コードK発生後、すぐに現場へ駆け付けた学園長だったが、すんでの所で取り逃がした。
まさに一足違いで、学園長が見たのは逃げるけっこう仮面の後ろ姿のヌードだけだった。

「ええい、くそっ……、今一歩のところで!」

学園長は地団駄を踏んだ。
もっとも、学園長が間に合っていれば叩きのめされていたであろう。
当の本人は、そんなことは脇に置いて、取り逃がしたことを悔しがった。
何だかんだ言って、学園長自身がけっこう仮面と出くわしたことや、捕まえたことはなく、
本物を間近に見たのは事実上初めてだったのである。
それだけに大魚を逃がした感が強かった。

「なにをぼんやりしておるか! 逃げた方向はわかっておるだろうが、すぐに追い掛けんか!」
「はっ、ははっ!」
「……学園長」

八つ当たりにも近い怒声を、けっこう仮面問題担当教師や警備員どもに発していると、後ろから
声を掛けてきた者がいる。

「いいか、逃がすなよ。やつはたった今までそこにおったのじゃ! 全警備員に通達して学園
の内外を固めろ! 決して島から出すなよ、それと……」
「学園長」

興奮していた学園長が、背後で響く女性の声に気づき振り向くと、そこにはジャージ姿の夏綿
けい子教諭が立っていた。

「……なんじゃ。わしは今、忙しい。たった今、けっこう仮面が……」
「それは聞きました」
「では何じゃ! すぐ追わんとまた逃がすわい。だいたい、君はけっこう仮面担当ではない
じゃろう。なぜここにおる」

けい子は薄く笑顔を浮かべて、学園長を宥めた。

「そう興奮しないでください。私もさっき、コードKの放送を聞いて駆け付けたんです」
「……で?」
「咎島の件も聞きました。何でも、佐田先生と片桐先生がけっこう仮面を捕まえた、とか」
「ああ……その話か」

学園長は警備員に指示を飛ばすと、けい子を見据えた。
けい子は真剣な表情になった。
なるべくここは、必死さをアピールし、事の重大さを演出しなければならない。

「しかし、こちらにけっこう仮面が出たとなると、咎島の方が本物かどうかわかりません」
「それは……」

けっこう仮面は複数いるかも知れんのだ、ということを言おうと思った学園長だったが、無関係
の夏綿教師に言っても詮無いと思ったのだ。
しかし、けい子の言い分にも一理あると思った。
今出たけっこう仮面は、暴力自慢の持田を一発で叩きのめしたところを見ても、まず本物であろう。
ということは、咎島の方が偽物かも知れない。
けっこう仮面が何人もいるという可能性は捨てきれないから、そっちも本物ということもある
だろう。
けい子が言った。

「ですが、今のけっこう仮面は恐らく本物でしょう。たった今逃げたばかりですから、捕まえら
れるかも知れません」
「そうじゃ」
「といって咎島の方も無視できません」
「む……。では、どうしろというのじゃ」

かかった、とけい子は思った。

「どうでしょう、学園長。学園長に代わって、誰かを咎島へ送り、確かめさせては?」
「いや、咎島へはわしが直接……」
「いけません」

けい子はきつく言った。

「さっき学園長もおっしゃっていた通り、こっちのけっこう仮面は間違いなく本物です。学園長
はこちらで陣頭指揮を執られるべきです。違いますか?」
「……」

今回は、前回の阿久沢のように仕切る者がいない。
誰にも依頼していないのだから当然だが、そうなると他に頼る者がいない。
独裁体制を執っていた弊害である。

その上、けい子がけしかけている。
ここは学園長が采配を振るってください、力量を示してくださいと言っているのである。
こう言われると学園長も悪い気はしないし、余計に「それならわしが直率しよう」と言いたく
もなる。
言うまでもなくけい子の狙いは、学園長を咎島へ渡らせないことであった。
学園長はほんの少し躊躇したが、けい子の言い分に理があると認めた。

「……その通りじゃ、夏綿先生。わしはここに残って指揮するべきだろう。だが、あなたの言う
通り、咎島も放って置けん。となれば……」
「よろしければ私が渡りますが」
「夏綿先生が?」

少し考えた学園長は結局、首肯した。

「いいだろう、お任せしよう。だが、あなたひとりでは……」
「お疑いですか?」

けい子がけっこう仮面である可能性も考慮しているのだろう。
それを察したけい子の発言だったが、学園長もまさか「そうだ」とは言えない。

「い、いや、そういうわけでは……。だが、いかに夏綿先生が武道をやるとはいえ、相手は
けっこう仮面じゃ。ひとりではまずい」
「そうですか。……では、若月先生はいかがです?」
「保健医の若月くんか? いや、しかし……」
「何しろ相手はけっこう仮面です。けが人がいるかも知れませんし、その点、若月先生なら……」
「それもそうじゃな……」

夏綿先生はともかく、新任の若月先生はよもやけっこう仮面ではあるまい。
学園長は鷹揚に頷いた。

「いいだろう。それなら夏綿先生と若月先生にお任せする。島に着いて相手を確認したなら、
すぐにわしへ連絡するのじゃ」
「わかりました。では、島への船の手配をお願いします」
「わかった、すぐに手配する」

ここから船を出すには警備会社を通さねばならないし、そのためには学園長の許可を必要とする。
口八丁手八丁で、何としてもその認可を得る必要があったのである。
学園長の快諾を受け、けい子は足早にその場を立ち去った。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

「も、もう……もうだめ……なんとかして……」

恵−けっこう仮面は全身が汁まみれだった。
身体中に、かぶったような汗をかいている。
同じように、佐田が舐め回した唾液の跡もある。
マスクに覆われた顔も、何度となくいきかけてもいけないもどかしさ、悔しさに泣いた涙の跡、
あまりの快感に悶え泣いた涙もあった。
口元からは、喘ぎ過ぎて飲みきれなかった涎。

そして股間がもっともひどかった。
舐められ、責め具でこねくり回されたふたつの穴はびしょびしょだ。
小さなアナルも半ば口を開けっぱなしで腸液を滴らせていたし、媚肉は肉が弾けるように割れ、
中の尿道口と膣口を覗かせている。
そのどちらもが、ねっとりとした蜜で覆われていた。

