ショタコンクエスト8

 

 カナは全裸になると、恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら、すぐに体を隠した。そしてくるりと背中を向けてしまった。彼女が震えているのは、明らかに寒さからではなかった。恐怖と羞恥の入り混じった震えに他ならなかった。

 その背中はすでに女性のしなやかさを備えていたが、それ以上に目を引いたのは、背中にびっしりつけられた、痛々しい傷の数々だった。切り傷でも打撲でもなく、しかし赤く青く浅く深くつけられた、なまなましい傷が、びっしりと彼女の背中を覆っていたのだった。

 「…やっぱり、ルカさんには…でも…」カナは震えながら小声で言った。「…わ、私を…抱いて…」カナはゆっくりとこっちを向いた。両手だけでは隠しきれないところが多く、きれいな胸やツルツルの性器がよく見えてしまった。

 彼女は震えながら、何かに押されるように、ゆっくりと手をどけていった。全裸の彼女の前身が、あわい灯りのなかで美しく光っているような気がした。その前面は白く美しいままで、傷一つついてはいなかった。

 「その子はね、この宿の看板娘にして、夜の客を取る娼婦なのさ。」「!」カナの母親が入ってきた。「おまえがあの王子なのは初めから分かっていた。この島は今、厳戒態勢が敷かれていて、すべての男は強制退去させられ、若い女だけが残っている。…そんな中で旅行者向けの宿屋なんて営業してるわけがないだろ。」「う…」

 たしかに、どこの宿も閉まっていた。そしてやっと見つけたこの宿に泊まることになったのだった。「私は睨んだ。どこの宿も営業できないなら、そこであえて営業すれば、泊まるところもなく逃げ続ける小さな王子を捕まえることができるってね。思ったとおり、お前はここに来てくれた。…金の卵が、ね。」

 「そんな…」僕は後ずさった。が、全身を強い性欲が突き抜け、ちらつく全裸の娘から目が離せない。

 「ここは普通の宿ではない。表向きは細々と営業している宿屋だが、本当の姿は、この島の統領にしてガイゼル様の参謀であらせられるモンペイ様から秘密裏にご許可いただいた、正式な娼館なのよ。正式といっても、堂々と娼館でございと謳っているわけじゃあないけどね。違法だから。だから表向きはただの宿屋。そしてその実態は、モンペイ様をはじめ高官たちがお忍びで立ち寄る淫らな宿というわけ。」

 母親は扉の鍵を後ろ手でしっかりと締めた。「さすがにモンペイ様ほどとなると娼婦も高級。ここまで女たちを連れてきて部屋を借り、一晩を彼女たちと過ごす。それ以外の高官も、金がある男は娼婦を連れてくるが、それほどでもない連中はこのカナを相手にするのさ。貧乏でも官僚だから、私らからすればかなりの金を持っている。それをここに落として行ってくれるし、モンペイ様から”宿泊料”もたくさんもらえる。それで生計を立てているのが、私と娘のカナというわけ。」

 「娼婦って…カナちゃんはまだ…それに娘なのに…」「ああ。間違いなくこの子は私の実の娘さ。そしてたったの11歳。世の中にはね、いい年をして子供を抱きたいって奴がいるんだ。位が上の奴に限ってそういう嗜好を持ったりしている。全員じゃあないがね。だからこそ、私らはメシが食っていけるのさ。私の宿運営と、大事な商品である実の娘でね。」「そんな…信じられない…」「カナはずいぶん稼ぐよ。カネさえ払えば官僚でなくても抱かせてやるのがウチの方針。モンペイ様が来ない時でもそれで結構客を取って、稼いでいるのさ。もちろん秘密は守られる。娼館で女を、しかも子供を抱いたとなっては、買春の罪のほかに虐待の重罪が加わるからね。それだけじゃあない。ここがモンペイ様御用達なのはみんな知ってる。そんな場所で不祥事を起こそうものなら、逮捕された次の日には暗殺されているという寸法さ。だから誰も秘密を漏らさない。話題にも上らせない。みんな従順な客となる。私らとしてもずいぶんやりやすい。」

 「でも…でも…その傷は…背中の傷は…虐待の跡じゃ…」「…ふん。見ちまったのか。」「カナちゃんの背中の傷は一体…」「教えてやるよ。」

 母親はポケットから筒のようなものを取り出した。そしてそこからしゅるっと銀色のひもを伸ばした。「これはベースという楽器の一番太い弦から作ったムチ。それでこうするのさ。」

 ばしい! 「ひい!」「ああっ!」母親はカナの背中を鉄の弦で強く打った! 40センチくらいに切られた鉄の弦がきちんとまとめられ、数本にわかれていて、それが一気に彼女の背中を打ちつけたのだった。「人間ってのは怖いね。なんでも慣れちまう。はじめは普通のムチで言うことを聞いていたのに、だんだん反抗期の時期と重なって、言うことを聞かなくなってくる。徐々に罰を重くして、やっと言うことを聞くようになった。今ではこの“鉄のムチ”ですっかり従順になっているけどね。」「ひどい…」

 僕は思わずカナちゃんのところに駆け寄った。「だ、だいじょうぶ…?」「うぅ…」背中から鮮血がほとばしっているかと思ったが、意外と高質化している彼女の背中からは、叩かれた部分が赤くなってはいるけれども、血は出てこなかった。

 「…お願いです、わたしを…だいて…そうしないと…また…」「そんな…うぅ…」カナちゃんの甘い匂いを間近で嗅いでしまい、頭がぐらぐらする。ゆっくり擦り寄ってくる彼女の肩をかろうじて交わし、僕は何とか理性を保ち続けた。

 「ふん。なかなかがんばるね。そういう男は嫌いじゃあないよ。どんどんいじめて、追い詰めて、私の軍門に下らせる喜びがある。でも、もう限界なんだろう?」

 すぐ近くに裸のカナちゃんがいる。その華奢で綺麗な体は、僕の男としての欲情をあますところなく刺激していた。スベスベの肩、膨らみかけた乳房に、ぷにっとしたおなか、毛も生えていない性器、シコシコした女の魅力をかもし出すふともも…。僕はどうにかして、彼女に飛び掛りたい欲動を抑えた。が、我慢すればするほど股間はくすぐったく疼き、オナニーをずっと我慢させられたオスのように激しく快楽を肉体が求め続ける。

 「ふふふ…苦しいだろう? さっさとカナを抱いて楽になっちまいなよ。さっきの食事に入れた催淫剤は相当強力だからね。」やっぱり薬の効果なのか。こんなひどい虐待の場面を見せられて、それでも性欲の虜になってしまう自分が情けなかった。「うちは娼館、セックスの道具は何だって揃ってる。老いた高官を興奮させる特別な薬もあるのさ。もっとも、モンペイ様は魔法の力で立たせることもできるし、それ以前にあのお方の場合触れること自体に楽しみがあるご様子だけどね。どっちにしろ、若いお前にあの薬を使ったんだ。とっくに理性が切れて動物のようにカナと交わっていないとおかしい。そのくらいお前の体は性欲に蝕まれてるはずだよ。」

 「うう…ぜったい…だめ…」「まだ我慢するのかい? お前の玉袋はもうパンパンじゃあないか。あんまり我慢すると、破裂しちまうかもよ?」「うぅ…」

 僕は何とか理性を働かせて、自分のいる状況を冷静に整理した。僕が泊めてもらった宿は本当は娼館で、ほとんどの客は外から娼婦を連れてきて、秘密の娼館としてセックスの場所を貸すのが、この母親の仕事。ただし、中にはカナを求めてやってくる客もいる。カナは子供なのに、いや、子供だからこそ、老いた権力者どもの餌食となり、犠牲となっている。それを実の母親が承認し、それどころか積極的に実の娘を商品にして稼いでいる。

 大人たちはカナを虐待し、なぶりものにし、それで生活の糧を得ている。なんてひどい話だ。

 「おまえはゆるさない…虐待が犯罪なら、絶対におまえは牢獄に送らなければならない。うぅ…実の娘なのに、売り物にした挙句、ムチで暴力まで振るっている。最低な母親だ!」

 「生意気言いやがって。おまえは権力の座にありながら、権力のことを何も知らない。」ばしい! 母親は再びカナをムチで強く打った。「ああっ! おゆるしください…」カナは苦悶の表情を浮かべながら卑屈に許しを乞うた。

 「私はこれで2回カナを打った。何でだと思う? 一回目は、胸やマンコを見せろと言っているのにお前に背中の傷を向けて、言いつけを守らなかったことへの罰さ。そして今の二回目のは、…クックク、”なんとなく”だよ!」「なっ…!」

 「私は母親であり、親権がある。親が子供に何をしようと勝手なのさ。」「ふ、ふざけるな、いくら親でも、何をしてもいいわけがない。虐待は立派な犯罪だ。」「ばかめ。この館の中で起こることはすべてモンペイ様が保護してくださる。今言ったとおりさ。秘密は守られ、すべての不祥事はもみ消される。私がここでいくらカナを打とうと、モンペイ様がお守りくださる限り、絶対に犯罪にならない。客の中にも嗜虐者がいて、皮のムチでカナを叩いて喜ぶ者だっているさね。そんな営みの”すべて”が口外されず、秘密は絶対に守られる。」ばしい! 母親はまたカナを打った。

