性霊の棲家1

 

 レオタード越しの彼女の体が僕にしがみつくと、まるで彼女の細胞が僕と融合して食べてしまっているかのようなとろける感じが全身を貫いた。彼女の毛穴から発散する香りが僕をセックスの虜にした。

 オンナはペニスをしっかりと包みこみながらまるで数百のナメクジに纏わり付かれているみたいにヒダが絡みつく。単にきついだけの締め付けじゃなくて絶妙なタイミングで収縮し、弱まったり強まったりを繰り返している。肉の感触もまるでミクロン単位でペニスの隙間を埋め尽くして細胞全体を刺激しているような弾力だった。

 その上彼女の意志でオンナがグニグニと自在に蠕動する!強く、また弱く、ペニスが揉みしだかれる。動いていないのにペニスが激しくあちこちかき回された。さらにオンナ全体がバイブし始めた。ゲームコントローラーのような大きく粗い振動からおもちゃのような細かい振動まで男が感じるタイミングで自在に切り替わっている!

 結合しただけでどんどん精液が吸い取られて行った。「こんなもんじゃないよ?そりゃっ!」サキュバスが座位のまま激しく動き始めた!同時にレオタードが消え、全裸のサキュバスの肌の細胞が男の体を快感一色に染め上げる。僕の背中は数人の美女に支えられ、グニグニとおっぱいを押し付けられるが、その心地よさでさえサキュバスの激しい責めの前には無きに等しかった。

 ペニスはさっきまでの強烈な刺激に加えてしごき効果と波打つ締め付けが加わり、休む間もなく射精が続いた。脈打ちが止まらない!ペニスがしごかれるタイミングが男の性感を刺激する最高の瞬間に合わせられている。自在でランダムに動いているようで瞬間瞬間必ず全身を感じさせるように仕組まれている。

 腰を落とすタイミング、持ち上げるタイミングは僕が一番気持ちいい瞬間に合わせられ、ひねり腰の角度や強さも方向も計算されていた。魔性のテクニックが僕を心の奥底までむさぼるのだった。ああっ、このままずっと搾り取られたい。このまま死んでもいい!

 「まだまだ!」サキュバスの尻尾が僕のお尻の穴に突き刺さる。うねりバイブする柔らかい棒状のものが直腸に達し、僕を内部からこねくり回した。サキュバスの乳首から白い体液がにじみ出る。僕は思わず彼女の乳首に吸い付いた。この体液がさらに射精感を高めた。

 「ほらっ、これはどお?!」サキュバスが僕を押し倒す。女性上位で僕の腰に手を回し、肋骨辺りをぎゅっと抱きしめたまま腰をグリグリ動かした。体位が変わると責めるタイミングも変わる。それが新たな刺激となって精液を呼び覚ますのだ。セックスに長けた魔物はどんな体位でも自在なのだ。

 彼女のおっぱいが僕のおなかを這い回るとおへそから快感物質が流し込まれているみたいに熱くなって来る。もちろんお尻もかき回されたままだ。

 「飛ぶわよ!」僕の体がサキュバスと共に浮いた。彼女の足が僕の腰に回り、下から僕を抱きかかえた。空中で妨げるものが何もなくなった所でサキュバスの腰が激しく前後に動く。パンパンと強い音が響いた。僕の腰がブランコのようにオンナから飛び出しそうになるのを彼女のふくらはぎが押しとどめる。

 「今度は…こうよ!」サキュバスが巧みに空中で体を捩じらすと、空中で「バック」の体勢になった。そのまま彼女はお尻をぐんぐん突き上げる。僕の腰はお尻の弾力に弾き飛ばされ、重力によってお尻へと押し戻される。お尻を突き上げるタイミングや強さも計算されていて決してペニスがオンナから外れるような事はなかった。

 「さあ…そろそろ全部絞れるかな?」また彼女は挿入したまま体位を変え、空中で向かい合って立位の体勢になった。ゆっくりと体が降ろされる。地上に着くと娘達が周りを取り囲んだ。

 サキュバスは僕の首に手を回しおっぱいを押し付けたまま腰だけを前後左右上下になまめかしく揺り動かした。片足がサキュバス自身を支え、もう片足ふくらはぎが僕のお尻をスベスベ擦っている。脱力して倒れそうになっている僕の体が全裸の女の子達のみずみずしい体で支えられる。

