珊瑚は、建て付けの悪い戸板を無理矢理開け放ち、下がっていた筵を乱暴に捲り上げた。
中には老医師はひとりで煙管を吹かしていた。
その落ち着き払った様子を見ると、少女の怒りがいや増した。

「きさま……、奈落っ!!」
「……ずいぶんと乱暴な娘さんじゃな。他人の家に入る時は声くらい……」
「うるさいっ!」
「……」
「きさま、よくもぬけぬけと……。変装をとれっ!」
「……いいだろう」

老医師−奈落は立ち上がって珊瑚を迎えた。
すい、と顔を撫でると、覆っていたゴム状のものがどろどろと溶け崩れた。
老人の顔が流れ落ちると、若々しい奈落の貌が現れてきた。

「覚悟しろ、奈落! 今日という今日は……うっ!?」

背中の飛来骨を掴んだ珊瑚の啖呵が途絶えた。
奈落が彼女の予想外の行動をとったからだ。
強力な武器を持った宿敵に凄まれた奈落は、構えるでもなくすっくと彼女の前に突っ立った
だけだ。
そして単帯を外し、着物を脱ぎ捨てたのである。
珊瑚は震える声で言った。

「な、なにをしている……」

男は、少女の声を無視してさらに脱いだ。
下帯をほどき、とうとう全裸になったのだ。
珊瑚は少し貌を赤らめ、視線を逸らせた。
奈落の股間には、ぐっとそり上がった男根がそびえていたのだ。
その先端は早くもカウパーが垂れており、亀頭部も膨らんでたくましさを強調していた。

少女は顔を染めて横を向いていた。
それは、そんなものは見たくないというより、つい凝視してしまいそうで怖かったからだ。

「ふふ、どうした珊瑚。これが欲しくてやってきたのだろうが」
「ち、違う! バカにするなっ、あたしはおまえを……」
「抱かれたくてわざわざ来たのだろう、無理をするな」
「ふ、ふざけるなっ!」
「ふざけてなどおらん」

奈落はゆっくりと少女に近づいて行った。
一歩一歩すすむごとに股間の肉棒がぶらぶらと揺れている。
珊瑚は固く目を閉じて見ないようにしていたが、瞼の裏に、奈落の大きなものが焼き付いている。
そして奈落が近づくごとに、猛烈な男臭さ、精臭が漂ってくるのは防ぎようがなかった。

「珊瑚」
「……」
「恐れることはない。さ、目を開けて俺を見るがいい」
「……」

声に誘われ、少女はうっすらと目を開けた。

「ひ……」

珊瑚の目に映ったのは、まさに凶器と呼びたくなるようなペニスだった。
隆々としたたくましさ。
見ただけで硬そうな、あの大物で貫かれたどうにかなってしまうのではないだろうか。

薄目だった珊瑚の目はいつしかぱっちりと開いている。
白い喉がごくりと動いていた。
もう目を逸らすことは出来そうにない。

武装した敵を前に無防備な裸になるという、奈落の常識はずれな戦法が功を奏しそうだった。
力が抜けた珊瑚の手から飛来骨が滑り落ち、虚しい音を立てて土間に転がったのだ。
奈落はさらに誘いをかけた。


       


「もっと素直になるのだ、珊瑚」
「……」
「いきたくともいけなかったのだろう」
「!!」
「弥勒に抱かれようと自らで慰めようと満足できなかったのだろう?」
「……」
「だが、俺ならおまえを満足させてやれる。存分に気をやらせてやる」
「……」
「我慢するな。もうおまえの服も下帯も、淫らな女汁で汚れているのだろう? 男が、この
俺が欲しいのだろうが」
「……」
「遠慮することはない、いつでもおまえを極楽に連れていってやろう。さ、こっちへ来い」
「……」

もうどうにもならなかった。
珊瑚は奈落の声を心の深いところで聞き、それを受け入れた。
憎いとか、穢らわしいとかいう思いもなかった。
ふらふらと奈落に近づき、その前で止まった。
奈落が珊瑚を見下ろすと、少女は力が抜けたように彼の身体にしなだれかかっていくのだった。