 「やめろ!」「うるせえよ。」ばしい!「今のはルカが怒鳴ったことへの罰。もう一度怒鳴ってみろ、今度は二回打つぞ。」「くっ…」母親は、僕が怒れば代わりにカナを打つのだった。「親権とモンペイ様の権力。私は二重の権力で守られている。だから何をしても自由。金も転がり込んでくる。人間は権力にはかなわない。権力があれば何でもできるし、逆に権力がなければ何もできない。本当の正義は、権力者が決めるのさ。だから、幸せになりたいと思うなら、権力者に徹底追従し、権力者の方向と完全に同一化し、積極的に服従し率先して権力者のの意向を遂行するしかない。そこから少しでも離れれば、権力によって暴力を受け、離反した分だけ不幸になる。人を押しのけて上にのぼりつめるか、上の者にこびへつらって守護を受けるか、それ以外に幸福になる方法はない。」

 「ち、ちがう…そんなの、間違ってる!」「何が違う。私はこうして好きなように振舞えるし、金も力も思いのままだ。お前は世の女たちがどんな男を選んで結婚するか知らないのかい? 金があって地位が高い男さ。常識人とまったく同じ考えを持ち、競争に勝ち、世の羨望を集める男しか結婚はできない。外見が美しい男はもてるだろう? だが、格好がいい男というのはモデルがいるものさ。そのモデル、権力が方向付ける”美しさ”に従う者だけがセックスを許される。なぜ背が高くて痩せていなければ女に相手にされないか考えてみろ。太っていてはなぜ悪い? それは、権力が痩せた長身男性を美しいとして、モデルを喧伝したからに他ならない。テレビに映し出される美男美女が価値あるものだというのは、一部の人間どもに作り出されたモデル、すなわち方向付けられた洗脳思考に過ぎない。」

 「しかし、そのように”作り出された”モデルに近い男でなければいけない。権力によって作り出された理想像に積極的に服従した男だけが選ばれ、そこに背を向けた男、太って背が小さく髪の毛のない男は捨てられる運命にある。権力が設定した常識から外れた思考をする者も”怪しいやつ”として遠ざけられるし、貧乏人や地位の低い男はなおさらだ。すべて、世間が決めるモデルにどれだけ積極的に服従できるかなのだ。服従を拒む者は排除されるだけだ。権力は、王侯やモンペイ様のように人間で代表されることもあるが、少数のエリート集団によって作り出され、一人歩きをする”通念”というものもある。どっちにも従わなければならない。それも、しぶしぶ従うよりも積極的に進んで服従した者のほうが幸福になれる。」

 「女たちがそのような男を選ぶのは、権力に従う男を伴侶にすることによって自分もまた権力に従い、それによってのみ幸福になれることを知っているからだ。もちろん自分たちも、そうした権力に従った外見や物腰、社会的地位というものがあって、これに積極的に服従しなければならない。女の癖に地位が上がってはいけないし、痩せていなければならない。服従するためにダイエットなどという涙ぐましい努力を女たちも積極的に続けている。努力が実らず、食べ物を受け付けなくなって死んでいく女たちもたくさんいる。」

 「もう一度言うぞ。なぜ外見が”みにくい”(と世間が決めた)男は選ばれないのか。金のない男が捨てられるのか。外見の美しい公務員に恋人が寝取られるのが当然のこととなるのか。外見の醜い女が結婚できないのか。奥床しさのない、地位の高い女はなぜ嫌われるのか。すべて”権力にどれだけ服従できるか”が幸福の鍵となることの証明ではないか。」

 「違うっ…絶対に間違ってるよそんなの。…もしそれが正しいなら、世の中のすべての人間が同じように考え、同じ行動をとることになる。実際には個人個人で考えも感性も違うじゃないか。」「ばかめ。だから一握りの人間しか幸せになってないんじゃあないか。権力に同調できた者だけが世の栄華を勝ち取り、それ以外の”個性的”な人間は幸福の一部しか与えられないか、あるいはすべて奪われてしまう。世の中のすべての人間が同じように考え、同じ行動をとること、それが国としての理想郷だろう。だからこそ権力者は、服従者に世の栄華を与え、離反者に離反分だけの不幸を押し付ける。幸福になるためには周りと同じことをしなければならない。従わない者は不幸のうちにのたれ死ぬことになり、同じ行動をとる者だけが生き残る。ゆくゆくは全員が同じ思考を持つすばらしい世界が出来上がるのさ。」

 「そんな世界が理想郷なものか!」ばしい! ばしい! 痛々しいムチが二回振るわれた。「大声を出すんじゃないよ。コトは恋愛や結婚だけではない。お前は王子だから就職なんてしないだろうが、働いてみればわかる。社員がどれだけ同じ方向を向かされ、心のベクトルまで同じ方向を強要されているか。その方向からずれた者は目をつけられ、いざというときに真っ先に排除される。そうでなければ仕事にならないからな。当然のことだろう? 企業だけでない、国家まで含めてすべての組織が全体主義を理想とし、実践している。実際、同調する者だけが金も名誉も地位も手にしているのだ。この私のようにね。」

 この母親は鬼だった。湖の3人とはまるで違う。彼女たちはどちらかというとしぶしぶ従っている感じだったが、コイツは積極的に心の底から服従しきって、その結果金と地位を手に入れた”成功者”なのだ。

 「金も地位も名誉も、自由さえも、権力が絶対に必要。こうしてカナをダシにしても、誰も私をとがめることはできない。それどころか、私がカナを虐待して言うことを聞かせることによってこそ、ますます幸福に、自由になっていくのだ。」「うぅ…」

 「ふん。子供のお前にはまだ現実離れして、いまいち納得がいかないみたいだね。それなら、その体に教えてやるよ。権力の怖さを。そして…権力のすばらしさを!」

 ばしっ! まるで牛馬のように、カナを痛めつける。牛馬相手でもそこまでひどくはないのではないか。「やめろ!」「おっと、また大声を出したな。」ムチがうなった。びしいい!!

 カナは一言も発しないまま全裸でうずくまっている。僕は怒りで我を忘れそうになった。皮肉なことに、薬に蝕まれて性欲に押されている情けない肉体が、僕が母親に夢中で飛び掛るのを防いでくれた。怒りと体のくすぐったい疼きの狭間で、僕は震えながらも思考を失わないで済んでいた。

 「ほらルカ! 笑いながらはいつくばってみろよ! 笑え!」「なっ…」ばしい!「笑えっつってんだろガキ!」「やめ…」びし! びしっ!「笑うまでカナを打ち続けるぞ!」カナの背中からやっと血が噴出した。「早く笑えよ! 声を出して! あはははって笑うんだよ!」ばしい! 「はやくっ!」

 僕が笑わなければ、カナがまずまず痛い目を見る。手出しもできず、じっとしていることも許されなかった。今はカナをムチから救うしかない。「…あ…は…」「おらおら!」びし! 「あは! ははっ、ははっ」

 「なんだよその引きつった顔は! 心の底から笑えよ!」びしっ! 「ははははっ、あはははっ!」僕は土下座して顔を上げたまま、腹の底から笑い声を出した。「ははははは、あはははは!」「馬鹿野郎! 心から笑うんだよ! そんなウソ笑いで私のムチをとめられると思ってんじゃない! なめるな!」びし! ばし!

 「はははははははは! わはははははは! あははははは!」僕は渾身の笑顔を作り、母親の前で思いっきり笑った。笑っているうちに腹の筋肉が引きつり、一瞬だけ自然に笑い声が出てしまった。

 母親が手を止めた。「ふはははは! どうだ! あの王子サマが、私にひれ伏して笑ったよ! あはははは!」「〜〜…」声にも出ない悔しさが全身を貫いた。「私はカナをしつけるにあたって、よくこの手を使ったよ。この娘は昔は泣き虫でねえ。ちょっとしたことでよく泣いた。だからムチで打ちながら、泣き止むまで叩き続けた。必死で泣き止もうとして、止めようと思っても止まらない嗚咽がこの子を苦しめながら、私はそれを笑いながらムチを振るい続けた。生理反応である嗚咽すら私は許さぬ! …続けていくうちに、この子は決して涙を流さなくなった。これぞ私の”教育”の賜物だ。今では、殴られて喜べと指示したら心の底から喜んでくれるよ。”私を殴ってくれてうれしいな、お母様ありがとう”ってね。本当に愉快だわ!」

 「てめえは…人間じゃあねえ…」ばしい!「私への暴言はカナを苦しめると思え。これで分かったろう。お前は権力を握った私には逆らえず、心の底から服従した。笑う気持ちで笑ったんだ。…一瞬かもしれないがな。だが私に服従したことに変わりはない。王子という権力者でも、もっと強力な力を持っている相手にはどうあっても敵わないんだよ。それが権力の怖さだ。逆らえばカナはどこまでも叩かれ、死んでいたかもしれない。お前、この娘を殺さなくてよかったなあ。モンペイ様がついている限り、お前を娘殺しに仕立て上げるのも簡単なんだよ。くっくくく…」

 「…そして…」母親は衣服をするりと脱いで、全裸になった。「…ここから先は権力のうまみを教えてやるよ。力を握った者がどれだけ幸せになれるか、その体に叩き込んであげる。基本的に私は娼婦ではないが、セックスには自信がある。15でカナを産み、権力に同調するために苦労はしたが、服従がうまくいって幸せになれてから、私はずいぶん遊ぶことができたからね。」この母親はまだ20代だった。しかし、年齢よりもずいぶん老けて見える。まだサラやりルカのほうが若々しかった。

