ショタコンクエスト1
〜幕開け〜


 ここは剣と魔法のファンタジックな世界。その中の一つの王国。王様は『王位継承規範』の一ページを眺めながら唸っていた。王様が見ているのは「王位継承権を持つ条件」の項目だ。

 1.王の実子で男子である事

 2.健康・健全である事

 3.元服している事

 4.独身である事

 このすべての条件を満たした者が、次の王となる。数人いれば継承者争いになるがその場合王様の裁量で決めるか長子が継承する決まりになっている。

 「困りましたな。」初老の執事が口を開く。玉座にはこの王様と執事だけ。

 「ふうむ。ワシもそろそろ継承者を指定しないといかんからな。しかし…ルカはまだ元服しておらん。他の条件は満たしておるのだが…元服まで後五年もあるのじゃ。」

 「ルカ様はお元気でおられるのでしょうか?」「うむ。サラの報告が定期的に入っておる。元気だそうじゃ。」

 1から3の条件は当然王にふさわしい人物って意味でうなずける。王の血を引き継ぐ者でなければならないし、病気がちだったりしたら統治できない。元服していない人間が最高権力者に立つのは考えられない。王様が悩んでいるのは、4の独身って条件があるからだ。

 これは近隣諸国の高貴な姫と結婚するためだ。そういう事をやって行かないとこの王国は弱体化してしまう。王になるまで独身を貫かなければならないのである。

 この世界は結構宗教的な規範が厳しかったりする。もし男が誰かと契って、妊娠させたら、その男は責任を取ってその女性と必ず結婚しなければならないっていう規則がかなり強く働いている。これをやらないと不貞の罪に問われてしまう。もちろん離婚は認められない。だから独身という条件が貫かれているって事は童貞である事も意味していた。通常結婚してから契る訳だ。

 これまで王位継承争いで、昔から過酷な戦いが起こっていた。王様はその歴史を知っている。暗殺だとか、血で血を洗う戦争になった事もあって、最近100年間は早い内から継承者を決めて置くのが慣習になっていた。

 しかし、王が早い内から継承者を決めてしまうと、別の醜い争いが勃発するようになっていた。2代前の王位継承の時には大きなスキャンダルになった。王が継承者を早い内に長子に決めて、戦争を避けようとしたのだが、元服前の長男は次期継承者に決まってすぐに、城で働く女性を妊娠させてしまったのだ。当然独身の条件に合わずにこの長男は継承権を失った。

 実はこの王の弟が手を回して、自分の手の内にあるメイド達を使って長男を誘惑し、王位継承権を失わせるべく娘達を孕ませたのである。幸いこの事実がすぐに明るみになったので弟は処刑され、次男が王になった。その次男王の息子が、現在の王様である。そんな訳でこの王様は継承者争いの醜さをよく知っていた。

 だから王様は、自分の一人息子を「女の子」として育てた。また世間には「自分には子供がいない」と公表し、息子の存在をひた隠しにしていた。これで世間には子供のいない王様で通し、万一隠し子がばれても「姫」という事で見向きもされない、そういう作戦に出たのだった。その姫をルカと言った。ルカにはサラという付き人が付き、様子を定期的に王様に報告させていた。

 この王様にはガイゼルという弟がいる。ガイゼルはずるがしこく乱暴で、欲深く冷血な男。もしガイゼルの子が次の王になったら、間違いなくガイゼルの院政になり、この国は圧制に苦しめられるようになるだろう。だから王様は、どうしてもルカを隠さなければならなかった。特にガイゼルに知られる訳には行かなかったのだ。知られたら先々代のスキャンダルが繰り返されてしまうかも知れない。

 慣習としてそろそろ次期継承者を発表しなければならない。しかし隠し子の存在をカミングアウトした上それが次期継承者だと世間に知られれば、ガイゼルが黙っている筈がない。ガイゼルの子を次期継承者だと発表する事だけは死んでもできない。ルカを城に呼び寄せようものなら、城の中に多数紛れ込んでいるガイゼルの手の者が何を始めるか分からない。

 それで王様は悩んでいるのである。

 「王様、それではこうなさったらいかがでしょう?『遺書』を書くのです。」「遺書?」「左様。遺書にルカ様を継承者にする旨を書き、見つからない所に隠して置くのです。そして王様がお亡くなりになられた後、その遺書を公開し、晴れてルカ様を継承者に迎え入れるのです。世間には『遺書を書いた、内容は自分が死んでから公開する』と公表するのです。」

 「ソレダッ!!!」王様は立ち上がった。「やっぱりお前は国で一番の賢者だ。うまい事を考える。」「ありがたき幸せ。」「では早速遺書を書くぞ。パピルスを用意せよ。」「かしこまりました。」

 こうして、あと5年の元服までルカが貞操を守れれば万事うまく行く筈、と王様は思った。「ルカはサラがしっかり見守っておる。敵が来てもサラが追い払ってくれるだろう。剣の腕は向かう所敵なしじゃ。」そう言いながら王様はサラに希望を託すのだった。