 「ああっ…もう…もうゆるし…て…」息も絶え絶えに僕は懇願した。どんどん気が遠くなって行く。本当に…このまま果ててしまうのか…。「さあっ!心身ともに出し尽くして逝きなさい!ほらほらっ!」

 ぶわっ!突然床から強い風が吹いた。「むっ!?」サキュバスが異変に気づいた。

 「悪霊退散じゃ。」風がどんどん強くなる!「きゃああ!」「ひいい!」「熱いっっ!」サキュバスが召還した女の子達が次々と風で上に吹き飛ばされる。その途中でちり紙のように女体が白く薄くなり、ちぎれ、次から次へと消滅して行った。

 一瞬のでき事だった。下から体育館全体に吹いた風が性霊達を吹き飛ばし、全員消滅させてしまったのだ。僕を抱きしめているサキュバスだけが影響がなかった。

 「おのれ…何ヤツ?」サキュバスは僕の体を突き飛ばし、結合を解いた。「ほっほっほ。何とか間に合ったようじゃの。」壁にドラえもんのタイムマシンのような斜めの穴が空き、そこからひげの長い老人が姿を現した。

 「…アパートの霊力が突然強まったので気になっての。あいにく他のメンバーはすべて出払っておったからワシが直々にやって来たら…サキュバスが発生しておったとは。」「貴様…」「本部から歩いて来たから時間がかかってしもうたが…間に合ってよかった。」

 サキュバスがオーラを発して戦闘体制に入った。「…これだけの性霊を一瞬で吹き飛ばす程の霊力…貴様…性霊バスターか。」「いかにも。性霊バスターズの長老にして最高権力者。老師ヌルポンティとはワシの事じゃ。」「よくも邪魔をしてくれたな性霊バスター。一度ならず二度までも…だが…ククク…遅かったようだな。今や私はたっぷり精を吸い取って魔界にいた頃の魔力半分は取り戻している。」

 「そうかね。」ヌルポンティと名乗った老人は平然と答えた。「ジジイめ。精は枯渇しているようだから快楽の虜にするのは許してやる。が、その代わりもっと苦しい魔法攻撃であの世にいくが良い…もっともそのままでもすぐに死にそうだなあ。くっくっく。寿命がちょっとばかし縮んだという所か。」サキュバスのオーラがどんどん強くなる。

 「一人の男を廃人寸前まで吸い取ったからそれなりに魔力もあるようじゃが。あいにくワシはセックスバトルには昔から向いていなくてのお。元々霊力専門じゃった。意味が分かるかね?」「ふん。これまでどれほどの除霊をしたか分からんが…魔族となった者を退治するのは初めてだろう?…死ね。」

 サキュバスが帯電する!彼女の体から横向きに強烈な雷がヌルポンティに突き刺さった!ああっ、あのパワーは僕が提供したものなんだ…僕は腰を抜かしたまま見ているしかない。僕のせいで…どうしよう…

 「…。な、なにィッ!」ヌルポンティはまったく無傷だった。「…。魔族、か。ワシが若い頃から何度となく倒しておるわ。老いて尚健在な霊力。お主程度の魔物なら飽きる程相手したわい。」「ぐっ…」

 「お主、先程も見たじゃろう?ワシは風を操って除霊をする風のモードの使い手。お前さんも吹き飛ばされるがいい。」「ふざけるなジジイ。さっきの程度の攻撃でこの私が飛ばされるとでも思っているのか。他の性霊を弾いたからといって調子に乗るんじゃねえ!」またサキュバスが帯電した。さっきよりも強いぞ!

 「…たしかに普通の性霊より強い風でないと魔族は倒せぬなあ。だからもっと強くて爽やかな風をプレゼントしちゃう。」「なっ、なに…!?」ヌルポンティが両手を突き出すとその周りに纏わりつくように風が吹き始めた。

 「…モード…神●嵐っ!」ぶわあああ!ヌルポンティからさっきとは比べ物にならない風圧がサキュバスに襲い掛かる。「うぎゃあああああ!」サキュバスの体が宙に浮くとカマイタチ現象が襲う。あちこちが切り裂かれる。どんどん彼女の体が捩れて行き、まるで雑巾を絞るように歪んで行く。骨格がみしみしと軋む嫌な音が響いた。「グモアァァァァァ!!!」断末魔が響くとサキュバスの体が完全に消滅してしまった。

