性霊の棲家9

 

 ビクビクビクッッッ!!!!!

 強烈な脱力感に襲われ、僕はまたもや夢から覚めた。汗をびっしょりかいている。断片的にだが、夢を覚えている。何かひどい、最悪の男がいた。そう、佐藤とかいう名前だったな。女性と口論していた。内容は覚えていない。女性の名前は…えっと……。だめだ、名前は思い出せない!

 今のは、只の夢なのか?それとも幽霊が見せたのか?何も分からない。とにかく体がだるい。佐藤。そいつの名前だけが浮かんでいた。顔、顔もうっすらと覚えている。見た事のない男だった。鼻の頭にほくろがあった。黒ブチの眼鏡をかけていたような気がする。ああ、それにしても体が重い。まるで金縛りにあったまま無理やり動いているような気持ちだ。

 何とか上半身を起こしてみる。側にあった手鏡で自分の顔を見る。黒ずんでいる。目の下のくまがひどい。額だけが異様に赤くほてっているのが分かった。変な病気にかかっちまったかな。

 その時、自分の顔が急に血まみれの女性の顔に変わった!そして女性らしからぬ、どすの利いた、低くくぐもった声で、僕を睨みつけながらゆっくり言った。

 「あたし、あきらめないわよ?」

 「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!!」

 僕は絶叫し、そのまま気を失った。

 …。

 気が付いたら、外はすっかり明るくなっていた。夕べの事を思い出しただけでも鳥肌が立つ。やっぱり性霊の本拠地というだけあって、ドリアードを追い払ったお守りも効果が薄いのか。いや、そもそもお守りはどこへ行った?

 かばんを探してみる。ない。そうだ、中身を机に全部ぶちまけたんじゃなかったかな、いや、帰ってすぐ寝てしまったから、まだ洋服の中にある筈だ!

 ポケットを探ってみる。ない。寝ている間にどこかへ行ってしまったか。布団をめくって探してみる。あった!と、言いたい所だが、お守りではなかった。何かヨレヨレの紙切れだ。拾ってみると、「お守りの効果は一日だけ。残念でした〜。石川かりん」と書いてあった。お守りの効果が切れて、紙切れ一枚だけが残ったのだった。あのアマ、どこまでもナメくさって!

 そうだ、今日は石川かりんと仲間の大沢幹久さんが来るんだった。とりあえず石川は殴ろう。話はそれからだ。

 っと、部屋が全然片付いてねーな。簡単に掃除だけでもしておこう。石川の為じゃなくて、大沢さんの為に。

 散らかっている物体どもを押入れに押し込み、ざっと掃除機をかける。洗濯機を回し、布団も干す。2時間程であらかた片付いた。これで来客があってもバッチリだな。時計を見ると、午後2時を過ぎていた。

 「それにしても遅いな。そういえば何時ごろ来るかって聞いてなかったな。夜かもしれない。」ま、気長に待つ事にしよう。

 って、このアパートは性霊の棲家だった!やばい、お守りもないし、どうやって自分の身を守ろうか?!

 やっぱりアパートを離れるのが一番だろう。あ、でも出かけている時に大沢さんが来るのもまずいな。ここは離れられない。どうしよう…

 とにかく、余計な事はしないのが一番だ。テレビを見れば変な映像を見せられるし、パソコンの電源を入れればアニメの世界に連れて行かれる。風呂に入れば犯されるし、寝ると悪夢を見る。じゃあ、横になってごろごろしてるのが一番だな。

 僕は畳の部屋で横になった。たっぷり寝た(気絶した)おかげで、眠くはならなかった。それにしても退屈だ。

 なんか腹が減ったな。今日は何も食べていない。何か食べよう。

 台所に行く。ラーメンでいいや。

 「お帰りなさい、あなた!」

 台所には既に先客があった。何かがナベでコトコト煮込まれている。たちまちおいしそうな匂いに包まれた。

 「…誰?」

 「誰はないでしょう?わたし達昨日結婚したばかりなのに。」

 料理をしている女性は、新婚さんらしい。んで僕が夫という設定のようだ。彼女はエプロンをしていたが、それ以外は裸だった。本当の新妻だったら、裸エプロンもいいかも知れないが、今の状況はイヤだ。

