ショタコンクエスト7

 

 夕方になり、僕は意を決して街に降りてみることにした。町は人通りもまばらで、閑散としていた。人とすれ違っても男だとばれることはなく、一気にピンチということにはならなそうだ。あの人たちが言ったとおり、目立たないように行動しよう。とにかく小さな宿を探すんだ。ウロウロしていても怪しまれるだけだからね。

 「…。」風が涼しくなってくる。しばらく歩いた。宿らしき建物はいくつも見つかったが、どこもかしこも『本日休業』の札がかけられ、誰もいなかった。男たちはみな出払っているから、営業は難しいのかな。困ったなあ。モタモタしていると夜になっちゃうぞ。

 もう日が沈み、空の奥がかすかにオレンジを残すばかりとなった。反対側を向くと、深い紫が僕を追いかけている。まずい…このままだと目立ってしまう。何とかして宿を探さないと…。

 「…あった!」やっとの思いで、明かりのついている一軒の小さな家を見つけた。宿という感じはほとんどなく、木造のこじんまりとした民家のたたずまいだった。小さな看板がなければ、きっと宿屋だと気づかなかっただろう。もう暗くなっている。泊まるならここしかない。僕は思い切ってドアを開けた。

 「…あら。いらっしゃい。お客さんなんてめずらしいわね。」テーブルにいた女性が迎えてくれた。落ち着いた感じから、あまり若くないにもかかわらず、母性とレディの色気をにおわせる美しいマダムだった。30は超えているようだ。「あっあの…。ぼ…わたし、この島に旅行にきたんですけど…どこも閉まってて泊まれなくて…やっとここを見つけまして…その…予約ないんですけど…。」「ふふふ。今日は特別な日だものね。いいわ、こんなボロ宿でよかったら泊まっていって。」「あ、ありがとうございます!」

 どうにかバレずに済んでいるようだ。この宿は正規のものというより、個人が趣味でやっているという感じの素朴なものだった。看板も手作りだし、宿の設備というようなものはなくて、ほとんど民家そのもの。アットホームな雰囲気がとても落ち着く。これなら、この家の人たちにバレなければ、外から女たちが押し寄せることもないだろうし、一晩身を隠すにはちょうどいいだろう。

 「紹介するわ。娘のカナよ。」奥から僕と同じ年くらいの少女が出てきて、静かに礼をした。僕も礼を返す。赤いワンピースの広いスカートで、この家にぴったりの素朴な感じの女の子だった。僕と同じくらいなら、女になり始めという感じだ。…って、何を考えてるんだ。でも…同年代の人はやっぱり少し意識しちゃうな。「娘といっても血は繋がってないけどね。…おっと、お客さんには関係ないね。」「あ…いえ…」「まぁいいわ。余計なことだったわね。気にせず、今日はゆっくりくつろいでちょうだい。お金はココを出るとき、満足したなら払ってくれればいいわ。」「わかりました…。」

 とにかく、ここに泊まることができて一安心だ。僕はベッドが置いてあるだけの小さな部屋に案内された。「食事の用意が出来たら呼ぶから、…何にもないところだけど…ゆっくりしていてね。」「ありがとうございます。」僕はベッドに仰向けになり、これからのことをあれこれ考えた。

 しばらくして、ドアがノックされる。開けると、カナちゃんがうつむきかげんで立っていた。「あの…お食事の用意ができました…」「あ、わかりました。」…ずいぶんおとなしい子だな。こういう控えめな子って、サラとは違う魅力があってかわいらしい。

 僕は食堂に案内された。食堂というよりは、普通の家庭の食卓という感じだ。カナちゃんとお母さんが久しぶりの客のために腕を振るったらしく、豪華な食事がずらりと並んでいた。「さあどうぞ、好きなだけ召し上がれ。」「はい。いただきます。」僕たちは一緒に食事をした。「あ、このスープおいしいですね。」「ウチでしか味わえない特製スープよ。たくさん食べてね。」「ありがとうございます。それで、このスープって何が入っているんですか?」「オオサンショ…ウ」「!」「いや…ゲフン…ゲフン…」今なんて言った!?

