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仮想とらわれペンギン・田中編 1



 本当に……大丈夫なんだろうか……?

 僕は今、自分の部屋のPC前にいる。机にあるのは……ひとつのゲーム用キット。ゴーグルヘッドからPC接続セットまで全部揃っている。コレを、これからPCにセットして、あとは装置を自分の身体に装着、スイッチを入れるだけで、装置は起動する。でも……その装置セットを前に、僕は30分以上、ずっと迷い続けていた。

 ほんとうに、スタートしちゃって、大丈夫なのかなぁ……

 装置自体は知っているんだ。これは、ヴァーチャルリアリティをさらに極度に進化させ、科学技術の粋を集めて開発された、特殊なゲーム用キットなのである。つまり、見た目や音だけでなく、歩く感覚、触覚、聴覚視覚、味覚など五感のほぼ全てを、完全に"追体験"することができる機械なんだ。

 それは、つまりは自分自身が完全に「ゲームの世界」そのものに入り込み、その世界の中で過ごすのとまったく同じ感覚になれるというものである。ゲームの中の世界で実体験をすることができるんだ。しかも、ありとあらゆるゲームを同様に現実化できるものであり、その世界をそのまま全身で味わうことができる。ゲームの究極系というべきものだ。

 ただ、ゲームを実体験できるための装置であって、ゲームそのものは、別のところから用意しなければならない。逆に言えば、どのゲームであれ用意しさえすれば、確実にその世界の中に入り込むことができる。それも、最新のゲームだけでなく、ドット絵世界の時代のもの、開発黎明期の昔のものまで、きちんとカバーできている。

 これ自体は、ものすごい進歩だし、人類にとって革新的なことだというのは分かる。技術そのものが可能であっても、「互換性」という問題が残っていた。企業が自社の利益だけを守るために、自社のゲームの実体験化を阻むよう、独自のプログラミングや防御、障壁を設けることが、かつては一般的だったからだ。その垣根を取り払うことができたのは、人々が時代の要請に応えて、そういう独占的専用的な壁をすべて消せるように社会的に動けたということでもある。

 ファイルで例えれば、jtdをPC以外では編集できないとか、特殊メディアファイルはPCでしか閲覧できない、スマホでは見られない、変換ソフトは非常に高額といった無駄な垣根を取り払ったということである。元をたどれば0と1の羅列で構成されるはずの情報技術が、プラットフォームの差異によってお互いに壁を作っている。互換性がない。その無意味で気位の高い邪魔な機能を、あっさり取り去った世界という大革新なのである。

 そのことは、各企業の目先の利益よりも、各企業が連携し合って、遠い未来まで持続可能な技術へと高めるために、協力し合えるところを協力した結果ということである。その躍進のおかげで、こうした装置の開発にも成功したのである。逆に、互換性問題が解決されなかったら、何億年経とうとも、こうした装置は出来上がらなかったであろう。

 ただし、安全性に考慮して、痛み、苦痛の類に関しては、共通して感じられないようになっている。また、強いショック状態に陥らないような、緊急事態の緩和も行われていて、いざとなればゲーム世界から脱出も可能だ。そうしたところまで、至れり尽くせりなのである。

 では、そんなすばらしい装置を前に、この僕、田中が何を悩んでいるかって?

 装置とゲームの出所なんだよなぁ。

 この装置を渡されたのは、昨日の部活の時だ。一学年下の、科学部員の山下さんから、相変わらずの無表情メガネのまま、ぽっそりぽっそりと説明を軽くされただけで、あとは「使え」の一点張り。そういうイワクつきの特殊装置だからである。

 ただの装置そのものなら、こんなには迷わない。しかし、山下さんは、こともあろうにこの完璧な装置を、さらに魔改造してあると言っていたんだ。そしてその余分な改良・改造を行ったのが、部長である上野さんなんだよなぁ……。本当、これだけがものすっごく引っかかる。

 上野部長が余計な改造をしているというだけで、もう使用をためらわざるを得ない。今までのこともある。上野部長はおかしな発明をくり返しては、僕を実験台に、ややこしいメカや薬を試し続けてきて、その都度ヒドイ目に遭っている。かなり懲りているので、正直コレを使いたくはない。

 まだおかしなところ、ツッコミどころはたっぷりある。

 山下さんの説明が決定的に不足していて、僕の知識不足と相まって、結局どんなゲームをやらされるのか、ほとんど皆目見当もつかないということだ。

 ゲームの名前は「とらわれペンギン」というらしい。名前も聞いたことがない。元のゲームの製造年は、1989年だという。昭和じゃないか。僕が生まれる遙か前じゃないか。30年以上前のことなど知るよしもないし、パッケージもないツルッツルのCDにそれが収められているというだけで、それ以上の情報がなかった。ゲームのジャンル自体はRPGらしい。しかし、それ以上の具体的な内容や、必要不可欠なルールは、結局山下さんは何も教えてくれなかった。

 彼女いわく、苦痛はいっさいないのでガンガン進めばいいし、満足のいくところまで続けられるように改良してあるとのこと。簡単に終わってしまってはつまらないので、部長が長く遊べるようにとのことだが、結局どういうことなのかが分からない。肝心なところが抜けている気がする。

 それから、上野部長はすでに何度も、このとらわれペンギンを実験し、タノシク遊んでいるとのこと。なぜか山下さんはほんのり、顔を赤らめていた。だが、男子での実験は行ったことがないので、テストしてみろと、部長から託されたというのである。

 それだけでももう、おかしな末路しか見えないので、ものっそい気乗りがしない。なんだかハナシがおかしい。ぶっちゃけ、やりたくない……。

 男子でもきちんと機能するのかどうか試すことが責務と言われたが、女子と男子で違うの? 同じゲームだよな。なんかヘンだ。ぜんっぜん気が進まない。

 極めつけは、注意事項として、①部屋の中でひとりで行なうこと、②できれば替えのパンツを用意すること、③今日中にちゃんとやること(やっていないのにやったことにしても無駄だ)、と言われている。いやいやいやいやいやいや!!! 全部おかしいだろ! なにがなんだか分からない!

 とらわれペンギンというのがどういうストーリーでどんなゲームなのか、どんな内容のゲームなのか、そのゲーム世界で何をすればいいのか、明日何を報告するのか、そして、なんでそういうひとつひとつイチイチおかしな注意事項があるのか、山下さんに問い詰めたが、彼女は無言で『金属疲労論航空機編』を読みふけるばかりなのであった。

 いやだなあ……どんな目に遭わされるんだろう。本当に嫌な予感しかしない。やりたくない……やりたくない……でも、やらないと、あのヒステリーな部長がカンカンに怒り出すのは目に見えている。ああもう!