 「さあカナ…遊びは終わりだよ。さっさとこいつの精を奪い取れ。ちゃんと膣に注がせるんだ。これ以上打たれたくなければ早くしろ。」「はい…おかあさま…」

 カナが痛みをこらえながら動き出した。次の瞬間、彼女はジャンプして僕に飛び掛り、ベッドに押し倒した。「うわあ!」「子供といっても、これまで数多くの大人の男を射精させてきたマンコだ。最高の天国だぞ。部屋の鍵は締まっている。どうせ逃げられはしないんだ、快楽を楽しむがいい。…そのあと私の体も愉しませてやるよ。」

 女の子のスベスベの肌触りが僕の体に密着する。これまでかろうじてこらえてきた性欲が再び強く僕を支配した。カナは僕の足にふかふかのふとももを絡め、ぎゅっと押し付けてきた。「あっ…だめ…」女性特有の弾力と肌触りが、僕を快楽へと責め立てていった。「安心しな。私らが妊娠したからといっても、お前に危険は及ばない。むしろ隠居の身として、政権をガイゼル様に預けた暁に、毎日のようにセックスの快楽を提供されるだろう。贅沢な食事も与えられ、気ままに自由に一生を過ごせるんだ。何も苦労しなくていい。国は全体主義の理想郷を実現する。誰もが幸せになれるすばらしい世界と、快楽漬けのお前の一生が待っているのだ。これ以上によいことがほかにあるだろうか。快感一色になるのだ…私らと交わった瞬間からな。」

 ペニスに生足がこすれるだけで射精しそうになっている。カナはもぞもぞと蠢きながら、ツルツルのオンナにペニスをあてがおうと腰を動かす。「だっ、だめ、だよ…カナちゃん…やめて…」僕は必死で彼女の肩を押し、その吸い付くような肌を遠ざけようとしたが、彼女は上半身下半身とぐいぐいしがみつき、決して僕から離れようとはしなかった。「カナちゃん…考え直すんだ…こんなことでは誰も幸せになんか…」

 「…仕方ないよ。」「え…」「たぶんルカさんは正しいのでしょう。でも、仕方ないよ。」「しかたないって…」「どうしようもないじゃないですか…逆らえば痛い思いをする…ムチだけでなく、立場とかもそうです。仕方ないんです。しょうがないんです。」「ちょっ、カナちゃん…」「仕方ないんですよ。無力な人は服従することでしか生きられない。お母様の言うとおりなんです。だから、しかたないよ…」

 カナは何かをあきらめきっているようだった。そして母親の言いつけどおり、ペニスを飲み込もうとせわしなく下半身を動かし続けている。僕は必死で抵抗し、下半身をずらし続けて、挿入されないように暴れ続けた。

 だが、カナはその華奢な体からは信じられないような力で僕の両腕を押さえつけ、上に乗って、何とか言いつけどおり挿入してこようとする。薬で弱められている僕が性欲に負け、彼女に体を許してしまうのも時間の問題だった。このままではこの国はガイゼルの手に落ちてしまう。逃げ出そうにも、ドアの鍵は閉められ、鍵は母親がしっかり握っていて奪えない…つまり完全に閉じ込められてしまっている。

 先っぽがぬるついたものに包み込まれた。「うわあ! だめ!!」僕は大きく腰を引いてペニスを膣から引き抜いた。それでもカナはしつこく腰を突き出してペニスを自分のオンナで包んでしまおうとぐいぐい迫ってきている。いつまでも抵抗はできない。一体どうしたらいいんだ…!

−選択肢−
必死でカナを説得する
必死でカナを引き離す
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(必死でカナを説得する)
 とにかく今は、必死でしがみついて僕を犯そうとしているカナちゃんを何とかしなければ。カナちゃんだって本心ではこんなことはしたくないはずなんだ。すべては母親の暴力を逃れるためだ。

 僕は彼女を説得し、脱出の糸口を探ることにした。僕を捕まえようとする相手が二人もいては敵わないと思ったからだ。まずはカナちゃんの破廉恥な行為をやめさせ、そこからあの悪魔の母親を突破する方法を探るしかない。

 「カナちゃん。よく聞いてくれ。ここで僕の子供を作っても、絶対に幸せにはなれない。ガイゼルやモンペイが素直に君とお母さんを幸福にしておくはずがない。」「仕方ないよ。」

 「仕方なくなんかないよ。人間はそんなに無力じゃない。権力に従うだけじゃ、幸せにはなれない。それだけが人間のあるべき姿なんて、間違ってる。服従して得られる快楽は、権力が与えるものでしかない。強いものに餌を与えられて満足するだけでは、ペットと同じではないか。」「仕方ないよ。」

 「僕は思うんだ。みんなが同じ生き方をし、強い者に従い、同じ方向だけを向く社会は、一番不幸な社会だって。服従者が増えれば、権力から一人あたりに与えられる量はそれだけ目減りし、結局誰もが周囲を憎み争って生きるしかなくなってしまう。服従者は互いに権力者から与えられた幸福を奪い合うようになって、最後には強い者だけが幸福を得て、ほかの者は服従したにもかかわらず何も得られない。強い者、つまり権力者だ。積極的に服従する社会は、権力者だけを幸福にし、服従者は絶対に幸せになれない。君のお母さんが求めているのは本物の地獄だ。」「仕方ないよ。」

 「いい加減にしてくれよカナちゃん。どうして何もかもが仕方ないんだ。どうして、抵抗してくれないのだ。悪を仕方ないといって野放しにすることが、その悪を最大に助長する手段となってしまう。仕方ないと言っている人間が一番の悪党となってしまうんだ。あきらめているふりをして、悪いことに一番積極的にかかわっているのが、仕方ないの一言ではないのか?」「仕方ないんだよ、ルカさん。」「…。」

 何を言っても、彼女は仕方ないとくり返すばかりだった。彼女は伏し目がちで僕の目を見ようとはしない。それでいて、母親の言いつけを早く完了させようと必死で腰を密着させ、いきり立ったペニスを飲み込もうと性器を開いて押し付けてくる。それだけに神経を集中させているんだ。

 理屈は一切通用しなかった。僕の言っていることが正論かどうかなんて、彼女にはどうでもいいことだった。ただ自分の利益になるかどうか、自分の不利益にならないかどうか…それだけがすべてだった。

 こちらの理性も飛びそうだった。彼女のスベスベした肌を全身に受け、もう何もかも捨てて快楽に身を任せ、天国を味わってしまってもいいかな。そんな思いが頭をかすめたとき、僕は自動的に彼女の背中を抱きしめていた。

 前面はこんなにもやわらかくしっとりして、男の情欲を誘うというのに、彼女の背中はそれとは正反対だった。ごわごわしていて、深い傷が手のひらから感じられた。ざらついた傷跡と、かかとのように硬くなった皮膚。僕ははっと我に帰った。

 僕は勝手だった。彼女の生い立ちや日常のことをほとんど考えずに、総論だけをぶつけていた。そんな程度で彼女を説得できるはずがない。彼女にとって、僕の”高尚な”言葉はただの戯言に過ぎない。それよりも目の前にある現実が第一なのだ。彼女にとっては、母親に苦しめられる現実から逃れることがすべてであり、最大の目標であった。

 抵抗してその暴力から開放される日が来るのを、彼女はもう待つことができないのだ。数秒のちには飛んでくるかもしれない鉄のムチを避けることで精一杯。だから仕方ない。僕の言葉など聴く耳は持つはずがない。正論かどうかなんてどうでもいい。

 亀頭が彼女のオンナに飲み込まれた。強い快感が全身をつらぬくが、僕は不思議と落ち着いていた。彼女は今まで、どんな思いをしてきたのだろうか。物心つくうちには母親に虐待されていた。ムチで打たれ、腹を殴られ、ふとももをひざで思いっきり蹴られて歩行困難になったこともあるだろう。それでも笑顔で歩かなければならなかった幼少時代。

 泣けばその分だけ叩かれ、泣いた後の、自分では止められない嗚咽をひっくひっくとくり返すたびにムチが飛び、何が何でもしゃっくりのような嗚咽を止めなければならなかった地獄の日々。心の底から笑うまで執拗に攻め抜かれた朝、虐待されてうれしいなうれしいなと歓喜の声を上げなければならなかった夕方、”なんとなく”痛めつけられる夜。

 受胎能力が芽生え始める頃にはすでに汚らしい男どもの相手をさせられていたのだろう。そのおぞましいセックスに対しても、いやな顔を少しでもすれば叩きのめされていた。だから、彼女は”自ら進んで喜んで”淫売に明け暮れるしかなかった。体も心も、何もかもを奪われた。前半身や顔に傷がないのは、商品に傷がつかないためでしかない。それ以外の内臓も背中も心の底までも、彼女は徹底的に虐待され、苦しめ抜かれ、しかも苦しいという感情を持つことさえ禁じられてきたのだ。

 僕は涙を流した。今のはあくまで想像でしかない。現実はもっと彼女に厳しく接してきたのだろう。神さまがいるのなら、どうして人間はここまでひどい目に遭わされなければならないのだろうか。

 彼女はもはや少女ではない。変わり果ててしまった。その積極的な腰使いは、すでに男どもを喜ばせる技術を叩き込まれた経験のしるしだった。彼女に力ずくで抵抗したって敵うはずもなかっただろうし、もちろんいかなる説得も受け入れられるはずはなかった。

