劇場版フザケンジャー! 恐怖のイマドキスクール!!


 その日、神魔カリギューラが玉座に構える氷の城は、かつてない戦慄に包まれていた。

フローリア将軍「・・・ダメです。第二の壁も難なく突破されました!」

カリギューラ女王「ええい、なぜじゃ。なぜ、我が無敵の結界が破られる」

 事は、カリギューラの魔力センサーが得体の知れない反応をキャッチした時に始まった。誰かが自分の居城に迫っている。それも、幾重にも張り巡らされた強固な魔法のバリアーを難なく突破して。

 初めは盟友のヘルサ、通称ヘルサたん総統(自称)かと思ったが、その思惑は魔力の質が違う事で外れた。というより、側近のフローリアが言うには魔力そのものがないというのだ。つまり、ほとんど生身の人間と変わらぬ、脆弱な下界の生き物が侵入しているという事である。っていうか、そんな事ぐらいバリアを張った本人が気づけよとフローリア将軍は思ったが、今はそれどころではないので黙っておいた。

カリギューラ女王「一体何奴・・・。もしや、アークデーモンなどの上級魔族たちが我が城に!?」

フローリア将軍「まさか。その手の脳筋悪魔は我らと魔族としての存在意義が根本から異なる以上、対立する理由がありませんよ。それに、男性の悪魔たちは紀元前のラグナロク(最終戦争)や中世時代のジハード(聖戦)なんかで人間の勇者たちにことごとく討ち取られて、今やほとんど死滅しかけているじゃありませんか。ちったぁ歴史の教科書でも読み直してくださいよ単々細胞」

カリギューラ女王「あれ?最後にチロっと有吉っぽい毒舌が聞こえたような」

フローリア将軍「気のせいですよサイコ野郎。その侵入者ですが、モニターで見かけたところ、どうやら二人組の人間のようです。一人は20代そこそこの若い女性。もう一人は・・・かなり若作りしていますが、相当歳のいった風な年配の女性です」

カリギューラ女王「バカな・・・た、たかが人間の女二人とは。やはり劇場版なだけに、新たなる第三勢力みたいなノリだろうか。熱い・・・燃える展開だぜぇ!」

フローリア将軍「マンガ脳も大概にしてくれませんかね。そうこうミニコントしている内に、第四の壁も突破されたようです。もう、今からでは怪人だの淫魔だの投入しても手遅れでしょう」

カリギューラ女王「オーノーだズラ!」

 カリギューラはまったく平静を保てなかった。それとは裏腹に、フローリア将軍の方は不思議と落ち着きを取り戻していた。これは彼女の勘だが、侵入者からはどうも敵意のような物がまるで感じられなかったからだ。

 やがて、謁見の間に二人組の女性が訪ねてきた。透き通ったような真っ白い肌に、それとは対照的な、不気味なまでに漆黒がかったロングヘアー。二人で年齢の差はあれど、どちらも並の男が対面したら一瞬で心を奪われてしまいそうな、ある種の恐怖さえ感じるほどの絶世の美貌の持ち主だった。

佐久葉「お初にお目にかかります、カリギューラ女王陛下。私は下界で宗教関連のお仕事に携わる、佐久葉素乃子と申します。こちらは娘のマミー。ふつつかですが、ぜひ今後ともお見知りおきを」

 ビロードの絨毯に上がると、女性はひざまずいて自らの素性を明かした。「あ、いえ。こちらこそ、大したおもてなしもできず・・・」相手の挨拶があまりに格式の良いものだったためか、ついカリギューラ女王もかしこまってしまう。フローリア将軍はツッコむ気にもなれなかった。

カリギューラ女王「あー、ええと。それで、佐久葉さんとやら。いったい我が城にはどのようなご用件で?トイレならそこの階段を下った左に・・・」

フローリア将軍「その前にお二人とも。いったい我が主の結界をどのように破られたか?このカリギューラ様は赤●ン先生の指導を受けながら中二の単位さえ取れなかったド低能がァーーーッだが、魔力に関しては古代の魔王たちにさえ引けを取らぬほどの大物であるぞ」

佐久葉「ほほ、破るなどと。たかがアラフォーのおばちゃんに、あなた様ほどの魔力と拮抗できる力など持ち合わせておりませんわ。簡単な事。ただ、結界の影響の弱い部分、例えば地形が複雑で魔力に歪みの生じやすい個所など、いわゆるフェンスのゆるい部分をくぐらせていただいたに過ぎません。苦言を呈せば、もっと周囲にバランスよく魔力を配分すべきですわね。あれでは近所の悪ガキにさえ簡単に突破されてしまいますわよ」

フローリア将軍「なるほど、ご忠告痛み入る。が、不覚にもご自分の事をしゃべり過ぎたな。ただの人間が、それほど魔族の魔法学に精通していようはずがない。それに、佐久葉という名前・・・淫魔界に赴いた時にちらほらと耳にした事がある。恐らく佐久葉というのも偽名だろう。いい加減に正体を現したらどうだ。佐久葉素乃子と書いてサキュバス・・・そう、サキュバス女王メアリィ!」