 結局僕は装置を家に持ち帰り、仕方なく、渋々、この装置を作動させることにした。どうか死にませんように。

 ウイィィン……

 起動までは簡単だった。PCにつなげて連動させ、CDを入れて、ヘッド装置その他を装着するだけだった。あとは全自動で、機械が僕の脳から全身に電流を作動させて、何かに吸い込まれるように全身が異世界の中に入り込んでいく。

 気がつくと、僕は狭い部屋の中にいた。蓋付きの簡易ベッドと、小さなモニターと、トイレがついているだけの本当に簡単な部屋の中だ。

 ちゃんとゲームの中に入れている。しかも、30年以上前のゲームなのに、ドット的な感じが全くせず、リアルな壁作りの、無機質な部屋だ。手触りも固い壁そのもので、しっかり感じ取ることができる。本当に、このゲーム世界の中に入り込んでいるのと、なにもかも全部が同じ感覚だ。すべてが本物と変わらず、不自然な点がない。昔のものでも、リアリティを出すために、すべて現実感が出せるように改変されているのだろう。どうやらそれ自体は、上野さんの改造ではなさそうだった。

 小さなモニターに何かが映し出されている。本来書かれているはずの部分が、あっちこっちにモザイクがかかっていて読めない。こっちは間違いなく部長の仕業だな。

「さあ若き戦士田中よ、タチあがれ! この悪魔の研究所を脱出するのだ! そのためにこの安全地帯から出てレベルを上げ、研究所を彷徨いながら、活路を見いだして出口を見つけるのだ!」

 モニターから読めたのはそれだけだった。肝心なところはモザイクで読めない。ほんっっとうに上野部長の悪い癖なんだよなぁ。大事なところは秘密にするから、いつも僕が困るんじゃあないか。

 部屋には自動ドアがひとつ、半透明でついていて、そこから外の廊下に出られるらしい。”安全地帯”というのは、どうやらこの部屋と、部屋を出て数歩歩いた廊下部分だけを指すようだ。その先を進んで、ゲームをクリアするということになるらしい。

 RPGだから、なにか敵を倒してレベルを上げて、強くなってラスボスを倒して脱出、というストーリーのようではある。

「あああ!」

 この世界に入ってからすぐに、構造にだけは気づいていた。ある程度の設定にも目が行った。が、肝心なところに目が向いていなかった。何かがヘンだと思っていたんだ。

 僕は、この狭い部屋の中で、素っ裸だった! 靴も靴下も何も身につけていない。周囲を見回しても、服らしいものは何も用意されていなかった。

「おいおい……そこからかよ……」

 僕は溜息をついた。RPGである以上、当然何らかの「装備」が必要になるのはわかる。でも、何も装備していない=全裸というのは、かなりやりすぎな感じがする。ゲームによっては、防具に「布の服」なんてものがあって、それを装備する前は裸かよとも思ったが、まさか本当に自分が全裸スタートになるなんて!

 と、とにかく、だ。裸ってことは、どこかに服などの装備品があるはずだ。店があるのか。ゴールドとか溜めれば防具も鎧などにグレードアップするのか。でも、剣も棒も、武器そのものだって全く用意されていない。最初は素手で戦うのかな。

 そんなことを言っても、中学2年、14歳の自分の華奢な身体のまま、素手&裸でバケモノと戦闘できるの? 勝てるわけないじゃないか。

 まぁ一応、ダメージを受けても痛みなどないらしいので、そこは気軽にやって行けそうだな。それで武器防具を身につけて、簡単な敵を倒していって、レベルを上げて、謎を解いて研究所から出られればクリアだ。山下さんも長時間楽しむとかなんとか言っていたような気もするし。

 他に登場人物はいるんだろうか。全裸のまま、ばったり出会ってしまったら、かなり恥ずかしいじゃあないか。そこは明日言って、部長に直してもらわないと。

 とにかく先に進むしかなさそうだ。イヤな予感を抑えつつ、気持ちを切り替えていく。

 それにしても、「研究所」って、何を研究しているんだろう? 悪魔の研究とかモニターに出ていたが、内容は全く分からない。というより、その内容部分がモザイクで隠されていたんだろう。仕方ない。僕は部屋から出てみた。扉は、どこであれ手を触れると、簡単に開閉する仕組みらしい。あとは自動で、先に進むことができる。

 数歩先に、右への曲がり角が見える。どうやら、安全地帯はこの突き当たりまでのようで、そこを曲がって進むと、敵が出現するようになるのだろう。多分、その先で服や防具や武器なども見つけられるのだろう。店なのか宝箱なのかも分からないけどね。

 それにしても、この研究所は何かがおかしい。研究所である以上、もっと広々と分かりやすい構造の建築物のはずなのに、通路の幅は1.5メートルくらいしかない。普通の家の廊下よりかは若干幅がある、くらいの狭さだ。そして、その通路が先々、延々とあちこちに枝分かれしながら続いている。その所々に、自動ドアが設置されている。まるで迷路だ。

 訳が分からないまま、僕は安全地帯を抜け、股間を隠しながら恥ずかしい格好で先に歩みを進めていった。上部に空気孔しかない、窓もない殺風景な通路だけの研究所ステージだった。でもその壁は、半透明の自動ドアは、ちゃんと近代的なしっかりした造りになっている。

 その先々もあちこちで、部長が色々と魔改造を施してあるんだろうなぁ。嫌な予感は的中している気がする。実際に、僕、裸にされてしまっているし。それに、歩いていても誰もいないけれども、なんか、ずっと誰かに監視されているような気がするんだよなぁ。

 1~2分くらいだろうか。歩き続けたときに突然、視界の下部に半透明の文字が浮かび上がった! ”エンカウンター!”という表示だった。それまで静かなBGMだったのが、とつぜん激しく鼓舞的な音楽に切り替わる。

「なっ!!? なんだよこれっ!!!」

 ブウゥン!

 音楽が変わったと同時に、僕の周囲に、1~1.5メートルくらいの大きな泡のようなものが出来上がった。それが通路左右いっぱいに拡がり、さらに前後を塞ぐ。シャボン玉の巨大版のような、すこし光を反射する、透明な泡の壁の中に、僕は包み込まれてしまっていた。手で押してもその泡の壁はゴムのように伸びるだけで、決して脱出することができない。破ることもシャボン玉や風船のように弾くことも、できなかった。

 よく見ると、それは透明の壁であり、シャボンの壁のように見えても、機械的に作られた網のようなものだった。微細な穴がミクロではびっしり空いているようで、空気や水蒸気のような粒子なら通り抜けられるが、一定の大きさ以上の物は、そこからどうしても出られないようになっている。

 エンカウンター、ということは、敵に遭遇したってことだ。音楽も変わり、戦闘が始まるのか。敵が出た以上、そしてこの泡の壁から出られない以上、その敵と戦って勝つか負けるかしなければ、脱出できないらしい。つまり通常のRPGのように「逃げる」という選択肢がないのか。

「ああ!」

 今しがた、僕ひとりで閉じ込められていたのに、状況が一変する。電送されるように、部分的に身体が現れたかと思うと、その人影が瞬時にして実体化する! どこかから文字どおり「送り込まれた」感じだ。

