老医師の顔がぐずぐずと崩れていく。
老人の顔を構成していたものが、溶けたロウのようにぼたぼたと垂れ落ち、床に溜まった。
現れた若い、しかし禍々しい顔を見て珊瑚は息を飲んだ。
「奈落……」
「……」
老医師に化けていた珊瑚の仇は、残っていた偽顔の成分を手で拭い取った。
そのまま頭に手をやって、白髪を掴むとそのまま投げ捨てた。
「きさま……、な、なんのために、こんな……」
「ふん。そういえばおまえらこの近くに住んでいたのだったな」
奈落は、何も珊瑚を捕らえようとしてここに巣くっていたのではない。
半妖を作ろうとしていたのである。
こうして医者に身をやつして村々を回り、不平不満ばかりを湛えた破落戸や、恨み辛みを抱え
込んだ人間で「これは」という者を探していたのだ。
そういう強い邪悪な欲望や歪んだ妄念を持っている者ほど物の怪と混じりやすい。
要は奈落のような半妖を作り、腹心としようとしていたのである。
神楽たちは所詮奈落のデッドコピーであり、自ずと能力に限界がある。
そうではなく、最初から作り直せばより強力な配下となる可能性があるからだ。
そうでなくとも最近は神楽たちがやけに反抗的で扱いにくくなっているのだ。
そこに引っかかってきたのが珊瑚だった。
思いも寄らぬ収穫に、奈落はほくそ笑んだ。
彼女自身には、邪心や妄念はあまりないだろうから妖怪と掛け合わせることは難しいだろう。
しかし、それならそれで引き込む手立てがないでもない。
正攻法でダメなら裏で行くというわけだ。
珊瑚を人質にとって犬夜叉らと交渉するという手もないではないが、以前、似たようなことを
仕掛けて失敗したことがある。
ならば今度は、珊瑚自身をその気にさせてやろうと奈落は思っていた。
* - * - * - * - * - *- * - *
真っ赤な、というよりオレンジ色の夕陽が山の間に沈みかけている。
周囲が茜色に染まる頃、ようやくかごめたちは珊瑚の不在に気づいた。
念のため楓に聞いてみると、何のことはない、例の医者のところへ行ったらしい。
心配するかごめに老婆が言った。
「なに、心配することはない。ここしばらく物騒なのはこのあたりにはおらん」
「でも……」
混んでおるのじゃろう、と楓は言った。
「評判がいいらしいからな、患者も門前市を為しているというし」
「……」
「わしも一度診てもらった。人の良さそうな爺様だったわい、心配いらん」
楓自身も会ったことがあるのなら、その医者が化け物とかの類という可能性は少ないだろう。
だとすれば、心配事は道中で襲われることくらいか。
かごめがそう考えていると、後ろから弥勒が声を掛けてきた。
「かごめさま、心配には及びませんでしょう」
「弥勒さま……」
「どうせ隣村と、行っているところはわかっているのです。もし、あまりに遅いようなら迎えに
行けばよろしい。が、恐らく取り越し苦労でしょう」
一抹の不安を拭いきれないかごめは、それでも無理に微笑んで言った。
「そうね……。なら、いいんだけど」
* - * - * - * - * - *- * - *
「んっ……ああっ……」
珊瑚に覆い被さった奈落は、膝を使って器用に彼女の股を割ると、そのまま膣に男根を挿入した。
退治屋の少女はロクに抵抗できなかった。
目の前の仇を仕留めようという気持ちより、火照りに火照った肉体を何とかしたいという思いの
方が強かった。
さすがに珊瑚も、最後に奈落に打たれたあの鍼が彼女の身体に何か悪さをしているのだという
