『TWINS』番外編
○番外編1○ 二年分の宿命!?(前編) 場所は放課後の教室。 愁は行儀悪く机の上に座り、うんざりした顔でため息を吐き出した。 女生徒3人に囲まれて─── 「ねぇ、愁さ〜、自分が何やってるのかわかってんの?」 「・・・・・・・・・」 「絶対おかしいって! たった一人の女で満足できる男じゃないでしょ〜、アレだけヤリまくってたくせに」 「・・・・・・・・・」 「また前みたいに遊ぼうよ♪ ホテル代はこっち持ちなんだしさ」 「・・・・・・・・・」 コイツら、好き勝手言いいやがって・・・ まるでオレが遊び人みたいじゃないか。 いや、実際そうだったかもしれないけど、他人から言われると腹立つじゃん。今は違うわけだし。 まぁ、毎日毎日女どもに呼び出しくらってこんな事を繰り返しているのも、オレの普段からの行いの悪さも原因の一つかもしれないけど。 だからってコレを振り切って帰る事も出来ないくらいコイツらしつこいんだよ・・・もういい加減くたびれた・・・・・・ このように愁が疲れ果てる程、彼が毎日違う女に囲まれてお誘いを受けているのには理由がある。 夏休みが明けて、学校が始まったとき愁は鈴音とつきあい始めていた。 彼は今までつき合いのあった女連中とは一方的に手を切り、それで万事オーケー物事は無事丸く収まったと思っていたのだが・・・・・・。 ・・・・・オレの考えは甘かった。 女どもはオレの一途な想いなど全く理解してくれなかったらしく、前のようにヤリまくりの日々を連れ戻そうとしてくる始末。 コレって、ある意味オイシイ話なんだろうけど、今のオレにとってはホントに迷惑な話なんだよ。 それもこれも、オレのテクが凄すぎる所為なんだろうなぁ、わかるわかる。 ・・・じゃなくて、これじゃリンとつき合うのにも支障をきたすんだよ!!! あんなに苦労して手に入れた彼女なのに、ハッピーライフを送れないなんて冗談じゃないっつーの!! 「あっわかった〜、じゃあさ、これからみんなでホテル行こうよ、4Pだよ〜っ、二人じゃ出来ないことまで出来るしさ、あたしたちと遊ぶ方が絶対気持ちいいって!」 「ウルサイ、おまえら黙れ。オレは何と言おうとリン以外はもう抱かないんだよ」 「なにそれっ、そんなの愁には無理に決まってるじゃん、もって3ヶ月ってとこだね」 「そんなわけあるかっ!」 「あ、ねぇねぇリンちゃんってさぁ、会長サンともヤッてたわけでしょ? やっぱ数こなしてるだけあって愁の方が勝ってたって事?」 ピク 「そりゃそうでしょ〜、愁のテクで参っちゃった以外何があるのよ、じゃなきゃあの完璧な会長サン振ったりしないって! でもさぁ、会長サンもあんな顔してやることやっちゃってるわけでしょ? 権力を駆使して生徒会室とかでもいたしてたりして〜!?」 ピクピク 「きゃ〜っ、もしかしたら生徒指導室とか〜!? やめてぇ〜っ、想像しちゃう!!!」 「だぁ〜〜〜っダマレダマレダマレ〜〜〜っ!!!!! とにかく、オレはもうリン一筋なんだからオマエらとはヤんないんだよっ、これ以上話してると下品が移るから帰るっ!!」 「「「え〜〜〜っ」」」 鞄を手に取り、出来るだけ早くこの場所から遠ざかりたくて早歩きで教室を飛び出す。 後ろからまだ『つまんな〜い』などと言う声が聞こえていたが、それは勿論無視の方向で。 愁は、はぁ、と大きな溜息を吐き出すと、悶々とする気持ちを抱えながら走り出した。 「なんか・・・愁ってば本気?」 「う〜ん、何となく分かってたけどね〜」 「まぁ、あんな顔して彼女とイチャイチャしてるの毎日見せつけられたらねぇ」 教室に残った女生徒達は、愁がいなくなると力が抜けたようになり、皆一様に苦笑している。 「あたしらだって確かに遊びでオッケーでつき合ってたけどさ〜、やっぱり少しは困らせてやりたいじゃん?」 