「こんにちはー」
「あれー、キミが田中君だよねー?」
「中学生なんだよねー? かーわいい♪」

 僕と同じ泡の空間に現れたのは、3人の女の人だ。体操服にブルマ姿。彼女たちの上に半透明の文字で「女子高生ブルマ・レベル3。18歳」と浮かび、2,3秒で消える。

 文字情報どおり、彼女たちは高校3年生、18歳の娘たちだった。僕が14だから、4歳も年上の少女たちか。

 ブルマの色は紺色。ブルマというのも、話には聞いていた程度で、本物を見たことはなかった。89年当時は普通だったらしいが、いまはすっかり廃れてしまった着物だ。そんな生足露出の少女たちが急に3人、僕の目の前に現れたのだった。彼女たちもまた、この泡の空間に閉じ込められ、僕と一緒になって出られない状態だ。狭い空間に4人がいるので、相当手狭になる。ほんのわずか近づいただけで、身体が触れそうなくらいだった。

 あれかな。この人たちとパーティーを組んで、敵と戦うってことかな。一瞬そう思えた。彼女たちの好色さを、僕は優しさと一瞬勘違いした。敵といえば、スライムとか、こうもりとか、何かクリーチャー的な物をイメージしていたからだ。

 いや、やっぱりそうとしか考えられない。彼女たちは紛れもなく人間の女子たちであり、バケモノではない。ということは、僕と一緒に戦ってくれる味方っていうことになる。誰がどんな役割なのか、誰も剣を持っていないけれども、彼女たちは魔法か何かを使えるのだろうか。レベル3とあるが、これはどうもレベルの「高さ」を表すものではなく、単純に学年を示しているに過ぎないようだ。

 それにしても……敵モンスターの姿が見えないな。僕と女の子たち3人としかいない。そして、この狭い泡の空間は、もうそれで手一杯だった。こんなんで、一体何者と闘うっていうんだよ。

「アッ、うゎっ!!」

 僕は咄嗟に、お姉ちゃんたちに背を向け、前屈みになって、さらに股間を強く隠した。急に現れたので、一瞬忘れていたんだ。僕はいま裸だぞ!? 急激に恥ずかしくなる。異性の、しかも年上のお姉ちゃんたちに、華奢な全裸の僕がさらけ出されているんだ。僕は真っ赤になって、縮み上がるように泡の壁に向かい、ほぼその壁に密着状態で、ペニスを見られないように固まってしまった。彼女たちには僕の細っこい白い背中が、丸出しになっている。

”ピッ! ケイコク!”

「!?」

 ビープ音が鳴り、頭上から機械的な音声が響きわたる。しかし、AIが喋っているというより、あらかじめ録音されていた音声が、機械的に処理されて無機質な声色になっているだけのように思えた。そして、その抑揚のなさから、声の主は、間違いなく、あの山下さんのものに違いなかった。

「上野部長からの魔改造項目の説明です。一度しか言いません。」

 ピッ!

・敵は全員、田中のことを知っており、田中ひとりをめがけて攻撃してくる
・敵の数を1人から3人へと増員した
・何度出しても、それで条件を満たすことにはならない
・戦闘後、体力や精力は自動的に完全回復し、ゲーム続行が可能となっている
・敵は5階の相手だけでなく、多くの種族が突然参加できるようになっている
・時代に合わせて、元々のゲームでは登場しなかった敵も送り込まれている
・現実世界に戻ったとき、ゲーム内で起こった出来事のほとんどは忘れる

「以上です。がんばってください。」

 音声はそれで終わってしまった。

 え、えええぇえ~~~!?!?!?

 何のことだかさっぱり分からない! なんで敵が僕のことを知っているんだ。てか敵って結局誰なんだ。条件を満たすってどういう意味!? そもそも「精力」ってなんだよ!?!?!? 全然意味が分からない。

 敵の数が3人……人……にん・・・え、敵って、人間なの!? もしかして、このお姉ちゃんたちが、敵なの? それにしては彼女たちからいっさい敵意を感じないぞ!?

 ゲーム内の出来事を忘れるって・・・それじゃ明日、何も報告できないじゃあないか。

 魔改造の内容も意味も全く理解できない。このお姉ちゃんたちと殴り合いでもするのかな。そんなの最低だよ。なんなんだ……

 しかしそれでも、このお姉ちゃんたちと一緒に閉じ込められているこの状況を、僕はどうしたものかと考えあぐねている。何もやりようがないだろコレ……。どうしよう……。

「あの……僕……」
「クスクス……始めよっか?」

 女子高生たちは突然、僕にぎゅみっと抱きついてきた! さらに彼女たちは、露出された生足を僕の両足にスリスリとこすりつけ、年上の太ももの感触をたっぷりと刻みつけてくる! 少女たちは僕の背中と左右に抱きついて、僕の細っこい両足に、女子高生特有の太い素足をスベスベと押しつけこすりつけ続ける。やわらかな弾力や肉厚が、急激に僕の両足全体を覆い尽くし、滑り回っている!

「あうぅ! な、なにするんですかっ! ゃ、やめてくださいぃ……」

 僕は何がどうなっているのか分からず、ぶるるっと身を震わせた。

「ほぉら、お姉ちゃんたちの生足だよー?」
「気持ちいーい?」

 突然の感触に、僕は戸惑いを隠せなかった。

 実際、女子高生ブルマレベル3の容姿は、89年当時としても、かなり異質なものだったに違いない。普通の体操服&ブルマではなかった。体操服は胸部分までの長さしかなく、彼女たちは半袖ではなくノースリーブで、すでにツルツルの脇の下を露出させていた。つまり、腕も脇の下も、お腹も背中も腰回りも、滑らかで女性的な肌がしっかり露出されているということである。こんな体操服、さすがに当時でもなかったはずだ。

 それに加えて、元々のブルマはもっと生地の範囲が広く、パンティをしっかり隠してさらに余りあるくらいに大きな生地であった。ただし身体にぴっちりくっつくために、大型のショーツを穿いているようには見えた。

 しかし、彼女たちが身につけているブルマは生地がとても狭く、横尻の半分以上が露出され、後ろからは半分以上お尻が露出されてしまっている。これは彼女たちが元々生地をめくってお尻をあらわにしていただけではなく、元々その生地自体が少ないんだ。当然、股のキレはきわどく、内股や脚の付け根はしっかり露出されていて、あとほんのわずか、ブルマがズレたら、危ない部分が見えてしまいそうな短さ・露出度だ。

 これでは、下にパンツを穿けば、その下着の大部分がはみ出して、かえって不格好になってしまう。つまり、彼女たちは初めから、体操服+ブルマ以外は、何も身につけていなかったということである。体操服の下にはブラジャーさえもなく、乳首の突起も、薄く白い上半身生地にほんのり浮かび上がっているように見える。

 そんな娘たちが、3人がかりで背後から、僕ひとりめがけて抱きついてくる! その女体の成熟したやわらかさと、年上お姉ちゃんの魅力と、スベスベの肌触りが、全裸の僕に一斉に襲いかかってきたのである。

 突然の肌触り、そして女性的なやわらかさに包まれてしまい、何が起こったのかさえ分からずに、僕は戸惑いしか抱けなかった。ただ身体をこわばらせ、やめてくださいと小声で連呼しながら、恥ずかしさで何も考えられなくなり、困惑し続けてしまう。

 おかしい。RPGゲームのはずなのに、なんでこんなことになってしまっているんだろう!?