もう性欲以外の感情が消え失せている。
感覚もなかった。
吊られている肘や膝の苦痛も消し飛んでいた。

「だいぶまいったようだな、けっこう仮面」
「もう……もうたくさんよ……は、早く何とかして……」

匂ってきそうな女の淫声を聞き、佐田は大きくうなずいてスラックスを脱いだ。
トランクスの先は濡れ、大きくテントを張っている。
男がちょっとトランクスの先をいじると、中からすぐに大きなものが顔を出した。
それを見たけっこう仮面は潤んだ瞳を向けてきた。

「あ……す、すごい……」

はばかりもなく佐田のペニスを見つめ、大きく喉を鳴らしてツバを飲み込んだ。
吊られた腕がガチャガチャとチェーンを鳴らしている。
よく見ると、手を動かしたそうにもがいていた。
早く男のペニスが欲しくてたまらないのだろう。
もう肉棒を握ったつもりになっているのか、手のひらが何かを握るような動きを何度も繰り返
している。

「あ、ああ……あんなになってる……おっきい……か、硬そう……」

美女のとろけるような声で自分の逸物を褒められた佐田は、ニヤニヤしながらぶるんとそれを
振るって見せた。

「そうとも、硬くて大きいぞ。どうだ、けっこう仮面、これが欲しいだろう?」
「ああ……ほ、欲しい……」
「おまえが意地を張れば、またいく寸前で引き戻してやるからな」
「いやあ……」

けっこう仮面は弱々しく顔を振った。
その美貌から、涙が飛んでいる。
もう何度あんなことを繰り返されたのか。本当に狂うと思った。

「じゃあ、こう言え」
「……」
「けっこう仮面は、佐田先生のものです」
「え……」
「言えんのか? なら……」
「わ、わかった!」

もう恵には何が何だかわからなかった。
正常な精神状態とは言えなかった。
この性の苦しみ、地獄のような焦れったさから逃れられるなら、どんなことでも出来ると思った。

「あ、あたしは……」
「……」
「け、けっこう仮面は……佐田先生の、ものです……」
「けっこう仮面のオマンコもお尻の穴も好きにしてください、うんときつく責めて何度もいかせ
てください、だ」
「けっこう仮面の……お、オマンコもお尻の……穴も、好きにして……ください……。う、うん
ときつく責めて……ああ、な、何度もいかせてくださいっ」
「ようし、よく言った」

椅子に腰掛け、膝を組んで偉そうに聞いていた佐田は、満足げにうなずいて立ち上がった。
佐田もこの時、常軌を逸していた。
本当であれば、この機会にけっこう仮面の真相を聞き出すべきだった。
今であれば、性の情欲に支配された紅恵は、聞かれることを何でも喋ったかも知れないのだ。
しかし当の佐田も、けっこう仮面という美女を責めまくり、支配することに熱中してしまって
いた。
今のけっこう仮面は、伝説の正義のヒロインではない。
佐田の求めるままに肉体を提供し、自らも性の快楽に身を灼く淫女に過ぎなかった。

「ああっ、む、胸っ……」

こみ上げてくる性の疼きに、吊られた裸身をうねらせると、豊満な乳房が男を誘うように揺ら
めいた。
煽動的な揺れに我慢できず、佐田は大きな肉球を指が食い込むように掴んだ。
痛いほどの刺激に、けっこう仮面は悲鳴にも喘ぎ声を出した。
握りしめると、指の間から肉がこぼれる。
触ってもいないのにピンと立った乳首を人差し指で左右に弾くと、それだけでけっこう仮面は
顔を仰け反らせていた。

「ああっ、いいっ……つ、強く揉まれると、ああっ……おっぱい、溶けちゃいそうよ……ひぃっ、
いいっ……」

揉む手に力を込めても、けっこう仮面はその刺激のすべてを愉悦として受け取った。
美しい形状を持った乳房をぐにゃぐにゃと揉みしだき、乳首がもげるほどにこねても苦痛はなく、
ビンビンとした感電にも似た感覚が脳髄を突き抜けていく。
強引な愛撫、遠慮のない乱暴さがたまらなかった。
痛みを覚えるほどの激しい行為が、いかにも「犯されている」実感を与えてくれ、恵の被虐感を
より煽っていくのだった。

佐田は、たっぷりとした乳房の肉感を存分に味わうと、大きく開かれたけっこう仮面の股間に
挟まった。
突然止んだ愛撫に戸惑っていたけっこう仮面だったが、すぐにその目はとろんとしてきた。
自分の媚肉の真ん前に、たくましいものがそそり立っているのだ。
もう一息で、あの素晴らしいもので貫いてもらえるのだ。

股の間に入った佐田は、けっこう仮面の吊られている腿を触った。
汗で濡れているが、若さに満ちた素晴らしい肌触りだった。
そのすべらかさや艶やかさは、年増女にはないものだ。
期待に震えるけっこう仮面を見据えながら、佐田は前触れなしにいきなり突っ込んだ。

「あひぃぃぃっっっ……!!」

その瞬間、けっこう仮面は目を剥いて後ろに首を折った。
焦らしに焦らされたドロドロの媚肉に、野太いものが入れられた刺激で、呆気なく頂点に押し
やられたのだ。
いきなり絶頂に達せられ、びくびくと痙攣しているけっこう仮面に佐田が言った。

「なんだ早いな、もういったか」
「ああ……あふぁぁ……」

けっこう仮面は呂律が回らなかった。
狭い膣道をゴリゴリと抉られる感触で、燻っていた性感が一気に燃え上がってしまった。
ようやくいけた満足感で、まだ全身をぷるぷるさせているけっこう仮面に対し、こっちはまだ
だと言わんばかりに佐田は責めを続けた。

「あ、ああっ!」

太い静脈が浮いた肉棒がきつそうに媚肉を割っている。
いかに蜜で濡れているとはいえ、その小さな穴には太すぎる逸物だった。
佐田が腰を打ち込むごとに、けっこう仮面のそこは軋みながら奥まで迎え入れた。

「うはっ……ああっ、あっ、ひぃっ、ひぁっ、ああっ……」

まるで下半身全部が占領されてしまったかのような圧迫感、息苦しさで、けっこう仮面は呻いた。
いったばかりで鋭敏になっている膣は、ペニスが何度も往復しないうちに、二度目の絶頂の予感
を得ていた。

