香織は2年B組へ向かった。
保健室へ戻る途中で、けい子との会話を思い出したのだ。
森村亜美自殺事件の話で、彼女は亜美の親友という子のことを言っていた。
確か高橋真弓といい、亜美と同じクラスだったはずだ。
しかし落ち着いて考えれば、自殺した亜美の親友だからと言って、真弓がけい子の行方を知って
いるとは思えない。
今回の事件について、けい子との関連性はないからだ。
しかし、香織にはもう真弓くらいしかアテがない。
もしかしたら、けい子は真弓に亜美自殺の件を聞きに行った可能性もある。
僅かな手がかりだが、それに託すしかなかった。
それと、けい子の話では、その高橋真弓という少女は、何かと事件と関わることが多く、キー・
パーソンになることも珍しくないという。
かなり希望的な観測だが、香織は真弓に賭けた。
香織が休み時間を見計らって2−Bの教室に入っていくと、一斉に生徒たちが振り向いた。
その視線は「あんた誰?」と言っているようで、けい子ほどの堂々さはない彼女は少し気後れが
する。
「あ、すみません、私、保健医の若月と言いますけど……」
それを聞いて、何人かの生徒が「ああ」という顔をした。
「新任の若月先生ですか。で、うちのクラスに何か?」
「あの、このクラスの高橋真弓さんは……」
「真弓? 真弓に何か用ですか?」
真弓と友人だという女生徒が香織を見て聞いた。
理由を言うわけにはいかないので、香織は適当に誤魔化す。
「はい、ちょっと。高橋さん、いますか?」
「真弓、そういえば昨日、今日と試験補習に出てませんね」
「そういやそうだな」
見てみると、クラスの机のうち、埋まっているのは2/3くらいである。
この補習は強制ではないので、自室で自習している生徒もまたいるということだろう。
真弓もそうなのかと思って訊いてみると、一昨日まではいたという。
女生徒が言った。
「亜美が死んだ翌日っから出てないよね」
「そうだったかな。真弓、仲良かったからね……」
「え、じゃあ……」
香織が息を飲むと、言いたいことがわかったのか、女生徒が言う。
「真弓は後追い自殺なんかしてませんよ。あたし、気になったから当日、部屋を訪ねたんです。
そしたら部屋にはいましたから」
「そうなんだ……」
「はい。ですから、やっぱ亜美が死んだのがショックだったんだと思います。だからほとぼりが
冷めるまで放っておいた方がいいんじゃないかって」
ということは部屋にいるのだろうか。
しかし、いたとして何と言って訪ねたらいいのだろう。
けっこう仮面はもちろん、けい子のことを切り出すのも唐突だし、不審に思われるだろう。
そう考えていると、生徒の方が教えてくれた。
「先生、もしかして真弓のカウンセリングですか? 亜美のことでショックを受けただろうから」
「あ、そう、そうなのよ」
それでいいではないか。
仮にアテが外れても、そう言っておけば取り敢えずその場は切り抜けられそうだ。
偶然アイディアを出してくれた生徒に感謝しながら、香織は真弓の部屋へ急いだ。
* - * - * - * - * - * - * - * - *
若月香織は学生寮へ来ていた。
廊下を走って舎監に注意されながらも、教えられた真弓の部屋へ急ぐ。
「高橋真弓」とプレートの入った部屋はすぐに見つかった。
ノックするのももどかしく、香織はドアの外から呼びかけた。
「高橋さん! 高橋真弓さん、いるんでしょ!?」
「……」
「保健医の若月です! 大事なお話があるの、ここを開けて!」
部屋の中で真弓はベッドに潜り込んでいた。
軽い羽毛布団を頭からかぶり、身を縮めている。
もう、どうしたらいいかわからなかった。
誰にも会いたくなかった。
亜美は自殺。
不審に思って調べていた真弓を脅迫してきた瀬戸口教授。
そのピンチを救ってくれたけっこう仮面が逆に囚われてしまった。
真弓がその場を去らなければけっこう仮面を殺すと脅されたのだから、彼女としては医学部棟
から離れざるを得ない。
だが、そのことを悔いていた。
自分は本当にけっこう仮面を助けるためにそうしたのだろうか。
怖くて、ただその場から逃げたかっただけなのではないだろうか。
何度も危地を助けてくれた恩人を捨てて。
そう考えると自分まで死にたくなってくる。
もやもやして、どうにもならなくなって、夏綿先生に相談しようとした。
これまでも、何度か夏綿先生にけっこう仮面絡みのことを話して相談に乗ってもらっていた
からだ。
話をすると楽になったし、どういうわけか事件はいずれも解決したのだ。
真弓はそれを「偶然かも」と思っているが、言うまでもなく、けい子がけっこう仮面だった
からである。
今回も頼ろうと思ったが、どうしたことか先生は不在だった。
職員室で聞いても、教職員寮で尋ねても不明だった。
夏綿先生は体育や保健の先生だから、試験とはあまり関係はない。
だからどこにいてもおかしくはないし、何をしていても不思議はないのだが、不意に失踪した
みたいで気になった。
けっこう仮面は敵手に落ち、夏綿先生はいない。
もう学園内に生徒の、真弓の味方はいなかった。
だから香織が訪ねてきても無視していた。
けい子先生でなければという思いもあったし、若月先生が学園サイドの人間でないという保証
もないのだ。
それでもしつこくドアは叩かれ、若月先生は必死に呼びかけてきた。
真弓は布団をかぶっていたので、危うく聞き損ねるところだった。
「高橋さん、お願い、ここを開けて! 夏綿先生のことでお話があるのよ!」
「……夏綿先生?」
香織がさらにドアを叩こうと拳を出したとき、すっと中から開いた。
「……!」
「……」
香織が息を飲むと、儚げな少女がパジャマ姿で立っていた。
彼女が真弓らしい。
「高橋……真弓さんね?」
「はい……」
「私、今度学園に来た保健医の若月香織です。夏綿先生のことでお話があるの。ここじゃ何だから
入っていい?」
「どうぞ……」
真弓は香織を中に招くとドアにしっかり施錠した。
そして香織に椅子を勧め、自分はベッドに腰掛けて話し始めた。
「……そうなの。あなたも夏綿先生を訪ねたのね?」
「はい……。でもいらっしゃらなくて……」
「そうなんだ……」
ということは、けい子は真弓にも会っていないということになる。
これでほぼ完全に手かがりは失せてしまった。
香織が口を閉ざすと、今度は真弓の方が恐る恐る話し掛けてきた。
「あのう……」
「あ、なに?」
「先生は、なんであたしのところに……」