* - * - * - * - * - * - * - *

「……」

ふと珊瑚が気づくと、いつのまにか戦闘服を脱がされていた。
かごめからもらった上下の下着もとっている。
珊瑚はいつ脱がされたのかわからなかった。
奈落の男根を見、見下ろされているその顔を見、意識が失せたようにその胸に倒れ込んでいった。

記憶にあるのはそこまでだ。
その間に奈落に脱がされたのかも知れぬ。
しかし、下着は破かれてもおらず脱ぎ捨てられている。
奈落だったら破り捨てるのではないだろうか。
しかも戦闘服もきちんと脱いであった。
あれは他人が脱がせるのはかなり面倒なはずだ。

では珊瑚自身がすすんで脱衣したのだろうか。
そんなことがあるはずはないと思いたかったが、彼女自身、自信がなかった。

「……」

仰向けになった珊瑚のなめらかな腹部を、奈落は撫でていた。
そういえば、そこに打たれた鍼はまだそのままになっているはずだ。
冷え性治癒のためと言っていたが、今考えればあれがこの状態の原因に違いない。
珊瑚がそう思っていると、奈落が何やら呪文を唱え始めた。

すると、埋め込まれていた五本のうちの一本がついと頭を出した。
奈落はそれを指先でつまみ、すっと抜き去った。
その時感じた微かな痛みで珊瑚ははっきり覚醒した。
奈落はその珊瑚の肩をつかむと、そのままくるりと裏返した。

「あっ……」

うつぶせにされた珊瑚は、軽く尻を叩かれた。
膝立ちになっている奈落が腕組みをして命令した。

「四つん這いになれ、珊瑚。けもののように盛りのついた女に相応しく、犬の格好で犯して
やろう」
「……」

屈辱的な命令だが、珊瑚は黙って従った。
ふらふらと腕を立て、膝を立てた。
奈落に指示されるまでもなく、背中を少し沈めて腰を高く捧げた。
尻をぐっと男に突き出す格好である。
女性にとって羞恥きわまる姿勢のはずだが、その時の珊瑚はそうするのが当たり前だと思って
いた。

ぷりんと丸い尻を奈落はじっくり観察する。
おののくように震えている媚肉は、もう十二分に潤っていた。
白く半透明な蜜が、少女のすべすべした内腿にまで伝っている。
奈落は珊瑚の尻を撫でながら呆れたように言った。

「なんだ、もうこんなになってるぞ。とんだ破廉恥女だ。前戯など必要なさそうだな」
「……」

蔑まれた美少女は、自分が淫らである指摘をされると、顔を布団に押しつけて羞恥に悶えた。

奈落の両手が股間に伸び、尻を開いた。
ふるふると震えているのを押さえ込み、右手を差し込む。
そして器用に人差し指と中指を使って、少女の媚肉を割った。
ぴりっと裂けそうなくらいに大きく口を開けさせられ、そこへ奈落の大きなものを押し当てら
れた。

「はっ、ああ……」

熱い。
そして硬かった。
まるで心棒でも入っているのではないかというくらいの硬度だ。
一気に突き通されることを覚悟して珊瑚が息を詰めて待っていると、それを見透かすかのように
奈落はゆっくりと貫通させていった。

「ぐっ……ううっ……」

大きな球を飲み込んだように見える太い亀頭部が膣に潜り込む時、その擦過感に少女は苦痛と
同時に激烈な快さを得ていた。
男性のたくましさを感じる瞬間であった。
これが正常位だったなら、珊瑚は奈落の胸に頬を擦り寄せていたかも知れない。

