「……」
今ひとつ珊瑚がなびかないことを、奈落は苦々しく思っていた。
珊瑚を言いなりにしてしまうつもりはない。
一度捕らえてしまったのだから、妖術や薬を使って一時的にでも完全に従わせてしまうことは
難しくない。
だが、魂を抜いてしまったような状態−傀儡になっても意味はないのだ。
彼が望むのは、彼女には彼女の意志があり、それでいて永劫の屈服であり、従属であった。
性的にかなり熟してきた珊瑚に対し、性の奥義を駆使して虜にすることも考えたが、どういう
わけかこれも一時的な効果しかない。
過去に利用してきた女どもと違い、珊瑚はその場では屈服し、奈落に征服されたことを口に
するのだが、すぐに醒めてしまうのである。
いやというほど犯し抜き、奈落の性奴となることを何度も口にさせたあと、試しに仕事に出した
ことがある。
しかし同行させた神楽によると、珊瑚は村人を殺すことは断固として拒んだようだ。
それだけでなく、神楽が人を斬り殺すのを邪魔までしたという。
彼女がそうする理由はいくつかある。
ひとつは珊瑚も人間だということである。
人を殺すためらいというものがある。
奈落から見れば馬鹿馬鹿しいことだが、人間とはそういうものらしい。
もうひとつ、まだ珊瑚が堕ちていないことだ。
これは彼女が奈落に屈服していないからというよりも、まだ仲間たちに未練があるのだろう。
犬夜叉どもだ。
犬夜叉はともかく、あのかごめとかいう小娘と、弥勒という坊主のせいだ。
特にあの坊主だ。
聞いたところによると、珊瑚と弥勒は恋仲らしい。
それだけに、余計に思いが残っているのだろう。
奈落は鼻を鳴らした。
「恋」だの「愛」だのバカらしい。
そんな曖昧なもの、形のないもの、あやふやなものに拘るから人間は脆いのだ。
彼の感情は、獣欲のためや征服欲のために女を襲い犯す妖怪どもに近い。
人間でも、己の強欲を満たすために強盗をはたらき、女を犯し、他人を殺める野盗や野伏の心情
の方がよほど理解できる。
もともと奈落発生の要因からして、野盗の鬼蜘蛛が瀕死の自分を看病する桔梗に恋慕したこと
から発している。
徹頭徹尾、自分の欲で動いているのである。
だからこそ奈落は珊瑚を欲しており、また反面、憎くも思っている。
正直なところ、奈落自身、なぜこれほどあの娘に拘泥し、欲しているのかよくわかっていない。
単に敵なら殺してしまえばよい。
もし捕らえたのが犬夜叉なりかごめなりであれば、利用価値がないとなればためらわず殺して
いただろう。
どうして珊瑚に対し、そういう感情にならないのかわからなかったのだ。
奈落が苛ついていたのは珊瑚の態度のせいだけではなく、はっきりしない自分の感情のせいで
もあった。
珊瑚のウィークポイントは弟と仲間たちだ。
弟は奈落の手にある。
始末をつけるべきは犬夜叉どもであった。
「弥勒、か……」
右手のひらに、異空へつながる風穴を持っている怪僧。
敵手として厄介なだけでなく、珊瑚を奪うための大きな障害だった。
まずはあの坊主だ。
つい、と障子戸が開いた。
「……神楽か。どうした」
「連れて来たよ」
「そうか。よし行く」
* - * - * - * - * - *- * - *
「くっ……」
「ほら、暴れるんじゃないよ」
弥勒は荒縄でがっちりと縛り上げられていた。
咎人の如く、後ろ手高小手である。
足は胡座をかかされ、膝と足首で結われている。
弥勒はあの村で神楽を見つけ、いざなわれた。
罠の可能性もあった。
というより罠そのものだろう。
しかしこの機会を逃したら、珊瑚の手がかりはぷつりと途切れてしまう。
ここは討って出るしかなかった。
神楽にしても、弥勒が罠を承知で乗ってくるとわかっていたはずだ。
そして抱かれた。
弥勒も、神楽を抱く理由はどこにもない。
神楽の目的は弥勒を呼び出すことだろうから、ここで彼女の誘いを拒否しても問題はなかった
はずだ。
しかし僧は妖女を抱いた。
その上でここへやってきたのだ。
「きさま、珊瑚はどこだ!」
「おや、心配かい?」
「決まってるだろう」
「他人の心配してる場合じゃないだろうよ。ん? 来たようだよ、あんたのお姫さまが」
そう言われて耳を澄ませると、微かな足音が近づいてきた。
ふたりで、片方は力強い男の歩き方、もうひとりは無理に引きずられているような感じだった。