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 「お嬢様!」背後から聞き慣れた声。振り向くとやっぱりサラだ。「いけませんお嬢様。わたくしの目の届かない所に行こうなんて!」「だってサラ、ぼ…私だって一人になりたい時位ありますわ。」「だめです。お戻り下さい。」

 あーあ、サラに捕まっちゃった。もう古典神話の朗読なんてやりたくないよ。そう思って折角抜け出したのに。いつもそうだ。抜け出してもすぐにサラに見つかっちゃう。

 勉強ばっかりじゃなくて、もっとこう自然の中ではしゃぎまわってみたいんだけどな。でもそれを言うとサラは「女の子がそんなはしたないお遊びをしてはいけません!」なぁんて決まって言うんだから。本当は僕、男の子なのに…

 僕はルカ。何を隠そう王子様だ。でもわけあって、今「お嬢様」として暮らしている。身の回りの世話も勉強もサラが全部面倒を見てくれる。乳母兼家庭教師兼ボディーガード兼メイド。毎日のようにサラが言い聞かせる。ルカは女の子だ、ルカはお嬢様だ、「絶対に男だってばれてはいけない」って。

 詳しい事は分かんないけど、どうも僕が男だってばれると大変な事になるらしい。しかもこんな辺境でサラと二人で生活してるのも、僕が王子様だと世間に知られないようにするためらしい。

 そんな訳で、言葉も女言葉だし、服も全部女性用。仕草とかも女らしくしつけられて来た。

 「ねえサラ。私も剣術とか習いたいですわ。」「女の子が何を言っているのですか。」「だってサラだって女剣士じゃん。」「わっ…わたくしは特別なのです!女を捨てた身ですゆえ。」「ふうん。」「そんな事より、今日は268ページから392ページまで、天使光臨の章をみっちり読んで頂きますよ!読み終わるまで食事は上げません!」「そんなぁ…」読み終わる頃には声も枯れてしまいかねないし、ゆっくり読んでたら夜中になっちゃう。ため息が出た。

 大体こんな毎日だ。


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 「…それで?」ガイゼルが野太い声で聞き返す。ここは薄暗い石造りの屋敷。王の弟ガイゼルとその一味が密談している。

 「はっ。王様が発表した記事によりますと、王様がお亡くなりになられるまで、遺書は公開されないとの事。」

 「うぬう…。」「…いかが致しますか。通常ですとガイゼル様のご子息が次期王位継承者になるしかないのですが、遺書の内容が分からないと…」

 ガイゼルは鬼のような形相で立ち上がった。「お前。」「はっ」「『いかが致しますか』と申したな。」「はあ。」「『致す』はへりくだる言葉だ。ばか者。お前はこの俺様を謙譲しやがるのか!」「い、いえ、滅相もございませぬ!申し訳…」「うるせえ!」「お、お許しを!」「黙れ!おい、コイツを今すぐ首をはねろ。今日のワインは久しぶりに生き血入りだ。」「ひいい!」

 ザシュッ!!!ガイゼルの目の前で兵卒は首を落とされた。ガイゼルの機嫌を少しでも損ねれば死の制裁が待っている。周囲は震え上がった。

 「がっはっは!兄者め、姑息な手を使いおって。何が遺書だ。素直に俺様に席を譲らない所を見ると、…隠し子がいやがるな。それも男だ。…おい!何をぼさっとしてやがるんだ。ヤツの隠し子、とっとと調べねぇか!」「は、ははーっ!」

 数人の男女がばたばたと部屋を出て行った。

 「フン。どうせ人目を忍んでひっそりと暮らしてやがるんだろう。だが町から離れて暮らしてるってえのが命取りよお。かえって目立つから探しやすいってもんだ。すぐに見つけ出してやる。そして天国を教えてやるぜ。王位継承権と引き換えにな。フフフフ、フハハハハハハァァァ〜〜〜!!!」

 
 それから数日後。

 
 「ガイゼル様。男子がひっそりと暮らしている形跡は見当たりませぬ。」「なんだと!そんな筈はない。もっと良く探せ!」「くまなく調べましてございます。人里離れた所に住む家庭は、みな世捨て人の老人達や、若い者がいてもすべて娘にございます。しかもその娘は間違いなく実の両親と暮らしています。王様の隠し子ではありませぬ!」「うぬぬ…もうよい!もう一人の調査を待つ!」

 「ただいま戻りましてございます。」一人の女がそこに入って来た。「…リルカか。待っておった。それで、結果はどうだ。」

 「くまなく調べましたが、人里離れた所に住む家族はみな老人達で、若者といえばすべて女にございます。両親と暮らしている娘が8組、姉と思しき人物と暮らしている娘が一組。王子は見つかりませぬ。」

 「うぬう…。…いや待て。その娘達の家族は、まごう事なき血のつながった家族であろうな?」「…8組の家族は間違いなく実の親子にございますが、姉妹で暮らしているのは血がつながっておりません。義理の姉妹でしょう。」「間違いないか。」「はい。血筋を透視する魔法でしっかり確かめてございます。」