ぐぐっ、ぐぐっと奈落は珊瑚の膣に肉棒を押し込んでいった。
その量感に、少女は思わず腰を揺すり立てる。

「ああ、ああっ……」

奈落は焦らず、徐々に珊瑚の中に沈めていく。
半分ほど突き通した時、珊瑚はたまらないといった風に腰を震わせた。
膣の襞がざわめき立ち、侵入してくる奈落のペニスを歓迎している。
それが恥ずかしくてしかたがなかったが、珊瑚には沸き立ってくる肉の熱さをどうすることも
出来なかった。

それと同時に、急激にあの感覚が甦ってきた。
かあっと頭の中が熱くなる。
腰の中心部が燃える。
いきそうになってきたのである。
だが、ここまでは自慰した時も、弥勒と寝た時もあった。
そこでいつも終わってしまったのだ。
しかし、今は何かが違っている気がした。

奈落は珊瑚の腰を掴み、ぐいぐいと奥へと進めている。
狭い膣道が太いものでいっぱいになってきている。
蜜で潤っているから先へ潜り込んでいけるが、そうでなかったら裂けてしまいそうである。
徐々に高まる圧迫感に、息が詰まりそうになる珊瑚は、その瞬間が来たことを察知した。
奈落が腰のくびれを掴み、ぐぐっと根元まで突き込んだのだ。
硬くて熱い先端部が珊瑚の子宮口を小突き上げた時、珊瑚は女の悦びを炸裂させ、ぐうっと
背中を仰け反らせて叫んだ。

「うっはあああっっ!!」

がくん、がくんと腰を揺さぶり、身体中がとろけたような錯覚に陥った。
それでいてぶるぶると小刻みに痙攣している。
がくりと珊瑚は肘を折り、顔を布団に突っ伏した。

(い……いっちゃった……)

奈落が自分の腰も使って、もっと奥まで埋め込もうとしていた。
腰を珊瑚の腰に擦りつけ、ふたりの陰毛が絡み合う。

「なんだ、もういったのか。よほどの好き者だな、珊瑚。入れられただけで気をやるとは」
「……」

珊瑚は答えなかった。
いや、奈落の言葉さえ聞こえなかった。

(いけた……。入れられただけなのに、いっちゃった……。ど、どうして……。それも……、
それも奈落に犯されたというのに……)

奈落は満足げに嗤っている。
うまくいった。

あの時、奈落が珊瑚の腹部に打った鍼は、彼女も見抜いた通り、冷え性とは無関係であった。
主に、女性ホルモンや卵巣ホルモンの分泌を促し、分泌液つまり愛液の分泌を促進させるツボ
だった。
気穴やりょう穴と呼ばれているポイントだ。
血行もよくなる。
ここを打たれることにより、珊瑚はもやもやとした欲望に囚われ、普段とは比べものにならない
くらいに性的欲求が起こってしまったのだ。
無論、奈落が怪しげな術を使って、性本能そのものを刺激したことも大きな要因である。

しかも、珊瑚に施した姦計はそれだけでなかった。
性感および性欲向上のツボに打っただけでなく、同時に相反するポイントにも打ったのだ。

これは東洋医学にはなく、奈落本人が開発したツボだが、「絶頂に達することが出来ない」
ポイントだった。
いくことが出来ないのである。
いくら性感を煽られ、快楽を与えられ続けても、決してその頂点を極めることが出来ないのだ。
弥勒に何度も愛され、何度となく自慰しても気をやれなかった原因がそこにある。
性感を高め、肉の疼きが収まらないツボとともに、気をやれないためのツボにも鍼を打った
ところに奈落の残虐性があった。
さっき奈落が抜いた一本がそのツボに打った鍼だったのだ。
それを抜いてやることで、珊瑚は正常に気をやることが出来たわけだ。

しかし珊瑚にはそんなことはわからない。
弥勒に抱かれ、それだけでは足らず普段はしないオナニーまでもいけなかった。
気も狂いそうな焦燥に駆られていたはずだ。
そこを奈落に犯されると、ただ挿入されただけでいきなり絶頂まで導かれてしまった。

