「最猛勝?」
「ああ」

楓の問いに犬夜叉が答えた。

「奈落の野郎の使いみたいなもんだ。蜂や虻をでっかくしたような蟲怪だよ。そい
つに噛まれた」


 ここは楓の村だ。
二日ほど前から、犬夜叉たちはこの小さな村に滞在している。
その理由が、板間に布かれた布団で眠っていた。

額に濡らした手拭いを乗せ、高熱と戦っているのは七宝である。
その様子を、かごめと珊瑚が心配そうに見守っていた。
雲母も布団のそばでうずくまっている。
旅の途中で最猛勝に刺されて昏倒し、意識を失った七宝を雲母の背に乗せてこの村
にとって返したのが三日前になる。

「…おばあちゃん、七宝ちゃんは……」
「……」

かごめの視線を受けると、楓は腕を組んでうつむいた。

「まさか……まさかこのまま…」
「珊瑚ちゃん……」

かごめは珊瑚の恐るべき疑問を最後まで言わせなかった。
考えたくもない、七宝が死ぬなどとは。

目を閉じたまま考え込んでいた楓が口を開いた。

「毒であることは間違いない。しかしどんな種類かわからんのだ」

楓はそのまま寝ている七宝に目をやった。
高い熱にうなされ、小さな身体で必死に毒素と戦っているのだろう。

「おばあちゃんの薬草でもダメなの?」
「…今の状態のままに抑えておくことは出来る。確かに高熱じゃが、死ぬほどでは
ない」
「なら……」
「いや」

少しホッとしたかごめに楓が告げた。

「このままじゃダメなんじゃ」
「……なんでだよ」

それまで黙っていた犬夜叉も口を挟む。
老婆は半妖の若者を見やって言った。

「結局は対症療法に過ぎんのじゃ。薬草で解熱させることは出来るが、根本的な
治療ではない」
「でも、その治療法が見つかるまでは、何とかこのままでいられるんでしょ?」
と、珊瑚が言うと、今度は彼女の方を向いて言う。

「そうもいかん。七宝は妖怪とは言えまだ子どもじゃ。かごめや珊瑚ほどの体力も
あるまい。薬草で致命的な高熱は防げるが、このまま発熱が続けば体力が保たんじゃ
ろう」
「そんな……」
「じゃ、どうすればいいの」
「さっきの……最猛勝と言ったか、そいつを捕まえてこい」
「最猛勝を?」

かごめと珊瑚が顔を見合わせて同じ事を言った。

「生きていても死骸でもよい。そやつの身体から毒素を取り出して調べる他あるま
い。そこから解毒薬を作るのじゃ」
「…出来るんだろうな」

犬夜叉が目を細めて訊いた。

「出来る。が、逆に言えば最猛勝がなければどうにもならん」
「……」

犬夜叉はスッと立ち上がった。

「考えてたってしょうがねぇ。いくぞ、かごめ、珊瑚」
「ちょ、行くってどこへ…」
「だから最猛勝を探しに、だろ」

すがるかごめを見て珊瑚も立った。
着物を脱ぎ捨て、戦闘服になっている。かごめはちらりと珊瑚に目をやる。身体の
曲線が素直に出てしまう戦闘服を着こなす珊瑚を、かごめは「大胆だなあ」と思っ
ている。

一方、珊瑚の方は、かごめの方こそ大胆だと思う。
かごめの腰巻き(スカートである)はとても短くて、脛やふくらはぎどころか、腿
まで晒している。
とても自分には着られそうもない。
珊瑚の戦闘服は、身体にぴったりとしてはいるが、素肌の露出は極端に少ないので
ある。

「待ちなよ、探すったってどこをどう探すんだい」
「それはよう……」
「当てもなく彷徨ったってどうにもならないよ。で、七宝はどれくらい保ちそう?」

最後の問いかけは楓にしたものである。

「そうじゃな…。そう長くは保たんぞ。わしも出来るだけのことはするが、それでも
せいぜい三日、四日が限度じゃろう」

立ち上がった若者たちをまぶしそうに見上げた楓は、懸念を口にした。

「…そう言えば、まだ弥勒は戻らんか」
「うん、まだ……」

弥勒は隣村まで出かけている。
落ち武者だか野伏だかに襲撃され、多数の死者が出たらしい。
寺の住職まで殺されたとあって、この村まで供養の依頼があったのだ。
身軽な坊主は弥勒くらいだから、彼が行くこととなった。隣村と言っても、道々
四里はある。
昼に出ていったばかりだから、まだ戻るまい。

「ん?」

楓が手をかざした。

「……あれが最猛勝か?」

老婆の指す窓の外に、最猛勝が数匹飛んでいる。こちらの様子をうかがっているか
のようだ。

「ちっ! 向こうから来てくれたんなら手っ取り早えぜ」
「行こう!」
「うん!」

走り出す三人に向かって楓が叫んだ。

「ま、待て! 罠かも知れんぞ!」

犬夜叉が振り返って叫び返した。

「わかってらぁ! だけど、こいつを見逃したらいつ捕まえられるかわかんねぇん
だぞ!」
「そうよ! 大丈夫、楓おばあちゃん、きっと捕まえるから!」
「十分に気をつけい! 弥勒が戻ったらすぐに追わせる!」
「お願い!」

