ラストプラッツ 後編


 タオルで体を拭いてから、僕は先の寝室に戻った。ジーンはバスタオル姿のまま、ベッドに腰掛けテレビを見ているところだった。これはテレビというより大型のタブレットみたいな物で、テレビ番組だけでなくウェブサイト等も自由に見る事ができた。

「おー、ナイトメアシティじゃん。懐かしー!」

 ジーンはようつべでフラッシュ作品を見ていて、僕も夢中になった。フラッシュ黄金時代は僕のささやかな青春だ。モナーやギコたちAAが画面狭しと暴れ回って…。アニメだけじゃなく時事ネタや社会問題を取り扱う作品も面白かった。ゆとり世代の11PMみたいなものか。

 …ただこれ、改めて見ると物凄い中二病だな。涙腺崩壊していた当時の自分がイタ過ぎる…。あと、妹者はポニーテールで巫女さんのスタイルに戻すべきだと思う。にしてもこのフラッシュ、なんで登場人物がどいつもこいつもナナメに首が傾いてんだ?

「こっ、これは…ナナメシティじゃねーか!」

 ジーンの趣味おかしいよ。いつもながら、ないと・めあ世界の住人たちのこうした感性にはついて行けなかった。

 それはそれとして、僕はバスタオル姿のジーンからどうしても目が離せなかった。なんて色っぽくて悩ましくて、さわり心地の良さそうな体つきをしているんだろう。正直、テレビに目を向けていられなかった。いや、ナナメシティだから興味が失せたとかそういうんじゃなく…。

 ジーンもこっちの視線に気づいているらしく、しきりに足を組み直したり、座る姿勢を直して腰をクネクネさせたりしてくる。暑いという理由でバスタオルの裾をつまんでバタバタさせ、股間や乳首など危うい部分を見え隠れさせ、パックのコーヒー牛乳を飲む時はストローでわざとチュパチュパいやらしい音を立てながら飲んでいる。

 座位を直す動作で、僕と彼女の位置は徐々に狭まり始めた。あと数cmでお互いのふとももが隣同士くっつきそうだ。しかしあと数ミリのところで寸止めだ。うぅ、触りたい…。あのスラリと伸びた肉付きのいいふとももを、撫でさすったり揉みほぐしたり、タオルの中に手を突っ込んだりしたら極上の感触だろう。いや、風呂場で実際にそうしたんだ。あれだけむしゃぶりつくし、思う存分精を吐きだした後でも、彼女の肢体に対する興味は一向に尽きなかった。呪文とか薬とか肉体改造じゃない。僕自身の意志で彼女に欲情しているんだ。そしてラストプラッツはセックスバトルが絶対に発生しない世界。ジーンほど絶世の美女に何しようが、ゲーム上のペナルティは一切発生しない。このナイスバディで!この美貌で!何もしなかったら…バカだぜ~~~ッ!!!!

 僕は恐る恐る手を伸ばし、ジーンのふとももに触れた。あぁ、五指が埋もれて手の平にもまんべんなく伝わるスベスベ柔肌の感触が相変わらずたまらない!ジーンも拒まないどころか、クスクス微笑みながら、左脚を少し外側に傾けた。僕の右脚ともフニフニ密着する形になった。

「ご、ごめん。その…」

 僕は自分を抑え切れず、右手をタオルの中に這わせた。股間にはサラサラと布の感触があった。下にはパンツをはいているようだ。生地が薄いおかげか、オンナのぷにゅぷにゅ感が損なわれる事も無く、下着の滑らかでやさしい感触も独自の心地よさがあった。どんな形の下着だろう。興味津々の僕は彼女の前にひざまずき、両脚を開かせて下着を覗いてみた。

「おおっ…!」

 思わず嘆息が漏れるほど、彼女のパンツは美しかった。黄金でキラキラ輝いていて、物凄く高そうだ。形もハイレグを強調しながら、横尻がはみ出ない、ちょうどいい露出具合だった。ジーン本人も内股の形が相当美しく、どんなに覗き込んでも飽き足らなかった。その辺の女子高生のパンチラの軽く100倍は絶景だった。

「…大丈夫よ。生地が破れても、魔法で復元できるから」

 豪華過ぎるパンツに、かえって尻込みしているのを察してくれたらしい。弁償の必要が無いと分かって、僕は間髪入れず彼女の股間に頭を突っ込んだ。「はむ、はっふ!むはっ、はむはふはむはっふ!」うおぉ、なんて素晴らしい感触!顔を左右にこするたび、ふともも、内股、黄金下着の生暖かく柔らかい感触が、絶えず鼻先と両頬に伝わってくる!あまりに興奮して、僕はつい鼻血がドクドクあふれ出た。だらしないがよだれも止められなかった。

「あ、足。足で抜いて…」

 僕は顔を上げ、情けなく懇願した。ジーンは微笑んで見下ろしながら、僕の顔を窮屈にならない程度に両脚で締め付け、足のつま先でそそり立ったペニスの裏筋をこちょこちょ上下にこすった。僕のお腹ぐらいまで足が長いから、めいっぱい伸ばせば自力で届くのだ。

ぶぴゅる!びゅるっ!!