 「…。」「…ガイゼル様?」「くっくっく……は〜〜〜っはっはっはああ!!!王め。浅知恵を使いおって!間違いない、その義理の姉妹が隠し子だ!」「!」「バカな兄者だ。息子を女装させ、女として生活させた位で、この俺様の目を欺けると思ってやがる!」

 ガイゼルはワインを一気にあおった。「だが、確証が持てるまで行動は起こせないのも確かだ。その娘が男子である事を確かめた上でなければ。ヘタに行動し、それが明るみに出れば、俺達は処刑されちまう。慎重に行動しなければな。」

 「では、私めにお任せ下さい。」「…なるほど、リルカなら確かめられる。忍びとしての腕も一流だ。よかろう、もぐりこんで確かめて来い。もし本当に女だったら姉妹もろとも殺せ。見つからないようにだ。」「はっ!」

 「そして…もし男だったら、リルカよ、お前のくのいちとしての腕の見せ所だ。元服前のガキに至高の悦びを教えてやるのじゃあ!」「かしこまりました!」リルカは部屋を飛び出して行った。


######


 「『これぞ御神の秘蹟なりや。美しき哉、喜ばしき哉。ハレルヤ。』…ふう。やっと読み終わった。」「ご苦労様でございました。」「ねえサラ、どうしてこんな700ページもある本を読まなくちゃいけないの?」「ルカ様に沢山の知識を持って頂くためです。よき王は知性に優れ、民のために奉仕する事が神への奉仕だという事が理解できるのでなければなりませぬ。」「わかんないよ。そんな事言われても。」「いつか分かる時が来ます。今はひたすら読み書きしてくださいませ。」「あーあ。」

 もう日が暮れている。おなかもすいた。「サラ、そろそろ食事を…」「なりません。食事は日が沈んだ後と決まっています。」「だって食べ盛り育ち盛りだよ?」「だめです。そんな時こそ規則正しく栄養のしっかりした食料を食べなければなりません!」

 サラはすごい美人だけど固い。僕の生活はほとんどがんじがらめだ。いつになったら解放されるんだろう。

 「ご気分が優れませんか?」「こんな毎日つまんないよ。」「…仕方がないですね。そしたら明日はお勉強はお休みとします。」「じゃあ遊んでいいの?」「庭から外に出てはいけません。それに男の子みたいに暴れるのは厳禁です。」「はぁ〜…折角はしゃげると思ったのに。」「ルカ様位の男の子なら、体を動かしまくりたいお気持ちは分かります。しかし今はご辛抱くださいませ。」「わかったよぉ。」

 「所でルカ様、来週から算学のレベルを引き上げようと思います。」「えーーっ!」「三角関数は一通り終わりましたでしょう。次からは積分というものを勉強して頂きます。」「セキブン?どんな気分?」「積分です。気分ではありません。」「もうウンザリ。」「だめです。最近ルカ様の算学の成績が芳しくありませんから、みっちり鍛え直して頂きます。」「そんなぁ…」

 「わたくしとは別の家庭教師に来て頂きましょう。既に家庭教師は雇ってあります。わたくしよりも頭のいい算学の先生にバッチリ教えて頂きますから。」「ちぇっ」「お嬢様がそんなはしたない言葉を発してはいけません!」「はぁ〜い…」「返事はキビキビと!」「はいっ!」「よろしい。」

 サラの作る料理はみんな薄味であんまりおいしくない。でもエンブンがどうとか言って味を変えてくれない。おなかがすいているから食べるけどね。

 
 さらに数日。
 

 「こちらが今日から高等算学を教えて下さるリルカ先生です。」「始めまして。リルカです。どうそ宜しくね。」「…ルカです。宜しくお願いします。」「ではリルカ先生、お願い致します。」「お任せ下さいサラ様。ではルカちゃん、早速始めましょう。」

 僕は机に座り、その後ろをぴったりリルカ先生が立っている。ぴっちりしたスーツにタイトスカートの格好のスレンダーな先生だ。長く伸びた髪がさらさらと肩を滑っている。甘い香水の香りが僕の鼻をくすぐっている。

 「今日から積分というものを勉強します。」「気分?」「積分です。」「よく分かんない。」「簡単に言えばぐにゃぐにゃした図形の面積を求める方法です。」「…?」「これから少しずつ勉強して行きましょうね。」

 リルカ先生は後ろから手を伸ばし、僕のノートに直角三角形を書いた。体はとてもスレンダーなのに胸はすごい大きくて、柔らかい感触が背中に当たっている。「この面積はどうやって求める?」「えっと、底辺かける高さ割る2…」「じゃあ、ここの部分がこう内側に曲がってたら?」「う…こんなの分かんないよ。」「それを求めるのが積分というものです。まず…」