「ああ、ま、またっ……い、いっちゃう、またいっちゃうわっ……ああ、いやあ!」

けっこう仮面は快楽で肉体をビクビク震わせながら喘いだ。
佐田はけっこう仮面の腿を抱えながら、長いペニスをいっぱいに使って奥深くまで犯し、抜く時
は先端まで抜いた。
膣は長距離に渡って擦られることになり、けっこう仮面に気も狂うほどの悦楽を与えていた。
ズン、ズンと重く貫いていると、また3分もしないうちにいかされてしまった。

「だめぇっ……あ、あ、またいく、ホントにいっちゃうぅっ……い、いく!!」

ズブリと奥まで突き刺され、子宮口を押し上げられると、けっこう仮面は三度目の絶頂を味わわ
された。
無理矢理犯されているのに、なぜこう何度もいかされるのかわからない。
わかるのは、佐田の繰り出す責めのひとつひとつが、彼女の裸身を狂わせているということだけだ。
つんのめるようにしていかされたけっこう仮面だったが、佐田の責めは一向に休まる気配がない。
股間から愛液をボタボタ垂らしながら、けっこう仮面は哀願した。

「ああ、お願い……ああっ……も、もうやめ、ああっ……やめて……も、もういったわ……だから、
あううっ」
「ふん、もう三回もいったから満足ってか? ふざけるな、いったのはおまえだけだ、俺はまだ
出してないぞ」
「そ、そんな……ああっ……」

教師は腰を使いながら、また胸を責める。豊満ではあるが、若さ故かやや硬さの見える見事な
乳房を揉みほぐしにかかった。
全体をやわやわと揉み上げ、下からすくい上げるように揉み込んだ。
恵の鋭い性感は、どの揉み方にも反応し、彼女には至上の悦楽と、揉んでいる男にはそこはかと
ない征服感を与えている。
胸を揉まれると、連動するかのように膣が締まる。
膣がペニスを締めると、その硬さが直に伝わり、けっこう仮面に被虐の悦感を注いでいた。

くねる腰を抑えながら、佐田はさらにピストンを続けた。
そして腰を固定させると、自分の腰を密着させ、出来るだけ深くまで入れてやった。
常に子宮口を擦られる感触に、けっこう仮面は快感に唇を震わせながら悶え狂った。

「ふああっ、ふ、深っ……い、いやあ、また……またあ!」

けっこう仮面は、繰り返し押し寄せる絶頂の予感で膣が痺れてきた。
ゾクゾクとする妖美な悦楽と、もういくところは見せたくないという羞恥と屈辱が相成り、結果
的に彼女をさらなる高みへと連れて行く。
佐田が亀頭部を子宮口に押し当てたまま腰をよじってグリグリと抉ってやると、呆気なくけっこう
仮面は気をやった。

「あううっ……あ、あむむ……だめ、いくっ!」

くびれたウェストから見事に張り出した腰をぶるるっと大きく震わせて、何度目になるのかわか
らない気をやってみせた。
立て続けの絶頂責めに、さすがのけっこう仮面も気力が費えたのか、がっくりと全身の力が抜け
ていた。

「おい」
「……」

佐田は媚肉に押し込んだまま、恵の腿や尻を叩いた。
ぴしゃっと汗が飛んだが、けっこう仮面の反応はなかった。
気を失ったらしい。
しかし、これで勘弁するほど佐田は甘くなかった。

サイドテーブルから小さな洋酒の小瓶を手にした。
キャップをとると、その瓶口に小さな筆を入れている。
この間、ペニスはけっこう仮面の膣に入ったままである。
けっこう仮面は意識をなくしているはずだが、媚肉の方はまるでまだ行為中であるかのように、
ビクビクと収縮運動を行なっていた。

「う、うむ……」

完全に意識を失っていたはずのけっこう仮面が呻き出した。
佐田は筆に染み込ませたブランデーを、けっこう仮面のマスクの口のあたりに塗り込んだのだ。
マスクは極めて丈夫な布製ではあるが、通気性は良好で浸透性も良い。
言うまでもなく汗などを素早く乾燥させるためだが、逆に言えば外からも簡単に染み込んでしまう。
筆で何度か口の辺りに強い酒を塗られると、それが咥内に入り込み、恵は咳き込んだ。

「ぐっ……こほ、こほっ……」

飲み慣れない強いアルコールが口の中を侵し、喉を焼いた。
彼女はその強い刺激で覚醒させられたのだ。

「あ……ああっ……!?」

口の中が焼かれるような感覚で目を覚ますと、股間には相変わらず太いものが入っている。
それが盛んに前後運動を繰り返し、冷めかけていたけっこう仮面の情欲を盛り上げていく。

「あ、ああっ……もういい……あっ……もうたくさんよ……ああっ……」

それを聞くと、佐田はおもむろに腰の動きを止めた。
だが、まだ抜いてはいない。

「そうか? もうオマンコは充分か?」
「充分よ……もうやめて……あ、あひぃっ!?」

ぐったりとしていたけっこう仮面は、新たな刺激でひしゃげるような悲鳴をあげた。
佐田がアヌスを責めてきたのだ。
左腕でたくましい腿を抱え込み、右手に握ったイボイボのアヌス棒で、けっこう仮面の肛門を抉り
出した。
せっかく膣の性熱が冷めてきたところに、今度は肛門が凌辱の対象となる。
もうすっかりとろけていたアヌスは、責め具の根元までぬぷぬぷと無理なく飲み込んでいる。
太さ4センチほどの責め具を埋め込まれ、尻穴が裂けそうな痛みがあるのに、けっこう仮面の口
からは嬌声が出てきている。

「ああ、いいっ……いああ……お、お尻はぁっ……」
「尻もいいんだな、え、けっこう仮面?」
「いやよっ……ひぃっ……ああ、そんな……ぐっ……ふ、深いわ……あうう……」
「いや」と言っていたのに、三度ほどアナル棒で深くまで貫き、無数の突起でアヌスと腸の襞を
擦り上げてやると、今度は甘い媚声で応えてきた。
「あはあ……あうっ、そ、そこ! ……ひっ……いいっ……お尻、ああっ……」