楓の忠告を背中で聞いて犬夜叉たちは家を飛び出した。
後を追って来た雲母に珊瑚は言った。

「雲母! ここにいて七宝とおばあちゃんを守ってろ!」

外に出てみると、奈落の放った蟲は頭上で五〜六匹が輪になって飛んでいる。

「……罠…だよね、絶対」
「そうだね」

かごめの声に珊瑚もうなづく。

「奈落が何考えてるか知んねぇけど行くっきゃねぇ!」
「うん」

と、その時、ぶんぶんとうるさく頭上を舞っていた最猛勝は、いきなり二手に分か
れて飛び去った。

「あっ」

かごめが叫ぶ間もなく、珊瑚は走り出していた。

「かごめちゃん! 犬夜叉と一緒にあっちを追って!」
「珊瑚ちゃん!」
「あたしはこっちを追うから! 早く!」
「かごめ、行くぞ!」

言うが早いか、犬夜叉はかごめを背中に乗せて駆けだした。

「珊瑚! すぐに弥勒に追わせるから、あんまムリすんなよ!」
「大丈夫! そっちこそ早く捕まえて!」

珊瑚は風を切るように走り出していた。


 三日前。奈落の城。
広い板敷きの間にふたりの妖者がいた。

ひとりは男−奈落。
もうひとりは女−神楽である。

奈落は肘置きにもたれ、片膝を立てて酒を飲んでいる。
一方、神楽は藺草編みの座布に脚を崩して座っていた。
左手にトレードマークの大きな扇子を持ち、口には長い煙管をくわえている。

「どうなのさ」

紫煙を吐きながら神楽が訊いた。

「…悪趣味だな」
「今まで散々っぱら悪趣味な策を使ってきたあんたに言われたかないね」

蔑んだような目をして答えた奈落に、神楽も吐き捨てるように言った。
奈落はフッと薄笑いを浮かべた。

「…まあいい。で? どっちにする気だ?」
「どっちでもいいのさ。網にかかった方でやるまでだよ」
「それにしてもくだらんことを考えたものだな。おまえの趣味か?」
「うるさいってんだろ」

神楽はそっぽを向く。

「だが、それなら男でもいいではないか」
「男は面倒だろ、捕まえるのも。あたしが相手をするのもイヤだよ」
「ふっ」

奈落が嗤うと、神楽は気分を害したように立ち上がった。
その背を追うように奈落は声を掛けた。

「せいぜいおまえの下衆な趣味を役立てるがいい。オレはこれ以上手出しはせん」
「当てにしてないさ。あんたこそおかしな邪魔立てはするんじゃないよ」

神楽は振り返りもせず言い返した。
障子の縁で煙管の先を叩き、吸い殻をはたき落とすと、そのまま部屋を後にした。
床の上で燻る煙草滓を見ながら奈落はひとりごちた。

「……好きなようにやるがいい」

奈落は神楽の策にはまるで期待していない。
だから関わることもしなかった。

そもそも自分以外はまったく信じることのない男だから、それも当然だった。
だが、ここのところ手詰まりで、これといった作戦もなかったから今回の神楽の案
を承認しただけのことだ。
うまくいかなくて当たり前、ひとりでも戦力を削げればそれでよし、というのが
正直なところだった。


 珊瑚は森を走っていた。
出る前にも思ったが、いかにも罠だ。
これも出る前に思ったことだが、罠でも行かねばならない。

背に背負った飛来骨が走る障害になったが、捨てていくことも出来ぬ。
どれくらい走ったことだろう。
二里か、三里か。

鍛え抜いた珊瑚ですら息が切れてきたが、ふいに森を抜けた。
前方に広い平地が広がっている。
目の前に平城があった。
平屋の屋敷である。

「……」

珊瑚には見覚えがあった。

(……奈落の城!)

慌てて身を伏せ、身体を隠す。
いつの間にか、「案内役」の最猛勝は消えていた。
だが気にすることはない。
ここが奈落の本拠であれば、どこにでも最猛勝はいるはずだ。

(いっそ、奈落のやつを…)

拳を握りしめ、歯を噛みしめた。
父の、里のみんなの仇。
そして、琥珀もここにいるはずなのだ。

熱くなる心の一方、醒めた退治屋の意識もある。
罠に決まっている。
ここで乗り込んだら、奈落の思うつぼだろう。
こんな時……。

(法師さまがいてくれたら…)

思いを振り切るように、顔を振ると珊瑚は立ち上がった。
罠は承知だ。
ここで逃げ帰るようでは、百年経っても奈落を見つけることは出来ないだろう。
きっと弥勒も後を追って来てくれるはずだ。

慎重に歩を進めたが、特に気配はない。
庭内はもちろん、屋敷内にも人の気配も妖怪の気配もなかった。

「……?」

さすがにおかしい。
罠でも、いや罠なればこそ妖怪どもが群をなしているはずではないか。
不審に思いながら、奥の間の襖を開けた。
ここにも誰もいない。

「……」

部屋の中程まで歩むと、ピシャリと音がしてふいに襖が閉まった。

「!」

反射的に振り向いた時、薄甘い香りが珊瑚の鼻腔に忍び込んだ。

「しまった!」

導眠効果のある香を焚いた匂いだ。
防毒面は持ってきていなかった。
すぐに手で口と鼻を押さえたが間に合わなかった。
あっというまに頭の中がとろけてくる。
薄れゆく意識の中で、珊瑚は眼前に立つ女を見た。

「神楽……」


 「ふん」

おもむろに屈んだ神楽は、倒れ込んだ珊瑚を醒めた目で見る。
肌にぴったりと密着した黒い戦闘服は、綺麗に身体の線が出ている。

「まるで男を誘ってるかのような着物じゃないか」

神楽はそうひとりごちたが、実際は当然そういう目的ではない。
一瞬の動きが生死を分けるとあって、なるべく無駄な抵抗を排しているのだ。
要するに空気抵抗の問題である。
袖や帷子がないのも、動き回って周囲の枝などの障害物に引っかからないようにして
いるわけだ。
もちろん正面投影面積を減らすことによる、敵から発見される可能性も減らしている。