奈落には珊瑚の当惑と葛藤が手に取るようにわかる。
父を殺し、弟を拐かした憎い仇。
しかも、弥勒やかごめ、犬夜叉という仲間たちの共通の敵でもあるのだ。
その奈落に「俺ならおまえをいかせることが出来る」と断言され、事実その通りになって
しまったのだ。
どうすればいいのか、と悩む珊瑚を嘲笑うかのように、奈落は腰を揺すり始めた。

「ああっ……」

いったばかりの火照った子宮を、さらに突かれ続ける。
奈落は珊瑚の背中に覆い被さり、腰を密着させた。
そして腕を伸ばすと、両手を拡げてゆさゆさ揺れている若い乳房を揉み始めた。

「ああ……あっ……ううっ……はあっ……」

もう汗で濡れ始めていた珊瑚の胸肉をぎゅうぎゅうと絞り上げた。
その強い刺激に珊瑚は気が虚ろになってくる。
夕べの弥勒の愛撫が焦れったく、物足りなく思った。
固くしこっている乳房を揉みほぐし、その上にある充血した乳首を捻りとるくらい強く
こね回して欲しかった。

奈落はその通りに胸を弄んだ。
全身がどんどんと熱くなってくる。
ねばっこい汗が滲み出るのと同時に、膣からは恥ずかしい粘液が飛沫出てあちこちに染みを
作っていた。

「あっ、くくっ……い、いや、こんな格好……いやあ!」

奥まで差し込まれながらも、珊瑚は呻き、抗った。
少女はこのスタイルがイヤだった。
奈落が言った通り、獣の姿勢だったからだ。
そのような姿で犯され身悶えるというのは、あさましい欲望をさらけ出されるようでつらかった。
その通りケダモノのような性交を演じることが屈辱であった。
普通の姿勢、つまり正常位で犯される時とは明らかに感覚が異なる。
どちらがどう、ということもなかったが、後背から抱かれる方がより深い挿入感を得られたし、
自分の自由が利かない分、いかにも「犯されている」という感じが強まった。

羞恥に苦悩し、相反するような快楽に呻く珊瑚を奈落はさらに追い込む。
彼女の腰に手を回し、力強く腰を打ち込み始めたのだ。
そうされて珊瑚は改めて覚った。
正常位や騎乗位の時よりも、遙かに男性にとって腰が使いやすいのだ。
ストロークも大きく、しかも早いピストン運動が珊瑚の膣を蹂躙した。

絶え間なく子宮口まで届かされ、そこからジンジンとした痺れが肉をとろかせていく。
激しい律動が緩んだが、珊瑚がホッとする間もなく、奈落は腰の前に手を回して性感の集中した
肉芽を指でつまんだ。

「ひあああっっ!!」

たまらず、少女は頭から突き抜けそうな絶叫を上げた。
奈落はそこを指でいびりながら、蔑んだように言った。

「ふん、呆れた娘だな。こんなところまで腫らしおって」
「……」

だめだ。
否定できないのだ。
クリトリスも乳首も、まるで責めている奈落のペニスのように充血し、腫れ上がっていた。
弥勒に抱かれ、自慰までしてもいけなかったのに、奈落の手にかかった途端、あっさりと
言っていいくらい簡単に上り詰めてしまった。
珊瑚以上に珊瑚の身体を知り尽くしているのは奈落ではないのか、という不安、もう自分の
肉体は奈落のものになってしまったのかも知れないという絶望が少女を責め苛む。
その類い希な美少女を責める男に躊躇はなく、奈落は珊瑚の腰を両手で抱え込むようにすると、
出来るだけ下から上へしゃくり上げるように腰を振るった。

「ふっ、ああ! ……あっ……ひぃっ……あ、ああうっ……」

腰の動きに合わせ、白い乳房がぶらんぶらんと大きく揺れ動く。
子宮を突き上げられるごとに口を割っていた呻き声も、甘いような切ないような喘ぎに成り
代わる。
珊瑚はたちまち追い上げられた。