もう彼女の腿を押さえている必要もなくなり、佐田は右手のアナル棒で肛門を抉り、左手は揺れる
乳を揉んでいる。
肛門に根元まで押し込み、もっとも太いところでグリグリと回転させてその皺を引き延ばすよう
にしてやると、けっこう仮面は背を反り返らせてよがった。

「いいっ……き、きつい……そ、それはぁっ……きついわ、ああ、いいっ……」
「尻でもいけるんだろう、それいけ」
「だめぇっ……あ、あ、あ、いく……だめ、ああっ……いっちゃう!!」

ビクビクっと裸身を仰け反らせ、汗を四方に飛び散らせると、けっこう仮面は肛門で気をやった。
その瞬間、責めていた佐田の右手には噴き出た腸液と愛液がしぶきかかり、びしょ濡れとなった。
アナルでの禁断の絶頂を強制的に与えられたけっこう仮面が、恥辱を感じる余裕もなく荒く息を
ついて喘いでいると、またしてもアヌスの粘膜に巻き込まれるような刺激が走る。
佐田の責めは終わっていないのだ。

「あああっ……も、もうお尻は、ああっ……お尻はいやよ……ひぃっ……」
「ウソをつくな、尻であんなにハデに気をやれるくせに。もっともっとアナルでいきたいんだろ
うが」

けっこう仮面は激しく首を振った。

「い、いやよ、そんな……ああっ……そ、それやめて、ひぃっ……お尻が、ああ……お尻が変に
なるわ……いいっ……」
「おまえはな、オマンコでも尻でも思う存分気をやれるような女なんだよ。もう誇り高きけっこう
仮面なんかじゃない。俺のペットのけっこう仮面なんだ」
「ち、違うわ、あたしは、あひぃぃっ……あたしは、けっこ、ああ、いいっ……お尻が狂う……
お、おかしくなるぅっ……」
「どうだ、また尻でいきたいだろう」
「ああ……い、いかせて……」

堕ちた、と佐田は思った。

「なら言え。お尻でいかせてくださいと言うんだ」
「あうう……お、お尻で……お尻の穴でいかせて……もっときつく抉って、深くまでして……」

けっこう仮面は、佐田の命じていない恥ずかしい言葉まで口にした。
腰を中心に燃え盛る、この肉欲をどうにかしないと発狂しそうだ。

「上出来だ」
「ああっ」

佐田の動きが大きくなる。
アナル棒は自在に恵の肛門を犯し、腸液を絞り出していた。
愛液と腸液のミックスした妖美な香りが漂っている。
室内は甘ったるい女の臭気で満ち溢れ、その気のない者でもおかしくなりそうな雰囲気に染まっ
ていた。

アナル棒がズブズブと差し込まれるごとに、けっこう仮面の腰が砕けそうにぐにゃぐにゃと
うねった。
佐田の責めがエスカレートし、責め具の取っ手の中程までけっこう仮面のアヌスに突き刺していた。
それでもけっこう仮面の肛門はそれを飲み込んでおり、もっと深くとでもいうようにアナルの
皺や襞が収縮を行なっている。

ぐっと奥深くまで貫き、乳房を潰す勢いで揉んでやると、けっこう仮面は全身を収縮させて震えた。
前に佐田のペニスが入っているせいで、肛門はより狭くなっている。
そこに太い責めを使われ、イボイボで腸内や肛門を擦られるのだからたまらなかった。

「ああ……ああっ!」
「いくか」
「い、いく……」

何のてらいもなく、けっこう仮面はうなずいた。
まるで、そうすることが義務だと言わんばかりの素直さだった。
マスクの下の美貌は、醜い性の欲望と、それから来る凄まじいほどの快楽で歪み、苦悶していた。

「い、いくわ……またお尻でいっちゃう……ひっ、ひっ……い、いきそ……だ、だめ、いっくう!」

佐田がアナル棒を回転させながらいちばん奥まで貫き、同じく回転させながら引き抜くと、
けっこう仮面の性の決壊は完全に崩壊し、頭の芯を灼き尽くした。
彼女のアヌスは、肛門に入り込んだアナル棒が折れるかと思うほどに締めつけ、佐田の手から
奪ってしまうほどの締めつけであった。
そこでまたけっこう仮面はガックリと失神し、力なくぶら下がってしまう。
だが、佐田はまだいっていない。
彼の肉棒はまだ射精もせず、けっこう仮面の媚肉に入ったままなのだ。

「くく……」

何度も激しくいかされ、正体もなく失神しているけっこう仮面を見下ろし、佐田はいやらしく
嗤った。
続けざまに絶頂までいかされて気死しているものの、若い肉体の方は、全身をびくびく痙攣
させている。
ペニスをくわえ込んだ媚肉も、淫らなアヌス棒をくわえた肛門も、同じように収縮し、柔らかく
締めつけていた。
身体はまだ気をやれるということなのだろう。

「……ん……く、あっ……こほっ……」

けっこう仮面は、また唇に染みるアルコールの刺激で目を覚まされた。
だんだんと頭が朦朧としてきている。
連続絶頂地獄のせいもあるが、唇を割って口の中に滑り込んだブランデーにより、酔いが来て
いるということもあるだろう。
恵はタバコは吸うが、アルコールはまるでダメなのだ。
佐田が乳房を揉みながら、けっこう仮面の顎を持って言った。

「まだだろう? まだいき足りないだろう」
「い、いや……」
「もっともっといかせてやるからな」
「いやよ……もう……許して……あ、ああっ」

恵が力なく拒否する前に、佐田は腰を力強く動かし始めた。
膣が大きなもので抉られ、否応なく彼女の性感の熾き火に火が着き、燃え上がり始める。

「ああ、またっ……またおっきいのが、ああ、中で動いてるぅ……ああ、いいっ……」

媚肉奥深くまで貫いた肉棒は、膨れた亀頭部を子宮口へ押し当てている。
そこまで埋め込むと、佐田の腰とけっこう仮面の尻たぶが密着し、腰を打ち込むと汗や淫蜜が
弾け飛んだ。
けっこう仮面の膣は、憎い敵の男のペニスをきゅうきゅうと締めつけ、ねっとりと蜜を含んだ
襞で絡め取っている。
まだセックスに慣れていない恵の胎内は、これほどのきつい責めについていけないはずだが、
子宮を小突かれる痛みは甘いものに変わり、より大きな快感を彼女に提供した。
たまらず、けっこう仮面は大きく喘ぎ、よがった。