カリギューラ女王「なにっ、サキュバスの女王!?」

 その言葉を言い終える前に、フローリア将軍のとっさに投げた短剣が、既に佐久葉の額に届こうとしていた。

 が、まるで幽霊のように、短剣は佐久葉の背後をむなしく通り過ぎるだけだった。

フローリア将軍「・・・やはりな。お前は淫魔の中の淫魔。ゆえに剣や魔法などの直接的な武力では、傷一つつける事ができない。淫魔を倒す方法はただ一つ。セックスバトルによって絶頂に導く他なし」

佐久葉「さすがはカリギューラ女王の右腕。ホラやごまかしの通用する相手ではありませんでしたね。それで、非礼を働いた罪はいかに照らし合わせるおつもりで?」

フローリア将軍「とんでもない。サキュバス、いや、その上をいく最高淫魔リリムの首脳とあっては、こちらこそ非礼をお詫びせねばなるまい。あなたの下界でのご活躍は、我らも耳にするところ。今後とも、是非セックスバトルのご指導のほどを願いたい」

 今度は将軍の側が深々と頭を下げ、二人で「ほほほ・・・」と微笑み合った。今のやり取りで、互いを大物と認め合ったようである。魔族とはいえ、英雄は英雄を知るというところか。肝心のカリギューラはバカなので二人の高度な会話についていけず、一人置いてけぼりだった。ちょうどロー●ス島戦記の英雄戦争後半のパーンの立ち位置だった。

佐久葉「将軍のおっしゃられる通り、私とマミーは下界で『スクヴス救済教』なるものを広め、これまで独自に人間の精を搾取してまいりました。我らの勢力は関連企業や組合団体を通じ、今や世界中に情報の網を巡らせていると言っても過言ではありません」

マミー「既に有名企業の数々から観光地のお土産屋さんに至るまで、人間社会のあらゆる有力な組織が我らスクヴス救済教の傘下にあります。あ、ちなみにこれは我が社の看板商品『スクヴス製ウェットティッシュ』にございます。吸水性抜群、使用後は更に性的な感度が増強と、カリギューラ様の新世界が精液まみれで汚れる心配も、これ一枚で解決という優れものでございます」

 マミーにお土産として渡されたウエットティッシュを試しに触ってみると、新鮮なみずみずしさが地肌に伝わって、何とも心地がよかった。人間の男ならこれだけでオナニーの刺激に十分使えるだろう。カリギューラはすっかりお気に召して、ウ●コの後はこれをおしりふきに使おうと思った。

佐久葉「して、我らの用件というのは、単刀直入に申しますと、我々もカリギューラ様の新世界創造に是非協力したいと思っているのです。あなた様の新世界が現実のものとなれば、我々スクヴス救済教の信徒たちも、コソコソと水面下で人間の精エネルギーを搾り取る必要がなくなるのです」

カリギューラ女王「なるほど、スクヴス救済教の財力をもってすれば、魔族たちが直接魔力を行使するよりも効率よく新世界の創造を進められるやも知れぬ。じゃが、そなたも知っておろうが、我々は現在ヘルサの勢力とも同盟関係にあってのう。我らだけで話を進めて、先方から色々と難癖をつけられてはたまらん。申し訳ないが、あの者らが再びここを訪れるまで出直してはもらえんかの」

佐久葉「ヘルサ・・・女魔王の一人でしたわね。あんなちんちくりんに気を使う必要がありまして?」

 佐久葉のその言葉は、さしもの上級魔族二人をも震撼させた。

佐久葉「陛下。あなた様はあの生意気な小娘を、芯から信用するほどのお人よしなのですか?なぜそこまでヘルサごときを恐れるのです」

カリギューラ「う。そ、それは・・・」

マミー「ご安心を陛下。ここで我らがどんな密談をしようと、ヘルサはその事を気に留めたりはしません。母は元は下級の淫魔出身。形式的には魔王ではありません。ゆえに、ヘルサからは完全に舐められています」

カリギューラ女王「むう。そこまで言うのであればそなたらを信じよう。で、具体的にどのような計画を立てておるのじゃ?」

佐久葉「先も申し上げた通り、私たち親子は魔力の上ではあなた様やヘルサには遠く及ばないものの、代わりに莫大な財力と、同時に人間界と深いつながりを築いています。あなた方は現在、天国軍団なるものを組織することで、人間の男から精を奪っておいでですわね?」

マミー「しかし、その天国軍団は魔法の力で人間の女を強引に操った、いわゆる寄せ集め集団でしかない。故にあなた方は、魔法ではなく、自らの意志で魔族に忠誠を誓う、常任天国軍団なるものを組織しようと計画された。・・・ですが、候補生として適性試験をクリアしたのは、何とかというオーストラリア出身の女一人で、選出が思った以上に滞っておられるようですね」