びくん!びく!どぷ!ぶぴゅ!びゅくんびゅくん!!

 ああっ、すごい!ペニスが痙攣するたび、男の子の粘液が飛び出すたび、下半身の性感帯を内側からコチョコチョ刺激されるっ!浴室で挿入した時と比べれば、この程度の快楽もまだ生易しい方だ。でも僕は幸せだった。『気持ちいい』よりも『うれしい』が勝る絶頂と言うべきか。絶頂は快感神経か興奮神経のどちらかが臨界点を超える事で起こる現象だが、今回のそれは、ジーンの色っぽ過ぎるパンツが興奮神経を限界まで高めていた。

「あら、出しちゃった。あぁ、汚い。ひどい臭い。足がベトベト。やだ、まだお漏らししてる。女の子の見ている前で。あぁ、情けない。恥ずかしい。普段からよほどエッチな事ばかり考えているのね」

 冷淡に罵られているにも関わらず、僕はそれがうれしくて更にドバドバお漏らししてしまう。彼女にもそれを気付かれてあざ笑われた。

「て、ティッシュで拭いて…」

 ベッドの棚にウエットティッシュが置かれているのを見て、僕は言った。彼女は微笑を浮かべながら、箱から数枚のウエットティッシュを抜き、ベトベトになった下半身を丹念に拭いてくれた。今回は精液が消えなかったが、僕が念じるとそうなるようだった。ああ、みずみずしい感触がひんやりして気持ちいい。僕もウエットティッシュで、彼女の黄金パンツにこびりついた血とよだれ、足の精液を拭き取った。拭き取るよりも、ドサクサに紛れておさわりする事に僕自身は心血を注いだが。

「と、ところで、ジーンさんて普段どういう格好してるの?」

「気になるの?」

「い、いや…」

 僕は気恥ずかしくて指先をモジモジさせた。下着があんなに色っぽいんだから、あのナイスバディをふんだんに引き出すくらい、普段着も色っぽいんだろうなあって。彼女は当然、僕のそうしたいやらしい空想を見抜いていた。

 彼女はベッドの上に立ち、頭と上半身のタオルを脱ぎ捨てた。パンツ以外は裸だ。相変わらず物凄いナイスバディだ。しかも風呂上りで艶がいっそう際立っている。「はあはあっ…」僕は我慢し切れず飛びつこうとしたが、見えない壁に弾かれた。いつの間にか、ジーンの右手に黄金の杖がワープしてきて、先端の魔法石から壁が作られたのだった。

「私の本職は魔法使いよ。またの名を紋章師とも言うけれど。でも、その手の職業って、あなたの世界で言う理数系の分野だから、家にこもりっきりで、運動不足になりやすいのよね。放っておいたら、そのうち肉がたるんでただのデブい大女になっちゃうじゃない?だから最近、副業で踊り子の仕事も始めたのよ」

 もう一方の手で指を鳴らすと、棚からヒュンヒュンと服のパーツが飛び出した。まるでロボットの合体シーンみたいだ。いや、僕の世代的には聖衣の装着シーンかな。文字通り、飛び出した衣装は次々ジーンの肢体に装着された。

「おお…!」

 僕は、ジーンの踊り子衣装に目を奪われた。ジャンル的にはトルコのベリーダンスか。桃色の髪はポニーテールになって、留め具は金の輪っかでできていた。額にも黄金のサークレットが巻かれている。サークレットは手首、足首にも巻かれ、高貴さと色っぽさを充実させていた。背中には桃色の羽衣が巻かれ、まるで天使の羽のようになっていた。黄金のビキニは同じ色の首輪と直結し、ただでさえ豊満なバストを寄せて上げ、見た目の良さを際立たせていた。下の衣装は、両側に際どいスリットの入ったロングスカートで、肝心な部分を見えそうで見えなくしていた。両足はひも付きのサンダルを履いていた。