神楽はため息を洩らした。

「やれやれ、この着物はどうやって脱がすんだい」

面倒がって、結局、扇子を振って「風刃の舞」を軽く起こし、戦闘服を切り刻んで
しまった。
破れ目に手を入れ、引きちぎる。
肩当て、膝当てもあって少々苦労したが、すぐに戦闘服はただのボロ布となって畳の
上にうち捨てられた。

「ん?」

戦闘服の下には、サラシと腰巻きが出てくるものと思っていた神楽はキョトンとした。
見たこともない白いものが胸と腰に巻かれていた。
いや、腰のものは巻かれているのはなく履いていたのだ。

 神楽は知るはずもなかったが、それはブラジャーとパンティであった。
この時代、つまり16世紀の日本でそんなものがあるはずはないが、これはかごめ
から珊瑚が貰ったものである。

安土桃山時代の下着(とも言えないが)よりは、21世紀の自分たちが使っている
下着の方が使いやすかろうとプレゼントしたのだ。
最初はだいぶ違和感があったが、今ではすっかり慣れていた。

何より、胸をサラシで押さえつけるよりは息苦しくないし、パンティに至っては腰
巻きよりはずっと楽で清潔だった。
それに、珊瑚も年頃で、あまり胸をサラシで巻いていると形が崩れるのではないかと
思っていた矢先でもあった。

「珍しいものを着ているんだね」

神楽はそう言うと、扇子を動かしてブラジャーのカップの間を斬り、パンティも切り
落とした。
そうした後、荒縄を取り出すと、珊瑚の両腕を後ろに回し、高小手に縛り上げた。
胸の上下も縄で挟んで絞り上げるように縛った。
そのまま縄尻を取ると、天井を走る欄干に引っ掛けて吊り上げた。

「…うう……」

不自然な格好で吊られる痛みに、珊瑚は顔をしかめて呻いた。

「おっと、ゆっくりしちゃいられないね」

神楽はさらに、珊瑚の足首を縛り、二尺ほど開いた状態で固定した。
天井からは、つま先が畳につくかつかないか、というあたりまで吊り上げた。

「ほう」

哀れな生け贄を吊し終わり、その裸身を眺めていた神楽は感心したような声を出
した。
まずは、その真っ白な肌に驚いた。
肌理が細かく、それでいてピチピチと弾けそうな健康的な肌だ。白いというよりも
色素が少ない感じだ。
透けるような肌というやつだろう。

よく考えると、珊瑚は身体の線が出る服を着てはいるが、案外と肌の露出は少ない
のだ。
戦闘服は顔を除いてほぼ全身を覆っているし、普段着の着物もそうだ。
その着物にしても、下に戦闘服を着込んでいるから、ほとんど肌が出ない。
手っ甲もしているから、本当に肌を晒しているのは手のひらと指、そして足首から
下だけなのだ。
珊瑚の色白さを知っているのは、一緒に入浴するかごめと、それを覗いたことのある
弥勒に犬夜叉くらいのものだろう。

もうひとつ神楽の目についたのは傷跡であった。
二の腕や腿などに、薄い傷の線が消えずに残っている。
奈落に操られた琥珀によって斬られたものだ。
そして滑らかな腹にも刺された傷があり、美しい背にも同じような刺され傷、そして
ひときわ大きな傷が抉られたように残っていた。

これらは退治屋の一族が全滅した時に、槍で刺されたものだ。そして背の真ん中の
傷跡は、琥珀の鎖鎌で抉られたものなのだ。
致命傷とも言える大怪我だったが、珊瑚は執念で生き残った。

「…なるほど、さすがに退治屋の娘だ。穏やかな人生じゃなかったってことかい」

無論、そんなことで仏心を起こすような神楽ではない。
むしろ、堕とし甲斐があるというものだと思っている。

「ほら、起きな」

神楽は珊瑚の頬を軽く叩いた。

「う……」

まだ痺れている頭を振って、珊瑚はムリヤリ意識を戻した。
目の前に神楽がいる。

「おまえ…!」

珊瑚はたちまち気が張ってきた。

髪をひっつめて後ろで結び、扇子を仰いでいる女。
先の尖った耳を持ち、白粉を塗りつけたような人工的な白さの肌と紅を濃く差した
ような唇をしている徒っぽい妖女。
こいつは奈落の一部なのだ。

「そんな顔したって凄みがないよ。あんた、自分の姿に気づいてるのかい?」

神楽は鼻で嗤った。

「あっ…」

珊瑚は自分がハダカに剥かれ、しかも縛り上げられていることにようやく気づいた。
胸は括り出され、脚は開かれている恥ずかしい格好だ。

「こ、こんな……きさま、ほどけ! なぜ、こんな……」
「知りたいかい?」

あはは、と神楽は声を出した笑った。

「なぜって、そりゃああんたをこれからばっちり仕込んでやるためさ」
「仕込む…?」

強気一方の珊瑚も、やや不安そうな顔をした。
神楽はそんな珊瑚を見て、「ふん」と言って顔を近づけた。

「だから、あんたのその男好きのしそうな身体に磨きをかけてやろうと言うのさ」
「……」
「まだ意味がわからないのかい」

とぼけているのかと神楽は思った。そして、あることに思い至る。

「あんた、天楽したことはあるんだろう?」
「てんらく…?」

「ちっ」と舌打ちすると、神楽は露骨に言った。

「だから男に抱かれたことはあるかと訊いてるんだよ」

天楽とは男女和合のことを言う。
つまりは「性交」のことである。
「天」の字を分解して「二」と「人」にする。
これを繋げると「二人(ふたり)」という字になる。

つまり天楽とは、「二人」で「楽しむ」ということなのだ。
もちろん「『天』にも昇るような快『楽』」という意味合いにもなるわけだ。

「……」

珊瑚は赤く染めた顔を背けた。あるわけがないのだ。

「じゃあ大楽も知らないのかい」
「……」

やはり意味のわからない珊瑚に代わって解説すると、大楽とはズバリ「自慰」の
ことだ。
さっきの天楽と同じ理屈で「大」を「一」と「人」にわけ、「一人(ひとり)」と
いう字にする。
「一人」で「楽しむ」のだから自慰というわけである。