カリギューラ女王「むむ。そうは言うても、現代の娘共にも未だに貞操観念の強い者が多くてのう。まあ、そこは気長に待つしかあるまいて」

佐久葉「ですが、例え都合よく候補者が集まったところで、それらは全てヘルサの私兵にされるのではなくて?それではあの者の思う壺です。もっと強力な精兵をこちらで組織してご覧にいれましょう」

カリギューラ女王「うぬ、そのような事が可能なのか?」

佐久葉「はい。既に計画は最終段階間近まで迫っております。これをご覧ください」

 そう言うと、佐久葉は娘のマミーを使って、光で映像を映し出す大きめの機械を用意させた。理科室の実験とかでよく使うあれだ。大企業の重役な割にレトロな機械を用いるものだと、フローリア将軍は怪訝に思った。

 やがて、白いボードにパッとビデオ映像が映し出された。「おお!」と、カリギューラは子供のようにはしゃぎ立てていたが、フローリア将軍にしてみれば、こんな効率の悪い機械を使うくらいなら、ウチもさっさと地デジ対応しておくべきだと思った(F●Xチャンネルとディス●バリーを無料登録した上で)。

「今時の女の子を目指す女子小学生の皆さん。『イマドキスクール』へようこそ。今日も一日、はりきって女を磨いていきましょう!」

 モニターに映し出された派手なモデル風のレディが、壇上から元気よく呼びかける。そこはこじんまりとした学習塾の教室のようで、学習机に座るのは皆10~12歳くらいの年端もいかぬ少女ばかりだった。・・・が、この少女たちの外見があまりに異質だった。

 まず、スカートの丈がギリギリ際どいくらいに短く、色地もカラフルで、明らかに男好きする類の物だった。更に、体中の至る所にジャラジャラとまぶしい貴金属を身に着け、髪型もクルクルとカール状にしたり、パーマをかけたり、茶髪に染めたり、果ては金髪の子までいる。唇にも濃いめの口紅が塗られ、頬はパウダーで真っ白に染められ、両手はピンク色のマニキュア、付けまつ毛の子もいた。

 誰も彼も、10代前半の少女のイメージとはあまりにもかけ離れた、ふしだらな格好をした娘ばかりだった。

「皆さん。私たちは、女性の社会進出に伴って、小学生の頃から一流のレディを目指して女を磨き続けなければなりません。三つ編みオーバーオールでくまさんパンツにまるぶちメガネ(流行の伊達メガネは除く)、そんなイケてないファッションでは到底一流のレディとは言えません!

 大和撫子なんて古い古い、ダサいダサい!もう現代の女性は男の所有物なんかではありません。男の手綱をうまく握って絶対的な上位関係を築く。それがイケてる女、イマドキ小学生の生き方なのです!」

 淡々と、モデル講師の講義が続けられる。やや高音なキンキン声で、額に青筋を立てて話す彼女の振る舞いが、モニター越しに見物しているカリギューラやフローリアでさえどことなく鼻についた。

「そして、イケてる女の人生と切っても切り離せないのがセックス。そう、男と女の至上の愛の営み!これをいつ頃から、どのくらい経験してきたかが、イケてる女とイモ女との差を分けるのです。既に北欧の先進諸国では、10代の女の子の4人に3人が初体験を済ませています。私たち日本人も、女性の社会進出が進んだ国々に乗り遅れないよう、恥ずかしがらずにより多くのセックスを経験しましょう!私も小学5年生で、進学校の男子高校生と初体験を済ませました。皆さんも頑張ってセックスを学び、女性としてより輝ける人生を送ってくださいね。そうすれば、やがてあなた方の噂が世間に広まって、芸能界で活躍する事も夢ではありません!」

 モデル講師は、周囲の女の子たちからすさまじい拍手喝采を浴びせられた。

 一方、モニター越しに一部始終を眺めていたカリギューラ女王はというと・・・

カリギューラ女王「なっ・・・なんちゅうふしだらな。こいつら一体親にどういう教育を受けたのじゃ!このビッチ小学生共が!お前ら全員腐れ切ったクソビッチじゃ!『ビュウ、大人になるって難しいのよ』とか抜かしてんじゃねーぞバカヤローコノヤローめ!俺より先に寝てはいけない、俺より後に起きてはいけない、それが日本の古き良き美しき大和撫子の姿じゃろーがこのボケナス共がぁ!」

フローリア将軍「か、カリギューラ様、少し落ち着いてください」

 将軍は我が主を必死になだめながら、自分らだって同じクソビッチじゃねえかよと思った。

 しばらくして、ようやくカリギューラが落ち着きを見せたところで

フローリア将軍「それにしても、考えましたね。まだ性の知識があやふやな女子小学生に狙いをつけるとは。大人は理性がある分反抗的だが、子供は素直で単純。知略に長ける佐久葉女史にとって、彼女らを手なずけるのは赤子の手をひねるようなものですな」

カリギューラ女王「うむ。まさにコウケツ農場のパクリじゃな」

 相変わらずマンガ脳UZEEEEE!とフローリア将軍は思ったが、いちいちツッコミを入れるのもそろそろ面倒臭くなってきた。

佐久葉「ご覧の通り、イマドキスクールでは女子小学生たちにオシャレやメイクの技術、異性とのコミュニケーションなど、一流のレディにふさわしい教育を施しています。受講料は無料なので、親にバレる心配はまったくありません」