 リルカ先生が後ろから、僕の耳に息を吹きかけておっぱいを背中に押し付けたまま、優しく僕に語り掛けてくる。香水の香りがどんどん強くなって行った。

 何だか変な気持ちになって行く。リルカ先生の声が遠くなり、頭がボーっとしてきた。僕は実は最近おかしくなる事がある。サラにも内緒にしてる変化だ。朝起きると、チンチンの奥が疼くんだ。何かちょっとだけくすぐったくなって、大きく膨らんでる。このおかしな状態は昼間も夜も時々起こる。

 サラと一緒にいる時に、じっとサラを見つめてボーっとする事もある。何かサラに引き寄せられて行く感じ。サラのほっぺたや首筋を見ると疼くし、おっぱいのふくらみから目が離せなくなる事もある。リルカ先生みたいに近くにいないけどサラと一緒に勉強したらどぎまぎする事もあった。それで頭が働かないで三角関数がわかんなくなっちゃった。

 それと同じような体の奥の疼きが、リルカ先生の匂いでジンジンと沸き起こってきた。股間が熱を持ってきて、お尻がこそばゆくなっている。僕は僅かに前かがみになってこの変化をリルカ先生から隠そうとした。

 「…ん……ちゃん…ルカちゃん? …ルカ!」「はっ!はい!?」「どうかしたの?ちゃんと先生の話を聞いてる?」「あ…はい…ごめんなさい…」「もしかして寒いのかしら?ノースリーブだけだと。」そう言いながらリルカ先生は僕の腕を優しくさすってきた。スベスベの手のひらが僕の肩や腕をさすると全身がぞくぞくする。

 「ほらあ。震えているじゃない。上着を着ましょうね。」リルカ先生は突然自分の上着を脱いで僕の肩にかぶせた。「これを着てていいわよ。」「そんな!」「どうしたの?女同士なんだから、私の服を着ててもおかしくないでしょ。サイズも問題ないし。」「う…」

 上着を脱いだりルカ先生は、さっきまでのフォーマルな雰囲気ではなくなっていた。肩に紐をかけるタイプのドレスを中に着ていて、肩やわきの下が露になった。胸元が大きく開いていて、おっぱいが三分の一位見えてしまっている。覗き込んだら半分以上見えてしまいそうだ。

 「あら。やっぱり女の子なのね、気になる?」「あっすいません!」「心配しないで。ルカちゃんももっと大きくなったらきっと私よりもナイスバディになれるわ。」「せ、先生…」「なあに?」「その…寒くないんですか?」「大丈夫よ。あら、ルカちゃん、もしかして足元の方が寒かったんじゃなくて?そんなフリフリのミニスカートじゃ、足が冷えてしまうわ。」

 リルカ先生は僕の肩にかぶさっていた上着を取り、僕のスカートの上にばさりと置いた。「これでひとまず安心ね。」

 僕の下半身が疼いて、チンチンが膨らんで来た。サラにも知られていない僕の体の秘密。リルカ先生にも知られたくない。それにチンチンは男の証拠。他人に知られる訳には行かない。僕は太ももの間にチンチンを挟み、リルカ先生に見つからないようにした。幸い先生の上着が僕の下半身を隠しているから、やり過ごせるだろう。

 「さあ。授業を再開しましょう。」「はい…わわっ!」リルカ先生はさっきと同じように胸を僕の体に押し付けて来た。今度はさっきよりも位置がずれていて、僕の右肩に先生のオッパイが当たってる。しかも服を脱いで露出度の高い服になっていて、僕の肌に直接先生のオッパイの端っこが触れている!肌と肌がふれあい、リルカ先生はゆっくり蠢いている。熱い吐息が耳元に吹きかけられる。先生が僕のノートに手を伸ばすと、その腕が僕の手を滑って行く。

 サラはいつも肌のほとんどを隠していたから分からなかったけど、女の人の肌って僕のと全然違う。きめの細かさって言うかスベスベ感が。胸元から醸し出される強い香りで頭がくらくらする。香水はここから出ていた。

 「どうしたのサラちゃん。息が荒いわよ?」「えっ…いえ、なんでもないです。」「いいえ、大事な教え子が体の調子が悪いなんて見過ごせませんわ。」「そ、そんな事ないです…ぜんぜん元気ですよ僕は…」「僕?」「あ、いえ、私は。」「フフフ。でもルカちゃん震えてるわよ?」リルカ先生はグリグリと胸を押し付けこすりつけながら僕の方をじっと見ている。

 「だっだいじょう…ぶ…です…うっ…」僕は腰をくねらせ、さらに強くなったジンジンにもだえていた。チンチンがさらに大きくなり、もう自分の股の間に隠していられなくなった。「大丈夫な訳ないでしょう?そんなに足をモジモジさせて。見せて御覧なさい!」

 リルカ先生はスカートの上にかぶさっていた上着をいきなり剥ぎ取った!「あっダメっ!」僕はとっさに椅子から転げ落ち、エビのように前かがみになって股間を隠した。「まぁ!そんなに苦しがっているのにどうして言わないんですの?」リルカ先生は僕の体に覆いかぶさって来た!「先生やめて!」「ダメよ!」リルカ先生の柔らかい体が僕を上から圧迫すると、股間がさらにくすぐったく疼いてきた。その疼きにガマンできなくなり、僕はリルカ先生の下で体をくねらせて悶絶する。