ことはわかったが、今ではもう遅い。
奈落が打ったツボは、ずばり性感を上昇させるポイントだった。
これも媚薬と同様で眉唾のようの思われるが、実際に不感症に対するツボというのはある。
奈落はそこに自分が新たに見つけたツボや妖術を使い、人間の女を疼かせ高ぶらせるような鍼を
打ったのである。
打ったツボは八りょう穴と言い、なかなか動きにくい骨盤内の血流を活発化させることにより、
膣の感度を上げるものだ。
そして気穴という、卵巣ホルモンの働きを活発にして女性ホルモンの分泌を促すツボにも埋め
込んでいた。
不感症治療などで使うツボだ。
そもそも不感症とは、膣内分泌液−つまり愛液の量が少なすぎて、挿入やピストンに苦痛を感じ
ることを言う。
他にも原因はいくつか考えられる。
子宮内膜症などによる痛みという肉体的なものもある。
セックスに対する潜在的な不安。
妊娠に対する恐怖心。
男性側の技巧が劣る場合。
強姦など暴力的なセックスという精神的な要因。
他にもまだあるだろう。
それらの不安要素を和らげるためのツボがそれなのである。
正常な身体の珊瑚に、それらのツボを過剰に刺激したらどうなるのか。
彼女の精神に関わらず、肉体は燃え上がり、欲しくて欲しくてたまらなくなってしまう。
今の珊瑚がそうだった。
珊瑚は、奈落が着物を脱ぎ、のしかかってきた時も、ほとんど抵抗できなかった。
そしてその愛撫を心ならずも受け入れてしまった。
以前、奈落に凌辱された時は、男女の愛の営みなどというものではなく、ほとんど暴力的な
責め苦であり、文字通りの強姦であった。
そういう激しいセックスで何度も挑まれ、その肉体に淫らな欲望を植え付けられてしまった。
優しく愛されるよりも、むしろ無理矢理される方がより感じるようにすらなっていた。
なのに奈落は、今度は珊瑚の裸身を念入りに、優しく柔らかく愛撫していった。
奈落の行為を払い除けられない情けなさに珊瑚は涙が出たが、それならば何をされても無反応で
いようと決心した。
しかし奈落は、以前に珊瑚を犯した時に彼女の身体を知り尽くしていた。
どこをどうすれば感じるのか、どうされると感極まってしまうのか、すべて頭に入っている。
しかも今の珊瑚は、秘孔に打った鍼のせいでより鋭敏となり、女の甘蜜は溢れるように流れ、
子宮の奥が鼓動に合わせてずきずきと疼きあげてきている。
普通の状態でも奈落にかかったら、どんなに堪えても最終的には絶頂まで押しやられてしまうと
いうのに、この状態ではどうにもならないだろう。
珊瑚は、奈落の前で気をやる自分を想像し、屈辱の涙に濡れた。
その涙が乾く間もなく、随喜の涙に変化していく。
奈落は焦らなかった。
ただでさえこの娘は性的に敏感に過ぎるということは、前回犯してやったときにわかっている。
それが鍼の効果で倍増しているのだ。
奈落にとっては、それこそ赤子の手を捻るようであったろう。
単衣帯を解く間も、珊瑚は呻いて形ばかり手足をよじるだけで、されるがままだった。
はらりと着物を脱がされ、現れた肌は相変わらず白く、すべすべしている。
胸にブラをしているのも前回でわかっていたから、容赦なくその白い下着を剥ぎ取った。
むしり取られるブラジャーにつられ、ぷるんとまろびでた丸い乳房が女らしかった。
着衣を剥ぎ取られる間、珊瑚は必死に自分の肉欲と戦っていた。
最初は、このまま抱かれたいという淫らな思いと、奈落に犯されまいとして抗おうとする理性
の争いだった。