マミー「更に、イマドキスクールの授業カリキュラムのひとつに『実習』という分野がございます。今から映写機でご覧にいれましょう」

 マミーは機械に別のテープを挿入した。

 新しく映し出されたモニター上には、先のイマドキスクールの女子生徒たちと、彼女より2~3年上くらいの、若い青少年たちが大勢入り乱れていた。男女とも同じくらいの数がそろっているが、なぜか男の側は皆、薄手のスパッツ一丁という、あられもない姿を晒していた。

マミー「あの者たちは実習に使う実験台です。我が教団の手の者が、独自に希望者を募って集めました」

カリギューラ女王「なるほど、これからセックスのノウハウをあのビッチ小学生共に叩き込むのじゃな?」

 しかし・・・と、ここで女王は映像を見て、怪訝な表情を浮かべた。

カリギューラ女王「こやつら、小学生にしてはずい分と背が高いような・・・。上着越しからでも胸のふくらみが見てとれるし、お腹もきちんとくびれておる。下手をしたら小学生どころか、皆女子高校生か大学生くらいに間違えられるぞよ?」

マミー「ふふ。これこそ、我がスクヴス救済教の成せる秘技というもの。母の手前、詳しい方法などは申せませぬが、彼女たちは全員、入学時にとある手ほどきを受け、実年齢よりも5~6歳ほど、肉体を急成長させているのです。しかし顔の年齢だけは入学前のまま。おかげで、周りからはちょっと成長の早い女の子程度にしか思われません」

カリギューラ女王「うむ。それでなくとも最近の小学生は発育がいい。わらわが種の計画時に初めて肉体を乗っ取った娘も、10歳ながら既に体格は成人女性並であったな」

 にも関わらず、当時10歳の平均よりも小柄で、成長の遅れていた佐伯翔に無様な敗北を喫したことは、カリギューラにとってこの上ない屈辱であった。

 一方、モニターでは教室中にはびこる男女が、次々と淫らな絡み合いを始めていた。まず、背の高い小学生の女の子たちが、その場でくるりと回ったり、ミニスカートの裾を持ち上げたりして、かわいい女子用のパンティを男たちの面前に晒す。思春期真っ盛りで性欲旺盛な少年たちは、いたたまれなくなって近くにいる女の子たちに抱きつき始めた。

 男たちはヒラヒラのミニスカートをまくり上げては、ふとももやお尻を揉みしだき、パンツに指を突っ込んだりする。中にはスカートの中に顔を突っ込んで下着の感触をむさぼったり、無理やり押し倒して、真っ白な生足にグリグリと股間を押し付けたりする者もいた。「きゃぁん♪」「やだぁ♪」「クスクス・・・」と、女子小学生らは自分たちが性的にひどいことをされているにも関わらず、特に嫌がる様子もなく無邪気にはしゃぎ声を上げていた。自分たちの体が性欲の吐け口にされている事で、むしろ勝ち誇っているかのようだった。

カリギューラ女王「むう。純真な女子小学生を、あそこまで性的に淫らな体質に変えてしまうとは。一体どのような強力な魔法をつかったのだ?」

マミー「いいえ。イマドキスクールでは、一部を除き魔力の類などは一切用いられておりませんわ」

カリギューラ女王「な、なんだってー!」

佐久葉「私たちが手を加えたのは、彼女たちの肉体的な成長のみです。彼女たちは、普段身近にあるテレビ番組や週刊雑誌などを通じて、性的な行為に自分から興味を抱いたのです。例えば・・・そうですね。これが現在、小楽館から出版されているこども向けのカルチャー雑誌です」

 そう言って、佐久葉は下界から持ち込んだ雑誌を、フローリア将軍伝いでカリギューラに手渡した。

 雑誌の内容を大まかに読み上げて、カリギューラ女王は「な・・・なんじゃこりゃああぁぁ!!」と、今は亡きジー●ン刑事のごとく度肝を抜かれた。

カリギューラ女王「こ、こいつは・・・エステティックサロンの詳しい情報が女性雑誌並に事細かに記載されておるではないか!こ、こっちのページにはサンオイルのカタログ、その次のページには勝負下着の広告。男子が呑気にファミコンやっとる間に、近頃の女子はどこまで進んでおるのじゃ・・・」

 今はファミコンなんかやってる小学生いないだろ、とフローリアは思った。あ、でも最近はレトロゲーの方が人気あるのか。

佐久葉「ですから、我々は小学生の女の子に対して、何も無理やりセックスを強要しているわけではありません。イケてる女になりたい、周囲の友達に乗り遅れたくない一心で、彼女たちは本心からセックスを望んでいるのですよ。そのためのスクヴス救済教なのです」