弥勒がハッとして襖を見ると、ガラッと叩きつけるように戸が開いた。
途端に、女が投げ出された。
「ああっ」
「さ、珊瑚!」
「あっ、ほ、法師さまっ」
畳に投げ捨てられた珊瑚は弥勒の姿を見て、目に涙を浮かべた。
絶望の淵で仲間が、好いた男が迎えにきてくれた。
奈落の凄まじいほどの性戯に飲み込まれかけていた少女は喜色を取り戻した。
「法師さま、よく……」
「珊瑚、無事ですかっ」
「おっと、動くんじゃないよ」
弥勒が、縛られた身体で必死に珊瑚にすり寄ろうとする。
それを神楽が足で押さえつけた。
法師を踏みつけながら神楽が聞いた。
「で? どうすんだい、こいつら」
「……おまえはその坊主を押さえていろ」
奈落は少女の髪を摘んで言った。
弥勒の名を呼んで泣き叫ぶ珊瑚が何となく面白くなかった奈落は、いきなり少女の頬を叩いた。
「あっ……」
「何をする!」
張り飛ばされて珊瑚が踞ると、弥勒がカッとしたように叫んだ。
奈落は、その弥勒を冷たい目で眺め下ろし、「ふん」と鼻を鳴らす。
そして、転がっている珊瑚の着物の胸元を両手で掴むと、引き裂くように一気に剥いだ。
「いやあ!!」
弥勒が呆気にとられるほどに、奈落は少女を手際よく裸に剥いていった。
着物をはだけさせ、蓑虫を殻から抜き取るように剥ぎ取ると、肌着にブラジャー、ショーツも
引き裂いた。
「あ……ああ……」
あっというまに丸裸にされた珊瑚は、その身を縮込ませて震えた。
弥勒に見られまいと、座り込んで前屈になり、両肩を抱いた。
ここまでくれば、奈落が何を狙っているのかもうわかっている。
弥勒の前で凌辱するのだろう。
それによって珊瑚と弥勒、双方に諦めさせるつもりなのだ。
「い、いや、こんな……」
珊瑚は足こそ自由だが、後ろ手に縛られ、そのまま胡座をかいた奈落の上に後ろ向きで座らさ
れた。
奈落は珊瑚の胸を掴み、ぐいぐいと自分の方に引き寄せていた。
男の厚い胸板が背中に感じられる。
これが奈落とふたりきりなら、その背中に触れるたくましい男の胸板を意識させられ、珊瑚も
ゆらゆらとふらついてくるところだが、あろうことか、目の前に愛する男がいるのだ。
弥勒の視線が自分の注がれていると思うといたたまれなくなり、珊瑚は盛んに身を捩って抗った。
「こんなのいやっ……ああ、法師さま、見ないで!」
「見るなと言われても無理な話よな、法師。惚れた女が目の前に素っ裸でいるのだ」
「見ないで!」
「くっ……」
珊瑚は泣き喚き、弥勒は口惜しさに歯噛みした。
羞恥で染まった裸身がうねくり、豊かに張った乳房が揺れる。
それを押さえるように、奈落の手が掴んでやわやわと揉んでいた。
見るに見られず、弥勒が顔を逸らすと神楽の厳しい声が飛んだ。
「ほら、どこ見てんだい! ちゃんと珊瑚を見るんだよっ」
神楽は弥勒の顎を掴んで、背けた顔を正面に向かせた。
法師も懸命になってその手を払おうと首を振るのだが、この細腕のどこにそんな力があるのか
と思うくらい、神楽の握力は強く、ビクともしなかった。
「法師、見えているか? そら、珊瑚の女陰だ」
奈落はそう言うと、珊瑚の股間に手をやった。
珊瑚の右脚に奈落の右脚を乗せられて固定され、左脚は左手で押さえ込まれた。
少女の股間は、ほぼ九〇度ほどの角度で開かれ、すらっと伸びた長い脚の付け根の中心付近に
淡くけぶった部分があった。
奈落は、開いた右手で美少女のそこを嬲っていく。
「いや、いやあああ!」
弥勒の前で犯されると知り、珊瑚は狂ったように抵抗した。
奈落の強靱な筋肉で押さえられているとはいえ、隙を見せれば逃げだしそうな勢いだ。
奈落はそんな抗いを余裕で受け止めながら、珊瑚の秘裂に沿って指先を這わせた。
弥勒を意識して激しく拒絶する珊瑚から性感を引き出すべく、奈落の指が蠢いていく。
早くもツンと立ちだした淫核を指で摘むと、くいくいと軽く引っ張り上げてやると、少女は
たまらず声を絞った。
「ああっ、いや、そこっ……あ、あ、さ、触らないで!」
「何が触らないで、だ。いつもここを嬲ってやると腰を振って悦ぶくせに」
「うそっ! ……ああ、嘘です、そんなの……法師さまあ……」
弥勒に泣いて言い訳するものの、クリトリスを責められていると声が震えてきてしまう。
指でつままれたクリットを、まだ剥けていない包皮の上から出すようにクリクリとこねり、