そしてこれも「『大』いなる快『楽』」という風にもなるのだ。
神楽は「へぇ」と言いながら、面白そうな顔をした。

「あんた、見かけによらずおぼこだったのかい。もったいないねぇ、いい身体して
るのに」

そう言って珊瑚の柔らかそうな胸のふくらみに触れようと神楽が手を伸ばすと、
珊瑚は全身を振りたくって激しく拒絶した。

「さ、触るな! この……この阿婆擦れが!」
「そう嫌がるもんじゃないさ。この神楽さまがあんたを極楽に連れてってやるから
ねぇ」
「やめろ!」

珊瑚は喉が張り裂けそうなくらいの大声で叫んだ。

「なんで……なんでそんなことをする!」
「知りたきゃ教えてやるさ」

神楽は、珊瑚のアゴをつまんでぐいを自分の方に向けさせて言った。

「あんたの身体に、徹底的に男の味を教え込んでやるのさ。あたしの命令に完全に
従うくらいに色ボケになってもらう。女に生まれたことを後悔するくらいな色責め
をしてやろうってんだよ」
「な、なんで……」

珊瑚はわなわな震えながらようやく訊いた。
妖怪どもとの戦いでは感じたことのない、得体の知れない恐怖に襲われていた。

「なんで、なんでとうるさい女だね。いいかい、あんたを色責めで堕とした後、
仲間に返してやるのさ」
「……」
「あんたは女の欲求に耐えられない身体になるのさ。我慢出来なくなって、犬夜叉
やあの法師を色仕掛けするようになるんだよ」
「そんな……」
「それだけじゃない。女がもうひとりいたろう。かごめだ。そいつもあんたがたっ
ぷり抱いてやるようにしてやるんだ」

神楽の信じられない言葉に、珊瑚は唇を震わせるばかりだ。

「これから教え込む性技で、仲間の連中をたらし込むんだよ。おまえの淫技に溺れた
やつらは、おまえを奪い合うようになる」
「それで仲間割れを…」
「そういうことさ」

神楽は、さも可笑しそうに嗤った。
実際、これから珊瑚に施す淫靡な責めや、その結果、堕とされた珊瑚、そしてその
珊瑚に惑わされ、仲間同士で殺し合う犬夜叉たちを思うと笑いが止まらない。

それに、何も殺し合いが起こらなくてもいいのだ。
互いに邪な心を持ち、いがみ合い妬み合う。
一行がギスギスしてくれれば、それでいいのである。
あわよくば分裂してくれれば重畳この上ない。

「凝りもせず、よくもそんなことばかり…」

相変わらずの卑劣な策に憤る珊瑚が呻くように言ったが、神楽はまったく堪えず笑い
ながら続けた。

「まあ、何もあんたじゃなくてもよかったんだけどね」
「じゃ、かごめちゃんも……」
「どっちでもよかったのさ。だけど、引っかかったのがたまたまあんただったってわけ」

かごめは犬夜叉といたために救われたのかも知れない。
自分の不幸を呪いたくなった珊瑚だったが、かごめがこのような淫らな責め苦を受け
ることを考えればまだマシだった。

「おや、安心したような顔だねぇ。そんなに仲間が心配だったかい。その女の代わり
に自分が責められることになっても」
「当たり前だ! かごめちゃんは大事な友達だ。きさまなんかの好きにさせるもんか!」
「それがよくわからないんだよ」

笑いを止めて神楽が珊瑚を見た。

「そんなに仲間が大切かい。自分が死ねばそれっきりじゃないか」
「おまえら外道にわかるはずがないんだよ」
「ああ、わからないねぇ。わかりたくもない。そもそも、こんな簡単な罠にかかった
のも、あの子狐を慮ってのことなんだろう?」

ハッとして珊瑚は思い出した。
そうだ、最猛勝をなんとかしないと。

「七宝……七宝が危ないんだ! 最猛勝の解毒薬を……」
「そんなこと気にしなくてもいいさ。あの毒は四〜五日もすれば徐々に抜けてくる」
「ほ、本当?」
「ウソじゃないさ。別にあいつを殺すことが目的じゃなかったからね。明日あたりに
は熱が下がり始めるし、それから三日もすれば動けるようになる」

ほーっと珊瑚が息をついた。
取りあえず七宝は大丈夫らしい。
あとは自分を救えばいい。

安心したような珊瑚を見て、神楽は意地悪そうに訊いた。

「まったく、あんな狐、死んだってどうってことはないだろうに。戦力にもなって
ないし、かえって足手まといじゃないか」
「七宝だって仲間なんだよ。あんたなんかにはわからないだろうけど」

軽蔑されたような気がして、神楽はちょっと気が立った。

「おしゃべりが過ぎたようだね」

そう言うと、珊瑚の後ろに回り込み、黒染めの手拭いで目隠しした。突然、視界を
奪われた珊瑚が叫ぶ。

「なにすんの!」
「あんた男も知らないし、自分で慰めたこともないんだろ? だったら、こうした
方が集中できるってもんさ」

目隠しすることで、五感の中でもっとも大きな比重を占める視覚を遮断する。
こうすることによって他の感覚、特に触感を高めてやるのである。
感じやすくしてやろうということだ。
どこを触られるか、何をされるかわからないという恐怖心も煽ることになる。
もがく珊瑚を抑えて、ようやく目隠ししてやると、神楽は一息ついた。
こう暴れられたのでは、神楽の方がくたびれてしまいそうだ。