 真後ろの女の子の胸が大きく、僕の華奢な背中に押しつけられて潰れる。そのやわらかな弾力を、僕は背中でしっかり感じ取っていた。体操服の生地越しではあったが、その弾ける若い膨らみを、僕は背中で受け止めさせられている。

 右側の少女も、何か服を着れば目立たないけれども、こうしてぴっちりした体操服を着ていれば、しっかりと胸の膨らみを感じ取ることができるくらいに発達していた。左側のお姉ちゃんは、18歳にもかかわらず、小ぶりな膨らみ方ではあったが、乳頭は完全に大人のそれとなっており、成熟して子供を産める体型がしっかり出来上がっているのは理解できた。

 本当に、何が起こっているのか分からない。戦闘だったはずだ。敵は? このお姉ちゃんたちなの? なんで彼女たちは、全裸の僕にこんなことをしてくるんだ? 僕はブルルッと震えながら、性欲よりも緊張の方が先走って、身動きが取れなくなっている。しかし、ぎゅうぎゅうと押し寄せてくる女子高生たちの身体の圧力がかかっても、泡の壁は伸びるばかりで、むしろ泡と女体に挟まれるような格好で、僕はそこから脱出できないのだった。

 すりすり……むにむに……すべすべ……

 彼女たちが、露出された肌を僕の身体のあちこちにこすりつけ滑らせ、なおかつ年上の、より一層女子として成長したやわらかな弾力を味わわせてくるにつれ、僕は徐々に、いま行われている行為の意味を、かろうじてだが理解し始めることができてきた。

 ゲーム世界だの、戦闘だの、ルールだの、そういったことがだんだん薄れていって、目の前で起こっている出来事、全身に感じさせられる滑らかなみずみずしい肌の感触と、吸いつくようなお姉ちゃんたちの女体の出っ張りが、僕の理性をだんだん奪い始めた。

 僕は普段、性的なことなんて、ほとんど意識しないように努めてきたんだ。クラスの娘や、科学部のメンバーを、なるべく性的な目で見ないように努力してきたし、科学部に訪れる奇天烈な女子たちの脚も肌も、全然意識しないように振る舞うことで精いっぱいだった。そうしないと、自分の中の何かが崩れ落ちてしまいそうで、これからの生活が全部ダメになってしまいそうで、僕は冷静に冷静にと、いつも気を張って学校生活を送っていた。

 でも、12歳、13歳と年齢が上がってくるにつれて、やっぱり異性の身体を、どうしても意識せざるを得なくなっていたんだ。それを隠すために、そっけない態度ばかりを、女子たちに向け続けていた。彼女たちは、とくにその太ももが、年齢に応じて驚くほど女らしくなっていくのが分かった。

 昨日まで何でもない生足の娘たちが、とつぜん急激にもっちりした吸いつく肌触りになったのを感じる日もあった。そもそも彼女たちの生足はそういう造りになっているんだろうけれども、それを男子として僕自身意識したのが、新鮮な今日の日というわけだ。

 そういう女子たちの人数が、日増しに増えていって、結局僕は、中学に入ってからはとくに、彼女たちの脚をチラ見しながら、その強烈な印象を焼き付けて、家で自分で性欲を処理し続けてしまっていた。下級生よりも、クラスメイトや上級生、そして……科学部の部員たちの方に、より衝動的な魅力を感じてしまっていた。

 それをひた隠しにしながら今日まで過ごしてきたのに、僕はこのゲームで、自分の性的な性癖を、まざまざと思い知らされ、はっきりと表に出して意識し始める……露骨に性欲を丸出しにせざるを得なくなり始めてしまっている。

 女子高生たちのふとももが僕の下半身を滑り回り続け、じわじわと深く大きく滑るようになっていく。逃げよう離れようとあがいても、透明の泡からは抜け出せず、つるつると滑るように僕を弾き戻してしまうか、無理に抜け出ようとしてもどこまでも伸びるばかりで、結局全身が、ブルマ少女たちの元へと押し戻されてしまうためだ。そうして、少しでも僕が彼女たちに近くなるやいなや、彼女たちは容赦なく、生足をスリスリとこすりつけ、性感攻撃に晒し始めた。

 その肌触りを感じているうちに、僕はどういうわけか、小中学時代の、見知っている女の子たちの脚を思い浮かべてしまうのだった。クラスにいた少女たちのミニスカートや半ズボンから伸びる、細くしなやかな生足。5年生6年生へと成熟してゆくにつれて、その太ももの膨らみは増していき、太っているわけでもないのに丸みを帯びた肉付きが、今でもしっかり脳裏に焼き付いている。

 それとは比べものにならない太さを持った高校生の脚を感じながら、ひそかにあこがれていた異性の生足の感触に、どうしても再び強い憧れを抱いてしまう。年上のお姉ちゃんたちの感触と、想い出の娘たちの脚の形状が重なって、あの子たちも、山下さんも部長も、きっと触ったり脚同士をこすり合わせたりすれば、こんなにいい感触なんだろうと思えてならない。それが……僕のオナニーのメインでもあったから、本当に生足の感触を味わうと、昔と今のクラス女子や部活女子たちの生足の記憶が、強く強くフラッシュバックしてくる。

 彼女たちはもう、コドモではなかった。制服を着るようになると、少女たちの下腹部と太ももの見た目の良さは、格段に高まっていた。成熟に成熟を重ね、僕は素知らぬふりを貫くことが、だんだん困難になっていった。それをとぼけて生活することが、本当に苦痛だった。その一方で、いわゆるラッキースケベの類を、僕は素っ気ない反応に徹しながら、記憶の奥底まで強く染み渡らせてきた。

 ホンモノの肌触りに包まれこすられ続け、有無を言わさずペニスはくすぐったい反応をしてしまう。肌色の包茎ペニスは、皮を被ったまま、興奮の色を隠せない。女の子たちの脚を思い出しては膨らんでいく夜のペニスとまったく一緒だった。人前でそうなってしまうわけには行かないので、これまで僕は、その前に性欲を”処置”するように心がけていた。先に精を吐き出してしまって、興奮を静めるんだ。でも今は、そうすることさえもできずに、お姉ちゃんたちの前で恥ずかしい勃起姿をさらしだしてしまっていた。

 いや……まだ、なんとか間に合うかも知れない。

 僕は泡の壁に強く身体を押しつけて、全身を踏ん張らせ始めた。なんとかして女子高生たちのおもちゃにされないよう、勃起を見られて恥ずかしい思いをしないように、理性を振り絞って興奮を静めるんだ。そうすればきっと、このおかしな出来事にも、何らかの変化があるはずだ。抑えろ……抑えるんだ……

 だが、どう踏ん張っても、太くてスベスベした生足が僕の両足を滑るたびに、そのシコシコした感触に、ゾワゾワと性欲をかき立てられてしまう。とくに僕の両足の間に、僕よりも太い女の脚がねじ込まれたときに、お姉ちゃんの太く成長した脚の感触が心地よい。ペニスを抑えることがほとんど不可能になってしまっていた。