上下に動かしてやる。
「んんっ……」
珊瑚は何とか喘ぐのを我慢したものの、額に汗が浮いてくるのまでは止められない。
奈落の指がねっとりと蜜で濡れるまでいびられると、珊瑚は息絶え絶えになって太い息を吐いた。
すると今度は、いきなりつぷっとその指が膣内に入り込んだ。
「あう!」
一本だけだったが、突然だったのでつい喘いでしまった。
奈落は、珊瑚を責めながら弥勒の方を見ると、法師は心配とも興味ともつかぬ顔で少女を見つめ
ていた。
声もなく珊瑚を見守っていた弥勒に奈落が言った。
「見ているか、法師。それ、おまえが愛して止まぬ大事な部分だ、よく見るがいい」
そう言うと奈落は、珊瑚の媚肉に手をやり、指を器用に使って割れ目を左右に拡げて見せた。
ピンク色の肉層が幾重にも重なり、若い女体の神秘を見せつけていた。
そこは、柔らかい恥毛と言わず、花弁の周囲と言わず、しっとりと蜜に濡れ、露すら宿っている
有り様だった。
恥毛の下でひくひくと割れ目が蠢いているのは、弥勒の目線を感じているからだろうか。
珊瑚は顔を振りたくって叫んだ。
「やだ、やだ、こんなのっ!! ああ、見ないで法師さま、お願いっ……いやああっ」
若い法師は唇を噛んで顔を逸らそうとするものの、がっちりと妖女の手が顎にかかり、ぴくり
とも動かせない。
見てはならないと、今度は目をきつく閉じた。
それを見て奈落が嘲るように言った。
「臆病者めが。己の女がいたぶられているというのに何も出来ず、あまつさえ見届けること
すら出来んのか」
「やかましい、黙れ!」
法師が吠えた。
「こっ……この卑怯者! 毎度毎度こんなことばかり……恥ずかしくないのか、貴様っ」
「恥?」
奈落が嘲るような表情を浮かべた。
「恥ずかしいだと? 何が恥なのだ。俺は俺の目的のためにこうしている。目的のためなら何
でもやるのが俺の流儀だ。卑怯だの何だの言うのは、達成できなかった弱虫どもの言い訳に過
ぎぬ」
「……」
「それに、恥ずかしいのはおまえや珊瑚の方だろう。自分の女がこうして敵の男に好き放題され
ているのに手が出ないのはどこの誰だ?」
「……」
「珊瑚の方とて、一度は好いた男の前で嬲られ、恥ずかしい姿を晒さねばならんのだ」
「だ、だったらやめろ!」
「いいや、やめん。勘違いするな、珊瑚がこんな目に遭うのは貴様がだらしないからだ」
「く……くそぉっ……!」
「見るのがイヤなら、そこで卑怯者らしく目を閉じているがいい。だが、耳は塞げんだろう。
せいぜい珊瑚の喘ぐ艶声を聞くがよい」
愛液にまみれた指をいったんそこから離すと、いやがって捩る身体に合わせて揺れている乳房
に向けた。
美麗な乳房の外周をなぞり、さすっていく。
いつもの責め口だった。
何度もくすぐられるように繰り返されていくと、珊瑚の二の腕や肩口付近にざぁっと鳥肌が立
っていく。
乳房の下からすくい上げられ、まるで重みを計るように揉み上げられると、胸の奥からじんわり
と甘い痺れが伝わってくる。
「い、やあ……あっ……う……」
確実にツボを突いてくる奈落の責めに、珊瑚の声が詰まる。
ぷりぷりとした若い乳房に、奈落の大きな手がかぶさっていく。
よく動く指で揉み抜かれると、乳房は自在に形を変えて奈落の指の形に肉が食い込む。
何度も揉みほぐしても飽きることのない肉だった。そこを揉まれるごとに珊瑚の吐息が荒く、
かつ甘くなっていく。
「や……いやなの……ああ、ほ、法師さまの前で、こんな……ああ……」
珊瑚は不自由な身体をよじって逃げようとするのだが、奈落の手指が急所を責めてくると、その
腰がぶるっと震える。
左手で揉みしだかれる乳房の乳頭はもうコリコリしており、右手がいびる股間からは、はっきり
と粘った水音が聞こえてきた。
奈落は珊瑚の耳元でささやくように、それでいて弥勒にも聞こえるようはっきりと言った。
「どうだ珊瑚。この身体は誰のものなのか思い出したか?」
「やあっ……わ、私は法師さまの、ああっ……」
「嘘をつくな。ほれ、俺にいじられてこんな淫らな音を響かせているぞ」
「し、しないで! ああ、もう、いやあっ……」
肉体はもう奈落に委ね切っているが、珊瑚の強靱な精神力はまだ崩れていない。
それでも奈落は焦ることなく、少女の心と裸体を堕としめていく。