マミー「加えて、実験台の男たちも男子中学生~高校生に絞って、自ら志願した者たちです。思春期真っ盛りでエッチな事に興味津々ながら、未成年のため性風俗に出入りする事さえできない。だから、我々は彼らの救済のため、性欲処理の場を無償で提供したのです」

 理性のタガが外れた男たちは、求める本能のまま、年端もいかぬ少女たちの肉体をひたすら貪欲にむさぼった。その内、彼女たちのふとももに股間をすり付けていた男たちが一人、また一人と、ガクガクと下半身を痙攣させた。パンツ越しなので分かりづらいが、恐らく絶頂を迎えたのだろう。

 全ての男がだらしなく果てたところで、映像は終わった。

佐久葉「・・・以上がイマドキスクールの全容です。いかがでしょう?これなら天国軍団のように多大な魔力を消費する必要なく、常任天国軍団のように心から主人に誓う者たちを、最低限の資金と人員とで無尽蔵に生産し続ける事ができます。天国軍団と常任天国軍団に伴うリスクを解消した、まさに『次世代天国軍団』と言っても過言ではないでしょう」

フローリア将軍「なるほど。大人より子供を用いる方が遥かに洗脳しやすく、効率がいいという事は分かった。しかし・・・実質的な戦力としてはいかがなものかな」

佐久葉「と、申しますと?」

フローリア将軍「確かにイマドキスクールの生徒たちは、小学生にしてはスタイル抜群のナイスバディ集団。しかし、所詮は性の知識おぼつかぬ子供。彼女たちはスタイルがいいだけで、セックスの技巧など何も心得ておるまい。先の映像では、男共にされるがままで、フェラどころか手コキすら使える者もいなかったではないか!」

 将軍の気迫あふれる恫喝が、場内に響き渡る。が、ビビッているのはアホのカリギューラだけで、客人の佐久葉とマミーはただ小さくほくそ笑むだけだった。

佐久葉「フェラ、手コキ?そんな小手先の芸当が何の役に立ちますか。それで本当に満足するのは40過ぎ、50過ぎのオッサンだけです。彼らは性機能が衰え、女体の知識もつき過ぎてしまったがため、通常の何倍も強い刺激でなければ感じない肉体になってしまっているのです」

マミー「なぜ日本には数千、数万というアダルトビデオがあるにも関わらず、その裏で水着姿、下着姿だけのグラビアが存在するとお思いですか?AVは年齢制限がある?それは違います。10代の若者にとってAVは下品なのです。お下劣なのです。AVはオヤジ向けに作られているため、若者の嗜好には合わないのです」

佐久葉「私はかつて、とある生贄の男を使って、仮想空間でセックスバトルを疑似体験させた事があります。生贄は10歳そこそこの少年でした。試しに、彼に対して大人のレディを差し向け、女性器を見せびらかしたところ『気持ち悪い!』と一蹴されたのです。せいぜいスカートめくり程度にしか興味を示さない10歳の子供では、毛むくじゃらで粘膜だらけのヴァギナなど、きっとR-TY●Eかダライ●ス辺りに出てきそうな新種の化け物か何かにしか見えなかったのでしょう」

マミー「だから、イマドキスクールでは、生徒たちに『思春期少年向け』のプレイをさせたに過ぎません。女の子に興味を持ち始めた男の子が求めるもの。それは、クラスで好きな女の子のスカートが、うっかりめくれ上がった時のトキメキ。恐る恐る女子更衣室や女風呂を覗き、女の子の体の成長に気づいた時のトキメキ。プールでずぶ濡れになった水着姿の女子たちを見て、男の子と女の子の体の違いに気づいた時のトキメキ。

 そう・・・思春期の男の子たちが求めているのは肉体的な快楽ではなく、精神的なトキメキ!少年漫画雑誌とかで頻繁に用いられる『ほんのりお色気』こそ重要なのです!彼らにとってはちょっぴり女の子のパンツが見えたり、うっかりおっぱいにタッチして『いやぁ~ん』なシチュエーションを体験する事こそが、最高の性的な刺激となるのです。そこから本格的に乳首舐めをしたりとか、性器を挿入させたりとか、ましてやノーパンしゃぶしゃぶだのアナル開発だのといった事態に発展したらトキメキもクソもありません。

 もっと極端に言えば、最後に射精させる必要さえないのです。射精よりも鼻血ブー。この二つの違いが分からぬ者に、エロを語る資格なしっ!」

カリギューラ女王「そんなものは方便に過ぎん。次世代天国軍団と銘打った以上、少なくとも常任天国軍団クラスのテクニックは備えていなくては話にならんぞよ」

 ふう・・・と、佐久葉は溜息を漏らした。言いくるめられたからではなく、どちらかというと呆れ顔だった。

佐久葉「どうやらカリギューラ女王もヘルサも、サキュバスは本来『下に寝る』生き物だという事を理解されておられぬ様子ですね。あなた方は魔力に頼りすぎるあまり、『肉体的快感』ばかりを追求するあまり、人間にとって本当に大切な『精神的興奮』の重要性をお忘れではありませんか?