 「苦しくなってるのは…ココみたいね!」「いやっ!」僕の手をムリヤリ引き剥がすと、女物のパンティをとっくにはみ出して脈打っているオチンチンがスカートからもはみ出し、スカートのすそを持ち上げながらリルカ先生に向けて硬くそそり立っている。

 「ぁぅ…」僕はどうしていいか分からずに固まってしまった。「これはなんですの?ルカ”お嬢様”!」「きゃっ!」リルカ先生はスベスベの手でオチンチンをわしずかみにした!上半身は僕にのしかかり、動けないように固定している。そしてそのしなやかな右手が僕の恥ずかしい部分をしっかり握り締め、太ももがスカートを穿いている僕の内股に滑り込んできた。

 リルカ先生は妖しく僕を見下ろしている。

 「ルカちゃん、あなた…男の子でしょ?」「ちっ!違いま…す…!」「ふうん。じゃあ、私が触っているコレはなんなのかしら?」「う…」「おかしいわねえ。女の子なら、こんなモノ付いてる筈がないわ。只の作り物かおもちゃなのかしら?」

 リルカ先生は僕の体を抱きかかえたまま手に力を込めたり緩めたりしている。柔らかい手に包まれたオチンチンが揉まれ続け、くすぐったさが全身を駆け巡る。「あう…なんか変だよぉ…」

 「あらら。もしかして、こういう事何にも知らないのかしら?知る訳ないわよねえ。女の子が”自分のペニス”の事を知ってる筈がないし他の男のペニスを知っているようなふしだらな娘じゃあないだろうしねえ。」「ぺ、ぺに…す?」「いいわ。特別授業で教えてあげる。」

 僕は快感でほとんど何も考えられなくなり、リルカ先生に身を預けるしかなかった。

 「いーい?オチンチンの事、「ペニス」って言うのよ。男の子はね、ココを揉んだりしごいたりすると、気持ちよくなってくるの。」「うん…なんかくすぐったい…」「その感覚が「感じる」って事よ。年頃の男の子なら、自分で自分のペニスをいじって気持ちよくなるものよ。誰も見ていない所で、その疼きを自分で慰めるの。「オナニー」って言うのよ。」

 リルカ先生は僕の…ペニスを優しく上下にしごき始めた。「ホラ、こうやると気持ちいいでしょう?」「あん…」「気持ちいいの?男の子だったら気持ちいいわよねえ。女の子なら何も感じないでしょうけど。」「うう…」気持ちいい。「男の子なんでしょ?」「ち…違いますぅ…」

 「あら、そうなの。じゃあ触っても気持ちよくないって事ね。」そう言ってリルカ先生は手を離した。途端にかつてない程の体の疼きが僕を突き上げる。僕はさっきリルカ先生がしたように自分のペニスを掴み、激しくしごき始めた。自分で触っても気持ちいいけど、さっきの女の人の手の方に比べれば快感が随分落ちる。でも高められた僕がおかしくなるのには十分だった。

 「あっ!何かすごいくすぐったい!」こんな感覚は今までにない。お尻の奥からジ〜ンと痺れるような強烈な快感!「んあっ!!」僕はリルカ先生の見ている前でペニスから白い液体を噴出させた。見た事もないような真っ白の液体が手にべっとりついている。

 「それが「精液」よ。男の人は気持ちよくなり過ぎると精子を外に出すの。ふふ…今のあなたの状態が「イク」とか「射精する」とか言う状態よ。すごく良かったでしょ。」「うん…」「もうこれから毎日あなたは自分でイク事になるのね。そうそう、サラや他の人には絶対に見せちゃダメな事よ。恥ずかしいから。」「…。」

 「さあ、白状しなさい。男の子でしょ。もう言い逃れはできないわよ。何しろ射精しちゃったんだから。女の子は射精しないものね。」「うう…」「うふふ、これからもっとイイ事してあげる。ベッドに座りなさい坊や。」

 僕は言われるままベッドに腰を下ろした。リルカ先生は僕の唇に吸い付いて来た。「華奢な男の子…たまらないわ。」僕の首に手を回し、ぎゅっと抱きしめてくる。「スカートのボタンを外して…早く!」せかされて横に付いているボタンを外すと、ストンとタイトスカートが落ちた。細く引き締まった足が露出される。上に付けていたドレスをリルカ先生が肩紐を外して降ろすと、ドレスもあっさりと床に落ちてしまった。

 リルカ先生はパンティだけの姿になり、僕にのしかかって来た。「男の子なのに、どうしてこんな物を着ているのかしら?」「それは…」僕が戸惑っているとリルカ先生がフリフリの女物のチョッキを脱がせた。そして僕の上半身を下から持ち上げるように強く抱き抱えた!「ふわっ!!」華奢な僕の体にリルカ先生のふくらみが押し付けられ、グリグリと這い回る!