包皮から半分ほど顔を出していたクリトリスを押さえ、指で挟んでクリクリと上下運動してやる
と、珊瑚は固く噛みしめた唇から悲鳴と喘ぎを洩らしてしまう。
上気しきった顔を盛んに振りたくり、長い黒髪を乱した美少女は、凄絶なほどの色香を見せていた。
まだ弥勒を意識し、性の快楽に抗う珊瑚だったが、その媚肉は半開き状態で、とろみの強い愛液
がとろとろと零れて止まらない。
弥勒は見ていられなかった。
目を閉じ、首を振りながら叫んだ。
「く……やめろ、やめろっ」
やっと反応した若い僧を見て、奈落がニヤリとした。
「不粋なことを言うな。よく見てみろ、珊瑚の身体は大喜びで俺の責めを受け止めているぞ」
「嘘だ!」
「嘘だと思うならよく見るがいい。珊瑚の女陰は見事はほどに欲情している」
「き、きさまぁっ!」
弥勒が暴れて、縛った縄が軋む。
それを後ろから抱えるようにして押さえ込んだ神楽が妙な顔をした。
「ん?」
弥勒は両腕を後ろで高小手に、足は胡座縛りにされている。
神楽は左手で弥勒の首を抱え、右手で腿の辺りを押しつけていた。
あることに気づいた妖女は、くっくっと喉の奥で嗤いながら右手を股間に持っていった。
あらぬところを触れられた弥勒はビクッとして神楽を振り返った。
「何をする!」
振り向いた弥勒の顎を摘んで自分の方へ向けると、神楽は妖艶な声色で言った。
「何を今さら。あたしとあんたはもう他人じゃないじゃないか」
「!!」
奈落の指責めに我を忘れかけていた珊瑚は、それを訊いて驚いたように正面の僧を見た。
「法師さま……」
「おや、なんだいその顔は。嘘じゃないさ、ねえあんた。あんたからも言っておやりよ。敵の女
のあたしと寝た、ってさ」
「……」
「法師さまっ」
「うるさい娘だね、そうきゃんきゃん喚くんじゃないよ。大体、あんた他人のことをどうこう
言えるのかい。そうやってこの男の前で奈落に嬲られてるくせにさ」
「ああ……法師さま、ホントに……」
「珊瑚……」
見つめ合うふたりを見て、神楽が舌打ちした。
「ああ鬱陶しいね。あんた、こりゃなんだい」
「さ、触るな!」
神楽が袴の裾に手を突っ込むと、弥勒は慌てて避けようとした。
もちろん神楽は逃がさず、そのままそれを手にして嗤った。
「あっははははは。なんだい、なんだい、あんた。偉そうなこと言ってて、珊瑚が目の前で嬲ら
れてるのを見て興奮してんのかい」
「……」
「ほら珊瑚、あんたもよく見な。あんたの愛しい法師さまの逸物をさ」
「よ、よせっ!」
よく見ると、弥勒の袴の前が、見事に張っていた。
勃起していたのである。
妖女は、袴の上からそれを掴み、しごくように手を動かして言った。
「まったく、女が女なら男も男だね。自分の女がいいようにされてんのにチンポおっ立ててると
はね」
「うるさいっ、くそ、離せ!」
「遠慮しなさんな。珊瑚がいい気持ちになってるんだから、あんたにも味わわせてやるさ」
「や、やめろと言ってる、あ、よせっ!!」
弥勒の絶叫にも関わらず、神楽は袴の前をはだけさせた。
器用に手を動かして下着もとっていたらしく、はだけた部分から、見事に勃起した肉棒がさらけ
出されていた。
それを目にした珊瑚は顔を背けて泣き叫んだ。
「いやああああ……法師さまああ……」
「騒ぐな珊瑚。おい弥勒、きさまにいいものを見せてやる」
「こ、この上なにを……」
奈落は口に酷薄そうな笑みを浮かべたかと思うと、右手を珊瑚の股間に向けた。
しかし狙ったのは媚肉ではなく、そのすぐ下にある器官だった。
そこに触れられた珊瑚は、弥勒に性器を見せられたショックも消し飛び、絶叫した。
「そっ、そこ、いやあ!!」
膣から零れた蜜で濡れそぼっていたアヌスに、これも愛液で充分に湿らせた指を二本、いきなり
ぶち込んだのだ。
突然のことに叫んだ珊瑚は、せり上がって逃げようとしたが、奈落は左手でしっかり乳房を掴ん
で動かさない。
まだ完全にほぐされてはいない肛門だったが、柔軟性に富んだ珊瑚のそこは、いびつな形に広が
りながら奈落の指を飲み込んでいった。
「そこは、ああっ……そこはだめ! ああ、許してっ……あうっ、痛いっ……」
「痛いだと? 嘘をつくな、珊瑚。おまえ、ここを責められるのが好きだろうが」
「うそっ……ああ、そんなの嘘です……」