(あっ……ああっ……、だ、だめ……あ、ま、また、いきそうっ……)

珊瑚の腰がぷるぷると震えてくると、奈落はぴたりと動きを止めた。
ぐらぐら大きく揺らされていた少女の裸身も動きを止め、ぐったりと力が抜ける。
珊瑚は荒く息をつき、背中には汗が滴っていた。

「……」

動きが止まったことにようやく気づいた珊瑚は、恐る恐る背後の奈落を盗み見た。
男が真っ直ぐ珊瑚を見つめていたので、彼女は慌てて前に向き直った。

少女は必死になって自分の肉体と戦っていた。
律動こそ止まったものの、その花園には醜くも硬い男根が埋め込まれたままなのだ。
それでいて、珊瑚は性感アップの鍼を打たれた状態だ。
ジリジリと弱火で炙られているようなものである。

「あっ」と思ったときは遅かった。
腰が勝手にうねくり出したのである。
恥ずかしいと思う間もなく、珊瑚の豊かに張った腰は、奈落の肉棒をくわえ込んだまま
前後に動き始めた。
奈落は、当然のように彼女の腰を押さえつけ、珊瑚の動きを止めた。

「あ……」

珊瑚は唇を噛んで、羞恥と悔しさに耐えた。
そこを、奈落が誘いをかけるように囁く。

「どうだ珊瑚。俺が欲しいだろうが」
「……」
「オマンコに入った陰茎を思い切り動かして欲しいだろう。激しく抜き差しして欲しいの
だろう」
「……」

それを言ったらおしまいだという思いが彼女にはあった。
ここまでなら、まだ「強姦された」で済む。
しかし自分から行為を要求したら、自ら進んで相手のものになったと証明するようなものだ。
奈落は唇の端を僅かに上げて呟いた。

「……まあいい。今日はこんなところか」
「……」
「いずれおまえ自身の口から求めさせてやる。今回は勘弁してやろう」
「あ、ああっ!!」

胎内にすべてが埋まっていた男根を、円を描くように動かされ、膣を拡げられると、珊瑚は
我慢できずに大きく喘いだ。
今度は奈落も強く突き込むだけでなく、上下左右そして前後にと緩急をつけた動きを見せ、
彼女の口から艶やかな呻き声を絞り出していく。
同時に、珊瑚の膣も、やんわり包んだかと思うときゅっと強く締め上げるような、強弱を
つけて奈落のペニスを誘惑していった。

「ああ……ああ! うっ、あうう……あ、いっ……ん、んくくっ……あ、はあっ……」

求めるような声こそ出さなかったが、もう珊瑚も自分から腰を振ることに躊躇はなくなって
いた。
どう腰を動かせば、より大きな快感につながるのか、身体がわかっているようだった。
奈落が腰を右に動かせば珊瑚は左へ。
奥へと突く時は誘い込むように襞で覆い、引き抜こうとしたらきゅっと締め上げた。
彼の硬い肉棒との摩擦を愉しむかのように、少女の裸身はうねくっていた。

「くっ……」

積極的になり始めた珊瑚の反応に、奈落も腰に熱い射精感を得てきていた。
少女のすすり泣くような喘ぎ声に応えるかのように、激しく腰を叩きつけていく。
そのたびに、珊瑚の丸く柔らかい尻が奈落のたくましい腰に押し潰され、淫らに形を変えて
いく。
そして尻たぶをぐっと開くと、ぐぐっと腰を限界まで押しつけた。
それまで子宮口を小突き続けていた亀頭部が、一気に子宮内に潜り込もうとするかのような
動きに、珊瑚はぐぅんと背を反らせた。

「んはあっっ、ああ、それっ……だ、だめぇぇっ!!」

珊瑚は子宮口を刺激されるか、子宮そのものを押し上げられるような突き込みに格別弱いと
いうことを知り抜いた奈落の責めだった。
子宮の入り口を常に擦られていると、歓喜の声が少女の口から噴き上がる。