「ああう、いいっ……ふ、深いっ……すご……奥に、ああ、当たって……いいっ……」

もう佐田の突き込みだけではもどかしいのか、けっこう仮面自身も不自由な腰を振り始めた。
そんなことをしても大差はないのだが、動かずにはいられないのだ。
深い結合を求め、佐田もけっこう仮面も腰を打ち付け合った。
ずるずると引き出されるペニスや、僅かに開いた媚肉の隙間から、だらだらと濃い愛液がこぼれ
落ちる。
絡みつく襞を引き剥がすように引き抜き、また最奥までぶちこんでこねくり回す。

「うあっ、うああっ、あ、いいっ……き、気持ちいいのっ……あううっ……ひっ、いいわ!」

佐田はなおも奥を求め、けっこう仮面の身体が浮き上がるほどに力強く腰を打ち込む。
もちろん出産経験などない恵の子宮はまだ固く口を閉じているのだが、しつこいほどの突き込み
に、じわじわと小さな隙間ができはじめた。
そこを突かれるのだから苦痛のはずだが、けっこう仮面は嬌声で喚いていた。

「いいっ……お腹、すごいっ……か、硬いのが抉って、ああっ……ひぃっ、いくっ」

膣をきゅううっと締めつけ、けっこう仮面はぐうんと弓なりに仰け反った。

「だ、だめだめっ……いっ、いいっ……あ、いく……いくううっっ……!」

オコリに罹ったように激しく全身を震わせ、けっこう仮面はこの日何度目とも知れぬ絶頂に達した。
恵の膣は、精を求めるようにきつく締め上げたのだが、佐田はまだ出さなかった。
けっこう仮面を完全に堕とすには、まだ責め抜く必要があった。
こみ上げる射精感を必死に耐えながら、気をやったばかりでぶるぶる震えているけっこう仮面の
腰を押さえ、またすぐに律動を開始した。
いったばかりで、まだビリビリしている膣道をまたしても激しい動きで責められ、けっこう仮面
は悲鳴を上げた。

「ああっ!? そ、そんな、もういったわ……ああっ……いやあ……」
「まだまださ。俺が三回は出すまでは離さないぜ」
「そんな……あひっ……こんなすぐに……ああ、ゆ、許してぇ……」
「許さん。死ぬまでいかせてやるからな」
「やああああ……お、おかしくなっちゃうう……やめて、お願い……も、もうたくさんよ……」

至上の悦楽の余韻に浸る暇もなく、けっこう仮面はすぐに現実の性地獄に引き戻された。
根元まで突き込むと、膣からは蜜がしぶき飛ぶ。
やや曲がった男根が、膣のあちこちを擦り上げ、みちみちになっている狭い膣道を拡げていく。
喉が嗄れそうな嬌声を噴き上げながら、けっこう仮面はよがり続けた。

「ひぃっ……いいわっ……あ、ああっ……あうう、せ、せめて休ませて……ああ、少しでいいから、
休ませて、ああっ……あっ……こ、これ以上されたら、ああっ……し、死んじゃう……ひぃっ、
いいいっ……」

それでいて、佐田が責めを浅くすると膣内襞を蠢かせて、さらなる深い挿入と快感を望んで尻を
淫らにうねらせていた。
何度いかされたかわからぬほどだというのに、けっこう仮面の秘肉は、男のペニスを含んで離さ
なかった。
佐田の責めが、深いものから肉棒半分ほどの浅いものに切り替わると、けっこう仮面は盛んに
腰を振って激しい打ち込みを求めた。
腰がうねり、腿やふくらはぎがうねるのは、そのもどかしさのせいだろう。
もしこの両脚が自由だったら、佐田の腰にその悩ましい太腿を絡みつかせていたに違いない。

「はああっ……ひっ……はううっ……あ、あ、いいい……いいっ……し、死ぬ……う、動かない
で……いいっ……」

喘ぎすぎて呼吸困難の中、掠れた声でそう言ったが、すっかり開発されたけっこう仮面の肉体は、
責めるペニスに勝手に反応してしまう。
深い抉り込みに比例して快感も深まり、けっこう仮面は望まない愉悦を叩き込まれ、女の生理を
恥ずかしいまでに晒していく。

マスクの下に隠されている美貌は苦悶で歪んでいた。
もはや快感で喘いでいるのか苦しくて喘いでいるのか、恵にもよくわからない。
連続的に責められ、終わりのない快楽地獄で息をする間もろくにない。

「いいっ……あ、も、もう……もう、いくっ」

激しい突きに全身が揺さぶられ、大きな乳房がもげそうなくらいに揺れている。
佐田の行為も遠慮がなく、もう子宮口を小突く程度の生やさしいものではなく、子宮口にくっつ
けたペニスの先端部でこねくり回す激しさだ。

熟れ切った年増女でも味わえぬほどの快感が恵を責めつける。
身体中の神経と感覚が、すべてセックスに動員されてしまったかのように、何をされても反応し、
感じまくっていた。
のしかかってくる佐田の身体をはねのけるくらい激しく肢体を揺さぶり、肉の快楽に悶え狂う。
いくら感じても彼女の官能は尽きることがなく、底なしの泉、いや愉悦の底なし沼のようだった。

「いくっ……あ、いくうっ……あひぃっ……あう、ま、またいく!」

佐田の肉棒が子宮を虐めるたびに、指がアヌスを抉るたびに、けっこう仮面は幾度となく気を
やらされていた。
痛みも屈辱も恥辱も、すべて甘美な快感となり、極彩色の快美感となった。
我を忘れて快感を訴え、性の深みにはまりこんだけっこう仮面を見続け、さすがの鬼教師も耐え
きれなくなった。

「よし、そろそろ一発目を出すぞ!」
「だ、出してっ」

膣内射精などされたら妊娠するかも知れないという恐怖も、今の恵にはなかった。
この性の疼きと乾きさえ癒せれば後はどうでもいいとすら思っていた。

「あううっ、深い、気持ちいいっ……だ、だめ、もうたまんない! ……ああ、いく……いっち
ゃううう……」

汗に光る太腿やふくらはぎがつっぱり、爪先がぐぐっと内側にかがまった。
けっこう仮面のとろけるような媚声と、柔らかくそれでいてきつい収縮に、佐田のペニスが暴発
した。