「嘘ではない。弥勒、知っていたか? 珊瑚はな、尻の穴が感じて感じて仕方がない女なのだ」
「違うっ……ち、違います、法師さまっ、ああ、痛いっ……」
珊瑚は泣きながら腰を振り、頭を振りたくった。
こんな浅ましい姿を弥勒に見られるのは耐えがたかった。
それでも、散々奈落によって覚え込まされた肛門性交の快感が身体に甦ってくる。
何度となく二本指を抜き差しされているうちに、珊瑚の中は爛れたように熱くなっていた。
奈落の指先に感じられる腸襞は収縮しており、肛門括約筋も指の動きに合わせるようにきゅっと
締まってきている。
ずぶっと腸内深くまでが指に抉られると、珊瑚は背を反らせてか細く喘いでいた。
肛門の襞がめくれるまで挿入を繰り返すと、奈落はおもむろに指を抜いた。
その瞬間、珊瑚は熱く呻き、極まったような声を洩らした。
奈落は勝ち誇ったように言った。
「どうだ大したものだろう、この娘の感じっぷりは」
「……」
「珊瑚はもう俺のものだ。きさまの前でこれだけ感じる姿を見せるのがその証拠だ」
「違う! てめえ、ふざけやがって……」
「ほう、違うというのか? ならこの娘は、俺だけでなく誰に犯されても感じるようなふしだら
な女だということか?」
「だまれと言っている!」
「あんたこそ静かにしなよ」
怒り狂った弥勒が、縛られたまま暴れようとするのを、神楽が抱え込んだ。
右手は法師の性器を掴んだままである。
ちらと神楽が奈落に目をやる。
奈落はうなずいて返事をした。
「もう、そろそろいいか、珊瑚」
「え……ああっ!?」
奈落は珊瑚を左手一本で楽々と持ち上げていた。
そして右手には、すでにギンギンになっていた己の性器が握られている。
まさか、この場で凌辱しようというのだろうか。
弥勒の目の前で犯される。
あってはならないことだった。
ジタバタと暴れる珊瑚の下半身に、時折、熱いものが触れた。
それが奈落の肉棒と知ると、珊瑚は絶望的な悲鳴を上げ続けるのだった。
法師の怨嗟の声と、美少女の悲鳴と哀願を心地よく聞きながら、半妖の男は胡座をかき、両手で
珊瑚の腰を掴んで持ち上げる。
「ひっ、いや! いやいやいやああああ……」
珊瑚は白い腿を割られたまま、奈落の膝の上に下ろされていく。
必死に臀部を揺すって狙いを外そうとするものの、屹立したペニスはその尻に当たり、珊瑚に
悲鳴を上げさせた。
もう秘部は濡れに濡れており、愛撫の必要もないくらいだ。
奈落はピンと立ったそこの真上に、珊瑚の腰を持ってきていた。
そのまま少しずつ少女の腰を落としていく。
熱いものが媚肉に触れ、珊瑚はそれこそ狂ったように泣き叫んだ。
「だめっ、絶対だめぇっ……! ああ、ホントにいやあっ……だ、だめ、ああっ」
奈落は、釣れたばかりの鮎のように暴れる珊瑚を抱えた。
なめらなか背中を自分の腹筋にあてがい、ぷりぷりした尻を自分の方にたぐり寄せている。
媚肉にペニスが含まれる感触に、珊瑚はそれこそ絶叫した。
「ああっ!? ひぃぃっ……いやあああ……!!」
弥勒の前で萎縮しているのか、いつもより多少膣が狭かったが、潤ったそこは挿入の妨げには
ならない。
むしろ心地よいきつさで奈落を満足させた。
嫌がって振りたくる尻の動きがかえって挿入を助けることとなり、奈落は珊瑚の中に深々と入
っていった。
硬くて長いものに粘膜を突き破られて、珊瑚をつんざくような悲鳴を上げた。
「あああっ……だめ、抜いてっ……お願い、抜いてぇぇっ……」
「く……」
弥勒は思わず目を伏せた。
とうとう奈落に貫かれた珊瑚をまともに見られなかった。
この状況でどうすることも出来ない自分に対する情けなさ、不甲斐なさに加え、ドロドロと
した黒い嫉妬のようなものまでわき上がり、若い僧の心は錐に刺されたように痛んだ。
珊瑚は、恥ずかしい姿を弥勒に見られる羞恥に涙し、見せつけられている弥勒の心情を思って
涙した。
そして、この後さらにエスカレートするであろう奈落の責めに、どこまでよがらず耐えきれる
だろうかという不安で押し潰されそうになる。
羞恥や屈辱が、実に呆気なく快楽に変化させられることは、奈落にいやというほど教え込まれ
ていた。
大きく開かされた股間の真ん中に、奈落の太いものが無理矢理ねじ込まれ、根元まで沈んでいた。
珊瑚は奈落を振り返り、涙声で懇願した。
「い、いやあ……お願い、抜いて」
「だめだ」