「え? ああ、夏綿先生からいろいろお話をうかがってたから……」
真弓は少しびっくりしたように香織を見た。
「若月先生、夏綿先生とお友達なんですか?」
「お友達」と表現するところが可愛らしいと思い、香織は少し表情を和ませて言った。
「ここに赴任することになったのも、夏綿先生のお世話だから」
「そうだったんですか」
香織は偽りを言わねばならなかったことに少し胸が痛んだが、まるっきりウソというわけ
でもないと自分に言い聞かせた。
真弓に真相を言っても仕方がないし、心配させるだけである。
世の中、知らない方が良いこともたくさんあるのだ。
「あの、若月先生……」
真弓は随分とためらい、逡巡したが、香織にあの日の出来事を話すことにした。
けい子がどうも本当にいないらしいし、香織はそのけい子と親しいらしい。
ならば信用して、けっこう仮面のことも話していいのではないかと思ったのだ。
亜美自殺の翌日に医学部棟に忍び込んだこと。
そこで亜美の遺体を発見したこと。
それを瀬戸口教授に見つかったこと。
けっこう仮面が現れて助けられたこと。
人質になっていた真弓は解放されたが、代わりにけっこう仮面が捕まったこと。
そして、その日のことを他言すればけっこう仮面の命はないと脅迫されたこと。
真弓はその日の出来事を包み隠さず香織に喋った。
「そうだったの……。よく話してくれたわ、高橋さん」
香織はそう慰めて、泣きじゃくる真弓の肩を優しく叩いた。
まず間違いなく、そのけっこう仮面はけい子だろう。
であるなら、けい子が行方不明になっている理由もわかる。
香織は真弓の両肩に手を置き、もう一度確認した。
「高橋さん、じゃあけっこう仮面は医学部で捕まったのね? 相手は瀬戸口教授。間違いない
わね?」
「はい……。でも、でも先生、どうするつもりなんですか? 教授は学園でも絶大な力を持っ
てます。学園長たちに訴えても多分……」
それはその通りである。
だいいち、そんなことを学園長に知らせでもしたら、彼は喜び勇んでけっこう仮面をいたぶるに
決まっている。
「大丈夫、信用して。このことは誰にも言わないわ。だから、あなたも……」
「じゃあ、どうするんですか?」
「詳しくは言えないけど、夏綿先生もけっこう仮面も無事に帰るから、安心して」
心配する真弓に軽くウィンクして香織は答えた。
* - * - * - * - * - * - * - * - *
けっこう仮面はまったく抵抗しなくなっていた。
移動するため、処置台に拘束しようとして、一端、上半身のゴム管をほどいたのだが、けっこう
仮面はされるがままになっていた。
念のため、処置台の革ベルトで縛ったものの、やはりおとなしかった。
「……」
けい子は放心状態だった。
浣腸責めに肛門性交、生徒たちによる輪姦という地獄を経験させられていながら、何度も気を
やってしまったのだ。
最後には失神するまで徹底的に犯された。
それでも感じずにはいられず、喘ぎよがってしまった。
それだけではなく、ファイバースコープを使って、アナルやヴァギナの奥深いところまで観察
された。
浣腸されているところや排泄しているところ、あるいは生徒によってたかって犯されている
ところ、それで身悶えよがっているところを見られるのもたまらなかったが、内臓の中まで見ら
れたことがひどいショックだった。
人間にとって大事なものが抜け落ちてしまったような気がしていた。
何をされても何とも思わない。
もう自分は女ではないのだ、ただの肉奴隷なのだとすら思い始めている。
そんなけっこう仮面が乗っている処置台をガラガラと押しながら、生徒たちは瀬戸口に従って
いた。
少し不満そうだ。
けっこう仮面を犯すにしろ、生体解剖にかけるにしろ、隠れて悪事が出来るのはあの部屋くらい
なはずだ。
坂崎が残念そうに聞いた。
「教授、もうけっこう仮面を嬲らないんですか?」
「まだ足りないかね」
「いささか。せっかくこれだけの女なんですし」
「それに、どうせ始末するなら生体解剖でしょう? なら処置室じゃないと」
田島も続けて言った。
瀬戸口はくるっと振り返って答える。
「まだまだ。私だってまだけっこう仮面を責め足りないよ」
「え、じゃあ……」
途端に生徒たちの目が輝き出す。
「安心したまえ。きみたちにも手伝ってもらうさ」
「そうですか! じゃあ、どこへ行くんです?」
「私の研究室の隣の部屋だ」
「あそこ空き部屋だったじゃないですか」
「いや、実はね、あそこは私がもらって改装していたんだ」
「へえ。いったい何があるんです?」
「それは来てのお楽しみだ」
瀬戸口らは、がやがやと騒ぎながら処置台を押していった。
「これは……」
その部屋に入った坂崎たちは驚いた。
つい二ヶ月前までは倉庫代わりになっていた埃だらけの部屋だったのに、いつのまにこうなって
いたのだろう。
概ね20畳ほどの部屋が、間仕切りでふたつに分けられていた。
ドア側の部屋はやや小さく、モニタや器材がところ狭しと並んでいた。
そして、マジックミラーで仕切られた隣のスペースには大きめの処置台らしきものがひとつある
だけだ。
しかし、上には何やら天井クレーンのような大がかりな機械があった。
アイボリーとシルバーでまとめられており、いずれ医療器械には違いなさそうだが、坂崎たちは
初めて見るものだ。
呆気にとられたように川村が聞いた。
「きょ、教授、えらい大がかりですが、こりゃいったい何です?」
「わからんかね? まあ、確かに普通のものとは少し違うんだがね。MRIだよ」
MRIとは、身体の断層画像を撮影する装置である。
いわゆるCTスキャンと同じようなものだ。
両者の違いは画像を得るための方式だ。
CTではX線を使って画像を得るのに対して、MRIは大きな磁石による強力な磁場と電波を
使って画像を得る。
つまりMRIにはCTのリスクである放射線被曝がなく、誰でも負担なく検査を受けられるのが
利点だ。
もちろん、強い磁場を使っているからMRIならではの制限や注意事項はある。
それでも放射線よりはずっと安全だ。
医療器具に一端の興味がある窪田が興味深そうに言った。
「しかし、すごいですね。こんなの見たことありませんよ」
「だろうね。これは市販製品を私とメーカーが協力して改造したものなんだ。オリジナルだな」
そう言われてみると、確かに磁気装置やカメラなどの器材に、窪田たちでも知っている医療器具