 「ごちそうさまでした。とってもおいしかったです!」「ふふふ。ありがと。それじゃあ私は後片付けするから、カナ、お客さんと部屋に行きなさい。」「はい、お母様…。」カナちゃんは小さい声で返事をした。「ウチは何もない宿だから、寝るまでカナと遊んで欲しいの。…迷惑かしら?」「え…いえ、そんなことは…。」「よろしくね。」

 たしかに、この宿には何もない。本当に泊まるだけという感じだ。だからカナちゃんが話し相手になってくれるというわけか。僕としてはできるだけ一人でいたいんだけど、むげに断るわけにも行かないし、目立って拒んで怪しまれたら何にもならない。僕はカナちゃんと一緒に部屋に戻り始めた。

 「あれ…?」隣を歩く美少女からせっけんの香りがする。風呂に入ったのか、全身がさっぱりした感じだ。食事中は離れていたので気づかなかった。風呂あがりの女の子って、いいニオイがするなあ。清らかな感じで。ツルツルしたほっぺがますます少女の魅力を高めている。「…どうかしました?」「あ…ううん、なんでもない…。」いけないいけない、今僕は逃走中の身、変なことを考えていてはダメだ。

 僕たちは部屋に入り、たわいもない話をした。カナちゃんはほんとうに聞き上手で、僕も話がはずんでしまう。つい自分の本当の名前とか素性をしゃべりそうになってしまうが、何とかごまかしておしゃべりをする。だんだん後ろめたくなってきた。ごめんカナちゃん。全部解決したら本当のことを話すよ。

 小一時間が経過した。話のペースも落ちてきて、だんだんカナちゃんの様子をじっくり観察できるようになってきた。僕の前で小さなイスに座った女の子は、ものすごい美人というわけではないが、とてもかわいらしい清純な感じの美少女だ。はじめのうちは遠慮がちだったけど、打ち解けてくると笑顔が多くなり、表情も明るくなっていった。それでいて清楚な雰囲気は少しも衰えることなく、奥ゆかしい女の子だった。

 僕はずっとドキドキしている。サラの場合はあこがれというか、いろいろ頼りになるお姉さんタイプだけど、カナちゃんはどちらかというと守ってあげたくなるような、それでいて側にいると心臓が高鳴って、心がうわずってしまうような不思議な感覚に包まれてしまう。今まで出会ってきた女性にはないタイプだった。

 ツルツルしたきめの細かい肌は、彼女の頬も首も腕にも備わっている。年が近いはずなのにどことなくお姉さんぽくて、小さな体つきからはすでに女の香りがにじみ出ている。その唇もふにっとしていてやわらかそうだし、僕の話をじっと聞くときの大きな瞳に吸い込まれてしまいそうになる。時々セミロングの髪をかきあげたり、まれにチラッと見えるツルツルのわきが見えたときなど、彼女のしぐさにもついつい目が行ってしまうのだった。

 そんな中で、だんだん自分の体に異変が生じ始めていた。カナちゃんと話しながら、胸がきゅんと疼く時があり、その直後必ずじわりと体の奥からしびれるような感覚がこみ上げてきて、恥ずかしい思いをしたときのようにジンジンとしてくる。耳が赤くなって、高鳴る血の流れを感じる。そして体が熱くなるのだ。心臓がドキドキするなかで、時々そのようにジワッとしてきては、すぐに収まっていく。はじめのうちは、カナちゃんと2人きりで話をしながら時々相手の魅力に照れているだけだと思って、あまり気にしてはいなかった。

 しかし、胸がきゅんとなる頻度は、時間とともに徐々に高くなっていき、ドキドキもどんどん強くなっていくのが分かる。体もひっきりなしにほてって、正直カナちゃんとまともに話していられないほどだった。きっと鏡をみたら、僕の顔も耳も真っ赤なんだろうな。「…どうかなさったのですか?」「えっ…。いや、なんでもない…です…。」だんだん平静を保っていられなくなる。