 とにもかくにも、裸より存分にいやらしい踊り子衣装だった。露出度で言えばサンバの方が若干上かも知れないが、健康的とか野性味と言った体育会系的な魅力が強調されている分、高貴でしっとり感を重視したベリーダンス衣装の方が、単純な色気では上な気がした。セレブ男に侍る女としては、こっちの方が違和感ないかも知れない。

「どう?」

「す、すごい…」

 僕はため息をつきながら、そう答えるしかなかった。正体は女の悪魔だが、まるで女神が降臨しているかのような迫力だった。そして…僕の下半身は踊り子ジーンへの情欲から、じわりじわりと股間に血液を送り始めていた。ペニスがむず痒くて、中の精液がグツグツ煮えたぎっているのが分かる。もう、我慢できない…。すぐにでも飛びついて色んな部分を触りたい。抱きついて股間を擦りつけたい。脱がして挿入してみたい…!

 しかし僕は、あえてその気持ちを抑えつけた。

「あ、あの…。その格好で、誘惑…して欲しい」「誘惑って?」「そ、その。やっぱりエッチな踊り…とか」

 彼女は微笑み、ようつべでTABUという曲を流した。サックスを使った、とても官能的な曲だった。ただ…

「ごめん。その曲、僕らの世代だと加トちゃんのテーマだから…」「あ、ごめん」

 ジーンはすぐ別の曲に差し替えた。今度はベリーダンスでよく使われる、中東風の舞踏曲だ。これなら興奮材料としては申し分ないだろう。ジーンも早速、腰をクネクネさせて踊り始めた。くびれた腰が、昔のこんにゃく畑のCMみたく小刻みに振動している。両手は折り曲げて頭の上に置いたり、ゆっくり上半身に這わせたり、滑らかに天を仰いだりする。

 それらの動きだけでも相当色っぽかったが、やはり一番いやらしいのは下半身の動きだった。両脚は常にクネクネ交差し、腰のつけ根がスリットから何度も際どく露出した。しかし計算に入れた動きなのか、決して下着が丸見えになる事は無かった。お尻は絶えず左右にプルンと突き出て、あからさまに男を挑発していた。素早く小刻みな足踏みは、普通に見事だと思った。

 僕は悶々としながら踊りを見続けた。すぐに抱きついてもいいのだが、この美しい踊りを十分堪能してからにしたかった。あぁ、色っぽい…。どうして肝心な部分が見えないんだ。見えろっ、見えろっ!あぁ、クルリと回ったのにまた下着がスリットに隠された!な、悩まし過ぎる…!

 六度目の回転で、ジーンはいっそう激しく回ってみせた。ふわり…と、スカートが真上までまくれ、黄金のハイレグ下着が目の前で露わになった。「おおっ!」見えそうで見えなかった物がようやく見えて、僕は思わずガッツポーズを取った。興奮と感動のあまり、またしても鼻血がにじみ出た。

 ジーンはクイクイと、指先で挑発してきた。曲はまだ終わっていない。一緒に踊ろうと誘っているのだ。僕は当然誘いに乗り、彼女と向き合った。背の高い彼女は余裕の笑みで僕を見下ろしたまま、腰に左手を回し、右手で手を繋いだ。僕も同じく左手を腰に回すと、ジーンは曲に合わせてステップを踏みはじめた。そんなに難しい振り付けは無く、背の高い彼女がリードしてくれるので、僕は動きを合わせるだけで良かった。

 あぁ、こうしている間もジーンの膝やももが、こっちの脚にしょっちゅうこすれる…。胸は目と鼻の先でプルプル揺れている。胸以上に、僕を優しく妖しく見下ろす彼女の美しい顔立ちから目が離せない!

 僕は我慢し切れず、彼女に抱きつこうとした。しかし、胸に顔を突っ込もうとすれば、上半身が素早く奥へと引っ込み、スカートをめくってお尻を触ろうとすれば、腰をひねる動きでかわされる!散々挑発しといて、こっちがその気になったらじらすのか?そう言えば、氷の微笑のディスコシーンでもこんなシチュエーションがあったな。

 僕は意地でも彼女におさわりしようとした。しかし、身体能力は彼女の方が若干上だ。何度手を伸ばしてもあっさりかわされ続けた。やらせて!お願いやらせて!と、何度も目で懇願するが、その度鼻先であざ笑われた。もう嫌だ、我慢の限界だ。今の僕は一匹の醜い獣だ。こうなったら、力ずくで取り押さえてでも…。

