■出来損ないの聖餐 01

 目を開けると、戒められていた。
 肝心なトコロがかなり隠れてない、スケスケな衣装付き。
 夢でも勘弁だ。
 でも、これまでだってそうだったように、現実。
 地下室、というか洞窟みたいな空洞は幸い少し暑いくらいで、カゼをひく心配はなさそうだった。
 でも、纏わりつく湿気は、気持ち悪かった。
 明らかにいかがわしい成分が混ざった香の匂いも、吐き気がしそうだ。
 甘すぎてくどいし、どこか生臭い。
 吸い込むと、少し眠くなった。
 身体が溶けそうな感じがして、力が抜けた。
 枷に手首を引っ張られて、我に返る。
 悪趣味だ。
 一瞬人肌が恋しいなんて思った自分にも、蹴りを入れる。
 媚薬に祭壇、生贄とくれば、大体やることは決まっている。
 全くイイ趣味してるよ、とユイは投げやりに呟いた。


「駄目か」
 関節が外れるギリギリまで出力を上げてみたが、華奢なつくりの鎖に、何の変化もなかった。軋んだのは自分の右腕だけだった。
 魔法的な手段で、強化してある。魔化されてプラスが付いていれば、見た目の何倍も頑丈だ。
 腕が駄目なら、多分足元も同じだ。
 殆どあそびのない手首と違って、足首の枷から伸びた鎖にはかなりの余裕があった。
 何故そうなっているか考えると、鬱になった。
 好きに開かしてご賞味下さいってコトかよ、フザケンナ。
 半殺しじゃ済まさない、とユイは腹を立てた。
 でも、本当にしばき倒したいのは三日前の自分だった。


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