しかし、ゆっくりと裸にされていくうちに、もう犯されるのは仕方がないが、自分から奈落に
抱きついていくという淫欲な思いを断ち切る抵抗に変わっていた。
「ああっ……」
突然その柔らかい手で握らされたものに珊瑚は戦慄した。
この感触はまぎれもなく男根であろう。
その熱さと硬さに、珊瑚はくらくらしてくる。
犯された時のことが鮮烈に思い出された。
裂けそうなくらいに太いものをぐぐっと無理矢理挿入される。
最初は身体が内側から張り裂けそうだったのに、その大きいものに馴染まされてくると、
慄えがくるほどの悦楽がやってきたのだった。
いやでもそのことが脳裏に甦り、珊瑚はその美貌と裸身をうっすらと染めてきていた。
奈落はその様を見てニヤリとする。
奈落が覚え込ませた凄まじいほどの快楽は、そう簡単に忘れられるものではない。
彼女の頭が忘れても、その肉体が、そして本能が燃え尽きるほどの甘美な性を覚え込まされて
いるのだ。
奈落は自分のものを珊瑚に握らせ、しごかせている。
もし珊瑚に反骨心があれば握りつぶされかねない。
いくら奈落といえども、もとは人間の男である。
陰茎は陰嚢とともにもっとも弱い急所だ。
そこをつぶされたら一発で行動不能になるだろう。
しかし奈落は、鍼の効用と過去のセックスの記憶で、既に珊瑚はすっかり燃え上がってきている
ことを見抜いていた。
その証拠に、もう彼女は奈落に手を添えられなくても、無意識にうちに彼のペニスをさすり、
しごいているのである。
しごくごとに勢いが増し、熱くそして硬化してくる男根に、いつしか珊瑚は慕い寄っていた。
カッカと燃え盛る彼女の肉体は、それが誰であれ、たくましい肉棒で貫き、こねくり回してもら
わねば収まりがつかないところまで追い詰められていた。
そのことを充分にわかっていながら、奈落は焦らすように柔らかい愛撫を繰り返していた。
わざと女の中心部を避けながら、その周辺を撫でるように愛撫する。
恥毛の生え際に舌を這わせながら、決して媚肉を舐めようとはしない。割れ目の縁を指でなぞり
ながらも、もうすっかり包皮が剥かれている肉芽をいじりはしなかった。
「い、いや……ん、んああ……」
いやと言いながらも、珊瑚は欲しいところを触ってもらえないもどかしさに、思わず腰で奈落の
手を追う仕草を見せる。
それでも奈落は珊瑚の無言の懇願を無視し、ねちねちと美少女をいたぶることに専念する。
焦らす意味もあったが、奈落自身がそうした責めが好みだということもあるだろう。
いつもなら牛の乳でも搾るようにぎゅうぎゅうと揉み込む乳房も、今回ばかりは触れるか触れないか
くらいの軽い愛撫に留めた。
乳房の外周を指の先でくすぐるようになぞってやると、ざあっと胸や脇腹付近に鳥肌が立つ。
布団を握りしめた手にも力が籠もり、懸命に食い締めている唇から甘い声が洩れそうになる。
舌先を尖らせて乳輪にぎりぎりを舐め上げると、ぐぐっと首を反らせた。
それでいて、勃起している乳首には決して舌も指も触れなかった。
「ふふ……、どうだ珊瑚。もう俺が欲しくて欲しくて仕方がなかろう」
「……」
奈落が耳元でそっとささやきかけると、珊瑚はぞくぞくっとした慄えが背を走った。
この少女は肉体が感じやすいだけでなく、こうして恥ずかしい言葉で虐められると、より官能が
高まってしまうのである。
切なくて切なくてたまらなかった。
奈落が股間を責めていて上が空いている時は、自分でその形の良い胸を揉みしだきたくなる。
逆に乳房を揉み込まれている時は、手を伸ばして媚肉やクリトリスをどうしてもいじりたく
