのか。

 階段のところにポスターがあった。制服姿の女の子たちの写真が無造作に貼ってあり、上の方に説明がある。「1F・職員室ほか多目的室(音楽・体育・調理等々)…現在改装中につき立ち入り禁止。2F・中等部…14歳と15歳限定。。3F・高等部…17,18歳限定。4F・ちゅ、中学を出たばかりなのである…16歳限定。性の知識とテクニックのエッチな修行中♪」

 …なんだこりゃ。特に4階がわけわからん。察するに、性の技能を磨くために少女たちを集めた、破廉恥きわまる施設らしい。こんなのはもはや学校とは呼べない。だが…もし新世界となれば、知識も学歴も何も必要ではない。ムリに苦しんで勉強する必要もない。ただ、僕を性的に悦ばせるための技術だけは習得しなければいけないから、そのための学校というわけだ。

 こんな施設、なんとしても実現させてはならない。とにかく一番上まで行ったうえで、誘惑をはねのければ、さっきと同じように空間が歪み、めまいとともに元のベッドに戻れるはずだ。相手は年上の、相当に体が成長した若い娘たち、お姉さんたちだ。どれだけ太刀打ちできるかはまったく分からないが、がんばるしかない。

 僕は階段を駆け上がった。

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