「だよね〜、あの反応も楽しかったし」 「・・・まぁ・・・・・・そろそろ切り上げ時かもしれないけど」 「ホンット、得な性格してるよ」 ▽ ▽ ▽ ▽ 全くアイツら、冗談じゃないっつーの! 何でオレが今更智とリンの事を気にしなきゃいけないんだよ。 生徒会室とか、生徒指導室とか!? おかげで気になって気になって・・・・・・っ、くそ〜っ!!! ダダダダダと階段を駆け上がり、鈴音の待つ下級生の教室へと一直線。 「リン帰るぞ!」 ガラリと教室扉を開けると、中にいる人物を確かめもせずに愁は言い放った。 「あ、うん」 鈴音は広い教室の中でたった一人、ポツンと自分の席に座って愁を待っていたようだ。 よっぽど暇だったのか今日出された宿題を広げて。 「ちょっと待ってね、今片づけるから」 ニコリと微笑んでから、筆記用具をしまう。 教科書とノートを閉じ、鈴音が片づけている間、愁は彼女の前の席に座り、その様子を眺めていた。 色白の肌、サラサラの髪、大きな眼に長いまつげ、小さな赤い唇、やっぱカワイイよな、と今更ながら思った。 「なぁに?」 全てを片づけ終えたところで愁の視線に気づき、首を傾げる。 その幼い仕草にドキッとして、こんな場所だというのに鈴音を抱きしめたくなった。 勿論、それを行動に移してしまうのが愁だったりするわけで・・・ 「わっ、愁くん!? っやだ」 「やだじゃない」 「だって教室だよ!? 離してってばぁっ!」 慌てた鈴音が抱きつく愁を押し返そうとするものの、力で敵うはずもなく更に抱きすくめられる。 愁は華奢な首筋に顔を埋めて鈴音の耳の側で低く囁いた。 「じゃあさ・・・オレの質問に素直に答えてくれる?」 「えっ、質問? ・・・うん」 質問に答えるくらいで解放されるのかと思い、鈴音は一も二もなく頷く。 それを確認し、彼女からは見えない角度で妖しく笑うと、愁は口を開いた。 「智とは学校でシたことある?」 「っ!?」 この場合何を指すのか・・・愁に聞かれた時点でそれはたった一つに絞られる。 「愁くん、何言って・・・何で智くんの話が」 「早く答えて」 「・・・・・・っ、・・・・・・」 ・・・こんなの・・・答えられない。 眉を寄せ押し黙る姿を目に留めると、愁は不機嫌に目を細めた。 「ヤッたんだ」 「っ!? 何言って・・・っ、わたし何も言ってないでしょ!?」 「ばか、こういうのってヤッてないなら即答出来るハズだろ」 「・・・・・・っ」 その通りだった。 こんなの、簡単なトリックに引っかかるようなもの・・・。 「どこで? 生徒会室とか?」 「っ!?」 ギクリとして、ぶんぶん首を横に振る。 今度こそ即答の意味を込めて否定したが、愁の目は更に不機嫌さを増した。 バレてない、バレてないはず。 なのに・・・ 「ふ〜ん、智のヤツ、許せねぇな」 「愁くん!?」 「リンのウソなんて引っかかる方が難しいんだよ。なぁ、他にはどこでヤッた?」 「してないよっ、愁くんのばかっ、どうして今更そんな事言い出すの!?」 ふ〜ん、この反応は素直だ。 どうやらこれはホントウらしい。 愁は瞬時に理解して、学校という特別な場所で二人が楽しんでいたのだと言うことを知り、それなのに今自分に抱きしめられている事を嫌がる鈴音に対して苛立った。 「気になるもんは仕方ないだろ」 「気になる気になるって、そんなの言うんだったらね、愁くんなんかどうなのよっ!」 「何だよそれ」 「自分の胸に手を当ててよ〜く考えなよっ!」 自分ばかり追求され、鈴音の方も怒りが沸いてきたようだ。 だが、愁には言われている意味が分からなかったようで、眉を寄せているだけ。 「・・・・・・わかんねぇ、何だよ」 「信じらんないっ、ホンット〜にわかんないの!? 愁くんなんか未だに女の子に迫られてるんでしょ!? わたし知ってるんだから、その中には本気だった子もちゃんといる事だって・・・なによ、つき合ってた女の子いっぱいいた癖に、たくさんその子達と・・・・・・たくさんっ」 噂なんて簡単に流れてくるもの。 