 僕は彼女を無言で強く抱きしめ、落ち着いてペニスをゆっくりオンナから引き離した。しかし、今まで逃げようとばかりして引いていた腰は、今度は積極的に前に突き出す。「ふん。やっとその気になったか。カナに出したら今度は私にも精を注いでもらうよ。妊娠者が多いほうが謝礼も多いからね。早くしな!」母親も準備しようと自分の股間を指でクチュクチュまさぐっている。こんな奴に射精するくらいなら死んだほうがましだ。

 僕は巧みにペニスを突き出し、カナの両足の間にねじ込んでいった。「んっ…や、っ…」カナのオンナ表面はきれいにツルツルしていた。ジジイを喜ばせるためか、毛もきれいに剃ってある。いや、もしかしたら丁寧に抜かれているのかもしれない。どっちにしろ、犯しまわされたはずの性器はよどみなく、なおも清純さを保っている。

 だが、僕たちは彼女のその大切な部分が壊されるほど使い込まれ、けがされ続けたことを知っている。おそらくは薬剤か何かで整えてあるのだろう。そのことがかえって不憫だった。

 オンナ表面がペニスの上部を挟み込んだ。むっちりとウインナーを包み込むホットドックは、あまりにも甘美なぬくもりをペニスに伝えてきていた。そしてほかの部分をやさしく包む彼女の内股も、じっとり濡れていていやらしい。ペニスには挿入時に近い快楽が加えられている。

 そこで僕は精神を開放した。快楽に抗するのをやめ、体の力を抜き、その一方でカナを強く抱きしめた。ゆっくりと腰を前後に動かすと、彼女の愛液でぬるぬるになったスマタは、いとも簡単にペニスをしごきあげつつ抜き差しすることができた。体内の薬剤がパンパンに精子を溜め込み、しばらく抜いていないときのような新鮮な快楽をつむぎだしている。

 久しぶりのオナニーは強い快感をもたらす。女体でこすればなおさらだ。膣に挿入したら、母親のもくろみどおり、あっという間に果ててしまっていただろう。僕はごわごわに高質化した彼女の背中をやさしくさすりながら、ゆっくり腰を動かし続けた。カナのほうは脚をきつく閉じ、ペニスを強く締め付けたままじっとしている。

 「カナ…君を助けたい…」僕は母親に聞こえないような小声でカナにささやいた。布団をこする肉体の音のほうが大きく、母親に僕の言葉が届くことはない。何かをささやいていることはわかっても、内容までは聞き取れないはずだ。

 「カナ…僕と一緒に逃げよう。今まで逃げようとしても逃げられる環境じゃあなかったってだけなんだよね。それなら、僕と一緒なら、きっとうまくいくよ。だから、ね、逃げよう…」「んっ…だめ…仕方ない…です…ぅ…」「まだ説得なんてやってるのか。無駄だよ無駄無駄。とっとと出しちまえよ。」やはり母親に内容は聞き取られていないみたいだ。カナの仕方ないという口癖は、母親の勝利をまだ証明し続けている。

 僕は彼女の耳元に甘い息を吹きかけながら、なおもささやき続けた。「僕たちは無力じゃない。抵抗ができないなら、逃げることもできる。今なら逃げられる。そして…きっと今が逃げる最後のチャンスだ。今しかないんだ。僕が犯されたり、僕一人で逃げた後となっては、君はもう二度と、抵抗も逃げることもできなくなる…そのチャンスはなくなるんだ。」

 僕は彼女の背中こそを重点的にさすった。硬くなった部分だけに愛撫の手はなかなか届かないだろうが、誰もが触りたがらないだろう部分だからこそ、僕は懸命に彼女の背中を愛した。

 「このままでいいのか? 仕方ないと言って逃げられたものを逃げずに、また同じ毎日をくり返すのか。カナ…僕が逃がしてあげる。絶対に君を助ける。」「ルカ…王子…」「僕と一緒に行こう。仕方ないことも多いかもしれないけど、人生には”今”しなければならない一瞬というものもある。与えられる幸福だけじゃなくて、目の前の不幸を回避するだけじゃなくて、自分から、自分の意思で、積極的に行動を起こさないといけない瞬間がある。今がそのときなんだよ、カナ。絶対に僕が君の不幸を完全に振り払ってみせるから…僕を信じて!」

 カナが脱力した。ふにふにしたふとももの肉がペニスにこすれ続け、僕も限界を迎えた。「カナちゃん…僕は君を愛する。」僕は精液を思いっきり彼女の足の間に吐き出した。くすぐったい射精感が全身を駆け巡り、その瞬間やはり何も考えられなかった。カナも僕を強く抱きしめ、ぶるっと震えて体内を駆け巡る安心感と性感を愉しんだ。

 勝負はここからだった。「あっ、入れてないじゃないか!」カナのお尻の下から勢いよく白濁液が飛び出す。ふとももで出したのだから、反対側から飛び出すのは当然だった。その瞬間、母親の目からは挿入していたように見えたのが、入れておらずスマタで抜いただけということがばれてしまったのだ。

 「くそガキどもが…カナ、どうなるかわかってんだろうなっ!」母親がムチを持ったまま全裸で駆け寄ってくる。形相は虐待者の、すなわち鬼のものに他ならなかった。

 勝負の瞬間は今しかない。母親を倒すんだ。もしカナがここで母親を助け僕を羽交い絞めにしたら、僕の負けだ。母親への恐怖から、何とか許してもらおうと、僕を捕まえれば、僕はカナを説得できなかったことになり、僕は犯され、カナは徹底的に痛めつけられて、すべては終わる。しかしもし、カナの心を動かすことができていたなら、まだ糸口はある。

 僕は立ち上がった。もうひるむものか。絶対にカナを逃がすんだ。約束したんだ。

 カナもすばやく立ち上がった。そして、ベッドの隅に置いてある箱に手を伸ばした。きれいな布がかけられていた四角い物体は、レバー式のスイッチのようだった。カナは無言で布を取ってレバーを引く。すると家のあちこちでカチャリと音がして、次の瞬間すべてのドアが開いた。

 「なっ、…カナ、てめえ…」母親は突然の展開に足を止め、状況を理解してから、カナを思い切り睨みつけた。「ルカ王子、ここは娼館で高官も泊まりに来る施設ですから、火災などの際に無事脱出できるように、魔法の力で一瞬でドアをすべて開ける装置が内蔵されているんです。」「カナ…ちゃん…?」

 「くそがきが…思い知りやがれっ!!」母親はムチを振り上げた。渾身の力で打つつもりだな。そうはさせるか!

 「やめろおお!」僕は母親に飛び掛った。ベッドの上から全体重と勢いをかけ、母鬼のひざに全力で飛びついた。「うがあ!」母親はバランスを崩し、数歩後ずさった。が、大人だからしりもちをつくでもなく、足の力で体勢を守り抜いた。「くそガキがっ! 離せ!」鬼が腰をひねる。まずい、強く蹴られてしまう。そう直感したが、身を守ることができなかった。鬼のひざが僕のわき腹、華奢な肋骨を狙っている。

 「わああああああっ!!!」頭上で声がした。次の瞬間、母親は後頭部を打ち付けて仰向けに倒れた。見ると、カナが母親の首に飛び掛っていた。僕とカナの二人が飛び掛ったので、さすがの大人もバランスを完全に崩して倒れてしまったのだ。

 「カナッ!」「早く逃げましょう、ルカ王子!」「うん!」僕はすばやく立ち上がり、カナの手を引いて廊下に出て、玄関めがけて走り出した。

 「ふざけるな! 二人とも殺してやる! まてえ!」すぐに母親が追いかけてきた。「イル・エ・ホミ・ホナミ・アド・ボス・ラグリータ…地の力に神の加護を。…グラビティ!」

 僕はとっさに呪文を唱え、重力魔法を母鬼にぶつけた。ずいぶん昔にサラに習って、話半分でろくに覚えていなかった高等呪文だった。しかし、詠唱に不備はなく、不思議とスムーズに呪文を唱えることができた。

 「がっ…ぐ…」母親の動きが鈍くなった。数倍の重力が彼女の全身にかかり、相当の力を出さなければ歩くこともままならなくなっている。「クソが…まちやが…れ…殺す…絶対殺すぞ…ガキが…まて…」ズンズン音を立てながら母親が追いかけてくる。僕はカナの手を引いて玄関を飛び出し、全力で夜の闇を駆け抜け始めた。

 「逃げられると思うな! 絶対に捕まえてやる! カナ、覚えていろよ。死ぬ一歩手前まで追い詰めてやるかんな! 絶対に逃げられないんだよ! ちくしょうめが!」母親が玄関口で大声を張り上げている。

 「…ルカ王子!」不意にカナが僕の手を振りほどいた。「か、カナ…?」「…ここから先は、お一人で逃げてください。」「なっ…何を言ってるんだ。」「あの施設にはモンペイに直通の通信装置があります。今頃は連絡もしているでしょう。この島のほぼ全員がモンペイの息のかかった住民です。だから、これから島中の女性があなたを探して町中をしらみつぶしに探し始めます。」「…。」

 「だから、二人で逃げていては見つかってしまうんです。だから、一人で逃げてください。そして、どうかご無事で…。」「だめだよカナ! 約束したじゃないか。二人で逃げるって。僕が必ずカナを逃がすって。」「…ありがとうございました。本当にうれしかった。一瞬でも、自分の意思で逃げることができたから、それが私の生きた記録なんだって、その誇りを持つことができました。」「カナ…」