 僕の両足は、真後ろの女子高生の生足を挟み込んでいる形になっている。未発達のちいさな玉袋が、完全にその上に乗っかってしまっていた。

「キミが女の脚を好きなのみんな知ってるよ? ほら、素直に白状しちゃいなよ、じかに4歳上の女子高生の脚に包まれて、気持ちいいんでしょう? ここはね、エッチなことを全部許された世界なんだよ?」
「うあぁ……」

 わけが分からず、しかしすでに3人がかりで抱きつかれて生足攻撃を受けているため、普段はほとんど出さない性欲が、身体の奥底から露骨にこみ上げ続け、その衝動を抑えきれないままでいる。頭の中は、これまでオカズにしてきた少女たちの太ももの映像がグルグル駆け巡っている。こんな時は一人でペニスを揉みしだいて、精を吐き出すまで、少女たちの映像が頭から離れきるまで、自分で処置した。出し終われば、元のクールな自分に戻れるのを知っているから。

 そんなことが始まったのも、つい数年前からだ。意味が分からないまま、女の子たちの脚を勝手に思い出すようになり、それを処置するのがだんだん日課になっていった。初めのうちは、ペニスのくすぐったい心地よさを自分の手が演出し続け、酔いしれているうちに、急激にその気持ちよさがぐんと強くなり、直後に、ビクッビクッとペニスが脈を打って強い反応をする。それで終わりだった。

 でも、2,3日経つと、またクラスメイトたちの姿が脳裏に焼き付く。なぜか彼女たちの脚を思い出してペニスを揉むと、ビクビク律動してくれる。自分から積極的に求めていないのに、何日かおきにそういう”儀式”をせざるを得なくなっていた。それがとても恥ずかしく、誰にも言えない。そんなことをくり返すうちに、数日おきから、ほぼ毎日同じことをくり返すようになっていった。

 そしておそらく……ことしに入ってから、ペニスが律動したとき、白く濃い液体が一緒に出てくるようになった。これまでこんなことはなかったんだ。ただビクンビクンとペニスがいい気持ちになって、それで終わり。終わったあとは、恥ずかしさと背徳感だけが残った。だから、できるならこの衝動は、二度と来て欲しくないと、終わったときにいつも思うんだ。それなのに、次の日には同じ衝動に襲われる。快感に対する後ろめたさが、いつもつきまとった。

 後ろめたいまま、またオナニーする。オナニーというコトバも、イクとか絶頂とかいうコトバも、つい最近覚えた。僕は毎日イキ続けたが、白い精液はまったく出てこなかった。それが、男としての成長とともに、出てくるようになったんだ。その知識も入手して、また一ヶ月ほどしか経っていない。ガマンしようとすると、日中に学校とかで勃起してしまう。それを避けるためだけに、寝るまえにオナニーを行うようになっていた。

 そんな程度の成熟度しかない僕に比べて、女子たちの進み方は、はるかに上を行っている。そのこともほとんど理解しないまま、僕はこのゲームの世界に放り込まれ、そして今、4歳も年上の女子高生お姉ちゃんたちの生足の感触を、じかに受け続けてしまっていた。

 しだいに、クラスの娘たちの記憶が薄れ、なぜか上野部長の姿が強く脳裏に蘇った。それ以外は、だんだんと、このお姉ちゃんたちの肢体の方へと、意識が向けられていった。

 全体的にすらりとしていながら、しかし生足の膨らむべきところはキッチリ膨らみきっており、女としての生足の完成度はほぼ完璧に近い。中学生も同じ形状と感触なんだろうけれども、高校生ともなると、さらにその色気とみずみずしい肌触りは、大きく想像を上回っている。女らしい脚の形をきちんと具えていながら、どこかで、まだまだ子供っぽい太さを保ち続けている。大人のレディのように引き締まっているのでもなく、ふくらはぎがシュッと細まっているわけでもなく、ただひたすら、若くてハリのある太さをそのまま丸出しにしている感じだ。

 そして、クラスメイトたちと決定的に違うのは、その上半身の胸の膨らみである。僕の背中に、体操服越しに、やわらかな乳房の感触が潰れ続けてくる。僕より背が高いお姉ちゃんたちは、前屈みになってわざわざ僕の背中や腕や肩に、自慢のおっぱいのやわらかさを刻みつけてきていた。18歳にもなれば、こんなにも胸って大きくなるんだ……個人差はあっても、ぴっちり体操服でおへそが丸出しになっている露出度。高校生らしい乳房の膨らみ加減は、やはり中学生と一線を画する。

 お姉ちゃんたちの脚にほだされて、ほとんど理性が奪われてしまっていた。そしてついに、僕は自分から左右の両足を前後させて、挟み込んでいる女子高生の太ももを、自分の両脚でスリスリと擦り始めた。気持ちよすぎて、自分の足を止められない。彼女たちからもこすってくるが、自分で左右の足を前後させて、女子高生の生足を自分から愉しんでいると、さらに快感が増してしまうようだった。

「ちんちん隠してないで、もう見せなよー!」

 もうだめだった。両脇の女子高生たちが僕の手を掴んで、隠していた股間を露出させるべく引き離してしまう。力んでいたはずの僕は、ブルマ娘たちの太ももの感触に我を忘れてしまっていて、気がついたときには、力があまり入らなくなってしまっていた。脱力というより、性的衝動にほとんど気を取られてしまっている感じだ。

 ついに、情けなく勃起した包茎ペニスが、彼女たちの前に完全に露出されてしまった。いや……よくここまで隠し通せたものだとも思えてくる。

「あーやっぱり中二のアソコってこんなもんだよねー!」
「ゼンゼンきれいな色ー♥ 皮も被ったまま、身体と同じ肌色だね。」
「ほれほれ~、お姉ちゃんたちの脚と胸で、こんなに興奮しちゃってるんでしょ? 潔く諦めちゃいなよー!」

 ううぅ……

 どうしてこんなことに……ゲームの世界とかルールとか、完全にすっ飛んでしまっていて、こんな展開になるなんて、夢にも思わなかった。年上の高校生お姉ちゃんたちに、恥ずかしいペニスの秘密をじかに、しかも3人にまとめて見つめられてしまうなんて! 羞恥心で顔が真っ赤になってしまい、ジンと頭部全体が痺れた。

「ねー。いっくらチート設定だからって、油断しすぎじゃん?」
「あっさりイかせる気にもなれないよねー」
「ちょっとジラしちゃおっか・・・」

「えっ……ち、チートって、なに!? お姉ちゃんたちはっ……!?」

「えー・・・! もしかして、なんにも知らないでこの世界に来ちゃったとかー?」
「ありえなーい!!」
「だから逃げようとしたりして、反撃もしようとしてこなかったんだー」

 女子高生たちは、意外という顔をして、3人で僕を見つめた。が、生足をスリスリこすり続けるのだけはやめてくれなかった。そして3方向から抱きしめ、囁くように、いまの状況を説明し始めた。