「まったく、生娘は厄介だよ。おまけにあんたは元気が良すぎてつき合いきれないよ」

珊瑚はギシギシと縄目を鳴らしながら大声で抗議する。

「だったらほどけ! あたしだっておまえなんかの自由になる気はないわ!」
「少しは静かにおしったら。今、用意してるんだから」
「うるさい、卑怯者! 早くほどけ、この年増!」
「……」

神楽はスッと表情を消して珊瑚に歩み寄った。
もちろん珊瑚には見えないが、ひんやりとした殺気を感じた。
その瞳はゾッとするほど冷たい。
「年増」と呼ばれた妖女は、手にした扇子を縛られた美少女の首筋に当てた。

「二度とそんな口をあたしにきくんじゃないよ。あんたを肉責めにするために、
あたしは出来るだけ優しくしてやるつもりだけど、忍耐にも限度ってもんがある。
あんたのその綺麗な顔をズタズタに切り裂いてやったっていいんだよ」
「く……」

喉元を走る冷たい刃の感触に、珊瑚は身体と口の動きを止めた。

「おとなしく出来るじゃないか。そう、それでいいのさ。でもね」

神楽は瓢箪を手に提げている。

「そういつもいつも脅して言うことを聞かせるというのも芸がないしね」

そう言うと、神楽は瓢箪の口栓を取り、珊瑚の口にあてがった。

「な、なにを…!」
「飲みな」
「い、いやっ」

珊瑚は顔を振りたくって嫌がった。ムリヤリ飲ませるところを見ると、ろくなもの
ではないに決まってる。

「心配しなさんな。毒じゃないから」

神楽はニヤリと笑った。

「ま、その親戚くらいにはなるかもね」

神楽はあくまで抵抗する珊瑚の鼻を摘んだ。
必死で口を閉じていた珊瑚だったが、呼吸が出来なくては開かざるを得ない。

「ぷはっ!」

その瞬間を逃さず、神楽は珊瑚のアゴを抑え、瓢箪の中身を口へと注ぎ込んだ。

「ぐ……んぐっ……んく……んく……」

たまらず珊瑚は、酸素とともにその液体を嚥下した。
薄甘いその汁は、珊瑚の口から溢れかえる。
整ったアゴを伝い、形の良い胸を流れ、滑らかな腹部に筋を作った。

「げ、げほっ……げほっ…」
「どうだい、お味は?」
「げほ……な、なにこれ……」
「だから毒ではないさ。あんたを極楽へ誘ってくれる薬ってわけ」

つまりは媚薬である。
龍眼やクコの実、ナルコユリとともに、インドから日本に入ってきた媚薬の材料で
ある天竺朝顔の種子からなっている。
向精神薬系の働きがあり、五感を鋭敏化させる効用もある。
おまけに芥子から抽出した結晶、つまり阿片も混じっている。
ごく微量であるため中毒性はほとんどないが、幻覚作用や感覚の高揚効果はある。
神楽お手製の飲用媚薬なのだ。

続いて貝殻の薬入れから塗り薬状のものを指に取った。
神楽はかがみ込むと珊瑚の股間を覗き上げた。
女の秘裂はぴったりと閉じている。さすがに処女といったところか。
神楽は、指に盛り上げた薬を珊瑚のそこに塗り込み始めた。

「きゃあ!」

思わず女らしい悲鳴を上げた珊瑚を神楽は面白そうに見やった。

「おや、ようやく可愛い悲鳴を聞かせてくれたねぇ」

珊瑚は神楽の指から逃れようと必死に腰を振ろうとするが、足首が固定されていて
それも出来ない。
神楽は塗り薬を珊瑚の秘所にたっぷりと塗りたくった。
割れ目に沿って縦に塗り、その上にちょこんと覗いている女芯にも塗ってやる。

「ひっ……そ、そんなところ……やめろ!」

秘部をいじられ、敏感な肉芽に触れられると、ズキンとした感覚が走り、珊瑚を
戸惑わせる。

珊瑚に塗った媚薬の正体は単なる山芋である。
すり下ろした山芋を酒を加えて練り込んだものだ。
そこに海藻の粘液も混ぜ、天日で干して水分を飛ばし、その後に少量の酒で再び
練ったのである。
これも神楽独自のものだ。

「おっと、ここにも塗ってやらないとねぇ」

そう言って神楽は、乳輪の中に沈み込んでいる珊瑚の乳首にも塗り込んだ。

「くっ」

次々と敏感な箇所を濡れた指で触れられる感触に、珊瑚は固く目を閉じて耐えた。
おぞましい気持ちの中に、得体の知れない別の感覚も生まれてきてしまいそうだ。

「さて、こんなところかね」

珊瑚にたっぷりと媚薬を飲ませ、また塗り込んでやった。
これで存分にほぐしてやれば、処女とは言え悦楽に浸ることになるだろう。

神楽は改めて目の前の若い女の肢体を見やった。
乳房や尻は、まだ発展途上という感じだが、それでもなかなかの大きさだ。
形も良い。
これから神楽が嬲り、幾人もの男に抱かれるようになれば、より一層女らしい体つき
になるだろう。

何より、そのぴちぴちした肌の魅力。
白く、絹のような肌だが、そのくせ水を弾くような張りがある。

確かこの女は十六か十七と聞いた。
熟れ頃、食べ頃だろう。
まさに、男に手折られるのを待っていた歳のはずだ。

16世紀の日本。
十代で婚姻することが当たり前である。

特に武家社会に於いては、結婚とはすなわち政略結婚である場合はほとんどだから、
本人の希望や年齢は考慮されないのが普通だった。
男性は元服を迎えてからが普通だったが、女性にはそんなものはないので、ひどい
のになると八歳や九歳で結婚させられる場合もあった。