 「頼むから消えてくれないか?」

 起きていきなり性霊に遭遇するとは、やっぱりこのアパートは呪われてるんだなあ。

 「もうすぐご飯できるからね♪」まるで聞いちゃいない。

 「後、お風呂の準備もできてるわよ?ご飯になさる?それともお風呂?それとも、わ・た・し?」

 「もーいいや。」

 「何よその呆れ顔は。あっちょっとどこ行くのよ!」

 僕は食欲も失せて畳の部屋に戻った。また横になる。何も見なかった事にしよう。でもハラった。

 暫くして、もう一度台所を恐る恐る覗いてみた。

 誰もいない。色情霊は消えてくれたようだ。台所に入る。とりあえず水を飲む。冷蔵庫から肉を取り出し、卵を取り出す。あとキャベツも必要か。ラーメンだからね。

 「つーかまえたッ!」

 「うわあっ!」

 さっきの裸エプロンの女が、またあらわれ、後ろから僕に抱き付いて来た!と同時に、僕は金縛りにあったように立ったまま動けなくなった。

 「料理ならわたしがしてあげます。」

 「じ、自分で作るからいいよ!」

 「だぁめ。あなたはおとなしく料理されなさい。」

 僕が料理されるんか!裸エプロンは後ろから僕の股間をまさぐった。料理ってこういう事だ。

 さわさわさわ…。絶妙な指使いがズボン越しに伝わって来る。いかん、ここで感じてしまったらまた性霊の餌食にされる!僕は快感に耐えながら、何とかこの状況を打開する方法を考えていた。

 ああそうだ、石川が男子トイレで呪文みたいの唱えていたな。僕もアレを真似してみよう。

 「ええい、悪霊退散!オン・バサラ・キャットクウチュウサンカイテン!」僕は後ろから抱きつかれたまま、必死で念を送った。

 「…なにそれ。」彼女にはまったく通じていない!呪文が間違っているのか、それとも悪霊退散には何か特別な修行が必要なのか?!恐らく両方だろう。そうだ、キャットクウチュウサンカイテンは石川が間違えたんだった。正しくはなんだったかな。思い出せない。いや、思い出したとしてもこの性霊に通用するか分からない。

 「もしかして、わたしを退治しようとしたの?そんなヘンテコな生兵法で?」「うう…」「そんなのでわたしが消える訳ないじゃん。そういう悪い子にはおしおきが必要ね。」「あああ!」

 僕の体がひとりでに動いている!完全に新妻幽霊に憑依され、肉体が操られているのだ!

 僕はくるりと向きを変えた。裸エプロンが後ろを向いて待ち構えている。「さあ、来て。今ここで、思いっきり突いてッ!」僕は自分の意志とは関係なく服を脱いで行った。ペニスは既に彼女の手と憑依でいきり立っている。そのまま彼女ににじり寄り、後ろからペニスを挿入した!

 「ぁぁぁ!」柔らかいオンナとお尻が僕の下半身を包み込んだ!僕の両手はそのまま彼女の胸を後ろから揉みしだいている。スベスベの背中が僕のお腹から精気を吸い取る!挿入してすぐに僕は彼女のオンナに精液を放出してしまった。我慢しようとか、イッてはだめだと思っていても、体は完全に裸エプロンに操られている。射精するもしないも彼女の自由となっている。

 射精したにもかかわらずペニスは萎える事はなく、そのままオンナの中で前後に動き続けている!イッたすぐ後の倦怠感と、かすかな痛みと、そして強烈な快感が、僕の精神まで犯してゆく!