「そんな、お願いっ……あ、ああ、な、なんでもされるから……」
「……」
「どんなことをしてもかまわないから……こ、ここでだけは、法師さまの前でだけはいや……
許して、お願いっ」
「許さぬ。それ」
「ああっ……!!」
しっかりと珊瑚の腰を膝に乗せ、両手で腰を操りながら奈落は責めた。
座ったまま腰を使い、揺り動かして珊瑚の奥まで入っていく。
嫌がりながらも珊瑚のそこは、たっぷりの蜜を出しており、奈落の肉棒に絡みついてきていた。
死にそうな羞恥を感じさせられながらもその肢体は敏感な反応を見せ、膣は奈落のものを涎を
流して飲み込んでいた。
ゆっくりとした突き上げだったが、抜き差しを繰り返すごとに珊瑚の媚肉はどんどんと具合が
よくなっていく。
弥勒の前で責めているせいか適度がきつさが残り、それでいて愛液がほどよく分泌しており、
その感触が奈落を愉しませた。
奈落は出来るだけ深くまで貫き、珊瑚の媚肉を存分に味わった。
「ああっ……ああ……あ、あう……う、うむ……あはあっ……あっ……」
「さ、珊瑚……」
少女の声色が変わってきたことに、部屋の全員が気づいていた。
いやいやと振る顔は薄紅に染まり、腰はもぞもぞと蠢いてきている。
奈落に開発された性感は、どうにもならないところまで追い込まれていたのだ。
見せつけられる弥勒はたまらなかった。
今、珊瑚は、弥勒と正対するように犯されている。胡座をかいた奈落に腰を掴まれ、自在に
上下運動され、媚肉を突き刺されているのだ。
奈落は見せつけるように、ゆっくりと、しかし奥深くまで貫き、弥勒にピストン運動を誇示
して見せた。
弥勒は顔を背けるものの、神楽に顎を掴まれ無理矢理見せつけられる。
それでも目を閉じたが、珊瑚の熱い声は遠慮なく耳に入ってきた。
「いや、あうっ……も、もうやめ、ああっ……う、うんっ、深いっ……あ、そ、そんな、ああ
……」
珊瑚と奈落の粘っこい肉の絡みが目に浮かぶようだ。
酸鼻なまでの凌辱劇。
珊瑚はその媚肉に奈落の肉棒をくわえこまされ、否応なく感応させられていっているのだろう。
悔しそうに固く目をつむる弥勒を面白そうに見ていた神楽は、そのペニスを剥き出させ、ぐいぐい
としごきはじめていた。
「きさま、何をする!」
「何ってこたないだろ? いいことさ」
「ふざけるな、くっ……」
思わず神楽を睨みつけ、吠えた法師だったが、神楽の手から送り込まれる快楽に、尻がむず
むずしてきていた。
一回寝ただけで、もう彼の性感を覚えたのか、神楽のしなやかな指は的確に弥勒の肉茎を充血
させていった。
神楽は耳元で囁いた。
「ほら、目の前の珊瑚を見なよ」
「……」
「奈落に犯られて気持ち良さそうじゃないか。あんたも遠慮することはないさ」
「……くっ……」
神楽に誘導されるように、弥勒の目は犯される珊瑚に行った。
珊瑚はもはや自分の意志ではどうにもならないようで、縛り上げられた上半身をうねらせて喘
いでいた。
白い乳房を揺さぶられながら髪を振り乱し、腰を上下させられて貫かれている珊瑚は、息詰ま
るほどの官能を発散させていた。
奈落の太くて長いものが、ずるっ、ずるっと珊瑚の膣を激しく出入りしている様を見せつけら
れるのはたまらなかった。
「んん! ……んくっ……あ、あは……くぅあっ……やっ……ああっ……」
珊瑚は、奈落の上で割られた太腿をうねらせながら尻を揺さぶり、責める男の動きに合わせて
始めていた。
もう完全に奈落のペースに巻き込まれ、恥ずかしい喘ぎ声を洩らしながら、耐えかねたように
腰をうねらせていた。
悲鳴のように聞こえていた声は、愉悦を訴えたものにも聞こえた。
珊瑚の悩ましい喘ぎ声、妖しく蠢く痴態に反応し、弥勒の下半身も情けないほどに興奮し、
勃起していた。
神楽はそれを、かさにかかって責めあげ、しごいていく。
「くく、いやらしい男だよ、ホント。自分の女が犯されてんのを見て興奮してやがんのかい」
「……」
大声で叫び、否定しようにも、陰茎が意志に背いて屹立しているのを誤魔化しようがなかった。
盛んにペニスをしごく神楽の右手にも、弥勒の先走り汁が降りかかっていた。
そのねとつく透明な液体を指にとって舐めながら、今度は珊瑚に言った。
「ほら珊瑚、ご覧よ。あんたが感じてるのを見て、この坊主も悦んでるよ」
「そんな……」