「これってエロゲーなんだよー? えっちなことをいっぱいするの。それでね、RPGだから、レベルを上げて主人公は先に進まなくっちゃいけないってこと。」
「戦闘はセックスバトル。つまり、エッチして、いい気持ちにさせあうの。それで、男なら射精で敗北、女ならアクメで負け。敵は全員女の子で、モンスター娘も混じってるよ。主人公が女だったらレズ勝負、男だったらガチのセックスで、お互いに性的な攻撃で勝負する。主人公は、相手の女を絶頂させた分だけ強くなり、レベルも上がる。だから、気持ちいいのはガマンして、イッたら負けのロールプレイングゲームってわけ。」
「だからもう、戦闘は始まってるんだよ。そして、戦闘開始からは、どっちかがイかないと泡に包まれて出られないようになっているんだよ? 本来は敵女は1人なんだけど、改造してあるから3人出現する。3人とも倒さないと出られないんだ。」

「そんな・・・」

 僕は狼狽した。

「ここはね、人間を”快感”で支配しようと目論む研究所。そして私たちは、その快感を与えるために用意されたメス兵器ってところかなー。」
「ウチらもう、自分が誰で、何をしていたかも忘れちゃったー。ただ女子高生で、年齢だけ分かってる。あとは……どうでもいいやー。だって、この研究所、めっちゃいい気持ちなんだもん! 一度イッたら、研究所のメインコンピュータの支配下に入って、何もかも忘れて快感だけを求めるようになる。主人公も性別に関係なく、女モンスターに改造されることになるよ。」
「たぶん、私たちは転送装置で無理にこの研究所にワープさせられたんだと思うけど、その後に女の子と勝負して負けちゃって、イッた瞬間に全部忘れちゃった。あとはエロいことだけ考えていつも発情状態、いつでも誰が相手でも気持ちよくしたい、気持ちよくなりたいだけ。さいっこー!!」

 なんてことだ……そんな設定だったなんて……

 だとすると、この研究所は、人類を支配し、思いのままに操ろうという目的でひそかに建設された、悪の組織ということになる。

「メインコンピュータは暴走。研究員たちは全員、メス兵器に絶頂させられて、女の怪物や私たちみたいな人間の娘に変えられたよ。あとはひたすら、研究を完成させて、兵器たちを人の世に送り込むだけ。くすくす……主人公は、それを食い止めるために造られたクローン人間ってことになってるけど、何人も何人も、男も女もイッちゃって、ウチらの仲間入りになってるだけだよ。」
「でも安心してね。これは仮想現実の実体験ゲームだから、射精しても現実に引き戻されるだけだからね。……あ、キミはダメだったね。上野部長のチート改造によって、田中君は何度射精しても、すぐに蘇生できるようになっているから。」
「敗北してたらレベルは上がらないけど、長時間気持ちいい目に遭い続けることができるんだから感謝してよね~!」

 だ……だまされ……た……

 完全に部長に騙されてる! 普通のゲームだと思ったし、敗北したら現実世界に戻れるものだったのを、肝心な説明はしないし、おかしな改造はされているしで、ムチャクチャになっている!

 こんなゲーム、いますぐやめてやる!

「~~~~~ッ!!!」

「無駄無駄ァッ! いくら力んでも、上野部長が設定した時間までは、この世界からは出られないんだから♥ 時間は知らないけどね。」
「えっちな戦い、ちゃんと愉しみなよー?」
「エンカウントしたら、セックス以外できないんだから、観念しなさいよー。」

 くっそ……だめだ……。何度射精したとしても、その都度蘇生してしまい、またこの研究所を彷徨うことになる。自分でゲームを中断することもできない。部長が設定した時間が来るまでは、この恥ずかしい快感の世界から決して出られないんだ。もうどうすることもできない。このお姉ちゃんたちが敵で、性的な営みそのものが戦闘になるなんて。しかも、勝負が絶頂したかどうかで決まるルールとは!

 しかしなにより、こんな恥ずかしい思いをしながら、仮想現実なのでどこか開放的な気分にさえ、なってしまう。普段の澄ました自分とはまったく違う、性的な自分というものを思い知らされる。もう、この異性への興奮を、そのまま出してやっていくしかないなんて。それも、快感に負けず、耐え抜いて、相手をイかせて倒す必要がある。そうしないとレベルも上がらない、射精ばかりする、ただの男子中学生になってしまう。

 でも……一体どうすれば……

「というわけで攻撃してよ?」
「はやくー!」
「一緒に気持ちよくなろうよぅ!」

 女学生たちは僕の手を引き、自らの乳房や股間に、遠慮なく導いていった。彼女たちは下着を身につけておらず、体操服から乳首の突起がハッキリと見て取れる。彼女たちはその突起を体操服の上から触らせるやいなや、すぐさま首のところから僕の手を滑らせ、じかになまおっぱいを触らせてくる。布越しの乳房と、じかの肌触りとで雲泥の差がある。しかしそれでも、やわらかな弾力に変わりはなかった。

 女子高生たちの急激な動きに、戸惑うヒマさえも与えられない。僕は、突然自分の手のひらに襲いかかる、彼女たちの肌や肉の弾力を、強制的に味わってしまっている。少女たちは僕の手首を掴んで、有無を言わさずにオッパイや……オンナさえも、簡単に触らせてくるのだ。どこを触ってももちもちスベスベで、心地よい感触が手のひらに伝わってくる!

 両手を支配された僕は、18歳娘たちの身体のあちこち、特に乳房と股間を触ってしまう。手を揺り動かされ、そういう発達したきわどいパーツを撫でさすらされ、揉まされていく。お尻も内股にも脇の下にも、僕の手が滑っていった。

 この研究所世界では、女は首から下に毛が生えないようになっているらしい。処理されたというより、完全に毛根から何も生え出てきていない。そしてそのきめはとても細かくできていて、オンナもワキもツルツルなのだ。それだけに、秘部の感触は滑らかで悩ましく、出っ張りやワレメのあちこちがイチイチ詳細に手や指に伝わってくるのだった。

 彼女たちは僕からの性的攻撃を待ち望んでいるのだろうか。性的攻撃とはここでは、相手の女性に快楽を与えることだ。挿入や愛撫攻撃で、敵女を絶頂に導かなければ、勝利は得られない。その前にこっちが射精してしまったら、敗北となってしまう。自分は快楽を我慢して、相手には快感を与え続ける。つい気持ちよくなってしまいたいところを耐え抜くのが”闘い”となるのである。

 しかし……僕にはそういう性の知識はまるでなく、保健体育の授業も適当に受け流してしまっていて、快感もメカニズムもまるで分からない。欲望の営みの理由も意味も分かりはしない。

 これまで、単純に内からこみ上げる衝動に耐えかねて、秘密のオナニーをし、同年代の少女たちを思い浮かべては機械的に絶頂するだけだったけれども、いざ本当にセックスや愛撫といった行為に及ぶとなると、何もかもわけが分からなくなる。ただただ、相手の身体やパーツに対して、興奮して胸が高鳴り、我を忘れていくばかりだった。

 当然、愛撫の仕方なんて、まったく知らない身だ。見よう見まねで胸やヒップを揉んでみたり、オンナ表面を指先でこすったりくすぐったりをくり返す。異性が感じるポイントなんてぜんぜん分からない。しかも、両手首を捕まれた状態で、腕を引くことさえできずに、結局手や指を動かしてきわどいところを愛撫させられているだけなんだ。