 「ミニスカートからいやらしい物が突起してるわよ。」僕のスカートに手を入れてくる。玉袋がふにふにと揉まれた。「あら。パンツまで女物なのね。凝ってるわ…」「あっ!そこは…」僕は両手でリルカ先生の手首を握り、抵抗したが、僕のパンツもあっさりとひざまで下ろされてしまった。

 リルカ先生は僕に強くしなだれかかって来た。リルカ先生に押し倒されて彼女の体重がぐっとのしかかる。先生のおなかが僕のペニスを圧迫している!

 「先生のおなか、スベスベしてるでしょう?」「うん…」「女の人ってね、体中がこうやって柔らかくてスベスベしてるのよ。触れただけで気持ちいいでしょう?」「せ、先生…」

 もう僕のスカートは捲り上げられ、ペニスが露になってビクビクと脈打っていた。「立っていてもこの位の大きさなのね。お姉さんの人差し指と同じ位…もっと成長したらグッと太くなるのにね。それにまだ皮がかぶっているわ。」「え…」「男の子のオチンチンは、亀頭が露出されていなければならないのよ。ホラ、ここに見えているでしょ、ピンク色のが。」

 リルカ先生はペニスに手を伸ばし、ペニスの先っぽから奥にかけて強く皮を持って内側に引っ張った。「いやっ!怖いよお!」「大丈夫よ、こうするのが普通なんだから。」「でも痛い…」「そう。痛いわよねえ。こんなにビンビンになっていては。」

 ペニスを触られていると僕の興奮がますます高まって行った。また体の奥からジワジワとくすぐったさがこみ上げて来る。これがもっと強くなると、またあの白い液が飛び出すのかな…

 「そうね、じゃあ、手じゃなくて、ココで剥いてあげようかしら。」リルカ先生は僕のおなかに跨り、ゆっくりとパンツを脱いだ。「見て…」リルカ先生の股は僕のと全然違っていた。ペニスが付いてない。その代わり、股が二つに割れていて、毛の奥にあわびのようなヒダがあった。

 「…これが、オンナだよ…。女の人のアソコはみんなこうなっているの。さあ、ルカ!」リルカ先生は僕の肩に手を付き、体重をかけて来た。肩を押さえつけられ、動けなくなった僕をリルカ先生が優しく見下ろしている…

 「さあ、ここからが大事な所よ。どうして男は射精するのか。女の人のアソコにペニスを入れて射精するためよ!」「ええっ!」さっきの割れている所…でもあんな場所にペニスが入るの?「ココはね…とぉっても狭くてあったかいのよ。自分の手や私の手でしごくよりずっといいんだから。気持ちよくなってすぐに射精するわ。」「そんな…」「そして、女の人のアソコに射精すると、女の人は”お母さん”になるのよ。それが男の人の役目。あなたも、お母さんとお父さんが性器を結合し、お母さんのアソコに精液を注いだから、お母さんから生まれてきたの。」

 リルカ先生は腰を引いて前後左右にゆすりながら”性教育”を施している。お尻がペニスをスリスリとくすぐっている。「さあ、これからあなたも私をお母さんにしてね。あなたの子供よ。」「そ、それは…いやああ!」「もう逃げられないわ!」リルカ先生は僕のペニスに腰をあてがうと、ゆっくりと下ろし始めた。ペニスの先をくるんでいた皮がヒダと一緒に剥け始め、股間に痛みが走る。痛みと亀頭を包み込む快感が入り混じって、僕はかつてない恐怖に襲われた。

 「いやっだめ!先生やめてえ!」僕が暴れるとペニスがオンナから外れた。「じっとしていなさい!」厳しい口調にビクッと驚き、身がすくんでしまった。「さあ、今度こそ…逃がさないわよ。いただきまーす♪」さっきと同じように亀頭が痛みと快感に包まれ始めた。どうなってしまうか分からない恐怖にガクガクと震える。このままリルカ先生を妊娠させてしまうのか…

 バタン!「貴様!何をしている!」大声が部屋中に響き渡る。僕の叫び声を聞いたサラが飛び込んできてくれたんだ。

 「ちっ、眠り香が効いていなかったか。」リルカは僕から離れた。「わたしに薬物は通用しない!眠り香だかなんだか、そんな物は気づきもせぬ!」サラが両手で持つ巨大な剣を抜く。こんな重たい物を軽々と両手で自在に操れるのがサラの強みだ。

 「リルカ、貴様は王様直属の部下、執事フロー様の一番弟子だった筈。知力に優れた側近と知っていたから家庭教師に雇ったのだ。それを…」「ふっふっふ…いかにも私はフローの教え子。そして王の信頼厚い側近だ。…表面上はな。」「貴様…ガイゼルのスパイだったのか。」「フン。東洋の忍術を学ばせてくれたお方だ。只の知識しか与えなかったフローなどゴミクズのようなものよ。」「おのれ!」

 サラは両手剣をリルカに振りかぶった。一瞬のスピードで、常人なら剣が振り下ろされた事にさえ気づかないで息絶えているだろう。しかもリルカは今裸だ。武器も何も持っていない。サラの勝ちと思われた。だがリルカは、その両手剣を両手でがっしりと捕まえてしまった!