 心臓の高鳴りとともに、股間まで疼きだしてきた。体が熱くなり、ペニスとその奥がムズムズしてくる。そのくすぐったさがだんだん強くなって、ついには強く反応し始めてしまうのだった。僕は自然を装って両手を股間の上に置き、少し前かがみになって、何とか勃起がカナにバレないようにしながら、必死で興奮を鎮めようとしていた。立っていることを知られたら…とくにカナちゃんに知られたら恥ずかしいし、そもそも僕が男だって知られたらどうなるか分からない。

 「だいじょうぶですか…?」「うぅ…だい…じょうぶ、ですぅ…。」僕はもじもじしながらどうにか応えたが、体の底から突き上げてくるような激しい性欲の高まりは、はたから見ても異常そのものだった。一体僕の体はどうなってしまったというのだ。先刻あれほど3人のお姉さんたちに射精させられて、もう出ない、痛いほどに抜かれたのだから、疲れてしまって性欲なんて出るはずもないのに…!

 ガマンすればするほど、ペニスは激しく欲情し、玉袋は精液でいっぱいになって激しく苦しんでいる。もし誰もいなければ、僕はきっと何も考えられなくなって、自分でペニスをしごいて出してしまっていただろう。パンツがぐっしょり濡れているのが分かる。きっと軽くこすっただけでイッてしまったに違いない。ずっと長い間射精していなかったときみたいに、僕は性欲のことしか考えられなくなっていた。

 それでも、まさかカナちゃんの前でペニスをまるだしにして、目の前でオナニーするわけにはいかない。何とかして相手に悟られないように、この状況を打破できないだろうか。僕はもううつむいてしまって、両足をモジモジさせながら、体の異変を抑えつけようと必死になっていた。汗が緑の服にしたたる。体をモゾモゾさせるだけで、自分の腕に当たるペニスが悦んでしまう。勃起を隠しとおせる自信はなかった。それどころか、ますます体がくすぐったくなり、ややもするとカナちゃんにさえ襲い掛かってしまいかねない状態だった。彼女を見れば、その肌の一部でも見てしまったら、理性がそのまま吹き飛んでしまいそうだ。一体どうしたら…。

 「…ルカさん…。」「えっ…! い、いや、僕はルカじゃなくて…『ルキャー』です…うぅ…!」僕はこの宿では偽名で通していた。目つきのわるい死神から取った。あ、し、しまった、いま自分で僕って言っちゃったかも…!「…ルカ、さん…?」「え…」カナちゃんが立ち上がる音がしたかと思うと、小さな衣擦れの音が聞こえた。

 「あっ!!」カナちゃんは僕の目の前に立っていた。潤んだ瞳は、もはやさっきまでの楽しそうな女の子の表情ではなく、赤くなった恥じらいを含めつつ男を色事に誘いこむ、甘い女の目になっていた。一瞬何が起こったのかわからなかった。彼女は目を細め、真剣で、じっと僕の目を見つめて離さない。せっけんの香りが強くなり、僕の性欲に拍車をかけた。それだけでも我を忘れてしまいそうだった。

 さらに、カナはワンピースを床に脱ぎ落とした。Bカップ用の純白のブラと、大きめの純白のパンツだけの姿になった。うつむきかげんでありながら、上目遣いで僕を見つめ、誘い続けている。僕は言葉も出なかったし、その場を動くこともできなかった。自分の体が性欲の塊となっていて、理性を保つので精一杯だったこと。それでいて心のどこかで、彼女の下着に見とれ、あまつさえその続きを期待してしまっていたこと。そして…もうひとつの理由。それらが混ざり合って、僕は何も言えず彼女を止めることもできず、もちろん逃げることもできないでいた。

 カナはゆっくりと手を後ろに回し、ブラをはずしてしまった。控えめだが形のいい、大人になりつつある乳房がむき出しになった。そして下も脱いでしまう。毛の生えていないアソコまでもが、僕の目の前に見せつけられる。細い体で、しかし全体的に丸みをおびており、足ももう十分形がよくて、全身からは体を洗ったばかりの香りが一気にあふれ出している。

 「あ…。」僕は彼女の体にくぎづけになった。それは…カナの女体に心を奪われただけの理由ではなかった。もうひとつの理由が、辛うじて僕の理性を保ってくれたのだった。
 

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