「んんあっ……ひっ……うあああっ、だ、だめ、ああっっ!」

なぜこんなにもすごい快感が来るのだろう。
敵に手込めにされ、凌辱されているというのに、どうしてこんなに強い愉悦を得ているのだろ
うか。
鍼のことも、奈落が珊瑚の肉体を知り尽くしていることも忘れた。
ただただ、この男のセックスには敵いそうもないということだけを認識していた。

一方、何度も何度も突き上げている奈落の方も、むず痒い射精感がこみ上げてきていた。
珊瑚を追い上げては引き下げ、なかなかいかせないで、彼女の方から「いかせて」と泣いて
頼むようになるまで焦らすかとも思ったが、奈落自身も珊瑚の締め付けでいきそうになっている。
それに、焦らしも良いが、何度も膣内に射精してやって、珊瑚の肉体は誰のものなのかはっきり
とわからせるのも良いと思った。

「あっ……あああっ……」

珊瑚は、責める奈落の腰の動きがそれまでと違ってきていることを察知した。
彼に何度も犯された時の記憶が甦る。
これは射精の前兆に違いない。
それまで余裕を持ったような、心憎いような突き込みだったのが、自分勝手に突き上げてきて
いる。
しかし、珊瑚はそれとわかったのに、敢えて嫌がる素振りを出さなかった。
身体が奈落を受け入れ始めているのだ。

「むっ」

奈落は一声呻くと、珊瑚より一歩先に達した。
亀頭部から溢れ出ようとしていた精液を押さえ込むように、珊瑚の膣襞が収縮する。
それを突き破るかのように、奈落の精は一気に珊瑚の胎内になだれ込んでいった。

「あああ!!」

その瞬間、珊瑚は激しく全身を揺さぶり、背中の正中線に溜まっていた汗が周囲に乱れ飛んだ。
強烈な絶頂感だった。
それが収まる前に、少女はもう一度達していた。
奈落のどろどろした熱い濁液が彼女の胎内に充満したからである。
精液を流し込まれる感覚だけで気をやる美少女に、奈落は大きく満足した。

「あう……」

まだ硬さの残った肉棒を膣から引き抜くと、珊瑚は尻を小さく痙攣させて呻いた。
そのペニスもまだびくびく震えており、小さな尿道口から白い汁がぽたぽたと落ちているの
だった。

* - * - * - * - * - * - * - *

弥勒、犬夜叉、そしてかごめの三名は、全速力で隣村へ向かっていた。
戦闘服を着込んで街道を走り抜けていった珊瑚を、数名の村人が目撃していた。
珊瑚の様子や、弥勒の想像から考えるに、彼女がおかしくなったのは例の医師のもとへ訪れて
かららしい。
彼女自身は、ならず者どもに襲われたようなことを言っていたが、いかに負傷していたとは
いえ、珊瑚ともあろうものがそう簡単に野盗ごときの手にかかるだろうか。
そうではなく、隣村の医者というのが食わせ物で、珊瑚に怪しげな術でも施したのではなか
ろうか。

誰からということもなくそういう結論に達したかごめたちは、大急ぎで珊瑚のもとへ向かって
いった。
無論、思い過ごしで医師は無関係ということもある。
しかし、珊瑚が怒りの形相でそちらへ行ったらしいのは事実だ。
とにかく、行くだけ行かねばならない。
かごめは犬夜叉の上に乗り、珊瑚の無事を祈った。
そのすぐ後ろでは、弥勒が雲母に跨っていた。
こうなっては、珊瑚の居所は犬夜叉の鼻と雲母しかないのだ。

「!」

かごめを乗せた犬夜叉が急停止した。
慌てて弥勒も止まる。

「どうしました、かごめさま……!!」

目の前に仇敵がいた。
もう犬夜叉は鉄砕刃を抜き放ち、殺気でみなぎっている。
弥勒もその姿を認めて呻いた。

「きさま……、神楽……」
「ひさしぶりじゃないか、おまえたち。半妖に役立たずの小娘、それに破戒坊主。おや、もう
ひとりのお転婆はどうしたい?」
「とぼけんなあっ!!」