メーカーやカメラ会社などの社章が入っている。
MRIの外見は、患者の横たわる寝台に被さるようにドーナツ型の磁気装置が移動していき、対象
の断面図を映し出すというものだ。
しかし瀬戸口らが開発したそれは、通常、患者ひとり分しか写し得ない欠点を克服し、天井レール
を設置してそこを装置が自走するように改良した。
つまり開放型の磁気装置を開発、導入したのである。
これにより、医師が処置しながら断層撮影が可能となり、処置している様子を別室のモニタで
チェック出来るようになった。
著しい進歩だが、瀬戸口はそれを医療だけに使おうとは思っていなかった。
こうして責めにも応用するつもりだったのだ。
その実験台にけっこう仮面がなってくれるとは思っていなかったが。
坂崎が処置台の上に寝かされているけっこう仮面の尻を撫でながら聞いた。
「で、教授。ここで何をするんです?」
「いろいろさ。昨日、けっこう仮面の腹の中を見て興奮したろう? あれよりもっと面白いもの
を見せてやるさ」
瀬戸口はそう言って、坂崎らにけっこう仮面をMRIの処置台に寝かせるよう指示した。
そして自分は調整室の機械を調整している。
中から声がかかった。
「教授、けっこう仮面は縛っておくんですか?」
「そうだな……」
瀬戸口はちょっと考えて言った。
「最終的にはほどくけど、今は手だけ縛っておけ」
教授は、坂崎らに浣腸の用意をするように言った。
またけっこう仮面に浣腸できると知り、長谷部らはすぐに溶液と浣腸器を持ってきた。
「坂崎、おまえが浣腸しろ。田島と川村はけっこう仮面が暴れないように、足と腰をしっかり
押さえておけ」
「はいっ」
坂崎は浣腸器を手に溶液を吸い上げ、田島たちによって開かれた尻たぶの底にあるアヌスに
ノズルを差し込んだ。
「んっ……あ……」
ぐったりしていたところに、いきなり浣腸されて、けい子はうつぶせのまま呻いた。
ドクドクっと溶液を流し込まれると背筋にぞくぞくっとした悪寒が走る。
「ま、また、こんな……ああ、もうやだ……か、浣腸はいやよ……ああ……」
きゅっと締まった肛門にノズルをくわえこまされ、アヌスは怯えたようにひくついている。
肛門を拡げるように円を描きながら注入すると、けっこう仮面は引きつるような悲鳴をあげた。
「ひあっ、そんな、いや……ああっ……あ、あむむ……」
何度されても慣れない浣腸の感覚。
重苦しいドロドロした溶液が腸内に流れ込んでくる。
すぐに襞に染みて、叫び出したいような苦痛と息苦しさが襲ってきた。
いやでも括約筋に力が入り、柔らかい尻がしこり、ぶるぶると震えていた。
坂崎はそんなけっこう仮面を見て、興奮しながら注入している。
アヌスをこねくりながら、ずずっと薬液で犯す。
「ああ……い、いや……う、うん……ああ……むっ……」
けっこう仮面の裸身が、むずかるように弱々しくうねるが、田島と川村ががっしりと押さえて
おり、浣腸の妨害にはならない。
一方、調整室の方でも「おおっ」という感嘆の声があがっていた。
瀬戸口と窪田らは、マジックミラーを通してけっこう仮面の痴態を見ているのではない。
MRIを通してモニタで見ているのだ。
彼らは浣腸されているけっこう仮面の身体断面を観察しているのである。
モニタには、けっこう仮面の身体を縦に割った画像が映っていた。
MRIの特長として、診断を行なうのに適した断面を縦、横、斜めなど自由に撮影できること
がある。
新式のCTでも身体を横に輪切りにした画像だけでなく、縦切りなども描出できるようになっ
たが、それでも自由度はMRIの方が優れている。
よく見ると、けっこう仮面の頭から背中の正中線に沿って、ちょうど尻の割れ目の間まで光の
帯が走っていた。
そこを基点に彼女の断層映像を撮っているのだ。
モニタには、けっこう仮面の肛門に浣腸器が突き刺され、そこから溶液が注入されている様子
が断面映像で映し出されている。
どくどくと流れ込むグリセリン、もがくけっこう仮面、そしてその内臓の動きまで手に取るよう
にわかるのだ。
調整室の生徒たちは息を飲んでその映像を凝視していた。
モニタにかじりつくように映像を見ている長谷部と窪田に教授が言った。
「ノーマルの映像も撮ってるから、そっちが見たければここに映ってるぞ」
「いえ、こっちがいいです教授。すごいですよ、女の内臓がこんなに色っぽいとは思っても
みなかったです!」
興奮して上擦っている長谷部の声に苦笑しながら瀬戸口はノーマル映像の方をチェックして
いた。
女が浣腸されたり、犯されているのを断層映像で見て興奮するのは自分だけだと思っていたら、
案外そうでもないようだ。
世の中、変態は多いらしい。
「……」
教授はMRIの磁気装置のチェックと共にCCVカメラのアングルも調整した。
けっこう仮面の表の映像、つまり内臓でなくヌード姿も撮影しているのだ。
デジタル処理して、あちこちの要所を拡大もした。
わななく乳房や媚肉、そして尻を割られて剥き出しになっているアヌスもクローズアップ処理
してセーブした。
その頃には、もう坂崎は半分以上浣腸していた。
彼も瀬戸口に習って、小刻みに注入したり、一気に流し込んだりして、けっこう仮面の悲鳴を
絞り出している。
「あ、ああう……んああっ、はああっ……んんっ、はうっ……」
次第に重苦しくなり、鈍い痛みが染みるように起こってくる下腹部に、けい子は悶絶しそうだ。
苦しいし恥ずかしいのに、どろっとした薬液がちゅるっと入ってくるごとに、訳の分からない
感覚が忍び込んでくる。
あっと気づいた時には身体の芯が熱く痺れてきていた。
自分の肉体の変化に、思わずけい子は絶叫する。
「い、いや、いやああっ……」
マスクの頭を振りたくり、リボンが宙を舞う。
意識すまいと思えば思うほどに、けい子の神経は肛門周辺に集中してしまう。
浣腸されながらも濃厚なフェロモンを発し続ける女体に、けっこう仮面を押さえていた田島たち
も我慢が出来ずに、乳房をいじり、背中や首筋を舐め始めた。
調整室でどよめきが上がった。
川村が画面を凝視したまま瀬戸口を呼んだ。
「きょ、教授!」
「どうした?」
「これ……」
瀬戸口が覗くと、けっこう仮面の腸内に変化が起こったようだ。
グリセリン溶液が腸内に渦巻いているのがわかる。
薬液に刺激され続けている腸管が収縮するような煽動を見せ始めていた。
この様子では便意が高まっているのだろう。
教授は中に声を掛けた。
「坂崎、どんな様子だ?」