「くぉっ……」
「いっ、いくうっっ……あ、あ、中に濃いのが、ああっ……いっぱい出てる……あむむ、い、いっ
くうっっ……」

子宮口にぶち当たり、僅かに開いた口に注ぎ込まれた濃厚な精液の熱さに、けっこう仮面は続け
ざまに何度もいった。
ぶるるっと激しく胴震いし、臀部は強張り、背筋がググッと伸び上がり、大きく仰け反った。
佐田は腰を思い切り押しつけて射精を続けた。
ぶびゅ、びゅるるっ、どぷぷっ、と、外からでも射精する音が聞こえるほどの激しい射精だった。

中年の悪徳教師は、最後の一滴をけっこう仮面の胎内の注ぎ込み終わると、ようやく一度彼女の
媚肉から肉棒を引き抜いた。

「……」

この日、最大のオルガスムスを感じたけっこう仮面は声もなくぐったりしている。
気を失っているようだが、口は半開きで喉の奥からひゅーひゅーと呼吸音が洩れていた。
口の回りは、何度も注がれたブランデーと、溢れ出て止まらない涎でぐっしょりになっていた。
佐田は、激しいセックスで疲れ切り、汗と男女の体液で汚れきった美女の肢体を眺め、またしても
ブランデーを浸した筆を用意するのだった。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

(ち、畜生……)

恵は正気を取り戻しつつあった。
いかに肉欲地獄に叩き込まれ、連続絶頂責めを受けて、肉体がどろどろにとろけるまで責められ
ようとも、そんなに長く保つものではない。
肉体的にもまいってしまうだろうし、そう何度も気をやらされていたら、いい加減精神の方も醒め
てくるというものである。

けっこう仮面にしたところで、もう20回以上も続けていかされているのだ。
純粋な肉欲としては満足しきっており、あれほど感じていた情欲もウソのように消失している。
それでも若い肢体をまさぐられ、膣を貫かれると、感じてしまうのではあるが、さっきまでとは
違い、何とか我慢が効くようになってきている。

そんな女体の変化にはまるで無頓着なのか、あるいは鈍感で気づかないのか、中年のエロ教師は
まだ執念深く恵の身体を責め抜いていた。
彼にしたところで、かれこれ三度は射精しているのだ。
その体力にだけは感心する。
痴呆のように自分を責める佐田を、恵は呆れたように見ていた。

(この野郎、ひとをダッチワイフかなんかだと思ってやがる……。それにしてもオットセイ並み
の体力だぜ、このスケベ野郎めが)

それにしても、このままの態勢ではどうにもならない。
恵の体力が回復し、気力が戻った頃には、またしてもセックスの魔力に魅入られてしまうかも知れ
ない。
この佐田という男は、それまで彼女の身体を犯し続けるかも知れないのだ。
ここから逃げ出す、あるいは反撃するには、とにかくこの拘束を解かねばならない。
しかし、けっこう仮面が堕ち切った芝居で媚びを売っても、この佐田は女を縛って犯すのが好み
だそうだから、ベルトは解いてくれないだろう。
恵は、佐田に腰を打ち込まれながら考えた。

(そうなると仕方ねえ……。やりたくはないが、アレしかないか)

それにはまずひと芝居打つしかない。

「ね、ねえ……ああ……」

けっこう仮面は、すっかり魂を抜かれたような声で佐田に言った。

「なんだ、どうした」

佐田は、浅ましくも腰を振りながら、媚肉に肉棒を打ち込みながら返事をした。
「この野郎、いい加減にしろ」と、心の中で毒づきながら、恵は出来るだけ艶っぽさを出して言う。

「ああ……い、一度、抜いて……」
「なに?」
「な、中が……ぬるぬるしてて……」

けっこう仮面は顔を伏せ、少し恥ずかしそうに言った。
佐田もハタと思い当たった。膣の中が、佐田の精液とけっこう仮面の愛液でぬとぬとで気持ち悪い
というのだろう。
濡れた熱い女壷を突きまくるというのもいいのだが、あまりにぬるぬるだと締め付けが弱くなるし、
充実感も薄れることがある。
もしかすると、けっこう仮面の方も、もっときつい感覚を味わいたくて言っているのかも知れない
と思った。

佐田はニヤリとした。
けっこう仮面の方からそんなことを言い出すということは、彼女も積極的に佐田とのセックスを
愉しもうとしているということだろう。
まだ解いてやるつもりはないが、完全に屈服したら拘束を解いて、いろいろな体位で犯してやろう。
口で奉仕させて、咥内射精もしてやろう。
この先の濃厚な性戯を思いやり、佐田はそそくさとペニスを抜いた。
しめた、と思った恵はすかさず甘い声でねだった。

「あの……洗って……」
「ん? ああ、そうしてやる。おっと、その前にちゃんと言えよ、オマンコ洗って、とな」

(こ、この野郎、この期に及んでまだそんな……)

恵はカッとしたが、ここで怒りを露わにしてはすべてが水の泡である。
唇を噛んで堪え忍び、屈辱にまみれながらも何とか言えた。

「そ、その……お、オマンコ……の中を、洗って……」
「よしよし」

畜生、ただじゃおかないぞと恵が思っていると、股間に生暖かい感触がある。
佐田がチューブを操り、温水を出してけっこう仮面の股間を洗っているのだ。
水流の当たる心地よい感覚が、佐田の汚辱した欲望を受け止めさせられたアヌスや媚肉を洗って
いく。
自分の醜い情欲の証である腸液や愛液、そして佐田の汚らしい精液が、温水とともに肌を滑り落
ちていくのがわかる。
佐田は恵の膣口を指で拡げて、その中にも温水を注いだ。

「ああ……」

その感触だけは、恵も喘いでしまった。
感じている場合ではないのだが、これは致し方ない。
しかし、膣に溜まり、子宮にひっかけられた汚辱の液体が綺麗に落とされていく実感があり、
恵の気持ちもリフレッシュするかのようにすっきりしていく。

佐田は、ついでと言わんばかりに自分のペニスにも温水をかけ、手で洗っている。
醜い光景だが、恵にとっては好都合である。
いじっているうちに、またしてもペニスが屹立してきている。
さっきまでの恵なら、物欲しそうな目で見ていたところだが、今はツバでも吐きかけたい気持ちで
いっぱいだ。

(さあ来い。来やがれ、スケベ教師が)

すっかり臨戦態勢になった佐田が、遠慮なくけっこう仮面の股を割り、自分の体を入れた。
そして愛撫もせずに恵の媚肉にペニスを押し当てると、そのままぐぐっと挿入した。

(……今だ!)