 裸エプロンの方も、荒い息遣いで、細い肢体をくねらせている。それがますます僕の性感を高めた。

 「ああ、また出るっ…」

 二度目の射精をしそうになったとき、僕の体は彼女から離れた。ペニスは精液を出したがってビクビク脈打っている。ガマン汁が次から次へとペニスの先から溢れ出して来た。

 「イキたい?」正面を向いた彼女は、上目遣いに、しかもいたずらっぽく笑って、僕の顔を覗き込んでいる。

 体は射精したがっていた。自由に動く事はまだできない。だが、精神まで完全に支配された訳ではなかった。これ以上犯される訳には行かない。

 「あっそう、イク気がないの?」「もう、やめて下さい…」「じゃ、もっとすごい事してあげる!」

 裸エプロンは、今度は正面から僕のペニスをくわえ込んだ。ふたたび快楽に包まれる。

 「ああイイッ!で、出る!」

 「だめよん。」射精寸前で、裸エプロンは僕から離れた。僕は寸止めを喰らって、快感と苦痛に身を捩じらせた。

 「イキたいんでしょう?あなたが自分の意志で射精しようとするなら、わたしの中に出させてあげる。どお?わたしの夫になる?」

 僕は首を横に振った。性霊の軍門に下って快感の虜になるのだけは避けたかった。が、その意志に反して体の方は苦痛にあえいでいる!

 だがそれでも暫くガマンすれば段々楽になって来る。

 「ふふふ。そうは行かないわよん。」男の体を知り尽くしているのだろうか、僕が耐え抜いたとたんに裸エプロンはすぐさま僕の体を弄び始めた。萎え始めたペニスをしっかりと握り、すばやくしごきたてる。僕が出しそうになると、パッと手を離す。

 舌、手、オンナ、その他さまざまな部位を使って、裸エプロンは僕を責め立てては寸止めを繰り返した!その度に僕の理性はどんどん奪われて行き、「射精したい」という思いが段々強くなって行った。

 「ああ、お願いです、もう出させて下さい!」ついに耐え切れなくなって、僕は裸エプロンに懇願し始めた。

 裸エプロンはそんな僕の言葉を無視して、バックで挿入した。そのまま前後すると、1、2秒程で射精間がこみ上げて来た。愛液とガマン汁が混ざり合って、大量の粘液が僕達の下半身をビショビショにしている。もうガマンできなかった。

 「もう許して!」僕は発射準備に入った。「あン・イカセてあげなぁい♪」すかさずお尻を離す。「うああ…」「でも気持ちいいんでしょ?ほらほらっ!」今度は手コキ。「うわあああ…」「あなたはわたしのものよ。いいわね?」「ハイ!僕はあなたのものですぅ!だからお願い!」「お願い『します』じゃなくって?」裸エプロンは手を離して、1メートルくらい遠ざかった。「お、お願いしますっ!お願いいたしますっ!」

 もう僕には理性が残っていなかった。完全に彼女の言うなりになっていた。もう僕に抵抗する意志がない事を確認すると、裸エプロンは冷たい微笑を浮かべたまま僕に近づき、僕のペニスを握り締めた。

 「それじゃあ、忠誠の印として自分で腰を動かして、わたしの手の中でイキなさい。」

 たまらずに僕は腰を前後させた。彼女の手の中でペニスが前後する。さんざん焦らされたので、僕は既に限界だった。

 「あひいいいいい!!!出ますぅぅ!」そのまま彼女の手の中に数秒間かけて射精した。限界まで溜まっていたので、濃いのが一気に沢山出た。

 「はうう…」すべて出し尽くした事で極度の脱力感と疲労感が僕を遅い、立っていられない程だった。そのまま床に座り込んでしまった。

 「じゃ、これからあなたはわたしの言う事聞くのよ。台所ではわたしに逆らわない事。いいわね。」「…はぁい…」

 もう自分で何を言っているのか分からなかった。意識が朦朧として来た。僕はそのまま、床に仰向けになり、気を失った。

 何時間経っただろう。夕日の眩しさで目が覚めた。ゆっくり起き上がる。誰もいない台所から出て、畳の部屋に戻る。再び横になる。何もやる気が起きない。ひどく疲れている。

 性霊に犯され、相手に気を許すと、こんなにも体力を奪われてしまうんだ。それまでは何とか抵抗して来た。が、快感の虜になってしまうと、精気を吸い取られてしまう事が分かった。