一声吠えた犬夜叉が神楽に襲いかかっていった。

* - * - * - * - * - * - * - *

「や……も、もう、いやあ……あああ……」

珊瑚は仰向けのまま、奈落の上にのっかっていた。
騎乗位からそのまま仰向け状態で男の上に寝そべった格好である。
騎乗位にさせたのではなく、珊瑚を後ろから貫いたまま後背座位となり、さらに奈落も仰向けに
寝て、珊瑚を腹の上に乗せたのだ。

奈落はメリハリをつけて珊瑚を責めるつもりだったが、あまりあれこれさせるのではなく、
日ごとにテーマを決めて集中的に責めていく手法を執った。
今日は「バック」である。
互いの顔を見ることなく、責め続けられる。
ただ性器のみを結合させ、「おまえなど膣さえあればいいのだ」と珊瑚に思わせるためだ。

珊瑚は、背中の方から伸びてくる男の手による愛撫に苦悶した。
背中に奈落の体温を直接感じていた。
胸の鼓動から男らしい腹筋の筋まで、そのなだらかな背中で受け止めている。
奈落の手が、盛り上がった乳房の先っぽをつまみ、擦っている。
もう片方の手は、挿入されたままの秘裂をいじられていた。

「はあああっ……ううっ……いっ……ああ……」

たまらなかった。
見えない相手から手だけ伸びてきて敏感な箇所を嬲られている。
それでいて男の匂いや体温は感じることが出来た。
時折、長い舌まで伸びてきて、珊瑚の桜色の耳たぶやうなじを舐め上げていた。

珊瑚は、またしても訪れる新たな快楽に呻いた。
今日も、もう二度、後ろから犯されていたが、この体位は初めてだ。
肉棒が擦り上げる膣襞の場所も、挿入の角度も、そして抉られる深さまで違う。
次から次へと教え込まれる性の官能に、珊瑚の心は揺さぶられる。
美少女の動揺がわかるのか、奈落はにやりと嗤うと、彼女の首の後ろを押した。

「あっ」

ぐいと首を起こされると、目前にあったのは自分の乳房であり股間である。
そして、ぬっ、ぬっとぬめった音を立てて肉棒が出入りしている自分の膣が丸見えだった。

「や……こんなの、やあっ……」

嫌がって顔を伏せようとする珊瑚の頭を両手で押さえ、無理矢理正面を向かせた。
ならばと少女は目をつむった。
そんな少女を奈落は許さず、右手で頭を抑えたまま、左手で珊瑚の腿を抓った。

「痛っ……!」
「だったら見るんだ。おまえのオマンコに俺のが出入りしているさまをな」
「いや、いやっ……い、痛いっ」

奈落は珊瑚が顔を逸らすたびに、ぎゅうっと太腿を抓り上げた。
つねった赤い跡が二箇所、三箇所と増えていくうちに、珊瑚は諦めたのか、無理強いさせられる
ままに前を見た。

淫らで破廉恥きわまる光景だった。
奈落の野太い逸物が、赤黒い姿を見え隠れさせて珊瑚の媚肉に差し込まれ、抜かれている。
肉棒は珊瑚の蜜を浴びててらてらと光っており、膣からも飛沫が飛んでいた。
これほど男に征服されていると思わされる眺めはなかった。

「うう……あっ、ああ……やあ……あっ……」

ずん、ずんと突かれ、そのたびに珊瑚の華奢な裸身が持ち上がる。
揺れる乳房は奈落の両手で鷲掴みにされ、揉み抜かれている。
もう珊瑚の腰や頭を手で押さえる必要はなかった。彼女は彼女の意志で腰をうねらせ、挿入
された奈落の肉棒を絞り上げていたのだ。
無意識のうちに珊瑚の腰が浮き上がる。
そしてすぐにどすんと奈落の腰の上に落ちてくる。
珊瑚自身が律動を始めてしまったのである。