 確かに男をイかせるテクニックは重要です。しかし、女の側が一方的に押し倒し、性器を刺激するような戦い方では、かえって男の側に警戒心や恐怖心を抱かせてしまうものではありませんか?先の種の保存計画においても、カリギューラ様が強引に女の子にレイプさせたり、淫夢で射精漬けにしたりしなければ、佐伯翔もあれほど女嫌いにはならなかったでしょう」

カリギューラ女王「うぐ・・・」

 そこを突かれると、カリギューラとしては非常に痛かった。今から18年前、彼女は下界の女共を使って、体内に強力な精を宿した佐伯翔少年から、徹底的に精子を搾り取ろうとした。が、佐伯の側が嫌がっていたにも関わらず何度も性交に及んだため、彼はセックスをちっとも楽しいものと思えず、ましてや快楽まみれの新世界など全否定の対象となってしまったのだ。

マミー「例えば佐伯のクラスメート、委員長の高野真美の肉体を乗っ取っての初戦。佐伯のペニスに、グリグリとパンツを押し付けての攻撃は完璧でした。が、その後高野は素っ裸になって、強引にセックスに持ち込もうとした。これは失敗です。思春期のトキメキには真っ向から反します」

フローリア「ああ、それ私も言ったんですよ。性器を直接刺激されるとまずいから、パンツだけは脱ぐなって。このバカ、ホントそういうところですぐ調子に乗っちゃうんで。もっとガンガン辛口批評してやってください」

カリギューラ女王「ちょwwおまwwwちったあご主人様を擁護しろよ。逆パワハラで訴えるぞ」

佐久葉「あれは惜しい事をしました。高野真美のような早熟の娘ほど、イマドキスクールの適正に叶う逸材はいなかったというに。先ほど、娘がパンツ攻撃は完璧だと言いましたが、それはなぜかというと、あの時は佐伯の側も積極的に股間を押し付けていましたね?つまり、あの場面に限っては、高野さんのふとももが気持ちいい、高野さんのスカートの中を覗けるなんて夢みたいだ、自分よりも体つきのお姉さんな女の子と抱き合えたらどんなに幸せだろう、という願望と期待感とがあって、それを高野自身が見事に叶えてあげた形だからです。そして、男性とは本能的に女性に対して支配欲を持つもの。

 我々も数多くの生贄を用いて、あらゆるセックスの実験を行ってきましたが、やはり男性が主導を握ってセックスさせる方が、最終的により多くの精子を採取できるという結論に至りました」

マミー「厳密に言うと、完全な男性主導ではありません。それは表向きです。そうですね、実際にVTRを見ていただいた方が早いでしょう」

 そう言って、マミーは次の映像に切り替えた。

 今度は、個人用の寝室らしき場所で、一組の男女が向き合っていた。どちらも18~20歳そこそこの外見。男の方は、運動不足が見て取れる痩せ型の平凡な若者だったが、女の方は小柄ながら、きれいに無駄なく肌を磨き上げている絶世の美少女だった。

佐久葉「あれは我が教団で受け持っている、とある進学校の施設のひとつです。ちなみに女性の側は学校の生徒にして、我が教団の信徒でもあります」

 しばらく、若い男女は黙ってお互いを見つめ合っていた。どうやら、お互いに緊張して言葉が浮かんでこないようだ。

 やがて、ちらほらと会話が聞こえてきた。

「やっぱり私、あきらめきれないんです」

「だ、だめだよ。よくないよ、こういうの」

 会話の途中で、女の側がスルスルと上着を脱ぎ捨て、ピンク色のブラジャーをあらわにする。子供っぽい外見の割に、意外とバストサイズにボリュームがあった。

「今夜だけでいいんですぅ!」

 女が叫んで、男にしがみつく。男の方はそれまで必死に理性を保とうとしていた様子だが、とうとういたたまれなくなって、女性の体を強引に押し倒してしまった。

 男は焦った手つきで少女の服を脱がし、むしゃぶりつくように全身を愛撫する。男の余裕のない動作を見る限り、未経験の童貞であろう事が熟練の淫魔たちには見て取れた。

カリギューラ女王「あーあ、相手の男はまったく気遣いができておらぬのう。娘の体に体重をかけっぱなしではないか。もっとしっかりやれい!」

 カリギューラに至っては、プロレス中継を見る時と全く同じリアクションをしていた。団塊のオッサンじゃねえんだから、黙って見物しろよとフローリアは思った。

 ただ、彼女の言う通り、男の側はもう本当に余裕がなく、十分な前戯を終える前に挿入に持ち込んでしまっていた。しかも、オンナの圧力に負けてしまっているのか、どうしても奥までねじ込めないというお粗末な有り様だった。

 すると、女の方が急に両足を持ち上げて、男の腰に巻きつけてきた。それまできつくて中々入らなかった暴発寸前のペニスが、ズブズブと奥に引き込まれていく。「ああっ!」ここで、上級淫魔であるカリギューラとフローリアも目を見張った。佐久葉親子の表情に、クスクスと笑みが浮かび上がった。