 いかん、このままここに住んでいたら、あっという間に殺されてしまう。台所の女には負けたから、あそこは危険地帯となった。足を踏み入れたとたんに精力を抜き取られる。できるだけそこには行かない事にしよう。大沢さん達が来るまで。

 これで安全なのは、この畳の部屋と、トイレと、…いや、改めて大変な事になっているのに僕は気づいた。

 このアパートは、玄関からすぐに台所だ。トイレと風呂も台所に付属している形だ。この畳の部屋にはパソコンとテレビがあるが、両方とも危険だ。

 つまり、今いる部屋以外、全部危険だという事になる。トイレに行くにも台所を通るから、どうしても台所には足を踏み入れなければならない。そもそも玄関から出入りするだけで台所に足を踏み入れる訳だ。

 やばい、まじでやばいぞ。裸エプロンに犯された事で僕は追い詰められたのだ。

 早く来てくれ大沢さん!外はもう薄暗い。いつ来るんだろう?

 そうこうしている内に喉が渇いた。トイレにも行きたい。だめだ、生理現象には勝てない。この部屋で何もせずに篭城している訳にも行かないのだ。

 僕は恐る恐る台所の片隅を、背中を壁につけながら、そろりそろりと歩く。そのままトイレに素早く入る。ここまではセーフだ。どうやらトイレには性霊は住み着いていないようだ。

 さて、トイレから出て水を飲む訳だが、どうしようか。

 …やっぱり猛ダッシュで水道の蛇口をひねって一気に水を飲み、そのままダッシュで畳の部屋に駆け込む作戦が一番だろう。

 僕はトイレのドアを少し開け、ダッシュのタイミングを伺っていた。

 ぴゅううう!!

 「ヒャッ!」

 突然お尻の穴に生暖かい水を感じた!このアパートのトイレには水でお尻を洗う設備が付いていたのだった。女子学生に配慮したのだろう。でも僕はペーパー派なので、一切使っていなかったし、使う気もなかった。もちろんウォシュレットのボタンを押してなどいない。ひとりでに機械が作動したんだ。

 と同時に、僕はまた体の自由が利かなくなった!しまった、また性霊か!

 水は強い流れで僕のお尻の穴を舐めまわす。体はこわばっているのに、お尻だけは脱力していて、水の攻撃をダイレクトに受け入れてしまっている。そのくすぐったさが性的快感に変わるまでさほど時間はかからなかった。

 「はうう…」いかん、ペニスが反応して来た。水流はお尻の穴を洗ったり、前の方に来て玉袋を直撃したりしている!間違いない、性霊の仕業だ!トイレも安全地帯じゃなかったんだ!

 上から、逆さの女の顔が降りて来た。こいつが本体か。

 「ひいいい!」僕はあまりの恐怖に震え上がった。その女には体がなかった。生首だけだった!不気味に微笑む美女の生首。僕の顔の前に来ると、くるりと首を回転させた。顔だけはキレイだが、首から下がないのが不気味だ。

 ろくろ首は浮遊しながら僕の下半身に迫って来る!僕の体は便座に腰掛けたまま動かない。水は相変わらず後ろから僕を責めている。

 ついに生首は、僕のペニスをしっかり捉えた!ヌメヌメした口の中にすっぽり納まった!別の生き物のような舌が、上へ下へ奥へと粘液の中を這い回っている。

 はじめのうちはゆっくりと、しかし段々スピードを上げて、生首が前後に動き出した。オンナの中とは一味違う快感が、僕の脳内を駆け巡る。

 「うああ!」そうしている間にも、お尻と玉袋には巧みに水が噴射され続けている。亀頭がろくろっ首の内頬にこすり付けられ、粘液が滴り落ちる。

 あっという間に、僕は生首に食料を提供してしまった。ウォシュレットも止まった。

 体の自由が戻った。僕はこれ以上イカされるまいと、立ち上がって両手で生首を持ち、前方に引き剥がそうとした。だが、ペニスに吸い付く首はビクとも動かない!出したばかりなのに、なおもろくろ首は『体』を前後させて来る!