なってくる。
今は、持ち前の気の強さや羞恥心でその淫らな思いを何とか抑えているが、このまま焦らされて
嬲られたら耐えきる自信がなかった。
奈落の方も、もうそろそろと思っている。
最初からとことん堕とすこともあるまいと見ていた。
何も今回一度で終わらせるつもりもないのだ。
少女の裸身は、お腹の奥深くでどろどろにとろかされた熱いものがこみ上げてきている。
奈落がその身体から手を離しても、珊瑚の媚肉からははっきりそれとわかるほどに透明な粘液が
ぷくりぷくりと湧き出ていたのである。
「あ、ああ……」
責めの手が離れていくと、珊瑚は薄く靄のかかったような瞳で憎い凌辱者を見ていた。
彼女にはもう相手が奈落であるとか仇であるとか、そういう意識はない。
今はとにかく、臨界ぎりぎりにまで高まってしまった身体をどうにかして欲しいだけだ。
もしこの場で奈落に「自慰しろ」と言われたら、ためらいもなく恥ずかしい行為をしていただろう。
それをしなかったのは、目の前に男がいるのだから抱いてもらえるという期待があったからだ。
珊瑚は、自ら「欲しい」とは口にしなかったが、もう腰はせり上がって奈落の指を待っている
状態だ。
このまま奈落がのしかかっても、もはや払い除けようとすら思えないだろう。
燃え上がっている美少女をさらに煽り立てるべく、奈落は零れ落ちる蜜に指を濡らしながら珊瑚
の媚肉を撫で、乳房を揉んでやる。
「あっ……く……んんっ……はっ……」
珊瑚は必死になって唇を噛み、声を洩らすまいと懸命になっている。
ここで一声でも出してしまえば、あとはもうその口から出てくるのは喘ぎ声とよがり声、そして
奈落を求める艶声のみになってしまうだろう。
「ああっ……」
珊瑚の声が高くなった。
奈落の指がとうとう内部に侵入してきたからだ。
開きかけている秘口を指でかき分け、中指を没入させる。
珊瑚は思わず腰をせり上げた。
奈落は落ち着いて珊瑚の中をいたぶる。
指を曲げ、膣の内壁を上と言わず下と言わず、全周にわたって引っ掻いてやった。
途端に珊瑚は絶息するような悲鳴を上げ、あたりにはムッとするような甘い女の香りが匂って
くる。
「あう……ううっ……や、やめ、あっ……」
珊瑚は、うねる腰を止めることが出来なかった。
顔はもう真っ赤であり、こみ上げる性の歓喜で爆発しそうなのだ。
奈落はいったん愛撫をやめ、横になっている珊瑚を跨ぐようにして仁王立ちになった。
その股間には、ぐぐっと反り返った肉の凶器がそそり立っている。
「ああ……」
犯される、と珊瑚は思った。
あの赤黒い、見るからに固そうなもので女の粘膜を突き破られる。
恐ろしいと思う心と同時に、早くあれで埒をあけて欲しいという強い欲望もあった。
珊瑚の目が肉棒にいっているのを見て、奈落が嗤う。
「待たせたな、たんとくれてやるぞ」
「い……いや……」
珊瑚は震えた。
いかに身体が燃え盛ってはいるものの、目の前にある肉棒はあまりにもたくましい。
(お、大きい……)
心は戦慄しているものの、生唾が湧いてくるのを抑えられない。
珊瑚はごくりと喉を鳴らした。
実際は、奈落のもののサイズは常識はずれに大きなわけではない。
言ってみれば、弥勒とも大差ないであろう。
それでも珊瑚には、初めて奈落に犯された時の破瓜の苦痛や圧迫感が染みついている。
その記憶が、実物以上に奈落の肉棒を大きく見せている面もあった。
「い、入れないで……ああっ」
奈落はゆっくりと腰を落とし、少女の媚肉にペニスをあてがった。