一般庶民でも似たようなものだ。
十四になれば適齢期であり、十八、十九では「嫁ぎ遅れ」と言われる有り様だ。

この時代は、いわゆる「人生五十年」。
寿命はその程度しかないので、自然と結婚年齢も早まるわけだ。
そう換算すると、大雑把ではあるが珊瑚やかごめは現代に当てはめればもう二十代に
到達していることになるのだ。
故に、珊瑚などまさに「適齢期」というわけだ。

 神楽によって、ムリヤリ淫薬を飲まされ、媚薬を身体に塗られた珊瑚は、自分の
身体に違和感を感じていた。
飲んだ薬の方は、最初は胃の腑がカッカと熱くなっていたのだが、その熱が腰に
降りてきている感じだ。

そして何やら切ない気持ちになってきている。なんだかわからないが、どうにかして
欲しい。
珊瑚は初めての経験だったが、それは肉欲の疼きだったのである。

塗られた薬の方も効力を発揮していた。
乳首や肉芽、媚肉と、女の急所に塗布されたそれは、ジンジンと熱を持ち、またほん
のりとした痒さも伴って珊瑚を懊悩させた。
特に割れ目に塗られた汁は、まるでそこから中に入り込んで来たかのように、胎内も
疼きだしていた。

「あ……」

その体調の変化に、珊瑚は思わず声が出た。
神楽はそんな珊瑚を面白そうに見ている。

「どうやら、そろそろのようだねぇ」

神楽は珊瑚の胸に顔を寄せた。
巨乳ではないが、揉みでのありそうなふくよかさだ。
真っ赤な唇から小さく舌を出し、乳首をちろりと舐めてやった。

「きゃあ!」

思わず珊瑚はピクンと仰け反った。
神楽はその間にも、手で珊瑚のすべらかな腿を撫でるように愛撫している。そこから
もゾクゾクするような刺激が珊瑚の背を走る。

熟女の熱くぬめった舌が少女の乳首を捉えた。
珊瑚は乳房、それも乳首と乳輪が人一倍敏感だ。
かごめからブラジャーを貰うまでは、サラシや襦袢が乳首を擦り、硬くなる感覚に
悩まされたこともある。
まだそれが性感だという知識もなく、戸惑うばかりの珊瑚だった。

が、成長した今は、それが男女のまぐわいで得られる快感なのだということは知って
いる。
しかし、それを神楽によって自分の身体に起こっていることを認識すると、たまら
ない屈辱感に囚われるのだった。

「あ、いや……」

神楽は執拗に珊瑚の弱みを責め続ける。
女ゆえに女の急所を熟知しているのだ。
初そうな薄桃色をした乳首を舌先で転がされ、吸い上げられる。
さらに、やさしく歯を立てられ、乳房全体をやわらかく揉み上げられて存分に刺激
を送り込まれた。

「ああ……」

身体からわき起こる快楽を必死に堪え、唇を固く食い締めていた珊瑚だったが、
徐々に口惜しい呻き声が洩れ出した。
神楽のしなやかな手が、乳房から可愛らしい臍に這い降り、爪の先で円を描くように
くすぐる。
そのもぞかしさとぞくりとするような官能の痺れが、美少女の心に渦を巻く。

「あ……」

小さな喘ぎ声を耳にして、神楽はクスリと笑う。

「あらあら、ここも感じるんだね。いいこと。あんたなかなか素質があるみたいだ
ねぇ」

神楽から加えられる悪辣かつ優しい愛撫に、珊瑚は総身を晒すばかりだった。
あの女の手が自分の身体を嬲るたびに、膣というより子宮の中から疼いてしまう。
そうでなくとも媚薬の効果で、膣もジンジンしているのだ。
無意識のうちに腰をもじもじさせてしまう。
そうすることで快感を体外に逃がそうというのだが、逆にそうでもしないと切なくて
しようがないのである。

珊瑚が崩れ始めているのを見ると、神楽はいよいよ少女の股間に手を伸ばしてきた。
神楽は、恥ずかしいほどに両脚を開かれている珊瑚の、太腿の付け根の鼠渓部を指
先でなぞった。
敏感な筋を触られる異様な感触に、珊瑚は新たな官能を感じていた。

ギクリと身体を震わせ、小さな悲鳴を洩らす。
さらに、経験豊富の熟女は、珊瑚の内腿を指の腹でくすぐるように撫で始めた。

「むっ!」

またギクンと珊瑚は白い裸身を震わせた。
後ろ手に縛り上げられた両手を、白くなるほどに握りしめている。
珊瑚の花弁はいつしか濡れ始めていた。神楽はそれを知ると、包皮をかぶった花芯
を指先で淫らに嬲る。
つんつんと指でつついてやると、肉芽が包皮からようやく顔を覗かせてくるのだった。

神楽は面白がって、この感じやすい粒を爪先でいたぶる。
そのたびに思いも掛けない快感が珊瑚の背筋を突き抜けるのだった。
しつこいほどにそこを責められ、思い出したように乳首を弾かれると、今度こそ
珊瑚は女の悦びを体感してしまっていた。

(ああ、こんな……こんなことって……)

疼きでもなく苦痛でもない。
甘い痺れ、いや、やはり快楽なのだと認めざるを得なかった。
神楽は苦悩する珊瑚を見上げて囁いた。

「珊瑚、あんた濡れてるじゃないの。こんなに感じて…いやらしい蜜があふれて
いるじゃないか」
「う、うるさい! こ、こんなこと……」

珊瑚は激しく頭を振って叫んだ。
言われなくてもわかっていた。
乳房を、股間を愛撫され、子宮が疼くような快美感を得るたびに、膣からじゅく
じゅくと愛液が湧いてくるのが知覚できるのだ。
いやらしい、あさましいと思いながら、徐々に珊瑚はその悦楽に抵抗し得なくなって
しまうのではないかと恐怖した。