 と思いきや、不意に彼女の側から抱きついてきた!散々じらしてじらしてじらし尽くした後、思い切り逆レイプしてあげるつもりだったようだ。彼女は僕の唇を無理やり奪い、チュパチュパ吸い付いた。僕も興奮を抑え切れず、左手をスカートの中に突っ込んでお尻と股間を揉みまくった。今度は彼女も拒まなかった。

 あるところで、ジーンはグッと右脚で僕の腰をカニばさみした。これで、僕の下半身は彼女のふとももに締め付けられ、股間同士が密着する形となった。そのまま、彼女は上にジョリジョリとパンツをこすり始めた。別名パンティこき、このサイトではパンツ攻撃とも言うべき技だ。

 あぁっ、今まで一番性感を刺激する攻撃だ!彼女のパンツにこすられている興奮も素晴らしい!更にディープキスもやめてくれない!

びくんっ…びゅっぷるるるるる!!

どぷ、びく!びゅくんびゅくん!!どぷぷぷ!びゅるるっ!!

 僕はまたも至上の幸福を味わった。今度は快感神経が限界に達し、興奮神経が87くらいか。エッチなお姉さんにエッチな踊りで誘惑され、エッチな事をされて優しく射精させられる。これほどの喜びが現実世界のどこにあるだろうか。

「はあっ…はあっ…はあっ…」

 余韻の息を荒げながら、僕はしばらく彼女と見つめ合った。こうして抱き合ったままじっとしているのも気持ちいい。何よりも精神的に安心する…。

「も、もう一度、踊りが見たい…」「さっき見せたでしょう?」「ぼ、僕にまたがって、あの腰の動きを…」

 そう言って、僕はベッドの上で座った。彼女も腰を下ろし、ズブズブとペニスを挿入して馬乗りしてくれた。そしてさっきみたいに、腰を小刻みにカクカクする動きをやってくれた。

「あふっ、んはぁ…!」

 かつてない壮絶な快楽に、僕はひたすら身悶えした。一度でいいから、セクシーな踊り子さんを相手にこれをやってみたかった!挿入したままベリーダンスされたらどうなっちゃうのかって…。

 そこで得られる快感は想像の遥か上を突き抜けていた。腰からグイグイ振動を送られると、壮絶な快感が波のように押し寄せるっ!彼女が腰振りする間、僕は目の前でブルンブルン揺れる巨乳を思う存分揉みしだいて顔に挟ませた。

「お、お願い…。もうすぐイキそうだから…行く寸前に『受け止めてあげる』って言って!そのセリフ、すごい好きで…」

「いいわ。怖がらずに、肩の力を抜いて。エッチなお姉さんが、あなたの欲望を全部受け止めてあ・げ・る♪」

 びく!ぶぴゅるるるるるるるるぅっ!!

ああっ、今までで一番すごい射精が来たぁ!びゅく!あぁ、出る出る!びゅぷるっ!!止まらない。電動バイブのような股間の痙攣と、熱湯のようにホカホカ茹で上がった精液を止められない!びゅぷ!びゅるるる!いや、これでいいんだ。止められないんじゃなく、止まって欲しくないから精子が出続けるんだ。

「受け止めてっ!お願い、受け止めてぇっ!」「大丈夫、ちゃんと受け止めてあげる。お姉さんがついてるから」

 僕を抱きしめて胸にうずめながら、お姉さんは耳元でささやいてくれた。「受け止めて!」「受け止めてあげる」僕たちは何度も言い合った。言葉通り、尿道口からほど走る火照ったネバネバを、お姉さんは一滴もこぼすことなく膣内で受け止めてくれた。

「エッチなお姉さん!エッチなお姉さん!エッチなお姉さんっ…!」

 彼女と見つめ合って、僕は何度も叫んだ。ジーンは哀れみと慈しみ、微笑ましさに、ほんのちょっとからかいの感情を込めた、何とも言えない表情で僕を見下ろしてくれた。

びくっ…びくっ…ぴくっ…ぴくっ…どく…どく…

 やがて、永遠に続くかに思われた射精が終わりを迎えた。数分は続いたのではなかろうか。僕がそれくらい出したいと思ったから出たのであり、次第に止まったのも、快感が満足感と達成感に代わり始めたからだった。

「あ、ありがとう…。ジーンさんのおかげでスッキリした」

「どういたしまして。私はそろそろサキュバスステージに戻るけど…どうする?」

「どうするって?」

 僕の問いに対し、彼女は黄金の杖から魔力を解き放ち、部屋の床に魔法陣を出現させた。ここをくぐれば、サキュバスステージにワープするのだろう。

「この転送呪文…一応、あなたでも使えるわよ。つまり、私ぐらいスタイル抜群で色気たっぷりのサキュバスが何千、何万といる領域にショートカットできるわけ。ここから無数にあるステージで、他の女たちに苦戦を強いられる必要も無く…」