 「早く逃げてください。すぐに追っ手がきます。」「なおさらだ。絶対に君と一緒に逃げる。」「いけません。私は足手まといです。二人では見つかってしまいます。それに…」カナは後ろを向いた。背中から大量の血が流れていた。僕の手にも体のあちこちにも、赤い血がついている。

 「…汚してしまって申し訳ありませんでした。さっきのムチから…血が止まらないんです。血が滴っていれば見つかってしまうし、私も…限界のようです。」「カナ! しっかりして!」「これ以上は走れないから…どうか一人で逃げて…お願いです。」

 「うぅ!」突然激しい頭痛が襲った。使い慣れていない高等魔法を使って、魔力を無理に削ったせいで、激しい偏頭痛に見舞われたのだった。頭痛はすぐに治まったが、魔法の乱用をすれば肉体が蝕まれるという警告なのだろう。

 「カナ…」「大丈夫ですか?」「大丈夫だ。…絶対に、約束は守る。必ず君を連れてこの島を出る。絶対に君を逃がし、守るんだ。」「…はい、お待ち申しております。」カナはやさしく微笑んだ。「…必ず、迎えにいくからね。」僕はカナを置いて一人で走っていった。…たぶん、二度と彼女には会えないだろう。罪悪感を振り切りながら、今は脱出するしかないと心に言い聞かせるほかはなかった。

 服を着ていない。全裸で走り回るのがむずがゆい感じだ。が、今はそんなことを言ってはいられなかった。大通りを避け、柱や壁に隠れながら、港に向かって進んでいった。あちこちで足音や女たちの話し声、衣擦れの音が聞こえる。カナの言ったとおり町中の女たちが僕を探して駆けずり回っているのだろう。僕は彼女たちに見つからないように、足音や声を避け、その反対側に逃げていった。偶然にも、僕の進む方向は、港に向いていた。街の女性たちを避けて走ることが、同時に港に足を進めることにもなっている。うまくいけば誰にも見つからないように港にたどり着くかもしれない。カナの思いを無駄にしないためにも、なんとしても脱出するんだ。

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(必死でカナを引き離す)
 とにかく今は、必死でしがみついて僕を犯そうとしているカナちゃんを何とかしなければ。カナちゃんだって本心ではこんなことはしたくないはずなんだ。すべては母親の暴力を逃れるためだ。

 それなら、まずはカナちゃんを力ずくでも引き剥がし、次いで母親から鍵を奪って、すばやく脱出するしかない。うまく身のこなしを決めれば、大人の足の間をすり抜けるように脱出できるかもしれない。難しい状況だが、巧みに切り抜けるしか、活路を開く方法はないんだ。

 「だめだよっ、カナちゃん!」僕はぐいっと彼女の肩を押しのけ、体を引き剥がした。それでも無理にしがみつこうとしている彼女を足で押し戻しながら、なんとか少女から体を引き離すことができた。

 「あう…」女の子との密着がなくなったとたん、全身が強烈に疼いた。少女のぬくもりから無理に体を引き離し、通り抜ける風がことさらに冷たく感じる。その身を切るような空気が、僕を快楽への激しい欲動に駆り立て続ける。

 「つらいはずだよ。薬でお前の体は性欲の固まりになっているんだ。そしてやっと女の肌に触れることができて肉体が安心したところに、無理やり体を引き離せば、その体は悲鳴を上げる。強烈な”おあずけ”を食らっているのと同じだからね。もう無駄な抵抗はやめることだ。そのままでは理性もろともお前の体は壊れてしまうぞ。」

 たしかにこのままでは本当に壊れてしまいそうだ。僕はぎりぎりの限界状態の中で、それでも事態を打開する方法を模索し、一つの賭けに出る。「イル・エ・ミホ・ナミホ・アドラグータ…地の力に神の加護を。…グラビティ!」僕はうろ覚えの重力魔法を唱えた。ずっと昔サラに習って、まじめに習得しなかった補助魔法だ。かなりの魔力を費やす強力魔法で、成功すれば相手を強い重力に巻き込み、動きを抑えることができる。

 「…今、何かしたのかい?」「うぅ…やっぱり…」魔法は成功しなかった。詠唱が間違っていたのか、発動方法が違っていたのか。「ふははは、お前のような付け焼刃の魔法など一切効かないよ。いいかい、グラビティの魔法は相当の魔力を必要とする。お前なんかにできるものか。モンペイ様の足元にも及ばないひよっこめが。」「くそ…」こんなことなら、ちゃんと魔法の勉強をしておけばよかった。…いまさら後悔しても遅いが。

 「それに、グラビティの魔法をかけられるのは一度に一人だけだ。きちんとターゲットを絞らずに私らを抑えようったってそうはいかないよ。」母親は棚においてあった小さな玉を手に取ると、コップの水に放り込み、小さなテーブルの上に置いた。玉は大量のあぶくを出して水に溶け始める。シュウシュウと音がする炭酸のような溶け方だ。

 見る見るうちに玉は小さくなっていき、やがて完全に水に溶けてしまった。水はさらにガスを吐き出し、ぼこぼこと小さく大量に泡を吐き続ける。コップの水かさがみるみる減っていった。つまり、コップの水が炭酸のような泡とともに揮発し、気体となって部屋に充満し始めているのだ。「この薬は男も女も狂わせる催淫ガスさ。どうやらお前の精神力はかなりのもののようだな…夕食に混ぜた薬剤では足りないらしい。だからコイツで止めを刺す。我を忘れて快楽におぼれるがいい。」

 密閉された部屋の空気が薄い青に染まる。限りなく透明に近い青い淫気は、僕たちの呼吸から、皮膚から、どんどん吸収されていく。「この薬は水に溶かすとあっという間に溶け、水を揮発させる。その気体を吸い込んだり肌に付着させれば、人間は強烈な性欲に支配される。もともと乱交パーティ会場で使う”ムード作り”のための薬だ。さっきの薬と併用してしまってはお前の精神が正常に保たれるかチト不安だが、大事なのはお前の精子だけだ。かまうものか。」

 「あ…か…」こみ上げてくるのは、ただの性欲ではなかった。性欲だけなら、すでにさっきの薬で十分かきたてられている。壊れそうになりながら、強い意志と母鬼への怒りで、どうにか抑えられていたのだ。

 しかし、今度こみ上げてきたのは、それとははっきりと違うものだった。目の前の女たちが異様になまめかしく感じる。全身がくすぐったく疼きながら、ベッドについたしりもちが心地よい。挿入されないように手でペニスを隠しているが、自分の手の感触がまるで女性の手で包まれているような心地よさに変わっている。

 じりじり近づいてくる母親の肉体が、悪魔の憎らしい肢体が、あまりにも魅力的に思えている。自分でも理由はわからない。背が高く、胸はCカップくらいだ。腰がくびれておらず、カナを絞ることによって肥えた腰周りが、彼女を老けて見せている。わずかに出っ張った腹部が、その贅沢な暮らしぶりを示していた。さっきまで怒りと憎悪によって、その裸体を見たところで感じるでもなく、むしろ嫌悪感がむき出しになっていたのに、今はまったく違っていた。なぜかはまったくわからない。

 少し前かがみになって垂れた乳は立派な谷間を作っている。これで挟み込まれたらどんなに心地よいだろう。肩も腕も妙齢の女性のきめの細かさを備えているように思えた。さっきまでは荒れ果てた肌のように見えていたのに、見え方がまるで変わってしまっている。膨らんだ腰やおなかも、女性特有のやわらかさを具えていて、包まれたらさぞかし心地いいだろう。薄く毛の生えた女性器の奥底まで見たくなっている。太いふとももや、それとは裏腹にしなやかなふくらはぎがなんともセクシーだ。

 「ふふふ…子供でも男なのに変わりはない。ヤったらそれはそれでいい気持ちだろうよ。愉しませてくれよ。」母親は顔が上気して赤くなっている。内股に愛液が滴っているのが見え、それが僕をさらに興奮させた。「ルカ王子…私も我慢できなくって…」振り返ると、華奢な体のカナちゃんがしりもちをついて起き上がったまま自分の股間を両手でまさぐっている。上気した顔とつぶらな瞳、それでいてすばやく動く自分の指…オナニーに夢中になっている女の子の姿だった。

 彼女の姿もあまりにも妖艶に映った。胸がぺったんこな代わりに、大人にはないきめの細かいみずみずしい肌がそこにあった。小さな肩、小さく細いながらもシコシコした女の肌触りを具えた生足、かわいい顔立ち…すでに何人もの男を昇天させたその熟練の、それでいて幼い性器に早く入れてしまいたい。風呂上りの芳香と血の香りの入り混じったカナちゃんの匂いをもっと間近で味わいたい。

 「この揮発性の薬は、男も女も興奮させる。私もカナももうお前に夢中だよ…ああ、早くその小さな男の体を触りたい。もっと抱きしめて、めちゃめちゃにしてやりたい。」「く、くるな…」「ルカさまぁ…」「やめろ…うぅ…」僕はよろよろと立ち上がって女たちを避けようと後ずさりし始めた。しかし彼女たちの裸から目をそらすことはついにできなかった。