綺麗になった膣襞を太くて硬いものでこそげとられる感覚を必死で堪えながら、恵は腰と括約筋に
全体力を注いで思い切り男根を食い締めた。
そして、出来るだけ左側に傾けていた腰を、思い切り右側に捻った。
絶叫が迸った。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

「く、紅さんっ!!」

片桐久子を片づけたけっこう仮面−結花が、時ならぬ絶叫を耳にして拷問部屋に飛び込んで来た。

「紅さんっ!」

案の定、けっこう仮面−恵は見るも無惨な格好で拘束されていた。
両腕の肘、両脚の膝に掛けられたベルトで宙づりにされている。
身体は汗みどろであった。

一方、驚く結花を見て、恵の方も驚いた。
まさか、他のけっこう仮面が駆け付けてくるとは思わなかった。
恵自身、この後どうするかまでは考えていなかったのである。
呆気にとられていた恵が、どもりながら尋ねた。

「だ、誰だい、あんた……」
「け……けっこう仮面よ。見ればわかるでしょ」
「な……結花か?」

それを耳にした結花が恵に駆け寄って言った。

「名前で呼ばないでよ!」
「あ、わりい……」

けい子と香織が咎島へ行こうと準備していたところに、結花が「自分が行く」と申し出たのである。
けい子は唖然とし、香織も驚いたが、結局、けい子が許可した。
心配した香織が同行を申し出、ふたりでやってきたのだ。
但し、けっこう仮面がふたりも三人もいては都合が悪いので、香織は普段着のまま待機している。

それにしても、けっこう仮面のスタイルで来ることはないだろうに、と、恵は思った。
恵がけっこう仮面に化けていることは、携帯のスパムで知らせておいたはずである。
けっこう仮面同士が出くわす危険を避けるためにそうしているのに、これでは意味がない。

もちろん結花には結花の言い分がある。
恵を捕らえている敵は、片桐久子と佐田努とわかっている。
まさか教師相手に、生徒の結花が腕力を振るうわけにはいかないのだ。
当然、けっこう仮面になるしかない。
仮にこの場に来たのがけい子や香織でも同じであろう。

「それにしても、あんたが来るとは思わなかったよ」
「あら、私が来ちゃいけなかったの?」
「そうじゃないけどさ」

恵は、革ベルトを外してもらった肘や膝を痛そうにさすり、少々バツが悪そうに言った。
結花は、そんな恵の顔を覗き込みながら訊いた。

「あなただって私のクラスメイトだもの。心配しちゃいけない?」
「……」

不良少女は少し照れて視線を外した。
そういうことを面と向かって言うから、この娘とは合わないのだと思った。
悪気があるわけではない。
それはお互い様である。
互いに相容れないところがあるだけだ。

しかし、それを理由に反発するほど子供でもなかった。
だから、良く言って「丁重な無視」の姿勢を貫いてきたわけだが、どうも結花の方はそうでもない
らしい。
真面目くさって友達だの仲間だの言い出すのは鬱陶しいが、救いがたいことに、この女は本気で
そう思っているらしいのだ。

「ふっ……」

恵は苦笑した。
つっぱっているのが、少なくともこの娘の前でそうしているのが、なんだかバカバカしくなって
きた。
もっと肩の力を抜いてつき合うのもいいのかも知れない。
マスクの下の薄笑いに気づいたのか、結花が聞いた。

「なあに? 何がおかしいの?」
「いや、別に」
「変なの」
「ん?」

恵は結花の身体の異変に気づいた。
白い太腿や脇腹、乳房の辺りに、赤黒い小さな痣のようなものがある。

「おまえ、これ……」
「ああ、これ?」

結花は、気にしていないという風に言った。

「さっきカマキリに撃たれたのよ。あいつエアガンなんか使って」
「……」

ならば痛かったはずである。
多分あれは改造エアガンだろう。
恵が撃たれた時も、痺れるような激痛があった。
そんな強力な弾を何発も喰らっても怯まず、片桐に向かっていったのか。
俊敏な結花なら、射線をかわしながら攻撃することも可能だったろうに、一刻も早く早く恵を救出
するために無理をしたのだろう。
けっこう仮面なら当たり前かも知れないが、そうまでして助けに来てくれたことに、恵の鼻の奥が
ツンと痛くなった。

「あ、そういえば」

ふたりは、ようやく獣のような苦鳴に気づき、その方向を見た。
女生徒の敵である変態凌辱魔の体育教師は、股間を押さえてもんどり打ち、転げ回っている。
顔面は真っ青であった。

「……あれ、なに?」
「なにって、見りゃわかるだろう。サダムだよ」
「そうじゃなくて。何したの、あなた?」

苦悶する佐田のペニスは折れていた。
ご存じの通り、ペニス−陰茎には骨はない。
従って折れることなどなさそうに思えるが、実は陰茎折症−通称・ペニス骨折という症状がある
のだ。

ペニスは、勃起すると陰茎海綿体というスポンジ状の組織に血液が充満して硬くなる。
その海綿体を包む白膜に無理な力が加わると白膜が裂けてしまう。
この時、まるで骨折したかのような「バキッ」という音がする。
まさに骨折並みである。

通常、行為の最中に興奮し、無理な体位変換をしたりすると起こる怪我だ。
恵は、佐田の肉棒を膣で迎え入れた時、力を振り絞って腰を思い切り捻ったのだ。
もちろん膣は出来るだけ締めていたから、佐田のペニスは恵の膣に挟まれたまま、捻られたので
ある。
まだ20代の強靱な勃起力を持っていた佐田の逸物が災いし、彼の陰茎はポッキリと折れてしま
っていた。
股間を押さえて苦悶している彼のペニスは、充血した海綿体が破れて大きく腫れ上がっている
ことだろう。