そして何のためらいもなく、ぐっと腰を進める。
先端が秘裂に潜り込むと、さらに腰を送って太い亀頭部をも貫き通した。
「はあっ……くう、き、きつい……あ、むむ……許して、ああっ……」
珊瑚は頭を仰け反らせて喘いだ。
固く目を閉じているものの、瞼の裏には奈落の肉太な逸物が媚肉を突き通している情景が
浮かんでいる。
「はんんっ……あう、うんっ……きつい、あっ……うんっ……うんっ……」
奈落は無理せず少しずつ中へ送り込んだが、かえって珊瑚にはその大きさが充分に伝わってくる。
ぐっ、ぐっと少しずつ奥へ向けてねじ込まれるごとに、珊瑚の口からは「ううんっ」と苦しげな
呻きとも喘ぎともつかぬ声が出てくる。
奈落が腰を珊瑚に押しつけ、とうとう奥まで挿入し終わると珊瑚はぶるっと小さく痙攣までした。
(あ、あんな大きいのが奥まで……)
さっきまで見ていた巨大な肉塊が柔肉を引き裂いていると思うと、珊瑚の息苦しさは倍加する。
色好く上気した額には、うっすらと脂汗が浮いていた。
媚肉を異常なまでに押し広げられた苦痛で、その美貌が歪む。
それがまた奈落の加虐度を増していくのだ。
珊瑚の方は苦しいのか、肩で息をしている。
「ではいくぞ」
「いっ、いや、あああっ……」
奈落は腰を使い始めた。
さほど早くはないが、ぐいぐいと珊瑚を責め上げていく。
奥まで入れられているから、突かれると先が子宮にぶつかってしまう。
そのたびに珊瑚の胸がゆさゆさと揺れた。
「あっ、ううっ……う、動かないで……あ、あひっ……んむっ……うんっ……」
みっちりと埋め込まれたものが前後運動を始めると、珊瑚は苦しげに呻きだした。
突かれても引き抜かれても、媚肉の襞がペニスに引きちぎられそうになる。
奈落の淫虐は巧妙だった。
ピストンはゆっくりしていたが、前後運動だけでなく、媚肉自体を拡げるかのようにぐるぐると
円運動もしていた。
ただでさえ太すぎるものをくわえこまされている珊瑚は、さらに拡げられる感覚に気死しそうに
すらなる。
そして珊瑚がその責めに慣れてくると、今度は目一杯奥までペニスを挿入し、先っぽで子宮口を
刺激して珊瑚の情感を煽っていくのだ。
「ひっ、深いっ……こ、こんなの、いや……ああっ……う、うむっ……」
遅いが重々しい突き込みと、恥骨同士を擦り合わされる刺激を受け、珊瑚の媚肉は奈落の責めを
受け入れていく。
膣は野太い肉棒に絡みつき、貪欲なまでにそれを食い締めている。
「何が「いや」だ、こんなに締めつけていて。それ、おまえのスケベな汁もどんどん溢れてきて
いるぞ」
「いやっ……あ、いやあっ……い、いうっ……あ、んんんっ……」
奈落は腰を使いながら珊瑚に覆い被さっていく。
腰を突き込むとぶるぶる揺れる乳房を手にし、やわやわと揉み上げていった。
「あ……ああ……」
膣の、裂けそうな苦痛に比べ、胸は優しく愛撫される。
そのコントラストに珊瑚は戸惑い、そして酔っていった。
左胸は手でさすられ、指で摘まれ、柔らかくこね回される。
一方の右の乳房は、逆に口を使って強く吸われた。
ピンと立った乳首に吸い付かれ、きゅうっと音がするくらいに吸引される。
その刺激に鋭い痛みが走ったが、すぐに強い電流を流されたような痺れに変わる。
今度は左の乳房を強く吸われ、右胸をゆっくりと揉みしだかれた。
珊瑚の喘ぎが絶え絶えになる頃には、彼女の両の乳房は、奈落の押印したキスマークがあちこち
についていた。
「あ、あは……あうう……」
珊瑚の声音が明らかに変化してきていた。