「はい。けっこう仮面の腹がグルグル鳴り始めました。もうしたいんじゃないですか?」
思った通りである。
瀬戸口は一気に残りを注ぎ込むように言った。
坂崎は長いシリンダーをぐぐっと押し込む。
「うはああっ……く、苦しいっ!」
まるで気をやったように仰け反り、けっこう仮面は叫んだ。
半分も入れられないうちからじわじわと湧いていた便意は、今にも炸裂しそうだ。
「んん……んんんっ……く、苦しいわ……」
「やけに早いな。もうしたいのか」
坂崎のからかいに、けい子はカクンとうなずいた。
「ああ、もう苦しくて……お尻、きついのよ……ううむ……」
「そんなに苦しいのにオマンコ濡れてるじゃねえか、よっぽど好きなんだな」
「いやああ……」
見られていた。
けい子も気づいてはいたのだ。
浣腸されている途中から媚肉がずきずきと疼きだし、愛液がぽたりぽたりと垂れているのが
わかった。
羞恥と屈辱しかなかったはずの浣腸なのに、それで感じるような身体に作り替えられてしま
った。
倒錯した、しかし甘美な悦楽にけい子は溺れてしまいそうだった。
「あ、ああっ……」
突然、けい子の裸身がぶるるっと震えた。
猛烈な便意が周期的に襲ってくるのだ。
それが来ると、とてもじっとしていられる状態ではない。
身体から血の気が引き、ぶるぶると全身が震え出す。
それを田島たちががっしりと押さえつけていた。
けい子は息も絶え絶えに懇願した。
「あう……あ、あ、もう我慢が……」
「ウンチしたいか、けっこう仮面め」
「し、したい……お願い、させて……も、もうホントに我慢できない……ああっ」
悪寒が背筋を通って脳天まで突き抜ける。
冷や汗と脂汗が一緒になって、なめらかなけっこう仮面の肌を伝って処置台に垂れていった。
坂崎がそのアヌスを見ると、ぐぐっと内側から盛り上がり、慌てたように窄まっていく。
調整室のモニタでも、それは見てとれた。
けっこう仮面がやや猫背気味になり、括約筋を総動員して肛門を引き締めているのがわかった。
必死になって我慢しているのだろう。
けい子は便意で声を震わせながらうわごとのように言った。
「も、もう我慢できないっ……あ、早くぅ……早くさせてっ……」
「よし、いいだろう。ここでしていいぜ」
「そんな……」
けい子は目の前が真っ暗になる。
またしても排泄するところを間近で見られるのだ。
そんなことはもう二度といやだと思うが、排便を我慢できるものではない。
血が滲みそうなくらいに手を握りしめて耐えていたが、それも限界だった。
「ああ、もうダメっ……ホントにダメぇっ……あ、ああ……で、出そう……ああ、もうっ」
坂崎は調子に乗って、呻き悶えるけっこう仮面の尻たぶを大きく割って肛門を晒して見せた。
その刺激に、けっこう仮面は一瞬も耐えきれなかった。
「で、出る! 出ちゃうっ……見ないでぇぇっ……」
けっこう仮面の肛門がぐうっと盛り上がると、一気に溶液が噴出した。
昨夜何度も浣腸されてから何も食べていないので、出るのは溶液ばかりだった。
それでも排泄を見られる恥ずかしさは変わらない。
何度か途切れたが、すぐにまた排泄した。
終わるともう何もしたくなくなった。
浣腸され、排泄を見られるごとに、けい子は自分が崩れていくような錯覚を受けていた。
浣腸を終えた坂崎らも調整室に戻り、その様子をMRI映像で見て驚嘆した。
こんな画像は生まれて初めて見た。
美しい裸身をそのまま見るのもいいが、こうして内側を見るのは、何か犯罪的な猥褻さを感
じる。
浣腸され、徐々に膨れている腸管。
そして溶液に刺激され、蠢き、収縮する腸の妖しさ。
そして破局を迎えた時のアヌスの動きや、苦痛の源を吐き出す腸の様子まで手に取るように
わかるのだ。
坂崎は興奮を隠しきれずに瀬戸口に言った。
「教授、こいつは素晴らしい機械ですよ」
「わかるか。開発に苦労したからな」
「これを使えばもっとすごいのが撮れますよ」
「もちろんそうするつもりだ」
教授と坂崎は顔を見合わせてニンマリした。
次の実験にかかろうと、瀬戸口はまた生徒に指示を下す。
今度は彼自身が処置室に入るのだ。
そこに坂崎と川村を呼んだ。
残りはモニタのチェックをデータの保存を調整室で行なう。
ナマで内臓ビデオを見たいと坂崎は渋ったが、けっこう仮面を犯していいと聞き、承知した。
それに、処置室にも14インチのモニタが一台あるのだ。
瀬戸口たちは服を脱ぎ、裸になった。
けっこう仮面がうつぶせになっている処置台を低くし、犯せる態勢に持ってくる。
「ふふふ……」
教授は不気味に笑ってけっこう仮面に手を伸ばした。
いくら弄んでも飽きない肢体だった。
生体解剖にかけるのがもったいないくらいだ。
しかしこのまま医学部で飼うわけにもいかないし、逃がすなど論外だ。
学園に密告すれば褒賞は出るが、瀬戸口らの悪事がバレることにもなる。
始末するしかなかった。
「ん、んん……」
男の熱い指が、媚肉を這い、クリトリスをつまむと、けい子は呻いた。
普段は奥まって沈んでいる陰核は、浣腸責めで充血し、蜜にまぶされて濡れていた。
それを転がすように指でいびると、けい子の腰が勝手に蠢いてしまう。
坂崎と田島も、瀬戸口に合わせるようにけい子の裸身を愛撫し始めた。
処置台に柔らかくつぶされた乳房の肉を揉み、腿に手を這わせ、腋を舐めた。
「んん……あ……ああ……」
またしてもけっこう仮面は反応し出した。
打てば響く身体とは、この女のことをいうのだろうと瀬戸口は思う。
実際、いびりだすとけっこう仮面の息づかいが荒くなり、頬は赤く上気し、裸身から新たな汗
が滲みだしている。
けっこう仮面は、自分の感じやすい淫猥な肉体と戦うかのように唇を噛んでいたが、その力も
抜けていった。
「あ……あう……」
吐息に熱がこもり、責める男の手に合わせてもぞもぞと腰が動き始めたのを見計らって、
瀬戸口はけっこう仮面の身体を起こした。
左脚を天井に向けて上げさせ、まるで犬がおしっこをするような格好にする。
そして坂崎に、その下へ入るように言った。
坂崎が喜んでけっこう仮面の裸身の下に潜り込むと、瀬戸口は再び四つん這いの姿勢に戻した。
「ああ、いや……こんなの……」
坂崎の上に跨る格好にされたけい子は、このまま犯されると思い、むずがって呻いた。
けい子に残った最後の理性が、生徒に嬲られることを拒否しているのだ。
そんなものは長く保たないだろうというのは、瀬戸口だけでなくけい子自身にもわかっていた。