そして、愁を近くで見てきた鈴音には、それが真実で彼にとっては遊びだとしても、多くの女性と関係を結んでいたことも知っている。 気にならないはずがない。 「・・・・・・別に気持ちなんか入ってないし」 ばつの悪そうな顔で呟く。 「そんなの関係ないもん」 「仕方ないだろ。リンと出来なかったんだから、リンを想像してヤル事しか思いつかなかったんだ」 「なっなっ!?」 「リンなんて、智が好きかどうかも分からなかったのにアイツとヤッてたんだろ? オレから見たら同じようなもんだと思うけど」 「・・・っ」 それは・・・・・・そう、なのかもしれない。 愁くんを責める事なんて・・・出来ない・・・ 俯く鈴音を見て、愁はこの展開は予想外だったので、どうしたものかと少々面食らい、焦る思考の中で考えを巡らした。 「・・・だからさ、それはそれとして。・・・つまり、そうだよ、オレだってこんな所でヤル気なんてないから安心すればって言いたいだけだよっ」 先ほどから警戒心たっぷりだった鈴音を余所に愁はあっさりと彼女を離した。 何となく話が逸れたのと、解放されたことにようやくホッとして愁を見上げる。 「ホラ」 愁は片手を差し出して、行くぞと言った。 それは、『手をつなごう』という彼の無言の合図で、鈴音は笑顔になって愁の手を握りかえした。 「今日、リンの家に行ってもいい?」 「い〜よ、ママも会いたがってたし。あ、でも、ちょっと帰りは遅いかもしれないけど」 「構わないよ、オレはリンと一緒にいれれば別に」 「・・・・・・ウン」 こういうストレートに物を言う所が好きだと思った。 繋いだ手の温もりも、限りなく鈴音を安心させて無防備にさせてしまう。 ───だが、そんな無防備さが彼女自身の首を絞めているのだと、鈴音本人は気づかない。 嬉しそうに無邪気に笑う鈴音を横目で見ながら、愁が内心ニヤリと妖しく笑っていたなんて事は、その時の彼女に分かるはずもなかった。 ▽ ▽ ▽ ▽ 「はい、これ母さんから」 無造作にテーブルに置いたのは、沙耶からの差し入れだった。 今日の夕飯にと二人に用意してくれたらしく、一度自分の家に戻り着替えてきた愁に持たせたらしい。 「わ〜い、ありがとうっ」 「オレもう腹減った、食べよう」 「うんっ」 殆ど準備の必要もない状態の今日の夕飯をテーブルに並べ、おひつに入れてある御飯を、用意された御飯茶碗に盛っていく。 まだまだ食べ盛りの愁は、どんぶり茶碗のようなそれに山盛りの御飯を二杯ほど、いとも容易く胃に収めてしまった。 「リン、もっと食べろよ。そんな少ししか食べないからなかなか成長しないんだぞ」 鈴音は食が細いわけでもないのだが、愁から見れば『少し』に見えるのかもしれない、先に食べ終わった愁にそんなことを言われた。 「愁くんと一緒にしないでよね〜、これでもめいいっぱい食べてるもん。背が伸びないのは関係ないでしょ」 「背? ・・・確かに身長ももうちょっと欲しいよな〜、キスするのにちょっと首が痛いし」 「何の話してるのっ!?」 「何って胸の話だろ」 「〜〜〜〜〜っ」 しれっとした顔で何て事を言うんだろう。 確かに胸ないけど・・・っ、胸ないけどっ! なによぉっ!! 鈴音は顔を真っ赤にして、ばくばくと口の中にカボチャの煮付けを放り込む。 「そんなに一生懸命食べなくたってオレが大きくなる手伝いしてやるから大丈夫だよ」 愁は、楽しそうに頬杖をつきながら横やりを入れていく。 別にそんなつもりない、と思い、キッと愁を睨みゴックンと食べ物を飲み込んだ。 「・・・カワイイな、リンは」 目を細め、微笑む愁。 「・・・っ」 今の今まで人をからかっていた筈なのに、そんな顔をされてしまうと怒っていたことも一瞬で忘れ、ドキンと胸が高まる。 「リンはオレが好き?」 不意に愁の手が伸びてきて、鈴音の小さな手を掴まえる。 