 「これぞ東洋忍術の究極極意、真剣白刃取りだ。剣を素手で止められたのは初めてだろう。お前達剣士など想像もできない様な秘術が東洋にはあるのだ。」「くっ…」リルカは素早く飛びのけ、脱ぎ捨てられたドレスを手にとった。「これでも喰らいな!」ドレスがサラに投げつけられる。サラは条件反射的にドレスを切りつけた。

 ぶわっ!その途端に黒い粉があたりに散乱する!ドレスが裂けると飛び出す鉄の粉だった!「ぐわっ!」サラの目に砂鉄が入り、サラは目が見えなくなった。「剣士より忍者の方が実力者だったって事さ。暫く目潰しに苦しむがいい!あーっはっはっは!」リルカは裸のまま飛び出して行った。

 「サラ!大丈夫?サラ!」「わ、わたくしは…大丈夫です。それより、ルカ様は…」「僕も大丈夫。怪我はないよ。」「いえ…そんな事より…その…貞操は…」「あ…。た、多分大丈夫…結合する直前だったから。」「中には出していないのですね?」「うん。」「それは一安心…失礼!」サラはよろけながら部屋を出て行った。目を洗う為だ。

 暫くして、目を真っ赤に腫らしたサラが戻って来た。僕もとっくに服を着ている。「ルカ様…大事なお話がございます。」「うん…分かってる。さっき起きた事を全部話すよ。」僕はリルカにされた事、リルカが言っていた事をサラに全部話した。

 「…リルカの申した事は本当でございます。性の知識は、元服を終えた男女が受けるものですが…こうなっては仕方がありません、早い性教育を施しましょう。」

 僕はサラに性教育を受けた。セックス、妊娠、出産、そして育児の責任まで。

 「ルカ様、一番大事なものは、性の快感ではございません。本当に愛する人とだけ結合し、本当に愛する人と子供を作るのです。快感を求めて闇雲に女を求めてはなりませぬ。そして、子供を作るという事は、子供を育てる事と切り離す事はできません。リルカが間違っているとしたら、男の役割は、射精する事だけではなくて、愛する女の人と一緒に子供を最後まで責任を持って育てる事でございます。人間はそうやって、長い間家族を作り、家族同士、さまざまな制度の中でも、一緒に暮らして来たのです。人間が人間を憎んだり、腹を立てたり、敵意を持ったり、…殺しあったり。すべて間違った事なのです。」

 「サラ…」「ルカ様、憎しみや怒りは、おのれの欲望から生じます。セックスは快感です。でもそういう快楽におぼれ、欲望ばかりを追い求めれば、いつかは人間は根絶やしになります。将来の統治者として、その事だけはどうか肝に銘じておいてください。よろしいですね。」「分かったよ、サラ…」

 「そしてルカ様、もう一つ大事な事がございます。明日早朝、ここを出ましょう。」「えっ…」「ここは既にガイゼルの知られる所となりました。だから逃げなければなりません。」「ガイゼルおじさんが…どうして?」「これも大事な話です。よくお聞き下さい。」

 僕は王位継承の事、継承者の条件、ガイゼルが権力を欲しがっている事、自分が女の子として隠れて生活している理由を詳しく教えてもらった。

 「ガイゼルも簡単にはアサシンや私設軍を送れないでしょう。騒ぎになったりルカ様のお体に万一の事があれば、王はそれを口実にガイゼルを処刑できるからです。だから、ルカ様が殺されたり怪我を負わせられたりする事はないと見ていいでしょう。また、ガイゼルに拉致され幽閉される事も同じ理由で考えにくい。ガイゼルにできる事といえば…女の刺客を送り込む事です。そう、リルカのような。」「…。」

 「だから、ルカ様がお気をつけにならなければいけない事は二つ。これまで通りお嬢様として素性を隠しながらガイゼルの手を逃れ続ける事…しかるべき時の来るまで。そしてもう一つが、貞操を守る事です。継承者の条件の第四条、ガイゼルはこれを奪おうとしているのです。決して、ガイゼルの刺客に…いえ、刺客だけでなく、すべての女性に、精を注いではなりません。誰か一人でも妊娠させてしまったら、この国はガイゼルの物になってしまいます。そうしたら民は奴隷同様の苦しい人生を過ごさなければならなくなります。それだけは避けなければならないのです。」「…。」

 「すべてはルカ様の固い意志にかかっております。くれぐれも女性の誘惑に屈し、快楽におぼれて中出しをしないよう、お気をつけ下さいませ。」「分かったよサラ。僕気をつける。」「さあ、またルカお嬢様にお戻り下さい。僕なんて言ってはなりません。」「うん。」「寝る前に準備をして置いて下さい。最低限持って行く物だけを纏めて、少ない荷物で出発します。暫くは町の宿を点々とする事になるでしょう。」「分かった。」「ご苦労をおかけします…」「サラが謝る事はないよ。」