 その状態では、セックスバトルにほとんど役立たない。まるで女子高生たちに快感攻撃など与えられるはずはなく、むしろそのやわらかでみずみずしい女体の良さを思い知らされてしまうばかりだ。吸いつくようなむっちりした感触は、年上の成長した肢体の心地よさをたっぷり具えている。触るほど揉むほど、むしろ僕の方がどんどん興奮し、欲情を極めていってしまうだけになる。

 しかし、彼女たちはまったく意に介さず、行為をエスカレートさせていった。クスクス笑ったり、興奮のあえぎを短く出したりし続けながら、少女たちは身体をくねらせていく。彼女たちも、上手ではないけれども異性に触られている心地よさを、少しばかり味わい始めたのだろう。

 設定上、この研究所で絶頂してしまった人間は、女の子やモンスターに変えられ、セックスの快楽のことしか頭になくなってしまう。中には勝負と思って快楽を堪えようとする女の怪物もいるだろうけれども、たいていは性感に忠実になってしまっていて、自分が快感ダメージを受けることをそれほど意に介さないらしい。緩みきった精神で、レベルの高い主人公に倒された女は、いっぺんに何回も絶頂し続けるらしい。

 彼女たちはまったくそれで構わないんだ。イッても気を失うだけで、すぐに気がつく。そしてまた、セックスだけを求めて、この迷路のような研究所を彷徨うか、メインコンピュータに呼び出されて別の場所に瞬間移動させられる。瞬間移動してしまえば、そこには必ず性欲のはけ口がいるということだから、敵女たちは嬉しくてたまらず、すぐさまその相手に襲いかかってくる。

 相手が男だろうが女だろうが問題ない。同姓ならレズ勝負になり、異性なら精液を奪えばいい。そしてこの研究所では、どれほど多くの精をその膣に吸い上げようとも、決して着床が起こらないようになっているようだ。妊娠の心配もなく、相手を選ぶ必要も感じないので、敵女たちは誰を相手にしようともお構いなしに、性行為に及び続けるというわけだ。

 敵女からすれば、自分がイッてしまっても、主人公には次から次へと別の女たちが送り込まれて、いずれほぼ全員が射精・アクメの憂き目に遭うのだから、快感のトリコになってもまるで問題ないということになる。みんながそうするために、現実でのバトルよりはややイかせ易いのが、この研究所の女性たちの特徴なのではあるが、それでも敵女が多すぎ、研究所も広く道が長すぎるために、結局冒険者たちは快感に打ち勝てず、女たちのさまざまな性感攻撃に敗れて果ててしまうのだった。

 興奮した女子高生たちは、どんどん肌をあらわにしていって、みんな上着の体操服を脱ぎ捨ててしまった。ただでさえ、お腹も脇も露出されていた娘たちが、こんどは乳房をも丸出しにしてしまっている。ブルマ以外は何も身につけずに、彼女たちは僕の腕や脇腹、顔面に、容赦なくそのふにふにした上半身を押しつけてくる。

 それでも彼女たちは、決してブルマだけは脱がない。それがアイデンティティというより、変則的すぎるこのブルマこそが、スポーツタイプ女子高生たちの売りであり、相手の男の性欲をいや増す武器になっているからだった。制服タイプの大人しい感じの清純女子高生は、裸になっても差し支えない。

 彼女たちはブルマを脱がなくても、セックスに支障がない。ブルマの下にも何も穿いていないので、実質それがパンティ代わりだ。生地も薄い。露出度が高く、指でつまんだら生地がめくれ、ヒモパン同様になってしまう。だから少しだけ生地をずらしさえすれば、彼女たちはすぐにでも、そのワレメを露出させることができた。きっと、このブルマのまま本番行為にも及ぶのだろう。そのことが僕をさらにドキドキさせてしまう。

 僕は狭い泡の中で、セックスが許された世界にいる。ここでは性行為に対する背徳性はいっさいなく、性別も年齢もタブーがない。自由すぎるがゆえに、快感そのものが武器になり、手段になる。人間は快楽のためにならなんでもするし、それを抑えようとすればつらい辛抱を強いられる。快感が強ければそれだけ、遠ざけられると七転八倒するし、近づけば狂喜乱舞に理性を失う。この研究所は、そういう人間の本能に付け込んだ悪夢の支配手段、人間のコントロールを研究していたのだ。その最大の快楽こそ、有性生殖の宿命、すなわちセックスにほかならなかったのである。

 それでも僕の方は、セックスそのものの知識などほとんどない。ただ異性に興味を抱き、自分で慰めては射精する快感だけを知っている。シチュエーションがどうとか深く考えずに、目に焼き付いた女の子たちの肌、特にその生足に惚れ込み、それを思い返し続けては、ペニスの先端を揉んでイクまで刺激し続ける。その程度のことしか、性については深入りしていなかった。恥ずかしすぎて、深入りしようとしなかった。それが、まさかこんな形で徒になるなんて。

 その女の子の脚が、しかも年上高校生の太ももが、じっくり僕の両足を滑り続け、僕も両足を動かしては、自分から彼女たちの素足の感触をスリスリ愉しんでしまっている。異性の生足の快楽に酔いしれ、あこがれていた感触が、じかに味わえているんだ。これまでオナニーしていた少女たちの脚を脳裏に強くフラッシュバックさせながら、じっさいには別の女性たちの生足にこすられている。その倒錯感もまた、僕を高め続ける役に立っている。

「ほんっと、この子。脚が大好きなんだね。知ってたけど、ここまでくるともうフェチかなんかだよねー!」
「ほれほれ~。おねえちゃんたちの、きれいな素足って、すっごい触り心地イイでしょー? いっぱいスリスリしてね☆」
「そろそろ時間だね。じゃあ、今度はお姉ちゃんたちのターンだよ!?」

 女子高生たちはついに、”反撃”を始めてきた。僕の攻撃をわざと防御もせずに受け続けても、こっちに攻撃力がほとんどないのを知っているし、気持ちよくなっても構わなかったから、彼女たちは余裕綽々だった。そして少しだけ待って、あとは一方的に3人がかりで僕を攻撃し、精液を奪う腹づもりだったんだ。

 初めのうちは僕も逃げよう避けようと必死だったので、そして僕自身がセックスバトルそのものを知らなかったために、本気で快楽を与え合う段階にこぎ着けるのに手間取ったようだが、一度こじ開けてしまいさえすれば、あとは簡単なことだ……きっとそう考えているに違いない。

 彼女たちはいつごろ、この研究所に飛ばされてきたのだろう。自分たちでさえ、まったく覚えていないことだ。飛ばされてきたときには理性的だったし、家のこと、学校のこと、親のことなど、いっぱい心配なことがあり、異世界で不安を強く抱えていたことだろう。それをこじ開けるために送られてきた敵女たちに、今の僕と同じようにセックスバトルのことを聞かされ、逃げることもできずに闘わされたのだろう。

 そして、女子ゆえにガードが堅かったはずだが、執拗な同性の指、舌、そしてオンナ同士貝合わせ攻撃が長時間続けられ、何回か勝利しても何人も何回も同じようなバトルに晒されて、結局耐えきれずに、性欲に負けてイッてしまったんだ。そのあとは、研究所の仲間へと洗脳され切り、ここにいるかぎりは決して年を取らないので、いくらでも性行為に夢中で耽り続けてきた……いまもそうしているというわけだ。