神楽の方は、まず珊瑚に快楽というもの、身体をまさぐられて得られる愉悦を覚え
させることに専念した。
濡れてきた媚肉はとりあえずそこまでにして立ち上がり、珊瑚の後ろに回り込んだ。
自分と同じように髪をひっつめ、馬の尾のようにまとめている(実際、現代では
ポニー・テールと呼んでいるわけだが)。

漆黒の髪は時折ぷるぷると痙攣するように震えていた。
恥辱に耐えているのだろう。
形の良い唇からは、甘い吐息が洩れている。
神楽は後ろから大手を拡げて、珊瑚の胸を責めた。

「あっ……」

珊瑚は、矛先が突然胸に移ったことで狼狽した。
目隠しされているため、どこからあの女が責めてくるのかわからない恐怖。
そして、視覚を遮断されたことにより、どうしても触られた箇所に神経が集中して
しまい、よってより大きい感触を得てしまう。

神楽は珊瑚のうなじから首筋にかけて甘い口づけの雨を降らせ、手は優しく乳房を
揉んだ。
触れるか触れないかの微妙な接触で、乳房の下の方から撫で上げるように指を滑ら
せる。
かと思うと、根元から揉み絞るように掴む。
そして鷲掴みするように、五本の指すべてを使ってワシワシと揉み上げる。
親指の爪で乳輪をなぞり、乳首をぴんぴんと弾いてやると、珊瑚は堪らずにアゴを
上げて背を反らせた。

「ふふ、ホントにこの娘は……」

神楽は、思った以上に早く性の反応を示す美少女に満足した。
いかに媚薬を用いたとはいえ、珊瑚は先天的に感じやすい身体をしているという
ことだろう。
これだけの綺麗な肢体で感じやすいとなれば、性に溺れさせ、性技を熟知させれば、
いかようにも使えるはずだ。

たっぷりと珊瑚の胸を責め上げたが、退治屋の娘はその堅固な意志で、はっきりと
した快感の感情を声で示すことに耐えていた。
どれ、もうひと責めとばかりに、神楽は再び前に回った。
しゃがみ込むと、珊瑚の秘裂が目の前にあった。
まだ生娘らしく、ぴったりと閉じている。
だが、先ほどからの愛撫で、わずかな割れ目から淫液が漏れ出し、恥毛の先に露
となって宿っていた。
神楽は、やや肉厚の唇を開くと、珊瑚の蕾を軽くくわえた。

「ああっ!」

珊瑚は、神楽の唇と舌が自分のもっとも敏感な箇所に触れると、思わず声を洩ら
した。
神楽がねっとりとした舌の先で舐め上げると、珊瑚の股間が悶えうごめく。
舌の先端を尖らせ、とんとんと突っついてやると、美しい娘は大きく喘いだ。

「ああ! や、やめろ……くっ……あ、やめ……ううっ……だめ!」

神楽は、敏感な蕾の先端を柔らかく唇ではさみ、吸うようにしてねぶり、舐めた。

「うあっ」

珊瑚の恥丘が思わずうねり、恥毛が神楽の鼻をくすぐる。
珊瑚の反応に気をよくした神楽は、さらに肉の突起を舐めしゃぶった。
珊瑚は、身体の芯から忍び出る恍惚感と闘っていた。

子宮から身体の隅々まで広がっていく異様な快感は何なのだろう。
珊瑚は、青白くさえあった絹肌を桃色に染め、全身に脂汗さえ滲ませていた。
膣道を通り、流れ出るように零れてくる淫汁すら、恥ずかしいと思う気持ちが薄れ
ていた。

見ると、珊瑚の媚肉は、処女だというのに、その襞がまるで生き物のようにうごめ
き、開こうとしているかのようだった。
神楽は舌を花弁に回した。
左右の襞をなぞるように舌で舐め上げる。

「んくっ……んんっ……く……くぁ……あう!」

神楽は、声を出すまいと必死に耐える珊瑚を可愛いとすら思うようになった。

「我慢するこたないんだよ。自分の気持ちに素直になんなよ。いいんだろ? 
ねぇ、珊瑚」
「う……うるさいっ……やめ、やめろぉ……んぅっ……」

神楽は思い切り大きく舌を出し、舌全体を使って珊瑚の媚肉を愛撫した。
襞も肉芽を一緒に舐め上げられると、珊瑚は「うぁぁっ!」と悲鳴を上げ、全身を
突っ張って反応した。
神楽は、珊瑚の腰ではねのけられそうになりながらも、一段と屹立した突起を思い
切り吸い、舌で乱暴に転がす。

「あああっ! いああああっ!」

珊瑚はガクンと大きく体を震わせてから、がっくりと脱力してしまった。

「おやあ? あんた、いっちゃったみたいだねぇ」

神楽は声を立てて嗤った。

「大楽もしたことないんだから、当然はじめてだよねぇ?」

珊瑚の下顎を持ち、自分の方に向けてから神楽は言った。

「どうだい、初めて気をやった気持ちは? 悪かないだろう?」

そう言うと、再びけらけらと嗤った。

「ち、ちくしょう……」

甘い痺れを全身に感じながらも、珊瑚は目隠しされたまま神楽を睨みつけた。

「き、きさま、女のくせにこんな淫らな……」
「何が淫らだい。あたしが淫らなら、あたしにおっぱい揉まれて、オマンコ舐めら
れていっちまったあんたはどうなんだい」
「……」