 「!」

 水は止まった筈。というより立ち上がっているのでお尻に水の感触はないはずだ。だが、たしかに僕のお尻の穴に、何かが絡み付いている。

 振り返ってみると、ショートカットの生首が僕のお尻に張り付いていた!前方の長髪の美女だけではない。トイレには二体の性霊がいたのだ!

 後ろの彼女は巧みに舌を伸ばし、僕のお尻の穴を丁寧に舐めている。そして前の彼女が、ペニスをくわえ込んだまま今度は強烈なバキューム攻撃を仕掛けて来た!

 「はああ!!」

 僕はガクガクと震えた。下半身には二体のろくろ首が張り付いて離れない。僕は前後から押し寄せる快感に身を捩じらせた。

 やがて後ろの舌は、お尻の穴の周りをまさぐるだけでなく、その奥深くまでねじ込まれる!さっきの水はココを念入りに洗浄していたという事か。

 快感に耐えようと腰を引けばお尻が後ろの色情霊に晒されるし、お尻の敏感な攻撃を避けようとすれば前の邪淫霊のディープスロートが待っている。僕は腰の落ち着け所を失いながら前の女性の頭部を両手で抱え、スムーズなしごき攻撃に合わせて両手を前後させた。

 じゅぼぼぼと音を立ててお尻が嘗め回され、舌が蠢く。ペニスは素早くリズミカルな動きで唇と舌に翻弄されている。ごぼぷっ!ペニスをくわえているろくろっ首の口から大量の粘液が分泌された。それが彼女の口の中のぬとぬとを増し、僕の感度をどんどん高めて行く。その上でものすごい勢いで生首が首を振り続けるのだった。

 「ああ、もう!もう出るっ!」

 両手で長髪の生首を押さえたまま、僕はまた口の中に発射してしまった。そこでやっと二つの首は僕を離してくれた。そして優しく微笑み、スゥっと消えていった。「トイレに入る度に吸ってあげる」という言葉を残して。

 汚物を流そうと振り返ったが、ウォシュレット攻撃のおかげで便器はきれいになっていた。こんな事を繰り返していたら、水道料金がいくらになる事やら。

 いや、そんな事を心配してる場合じゃないぞ!このまま大沢さん達が来てくれないと僕はいつまでも抜かれるまま射精させられてしまうことになる。大ピンチだ!

 待てど暮らせど大沢さん達は来なかった。3日程経ったけれども、連絡一つ入らなかった。僕にとってはたった3日の遅れでも致命的だった。そう、このアパートに巣食う性霊達との「共同生活」は。

 朝起きる。必ず誰かが添い寝している。一人の時もあれば、2,3人で出る時もあった。起き抜けの朝立ちを利用して、まずは一戦。人数分は最低でも抜かれる。

 食事や皿洗い等が終わると、台所の裸エプロンの女が相手をしてくれる。トイレに入ればろくろ首が、風呂に入れば一昔前の二人組みが、僕の体を求めて来た。

 テレビを見れば妖怪「貞」に襲われ、パソコンをつければアニメの世界に引きずり込まれた。

 安全だった畳の部屋も、もう性霊達に占拠されている。学校の男子トイレに出てきた女の子達が、このアパートまで引き寄せられたためだ。トントン、とノックされた時は、大沢さん達が来てくれたと思い、喜んでドアを開けてしまったのだった。そこに立っていたのは、数人の女子学生だったという訳だ。

 彼女達は勝手に上がり込んで僕を両脇に抱え、畳の部屋に連れて行って、僕は何度もまわされた。夕方になると彼女達は帰って行った。逃げ場がなかった。他の部屋に行くともう性霊が待ち構えている。そして布団に入ると、既に先客がいる。
 

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