 彼女は妖しい目で誘いかけた。彼女の狙いは、ゲームクリアまでの大幅なショートカットに対する誘いではない。せいぜいOLをイカせるのが限度の、レベル5~6しかない今の僕では、いきなりサキュバスステージに飛んでも敗北は目に見えている。

 彼女が言いたいのは、ショートカットをしないか?という誘いではなく…もうゲームのクリアはあきらめて、サキュバスとエッチ三昧の人生を楽しまないか?という誘いだ。

「ば、馬鹿言うなよ。僕が何のためにないと・めあを攻略していると…」

「何のために?」

「え…」

「一度も射精する事無くクリアして、彼女もいない平凡でみじめな人生に戻るために?」

「……」

「現実に戻って、今までの失敗を取り返そうと思っても甘いわよ。あなたはセックスバトルの達人になってもプレイボーイになったわけじゃない。女の子と仲良くする方法が分からないんじゃ、どんなにセックスうまくても意味ないでしょう?」

 言われてみれば、何もかもジーンの言う通りじゃないか。このゲームをクリアする事って、そんなにうれしいと思える事なのだろうか?ジーンのように、現実では滅多にお目にかかれない極上の美女たちに、一度も射精する事無く倒し、また倒すだけ、なんて…。

「もう一度聞くわ。あなた…何のためにないと・めあを攻略しているの?」

「そ、それは…」

「あなた、入り口で最初にサキュバスとセックスしたわよね?」

 そう言われて、サキュバスとの初体験シーンがフラッシュバックで甦った。なんて濃密で、官能的ないやらしいセックスだった事か。思い出せば嫌でもペニスが勃起してしまう…現に、僕は思い出して勃起していた。挿入したままなので、当然ジーンにも気づかれた。

「やっぱりね。本当はゲームをクリアしたいんじゃなく…サキュバスの味が忘れられないんでしょう?」

「うぐ…」

「他の女モンスターを倒し続けているのも、ないと・めあ様のゲームをクリアするためじゃない。ましてや最初のサキュバスにリベンジするためでも…」

「よ、よせ、言うな…」

「本当はリベンジしたいんじゃなくて…」

「やめろっ!」

 僕は感情が高ぶって、ジーンを突き飛ばした。その瞬間、挿入していたペニスがニュルッと抜けた。「あ…」極上の快感が、一瞬にして消えた。ジーンに挿入した最高の快楽が、最高の射精が…。

「仕方が無いわね。あなたに降伏の意志は無いと、ないと・めあ様に報告…」

「待って!」

 僕は焦って彼女に抱きついた。あぁ、ダメだ!ここで彼女と別れたら、次に会えるのはいつになるか分からないし、そもそもゲームオーバーせずに辿りつけるかも分からない。あの快楽を知ってしまった以上、僕は彼女から離れる事ができなかった。魔法でもテクニックでもなく、自分の意志でそう思っていた。

「ふふ…そう、よかった。じゃあ、サキュバスステージまで連れて行ってあげる。もちろん、あなたの気が済むまでエッチな事をしてもいいわよ。どの娘とでも、どんなシチュエーションでも、どんなプレイ内容でも…」

 そして僕たちは、二人でラストプラッツを後にした。もう、ないと・めあのクリアなんてどうでもよかった。彼女の言う通り…僕はクリア目的でセックスバトルをしてきたわけじゃない。最終的に…サキュバスとエッチしたい淫らな下心を叶えるため、他の女に興味を持たないようにしてきただけだった。だからいきなりサキュバスステージに飛ばされても、僕はむしろ期待感が湧き上がった。

 僕はジーンに負けた。セックスバトルに負けたわけでも、特殊な魔法にかかったわけでも、罠にハマったわけでも無い。自分から罠にハマる道を選んだのだ。だから、これからゲームオーバーになると分かっても絶望感など無いし、むしろゲームオーバーになる事が望みだった。だって、ゲームオーバーになって何度でも射精できる体になったら、ただでさえ連続射精できるサキュバスと、更に甘美で極上のセックスを楽しめるじゃないか…!

 サキュバスステージに転送された僕は、無数にひしめくエッチなお姉さんたちを前に、淡い期待感を膨らませるのだった。



###ゲームオーバー###


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