『ラブリィ・ダーリン2』より

プールでのヒトコマ【優吾視点】





 今日は僕と華ちゃん、二人でプールに来てま〜す。
 ここは会社の施設で設備も充分整って快適だし、社員とその家族(恋人・友人可)は自由に使用可能だから結構家族連れでみんな使ってるみたい。

 暑くなってきたし、クーラーにあたってばかりじゃ身体に悪いから、というわけでやってきたわけなんだけど・・・



 思った以上に人が来ててびっくり。
 僕はてっきり数える程度の人間がいるんだと思ってた。
 家族連れは勿論のこと、カップルや友人同士、結構賑わってるもんなんだね〜。


「パパ〜!!」

 周りをのんびり眺めていたら華ちゃんのカワイイ声!!
 振り向いて一気に表情筋が緩んでしまった。

 だってだって、僕が選んだ水着がすっごくすっごく似合ってるっ、ここにいる誰よりもカワイイ!!!
(ちなみにフリフリのレースが付いたピンクのビキニ{オーバースカート付}である)


「カワイイッ、華ちゃん!!!」

 早速ぎゅむっとやわらかい身体を抱きしめて。
 僕は一瞬でめろめろになってしまった。

「はずかしいよぅ・・・っ、みんな見てるし・・・っっ」

 小さな声で訴えかける華ちゃんにハッとして、腕の力を緩める。
 周りを見ると・・・確かに皆の視線を集めてしまったみたいだ。
 まぁ、いつもの事だから僕は気にしないんだけど、華ちゃんは恥ずかしいみたいだから、ちょっと自制する。



 ───ん? 視線だって?



 と、そこで僕は気が付いた。

 確かに華ちゃんはかわいい。
 かわいすぎる。

 だから、だからこそ、こんな姿を他の男が見て何も思わないわけがないんだ、と言うことに。

「・・・・・・」

「・・・パパ、どうしたの?」

 首を傾げる華ちゃんを見て、むむっと眉間に皺を寄せて考え込んでしまう。
 考えてみれば、水着なんて下着みたいなもんじゃないか。
 しかも、ビキニタイプを選択してしまうなんて・・・っ、僕ってば何て考え無しなんだっ!
 ビキニと言えば必要最低限の場所にしか布が無いというのにっ。


「パパってば〜」

「あっ、な、・・・なに?」

「調子悪いの?」

「えっ、ううん」

「じゃ、行こう!」


 手をつないでプールサイドへ。

 う・・・やっぱり男の視線が気になる・・・
 そうだよね、カワイイでしょ、知ってるよ、僕の華ちゃんだもんね。


「・・・・・・よし」


 僕は意を決して華ちゃんの手を握り締めた。


「華ちゃん、僕の側にくっついててね!」

「へ? なんで?」

「なんでも! 絶対だからね!」

「う、うん。・・・えへへ、パパだ〜いすき!」


 華ちゃんは最初きょとんとしたけど、直ぐに僕の腕にきゅってしがみついて、とっても嬉しそうに笑った。
 同時に僕の頬も緩んじゃって、一気に気分が浮上する。


 うん、そうだよ!
 僕が華ちゃんを守ればいいんだよね!


 気合いたっぷりで僕は頷く。
 その日一日、ちょっと気合いを入れすぎて妙に疲れてしまったけど、華ちゃんは始終楽しそうだった。

 だから、また来たいって言うならそれも良いかなって思った。

 けど、今度はワンピースの水着を選ぼう。
 華ちゃんが僕に水着を選ばせてくれるなら、・・・・・・ね?






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