いやでも感じさせられ、恥ずかしい絶頂までいかされる。
男たちも、けい子が激しく気をやるまで許しはしないだろう。
下にいる坂崎が自分のペニスを掴み、媚肉にあてがっているのを、まるで他人事のようにけい子
は眺めていた。
しかし、その熱い感触に、すぐ現実へ引き戻された。
「あ、いやあ……あ、あ、うむっ……」
愛液でびしょびしょだったそこは、坂崎の若い肉棒に押し広げられ、ミシミシと音を立てるよう
に埋め込まれていった。
けっこう仮面は坂崎から逃げようと腰を持ち上げようとしたが、上からは瀬戸口が押さえている。
逆に下へと押し込まれ、少しずつけい子の腰が下がっていった。
そして坂崎の怒張が完全にけい子の膣の中に消えた時、ようやく止まった。
「あ……ああ……む……っ!……」
けっこう仮面は、坂崎と腹がくっつくようにぺたりと跨された。
坂崎の学生離れしたペニスを入れられ、けっこう仮面の媚肉はかなりきつそうだったが、しっとり
濡れていたおかげで完全に埋没している。
奥まで埋め込まれ、けっこう仮面は苦しげに呻いた。
「あう……んはあ……」
「どうだ、けっこう仮面、坂崎のペニスは」
瀬戸口は上からのしかかり、けっこう仮面の乳房を揉み込みながら耳元で囁いた。
けっこう仮面は夢遊病患者のように、虚ろな顔で答えた。
「あ、あうう……すごい硬い……痛いくらいなの……それが、ああ……お、奥まで……」
坂崎は、ねっとりとした声で淫靡な描写をするけっこう仮面の声に、たまらず腰を使い出した。
両手で尻をつかみ、ゆっくりとだが大きく膣内に律動を開始した。
奥まで打ち込んだ怒張を中程まで引き抜き、再び押し戻して子宮まで届かせる。
最初は瀬戸口がその動きに合わせてけっこう仮面の腰を操っていたが、すぐに彼女は自分から
腰を振るようになってきた。
もう、どうしようもなく身体がそうなっているのだ。
「あ、ああう……あっ……ん、んああああああ……」
けっこう仮面は幾分苦しそうな表情で坂崎のピストンに堪えていた。
感じてはいるが、まだ僅かに羞恥や恥辱を感じる正気が残っているのだ。
淫らで異常な責めを味わわされ、肉体は犯されて感じ、喘いではいるが、けっこう仮面の方
から求めるまではいっていない。
そのくらいの方が責め甲斐があって楽しいのだが、もう最後なのだからけっこう仮面の方から
欲しがらせたい。
やはり肉心の両面で責めるべきだろう。
瀬戸口は盛んに腰を打ち込んでいる坂崎に目で合図した。
彼の忠実な生徒はそれが何を意味するのかすぐに理解し、ピストンを一時止めて両手をけっこう
仮面の尻に回した。
坂崎の太い指がけっこう仮面のたっぷりとした尻たぶを掴み、ぐぐっと思い切り開いていく。
浣腸と排泄で少し腫れぼったくなった肛門、その下に坂崎の剛直を飲み込んで濡れそぼっている
媚肉が苦し気に蠢いている。
それでいて尻の谷間には汗が滲み、アヌスとヴァギナを艶やかに彩っているのだ。
「いい眺めだな、けっこう仮面。生徒のチンポをくわえさせられて尻の穴まで見せている気持ち
はどうだね?」
「いやっっ! ……ああ、見ないで! こ、こんなとこ見られたら……」
「見られたらと言っても、丸見えだからね」
「いやああっ!」
けい子は明らかに見られることでも感じている。
もちろん羞恥も強く感じているのだが、そんな恥ずかしい姿を見られている屈辱感にも暗い快楽
を得ているのだ。
けっこう仮面として、恥ずかしさを押し殺してオールヌードで活躍できたのも、もしかすると
けい子本人に、そういう被虐願望があったからなのかも知れない。
でなければ、けっこう仮面のコスチュームで人前に出るなど、普通は出来ないだろう。
被虐の炎に炙られ、一層、妖艶さを増したけい子に我慢できず、瀬戸口はそのアヌスに肉棒を
押しつけると、一気に貫いた。
「うっ、はああああっっ!!!」
すでにカチカチに勃起していたペニスが、浣腸責めで敏感になっていた肛門粘膜を擦り上げ、
アヌスをムリヤリ押し広げてずぶずぶっと奥まで挿入された瞬間、けい子は全身をぶるるっと痙攣
させて絶頂まで押し上げられた。
瀬戸口は、根元まで埋め込んだペニスの付け根に感じる、けっこう仮面の括約筋の締め付けを
心ゆくまで愉しんだ。
調整室からもどよめきの声があがる。
けっこう仮面を縦に割った断層画面には、はっきりと彼女が気をやったことが映像に出されて
いた。
肛門と膣に野太い男根を受け入れ、その根元を強く締めつけるように、膣の襞や肛門が締まる
様子が映っている。
MRIはX線を使うCTスキャンとは異なり、骨や空気による画像への悪影響が全くない。
例えば頭蓋骨に囲まれた脳や脊髄などの診断に適している。
ということは、けっこう仮面に打ち込まれたペニスもはっきりと映るし、ピストン運動で揺れる
乳房や喘ぐ口の動きまで手に取るようにわかるということだ。
モニタを前にした生徒たちは認識を改めていた。
ナマでけっこう仮面の肌や美貌を見る方がいいと思っていたが、こうして断面図で犯される様子を
観察するというのもひどく興奮できるではないか。
肉棒で貫かれ、アヌスや媚肉の粘膜がめくれ込まれ、引きずり出される。
肛門に挿入されたペニスは直腸深くまで打ち込まれ、秘肉を割った男根は胎内を抉り、亀頭で
子宮を押し上げているところまで第三者が観察できるのだ。
暗いが淫靡な映像に、生徒たちは自慰を始める。
「んん! ……んあっ……あ、ああっ……」
心ならずも絶頂を極めさせられ、それでもその深い愉悦に浸っていたけっこう仮面を、瀬戸口と
坂崎はそのまま責め続けた。
今までの律動はウォーミングアップだとばかりに、前の坂崎、後ろの瀬戸口はともに激しく腰を
使い始めた。
太いものを飲み込まされ、けっこう仮面の膣と肛門の穴はくっついてしまいそうなほどだ。
そこを盛んに出入りし、腸内も胎内も蹂躙し続ける肉棒に、けい子は腰が砕けそうになる。
瀬戸口が、けっこう仮面の喘ぎ顔を見ながら息を飲んでいた田島に合図する。
我に返った田島は、キャスター台に乗った小さなモニタを持ってきて、けっこう仮面の前に置いた。
そして彼女のマスクを掴むと、その画面を見させて言った。
「ほれ見なよ、けっこう仮面」
「あ……ああっ……!!」
田島にマスクを掴まれて顔を上げさせられたけい子は、目の前にある14インチモニタを見た。
そこには、人間の下半身を横に切った断面画像が出ていた。内臓や骨も見える。