 「ではわたくしは、王様に緊急の伝書鳩をしたためなければなりませんので、これで…」「うん。お休み、サラ。」「おやすみなさいませルカ様。」

 次の日。鶏が鳴く前の薄暗い時間。「…ルカ様。起きてください。」「むにゃあ〜」「むにゃあじゃありません!出発しますよ!」「ああ、そうだったね。」僕はいそいそと着替える。パンティがペニスを包み込む。その上にミニスカートと、上にブラウスとチョッキを着て、赤いリボンを頭のてっぺんにアクセント。カラーリップを薄くつけて。

 「あ、ルカ様、申し送れて済みませんが今日からこれをお穿き下さい。」「何これ?パンティならもう穿いたよ?」「これはブルマと申しまして、下着の上に穿く物でございます。それから、この先寒くなりますゆえ、ブラウスの代わりにこれを着て下さい。体操着とワイシャツでございます。」「うん。」僕は着替え直した。「最後にこちら。安物のコートに女性用マントでございます。」コートはそこら辺で売っているテロテロの薄い生地だった。そりゃあ高級品を纏って歩いていたら素性がばれてしまうからなあ。マントはサラとおそろいだ。ちょっと嬉しい。

 「それにしてもサラ、いつもマントの下は皮の甲冑だよね。背中に背負った大きな剣も目立つし。サラも女っぽい格好してみたら?きっとおしゃれが似合うと思うけどなあ。」「それは…だめです。わたくしはルカ様をお守りする義務がございますし、剣士なのだから甲冑と剣を肌身離さず身に着けるのは当然の事でございます。」「そう…残念だわ。」「さあ、参りましょう。」「うん!」

 こうして僕とサラは住み慣れた家を後にした。これが新しい冒険の幕開けとなる事を、二人はまだ知らなかった。


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 「これは…大変な事になったわい。」「いかがなされました王様。」「ルカの存在と所在がガイゼルにばれてしまったらしい。」「なんと!」「ルカの事を知っているのは、ワシと執事であるお主フロー、そしてルカ本人とサラだけじゃった。しかし昨日刺客が襲って来たらしい。それも…あのリルカだ。」「!!」

 執事は驚愕して数歩後ずさった。「そんな…あのリルカが…」「間違いないそうじゃ。」「なんと言う事…リルカは私めの弟子の中でも最もできのよい娘、古典も算学も神学も錬金術も物理もすべて優秀な成績だったから、王様の側近として引き立てて頂いたというのに!」「気にせずともよい。お主のせいではない。リルカに欲望の魔がさしたのであろう。ともかくリルカはガイゼルの手の者だったというのが事実だ。そしてガイゼルはルカの存在を突き止めてしまった…」

 「おお…」執事は頭を抱えてしまった。「ルカとサラは今朝家を後にしたそうじゃ。暫くは宿を転々とし、報告は手紙で行う旨が書いてある。今は…サラにすべてを任せる他はない。何とか…ガイゼルの手から逃れなければ…」


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 「…それで?失敗して帰って来たと言うのだな、リルカよ。」「はっ、申し訳ございません!ですが、あの娘が王子である事は間違いございません。その名をルカと申します。ルカを犯し、その子を孕めば、万事解決にございます。」「…。」

 「ガイゼル様、どうか今一度私めにチャンスをお与え下さい!次は魔法使いを二人連れ、サラとか言うボディーガードを封じ込めてからルカを奪いますゆえ、次こそは失敗は致しませぬ!サラがいくら腕の立つ剣士といえ、魔法には弱い筈。」

 「リルカよ。お前が女だった事が命拾いだったな。俺様の肉奴隷を兼ねているから処刑は免れているのだぞ。分かってるのか。」「こ、心得ましてございます。」「男だったら今すぐ首をはねている所だが、特別に生かしておいてやる。」「あ…ありがたき幸せ…それよりも、今日魔法使いを連れてあの家に再び参ります。今度こそ成功してご覧に入れましょう。」

 「無駄だ。」「えっ」「お前がしくじったおかげで、奴らはこの俺様に自分の存在が知られた事を悟っておる。おめおめ同じ所に留まっている筈があるまい。とっくに家を後にしているだろう。」「うっ…」「まずはルカを探すのが先だ。恐らく次は探しにくい街中に潜んでいるだろう。宿辺りを転々としてな。」

 ガイゼルは立ち上がった。「探せ!町という町のすべての宿をくまなく探すのだ!それも秘密裏にだ。もし見つかってもすぐには行動するな。見張りながら様子をうかがい、夜中にリルカを筆頭に多人数で一気に攻め入る。慎重を期し、確実に作戦を実行するのだ。行け!」

 リルカを含めたガイゼルの配下達が一斉に飛び出して行った。


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