 「お前ももう私たちの魅力に取り付かれているはずさ。夕食との薬と違って、どんな男女でも興奮して交われるスワップ用の薬剤だからね。異性のどこもかしこもがことさらに魅力的に思える効果がある。女の耳や肩のような、普段ならなんでもないような場所にだって激しく性的な魅力を感じ、魅了されちまう。…もっとも、女にとっても同様だけどね。ああ、ルカ…お前の小顔も小さい突起もすべてがかわいくいとおしい…早く抱いてくれ…逃げなくてもいいんだよ?」

 「やあっ!」僕は後ずさったままベッドから降りようとした。しかしその前に、カナの小さな手が僕の手をぎゅっと握り締めた。「逃げちゃだめですよぅ王子…」「ああっ!」彼女に手を握られた瞬間、電気が走ったような衝撃を受けた。その手のむちっとしたやわらかい感触とスベスベ包み込むやさしさが、僕を一瞬でとりこにしてしまった。全身の血が逆流したようにじわじわと頭がしびれ、心臓が高鳴る。

 「もう我慢できないんでしょう? この催淫ガスを吸えば、性感神経が過敏になる。強い風が当たっただけで気持ちよくなれる。異性が数倍も魅力的に思えるのもその効果のひとつ。そんな中でおちんちんを触ったり入れちゃったりしたら、いったいどうなるんでしょうねえ。」ああ…悪魔のような女のはずなのに、その声が僕の耳と心をくすぐる。甘えるような、それでいて心の底を犯すような、凄艶なささやきだった。

 「さあルカ王子…ひとつになりましょう…」女の子の甘いささやきは母親以上だった。僕はもう身動きが取れなくなっている。夕食時の催淫剤とかけ合わさって、もはや理性で抑えきれるようなものではなくなっていた。自分が自分でないような、ただセックスに駆り立てられる自動人形に仕立て上げられている感覚だ。

 その条件は女たちも同じはずだった。こっちが快感を与えれば、通常以上の性感ダメージを二人に与えることができる。しかし、彼女たちの夕食には薬は入っていなかった。明らかにこちらの射精のほうが早いに決まってる。絶体絶命のピンチだった。

 それにしても、彼女たちは簡単には抱きついてこなかった。示し合わせたように慎重になっている。じりじりと僕のすぐ近くにまで迫っておきながら、それ以上に押し倒して挿入に持ち込むということを安易にしない。

 「はうぅ…」僕は自分の意思とは無関係に腰をくねらせながら自分のペニスを激しくしごき始めた。「だめよ!」母親ががっしりと僕の両手首をつかんで上に引っ張りあげた。女手のしなやかさとやわらかさで、また全身に電撃のようなじわりとした快感が走る。「濃い精液をしっかりカナに注いでもらわなくっちゃね。失敗して外に出されたら苦労が水の泡。慎重にね。」それで慎重だったのか。ヘタに抱きつけばその勢いで射精してしまうかもしれない。彼女たちとしてはそれは避けたいところだった。

 母親は僕の両手首を握り締めたまま仰向けに倒し、ベッドに固定した。「や、やあっ、だめえ…」僕は最後の理性を振り絞って、足をばたつかせたり腰を左右にひねったりくねらせたりして、本番挿入に抗った。が、それはすべて無駄な努力であった。

 「私の匂いを嗅ぎなさい。」母親のオンナが僕の顔の前に突き出された。花のような香りが顔面に広がる。「女のアソコの匂いを、男を狂わせる魔性の芳香に変える薬。私もカナもいつも飲んでいるのよ。ここは娼館、淫らな薬なら何でも揃ってるんだ。」クスリクスリって、本当にそれは安全なのだろうか。いや…彼女たちにとってそんなことはどうでもいいことなのかもしれない。人間の性感や精神に急激に作用する薬剤が有毒でないはずはないのだから。

 頭がボーっとする。何も考えられなくなっていた。僕は脱力し、足をだらんと投げ出した。「さあ、カナ…はじめなさい。」「はい、お母様…」遠くで話し声が聞こえる。聴覚まで狂ってしまい、もう、近くでの話し声さえも隣の部屋の出来事のように思えてきた。甘い香りがどんどん脳を犯している。夕食に混ぜられた薬で精子がパンパンに溜め込まれ、揮発する水で性感神経が敏感になり、母親のオンナの香りを嗅いで自分を見失った。僕はすべてをあきらめた。

 まっすぐ上に立っているペニスが一気に柔らかい筒に包まれた。彼女自身も興奮し、熱く湿っている肉の塊がペニスをぎゅうぎゅうに締め上げる。僕はカナの中に入れられてしまったのだった。

 これまで感じたことのない強烈な快感が、股間から全身にひろがった。これまでどうにかして、挿入の危機だけは避けてきたから、実際にオンナの中に入る感触を味わうのは初めてのことだった。それだけに、その心地よさは言葉に言い表せないほどだった。

 「んああっ!」入れられた瞬間に、溜まりに溜まっていた精液が勢いよく放出された。ガマンするとかしないとかのレベルではなかった。意思とはまったく関係なく、ペニスを包む肉厚のぬくもりだけで、勝手に精子が搾り出されてしまったのだった。

 「あうあああーっ!」ペニスは休むことなく脈打ち続け、ドクドクと精子を吐き出し続ける。カナは動かないまま僕の上で子種を吸い上げ続けている。僕は快感一色に染め上げられ、何も考えられなくなっていた。

 これまで、入れられまいとがんばって女体を避け続けてきたつけが回ったようだ。薬によって精巣に限界まで精子が溜め込まれ、出したくてたまらなくなっていたところで、性感に極度に敏感になってしまい、そこで二人がかりでいきなり強烈な快感攻撃を受けたのだ。しかも挿入に慣れているわけでもない。当然入れられた瞬間に射精してしまうことになる。

 カナの膣は自動的にモギュモギュ蠢き、射精時間をいやがおうにも引き伸ばしてくる。ペニスをきつく包み込んで、カリなどの敏感な場所にちょうどよく突起があり、締まって揉まれるたびに新たな快感が送り込まれる。その刺激で、体内に溜め込まれた精液のすべてが、彼女の体内に送り込まれてしまう。

 「やっぱり慣れていないと、入れただけで出しちまったね。計算どおりだ。そんな状態で、もししごかれたりしたらどうなるだろうねえ。…カナ、もうこの子は敵じゃあない。私らの大切なお客様だ。しっかり喜ばせて差し上げなさい。」「はい、お母様…」

 カナがゆっくりと全身を上下させ始めた。「あ、ああっ…! ひゃああ!」出したばかりの敏感なペニスが再び快感に責めさいなまれた。ペニスをがっしり包み込んでいた無数のヒダがぐりぐりと僕の小さな肉棒をいっせいにしごきたて始めたのだ。細かいところまでしっかり侵入している肉壁は、敏感なところを満遍なく刺激し、強くやさしく棒をしごいた。

 僕は腰をひねって快感に打ち震えた。根元から先端まで気持ちいい刺激にさらされている。「何度もそうやってオマンコにしごかれていれば、肉棒だって強くなれる。でも、初めてじゃあ、敏感すぎて耐え切れないだろう? くっくく…」

 薬剤がまだ体内に残っている。効果が切れるまでにまだまだ時間がかかりそうだった。当然、出したばかりでも急ピッチで精子が溜め込まれることになる。しかも股間が快感一色に染め上げられていれば、二度目も時間の問題だった。

 カナの腰の動きがだんだん早く、リズミカルになっていく。甘美な膣の感触は快感の度合いを増し、ますますねっとりと絡み付いてきた。くねくねと回転しながらいやらしく上下する腰と、そのつどペニスに絶妙な快感を与えてくる彼女のオンナは、もはや僕より年下の子供の性器ではなく、完全に娼婦のそれであった。

 カナは小さな手を僕のおなかの上に置いてバランスをとりながら、腰だけをすばやく上下させ続けた。老いた高官どもを悦ばせた膣が、今は幼い敏感なペニスをにゅるにゅるとしごきたて揉みたてている。

 また、体の底からくすぐったくなってきた。射精感が広がっていく。程なくして、僕はカナに二度目の射精をした。僕がぐったりすると、母親が顔からどいた。

 彼女は手に何かを塗りつけている。彼女が目配せをするとカナが離れた。ペニスはまだいきり立っている。しかし、玉袋のほうは痛み始め、枯渇した疲労感も広がっている。薬の効果で性欲だけは衰えていないが、肝心の精子の生産が追いついていない状態で、出し尽くした疲れが肉体を支配し始めている。出そうと思えばたしかにまだ続けられそうだが、連続して3度も出せばあとは苦痛ばかりで、場合によっては気を失ってしまうかもしれない。

 母親のほうはそれを承知していたようだ。メンソールの香りのする、緑色の透き通ったクリームを手のひらにつけると、いきり立ったまま苦しんでいるペニスや玉袋、会陰やお尻の穴周辺にまで、丹念に塗りこみ始めた。スースーする刺激が股間全体に広がり、しみこんでくる冷たい刺激がジンジンと刺すように肌を刺激した。それでいて、母親の女手やしなやかな指が股間をすべるたびに、そのやわらかい感触に身もだえし、性欲は高まるばかりであった。足の付け根をすべる指先が特にくすぐったかった。

 メンソールの冷たい刺激が、次第に熱を帯びてきた。股間の奥が熱くなってくる。出しすぎて疲れていたはずの玉袋から痛みが引き、その代わりに射精前と同じような性欲の疼きが頭をもたげるのだった。「お前は若いからわからないだろうけど、年を取ってくると本当に男は射精できなくなってくる。だから愉しむために無理にでも精子を作らなければならないし性欲を駆り立てないといけない。そして、長く愉しむためには、出して疲労困憊してはいけない。痛みを和らげ、精力を回復させる必要がある。これはそのための回復薬さ。」