皮膚の外周も映っており、明らかに女性のしなやかな身体であった。
その臀部付近に、やはりふたりほどの人間の断面図があり、その二名が盛んに腰を股間に打ち
付けている。
けい子は愕然とした。
今、自分に加えられている瀬戸口と坂崎のピストンのリズムと同じなのだ。
ようやくけい子は、その医学的であるのに淫猥極まりない画像の主人公が自分であったことに
気づいた。
「いっ、いや、いやあああああっっ!!」
ただ犯されるだけでなく、こうまで辱められた女がいただろうか。
けい子は我が身に襲いかかる精神的凌辱に耐えきれず、狂ったように絶叫した。
顔を激しく振りたくり、画面から目を逸らそうとするが、田島が頭を押さえ込んでそれを許さない。
目を閉じると、瀬戸口がことさら強くアヌスを抉り、画面を見続けることを要求した。
「あ……あああ……」
目の前で、自分の内臓が男の野卑な、しかし力強い肉棒に犯されている様子が見える。
瀬戸口のものは腰がけい子の尻に密着するまで押しつけられ、直腸深くまで含まされているのが
わかる。
そして下から突き上げる坂崎のものは、遠慮なくけい子の子宮口をこづき回していた。
自分が凌辱される様を内部から見せられ、最後に残っていたけい子の薄い理性の覆いが、被虐と
官能の炎でめらめらで燃え尽きてしまった。
「んああっ……いっ、いいっ……」
「ははははっ、とうとう言ったな、けっこう仮面! ようし、もっと言え、言うんだ!」
「ああ、いいっ……くうううう……あ、あうう、たまんない!」
とうとう陥落したけっこう仮面の痴態に、責めるふたりは有頂天になって突き上げてきた。
突き込む瀬戸口のペニスに、下から責め上げてくる坂崎のペニスの動きが薄い腸の粘膜を通じて
感じられる。
よほど激しく突き上げているのだろう。負けじと瀬戸口も、繰り返し繰り返しけっこう仮面の
肛門を貫き、腸内を引っかき回した。
生徒の肉棒を飲み込んだ媚肉からはびちゃびちゃと、教授のペニスを挿入されたアヌスからは
ぬちゃぬちゃと、それぞれ異なった水気の多い粘着音が響いた。
そしてその唇からは、抗う声は完全に消え失せ、よがり、喘ぎ泣く媚声のみに支配されていた。
「あおうっ……おおっ……いっ、いいっ……深いぃ……ああ、ああっ……」
責める男に身体を合わせてうねり出した美女の裸身に我慢できなくなった田島は、いきなり
けっこう仮面のマスクを掴んで上を向かせると、そのまま口に己の性器を突っ込んだ。
「んもっ……むごっ……」
またしても調整室から歓声が飛んだ。
あのけっこう仮面に三本刺ししているのだ。
これほど興奮する画が他にあるとは思えなかった。
口も膣も肛門も、狭い穴を太いものでめいっぱい貫かれ、いずれも限界近くまで深く挿入されて
いた。
「あ、あむ……むむ……ちゅぶぶっ……ん、んく……」
けい子はもう舌を使っていた。
形としてはイマラチオだが、田島の若く無謀なピストンをけい子は受け入れている。
熱くいきり立つ怒張を、舌全体で包み込むように愛撫していた。
赤黒く腫れ上がった肉棒を、今度はけい子が逆に責めている風だ。
頬の内側の粘膜に、敏感な亀頭部を押しつけて刺激する。
田島が呻き出すと、今度は頭を前後させて唇を使ってペニスを責め上げていく。
唇で作った輪が、カリの部分を締め上げたり、竿をさすったりして徐々に男の性感を高めて
いく。
田島はたまらなくなり、両手でけっこう仮面の頭を押さえて、自分から腰を使って口を犯し
始めた。
三人の男に同時に犯されている恥辱と官能で、けい子もはち切れそうな愉悦を得ていた。
両手をゴム管で縛られていたが、そうでなかったら田島の腰に手を回してペニスをしゃぶって
いたに違いない。
別の生き物のように動き回るけい子の舌が、生徒の充血しきった男根を舐め回している。
「お、おおっ……」
田島が情けない声を出して呻いた。
さすがにまだ学生で、ここまでのテクニックで奉仕されたことななかった。
腰の奥からぐぐっと射精欲がこみ上げてきた。
亀頭を中心に、ペニス全体がびくびく震え出す。
射精が近いのを覚ったけい子がとどめを刺した。
亀頭部先端の尿道口をこじ開けるように舌先でぐりぐりし、カリのエラ部分を優しくねっとり
と舐めていく。
その責めを繰り返されると、田島はあっと言う間に限界まで来た。
「う、うああ、出る、出ちまうっ」
「うむ……んぶ……んちゅっ……んんっ……」
田島が悲鳴に近い声をあげ、ぐいっとけっこう仮面の顔を腰に押しつける。
けっこう仮面はそのまま田島の肉棒を喉の奥まで飲み込み、思い切り吸い上げた。
「くうっ!」
次の瞬間、田島は思いきり腰を突きだして射精した。
どろどろした濃い液体が、容赦なくけっこう仮面の喉の奥に流れ込んでいった。
その若く青臭い男の性臭に、けっこう仮面はくらくらする。
モニターには、田島の陰嚢から急速に噴き出した精液が、大きなペニスを通ってその先端から
激しくしぶきだしてけい子の喉に浴びせている映像が映っているのだろう。
次々に精液が発射され、けい子の喉が盛んに上下し、食道を通って胃まで流し込まれているの
が手に取るようにわかった。
ちゅぷん、と口から田島のペニスが抜き取られると、けっこう仮面は軽く痙攣した。
けい子は、喉に絡む濃い精液に酔っていたが、すぐに現実に引き戻された。
瀬戸口と坂崎がまたも上下から激しく打ち込み始めたのだ。
「ひぃぃっ……ああ、そんな激しいっ……いいっ……す、すごい、いいっ……」
けっこう仮面は、粘りつく精液の糸を引く唇を大きく開け、惜しげもなく色っぽい声で喘いだ。
フェラで絶頂までいかされたけい子に、休む間もなく猛烈な責めが加えられる。
官能を無視してめちゃくちゃに犯され、けい子は喘ぎと悲鳴を交互にあげていた。
瀬戸口が突く時は坂崎が抜くというようにリズムよく責められず、両方深く貫いてきたり、
相手が抜きかけた時にいきなり挿入してきたりする。
そのせいか、腸の粘膜と膣の粘膜が、ペニス同士を激しく擦り合わせることがあり、その感触
があるとけい子は絶叫してよがった。
ムチャクチャな責めなのに、けっこう仮面の肉体はそれすら受け入れていた。
けっこう仮面のアヌスの感触に朦朧としながらも、瀬戸口は言葉でも責める。
「どうだ、けっこう仮面め。どんな感じか言ってみるがいい」
「ああっ、いい……す、すごい大きいのが、ああ……お尻を……お尻を抉ってるっ……す、
すごい……奥まで入って、ああ……お腹が、お腹が犯されてるみたい……」