佐久葉「さすがは陛下、お気づきになられたようですね。男の側がふがいないあまり、女の側は楽に亀頭をねじ込めるよう密かに行動に出たのです」

マミー「ここで重要なのは『それとなく気遣った』という点です。女側が変に手馴れているところを見せると、男のプライドを傷つける恐れがある。今のは最低限の動作だったため、男の側は相手の女が手練れだという事に気づかないでいるでしょう。更に、形式的には依然、男性上位という点は変わっていません」

 素人目には、未経験の若いカップル同士のぎこちないセックスに見えるかも知れない。が、4人の上級淫魔たちには、男の側が明らかに押されている事が見て取れた。その証拠に、男はロクにピストン運動もしない内、先に溜息が漏れて、たまらなくなってきている様子だった。

「だっだめっ!離して!出しちゃう!」男は途中で怖気づいたのか、必死に懇願するが、ペニスが強い力で結合してしまって引き剥がす事ができない。女は相当な名器持ちのようだった。

 とうとう耐え切れず、男はブルブルと腰が痙攣してしまった。きっと、彼女の膣内では、ペニスがこれまでにないくらい激しくもがき、煮えたぎった液体を思う存分吐き出している事だろう。

マミー「少し映像を拡大します」

 マミーが映写機をいじって、カップルの下半身部分に焦点を合わせる。「な・・・なにィ!!」カリギューラとフローリアはまたも驚嘆した。

カリギューラ女王「あれだけ体重をかけられておきながら・・・娘の方が一方的に腰を動かしておる!」

フローリア将軍「あれは・・・ボウイ将軍!ボウイ将軍の技だ!」

 ペニスの脈打ちが徐々に収まるにつれ、女もゆっくりと腰を動かすようになって、男の側に安心感を与えていた。

 セックスバトルの観点で言えば、これは圧倒的に女の勝ちだろう。女は一見、清純な処女を装っておきながら、男の気づかないところで、さりげなく優位なポジション取りをし、必然の勝利を得ていたのだ。

 二人はぐったりと倒れて、ベッドの中でしばらく寄り添っていた。余韻に浸りながら、小声でしばらくお話をしているようだった。

「用務員さん。好きです・・・」

「僕もだよ。かれん・・・」

「あの、私、よかったですか?」

「ああ、最高さ」

 セックスを通じて、二人の男女仲はいっそう深まったようだった。やがて二人は深い眠りに落ちて、ビデオ映像もそこで終わった。

フローリア将軍「むう、セックス後の余韻に浸る時間まで演出してみせるとは、侮れぬ娘だ。男の側も、先にイってしまった事に気づいていたようだし、こやつも油断でき・・・」

カリギューラ女王「うっうっ・・・よ、よかった。二人とも、どうか末永くお幸せに・・・うぅ、ぐすっ」

フローリア将軍「ってオイィ!なにもらい泣きしてんだこのクサレ脳みそがぁぁーっ!」

佐久葉「・・・ともかく、これでセックスバトルの極意がお分かりいただけたでしょう。どんなに女性が責められる立場であろうと、男が先に射精してしまえば女の勝ちなのです。デキる女は、ただ強引に男を責めたりはしない。表向きは受け身に回ることで、男の支配欲を満たしつつ、同時に快楽の虜にもする。言うなればマグロプレイに加算されるちょっとしたスパイス。

 我々はこの高等テクニックを『近藤パターン』と呼ぶことにしました。先の映像に出てきた女学生の名にあやかって付けました」

フローリア将軍「いや、いやいや。佐久葉女史の主張はごもっともだが、近藤パターンという名称は誤りだ。受け身に回りつつ女性上位を維持するテクなら、先にボウイ将軍が披露してくれている。だから、これは近藤パターンではなくボウイパターンとするのが一般的だ」

佐久葉「いいえ。あなた方が天国軍団を組織して地上進出を目論んだのは、つい最近の話でしょう?ですから、近藤パターンは我々スクヴス救済教のオリジナル技です。パクリとおっしゃられるなら、ボウイ将軍の方こそパクリです」

カリギューラ女王「うーん、別にどちらでもよいのではないか?キン肉バスターだってキン肉マンが使えばキン肉バスターだし、アシュラマンが使えばアシュラバスターになるわけで・・・」

フローリア将軍「あぁもう、頼むからお前は黙ってろよ!いい加減ねじりん棒食わせんぞ!」

 どうでもいい箇所でマンガ脳全快のカリギューラ女王が出しゃばるため、つい収拾がつかなくなってしまった。

 これはまずいと思い、フローリア将軍は「んん・・・」と唸って仕切り直した。

フローリア将軍「・・・まあ、別にボウイ将軍はこちらの派閥ではないし、著作権で訴えられるのはヘルサだろうから、技名に関してはお互い好きに呼び合うというところでFA(ファイナルアンサー)としましょう」