「・・・う、うん」 そのまま、愁の唇が薄く開き、鈴音の人差し指を口に含んだ。 「・・・っ、しゅ」 「オレも好きだよ」 ゆっくりと彼女の指を舌で味わいながら、視線を鈴音に流し向ける。 その色っぽい瞳に金縛りにあってしまい、何も言えずにいると、愁は立ち上がって鈴音の隣に回り込み、彼女の肩を抱き顎を引き寄せてキスをしてきた。 「・・・んっ」 差し込まれた舌が歯列をなぞり、一瞬逃げようと引っ込められた鈴音の舌に絡みつく。 少しの隙も与えない激しいキスに呼吸もままならず、次第に力が抜けていき、益々愁の好きなようにされてしまう。 いつもそうだ。 時折彼の思うようにされるのが悔しくて抵抗して見せようと思うのに、たったキス一つで何にも出来なくなってしまう。 「リン、好きだよ」 この麻薬のような言葉も鈴音の動きを封じてしまう。 「愁・・・く・・・っん」 首筋に彼の舌が這い、息が上がる。 大きな手はいつの間にか服の下に入り込み、ブラジャーを上に押し上げて胸の頂を摘んで優しく転がした。 「・・・んっう」 ビクン、と身体が跳ね上がり、何かが溢れてくる気がした。 愁はスカートの中にも手を滑り込ませ、ショーツの上をゆっくりなぞった。 「はっ・・・ぅ・・・」 そこはもう既に下着の上からでも分かるほど濡れていて、愁は口端をつり上げて笑う。 「スゴイね、もうこんなになって」 ショーツの端から長い指を滑り込ませて、指を二本差し込んだ。 簡単に愁の指を飲み込むソコは、ヒクヒクと痙攣して出し入れを繰り返すと締め付けも強くなる。 「ああっ、・・・はっ・・・ん、んぅ」 「わかる? リンのここ、オレが欲しいって言ってるの」 「やぁ・・・っぁ、わかんな・・・っ」 わざと音を立ててかき混ぜられ、僅かな抵抗といえば首を横に振る事だけ。 しかし、それが益々愁を煽り、彼女をもっと乱れさせたいと言う思考を芽生えさせてしまう。 「足りない? じゃあ、もう一本増やそうか」 「あぁあっ、あっ」 バラバラに動くそれは、的確に鈴音の弱いところを掠めていく。 自分ではどうにも出来ない波は直ぐにやってきて彼の指を更に強く締め付けた。 「うぁ・・・はっ、あ、あああ、あーーーーーーーっ!」 本当に、いとも容易く鈴音は達してしまった。 頬を染めて息を乱し、瞳を涙で濡らしてガクガクと身体を奮わせる。 愁はそんな鈴音が愛しくて、もっと自分を欲して欲しいと思った。 「もしかして、もうイッちゃった? オレの指がそんなに好きなの?」 「・・・ぁ・・・んっ」 耳元で囁き、達したばかりの彼女の中を尚もかき混ぜる。 断続的に締め付けるソコは更に敏感になり、親指で芽を擦られると鈴音は一段と声を上げて愁にしがみついた。 「いや・・・ぁ・・・っ、愁・・・く」 「イヤじゃないだろ? 嘘吐くと指しかあげないよ」 「あっ、やぁ・・・っ」 肩を奮わせ、必死に快感に堪えようとしているようだが、愁の与える波には勝てないらしい。 容赦なく攻められて、自分から愁の口にキスをした。 愁は満足そうに目を細め、鈴音の口を激しく犯すと、再び締め付けの強くなったソコをぐちゃぐちゃと掻き回す。 「ふっぅ・・・んんっん〜〜〜〜っ!!」 ガクンと力が抜けて、鈴音は愁の胸に倒れ込む。 顔をピンクに染め、吐き出す息が甘くて、こんなに簡単に達してしまう鈴音が可愛くて仕方がない。 漸く指を引き抜くと、彼は嬉しそうに鈴音が濡らした自分の手をぺろりと舐めた。 「・・・・・・やぁ・・・だ・・・汚いよぉ」 力無く愁の手を掴み、紅潮した頬で彼を睨みつける。 だが、そんなものは愁にとって誘っているものとしか思えないもので、鈴音を見ながらもう一度ぺろりと舐めあげると口端をつり上げて笑った。 「二階・・・行こうか?」 鈴音の返事を待たず、愁は彼女を抱き上げて階段を上っていった。
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