珊瑚は言い返すことが出来ず、血が出るほど唇を固く噛んでいる。
神楽の露骨な表現のせいか、心持ち顔を赤く染めている。

それにしても、この娘は感度良好だ。
しかも処女らしい。
神楽は人の悪そうな笑みを浮かべた。

(これだけ感じやすければ、男を知らずともそれなりに乱れそうだねぇ。なら……)

神楽は珊瑚の尻を見る。
若さゆえか、ぷりぷりした立派な臀部だ。
この分なら、さぞや…。

「あんた、好いた男でもいるかい?」
「……」

神楽の問いに、珊瑚は顔を伏せた。

(法師さま……)

「ふん、答えられないかい。でも、その様子を見ると、いそうな感じじゃないか」
「お、おまえに関係ない!」
「そうかい? じゃ、これから好きでもない男に操を奪われてもいいんだね?」
「い、いやよっ」
「だろうね」

神楽は珊瑚の前を行き来しながら話している。

「そんなら、それはカンベンしてやろうか」
「……」
「好いた男のためにとっときな、と言ってるのさ」

珊瑚は、どういうことかわからないという顔をしている。
神楽は、クスクスと嗤っている。

(そうさ。あんたはね、生娘のままお尻でよがり狂う女に育てられるってわけだよ)

神楽は、またしても貝殻から塗布薬を指にとった。
すると、両脚を開いた姿勢で固定されている珊瑚の尻の割れ目に、その指を侵入
させたのだ。

「ひゃあっ!」

思わぬ攻撃に、珊瑚は甲高い叫び声を出した。
まさかそんなところを嬲られるとは思わなかったのだ。
神楽は、動かぬ体を精一杯揺らして抵抗する珊瑚の尻を割り、中に鎮座している
肛門に薬を塗り込んだ。

「ひっ……や、やめろ、そんなとこ! ひぁぁっ!」

人差し指で丹念に塗り込んでいくと、引き窄まった菊座がほんのりと柔らかくなっ
てきた。

「や、やめっ! き、きさまぁ、やめろ、触るな! ああっ…け、汚らわしい!」
「汚らわしい? そんなこたないさ。むしろ汚いのはあんたの尻の穴の方で、あた
しの指じゃないさ。それに」

神楽はぐいと人差し指の先を肛門に突き刺した。

「い、痛っ!」
「案外、気持ちいいもんなんだよ、お尻っていうのもね。これからあんたにも味わ
わせてやろうじゃないか」
「い、いらない、そんなのっ」

珊瑚はぶるぶると顔を振った。
そんなおぞましい行為をされるのは珊瑚の誇りが許さない。
退治屋の生き残りというより、女として許せない。
お尻を嬲られるなど、人間のすることではない。

「食わず嫌いというものさ。そら」

神楽は親指と人差し指で、はさむように珊瑚の肛門を嬲った。
ゆるゆると揉み込み、嫌がる珊瑚が引き締めると、今度は指先でトントンと軽く叩く。
その刺激は、珊瑚を否応なく官能のうねりに巻き込んだ。

そんなところが快感を生むなど、男を知らぬ美少女には想像もつかぬことだった。
指の腹で擦られ、円を描くように菊座の周囲をなぞられると、珊瑚の意志に関わらず
蜜壷から涎が滴ってくる。
固くすぼめた門戸が、徐々にほぐされ弛緩していくのが堪らなかった。

だが、この年増女は次から次へと未経験の責めを珊瑚の身体に与えてくる。
抗いきれない甘美な疼きが美少女を悩ませた。
ひくり、ひくりとしゃくり上げるように反応する珊瑚を見る神楽も、すっかりのめり
込んでいた。
打てば響く絶品の身体を持った少女を、思う存分責めている状況に昂奮していたの
である。

「うふふ、あたしがあんたの処女をいただいてあげるからね」

神楽はそう言うと、着物の裾をまくり上げた。
そして、珊瑚の尻の谷間の底にある細い襞をまさぐるように、指先をその中心に潜り
込ませた。
愉悦に酔っていた珊瑚は、その感触に慌てて悲鳴を上げた。

「なにするの! いや、そんなところ! だめ、いやよ! ああっ」

ぷすりと入り込んだ指先は、珊瑚が少々腰を振ったところで取れるものではない。
じわじわと奥へ忍び込んでいくと、珊瑚は生まれて初めて味わうその感覚に、開か
れた脚をよじるようにして反応した。

「ああ…いや……」

第一関節まで潜り込ませたが、まだ神楽は許さない。
ゆっくりと指を進め、とうとう付け根まで押し込んでしまった。
揉みほぐされ、媚薬も塗られていたこともあり、珊瑚の肛門は意外とあっさり神楽
の指を受け入れてしまっていた。
もぞもぞと蠢き、ぐりぐりと粘膜を刺激してやると、珊瑚は腰をうねらせて悶えた。
責められる美少女は、もはや忘我に近かったが、まだ理性も残っていた。

(ま、負けてたまるか……こ、こんなやつに責められてどうにかなるなんて…)

珊瑚は盛んに首を振って快楽を逃がそうとする。
神楽は、もうひといきとばかりに、左手を使って前もいじめはじめた。
完全に皮が剥けきり、ひくひくしている肉芽を指で摘み、いびったのだ。

「んんっ……んむ……むう!」

珊瑚は意志の力を総動員して声を出すまいと努力している。
責めの結果を声にしたら負けだ、と思っていたのもあるし、いったん口から出て
しまったら何を言うかわからない、という怖さもあった。

それほど神楽の陰湿な責めは珊瑚を追い込んでいた。
このままこの女に責められ続けたらどうなってしまうのだろう。
これ以上の戦慄を味わうことになるのだろうか。
珊瑚の心は、九分の恐れと一分の期待でわなないていた。




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