佐久葉「そうですね。スクヴス女学園が時系列的にどの辺に位置するのかいまいち不明なので、その辺の後付設定は十無にお任せしておきましょう」

 無責任ですいません(作者)。

カリギューラ女王「しかし、イマドキスクールというのは受講料も無料なのに、うまく経営していけるものか?わらわとしては、娘たちをあれほど肉体改造しておいて、後で親御さんにバレないか心配なのじゃが・・・」

フローリア将軍「なんで魔族の王が、人間の親なんか恐れにゃならんのですか」

カリギューラ女王「いや、だって最近モンペアとか色々怖いし。集団で駆け込まれて難癖つけられたら嫌だなあって・・・」

佐久葉「ご安心を。生徒たちにはイマドキスクールの話題を保護者には口止めするよう念を押しているので、警察マスコミその他に嗅ぎつけられる心配はまずありません。それに、生徒のほとんどは両親の離婚した母子家庭で、シングルマザーたちは女子力アップ(笑)のため朝から晩まで仕事に没頭していて、子供たちが外で何をしようと知った事ではありません」

マミー「何せ、子供が生まれてすぐ児童保育所(スクヴス救済教法人)に預けっぱなしですから。生徒の親たちは、我が子の好きな献立BEST3すらまともに答えられません。そもそも夕飯さえ生活保護任せ(スクヴス救済教法人)なので」

 カリギューラもフローリアも、なんでこんなにビチクソ小学生が増えたのか分かったような気がした。もうやだこの国・・・。

佐久葉「では、私たちは早速次世代天国軍団の育成に取り掛かることにいたします。数日と待たずして、女王陛下のもとにお届けすることを約束いたしましょう」

カリギューラ女王「うむ。よいぞよいぞ」

フローリア将軍「水鏡先生。いったいどうすれば臥竜先生に会えるのですか!?」

カリギューラ女王「よいぞよいぞ」

 こうして、カリギューラ女王陛下との謁見を済ませた佐久葉親子は、氷の城を後にした。

 二人が去った後で、スクヴス製ウェットティッシュの感触をすっかり気に入ったカリギューラ女王とは裏腹に、腹心のフローリア将軍は心の中で危機感を覚えていた。

 ヘルサたん総統がふんぞり返って情勢の危うい時に、スクヴス救済教の協力は正直ありがたいと思った。しかし、教祖の佐久葉素乃子はヘルサにも勝るとも劣らず食えない女だった。いや、ある意味でヘルサよりも侮れないかも知れない。

 ヘルサはカリギューラ女王に匹敵する魔力の持ち主でありながら、頭も相当切れる女だ。が、自らの力を誇るあまり性格が傲慢過ぎて、人望がない。だから、アホのカリギューラでさえ彼女には一応の警戒心を抱いている。

 ところが、先の佐久葉・・・サキュバスの女王メアリィは、自らをたかがアラフォーのおばちゃんと卑下し、ヘルサにも自分は舐められているとまで言ってみせた。こうした、自分を弱く小さく見せられる人間(サキュバスだが)ほどフローリアにとっては侮れないのだ。

 何より、カリギューラの結界をヘルサでさえ力ずくで突破したが、佐久葉親子は魔力すら使わず、あくまで弱点を見破って潜り抜けたのだ。精神的には佐久葉の方が大人のマダムだった。カリギューラ女王も、彼女のエレガントで低姿勢な振る舞いにすっかりほだされてしまった。

 幸いなのは、佐久葉親子がカリギューラやヘルサほどの強力な魔力を使えない事だろう。それは本人たちも分かっていて、水面下で人間社会に依存していく事でしか彼女たちは己の地位を保てないでいる。彼女たちから交渉を求めてきた点に関しても、カリギューラの新世界創造の計画に対し、何か焦りのようなものがあるに違いない。

 フローリア将軍は、今後とも地上制圧以上に内部の動向にも気は抜けないと思った。カリギューラ女王は相変わらずハトポッポだった。


佐久葉「ひとまずは計画通りね。しかし、このまま手をこまねいているとヘルサにも勘付かれて、収拾がつかなくなる。今後とも気は抜けないわ」

マミー「ふふ、ご安心を。我が教団には、下手な小国よりもよほど強大な軍事力があります。いざとなれば、核ミサイルのひとつでも使って・・・」

佐久葉「いいえ、焦りは禁物よ。決して、私たち自身が波風を立てる起爆剤であってはならない。かつて下級淫魔だった私たちが今日まで生き残ってこられたのは、カリギューラのような力任せの魔王たちにうまく取り入って来たため。安易に彼女たちと対立するのは得策ではないわ」

マミー「しかし、カリギューラたちの新世界創造を黙って容認するわけにはいきません。6大世界に無理な歪みが生じれば、せっかく人間社会を水面下から掌握してきた我々の努力も無に帰してしまいます」

佐久葉「そうね。少なくとも、我々の領域は維持してもらった上で地上を治めていただかなくては。そのために、私たちは魔界や下界の有力な組織にパイプを築き、あくまで死の商人として立ち回るのよ。場合によっては、ヘルサ側と手を組む必要も考慮しなければならないわ」

マミー「さすがはお母様」


次へ


メニューに戻る(ノーフレーム用)