「ほら、こんなに硬くなってさ、ふふ。もうここまで大きくなれば使えるよ。おや、あんたは
もう奈落に突っ込まれてるんだったねえ。なら、あたしが相手してやっていいかい?」
「いやあああ……法師さま、あああ……ゆ、許してください……」
珊瑚は泣いて弥勒に謝った。弥勒が、奈落に犯される自分を見て勃起したということに怒る前に、
そうまで彼を追い込んでしまった自分が死にたいほどに惨めだった。
弥勒に申し訳なかった。
まともに彼の顔が見られない。
一方の奈落は焦らず、むしろ悠々とした調子で単調な上下運動を行なっていた。
それでも珊瑚は、徐々に効果の出てきた奈落の肉棒の威力に加え、弥勒に観察されているという
羞恥も相まって、狂おしいほどに燃え上がっていく。
神楽に煽られ、奈落に責め抜かれて、もどかしそうに臀部を揺さぶって喘ぎ続けていた。
奈落の肉棒が膣の奥深いところにある性の源泉にまで打ち込まれ、すっかり珊瑚は手管に堕ち
ていた。
突き刺されるごとに、ズキンズキンとこみ上げてくる官能に、珊瑚の肉体が痺れきっている。
特に根元まで突き込まれ、奥まったところにある固いところ−子宮口まで小突かれると、腰骨が
バラバラになりそうなほどの喜悦が走った。
奈落はそこを責めつける。
何度となく子宮まで突き上げると、狭い珊瑚の膣道はいっそう狭まり、そのペニスから精を搾り
取ろうとするのだ。
「そんなにいいのか、珊瑚。前を見ろ、弥勒が……おまえの、前の男が悔しそうに見ているぞ」
「いや、見ないで法師さまっ」
「法師、見るなと言っているぞ。冷たいものだな、俺という男を知ったら、もうおまえは用なし
だそうだ」
「ち、違います、法師さま、ああっ……こ、こんな恥ずかしいとこ、見ないで……こんなのいや
あっ……あ、ああっ……」
奈落の一言一言が、珊瑚の心の透き間に浸蝕していく。
もう奈落の女にされたという実感が、イヤでもこみ上げた。
それと同時に、珊瑚の反応がより露わになっていった。
肉棒を突き刺されるごとに、感じ方が激しくなっていく。
「退治の里」最後の生き残りとしての誇り、弥勒の恋人としての慎ましさ、そして彼の浮気に
対する癇癪。
それらに抑圧されていた激しい性欲が、反動となって珊瑚に現れていた。
奈落によって一気に開花させられたそれは、留まるところを知らなかった。
淫蕩さと清楚さを併せ持っていたこの類い希なる美少女は、この時はっきりと淫蕩の方へと傾き
始めた。
奈落が容赦なく突き上げ、子宮口を抉りあげる。
腹に密着するほどに珊瑚の腰を引き寄せ、今度は腰を持ち上げて引き抜く。
そのまま突っ込みっぱなしで、ぐりぐりと円運動をさせ媚肉の襞を擦りあげる。
何をされても珊瑚はよがり、喘ぎ続けた。
「だ、だめ、激しいっ……ああっ……あ、あむ……ああっ……」
「あ、ああ、よせっ……」
珊瑚がぐんぐんと高ぶっていくと、それに合わせるように神楽の手の動きが激しくなる。
その華奢な手に握られた弥勒のものは、赤黒く赤銅色になり、びくびくと痙攣し出していた。
カウパーはもう亀頭部に収まりきらず、ぽたぽたと畳に垂れ落ちていた。
「やめ……ろ……うっ……くそぉ……」
「ふふ、あんたも可愛い声が出せるじゃないか。いつもの喧嘩腰よりずっといいよ」
神楽は弥勒の首筋をちろちろと舐めながら言った。
法師は後ろ手の両手を握りしめ、妖女の責めに堪え忍んでいるが、それももう限界に迫っていた。
珊瑚の方も、喘ぎ声が甲高くなっていた。
「くっ、ああっ……あっ、ああっ……だ、だめ、もうっ……」
「なんだ、もういくのか。いつもより早いな」
「やあっ、言わないで! ああっ……」
珊瑚の意識から弥勒が遠ざかると、奈落は意識してそのことを思い出させた。
そうすることで、弥勒を意識させることで珊瑚を追い込もうというのだ。
このまま奈落のセックスに溺れさせるのは容易いが、弥勒の前で凌辱され、手もなくいかされ
たという事実を突きつけてやれば、珊瑚が精神的に屈服するのも近いだろう。
その珊瑚は、突かれるたびに嬌声を発し、腰を震わせていた。
ペタンと奈落の膝に押しつけられた時、珊瑚の腰がぐいぐいと振られてよじるのは、彼女が
もっと深い挿入を求めているのかも知れない。
無理もない。
珊瑚の腿や尻たぶ、奈落の腿や腰は、彼女から零れ出る愛液でベタベタになっているのだ。