(ああ……、こんな……ああ、おかしく……なるっ……また、いっちゃうう……)

声には出さず、つい口からよがり声が洩れそうになると決死の思いで口を噛みしめる。
それでも喘ぎ声までは抑えきれず、男をとろかす官能的な媚声を熱い吐息とともに吐き出すの
だった。

奈落も、もう二度も射精しているのに、そんな彼女の媚態に酔い始め、三度目の放出に向かって
突っ走っていた。
珊瑚が腰を下ろしてくると同時に、奈落は腰を突き上げて挿入を深くする。
完全に両者の行為が一致していた。

(だっ、だめっ……ああ、い、いく……だめ、いっちゃ……で、でも、いくっ……!)

珊瑚の腰が、まるで奈落の射精に合わせるかのように下に落ちた。
珊瑚の丸い尻の形を感じた瞬間、奈落も呻いて射精した。
もちろん、その瞬間に腰を思い切り突き上げていた。

「ううっ……」
「ああ!!」

「いく」とは言わなかったが、珊瑚の呻き声が絶頂のそれであったことは奈落にもわかった。
どどっと痛いほどの勢いで奈落の精液が珊瑚の子宮口にぶち当たった。
奈落が腰をしゃくり上げるごとに、びゅくびゅくと精液が珊瑚の胎内に出されていく。
三度目というのが信じられないくらいの量であった。

それまで身体を張り詰めさせて肉棒を締め上げ、精液を絞っていた珊瑚は、奈落の射精が収まると
がくりと力を抜いた。
それを合図に、奈落は無造作に珊瑚を上からどかした。
ごろりと横たわった少女は微動だにしなかった。

「おい」
「ああ……」

奈落は黒髪を掴んで珊瑚を起こした。
半身を起こされた美少女は、ぼんやりとした視線で男を見ていた。
奈落は言った。

「どうだ、満足したか」
「……」
「ならばもう帰れ」
「……」

奈落はそう言い捨てると珊瑚の髪を離した。
少女は横座りのまま、着替えようとも立ち上がろうとしもしなかった。

「……帰りたくないのか」
「……」

奈落の詰問に答えられなかった。
考えがまとまらないというのもあるが、そうかも知れないという気持ちもあったからだ。
奈落が追い打ちをかける。

「ならば俺と来るか」
「……おまえと……?」
「そうだ」

奈落は座っている珊瑚の正面に立った。

「どうせおまえはもう、俺以外の男では満足できん」
「……」
「俺ならおまえがイヤというほどいかせてやれる」
「……」
「……一緒に来い、珊瑚。来れば琥珀もいる」
「琥珀……」

ぼうとしたままだった少女の目に、一瞬光が甦った。

「そうだ。来れば琥珀にも会わせてやろう」
「……」
「だが忘れるな」
「……!!」

迫る奈落に、珊瑚は息を飲んだ。
彼は自分で男根をさすり、勃起させていたのだ。
もう四度目だというのに、そのたくましさにはいささかの変化もないように見えた。

「おまえは琥珀に会えるから俺についてくるのではない。俺の男根が恋しくて、何度もいかされ
たくて来るのだ。そうだな?」
「……」

珊瑚は虚ろなままの瞳を奈落の顔に向け、そして視線を下半身に移した。
奈落の手の中で、それは隆々として天を向いていた。
そこから目を逸らさず、珊瑚は消え入りそうな声で言った。

「……は……い」
「俺と来るのだな、仲間を捨てて」
「……」

三人の顔が珊瑚の頭の中を占めた。
それを突き放すように奈落の厳しい声が響いた。

「来い、珊瑚。ここを去る前に、もう一度犯ってやる」
「……」

珊瑚は無言で奈落の股間に顔を寄せていった。


       『空行く雲の如く、川流るる水の如し』 第四話「珊瑚艶情曼陀羅・前編」 完



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