「それがいいんだな」
「いい……お尻、いいっ……」
今度は下から犯す坂崎が上擦った声で訊いた。
「オマンコはどうだ、言え、けっこう仮面!!」
「お、オマンコもいいっ……あ、熱くて硬いの……ああ、石みたいに硬いのが、な、中で暴れて、
ああ……し、子宮が痛いくらいなのっ……で、でも、いいっ……」
けっこう仮面も切羽詰まっていたが、責める瀬戸口と坂崎もいっぱいいっぱいだった。
ここまでの美女が、けっこう仮面が積極的に責めを受け入れ、感じまくっている姿に、本能が
射精したがっている。
それがけい子にもわかるのか、アヌスや膣を締めつける力が強まっている。
彼女も射精まで導こうとしているのだ。
腸と膣の襞が優しく強くペニスを刺激し、坂崎が絶叫した。
「う、うおお、いくぜ!!」
「んはああっ、い、いっくううっっ!!」
けい子の媚肉締めつけられた坂崎のペニスは、膣のもっとも深いところで一気に射精してのけた。
ほとんど子宮口に密着する位置で、びゅるるっと特濃精液を吐き出したのだ。
熱い精液の感触を子宮に感じ、けい子は大きく腰を振るわせて激しくいった。
「うあ、うああ……すごい、出てる……ああ、まだ出てる、濃いのが……あああ……に、妊娠
しちゃう……は、孕むぅぅ……」
精を欲しがる膣が坂崎の肉棒を絞り上げる感覚で、肛門括約筋も自然に締まる。
瀬戸口も限界で、けっこう仮面のアヌスが壊れるほどに激しく突きまくった。
「あああっ、お尻っ……こっ、壊れる、お尻、どうにかなるっ……ぐうう、深い、深すぎるっ
……あうう、いいいいいっ……」
瀬戸口が激しく出し入れしているペニスには、けっこう仮面の腸液が淫らにまとわりつき、
べとべとであり、ぬるぬるでもあった。
滑りが一層よくなり、教授は尻穴を拡げるように前後左右に回しながら抉り抜く。
そんな抜き差しが20回も続くと、たまらずけっこう仮面は頂点まで押し上げられていく。
けっこう仮面の口からは、田島の精液と混じり合ったよだれが乱れ飛んでいる。
「ああっ、ああ、もうだめっ……い、いく、いっちゃうっ……」
「尻で、肛門でいくのか、けっこう仮面めが!」
「そ、そうよ、ああっ……お、お尻で、お尻でいっちゃう……ああ、もう、いく、ホントに
いくうっ……」
けい子の淫声に、さすがの瀬戸口も堪えきれずに射精した。
「あっひぃぃ! ……出てる、お尻に出てるっ……す、すご……お尻の奥まで熱いのがいっぱい
……あむむっ、い、いく!!」
瀬戸口と坂崎は、ともにけっこう仮面を奪い合うようにして腰を押し付け合い、出来るだけ
深いところで射精を続けた。
モニタには、ふたりのペニス先端部がぶわっと膨らみ、一気に爆発して激しく射精した様子が
出ていた。
びゅくびゅくと何度も射精の発作があり、それをごくごくと飲む干すように、けっこう仮面の
肛門と腸、そして膣と胎内、子宮が蠢いているのがよくわかった。
汗と涙、よだれに精液と愛液、腸液と、さまざまな汁で汚れたけっこう仮面の裸身からふたりが
離れると、待ってましたとばかりに調整室から残りの生徒たちがなだれ込んできた。
ちょうどその頃、人気のない医学部棟に、すらりとした姿の人影が忍び寄っていた。
その肢体はどうみても妙齢の女性であろう。
彼女は難なく裏口の扉の鍵を外し、音もなく内部に侵入していった。
* - * - * - * - * - * - * - * - *
瀬戸口は快い疲労で翌朝を迎えていた。
けっこう仮面を完膚無きまでに犯し抜き、屈服させる。
当面の目標が見事に成就したのだ。
昨日の責めと、腰が抜けるまで犯されて堕ちたけっこう仮面の痴態を思い起こすと、また男根に
力が籠もるがわかった。
我ながら激しいなと苦笑するが、思い立ったらまた犯したくてしかたがなくなった。
今度は生徒を呼ばず、ひとりで部屋に行った。
けっこう仮面は処置台に縛り付けられている。
抵抗しないだろうとは思うが念のためである。
そのぷりぷりした尻を撫でながら、今日はどんな責めをしようかと考えていた教授の思考が
いきなり止まった。
けっこう仮面が革ベルトを引きちぎり、瀬戸口の前に立ったのだ。
「け、けっこう仮面……!」
「今までよくも嬲ってくれましたね」
「い、いや……」
「このままで済むとは思ってませんよね」
瀬戸口は血の気が引いていくのがわかった。
あれほど責め抜いたのに、けっこう仮面の身体に少しも疲疲労の色が見えない。
そして取り上げたはずの武器−ヌンチャクを手にしているではないか。
この時、瀬戸口に少しでも落ち着きと観察力があれば、目の前のけっこう仮面が昨日までの
彼女と少し違うことに気づいたはずだ。
言葉遣い。
声の高さ。
そして、手にしているヌンチャクも、取り上げたものは樫製だったのに、今けっこう仮面が
持っているのはメタル製である。
しかし、そんな些細なことに気を回すだけの余裕はこの男にはなかった。
「たっ、助け……」
瀬戸口は無様に腰を抜かし、手で後ずさっていく。
その手がキャスターのついた台をひっくり返す。
派手な音がして医療器具が落ち、彼はその中のひとつに目をつけた。
「き、きさま……」
瀬戸口は落ちてきたハサミやコッヘルの中から大ぶりのメスを選び出し、それを持ってけっこう
仮面に立ち向かった。
無謀な挑戦だが、この不祥事がバレれば彼の社会生命が失われる。
無理でも何でも、ここでけっこう仮面を亡き者にする以外、彼に道はなかった。
「……」
大きく口を開けているものの、声も出ない状態でメスを振るってくる若い教授を、少しだけ
憐れんだ表情で見て、けっこう仮面は攻撃をかわした。
そして深呼吸すると、再度メスで斬りかかってきた教授の右手にヌンチャクを振り下ろした。
「うぎゃああっ!!」
ごくっとイヤな音がした。
手首に決まったそれは、骨を折ったか砕いたかしたらしい。
それでもメスを左手に持ち替えた瀬戸口に、けっこう仮面−けい子と入れ替わっていた若月香織は、
容赦せずとどめの一撃を加えた。
「天誅!!」
* - * - * - * - * - * - * - * - *
医学部の不祥事が発覚して三日後。
香織はけい子の部屋を訪ねていた。
「検死解剖……ですか?」
「そう」
けい子は香織にここまででわかった事件のあらましを説明していた。
「つまり……彼らは自殺した生徒たちの遺体を、その、解剖していた、と……」
「らしいわね。まるでカエルか何かみたいに……」