 しばらくすると、ペニスはすっかり元気を取り戻していた。「さあこれで、さっきと同じ濃い精を出すことができるはずだよ。カナ、この子に膝枕をして差し上げなさい。」カナは言われたとおりにした。少し持ち上げられた上半身、後頭部にはカナのスベスベのふとももの感触が広がった。そして視界には、いきり立った自分のペニスが目の当たりとなった。

 「今度は私に精を注いでもらうよ。妊娠は一人よりも二人のほうが確実だからね。謝礼も二倍。これで絶大な権力が私らのものになる。私らの子供もその栄華にあやかることができる。あははっ、最高だよ!」言いながら母親は、さっきのクリームを自分のオンナに塗りつけている。足を大きく開いて自分の性器を指先でかき回す光景はとてもいやらしかった。

 今度は母親が騎乗位で跨ってきた。勃起していながら、母親の中指ほどしかない小さなペニスをつまむと、彼女は自分の膣にそれを乱暴に放り込むようにして納めていった。「んあっ!」さっきと同じように僕は受身でカナの母親にペニスを飲み込まれてしまった。

 彼女のオンナはカナのそれとはまるで違っていた。ドロドロにとろけたような肉壁がペニスを包み込んでいながら、それでいて万力のような圧迫が小さな棒を押しつぶそうとしている。ざらついた突起があちこちにありながら、ぬるぬるした体液に満たされていてペニスまで溶かそうとしている。

 「大人の女の刺激も教えてやるよ。そおらっ!」彼女は片手を腰に当てながらいきなり激しく腰を上下させ始めた。「ああ、だめえ!」股間全体が溶けそうになっている。神経がなくなってしまったように感覚がなくなり、自分の意思で動かすことができない。それでいて性感神経だけは敏感に反応し続け、全身を強烈な快楽に包み込む。

 その全身が大きく上下すると、乳房がゆさゆさと上下する。おっぱいの重みをバネにしてますますなまめかしく女体が上下する。腰は小刻みに前後し、時折大きくグラインドしたり、強く左右にひねられたりした。大きく開かれた彼女の太い足をばたばたと小刻みに開閉すると、大人のレディの性器ももぐもぐとペニスを揉みしだき、さまざまな刺激が一気に股間に襲い掛かるように調節が施された。

 僕の腰周りよりもはるかに大きな母親の腰が、華奢な少年の上で歌うように踊り続けていた。カナの時にはあまり聞こえなかった、粘液の絡みつくグチョグチョという音が部屋全体に響き渡る。「ほらほら、カナとは違う気持ちよさだろう!? もっと私の体で感じるのだ。そらっそらっ!」「ひゃうああっ!」

 メンソールの香りが広がっている。さっきのクリームはペニスを回復させるだけではない。どうやら強烈な催淫効果もあるようだ。そのおかげで母親のオンナがますます甘美な感触を具えるようになっている。にゅるにゅるとこすればこするほど、クリームはぬるぬる感を増し、セックスの快感を倍増させ続ける。つまり母親が腰を動かせば動かすほど、ペニスはますます敏感になり、イキやすくなるというわけだ。

 カナの小さな両手は僕の胸をやさしくさすり、時折乳首をこちょこちょと指先でくすぐってくれる。しかしそのかわいらしい顔は、ぞっとするほど無表情だった。母親の動きは僕をとことん追い詰め、容赦なく射精に駆り立てた。3度目ではあるが、あと少しでイッてしまいそうになる。体の奥がくすぐったくなり、徐々にこみ上げてくる。

 ぐぐっ! 「ううっ!?」突然母親は動きを止めた。その代わりに、オンナが強く締まり、ペニスが引きちぎられそうになってしまう。それでいてやわらかい感触で包み込む快感はとことんまで増していた。ペニスは根元まで彼女の中に入ってしまっている。

 オナニーしたときにイク寸前で手を止めると、じわりとした快感に包まれ、程なくして自動的に射精が始まる。そのときの心地よさや脱力感は夢精にも近いものがあった。今まさに、母親の体で、それと同じ快感がつむぎだされているのだった。「ああっ、また出ますぅ…!」

 ペニスが脈打つ寸前の、強い快感に包まれた。僕は何も考えられず、肉体とともにすべてを放出する心構えを作った。体の力を抜き、快感にすべてをゆだねる。

 「…え? あっ、なん、で…? …やぁっ!」僕はぶるっと震えた。寸前まで高められているのにもかかわらず、時折ビクッとペニスが脈打ち、射精が始まっているはずなのに、射精しているときの最高の快感が脳の奥まで支配しまくっているというのに、精液が出てこない。ただただ、イク時の快感が持続し続けるばかりであった。

 「本気で締めればこんなものよ。どうだ? イッているのに射精できない感覚は。精液を出し切るまで絶頂は終わらない。だからずっと気持ちいいままだ。狂いそうだろう?」「ひいっ、やだぁ…許して…」「だめだ、まだまだ! もっともっと精を溜め込むのだ。濃い精子がほしい。それを一気に出せ。妊娠するために、出し尽くした薄い出がらしでは意味がないんだよ。」「そんな…あひっ!!」

 母親は後ろ手で玉袋を揉み、手のひらでさすり、指先でころころ転がした。「ひゃあ! やあ!」僕は悶絶したが、体を動かすことができない。カナは相変わらず僕の上半身を愛撫し続けている。心地よい筒は体の奥底まで犯し続けている。彼女が動いていたときには直接ペニス表面が快感にさらされていたが、動きを止めて締めている段階では、むしろペニスの奥の体内が強い快感に包まれている。

 「ふふっ、パンパンになってきた。限界まで溜め込むのだ。」しなやかな指先で僕の小さな玉袋をコショコショしながら、その重みを確かめているようだった。「ほぉら。」母親が大きくゆっくり腰をひねり、さらに回転させた。びくびくっ! ペニスが律動する。やっと射精できるかと思ったが、脈打つ快感を味わっただけで、放出はまだだった。膣の締まりが出口を完全にふさぎ、射精を許さない。

 ゆっくり動いてはまた動きを止め、その間中ずっと膣は締めっぱなしだ。僕はとっくに限界に達し、いつ射精してもおかしくない状態だった。寸前の、強い快感がずっと持続して小さな肉体を駆け巡り続けている。「お願いです、出させてえ!」僕はもうどうにかなってしまいそうだった。「どお? 権力の快楽を認める!?」「認めます!」「力さえあれば、こうして気持ちいい思いができる。そうでしょう?」「そのとおりですぅ…!」「…大変よくできました。」

 母親は僕のおなかに手をのせ、小刻みに腰を上下させた! 2,3センチの動きでしかなかったが、膣の締まりが緩められ、まとわりつく肉壁で軽くこする動きだった。スベスベの手のひらが僕のおなかを滑りまわる。

 「あひいいっ!」突然の刺激に一気に射精感が高まった。せき止められていた精子が一気に外に押し出される。僕は上半身を大きくのけぞらせ、尿道を通っていく体液の律動にあわせて全身をびくびくと打ち震わせた。溜め込まれた濃い精液はすべて母親の子宮めがけて力強く放出され、すべてを吸い上げられてしまっていた。律動のスピードも速く、それが快感をいつも以上に高めていた。

 カナのときと同じ、あるいはそれ以上に、射精の時間が長引いていた。その間中頭の中が真っ白になる多幸感に包まれ、脱力して快感を味わうばかりとなっていた。

 やっと脈うちが終わっても、母親は離してくれなかった。結合したまま巧みに体を回転させると、こちらに背中を向けた女性逆上位の体位になった。「ダメ押しにもう一回出してもらいましょう。…カナにしてくれたようにね。」そのままズシュッズチュッと腰を上下に振り始めた。

 大きな臀部がいやらしく膨らんだまま、なまめかしく上下している。ぺたぺたとおもちのようにくっついては離れていくお尻のやわらかい感触をおなかに受け、僕は射精したばかりだというのに新たな刺激に悶絶させられた。

 母親は腰の動きを前後運動に切り替えた。いやらしい音を立てながらペニスが彼女の膣に揉みしだかれる。スベスベのお尻の肌が僕の腰をすべると、またもや玉袋に精子が溜め込まれ始めるのを感じた。このまま出させられてしまうのは確実だった。

 「カナ、手伝いなさい。さすがに4回連続はこの子にはきついわ。でもきちんと、枯渇するまで絞りきるのよ!」「はい…」娘は優しく膝枕を解き、僕の股間へと移動した。「うわあっ!」次の瞬間、股間への刺激が急激に鋭く甘美なものに変わった。

 玉袋までが生暖かい感触に包まれている。カナが小さな玉袋を、その小さな口の中にすっぽり飲み込んでしまったのだ。決して歯を立てず、赤ちゃんが吸うようにチューっと吸い込み、根元から口の中に収めてしまったのだ。玉袋の付け根はカナのぷるんとした唇に圧迫されている。母親は小刻みな上下運動に切り替え、カリなどの先端を重点的にしごく動きになった。それでもなまめかしいお尻は健在だった。