膣が満ちる充実感、内部を抉られる心地よさに、彼女は逆らう意志が摩滅した。
むしろすがりたい、甘えたいとすら思えてきた。
彼女の表情や声の変化、そして突き込む媚肉のざわめきから、奈落は珊瑚が溶け崩れてきた
ことを知る。
「くく、どうした、抵抗する気にもならんか」
「いや、いやあ……」
「いやらしい水音をたてて今さら何を拒む」
その言葉の通り、奈落が腰を突き上げると、珊瑚の膣から漏れ出ている愛液が弾け飛び、両者の
腰の間で飛沫となってあたりに飛んでいた。
「淫らな娘だ。どんなに嫌がっていても、こうして受け入れてしまえばすぐに身体に馴染むのだな。
いや、おまえはろくに拒みにしなかったか。救いがたい淫乱だな、きさま」
「そんな……ち、違、ああっ……」
言葉で追い込みながら、奈落は胸にも手を伸ばす。
粘っこくしこしこと揉んでいると、珊瑚は感極まったような呻き声を我慢できなくなる。
もう身体は肉欲でどろどろのはずだが、まだ堕ちきってはいない。
さすがに退治屋の末裔だけあって、今は精神力だけで耐えているようだが、それも時間の問題
だろう。
だが、あまり時間を掛けるわけにもいかなかった。
このまま珊瑚を犯し抜いて骨抜きにすることも可能かも知れない。
当初はそうしてもいいかと思ったが、今日はそこまでする気はなかった。
徹底的に凌辱して言いなりにするだけでは、珊瑚の反骨心はなかなか消えないだろう。
それ故、奈落は珊瑚を精神的にも屈服させるべく奸計を練っていた。
「ああ、あっ……んあっ……あ、あっ、くぅぅっ……」
以前とは違い、奈落の責めは穏やかな方だった。
この前は、珊瑚の肢体が壊れるのではないかというくらいきつい責めを受けたのだ。
なのに今は、ごく普通に彼女を抱いていた。
それでいて、自分の性欲のために抱いているという風でもない。
より珊瑚を焦らし、感じさせようとしているかのようだった。
珊瑚の肉体はその責めを受け入れ、すっかり奈落に身を任せていた。
珊瑚は絶望的な気持ちになる。
このまま続けられたら、間違いなく恥ずかしい姿を奈落に晒すことになる。
それだけは避けたいが、当然奈落の方は珊瑚をそこまで追い込み、自らが射精するまで満足
すまい。
奈落は本腰を入れて責め始めた。
腰の速度はそのままだが、浅深の動きはずっと大きくした。太い根元で裂けんばかりに膣の
入り口を拡げられ、奥では子宮が亀頭部に突き上げられ続ける。
奈落の繰り出す肉棒の淫らな動きで膣の襞がこそがれ、子宮にからまってどんどんと珊瑚の
情感を上へ上へと持ち上げていく。
「ああ……ああっ……だ、だめ、ああ、だめっ……く……あ、もう……もうっ」
「なんだもうか。そんなにいきたいか」
「い、いやっ……ああっ……」
もうすっかり奈落のペニスを思い出していた珊瑚の媚肉は、彼の突き込みに応じて蠢いていた。
その太いものに慣らされた媚肉は忙しなく煽動し、子宮が下降してくる。
襞は盛んに奈落の肉棒にへばりつき、うごめき、その先の行為を望んでいた。
奈落はそこで珊瑚の腰をぐっと引きつけ、深々と根元まで押し込んだ。
「はあああっっ……」
珊瑚は上気した顔をぶるぶると振った。
たくましいペニスを突き込まれた内部は、その熱に伝導されたかのように白く灼けた。
下がってきた子宮口を亀頭で抉られると声を出さずにいられないほどの快感が襲ってくる。
「はっ……ああっ……ううんっ……うあっ……ああっ……」
抱え込まれ、ゆっくりとだが深く突かれる腰が甘く痺れてきた。