他の生物をいくら解剖していても、いざ人間を、となるとやはり平静ではいられなくなるらしい。
生きた人間はもちろん、死者を解剖する場合でも同じだ。
当然それらは医大へ行ってから行なうことになるが、献体の関係で、医大でも解剖実習に使える
遺体は数少ないのが現状である。
ところが、ここスパルタ学園医学部を出た生徒は、何のためらいもなく落ち着いてメスを振る
える。
在学中に何体もの遺体で実習済みだからである。
自殺原因も様々だから、それらの死因から来る臓器の変化もすべて観察できる。
素早く腑分けし、標本を作る力もつく。
その理由は、違法解剖だったわけである。
もちろん学園側も共犯だ。
自殺した生徒の遺体を提供し、自殺原因を虚偽申告していたのだから。
「私は見なかったけど、中の倉庫の隠し部屋には、臓器の標本も多数見つかったそうよ」
「……」
けい子は、あのまま捕まっていたら、さらに犯し抜かれて医学部共有の性奴隷か、生体解剖の
献体にされかねなかったらしい。
医学部の生徒たちは、恐らく勉強熱心というよりは興味本位で人間の生体解剖までやりたがった
ようなのだ。
さすがに瀬戸口もそれはまずいと止めていたのだが、そこにけっこう仮面というサンプルが紛れ
込んできてくれた。
瀬戸口は「こいつなら」と思った。
生徒や職員、教員などを捕まえて解剖するわけにはいかないが、正体不明のけっこう仮面なら
もともと員数外であり、いなくなっても……死んでも表に出ることはないからだ。
自殺して解剖された生徒のことを思ってか、少し暗くなったけい子に香織が言った。
「でも、これで学園はタダじゃ済みませんよね。学校法人取り消しや、ヘタすると学園長逮捕
まで……」
「行かないらしいのよ、これが」
事件は、MRI実験室で倒れていた瀬戸口を、偶然、他の生徒が発見したことから発覚した。
これはけい子たちに幸いした。
自分たちがけっこう仮面と疑われる要因が減るからである。
報告を受けた学園長は瞬時に事態を理解し、野生動物並みの危機管理能力を発揮して、異常とも
言える素早い行動を執ったらしい。
瀬戸口の切り離し。
医学部の無期休校。
文部科学省の子飼いの役人に連絡し、警察沙汰になることを押さえた。
そして瀬戸口とけっこう仮面凌辱に加わった生徒たちを軟禁状態にして、今回の件の口止めを
する。
もちろん瀬戸口や生徒たちの親にも連絡し、押さえ込む。
「どうしてそんな……」
「警察沙汰には出来なかったけど、やつらもタダじゃ済まなかったわ。瀬戸口は所属していた
医大を解雇されたし、医師免許剥奪という話も出てるそうよ。それに彼の父親は近々、議員辞職
するってことだし、母親の方も、理事長を務めている病院から手を引かざるを得なかったみたい」
「へえ……」
「もっとも、これはウチの局長が強硬にねじ込んだ結果みたいね。瀬戸口の親も学園も、これで
勘弁してくれって泣きついてきたって」
文科省には、学園側についている勢力と、けっこう仮面を派遣している局がある。
両者は激しくせめぎ合っているのである。
「生徒たちは?」
「ああ、彼らは学園放逐が決まったわ。形は転校だけども、事実上、退学みたいなものね」
「だけど、それだけじゃあ……。これだけのことをやったんですし、夏綿先生もひどい目に
遭ったのに……」
「でも若月先生が仇を討ってくれたしね。瀬戸口、頭蓋骨骨折だったそうよ」
香織が振り下ろしたヌンチャクを受け、瀬戸口は頭から血を噴いて倒れた。
けい子の受けた仕打ちを聞き、激怒した香織による怒りの一撃だったわけだ。
それでも「殺すわけにはいかない」と加減したそうで、その程度で済んだのだ。
命に別状はないが、それでも全治に三ヶ月かかるようだ。
むしろ最初に喰らった右腕の一撃の方が大きかった。手首を複雑骨折してしまい、完治しても
リハビリが長期間必要になるらしい。
日常生活には支障はないものの、細かい動きを必要とする外科手術などは無理のようだ。
彼も執刀医としての生命は絶たれてしまったのである。
「学園もかなり痛手を負ったのよ。医学部はスパルタ学園の花形部門だったのに、それが休校
でしょ。これも事実上、廃止らしいわ。無理もないわね、教える教授がいなくなったんだし」
「……」
「それに違約金の問題もあるし」
医学部には20名ほどの生徒が学んでいた。
今回の共犯者である坂崎ら5人を除き、残り15名はまともな生徒なのである。
彼らは医大や大学医学部に進むつもりで、その予備校のようなスパルタ学園医療系大学進学
コースに来たのだ。
事情がどうあれ、学園側の問題でそれが廃止になったら、補償金や違約金を支払う義務が生じる。
入学金や授業料、寄付金が半端でない分、違約金も莫大なのだ。
15名の生徒たちは全員他校へ移ることが決まったので、その行き先も世話しなければならない。
金蔓だった医学部が、とんでもない額の負債になってしまったわけである。
「不謹慎だけど、これが殺人事件なら警察庁や警視庁も腰を上げざるを得なかったんでしょう
けどね」
せいぜい死体損壊程度(という言い方も問題ではあるが)では、文科省の圧力もあって大げさに
出来ないらしいのだ。
もし生体解剖が行われていたなら、例え被害者が死んでいなくとも、不必要な外科手術は傷害罪
が成立するから何とかなる。
しかしそれが行われてしまった後では取り返しがつかなかったろう。
香織は釈然としない様子で言った。
「何だかスッキリしませんね」
「若月先生、覚悟しといて。私たちの仕事はほとんどそうなんだから」
世の中、勧善懲悪などあり得ない。
相対的に、相手に被害を与えてこちらが有利になればそれで良しとせねばならないのだ。
「結局、「これ」という大きな証拠でも押さえない限り、枝葉を枯らせていくしかないの。
ガッカリした?」
「いいえ、枝葉はガンガン枯らしましょう。それがスパルタ学園撲滅につながるのなら」
* - * - * - * - * - * - * - * - *
その頃、執務室で学園長が唸っていた。
「おのれ、けっこう仮面め! またしても邪魔立てしおってからに……。今度こそ! 今度こそ、
きさまの正体を暴き、そのツラを拝ませてもらうぞ! そして「ぐぅ」の音も出ないほどの仕置き
をしてくれるわ!!」
けっこう仮面 第一話「孤島の学園」 完
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