 カナの口がもごもご動く。「ひいい!」やわらかい口腔で玉袋全体が揉みしだかれ、さらにやわらかい舌がコロコロとあちこちをくすぐっている。さっき母親が玉袋を揉んだりくすぐったりしていたが、その両方が一度に襲い掛かったみたいだった。カナは一生懸命奥まで顔を突っ込み、ぬるぬるした口で健気に玉袋全体を刺激し、内部を徹底的にかき回して、精子を溜め込ませ、さらに全部放出させようとしているのだ。

 亀頭はざらついた膣でこれでもかとしごかれている。そしてカナの口が、精巣の精子を口腔や舌先でかき回し、無理にでも外へ押し出そうと蠢き続けている。小さな両手指先が、敏感な股の付け根をくすぐると、僕はまた耐え切れなくなった。

 「んっく!」さすがに薄くなった精液が、それでも母親の子宮に吸い上げられていく。股間が激しく痛み、射精の運動が連続して激しく続いたことによる疲労が全身を支配した。

 親子は緑色のクリームを股間に丹念に塗ってくれた。痛みは和らいだ。が、出し尽くしたことによるぐったりした疲労だけはどうすることもできなかった。強い眠気、というより、意識混濁が襲ってくる。わけがわからなくなり、僕はそのまま眠りの世界に落ちていく感覚を味わった。あ、自分は気を失うのだな。そう思った次の瞬間、感覚が完全に失われた。丸一日、僕は気を失い続けていたようだ。

 それからの展開はあまりにもスピーディだった。待ち構えていたようにモンペイとガイゼルが現れ、僕は王宮に連れ戻された。そして即座に裁判にかけられた。ガイゼルは周到に用意を済ませていて、すぐさま訴えを起こしたのだ。誰かを妊娠させた事実があるだけで、僕は王位継承権を失い、国はガイゼルのものとなる。

 王側にもガイゼルにもつかない中立の魔導師が空中にスクリーンを描き出し、あの娼館の親子の子宮を大きく映し出す。もちろんいやらしい意味ではなく、受精卵の着床状況を映し出すのだ。魔法の力は強く、目には見えない受精卵を大きく映し出すことができる。しかも、僕にはよくわからないが、その受精卵をさらに徹底的に拡大すると螺旋状の構造が見えてきて、その組み合わせから、父親母親が誰であるかもわかるらしい。

 魔導師のスクリーンには、間違いなく僕の精子と、カナおよびその母親の卵子とが結合した受精卵がはっきりと映し出された。その瞬間僕の”有罪”が確定した。二人とも妊娠していることが明らかとなったのだ。もはや弁明の余地はなかった。父親は間違いなくこの僕だった。その日のうちに判決が下る。この瞬間、国はガイゼルのものとなった。この男はすでに用意していた訴状を次々と裁判所に提出し、まったく正当な手続きで父王を玉座から引き摺り下ろし、僕をガイゼルの支配する館に無期限で軟禁することができたのだ。

 それからというもの、世界にとっては地獄の日々が始まり、僕にとっては天国の日々が始まった。反乱の口実が作られないよう、僕の生活は手厚く保護された。もちろん奴は、国中に目を光らせ、少しでも反逆の恐れがある輩は秘密裏に始末し、また時折見せしめに公開処刑している。僕と父と、ガイゼルおよびその取り巻きだけが、幸せになれた。残りは重税と圧政に苦しむことになる。…僕たちは、彼らの犠牲によって幸福になったに過ぎなかった。

 母親が言っていたとおりでもあった。幸福になるためには、力がなければいけない。とうぜん、他者に勝利し支配し、他者を犠牲にしてこそ、自分が幸せになれる。幸福の総量が決まっているのか、奪わなければ不幸になるのだ。

 しかし、間違っている面もある。権力に付き従って幸福になれる、というのは、必ずしも正解ではなかった。いや、それで幸福になれるのはごく一部の追従者だけだった。残りは、従うことを余儀なくされつつ、かつ犠牲になり世の幸福を根こそぎ奪われるだけなのである。世間で設定されている幸福なるものを手にするためには、権力に追従し、なおかつ他者を犠牲にして勝利し支配することが条件である。やはり弱者は従おうと従うまいと、不幸にしかなりえない。…もし、カネやセックスや支配だけが幸福なのだとすれば。

 だがしかし、僕は弱者で、敗北者で、それでいて快楽を手にすることのできた、ごく特殊なケースのようだ。もちろんそれは、ガイゼルという強者に屈服した結果得られた、服従による幸福に過ぎない。そしてもちろん、すべての国民を犠牲にし、彼らから奪い取った幸福である。

 贅沢な食事、ガイゼルの許可を受けた範囲での気ままな暮らし。起床も就寝も自由だし、監視者はいるものの外出も一応できた。もっとも、外出は一切しなかった。国民に合わせる顔など持っていないから。スポーツでもゲームでも、ほとんどなんでもできた。一生遊んで暮らせる保障がある。

 一番豪華なのは、そしてそれゆえに一番大きな犠牲を強いるのが、性的な快楽である。僕好みの、国中のいろいろな女性が、毎日のように館に訪れた。国民に合わせる顔がないのに、セックスは拒否ができなかった。毎日女たちがここに連行される。彼女たちはにこやかにしとやかに僕の相手をし、僕を疲れるまで射精させてくれる。もちろんそうしなければ殺されるから、家族を奪われるから、彼女たちはそうしているだけだ。僕にもそれはわかっているが、どうすることもできなかった。

 下は受胎能力があるかどうかさえわからない幼子から上は30代まで、幅広い年代の女性たちがひんぱんに訪れた。一人のときもあれば数人がかりで僕の相手をすることもあった。この人には恋人がいるんだろうな。婚約者がいるかもしれない。結婚しているのかな。はたまた子供までいるのかも。この二人は親子なのかな。この娘は普段は学校に通っているのかな。セックスなど知らない幼女でも体を開かなければいけない。つらいだろうな。そう思ったが、彼ら・彼女たちの意向は無視され、僕のために犠牲になる。どうすることもできなかった。僕も彼女たちも苦しみながら肉体は快楽におぼれている。

 他人を犠牲にすれば、たしかに快楽は増える。でも、それを幸福だなどとは決して思わなかった。セックスを拒否することはできず、朝な夕な、性欲が少しでも持ち上がれば女性が送り込まれた。僕から反抗心を奪い、また肉体を疲労させて反乱する体力を奪うのがガイゼルの狙いだ。さらに、僕が快楽におぼれていることを国民に知らしめ、僕を持ち上げてクーデターを起こそうという気持ちを国民から奪い去る目的もあった。

 もうひとつ。僕が軟禁されている館には、あの娼館の薬剤一式が取り揃えてあった。快感を増大させる薬をひっきりなしに飲まされ、塗られ、吸わされ、注射され、僕はすっかり薬漬けになっていた。それで一日に数回射精することができ、快感と体力減少を日々くり返すのだった。ガイゼルにとって僕は邪魔な存在というのが本音だ。しかし反乱が起きるために僕を殺すことはできない。だから薬漬けにし、快楽におぼれさせ、寿命を徹底的に縮める方法をとったのだ。結局、それに逆らうことはできなかった。少しでも何かに反抗すればすぐさま大勢の女たちが押しかけ、快感を与えられて反抗心を根絶やしにさせられるだけだった。

 ああ、また朝が始まった。今日は14歳くらいの娘たち5人が控えている。目が覚めると周囲に全裸の美少女が立っている。全員が優しい笑顔で、おはようございますと元気に挨拶。そしていっせいにベッドにもぐりこみ、朝立ちのペニスに群がる。その笑顔や女らしい物腰が全部演技なのはわかっている。本心は敵意に満ちていることも。

 しかし、その若々しい肉体が全身に群がり、快楽が全身を包み込むと、何もかも頭から消え去る。ただ快楽に没頭する。それでいて心のどこかで深い悲しみがある。その悲しみを、わずかながら女性たちも感じ取るらしく、別れるときには敵意が少し和らいでいた。そんなことがくり返される。きっと夕方前と寝る前にも女の人たちが連行されてくるのだろう。いつものとおりだ。

 こうして毎日が過ぎ去っていく。贅沢な食事のおかげですっかり体は肥え太り、20代になっているというのに、射精のし過ぎですっかり老けてしまった。それでも女性たちは自分から喜んで身を差し出す。僕はそれを受け入れ、精を注ぎ続けるのだった。

 願わくば、ガイゼルの世が一日でも早く終わりますように。だが、奴の息子があとを継ぎ、その暴政はしばらく続くのだろう。絶望的な願いだった。もし神さまがいるのなら、罪深い僕を一日でも早く死なせ、その上でこの腐敗した国を滅ぼしたまわんことを願うばかりだ。

 疲れ果てて寝ようとしても、背の高い美人メイドに精を注ぐまでは睡眠すら許されない。僕は腰を振りながら、絶望的な願いをくり返すばかりであった。…もうひとつ願うなら、このまま快楽におぼれて、このむなしい願いすら持たなくなって、与えられた幸福を追い求めるような、セックスの快感に浸って今の願いを捨て去ってしまうような、最低な男にだけはなりませんように。

 だが…ガイゼルの息のかかったメイド服の、あまりになまめかしく動くお尻を見ながら、その願いすらももしかしたらむなしいのかもしれないと、ひそかな絶望感を胸に秘める。魔法によって受胎能力をなくしたむなしい白濁液がメイドに注がれ、そのつど僕は女体の甘美な感触にのめりこんでいくのだった。

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