その頃になると、珊瑚は無意識に腰を奈落に差し出していた。
より深く、より激しく責めてもらいたかった。
長大なもので刺し貫かれる腰をよじり、悶え泣き、喘ぎよがる。
奈落の腰使いに、珊瑚は泣きたくなるほどの愉悦にまみれていた。
頭のてっぺんから爪先まで、そして骨の髄まで奈落に犯されているような錯覚を覚えた。
「あ、ああ、もう……もう、だめっ……あ、あ、あ、ほ、ほんとにだめえっ……」
珊瑚は一気に駆け上り、女の絶頂をさらけ出して見せた。
ほぼ同時に奈落は珊瑚のもっとも深いところで欲望を噴出させた。
珊瑚は続けて絶頂に達し、全身を激しくしなわせて仰け反り、口を大きく開けて呻いた。
中に出されてしまった。
しかし珊瑚には、屈辱の中出しをされたことや妊娠の危険性よりも、最後までやってもらった
充実感の方が大きかった。
決して認めたくなかったが、肉体が奈落の行為に満足しきっている。
「……」
奈落は、激しく気をやった珊瑚を冷たく見下ろしていた。
感じさせられ気をやった美貌は薄紅に染まり、初産を終えたばかりの女のように美しかった。
太いペニスを飲み込まされてよほど息苦しかったのだろう、激しく胸を上下させて乳房を
揺らしていた。
彼女のしどけない姿態を目の当たりにした奈落は続けて犯したくなったが、焦る必要はないと
思い直した。
珊瑚の蜜と己の白濁液でどろどろになった肉棒を引き抜くと、珊瑚は「ううっ」と呻いた。
まだ硬いままで、名残惜しそうに膣の襞がへばりついているのを無理に抜いたのだ。
そして、まだ珊瑚が半分意識を失っている状態なのを確かめて、剥き出しになっている
なめらかな腹に、もう一本、鍼を刺し入れた。
「……あ……」
珊瑚がうっすらと目を開けると、自分を犯した憎い男は着物を着始めていた。
それに気づくと、奈落は皮肉そうに唇を曲げて言った。
「なんだその物欲しそうな顔は。もっと抱いて欲しかったのか」
「……」
珊瑚は悔しそうに顔を伏せた。
そんなに切なそうな顔をしていたのかと思うと、羞恥と屈辱で死にたくなる。
だがその反面、どうして一回きりなのかと思っていたのも確かだった。
あの時の奈落はしつこく念入りに珊瑚を犯したのだ。
珊瑚が泣いて許しを乞うても、何度も何度も貫き、こねくり、最後には大量に射精してきた。
自分がそれを期待していたのかも知れないと思うと、珊瑚は消えてなくなりたくなる。
「あ……?」
その時、奈落は珊瑚が思いもよらぬ行動をとった。
剥ぎ取った珊瑚の下着と着物を放って寄こしたのである。
ふわりと珊瑚の裸身に着物が舞い落ちる。
「どうした、さっさと着ろ」
「……」
「不思議そうな顔だな。帰っていいと言ってるんだ、不服か?」
珊瑚は呆気にとられていた。
あまりにもあっさりし過ぎている。
いや、たった一度とはいえ、充分に辱められたとは思う。
しかしあの時の奈落は一回きりということなどなかった。
今回もまた監禁されて散々犯され、何か取引の道具にでもされるのだろうと恐れていたのだ。
なのに凌辱も一度きり、しかもこのまま帰れという。
「……もっと抱いて欲しいか?」
「……!!」
「……俺はしばらくここにいる。また抱いて欲しくなったら遠慮なく来るがいい」
「ふ、ふざけないで!!」
珊瑚はそう叫ぶと立ち上がり、着物を掴んで小屋から走り去っていった。
それを見送る奈落は薄笑いを浮かべていた。
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