これこそ、恵がけい子から授かっていた最後の大技だったのである。
凌辱が避けられず、生命の危険すら感じられる時の最後の手段だ。
この技を使いこなすためには、男のペニスを逃がさない並外れた膣圧が必要になる。
そのため、恵は括約筋を引き締め、脚の筋肉も使って膣を締める訓練を、暇を見てやっていたのだ。
事前に粘液で汚れた膣を洗わせたのも、滑り止めという意味だ。
恵も、この技を使ったのは初めてだが、恐らくけい子もほとんど使ったことはないだろう。

実際、けい子もこの技は恵にしか伝授していない。
けっこう仮面チームの中でも、けい子についで筋力のあるのが彼女−紅恵だったからだ。
滅多に使わないのは、相手の男にとっては、死ぬわけではないがそれに近いダメージを与えること
になるためだろう。

「……」

結花は、呆れたのか驚いたのか言葉もなかった。
ようやく立ち上がった恵が笑いながら結花に言う。

「よかったら教えてやるぜ。ご覧の通り、効果覿面だしな」
「け、けっこう。遠慮しておくわ」

* - * - * - * - * - * - * - * - *

事後処理のため咎島に残った香織を置いて、結花と恵は本島へ戻った。
香織の方は、片桐と佐田の応急手当の後、青ヶ島経由で警視庁と文科省に連絡を取り、指示を
受けた。
片桐と佐田は、関東第二警察病院に収容され、その後、こちら側の捜査員が取り調べして文科省
が処分することとなった。
学園とは接触できないようにするらしい。
三年の持田も、例の下着ドロの件で学園を自主退学させ、文科省監視のもと、矯正施設に送られる
ことになった。

これにより、恵とけっこう仮面の関係を知るものは全員処分され、外部への接触が制限された。
恵の身分はそのままで、けっこう仮面としての活動が認可された。

ふたりがけい子へ報告しに行こうとすると、また園内が騒がしい。

「どうしたのかしらね」

結花が先に立ち、校舎の正面玄関に入ったところで理由がわかった。
けっこう仮面が出たのである。
まだこっちで陽動作戦を続けていてくれたらしい。
廊下をこちらに向かって走ってきたけっこう仮面は、恵たちにウィンクしながら駆け抜けていった。
その後ろを数人の警備員が追い掛けていく。恵と結花は顔を見合わせてクスリと笑った。
今のは面光一だったようだ。
とても追いつきそうもない警備員たちの後から、さらにふたりの生徒が走ってくる。
恵も結花も、そのふたりに見覚えがあった。

「ああ……、間に合わなかった……」

息を切らせて残念そうに見送っているのは、一年生の小村であった。
持田に財布を脅し取られていた生徒だ。

「ん? おまえ……」
「あら、あなた……」

結花と恵が同時に声を掛けた。
目敏く、結花が小村の手にしている財布を見つける。

「それ……」

確か、恵が持田からカツアゲしていた財布だ。
なぜ小村がそれを持っているのだろう。
結花が自分の財布を指差して不思議そうな顔をしているので、小村の方もきょとんとした。

「これ……、僕のですけど」
「あなたの?」
「はい」

驚いたように結花が恵の方を向くが、彼女はそっぽを向いている。
小村は、少し顔を赤らめて言った。

「これ、持田先輩にカツアゲされたんですが、けっこう仮面が取り戻してくれたんです」
「え……」
「わざわざ寮の僕の部屋まで届けてくれて。その時はびっくりしてお礼も言えなかったんです。
で、今またけっこう仮面が出たと聞いて飛んできたんです、ひとことお礼を言いたくて」
「そうだったの……」

また結花は恵を見る。
それならそうと言えばいいのに。
恵は素顔で持田から取り戻し、そのまま小村に返すのが照れくさくてけっこう仮面になったの
だろう。
恵の方も少し顔を赤くして話題を逸らし、

「と、ところで、あんたはどうしたんだい」

と、もうひとりの生徒−高橋真弓に言った。

「あんたもけっこう仮面に用事だったのかい?」
「いえ」

真弓もなぜか顔を上気させていた。

「私は……紅さんに、その……」
「あら、紅さんがどうしたの?」
「はい。先日、三年の持田さんに絡まれていた時、助けていただいて……」
「あらあら」

結花がにっこり笑った。
恵もなかなかやるではないか。
自分と違って表に出ることはないが、裏に回っていろいろやってくれている。
「陰の仕事人」みたいで格好いいな、などと無責任な感想まで持った。

「そ、それで、あの……」

まともに紅の顔を見られないのか、真弓はもじもじしていた。
時折、ちらちらと恵を見る瞳は潤んでいる。
そして、意を決して叫ぶように言った。

「こ、これ受け取ってくださいっ」
「は?」

小柄な真弓が、ぐっと突きだした両手にはピンクの封筒が握られていた。
訳が分からないという風に首を振りながら恵が言う。

「手紙かい?」
「は、はいっ」

それが何だか気づいた結花は、突然「ぷっ」と吹きだした。
恵がジロリと結花を見る。

「なんだよ、何笑ってんだ」
「あ、あなた、まだわかんないの?」
「……」
「それラブレターよ」
「なに!?」

スパルタ学園では、校内恋愛が公に禁止されているわけではないが、当然、奨励もされていない。
恋愛にうつつを抜かして、それで成績が下がった日には、教師どもから何をされるかわかった
ものではない。
その上、完全寮制で、放課後は男女が会うことはかなり難しい。

といって、思春期の若い男女が多数集まっているのだから、色恋沙汰のない方がおかしい。
故にここスパルタでも、女生徒同士の疑似恋愛はかなりポピュラーなのである。
結花が、真弓の態度や封筒を見て、すぐにピンとくるのは当然なのだ。

「紅さん」
「お、おい……」

普段、弱気な真弓がずいと一歩近づくと、強気一辺倒の恵は顔を引きつらせて一歩退く。

「わ、私の気持ち、受け止めてくださいっ」
「ま、待て……、気持ちったって、あんた……」
「好きなんです、紅さんっ」
「よ、よせ……あたしはそういう趣味は……」
「紅さんっ」
「待て、落ち着け……勘弁してくれっ!」


                                          けっこう仮面・紅恵編  完

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                                              ニセ和田ラジヲ