 「ふう。大沢も詰めが甘いのお。若く経験不足だからしょうがないヤツじゃ。」「あっ…あの…」僕は恐る恐る立ち上がった。体がふらつく。

 「おまえさんがアパートの住人か。飛んだ災難じゃったな。」「一体…」「性霊バスターの大沢と石川が最後まで除霊をせずに表面だけ解決して終らせたのがいけなかったのじゃ。除霊の札を貼る前に確認の調査をしておればこのサキュバスの存在に気づいた筈。すまなかったのお。」「じゃあ…性霊達を呼び寄せたのは僕じゃないと?僕…その…事件解決後に性霊の快感を思い出してしまって…」「既に祓われた霊魂を想った程度では再び集まる事はない。只おまえさんの思念に"強力な"魔物が引き寄せられればそこに性霊達が集まる。今回はそのケースじゃて。」「…。」

 「そもそもその強力な魔物がいなければおまえさんがいくら性霊をネタにスケベ行為しようが性霊は引き寄せられない。だからこれは我々性霊バスターズの手落ちなのじゃ。」「はあ…。」

 「ま、それも何とか解決したようじゃし…。ワシの除霊も中々カッコイイじゃろ?昔からこうやって除霊して来たんじゃ。」ヌルポンティが胸を張る。

 「さて。こんな陰気臭い性霊界から脱出しよう。ついてくるが良い。」「…。」僕は立ち尽くしていた。そして…

 「お、お願いですっ!」僕はヌルポンティに土下座した。「何じゃ急に。」「ぼ、僕を…性霊バスターにして下さい!性霊バスターズの仲間に入れて下さい!お願いします!」「ほお…。」「今回の一件で、性霊バスターの仕事を本気でしたくなったんです!どうか僕を弟子にして下さいっ!」

 「ふうむ。いい目をしておる。本気のまなざしじゃ。ほとんど生命エネルギーを吸い取られて衰弱しているのに…感心じゃ。」「…。」「でもダメじゃ。」「そんな…どうして…」

 「性霊バスターは二つのタイプがある。ワシの様な霊力タイプと大沢のような実戦タイプと。もっとも大沢君は霊力も備えているがな。実戦は性霊達とセックスで戦い敵を満足させる事で霊力を弱め、除霊する戦士じゃ。知っての通り性霊はセックス三昧。だからその性霊の与える快感が欲しくて入門したい男が後を絶たない。ここはスケベ心を満たす場所ではない。」

 「僕は…本気なんです。只快感を求めているんじゃなくて…」「口では何とでも言える。ダメなものはダメじゃ。」「そんな…」

 「…だがしかし。確かお主は大学生じゃったな。」「はい。」「では大学卒業までに勉学もアルバイトもしっかりやって置くがよい。その間ずっと自分の将来を考えるのじゃ。考え抜いて、それでも性霊バスターになりたい決心が揺らがないなら、卒業後にもう一度来るが良い。」「わ、分かりました!四年後に必ず参上します!」「言って置くが性霊バスターは厳しいぞ。体力も精神力も頭脳も激しく消耗するハードワークじゃ。」「かっ覚悟の上です。」「ほっほっほ、その信念が若い内に揺らぐかも知れんのお。ま、四年後を楽しみにしておる。」「はっはい!ありがとうございます!」

 こうして僕は老師ヌルポンティに助けられ、ゲートを通じて現世界に戻って来た。こっちでは数日経過していた。僕は何とか一命を取り留め(ずっと寝込んでいたし日を負う毎にみるみる痩せ細った)、今度こそ通常の大学生活に戻った。平凡といえば平凡な日常にやっと戻る事ができた。

 それから四年、二度とアパートに性霊が訪れる事はなかった。

 大学生活を満喫した僕ももう卒業だ。この奇妙な体験は強い記憶として残った。そして…四年前の信念は揺らぐ事無く、それ所かますます強く「性霊バスターになる」決意が高まった。

 そう言う訳で、僕は大学卒業と同時にアパートを引き払い、空気が薄くなりかける山の奥深く、ひっそりと佇む性霊バスターズ本部の門を叩く事になる。この過酷な世界に入門する為に。










 …でもそれはまた別のお話♪



(性霊の棲家 完)
 

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