「お、お腹が、ああっ……抉られてるっ……ああっ」
「あんまりよがるな珊瑚。弥勒が見ているのだぞ」
「やあ、見ないでっ……あ、ああ、うむっ……だ、だめっ」
膣をこねくり回すように肉棒で抉り込むと、珊瑚は息も絶え絶えに喘ぎ、腰を打ち振るのだった。
奈落の方も、もうゆっくりとした責めでなく、激しく律動させていた。
腿に叩きつけるように下へ下ろすと、反動で浮き上がるほどの勢いをつけた。
引き抜くと、絡みついた襞が引き剥がされるほどだ。
幾度も小突かれ続けた子宮口は、ようやく小さな口を開けてきた。
奈落はそこに突き込むべく、なおも激しく打ち込んだ。
珊瑚はその感触に気を失いそうになりながら、よがり続けた。
目の前にいるはずの弥勒の姿がぼやけてきていた。
「あ、あああっ、深いっ……そんな、深すぎるっ……お、お腹の奥に……」
「奥に、どうした」
「お腹の奥に当たって、ああ……」
「それがいいんだな」
「ああ……」
珊瑚は、もうたまらないと言わんばかりにうなずいた。
奈落の灼熱したペニスで官能の決壊を突き崩され、珊瑚はぶるぶると震えだした。
「ああっ……ああ、もうだめっ……」
「いくか。よし、いくがいい。中に出してやろう」
「な、中はだめっ」
珊瑚は目を剥いたが、膣内射精を拒む理性は奈落のペニスの前に打ち砕かれた。
弥勒の前で中に出される恥辱と、絶頂まで持って行かれる屈辱に珊瑚は気色ばんだが、それも
一瞬だった。
激しく腰を使いながら奈落が言った。
「いく時はそう言うんだぞ。いつものようにな」
「ああっ……」
その様子を観察していた神楽の動きも忙しなくなる。
弥勒の性器を掴み、一心不乱にしごいていた。
擦り上げられる法師の肉棒は、もう爆発寸前に膨れあがっている。
そこをさらにしごかれ、亀頭部が痛いほどに敏感になっていた。
歯を食いしばって獣欲を耐える弥勒だったが、珊瑚の、今際の際のよがり声が耳に流れ込んで
くる。
奈落の野太い肉茎に貫かれ、喘ぐように蠢く爛れきった珊瑚の媚肉を想像すると、もう押さえ
きれなかった。
その瞬間、珊瑚は官能的な肉付きの腿を痙攣させ、腰をぶるるっと大きく震わせた。
ぐっと頭を反らせ、全身を痙攣させて汗を飛び散らせる。
最奥まで突き刺され、絶頂を極めさせられた。
「い、いく……ああ、いくうっ……!!」
「うっ、あああっ……」
弥勒が失したのも、ほぼ同時だった。
剥き出しにされた亀頭から、尿道を押し合いへし合いして噴き出した精液が、珊瑚の脚にまで
引っかかっていた。
珊瑚の、気をやった悩ましい表情に奈落も引き込まれ、その欲望を一気に爆発させた。
子宮口が恐々と口を開けたところを狙い、奈落は精液をぶちまけた。
珊瑚はその感触に打ち震えながら喘いでいた。
「ああっ、で、出てるっ……そんな、ひどい……ああ、お腹に出すなんて……」
ドクドクと注ぎ込まれる精液が子宮に流れ込み、珊瑚は身を震わせた。
とうとう弥勒の前で珊瑚を犯し、思う存分に精を放った興奮で、奈落は断続的に射精を続けた。
自分でも呆れるほどの量を射精し、膣からは溢れかえった精液と愛液がミックスされて零れ
出ていた。
「こんな……こんなに出すなんて、ああ……法師さま……」
「さ、珊瑚……」
弥勒は、珊瑚の名を呼びながらも、神楽の手コキに合わせて腰を揺すっていた。
間歇泉のように射精していたペニスは、神楽のテクニックもあって、まだ萎んでいなかった。
その先端には、だらりと欲望の汁が垂れ落ちていた。
神楽は弥勒の精液を指にとって、それを舌でぺろりと舐めた。
「ふふ、濃いねえ。若さかねえ。それとも、珊瑚が気をやるところを見たからかい?」
「……」
「いいかい、あんた。それに珊瑚も聞きな」
神楽は茫然自失となっている、若い恋人たちに言った。
「あんたたちは、お互いの恥ずかしい姿を見せ合ったんだ。珊瑚は弥勒の前で奈落に犯されて
いっちまったところを、あんたはその珊瑚を見て、あたしにしごかれて精を放ったところをね」
「……
「獣にも劣る浅ましさだよ。あんたらはもう好き合う資格もないってことさ。そのことを忘れ
るんじゃないよ」
「……」
珊瑚は号泣し、弥勒は声も出せなかった。
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