 その間、一体何人の男たちを、その身体で射精させてきたのか。女の子でも容赦なくマン肉でこすって腰をクネクネいやらしく動かしてはイかせ続けてきたのだろうか。性別も年齢も関係ない。相手の男が少年だろうと、僕のような中学生でも、同年代男子でも、おとなのオトコでも、おじさんでも構わなくなっている。要はそのペニスから精液を吐き出させるか、精通がまだならビクビクと律動させてやればいいだけ。それ以外の目的は与えられていない。彼女たちは快感のためだけに動き、快感を求めてはイキ続け、その途中で大勢の精を奪い続けてきたのだ。

 だから、ペニスから精子を吐き出させるために必要な知識や技術はきちんと揃っている。手でも口でも脇の下でも、お尻でも、もちろんオンナでも、ぬるぬるこすってペニスをしごいてやれば、いつかは果ててしまう。それも、若くてピチピチしたハリのある全身を具えているのだから、どの武器でも男を堕とすことが容易だったはずだ。ただし、どれほどの精を身に受けても、”女子高生レベル3”というのは変わらず、別の敵に転生でもしなければ、強くなっていくことはなさそうだ。ただ方法・手段を知り尽くしているのは間違いなかった。

 反撃が始まると、ほとんど一気呵成だった。彼女たちは3人とも上半身裸、下はブルマ一枚だけで、僕にさらにしがみつき、つるんと足を滑らせる。タイミングを合わせると、彼女たちは雪崩のように倒れ込む形になる。ちいさな僕の身体ごと、4人は床に倒れ込む。3人がかりで押し倒されたんだ。泡に包まれているので、物理的な衝撃は吸収されてしまう。

 目の前にいた女学生が突然、包茎のままの勃起ペニスを、自分の内股に包み込んでしまった! ガードする暇もなく、脱出もできなかった。真後ろにも別の女学生がぴったり貼り付いていたために、僕は腰を引くに引けず、掴まれたペニスは1,2秒で、あっさりと生足の間に挟み込まれてしまったのだった。早業過ぎて、何も対処できなかった。

 ぎゅみっ・・・

「んああ!!」

「やったね! 気ー持ちいーいでしょー・・・」
「女子高生の太い脚に包まれちゃってるんだから、どんなチンチンも耐えられないはずだよ♥」
「んっ……んんッ……んふっ……」

 性欲の抑制や、快感を我慢する方法さえ分からない14歳の僕は、そのあこがれていた素足の肉厚な感覚にすっかり魅了されてしまい、我を忘れてしまう。あんなに毎日のようにオナニーの相手にしていた女の子の脚は、やはり想像以上の心地よさだった。ツルツルでもっちりとペニスに貼り付いてくる。自分の脚にこすれるだけで天国なのに、よりによってじかに、ペニスをなまの内股に挟み込まれ、強く締められてしまうとは。その心地よさは、自分で握るよりもはるかにいい気持ちで、やわらかくとろけてしまうような安心感さえ伴っていた。

 僕は射精を我慢するべきであることさえも忘れ、何がどうなってもいいとさえ感じてしまっていた。そして、自分から腰を前後させ、ペニスを内股にズリズリとこすって、その吸いつく肌触りをじかに味わい続けた。何もかもどうでもよくなってしまい、太ももを使ってしごいていくペニスの快感に、いつイッても構わないと夢中になってしまう。

 真後ろにいるおねえちゃんも、僕にギュッと抱きつきながら、自分の腰を激しく前後させて、僕の腰を背後から動かし、ピストン運動をさらに速く深く強めさせてくる。僕は自分でも腰を止められなくなり、後ろの娘からも強要的に前後させられて、ペニスを快感一色に染め上げてしまった。むちむちの太ももは容赦なく閉じられ、小刻みに揺すられて、きめの細かい白い肌触りをがっちりとペニスに刻み込んできた。

 3人目の娘は、僕の腕や上半身を撫でさすりながら、ひたすらキスの嵐だ。僕の唇は、彼女にずっと塞がれ続けてしまっている。

 女子高生たちは、きっと3人がかりで1人の男を、交代でスマタ攻撃したり、ときおり挿入を交えたりしながら、その若い肉体に精液を吐き出させるまで、このサンドイッチ体勢を緩めないで、何人も絶頂させ続けてきたのだろう。だが、僕はもう、交代という概念そのものが必要ないようだった。

「むぐうっ!!」

 びゅぐっ! ぐぼおっ……びくぴくびくん・・・

 濃い体液が、少女の股の間からこぼれていく。勢いよく精液が飛び出していったけれども、肉厚の女子高生の脚に邪魔されてしまって、彼女の後ろ脚からは、ゆっくりと滴るような白濁液になってしまう。それだけ、精液は内股の中でせき止められ続けていたのだった。

 仮想現実で許された世界であることに油断し、また、18歳のお姉ちゃんたちの活発な肉体の感触に負けた。数分もかからなかった……いや、文字どおり秒殺の世界だったのかも知れない。僕は女子高生ブルマ娘の太ももの間で、精液を吐き出してしまったのだ。セックス勝負は完全に、完膚なきまでに僕の敗北だった。

 ぶるるっ……

 イク快感がずっと僕を支配し続け、何秒間がとても長い時間のように感じた。僕の射精に気づかない後ろのお姉ちゃんは、しつこく腰を動かして、ペニスをムリヤリピストンさせ続けた。

「あはっ☆ イッたよー!?」
「やっぱり性欲が出始めた14歳ならこんなもんだよねー」
「かーわいいっ!」

 3人が交代でキスしてくる。そして少女たちは、ゆっくりと僕の身体から離れていく。ベリッ、べりりっと、くっついていた肌が名残惜しむかのように音を立てて離れていった。

 ぐちょお・・・

 ブルマ娘が片足をあげると、あんなに肉付きの良かった内股にへこみができる。そのへこみに、今しがた出されたばかりの大量の精液が、しっかり溜め込まれていた。彼女の後ろ脚に溢れたのはごくごくわずかだった。

「ね、お姉ちゃんの太もも、気持ちよかった?」
「良かったよねー! こんなにいっぱい出してるんだもん!」
「ウチらの勝ちだね☆」

「うぅ……」

 急激な脱力感と眠気。ああ……そうか……敗北した主人公たちは、きっとこんな気持ちで最期を迎えていたんだろう。お尻の奥からツーン!と突き上げてくるような、性欲のくすぐったい疼きを感じる。気持ちよさが持続しているようで、もっともっとと欲しがるような、いじきたない劣情が全身に拡がっていく。主人公たちは、その天国のような快楽の中で、気を失い、記憶を失い、何もかもがどうでもよくなってしまう。

 あとは、精神はすべてメインコンピュータの支配どおり指示どおりだ。我を忘れて性欲の限りを尽くすだけになる。女の子や少女モンスターに変身させられて、同じように男たちを襲う怪物になってしまうのだ。それが……こんなに心地いい境地だったことは知らなかった。


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